190 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/07(土) 16:42:52 ID:5lkXC/2E
./'! /!
/ / .／/
./ / ／／― ､
ゝ !┤/_代理_ ヽ
}>(_,!ﾞ-―――- ﾞ」,
／, , /､ヽ ヽ_ゝ ヽ､｀ヽ
/ //ﾒ､!ヽヽﾞ､{ｨ:::l＼ },.n'_ それでは皆様、明日よろしくお願い致します！
ゝ| | !ｨ= ｰ' ,y'〃）
ヽ|ヽ ' ／＼ ノ/＼｀ヽ,
|ﾙ'｀ ‐-＼_,ﾉ'´ゝﾉ | j
<´ゞー‐'´ノl ヽ、'､＿,
｀/｀ー‐'゛, ﾍ ｀ー'´
/ヾ＿＿__,.ﾉ＼
(ニ/ ＼ニ)
192 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 20:53:17 ID:QGRDw.jU
,' / ＼ |´ ', |
! / ト-─-＼| ─-.､!/
ﾚ ,.:'::| 代理´￣￣`ﾝ
／::::::::＼＞-──'‐'─＜. 〈ﾊ
/＞:::''"´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`'＜!
,..:::''"´::::::;;: -‐ ''"´￣￣￣￣ ` ､::::::::::::`::..､
〈::::::::::::::7´ / / ‐- /! / ＼:::::::::::::::':,
ヽ､＿,' ,' ./!ｧﾃ＜/| /! ‐､ ＼::::::::::::i
/ | |八__rﾘ `!／ |ｧt､ ,| , !::::::::/
., ' ! ! '" 〈ｿﾊ/ ! ./ﾚ'-‐''´ 予定通り、二十二時から
/ | | ' ﾞ !/ﾚﾍ. 投下開始します。
,' ,' .八 ﾄ､ ` ー ／,! ＼ 時間になったらよろしくお願いします。
| / ,'. ＼.∨|` ､,__, イ /| ヽ.
ﾚ' ヽ! /＞-‐ハ|` ｰ-‐ v'ｰﾚ'´￣｀r--､ﾉ_,ﾊ_
）ｲ´ ＼ /ム」 /＞-─ ､こ
| ､ハ＼i |::::::＼.ア´ __, ＼
194 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:01:08 ID:QGRDw.jU
さて、そろそろ投下開始します。
投下コースよろし。投下！投下！
195 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:04:23 ID:QGRDw.jU
,' / ＼ |´ ', |
! / ト-─-＼| ─-.､!/
ﾚ ,.:'::| 代理´￣￣`ﾝ
／::::::::＼＞-──'‐'─＜. 〈ﾊ
/＞:::''"´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`'＜!
,..:::''"´::::::;;: -‐ ''"´￣￣￣￣ ` ､::::::::::::`::..､ 皆様こんばんわ。
〈::::::::::::::7´ / / ‐- /! / ＼:::::::::::::::':, 今日もよろしくお願い致します。
ヽ､＿,' ,' ./!ｧﾃ＜/| /! ‐､ ＼::::::::::::i
/ | |八__rﾘ `!／ |ｧt､ ,| , !::::::::/
., ' ! ! '" 〈ｿﾊ/ ! ./ﾚ'-‐''´ 改めて、まとめて頂いた"ぶらりとやる夫"様、
/ | | ' ﾞ !/ﾚﾍ. 誠にありがとうございます。
,' ,' .八 ﾄ､ ` ー ／,! ＼
| / ,'. ＼.∨|` ､,__, イ /| ヽ. まとめ先：ぶらりとやる夫様
ﾚ' ヽ! /＞-‐ハ|` ｰ-‐ v'ｰﾚ'´￣｀r--､ﾉ_,ﾊ_ ttp://buraritoyaruo.blog79.fc2.com/blog-entry-217.html
）ｲ´ ＼ /ム」 /＞-─ ､こ
| ､ハ＼i |::::::＼.ア´ __, ＼
196 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:05:02 ID:QGRDw.jU
,' / ＼ |´ ', |
! / ト-─-＼| ─-.､!/
ﾚ ,.:'::| 代理´￣￣`ﾝ
／::::::::＼＞-──'‐'─＜. 〈ﾊ
/＞:::''"´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`'＜!
,..:::''"´::::::;;: -‐ ''"´￣￣￣￣ ` ､::::::::::::`::..､
〈::::::::::::::7´ / / ‐- /! / ＼:::::::::::::::':,
ヽ､＿,' ,' ./!ｧﾃ＜/| /! ‐､ ＼::::::::::::i
/ | |八__rﾘ `!／ |ｧt､ ,| , !::::::::/ 本日から「第一部 第二章」になります。
., ' ! ! '" 〈ｿﾊ/ ! ./ﾚ'-‐''´
/ | | ' ﾞ !/ﾚﾍ. 今回は、「鈴木 やる夫」が新聞記者になり、
,' ,' .八 ﾄ､ ` ー ／,! ＼ 最前線への特派員になるまでのお話です。
| / ,'. ＼.∨|` ､,__, イ /| ヽ. それでは、どうぞ！
ﾚ' ヽ! /＞-‐ハ|` ｰ-‐ v'ｰﾚ'´￣｀r--､ﾉ_,ﾊ_
）ｲ´ ＼ /ム」 /＞-─ ､こ
| ､ハ＼i |::::::＼.ア´ __, ＼
197 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:06:13 ID:QGRDw.jU
=========================================================================
第一部 第二章 遠く遥かなる日
～好事魔おおくして～
=========================================================================
僕は、二十一歳のときに、静岡で発行されていた新聞の記者となった。
その翌年、読売新聞の"人手不足"緩和の為に、雇員という身分で、
地方採用されたのだ。
／￣＼
| |
＼＿／
|
／￣￣￣ ＼
／ ::＼:::／::::＼
／ <●>::::::<●> ＼ 君、兵隊のほうは大丈夫だろうな？
| （__人__） |
＼ ｀ ⌒´ ／
￣（⌒`:::: ⌒ヽ
ヽ:::: ~~⌒γ⌒）
ヽー―'^ー-'
〉 │ （※・・・兵隊：徴兵の事）
＿＿＿_
, ヘｰ‐- ､ ／ヽ ／ ＼
-‐ノ .ヘー‐-ｨ ／（●.） （● ）ヽ
''"/／ヽｰ､ ﾉ .／:::⌒（__人__）⌒::::::ヽ 丸山支局長。
/／＾＼ ヾ-､.| |r┬-| | 大丈夫ですお！
,ノ ヽ,_ ヽノヽ_)＼ `ー'´ ／ それに・・・
/ <＾_,.ｲ `r‐'ﾞ ::::ヽー‐-..､ ,..-‐|、
＼＿＿_,／| ! ::::::l、:.:.:.:.:.ヽ /:.:.:.:.| ＼
198 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:06:43 ID:QGRDw.jU
． … ．
：＿＿＿_：
：／_ノ ー､＼：
：／（ ●） （●）｡ ＼： やる夫みたいな身体の小さい男が
：／:::::: r（__人__） ､ :::::＼： 兵隊にとられるようでは、
：| { l／⌒ヽ |： 日本もおしまいだお。 ／￣＼
：＼ ／ ／ ／： | |
＼＿／
|
／ ￣ ￣ ＼
／ ＼ ／ ＼
それも、そうだな。 ／ ⌒ ⌒ ＼
| （__人__） |
＼ ｀ ⌒´ ／
／￣￣￣￣￣￣￣ ＼
199 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:07:14 ID:QGRDw.jU
その日から一週間たった後の午後の事だった。
やる夫ー、丸山支局長から電話だぞ＞
＿＿＿_
／＼ ／＼ _＿
. .／ .（ー） （ー）'(_）( ﾞヽ はい、支局長。どうしましたかお？
／ ⌒（__人__）⌒ |.( .',
| |r┬-| ._|.( ..ﾄ-a‐-a,
＼ `ー'´ _（_）(.__.ﾉ 'a,,
ノ ￣／ "'a,
／´ .／ ._/「i＿＿「i .ﾉ
| ｌ i / Ｙ"
ヽ -一''''''"~~｀`'ー--､ / i
ヽ ＿＿＿＿(⌒)(⌒)⌒) ) （＿＿＿＿___ﾉ
200 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:07:46 ID:QGRDw.jU
＿＿＿_
ｳｵｯ ／ ノ ヽ、＼ _＿
. .／ .（○） （○）'(_）( ﾞヽ ＜ バッカヤロオオオウ！！！
／ u （__人__） .|.( .',
| `ー'´ ._.. |.( ..ﾄ-a‐-a,
＼ _（_）(.__.ﾉ 'a,,
ノ ￣／ "'a,
／´ .／ ._/「i＿＿「i .ﾉ
| ｌ i / Ｙ"
ヽ -一''''''"~~｀`'ー--､ / i
ヽ ＿＿＿＿(⌒)(⌒)⌒) ) （＿＿＿＿___ﾉ
＿＿＿_
／ ノ ヽ、＼ _＿
. .／ .（○） （○）'(_）( ﾞヽ ど・・・どうしたんですかお！？
／ u （__人__） |.( .',
| u `ー'´ . |.( ..ﾄ-a‐-a,
＼ _（_）(.__.ﾉ 'a,,
ノ ￣／ "'a,
／´ .／ ._/「i＿＿「i .ﾉ
| ｌ i / Ｙ"
ヽ -一''''''"~~｀`'ー--､ / i
ヽ ＿＿＿＿(⌒)(⌒)⌒) ) （＿＿＿＿___ﾉ
201 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:08:48 ID:QGRDw.jU
＿＿＿_
／ ノ ヽ、＼_＿
. .／ .（○） （○）'(_）( ﾞヽ ＜ この大うそつきめ！
／ u （__人__） |.( .', 来ちゃった！来ちゃったんだよ！
| `ー'´ ._.. .|.( ..ﾄ-a‐-a, 君の親父さんが召集令状もってきたんだよ！
＼ _（_）(.__.ﾉ 'a,, どうするんだ君は？
ノ ￣／ "'a,
／´ .／ ._/「i＿＿「i .ﾉ
| ｌ i / Ｙ"
ヽ -一''''''"~~｀`'ー--､ / i
ヽ ＿＿＿＿(⌒)(⌒)⌒) ) （＿＿＿＿___ﾉ
＿＿＿_
／─ ─＼ _＿
. .／ .（○） （○）'(_）( ﾞヽ えええええええ！？
／ u （（__人__） |.( .', ど・・・どうするんだっていわれても・・・
| u |!!il|!|!l| |.( ..ﾄ-a‐-a,
＼ |ｪｪｪｪ| _（_）(.__.ﾉ 'a,,
ノ ￣／ "'a,
／´ .／ ._/「i＿＿「i .ﾉ
| ｌ i / Ｙ"
ヽ -一''''''"~~｀`'ー--､ / i
ヽ ＿＿＿＿(⌒)(⌒)⌒) ) （＿＿＿＿___ﾉ
202 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:09:22 ID:QGRDw.jU
～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～
． … ．
：＿＿＿_：
：／_ノ ー､＼：
：／（ ●） （●）｡ ＼： やる夫みたいな身体の小さい男が
：／:::::: r（__人__） ､ :::::＼： 兵隊にとられるようでは、
：| { l／⌒ヽ |： 日本もおしまいだお。 ／￣＼
：＼ ／ ／ ／： | |
＼＿／
|
／ ￣ ￣ ＼
／ ＼ ／ ＼
それも、そうだな。 ／ ⌒ ⌒ ＼
| （__人__） |
＼ ｀ ⌒´ ／
／￣￣￣￣￣￣￣ ＼
～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～
そんな事を言った小男に一週間で召集令状がきたのだ。
203 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:09:58 ID:QGRDw.jU
＿＿＿_
／ ＼
／ ＼
／ ＼ わかりました・・・支局長。
| ＼ ,＿ |
/ ｕ ∩ノ ⊃―）／
( ＼ ／ ＿ノ | |
.＼ “ ／＿＿| |
＼ ／＿＿＿ ／
＿＿＿_
／ ＼ ／＼ _＿
. .／ .（●） （●）'(_）( ﾞヽ 入隊が、九月三十日。
／ u （__人__） |.( .', 市役所集合が前日ですね！
| u |!!il!| . |.( ..ﾄ-a‐-a, 集合の前日まで全力でやりますお！
＼ `ー' _（_）(.__.ﾉ 'a,, 処分はその後にしてくださいお！
ノ ￣／ "'a,
／´ .／ ._/「i＿＿「i .ﾉ
| ｌ i / Ｙ"
ヽ -一''''''"~~｀`'ー--､ / i
ヽ ＿＿＿＿(⌒)(⌒)⌒) ) （＿＿＿＿___ﾉ
204 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:10:28 ID:QGRDw.jU
＿＿＿_
／ ＼ ／＼ _＿
. .／ .（●） （●）'(_）( ﾞヽ＜なにぃ？処分だと！？
／ （__人__） |.( .',
| |!!il!| . |.( ..ﾄ-a‐-a,
はい！僕が言ったことですから ＼ . `ー' _（_）(.__.ﾉ 'a,,
僕が責任をとります！ ノ ￣／ "'a,
／´ .／ ._/「i＿＿「i .ﾉ
| ｌ i / Ｙ"
ヽ -一''''''"~~｀`'ー--､ / i
ヽ ＿＿＿＿(⌒)(⌒)⌒) ) （＿＿＿＿___ﾉ
＿＿＿_
／ ＼ ／＼ _＿
.／ .（●） （ー）'(_）( ﾞヽ＜ちょっと待ってろ。相談してくる。
／ u （__人__） |.( .',
（う・・・ダメかお・・・） | `ー' . |.( ..ﾄ-a‐-a,
＼ . _（_）(.__.ﾉ 'a,,
ノ ￣／ "'a,
／´ .／ ._/「i＿＿「i .ﾉ
| ｌ i / Ｙ"
ヽ -一''''''"~~｀`'ー--､ / i
ヽ ＿＿＿＿(⌒)(⌒)⌒) ) （＿＿＿＿___ﾉ
205 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:11:09 ID:QGRDw.jU
＿＿＿_
／ ＼ ／＼ _＿
ハイ！ .／ .（●） （●）'(_）( ﾞヽ＜分かった、今更どうしようもあるまい。
／ u （__人__） |.( .', 前日まで全力でやってみろ！
| |!!il!| . |.( ..ﾄ-a‐-a, 上には言っておく！
＼ . `ー' _（_）(.__.ﾉ 'a,,
ノ ￣／ "'a,
／´ .／ ._/「i＿＿「i .ﾉ
| ｌ i / Ｙ"
ヽ -一''''''"~~｀`'ー--､ / i
ヽ ＿＿＿＿(⌒)(⌒)⌒) ) （＿＿＿＿___ﾉ
それから約一ヵ月半、必死に働いた。
そして、九月二十九日の午前八時に静岡市役所前に集合した。
206 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:11:32 ID:QGRDw.jU
／￣＼
| |
＼＿／
|
l^ヽ /^l ／ ￣ ￣ ＼
ヽ ｀_/ / .／ ＼ ／ ＼ 君はまったくよくやってくれた！
r'ヽ ヽ ／ ⌒ ⌒ ＼ 後の事は心配しないで行ってこい！
ゝ、 r'ヽi| （__人__） |
`ヽｰ､ノ ＼ ｀ ⌒´ ／
そういって、支社長は僕の手をぎゅうぎゅうと握り、見送ってくれた。
207 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:12:05 ID:QGRDw.jU
-----------------------------------------------------------------------
昭和十四年九月三十日、僕は六百人の戦友たちと一緒に、
名古屋の輜重兵連隊に入隊した。
輜重兵、と言っても要するに特務兵であり、
"輜重輸卒が兵隊ならば、チョウチョトンボも鳥のうち"
っと言われた兵科だった。
（※・・・輜重兵：水食料・武器弾薬・各種資材など様々な物を前線に輸送する部隊
特務兵：短期育成の即戦力。その昔は万年二等兵扱いだった。）
-----------------------------------------------------------------------
208 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:12:43 ID:QGRDw.jU
根がバカ正直な僕は大いに頑張り、
ﾉ Ｌ＿＿＿_
⌒ ＼ ／ ＼
／ （○） （○）＼
／ （__人__） ＼
| |::::::| |
＼ l;;;;;;l ／l!| !
／ `ｰ' ＼ |i
／ ヽ !l ヽi
（ 丶- 、 しＥ |そ ドンッ！！
`ー､＿ﾉ ∑ l､Ｅ ﾉ <
ﾚY^Ｖ^ヽｌ
209 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:13:04 ID:QGRDw.jU
同期の中でも一位の成績を収めた。
＿＿＿
／ ＼ ｷﾘｯ
／ ＼ , , ／＼
／ （●） （●） ＼
| （__人__） |
＼ ` ⌒ ´ ,／
. /⌒～"￣,￣￣〆⌒,ﾆつ
| ,＿_＿ﾞ＿__､rヾｲｿ⊃
| ｀l￣
. | |
210 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:13:27 ID:QGRDw.jU
そして、教育が一ヶ月たった後、
二泊三日の外泊を終えその日の二十四時に、
教育召集が解除されるはずだった。
ｎ
l^l.| | /）
| U ﾚ'/／)
＿＿＿ ﾉ ／
／ ⌒ ⌒＼ ｒニ |
／ （⌒） （⌒）＼ ヽ /
／ ///（__人__）///＼ / ` /
| `Y⌒y'´ | ／
＼. ﾞー ′ ,／ ／
/⌒ヽ ー‐ ｨ ／
/ rｰ'ゝ ／
/,ﾉヾ ,> ｲ
| ヽ〆 |
211 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:14:17 ID:QGRDw.jU
だが、現実はそんなに甘くはなかった。
外泊から帰ると、下士官や助教の態度が一変していた。
,.-―-- .,_ _
,----‐ '´ ｀´ ｀ヽ
! ＼
i ヽ
／ ,.-.､r.､ ',
r'´ ,. '" ｀''‐.､ ,.､ l
ヽ / ノiヾ´ ヽ ',
'; 'ri ,.-- ､,,＿ ´ ! l' i i
/ r-､ {. -t;;ｪ-"ヽ ,.-_--､! / お前たちは、たった一ヶ月の教育ではあったが、
ヽ i "i i l |. 'ｰ'` .i ﾉ 今までにない最高の成績をおさめ、
ヽ ', r' i | i l.i 兎にも角にも既教育の兵隊となった。
',. ヾｰl l ,ゝ .l,'
ヽ､ `!ヽ ! ＿_ ;' これからはみだりに殴りはしない。
｀! ヾ ,,,,, ｀ /
,.-_､| '; ＼ /
! ｀''ｰ- _! ｀' ､ /
! | n'i ｀ー‐r‐ 'ヽ
. l ! !i ! | !ni
＿＿＿_
／ ＼
／ ─ ─＼
／ （●） （●） ＼ ハッ！ありがとうございます！
| （__人__） |
＼ ｀ ⌒´ ,／
ノ ー‐ ＼
212 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:14:41 ID:QGRDw.jU
・・・しかし、この後がいけなかった。
, -ー-､､,,,
,r'´.:.::::::::::::::.:::.:.｀丶､
ﾉ.:.:.:::::::::::::::::::.:.:.:::::::.:.:.｀`ヽ
ノ.:.:::::::::::::::::.:.:.::::::::::::::.:.:.:::::.:.｀ヽ
｛.:.:::::::::.:.::.:.:.:..,r'´￣`ヽ.:.:::::::::::.:..:.ヽ
ﾉ.:.:::/`ヽミ彡' ﾞ;.:.:.:.:.::.:::.:.:.:i
/.:.:.:./ (( i;{ `ヽ_ ,. -‐ ぐ.:.:.:;.:;:.:;:;:;｝
ヾ.:.:.:} ＿ヽ ,.∠ｪｧ‐, ヽ.:.:.:.::;;;;;;{
｝.:｛ ´rtｧヽ ´ ′ {.:.:ハ.:.:.:( さて、前から噂があったようだが、
｀ヾ'; ¨/ ｝.:lﾊ !.:.:..｝ 本日二十四時、お前らは召集解除となるが、
i く .., l.:/ ﾉ.:ｼ′ 翌日の零時に臨時召集される。
', __ ﾘ /.::ｼ′
ﾞ､ -ー'｀ / ｀Y′ その瞬間、営門を出たいものは
ﾞ､ ´ ／/ i 回れ右の演習をしてもよろしい。
ヽ ,. ´ ./ |
｀ー＝く___=＝＝〒ﾆﾕ_ 以上、終わりっ！
i ___ |.:.::::::::::.:lj l.:.:l |
|___」 __」.:.:.:::::.:.:lj l｛.:l |
____ ノ.:.::::::::::::::::::::::::::::.:.LLL_.｀ヽ､
¨¨´.:.:.::::::::::::::::::::::::::::::::::::.:.:.::..`ヽLL.:.::::.`ヽ､
¨¨´ ￣￣ ￣￣ ｀ヽ､.:.:::::::::::::.l l |.:.::::::::::::.:.｀
＿＿＿_
／ ＼
／ ─ ─＼
／ （○） （○） ＼ （ちょこちょこ聞いてた噂は本当だったのかお。）
| （__人__） |
＼ ｀ ⌒´ ,／
ノ ー‐ ＼
213 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:16:12 ID:QGRDw.jU
そして、その後、皆が宿舎に戻り、手紙を書いたり、
被服のつくろいを行ったりしはじめた。
そして、同期の一人が大声で言い出した。
,.⌒ヽ γ⌒ ヽ
〈● ﾉ＼ ／＼ ●〉
ヽ彡' ヽ / ヾ_ノ よし！俺は出るぞ！
） Y （
／γ⌒ ⌒ヽ＼ 二十三時五十九分に営門のところへ行って、
/ | | ヽ 回れ右をやるぞ！
| ヽ＿＿人＿＿ノ |
＼ `ー'´ ／
214 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:16:55 ID:QGRDw.jU
,.⌒ヽ γ⌒ヽ
〈 ●ﾉ＼ 人 ● 〉
ヽ彡' ヽ / ヾ__ノ
） Y （
／γ⌒ ⌒ヽ＼ おい、やる夫！貴様は、補充兵の代表だ。
/ | | ヽ キサマ！営門で号令掛けろ！
| ヽ＿＿人＿_ノ |
＼ `ー'´ ／
. /⌒～"￣ ￣,￣￣〆⌒,ﾆつ
| ＿＿＿＿ﾞ＿__､rヾｲｿ⊃
| ｀|￣
. | |
＿＿＿_
..／ ＼ ／ ＼
／ （○） （○）＼
／ （__人__） ＼ おう！わかったお！
| |::::::| | 「回れ右！前へ進め！」
＼ l;;;;;;l ／l!| !
／ `ｰ' ＼ |i
／ ヽ !l ヽi
（ 丶- 、 しＥ |そ ドンッ！！
`ー､＿ﾉ ∑ l､Ｅ ﾉ <
ﾚY^Ｖ^ヽｌ
それを聞いた戦友達は、みな一斉に大声で笑い出したのだ・・・
=========================================================================
第一部 第二章 遠く遥かなる日
～好事魔おおくして～ 終
=========================================================================
215 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:17:24 ID:QGRDw.jU
-----------------------------------------------------------------------
ここでちょっと補足説明です。
. -‐::::::‐- .
...:::´＞-‐=＝ミ::::::::｀:....、
〃.::／..::::::::::::／.::.｀ヽ＞‐-ミ
〃{::::/.::::::::::::::::/.:::::::::.∨.::::::::::::::.＼_
{::::i::/:/.::::/.::::/:::::::; ﾍ:::}:::イ:::::::::::::::ハ
〈:::::/::'.::::/.::::/.::::〃 ｀`'^i::::::::|:::::|:::::::.
《:∨{::｣:::::|i_::｣::-{={、 |:::::八:八:::::::
/∧∨八｢＾,二二`ヾ /.::ｲ:::/.:::::}::::i|
. //.::::Ｙ^!::::|Yん笏＾｀ '⌒ﾒイ.:::::/.:/ﾘ
//.::::::人ｊ:::::| ,ﾋ::ｒ/ ,_‐ く::::/.:// どう考えてもこのスレは男ばっかで
. //.:::::::::::从::::| ￣ , ⌒｀ヽ .ｲУ彡' ヒロイン分が足りないっという事で、
//.::::::::ｉ:::::::::ヽ:|、 ｒ‐‐ 、 /.:::/´ >>1が急遽、説明役の導入はじめました。
. //.::::::::/|:::::::::::::ゝ＼ _, ｖ'ｉＹ .ｨ:::::/|
//.:::::::://|::::::::::::::i У/// ,斗:≦彡ｲ::::|
,. -‐ｒ‐.ｒ‐x|::::::::::::::|,／／ " .ｲ i:川::::::::::l:::i:| >>1は、牟田口閣下か辻正信参謀の
. /^ヽ: l:::::!: : |::::::::::／ ´ ∠!ﾆ,ﾍﾊ::|::::::::::!:从 下にでも配属されればいいのに。
. ! ヽ:::::!: : |::::／ ニ.イ{ ヽ＼:::::::::::::{::iト.、
/| ヽ:::::!: :.／ ー'-‐ｒ‐- ` ＜:::∨/∧
:::| 〉;::ｒ/ ,ィ:｢￣￣ ￣｀ヽ ヽ / {
216 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:18:17 ID:QGRDw.jU
／ ,.‐-y'´'ヽ/ ヽ-ﾞ-ヘ
/ / , / ∧∧ ', ',ヽ
,' / l l l ,'‐-' | | | l 'ﾊ
∧' ,' l | ,ﾘ _ﾘ ｌ l l l l
ﾄ､ 'l l｀ニ´ ｀￣-r'___「
/ ヽl￣'l ==== === ,'´ | さて、教育召集と臨時召集の違いですが、
/ ,∧l | { l|
,' / ', lu＿ ,､ _,.ノ ,'| 皆様が良く知っている、「赤紙」。これが臨時召集だそうです。
,' / ', .lﾍ ',三|{=', | 'l | 「お前、すぐに来い。」っといって、すぐに兵隊になります。
,' ,' ', ', ﾍ ', |,l ,}| ,'.l |
| l l /ヽ | ﾍlﾚ'',´ l-‐' l | そして、この鈴木英次さんに届いたのは、「白紙」。
|l L._ﾊ_ }-‐',=l<,ﾍ.ヽ{ l l l 「兵隊の教育させるから、ちょっと来い。」っといって、
｀ヽ.| ｀'､_ ｀ ´ ',´￣ ｀ﾚ' 一ヶ月以上の教育期間を持って、兵隊になります。
',ﾞT'''''''T'7´ （※・・・間違っているかも知れません。)
',ﾉ. ﾚ
_,. -ー‐-_- ､ _
, '´ ／｀'‐-'´ ヽ,'´ ｀ヽ-‐ヽ
/ ／ / / , , ,ﾊ
/ / / l ﾄ､,-l | l l ﾊ
| __,.| | l | | l | | | 「白紙」。つまり、教育召集は、教育期間が過ぎれば、
彡ニ| l|ト.､__|__| _L斗 | | | "場合によっては除隊できるかも"と、いう
{ ﾊ＿_|_______,´ _____,ﾞT‐ l | 淡い希望もあったようです。
l‐- ｒ'| | TiiTT ｀￣├‐「´´
| 'ﾍｌ | |ll| l l | 少なくとも鈴木英次さんは、
. l , | |U ,...___ ﾉ | そんな楽な気持ちであったようです。
.| ,' | 「ヽ -｀ﾆ´,-r‐T´. |
| ,' | | ｀ ´ , ', | |
217 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:21:16 ID:QGRDw.jU
,.-,=ﾆ_´,.-'´｀ヽ,-'ヽ、_,..、
,-´／ ｀ ヽ
／ / / ,、 ,、 l ヽ 実際にはそんな事は無く、次の発言のように、
/ / / / / ｀´ l l ﾊ
l / | | |_, ﾘ | | 「本日二十四時、お前らは召集解除となるが、
|＿_/ | | '''''''T´ ｀ﾒ､_ | | 翌日の零時に臨時召集される。」
〈、､ ﾘ └r‐'──' '└-ﾊ__ _| ・・・つまり、同時刻ですね。
〈 ｀ヽﾞT￢' | ====== ==== | _ﾆ,」
|｀ヽ l´| | |´l | あくまで「教育召集」で集めているので、
. | ∧.| | γ'''￢‐-､ ', l| 期間中に兵隊にする場合、教育召集を一旦解除し、
| / l | ', ﾉ ﾉ .l| その場で「臨時召集」を行うことで、兵隊化したそうです。
| / | |'､‐-ﾞ､.__, ィ､. -‐イ l|
. | / l | ｀ヽ ﾉ ﾊ | ﾘ|
.|/ | ﾍ l ｀ , ', | ﾘ |
l' | |/ ＼ l l ',l ノ l|
' | / /｀ l l'´ l|
,.. ､ ,. ､
,γ⌒ｰイ ヾ _ ﾞヾヽ、
, './ / //｀ヽ.' ﾍ ﾊ ヽヽ
.／ / / ,' l |｀ ｀ﾞ´´ l | ', ', ',
/ ,',' ,斗ｷト ,ﾆ|、', ',. ', とんでもなく強引な方法ですが、
／| l l | _| ﾘ ﾉL_l l l', 慣例化しているみたいで、入営直後に
´ ,ﾘ. ',',_,..- ' ´ T‐┘ﾘ 助教から上の流れを説明されたりしています。
彡|,.ﾍ〉.| ==＝≡ ≡== | |｀
_| | ', |
‐'´' |. | XXX XX, | まぁこんなところで、
ﾍ| | ｀(_｀ﾁ ﾉ. | それでは本編の続きをどうぞ。
| | , ｨ' |
| |｀ ´ | |
-----------------------------------------------------------------------
218 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:22:48 ID:QGRDw.jU
=========================================================================
第一部 第二章 遠く遥かなる日
～取り残された残留兵～
=========================================================================
その日の夜、二十一時の点呼のときに助教から命令が下った。
, --- ､
,. -一'´ ｀ヽ、_
/ ｀＼
r'´ ヽ
ﾉ ,.ヘ、 ,. ‐'＾ヽ､ l
（. / /'l,ｨi ´ ゝ |
ﾉ ,' |l |l ＼､ ヽ ヽ
（ | l' ヽ、 `'ｰ ＿（ }
ヽ. |´`==｡､ ー=＝'｡､ } ,r‐､ ﾉ 陸軍二等兵、岩木、同じく村山、
）|. } { {,r‐.| 〈 同じく佐藤、同じく鈴木、同じく田中、
. ヽ| ﾉ } } ;,ﾘ ﾉ
. | !._ ﾙ'_ノ <´
ｌ. ｀＿＿ |_,r'´ 以上、右の者、師三XX命令XX号により
l ヽﾆﾆ二) | 臨時召集を命ず。
ヽ ー ／ |
ヽ. _, ‐'´ ＿|、 （※・・・原文ママ）
｢l`T ｢￣￣￣ |
|.||￣| │
219 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:23:56 ID:QGRDw.jU
そうやって、全員の名前を読み上げると、
さらに配属命令を下された。
順序は最初と一緒であった。
, -ー-､､,,,
,r'´.:.::::::::::::::.:::.:.｀丶､
ﾉ.:.:.:::::::::::::::::::.:.:.:::::::.:.:.｀`ヽ
ノ.:.:::::::::::::::::.:.:.::::::::::::::.:.:.:::::.:.｀ヽ
｛.:.:::::::::.:.::.:.:.:..,r'´￣`ヽ.:.:::::::::::.:..:.ヽ
ﾉ.:.:::/`ヽミ彡' ﾞ;.:.:.:.:.::.:::.:.:.:i
/.:.:.:./ (( i;{ `ヽ_ ,. -‐ ぐ.:.:.:;.:;:.:;:;:;｝
ヾ.:.:.:} ＿ヽ ,.∠ｪｧ‐, ヽ.:.:.:.::;;;;;;{ 陸軍二等兵、岩木・・・
｝.:｛ ´rtｧヽ ´ ′ {.:.:ハ.:.:.:(
｀ヾ'; ¨/ ｝.:lﾊ !.:.:..｝
i く .., l.:/ ﾉ.:ｼ′
', __ ﾘ /.::ｼ′
ﾞ､ -ー'｀ / ｀Y′
ﾞ､ ´ ／/ i
ヽ ,. ´ ./ |
｀ー＝く___=＝＝〒ﾆﾕ_
i ___ |.:.::::::::::.:lj l.:.:l |
|___」 __」.:.:.:::::.:.:lj l｛.:l |
____ ノ.:.::::::::::::::::::::::::::::.:.LLL_.｀ヽ､
¨¨´.:.:.::::::::::::::::::::::::::::::::::::.:.:.::..`ヽLL.:.::::.`ヽ､
¨¨´ ￣￣ ￣￣ ｀ヽ､.:.:::::::::::::.l l |.:.::::::::::::.:.｀
／￣￣＼
／ _ノ メ ＼
| （ ●）（●）
. | （__人__） ハイッ！
| ｀ ⌒´ﾉ
. | }
. ヽ }
ヽ ノ
.> <
| |
| |
220 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:25:14 ID:QGRDw.jU
＿＿＿_
／ ＼ 同じく、村山・・・＞
／ ─ ― ハイッ！＞
／ （ ●） （●）' 同じく、佐藤・・・＞
| （__人__） | ハイッ！＞
＼ ｀ ⌒´ ／ （さて、次はやる夫だお。
／ ー‐ ' 元気よくだお。元気よく、ハイッだお。）
＿＿＿_
／ ＼
／ ─ ― 同じく、田中・・・＞
／ （ ○） （○）' ハイッ！＞
| （__人__） | （・・・え？）
＼ ｀ ⌒´ ／
／ ー‐ '
221 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:25:55 ID:QGRDw.jU
,.-―-- .,_ _
,----‐ '´ ｀´ ｀ヽ
! ＼
i ヽ
／ ,.-.､r.､ ',
r'´ ,. '" ｀''‐.､ ,.､ l
ヽ / ノiヾ´ ヽ ',
'; 'ri ,.-- ､,,＿ ´ ! l' i i
/ r-､ {. -t;;ｪ-"ヽ ,.-_--､! /
ヽ i "i i l |. 'ｰ'` .i ﾉ 以上、昭和十四年十一月一日付け
ヽ ', r' i | i l.i XX命令第XX号を持って、
',. ヾｰl l ,ゝ .l,' 南支派遣軍第三十八師団、
ヽ､ `!ヽ ! ＿_ ;' 第一野戦病院に転属を命ず。
｀! ヾ ,,,,, ｀ /
,.-_､| '; ＼ /
! ｀''ｰ- _! ｀' ､ /
! | n'i ｀ー‐r‐ 'ヽ
. l ! !i ! | !ni
とうとう、僕の名前は呼ばれなかったのだ・・・
222 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:26:54 ID:QGRDw.jU
僕は、呼ばれなかったことに混乱しながら、
助教殿に確認をした。
＿＿＿_
／ノ ヽ､＼ r ⌒j
oﾟ（ ○）) (（○）ﾟo / /
／ （__人__） ＼/ / ／ ）
| |i|||||||i| / / ／ ／ 助教どのぉぉ！
＼ |ｪｪｪｪ| / '` ´ ／
r´ (⌒'ー―- イ′ ´廴
/ ＞ 、 ヽ _ ￣￣￣)
/ -､ } ( ￣¨´
/ ヽ._ __ ＼
｀ --‐'´ ｀ﾞ' 、_.)
＿＿_＿_
／ ノ' ＾ヽ_＼
. ﾟ ／ ｡;'⌒） （⌒ヽ＼°
. ／ o'ﾟ~（___人___）~o°＼゜ 自分には、命令は出ないのでありますか！？
. | ﾟ |/⌒ヽ| ﾟ | 自分は・・・自分は・・・
＼ ｀ ⌒ ´ ／
／ ＼
223 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:27:46 ID:QGRDw.jU
走るときも、
.ノ ､ 、
● ●） l
- － 、 （人__） |
● ●） ヽ ヽ ノ
.. （人__） ノ r へ、
r へ、 G| _/^○
GL _ィ｀○ / /､__ノ
〆 ／｀ー' (___/
￣´
殴られるときも、
＿＿
.-´ ｀｀ヽ
／ ヽー ｀ヽ
/ ノ （Ｏ ）ノ￣￣｀ヽ、―ニ
/ （●） __）⌒/ ´｀ヽ _ 三,:三ー三,:
| ::⌒（__ノ/ ノヽ--/￣ , ｀ ｀￣￣￣
。ヽ 。 ）( }. ...| /!
ヽｏ （__ン }、ー‐し'ゝL _
人 ー jｒ--‐‐'´} ;ーー------
/ ヾ---‐'ーｒ‐'"＝＝
,. ＿＿＿
' 。ﾟ ／ ￣￣＼＼
・ 。；ﾟ／ l l
ﾟ。ﾟ / (（○）). | |
ヾ｡ ・。, ./ （（〇）） ､ ＜＜ ＿＿＿＿＿＿
ﾐ 。∴>ゝ、 ’ ／／三￣￣￣￣三/￣ / 三￣￣￣
彡 ＼￣＼＿〃三 l | ｜三
｡ ・：｝}ヽ￣￣￣|l三 / ｝三 三ヽ＿_ヽ 三 ＿＿＿
＿＼＿＿ ヽ＼__（___,ノ ／ ／￣ ニニニ──
／ ￣￣ ＼､三ノ ノ
何をするにもまったく一緒に、汗とほこりにまみれてきた戦友たちである。
たもとをわかつこと程、辛いことはなかった。
224 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:28:24 ID:QGRDw.jU
／ ￣￣￣ ＼：
：:／ ::::＼：
;： | :::::::| ：
＼.....::::::::: ::::, ／ 自分はどうしたらよくありますか？
r " .r ／ﾟ。 皆と一緒に行きたくあります・・・
：|::| ::::| :::i
：|::|: .::::| :::|：
：`.|: .::::| :::|_：
：.,': .::（ :::}：
：i `.-‐"
しかし、結局僕には転属命令が降りなかったのだ・・・
=========================================================================
第一部 第二章 遠く遥かなる日
～取り残された残留兵～ 終
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225 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:29:40 ID:QGRDw.jU
=========================================================================
第一部 第二章 遠く遥かなる日
～上官と交わした約束～
=========================================================================
僕は、六百人の中で、たった一人原隊に残留することとなった。
戦友達に転属命令が出た翌日、連隊本部勤務を命ぜられ、
動員室でガリ版を切ることとなった。
＿＿＿＿
／ ＼
／ ― ― .＼
| （●） （●） |
＼ （__人__） ／
/ ｀ ⌒´ ＼
＿/((┃))＿＿＿＿_i |＿
／ /ヽ,,⌒)￣￣￣￣ （,,ノ ＼
／ /＿＿＿＿＿＿＿＿＿ヽ ＼
| ..|
| ..|
| ..|
星一つの残留兵である。
おかしな古兵もあったもあったものだ。
226 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:30:22 ID:QGRDw.jU
そして二日後、戦友達は出征の為に営庭に集まった。
新しく入営した次の補充兵達も加わり、全将兵が歓送のため、整列した。
,.-―-- .,_ _
,----‐ '´ ｀´ ｀ヽ
! ＼
i ヽ
／ ,.-.､r.､ ',
r'´ ,. '" ｀''‐.､ ,.､ l
ヽ / ノiヾ´ ヽ ',
'; 'ri ,.-- ､,,＿ ´ ! l' i i
/ r-､ {. -t;;ｪ-"ヽ ,.-_--､! /
ヽ i "i i l |. 'ｰ'` .i ﾉ
ヽ ', r' i | i l.i おい、やる夫。
',. ヾｰl l ,ゝ .l,' キサマ、戦友達と別れて来い。
ヽ､ `!ヽ ! ＿_ ;'
｀! ヾ ,,,,, ｀ /
,.-_､| '; ＼ /
! ｀''ｰ- _! ｀' ､ /
! | n'i ｀ー‐r‐ 'ヽ
. l ! !i ! | !ni
＿＿＿_
／ ＼
／ ─ ― ヽ
／ （ ●） （ ●）' ハイッ！
| （__人__） | ありがとうございます。
＼ ｀ ⌒´ ,／
／ ー‐ ヽ
助教の心づかいがありがたかった。
227 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:31:06 ID:QGRDw.jU
僕は、走って戦友達のところへ向かった。
別れる戦友達と、最後に約束をしたかったのだ。
,r'ﾆﾆﾆﾞヽ、
（"´￣￣ヾ）） ＿＿＿
| rｰ< ﾉと)／ ノ ′＾ヽ＼
| ｀ﾌ"ﾉ / （●） （●)＼
ヽ、 ' （ ｌ :::⌒（__人__）⌒ﾞ::l 俺も後から行く、
＼ ＼| `i-┬y'´ | 後から行くお！
＼ ＼ ｀'ー' ／
＼ ヽ ー─ィヽ
228 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:31:29 ID:QGRDw.jU
・・・岩木、
／￣￣＼
／ _ノ メ ＼
| （ ●）（●）
. | （__人__） おう、必ず来いよ！
| ｀ ⌒´ﾉ
. | }
. ヽ }
ヽ ノ
.> <
| |
| |
229 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:31:41 ID:QGRDw.jU
・・・村山、
,.⌒ヽ γ⌒ ヽ
〈⌒ ﾉ＼ ／＼ ⌒〉
ヽ彡' ヽ / ヾ_ノ
） Y （
／γ⌒ ⌒ヽ＼ おお！待ってるぞ。
/ | | ヽ
| ヽ＿＿人＿＿ノ |
＼ `ー'´ ／
ノ ＼
230 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:32:10 ID:QGRDw.jU
・・・安藤、
＿＿＿
／ ＼
／ ⌒ ⌒ ＼
／ （⌒） （⌒） ＼ 元気で来てくださいね。
| ___´___ |
ヽ、 `ー '´ ／
ノ ＼
231 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:32:46 ID:QGRDw.jU
＿＿＿_
／_ノ ヽ､_ ＼
oﾟ(（●）) (（●）)ﾟo
／::::::⌒（__人__）⌒::::::＼ 行く。必ず行く！
| |r┬-| | だから、お前らも俺が行くまで
＼ ｀ー'´ ／ 元気に生きているんだお！
／ ー‐ ヽ
戦友達へそんな言葉が自然に出るのだった。
232 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:33:32 ID:QGRDw.jU
そして、彼らはラッパ隊を先頭に、歩調を高くとって、
営門を出て行った。
＿＿＿＿
／ ＼
,---､ ノ ヽ､＼
.l ｌoﾟ（ ○）) (（○）ﾟo .|
| | （__人__） | | バンザァァァイ！バンザァァァイ！
.| | |!!il|!|!l| ／ /
ゝ |ｪｪｪｪ| ノ みんな！頑張るんだお！
＼ ／ 必ず生きているんだお！
/ |
/ |
見送りながら、名状しがたい混乱に僕は陥っていた。
233 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:34:03 ID:QGRDw.jU
最後尾の兵が営門から去った後、僕はただ呆然としていた。
＿＿＿_
／ ＼
／ ノ ヽ､
／ （ ○） （○）' ああ・・・戦友達は
| （__人__） | 行ってしまったお。
＼ ｀ ⌒´ ／
／ ー‐ ＼
234 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:34:21 ID:QGRDw.jU
:.... .... ..:.... .... ..... .... .. .:.... .... .. ..... .... .. ..... ............. .. . ........ ......
:::::::::::::::::::: ..::::: ...＿＿＿:::::::::::::::::::: ..::::: . ..:::::::::::::::::::::::::::: ..::::: . ..::::
:::::: ..::::: . ..::::: ／::::::::: . ＼:::::::::::::::::::: ..::::: . ..::::::::::::::::::: ..::::: . ..::::::::
... ..........／:::::::::::: ＼.. .... .. ..... .... .......... .. . ........ ......
... .....／:::::::::::::::: ＼.... .. .:.... .... .............. .. . ........ ......
..... ..........|:::::::::::::::::: |.... .. ... .... .. ..... .... .. ..... ............. .
..... .......＼::::::: ／.... .. ........ .... ............. .. . ........ .....
... ..........>:::: < .... .. .:.. .... ..... ............. .. . ........ ......
... ........（ |:: / ）.... .. .:.... .... .. ......... .. . ........ ......
... ... .......`|::::::: /'.... .. ...... . .. ..... ............. .. . ........ ......
... ...... ....|:::::::::人 /::.. .... ....... .... .. ..... .... ......... .. . ........ ......
... ..........ヽ::::::ヽ,.Ｌ＿).... .. .:.... .... .. ..... .... .. ..... ............. .. . ........ ......
... ...... .... >__ノ三三.... .. .:.... .... .. ..... .... .. ..... ............. .. . ........ ......
.. ........ ..........三三三三.... .. .:.... .... .. ..... .... .. ..... ............. .. . ........ ......
. .. ... 三三三三三.... .. .:.... .... .. ..... .... .. ..... ............. .. . ........ ......
そして僕は、トボトボと連隊本部の建物に歩いて行った。
235 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:34:56 ID:QGRDw.jU
:.... .... ..:.... .... ..... .... .. .:.... .... .. ..... .... .. ..... ............. .. . ........ ......
:::::::::::::::::::: ..::::: ...＿＿＿:::::::::::::::::::: ..::::: . ..:::::::::::::::::::::::::::: ..::::: . ..::::
:::::: ..::::: . ..::::: ／::::::::: . ＼:::::::::::::::::::: ..::::: . ..::::::::::::::::::: ..::::: . ..::::::::
... ..........／:::::::::::: ｀ﾟ o:。.. .... .. ..... .... .......... .. . ........ ......
... .....／:::::::::::::::: ＼.... .. .:.... .... .............. .. . ........ ......
..... ..........|:::::::::::::::::: |.... .. ... .... .. ..... .... .. ..... ............. .
..... .......＼::::::: ／...ああ・・・名古屋城の天守閣が滲んで見えるお。
... ..........>:::: < .... .これ以上、泣いてはいけない・・・いけないんだお。
... ........（ |:: / ）.... .. .:.... .... .. ......... .. . ........ ......
... ... .......`|::::::: /'.... .. ...... . .. ..... ............. .. . ........ ......
... ...... ....|:::::::::人 /::.. .... ....... .... .. ..... .... ......... .. . ........ ......
... ..........ヽ::::::ヽ,.Ｌ＿).... .. .:.... .... .. ..... .... .. ..... ............. .. . ........ ......
... ...... .... >__ノ三三.... .. .:.... .... .. ..... .... .. ..... ............. .. . ........ ......
.. ........ ..........三三三三.... .. .:.... .... .. ..... .... .. ..... ............. .. . ........ ......
. .. ... 三三三三三.... .. .:.... .... .. ..... .... .. ..... ............. .. . ........ ......
無理して一番になるのではなかった・・・
僕はホゾを噛む思いだった。
236 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:35:34 ID:QGRDw.jU
その後、昭和十五年度動員計画書作成が終わった。
＿＿＿_
メ ,, -──- ､._＼
メ／ u ﾟ 。 ＼＼
／ ／ ＼ ／ ＼＼
! | u (（●）) (（●）) | よし。これで終わりだお！
＼＼ 。 （__人__） ／く<
ノ ﾒ/ ｀ ⌒´ ヽヽヾ さて、志願状を書くお。
＿/((┃))＿＿＿＿_i |＿
／ /ヽ,,⌒)￣￣￣￣ （,,ノ ＼
／ /＿＿＿＿＿＿＿＿＿ヽ ＼
| ..|
| ..|
| ..|
237 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:36:28 ID:QGRDw.jU
, -ー-､､,,,
,r'´.:.::::::::::::::.:::.:.｀丶､
ﾉ.:.:.:::::::::::::::::::.:.:.:::::::.:.:.｀`ヽ
ノ.:.:::::::::::::::::.:.:.::::::::::::::.:.:.:::::.:.｀ヽ
｛.:.:::::::::.:.::.:.:.:..,r'´￣`ヽ.:.:::::::::::.:..:.ヽ
ﾉ.:.:::/`ヽミ彡' ﾞ;.:.:.:.:.::.:::.:.:.:i
/.:.:.:./ (( i;{ `ヽ_ ,. -‐ ぐ.:.:.:;.:;:.:;:;:;｝
ヾ.:.:.:} ＿ヽ ,.∠ｪｧ‐, ヽ.:.:.:.::;;;;;;{ ん？志願か？
｝.:｛ ´rtｧヽ ´ ′ {.:.:ハ.:.:.:( キサマ何処へ行きたいんだ？
｀ヾ'; ¨/ ｝.:lﾊ !.:.:..｝ ・・・何、広東だと？
i く .., l.:/ ﾉ.:ｼ′
', __ ﾘ /.::ｼ′
ﾞ､ -ー'｀ / ｀Y′
ﾞ､ ´ ／/ i
ヽ ,. ´ ./ |
｀ー＝く___=＝＝〒ﾆﾕ_
i ___ |.:.::::::::::.:lj l.:.:l |
|___」 __」.:.:.:::::.:.:lj l｛.:l |
____ ノ.:.::::::::::::::::::::::::::::.:.LLL_.｀ヽ､
¨¨´.:.:.::::::::::::::::::::::::::::::::::::.:.:.::..`ヽLL.:.::::.`ヽ､
¨¨´ ￣￣ ￣￣ ｀ヽ､.:.:::::::::::::.l l |.:.::::::::::::.:.｀
238 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:36:42 ID:QGRDw.jU
僕は、志願して広東の野戦重砲第二連隊に行くこととなった。
＿＿＿_
／ ＼
／ ─ ― ヽ
／ （ ●） （ ●）' 是非ともお願いします！
| （__人__） |
＼ ｀ ⌒´ ,／
／ ー‐ ヽ
広東に行けば、別れた戦友と会えると思ったからだ。
239 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:37:18 ID:QGRDw.jU
∩＿
〈〈〈 ヽ
＿＿＿_ 〈⊃ }
／⌒ ⌒＼ | |
／（ ●） （●）＼ ! ! 戦闘に参加させてください！
／ :::::⌒（__人__）⌒:::::＼| l
| |r┬-| | ／
＼ ｀ ー'´ ／／
/ ＿＿ /
(＿＿＿） /
兵隊というものは、不思議なもので、
はじめは、やたらと戦闘に参加したくなるのだ。
それは僕も例外ではなかった。
240 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:37:43 ID:QGRDw.jU
しかし、与えられた役職は、
＿＿＿_
メ ,, -──- ､._＼
メ／ u ﾟ 。 ＼＼
／／ ／ ノ ヽ､ ＼＼
! | oﾟ(（●）) (（●）)ﾟo | また書類仕事だお・・・
＼＼ （__人__） ／く<
ノ ﾒ/ ｀ ⌒´ ヽヽヾ
＿/((┃))＿＿＿＿_i |＿
／ /ヽ,,⌒)￣￣￣￣ （,,ノ ＼
／ /＿＿＿＿＿＿＿＿＿ヽ ＼
| ..|
| ..|
| ..|
…功績室の事務屋だった。
241 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:38:40 ID:QGRDw.jU
そして、幸か不幸か、兵員過剰という奇現象にあい。
／￣￣￣＼
／ ＼
/ ─ ─ ヽ おい、やる夫。お前は六月に復員だ。 ＞
| （●） （●） |
＼ （__人__） __,／
／ ｀ ⌒´ ＼
＿/((┃))＿＿＿＿_＿i | ｷｭｯｷｭｯ
.. ／ /ヽ,,⌒) ￣￣￣￣￣（,,ノ ＼
／ /＿＿＿＿＿＿＿＿＿ヽ.. ＼
.￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
／￣￣￣＼
／ ─ ─
/ （●） （●） はい？
| （__人__） |
＼ ｀ ⌒´ ／
／ ＼ 何でも、兵員過剰だそうだ。
＿/((┃))＿＿＿＿_＿i | こっちはいつも人が足りんのにな。＞
.. ／ /ヽ,,⌒) ￣￣￣￣￣（,,ノ ＼
／ /＿＿＿＿＿＿＿＿＿ヽ.. ＼
.￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
242 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:39:38 ID:QGRDw.jU
その年の六月には、復員し召集解除となった。
そして僕は本土へ戻る復員船に乗るとき、内務班長、連隊本部の将兵に
よせばいいのに、こう約束したのだ。
-----------------------------------------------------------------
＿＿＿＿＿
／ ＼
／___, -一ｧ ＿＼
__,-‐￢ ￣---┘'７ ／ ＼
-‐ ''" ／ '´_ ／,ィ｀ヽ //´ ｀ヽ ＼
／ __ ,イ| ● l l ● ） ＼
_／ -' ／￣ )｀ _ノ ヽ_ _ノ |
,r ' ,-､＿___ , イ⌒' （ i ）'⌒"' |
/ ノ ' ＼ ｀ー ─'＾ー 一' ／
/ ＼ ー一 ／
／ ＼
「自分は新聞記者として、必ず前線に戻ってまいります」
-----------------------------------------------------------------
=========================================================================
第一部 第二章 遠く遥かなる日
～上官と交わした約束～ 終
=========================================================================
243 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:41:57 ID:QGRDw.jU
,' / ＼ |´ ', |
! / ト-─-＼| ─-.､!/
ﾚ ,.:'::| 代理´￣￣`ﾝ
／::::::::＼＞-──'‐'─＜. 〈ﾊ
/＞:::''"´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`'＜!
,..:::''"´::::::;;: -‐ ''"´￣￣￣￣ ` ､::::::::::::`::..､
〈::::::::::::::7´ / / ‐- /! / ＼:::::::::::::::':,
ヽ､＿,' ,' ./!ｧﾃ＜/| /! ‐､ ＼::::::::::::i
/ | |八__rﾘ `!／ |ｧt､ ,| , !::::::::/ 本日は、以上となります。
., ' ! ! '" 〈ｿﾊ/ ! ./ﾚ'-‐''´ 皆様ありがとうございました。
/ | | ' ﾞ !/ﾚﾍ.
,' ,' .八 ﾄ､ ` ー ／,! ＼
| / ,'. ＼.∨|` ､,__, イ /| ヽ.
ﾚ' ヽ! /＞-‐ハ|` ｰ-‐ v'ｰﾚ'´￣｀r--､ﾉ_,ﾊ_
）ｲ´ ＼ /ム」 /＞-─ ､こ
| ､ハ＼i |::::::＼.ア´ __, ＼
244 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:42:49 ID:QGRDw.jU
／／ ＼＼./／＼〉
/ ./ ,..::'"´l￣￣＼＞-─t
| | ／::::::::_;;」＞-代 理 -＜._>
|_/ /＞::''";;;::: -───-- ､;::::＼
,..::''´::ァ'"´ ＼:::::＼
〈:::::::／ / ./ /| | , .|ヽ;::::':,
ヽ7 .! !/ -!-‐'|/|. /| / |:::::::〉
/ .| | ｨｧ‐ﾃｒ‐､!／ /-／| ,ﾊ／
／ , | | ゝ‐ﾟ' 'ｧﾃｧ'/／イ いつも短くて申し訳ないと思っております。
/ /| , .! ! ''" , `' !'| | ／ 何とか表現力をつけて、
| ,' | /| | |＼ _ ﾞ,ﾊ| |'| もっと分かりやすくしたいと精進しますので、
|/! ／|ｧ'´￣', .ト､,＼.,＿,,. ,.イ| ! !.! 今後ともよろしくお願い致します。
|/rｧ'´￣`-､＼|＼＼＞'ｧ‐-､ ! .ﾚ'/
l7´￣￣｀ー|_/＼ ＼_|/ ´ミ{｀ヽ'
／ ｀!_」 r| ｒノ i. |
ヽｧ'7´￣|--､ ヽi´ ＼__,ｲｸ, ∨＼_
245 ：
名無しのやる夫だお：2011/05/08(日) 22:44:17 ID:IYurPe1U
乙でしたm(_ _)m
246 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:44:43 ID:QGRDw.jU
,' / ＼ |´ ', |
! / ト-─-＼| ─-.､!/
ﾚ ,.:'::| 代理´￣￣`ﾝ
／::::::::＼＞-──'‐'─＜. 〈ﾊ
/＞:::''"´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`'＜!
,..:::''"´::::::;;: -‐ ''"´￣￣￣￣ ` ､::::::::::::`::..､
〈::::::::::::::7´ / / ‐- /! / ＼:::::::::::::::':,
ヽ､＿,' ,' ./!ｧﾃ＜/| /! ‐､ ＼::::::::::::i また質問等ありましたら、
/ | |八__rﾘ `!／ |ｧt､ ,| , !::::::::/ お答えいたしますので、どしどしお願いします。
., ' ! ! '" 〈ｿﾊ/ ! ./ﾚ'-‐''´
/ | | ' ﾞ !/ﾚﾍ. ちなみに、次回投下予定日は、
,' ,' .八 ﾄ､ ` ー ／,! ＼ 五月二十八日 二十三時になりますので、
| / ,'. ＼.∨|` ､,__, イ /| ヽ. よろしくお願い致します。
ﾚ' ヽ! /＞-‐ハ|` ｰ-‐ v'ｰﾚ'´￣｀r--､ﾉ_,ﾊ_
）ｲ´ ＼ /ム」 /＞-─ ､こ それでは、皆様！また次回で！
| ､ハ＼i |::::::＼.ア´ __, ＼
247 ：
名無しのやる夫だお：2011/05/08(日) 22:45:58 ID:AvOsl3To
乙乙
予定は20日後か
248 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/08(日) 22:51:27 ID:QGRDw.jU
_ - '"⌒ヽノ⌒ヽ
ノ ー´⌒ヽ,.Y´⌒i }
,r＜_´| |￣ `7ｆｰ-,っ
／:ﾒ、 "'γメｧ'" ﾉｭ、
∠_ ＝'´"￣ ￣￣￣ "' -ﾊﾒ-、
ﾒ::-'"::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽノ
＜ﾇ:::::::::::::_ -―-ｧ:::: /i::ｧｬｰ:::::::::i
/ :::::::::::::ﾍ_ﾑ__ﾊ::: / |_ムｨ:::::::::l
/ ::::::::::|::メf:::::::::み/ ﾚ:::ﾊil:::::i:::| 「予定は決定にあらず」ですので、
ﾉ ::::＿人＿い::::ﾉ ! !ｧﾉ!ﾊ:::人! もしかしたら早まるかもしれないです。
( :::::::::｀Yfヽ、 ﾊ/:::::`､ 早まった場合は、またここで連絡いたします。
＼::i::::::::|::ヽﾊ､ ｒ― ｧ /::i::::::::::l
)'＼_i::lメ＼＞ｧ` _ -‐＜:::∧人ノ 「五月二十八日＝投下限界線」
メ´ 人ﾊ￣双 ﾉi二`メ、 っと言うことでお願いします。
／ ／ |人＿二ｿ__ハ ハ
/ ／ ／::::::::::::::く__ﾒ ﾊ |
/ / ／::::::::::::::::::::::::::::ヽ、弋 ヽ
|. / |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::i ＼＼
l/ /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ ` )
`ｰﾒ十- ＿＿､ﾃｰｧ-´
ヽノ !:::ﾉ
250 ：
名無しのやる夫だお：2011/05/09(月) 07:14:28 ID:rPiLgVG2
乙～。
訓練までやって一人残されるのもツライだろうな…。
ウチの爺様も、志願して軍学校入ったのに、視力が著しく悪いから前線は無理、って事で兵站任務に回されてたわ。
251 ：
名無しのやる夫だお：2011/05/09(月) 11:53:04 ID:F6sgoXFU
乙！
なんかやる夫の気持ち解る気がする
252 ：
名無しのやる夫だお：2011/05/09(月) 21:03:01 ID:W70UjMB6
乙
なんというか、地味に波乱万丈だな
253 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/11(水) 02:12:40 ID:f9pXG5NM
,' / ＼ |´ ', |
! / ト-─-＼| ─-.､!/
ﾚ ,.:'::| 代理´￣￣`ﾝ
／::::::::＼＞-──'‐'─＜. 〈ﾊ
/＞:::''"´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`'＜! こんな時間に返信です。
,..:::''"´::::::;;: -‐ ''"´￣￣￣￣ ` ､::::::::::::`::..､
〈::::::::::::::7´ / / ‐- /! / ＼:::::::::::::::':,
ヽ､＿,' ,' ./!ｧﾃ＜/| /! ‐､ ＼::::::::::::i >>250様
/ | |八__rﾘ `!／ |ｧt､ ,| , !::::::::/ 共に汗を流し、全てを共有していた
., ' ! ! '" 〈ｿﾊ/ ! ./ﾚ'-‐''´ 家族のような戦友達ですからね・・・
/ | | ' ﾞ !/ﾚﾍ. >>251様
,' ,' .八 ﾄ､ ` ー ／,! ＼ 少しでも感じてくれれば幸いです。
| / ,'. ＼.∨|` ､,__, イ /| ヽ. >>252様
ﾚ' ヽ! /＞-‐ハ|` ｰ-‐ v'ｰﾚ'´￣｀r--､ﾉ_,ﾊ_ なんだかんだで、色々な経験をしていますね。
）ｲ´ ＼ /ム」 /＞-─ ､こ けど、これでもまだ序の口だという・・・
| ､ハ＼i |::::::＼.ア´ __, ＼
254 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/11(水) 02:13:40 ID:f9pXG5NM
___ .,, .---､
{ .{ .ヽ／／⌒)ﾉ
,;;ヽヽ/／;;-､ ﾉ
/;;;;;;;r代理-ｧ;;;;;ヽ _
,--''ﾆﾆﾆゝrﾄ,,/ﾆﾆﾆ'''ｰｧ / | ））
（（ ,ﾍ, ｀て;;;ｷ;ｬ-λｲ;ｸ;;ｻ-ﾝ;;ﾘ/ヾﾅ
'､ノヽ ﾚﾘ;i ○ ○ iﾚﾘ/| .丿 一回投下した後に、おまけを投下したら
/ {|｀!;ﾙ""r-‐￢"".ｲ/}| /{ 気分転換になるって誰かが言ってた！
}ヽ {||.ヽゝヽ､__,ﾉ_ノ/|} /{
｀}`r,_{ﾉ弋.ヽﾛ/ ﾉ「{〆ﾅ{
.弋ﾄ-ｪ 从-rｭrｭ-ｲ.ゞ
/;;;;`;―;;;‐´;;ヽ
./;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ,
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;｀､
255 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/11(水) 02:14:08 ID:f9pXG5NM
============================================================================
遠洋航海
============================================================================
「遠洋航海は、兵学校を卒業し、海軍少尉候補生になった青年将校を
海軍士官の軍服を着た外交使節として、世界の国々をまわらせ、
色々なことを学ばせることにより、人としての視野を広げ、
同時に、国や国民からかけられている期待の大きさを全身で感得させるものである。」
そして、長い航海にでるのだが、この時に何よりも嬉しいものは、
故郷からの手紙である。
/T.￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ T.＼
/__＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_/ﾂﾞ￣ #￣ヾ:;}_＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿__＼
|!´.!￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ｀フ‐ ｒｒ‐┬‐┘￣￣￣￣￣￣￣￣￣/￣//
. |! i / //
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. |! i ＿ ＿＿ ＿＿ ＿＿ ＿＿ ＿＿ ＿＿ ＿＿ ＿＿_ / // .||
|||,/＿ ＿ ＿ ＿ ＿ ＿ ＿ ＿ ＿ ＿ ＿ ＿ ＿ ＿ ＿ ＿＼// ||
||.|i,〉 〈｀ヽ.,||
|| |l.´￣ ￣ ￣ ￣ ￣ ￣ ￣ ￣ ￣ ￣ ￣ ￣ ￣ ￣ ￣ ￣￣|＼ﾉ_) )）
||./ 手紙 | 手紙 | 手紙 | 手紙 | 手紙 | 手紙 ||手紙.|＼ノ
. l/i 手紙 | 手紙 | 手紙 | 手紙 | 手紙 | 手紙 | 手紙 || ＼
. /,i 手紙 | 手紙 | 手紙 | 手紙 | 手紙 | 手紙 | 手紙 ||手| i＼
./,.;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;.,ヽ
!.￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣!
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!:～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～:!
~￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
256 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/11(水) 02:14:29 ID:f9pXG5NM
種をまいた覚えがあるものは、
／￣￣＼
／ _ノ ＼
| （ ●）（●）
| （__人__）
| ﾉ このくらいあれば、
| ∩ノ ⊃ } 俺に１通ぐらいきてるだろ。
/ヽ ／ ＿ノ }
( ヽ / / ノ
ヽ “ /＿| |
＼＿_/＿＿ /
っと落ち着いて手紙の束をみている。
種をまかずに、実りだけを期待しているものは、
,r‐┐／)
/ /／／／>
／ イ └'´／
./ .＼_.ンニﾆス_（＼(ヽ
/ ._＿...二つヽ､_(._'弋 ＼＼ 心配だから
（ / (（ ＞）) (＜）＼`┘ ヽ＼ 目をつぶってるお・・・
ヽ .ヽ、 .（__人┌─‐' ／ .ヽ、
＼ ヽ ﾉ （｀¨乙二..＿_／ ﾉ
. | ｀ ⌒´ ｀ー‐- ィ'
っと半ば諦めの寂しい顔だ。
257 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/11(水) 02:15:37 ID:f9pXG5NM
そして、手紙は膨大な量なので、一つ一つ渡しては間に合わない。
みんな期待して待っているので、分隊ごとに大型の洗濯桶を用意して、
その中に投げ込んでいく。
＿＿＿_
／ ― '' ー＼
／ （ ●) ( ●)＼ エーットゥ、俺にまず一通ぅー。
／ :::::⌒, ゝ⌒:::::＼ 運用長に、一通ぅー。
| `ｰ=-' | 伊藤候補生に、一通ぅー。
＼ ／ おっと、またまた俺に、一通ぅー。
/⌒～"￣,￣￣〆⌒,ﾆつ
| ,＿_＿ﾞ＿__､rヾｲｿ⊃
| ｀l￣
| |
／￣＼
| |
＼＿／
ﾉ Ｌ＿_|＿_
⌒:::＼:::::／::＼
／ <●>::::<●>＼
／ （__人__） ＼ 黙ってやらんか！
| |::::::| | 騒々しい！
＼ l;;;;;;l ／l!|
／ `ｰ' ＼ |i
／ ヽ !l ヽi
（ 丶- 、 しＥ |
`ー､＿ﾉ ∑ l､Ｅ ﾉ
ﾚY^Ｖ^ヽ ﾄﾞﾝｯ！
声を出した者を見てみると、
まだ一通も手紙が来ていない士官だったりして―
258 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/11(水) 02:16:12 ID:f9pXG5NM
そして、皆がうれしそうに手紙を読む。
～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～
＿＿＿_
／― ―＼
／ ● ● ＼ きょうのおかずはころっけでした。
/⌒ヽ⊂⊃ (_,､_,) ⊂|/⌒i にいさんがたべたらよろこぶだろうとおもいました。
ヽ ll|l （_ノ ll|l / おいしくございました。
从l||l |l||l从
( ⌒ ) ( ⌒ )
～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～
＿＿＿_
／⌒ ⌒＼
⊂。（ﾟ＞） （＜ﾟ）。つ
⊂ ／::::::⌒（__人__）⌒::::: ＼ つ おお、やる太！
⊂ | /| | | | | | つ 手紙がかけるようになったのかお！
＼ (、`ー―'´, ／
（ ヽ __＿＿_ .／.／
＼ ＼| ., ﾚ゛／
.＼旨EX ξﾝ┐
話をきくと５歳になった弟からだという。
259 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/11(水) 02:17:02 ID:f9pXG5NM
～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～
＿＿＿_
,. - ´ ｀ ‐- _
／ .: .: .: .: .: .: .: .: .. .｀ ､
／ .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .:丶
／ .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: ',
/ .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .l
,' .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .:|
| .. .. .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .:|
| .: .: .: .: .. .: .: .: .: .; .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .|
| . : .: .: .: .: .: .: .: .: .: '; .: .: .: .: .: .: .: .: .: .:|
', : :: .: .: .: .: .: .: .: .: _;,.= ':, .: .: .: .: .: .: .: .:.: |
| : :: .: .: .:,.:,, -ｧく/フミﾐ×v'丶.: .: .: .: .: .: .: .:|
| : :: ,. -.ｧ'/ヽ'､/ /､ヽ､ヽｖ__,.=-‐'ム.: .; .: .: .: .: .: ',
| ,.不〈 ､' /､丶,.> '- ' ￣ _ノ | ヽ ト､、.: .: .: .: ヽ
l~| .ト-､,.＞ ' ´ ｫｧｨ'" | Vヽヽ .: .: .: .: ＼
|_|__ﾚ'､､_＿,.ｯ | |｀ ー‐ヵ.: .: .: .: .＼
ﾚ'´|| """" | | | /.: .: .: .: ,.=ｧ,）
￣.||| ＼ '､ , || ﾄ .| /.: .: .: .:／＝'"
|| | _ --‐_'" || .| ', ﾚl.: .: .:／
弋ヽ ￣ ‐- ,. イ|| ﾄ､ Ｙ__| .: :／
｀ ‐- ＿ || | | ｲ.ﾉ､､ | ／
「遠く活躍せらるるそこもと様の心労もさることながら、
陛下の御艦にあって、海外に国威を輝かさるべき尊い使命を思い、
その日その日つつがなかれと、母は毎日鎮守の森に日参いたし居り候」
～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～
／￣￣＼
／ _ノ ＼
| （ ー）（ー)
| （__人__） ウーム。
. | ﾉ
| ∩ ノ ⊃
／ .／ ＿ノ
(. ＼ ／ .／_ノ │
＼ “ ／_＿_| |
. ＼／ ＿＿＿ /
母からの手紙を読んでいた候補生は、
１字１字を食い入るように見つめていた。
260 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/11(水) 02:18:02 ID:f9pXG5NM
／￣￣＼
／ _ノ ＼
| （ ●）（●）
. | （__人__） どうも、普段は平気で遊んでいても、
| ｀ ⌒´ﾉ 母親からの手紙を見ると、
. | } どうも・・・なんというか、急にその・・・
. ヽ }
ヽ ノ
.> <
| |
| |
／￣￣＼
／ _ノ ＼
| （ ⌒）（⌒）
| （__人__） もっと勉強せにゃならん気になって・・・
| ｀ ⌒´ﾉ
. ,| }
. ／ ヽ }
く く ヽ ノ
. ＼ `' く
ヽ、 |
. | |
そして神妙になるから、不思議といえば不思議であった。
261 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/11(水) 02:19:32 ID:f9pXG5NM
, -―- ､
/ ＼
/ ＼_ |
(●) （●） | さぁ、もう一回りしてくるか。
(_人__) /
l｀⌒´ /
| ヽ
__!､＿___／ ＼
／､ ヽ r ､ ヽ
ﾊ ヽ Y｀l | > Y
{ ヽ_ゾﾉ | ﾚi i i}
｀¨´ ヽ ハ `'''
> / ﾍ
/ /ヽ ﾍ
_,/ / ご_ノ ﾓｷｭﾓｷｭ
（ ヽ /
＼__ノ
奮い立つようにして、上甲板にでていく候補生の姿に、
先輩士官達は、じっと微笑みかけていたから、
これもまた不思議であった。
(※・・・上甲板：船舶の甲板のうち最上部にあるもの）
原作：日本海軍のこころ
著：吉田 俊雄
262 ：
◆E0.8YDkXYc：2011/05/11(水) 02:19:45 ID:f9pXG5NM
以上です。ありがとうございました。
263 ：
名無しのやる夫だお：2011/05/11(水) 14:17:56 ID:KBniIhC.
乙でしたー
手紙って、やっぱりもらうと嬉しいよね
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