2021年10-11月号
「暮しの手帖」に随筆を寄稿させていただきました。
歴史ある雑誌に載せていただき
嬉しさと
感謝の気持ちでいっぱいです。
いつもの私とはちょっと違う雰囲気に挑戦。
読んでいただけると嬉しいです。
初対面の人に会うことが多いこの時季、私は自己紹介に頭を悩ませます。まわりにとってはまだまだなじみのない「障害者」。「大変そう」というイメージを持たれ、「何か失礼なことを言ってしまわないか」と過剰に気にされ、距離を置かれがちなのです。
私から相手にさりげなく声を掛けるようにしていますが、自分から積極的に話しかけるのは面倒なこともあります。頭も使うし、気も遣うし、疲れるもの!でも声を掛けられるために相手と目が合うのを待っていても、車椅子に乗った私の高さは1メートル。子どもとは目が合っても、大人と目が合うことはなかなかないのです。だから自分から声を掛けるのはポイントです。
「ここに来るのは初めてですか?」「この帽子、素敵ですね」「お子さんのカバン、使いやすそうですね。」などなど。車椅子の私に話しかけられ、びっくりしたり、戸惑ったりする人もいますが、なるべく気にしないようにします。そして少し会話がはずむと「私は骨が弱いので車椅子に乗っているんですけど、子どもたちも一緒に乗るんですよ」「お出掛けはいつもヘルパーさんとします。一日10時間、ヘルパーさんが来てくれます」と私の生活のスタイルも伝えます。
少しの会話で、お互いの距離が一気に縮まります。時には「車椅子って便利なんですね」「ヘルパーさんがいて、たくさんの人が関わっていてすてきですね」と言ってくれる人もいて、私も嬉しいです。
私はできないことも多いですが、工夫をし、助けてもらいながら、みんなと同じように生活しています。そして私も、私の得意なことを生かし相手の力になりたい、と願っています。
障害のある人と出会ったら、ちょっとの会話を楽しんでみませんか?きっと発見がありますよ!
東京新聞・中日新聞
2018年3月18日(日)
障害者は四つ葉のクローバー
先生と交流続けたい
2017年度もあと二週間、別れの季節です。私は小・中学校は養護学校(現:特別支援学校)に通い、クラスは私一人だけことがほとんどでした。いつも担任の先生と2人で過ごすで、私にとって先生は大親友。私のことをたくさん伝えたいし、先生のことも知りたかったです。
特に小学1、2年生は持ち上がりで、大好きでした。でも彼女が転勤することになり、それを知ったのは修了式の直前。大好きな人が急にいなくなり、会いたいのに、会えない。8歳の私は本当に悲しかったです。
子どもの世界は大人が思うよりもはるかに狭く、生活に関わる一人一人が大切です。先生の急な転勤は「諦めることも大事」という大人の世界をつきつられた感じがしました。そして大人への信頼、期待を裏切られた出来事でした。
先生は職業的に必要なこともあり、児童生徒の家庭環境をはじめ、多くのことを知っています。でも逆に子どもが先生のことを知る機会は少なく、プライベートなことを聞いても言葉を濁されます。対等ではないこの関係が私は悲しいです。
大人になった今でも、同じ不安や悲しさに直面することがあります。わが子の保育園の先生と仲良くしたいのに、保護者は先生のプライベートを聞かないのがマナー。お茶をしに行くなんて絶対にできません。魅力的な先生と仲良くしたいのですが。
いま現場で働く先生方にお願いです。転勤が決まったら、できるだけ早く児童生徒に伝え、たっぷりお別れの時間を持ってほしいです。そして連絡先が分かるとよりうれしいです。「先生」「児童生徒」という肩書のせいで付き合いが途絶えると、傷を抱えてしまう子どももいます。「大好きな人とつながっていたい」という子どもの気持ち、大切にしてほしいです。
写真:ほとんど一人だけのクラスですごした小・中学校時代。小学四年のときの大好きな先生と。