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0830やまゆり園
東京新聞 2016年8月30日(火)

「やまゆり園」事件に思う

車椅子に乗り、身長100cmの私は時々、透明人間になってしまいます。街で子どもが私を指差し「あれ、なに?」「ちっちゃい!おとな?こども?」と聞いても、一緒にいる大人は「危ないよ」「あっちに行くよ」と、私を見なかったことにするのです。

障害者をじろじろ見てはいけない、失礼なことを言ってはいけない、何だか怖い、そんな戸惑いがあるのでしょう。でも「車椅子だよ。歩けない人が乗るんだよ」「小さい人もいるね。大人かどうか、聞いてみる?」子どもの疑問に大人も一緒に向き合い、学びの機会にしてほしい。そして一歩進んで、どうして障害者を見かける機会が少ないのかまで、考えてほしいのです。

障害があると、学校も住む場所も隔離されがちです。さらに「特別なサービスが受けられ、隔離は良いこと」と信じる人もいます。本当は誰だって、隔離されるのは嫌なのに。相模原市の知的障害者施設「やまゆり園」の事件は、容疑者の「障害があると大変」「障害はない方がいいに決まっている」という思い込みが引き起こしました。でも皆さんが障害者と関わる機会もなく、無意識に持っている障害への偏見が、事件につながったともいえるのではないでしょうか。

 文部科学大臣は事件を受け、特別支援学校へのメッセージとして、障害のある子とない子がお互いを正しく理解するため、交流及び共同学習を進めていく―と述べました。しかし学校を分けてしまうこと、そのものが間違っていると私は考えています。障害者は「理解しよう」とする存在なのではなく、「当たり前に隣にいる人」で、「自分もなり得る存在」なのです。

 養護学校(現・特別支援学校)に通っていた小・中学校のころ、年に数回、普通学校との交流会がありました。決められた時間だけプログラムに沿って、あいさつしたり、遊んだり。私たちは、まるでサーカスの一団のようで、交流会が終わればイベント終了! 週末にその子たちと遊ぶことはないし、街での冷たい視線がなくなったわけでもありませんでした。お互いの学校が分けらていることについて、一緒に考えれたらどんなに良かったでしょう。

 
 学校をはじめ、障害者には生活環境の選択肢がほとんどありません。障害者も学校や放課後・休みの日の過ごし方、職業、住む場所を選びたいのです。そのためのサポート・制度が必要です。私は当時、放課後は地域の学習塾に通い、そこに友だちがいました。多くの大人は、私の普通高校への進学を反対しましたが、塾の仲間たちがいたからこそ、相当大変でしたが反対意見に押しつぶされることなく、普通学校で学ぶ権利を得られました。

いま、考え方を変えていく時なのです。まずはお膳立てされた交流会ではなく、1日でも障害者と一緒に遊び、ご飯を食べ、障害のある生活は楽しくもあり、時には不便なことに気づいてほしいのです。

いぜな・なつこ
1982年、沖縄県生まれ。骨の折れやすい障害で電動車椅子使用。小学校講師などを経て神奈川県内で育児に奮闘中。「マイノリティ=珍しい四つ葉のクローバー」の視点で日々を綴る。

写真:家族で献花に訪れた「やまゆり園」=相模原市で

東京新聞で「障害者は四つ葉のクローバー」の連載が始まりました!
20160823東京新聞紹介
東京新聞2016年8月23日火曜 一面

「骨形成不全症」のため電動車椅子を使う伊是名夏子さん(34)が2人の子を育てる日々などをつづります。



20160823東京新聞

東京新聞2016年8月23日火曜

障害者は四つ葉のクローバー

身長100cm 超小型ママ

はじめまして。伊是名夏子(34歳 神奈川県在住)です。私は身長100cm、体重20kgの超小型人間。電動車椅子を使い、3歳と1歳の子どもの育児に追われています。

しかし小さすぎる私は、まわりから母親に見られないことも。家族四人でお出かけすると、パパが三人の子どもを連れ、しかも子ども一人は車椅子で、「パパ、大変そうね」と見られがちなのです。いやいや、家族みんなのお世話をしているのは私なんですけど、と思いつつも、誤解されることも、楽しみの一つになっています。

わが家では、車椅子に二人の子も一緒に乗ることは日常茶飯事。これで街中を歩くと、驚きの視線を投げ掛けられます。なぜ、小さい人たちが三人も、変な形の乗り物に乗っているんだろう、ってね。

先日、東京の上野動物園に行ったら、まわりの子どもたちの目は動物よりも、私にくぎ付け!私、動物園の看板キャラクターになれるかも、と思いつつも、明治時代にはアイヌ民族や沖縄の人が万博の展示になったことがあったな、と考えてみたり。珍しいということは、いいこともあるし、時には、差別を受けることにも繋がりますね。

障害者の私が、子育てするには大変なこともあります。私は骨形成不全症という骨が折れやすい障害で、歩けないだけでなく、片耳が聞こえない難聴でもあります。子どもを抱きかかえることもできないし、私の上でジャンプなんてされたらすぐに骨折してしまいます。子どもが好きな狭い場所やでこぼこ道に、一緒に行ってあげることはできないし、ボール蹴りだってできません。

でも、うちの子にはそれが当たり前。赤ちゃんのころ、私以外の大人には抱っこして歩いてもらわないと泣き止まなかったのに、私だけは、お膝で抱っこするだけで大丈夫でした。

私は家事や育児もヘルパーさんとこなすため、わが家には1日のうち約10時間、家族以外の人がいます。ヘルパーさんも総勢10人いるので、その日に一緒にいる人によって、家の空気や、過ごし方が、少しずつ変わります。でもそれが日常なのです。

障害者が結婚して、子育てするなんて無理に決まっている、って思う人もいるかもしれません。実際私もたくさんの反対を受けながら、ここまできました。でもできる範囲で、楽しみながら生活しているのです。

私は障害者をはじめ、マイノリティーは、「四つ葉のクローバー」だと信じています。なかなか出合えないけど、ラッキーアイテム。みんなワクワクしながら探した経験が一度はあるでしょう。人はそれぞれ違うので、三つ葉であっても、全く同じものはないのだろうけど、四つ葉に出合えた時の喜び、ワクワク感を、マイノリティーとも感じれると素敵でしょう。


9月7日からリオデジャネイロでパラリンピックが開幕ですが、英国のテレビ局が制作したプロモーションビデオがすごいのです。希望と、かっこよさに溢れた障害者たち!ぜひインターネットで「We're The Superhumans」を探して、見てみてくださいね。そして次回は相模原市の知的障害者施設「やまゆり園」での悲しい事件について考えたいと思います。

写真
電動車椅子に3人乗り!



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