4、障害者って超大変

2010年8月11日
琉球新報 落ち穂

障がい者って超大変!?

 「一人でトイレもできないし、ご飯も食べられない」「四六時中、誰かが面倒をみないといけない。」障がい者と聞くと、そうイメージするのではないだろうか。でもこのイメージは障がい者以外の人にも当てはまる。しかもその人は何もできないのに、みんなに愛され、いるだけで周りを幸せにする。そんな人っていたっけ?あっ!そう「赤ちゃん」がまさしくそうなのだ。赤ちゃんこそ最重度障がい者。そして今、生きている人は誰でも、障がい者だったとも言えるだろう。
 「この子と一緒に死のうと思った。」障がい児がいる母親からよく聞くこの言葉。赤ちゃんの時は健常者も障がい者も変わらないのに、障がいへの不安で押しつぶされてしまう親たち。そして「わが子を殺そうと思った」という殺人未遂とも言える話を、周りが「辛い中、頑張って子育てしたね」と感動の話としてすりかえてしまうこともよくある。でも子どもは「自分の生が、自分を生んだ親に否定された」だなんて知ってはいけない。親は聞かせてはいけない。子育てが苦しいのは、障がいがあるからではなく、障がい者を取り巻く環境が苦しい、ただそれだけのこと。
 私は、障がいがあるのにすごいね、とよく言われる。でもそう褒めてくれる人はまず、自分も何もできない赤ちゃんだったことを思い出し、泣いて助けを求め、賢く生きてきた自分を褒めてほしい。人はどんな状況でも、サポートさえあれば賢く生きていける。生きるために助けを求めることは、人が生まれながらに持っている力であり、権利でもある。親が子育てで大変な時には助けを求め、周りはそれに応える。助け合いに、障がいの有無は関係ない。
 一方、私のパートナーは「奥さんが車椅子だから大変ね」と言われ、私と一緒にいるだけで褒められる。私だって彼の面倒を見ているのに…と思いつつも賢妻の私は何も言わない。かわりにその褒める人にも何か手伝いをしてもらう。するといつか自分も助けてもらっている事に、その人も気づくだろう。あぁ、そこまで考えなきゃいけないだなんて、障がい者って超大変。