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やる夫は死後の恋に苦しめられるようです。
カテゴリ:
やる夫シリーズ
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/27(金) 23:09:01.88 ID:DO7l76Vp0
「私の運命を決定(きめ)て下さい」
2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/27(金) 23:11:10.67 ID:DO7l76Vp0
____
/⌒ ⌒\
/( ○) ( ○)\ ハハハハハ。イヤ……失礼しましたお。さぞかしビックリなすったでしょう。
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \ あなたは近頃、この浦塩の町で評判になっている、風来坊のキチガイ紳士が、
| \ |r┬-| / | やる夫だという事をチットモ御存じなかったのですお。
\ │ `ー'´| /
/⌒ヽ ー‐ ィヽ キチガイだと思われても仕方がありませんお。
/ ,⊆ニ_ヽ、 | ハハハハハ……しかしやる夫が乞食やキチガイでないことはおわかりになるでしょうお。
/ / r─--⊃、 | ネエ。おわかりになるでしょうお。酔っ払いでないことも……
| ヽ,.イ `二ニニうヽ. |
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/27(金) 23:12:40.08 ID:DO7l76Vp0
____
/⌒ ⌒\
/ (○) (○)\ やる夫はこう見えても生え抜きのモスコー育ちで、旧露西亜の貴族の血を享けている人間ですお。
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \ そうして現在では、ロマノフ王家の末路に関する「死後の恋」という極めて不可思議な神秘作用に
| \ |r┬-| / | 自分の運命を押えつけられて、夜もオチオチ眠られぬくらい悩まされ続けておりますので……
\ | `ー'´ | /
/⌒ヽ ー‐ ィヽ 実は只今からそのお話をきいて頂いて、あなたの御判断を願おうと思っているのですお……
/ ,⊆ニ_ヽ、 |
/ / r─--⊃、 | ……ああ……御承知下さる……有り難うお有り難うお。ホントウに感謝しますお。
| ヽ,.イ `二ニニうヽ. |
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/27(金) 23:14:05.77 ID:DO7l76Vp0
___
/ ⌒ ⌒\
/ (○) (○) \ 只きいて下されば、いいのですお。
/ ///(__人__)/// \ そうしてやる夫がこれからお話しする恐しい「死後の恋」というものが、
| u.\ `Y⌒y'´ | 実際にあり得ることを認めて下されば宜しいのですお。
\ | ゙ー ′ ,/
/⌒ヽ ー‐ ィヽ そうすればそのお礼として、やる夫の全財産を捧げさして頂きたいと考えておるのですお。
/ rー'ゝ 〆ヽ 大変な貴重品ですが、やる夫の運命を決定して下さるお礼のためには、決して多過ぎると思いませんお。
/,ノヾ ,> ヾ_ノ,| それほどにやる夫を支配している「死後の恋」の運命は崇高と、深刻と、奇怪とを極めているのですお。
| ヽ〆 |´ |
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/27(金) 23:15:29.94 ID:DO7l76Vp0
____
/ \
/ ─ ─\ ところで一体、あなたはやる夫を何歳ぐらいの人間とお思いになりますお?
/ (○) (○) \ これでもまだ二十四なのですお。でも、四十位には見えますでしょうお。
| \ (__人__) | しかしやる夫は、今から三ヶ月前迄は間違いなく二十代に見えたのですお。
/ | ∩ノ ⊃ /
( \ / _ノ | | ところが、それがたった一夜の間に、こんな老人になってしまったのですお…
.\ “ /__| |
\ /___ /
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/27(金) 23:18:10.39 ID:DO7l76Vp0
大正七年
____
/ \
/ _ノ ヽ、_ \
/ o゚((●)) ((●))゚o \ 貴族だからほんとは戦争とか嫌なんだお…
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
____
/ \
/ _ノ ヽ、_ \
/ o゚⌒ ⌒゚o \ でもペトログラードの革命で、家族や家産を一時に奪われてしまったお…
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
____
/⌒ ⌒\
/( ○) (○)\
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \ もうどうとでもなれお! だから白軍に入るお!
| |r┬-| |
\ `ー'´ /
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/27(金) 23:19:27.77 ID:DO7l76Vp0
八月 烏首里(ウスリ)村
____
/ \
/ ─ ─\
/ (●) (●) \ しかしなんだかんだで案外戦わずにすむものだお。
| (__人__) | そういえば今日から部隊の編成が変るらしいお。
/ ∩ノ ⊃ /
( \ / _ノ | | 見かけない顔も多いお…ん?
.\ “ /__| |
\ /___ /
,.. -―- ..、_
,.::'´::.::.:::/::.::.::.::.::`ヽ、
/:::/::.::.:;:'::.::.::.::.:}::.::.:、::.:::ヽ
/::.:::/::.::.:/::.::.::.:::/ハ::.::.::ヽ::.:::`、
,'::ヽ⊥_:_厶彡'::://l::|::.::.::.::';::.::、ヽ はじめまして。僕は蒼星石。モスコー生まれです。
|::.::.:「:::┬=ニ>く l∧ヽ、::.::.:l::.::.:Vl
l|:::/ |::.:::l:|「えメミ、 |ト V:_::.::.::|::.::.:::l:|
ノ|:人」::.:::|:l ゞミン |l ヽ:`ヽ|:l::.::;:l:|
´ j从:::|:::|:トゝ 丶 芯刈:/::|::/〃
_rヘ_}人:l::l 丶 _′`‐'/:/::l::|ー'′
/7rぅ 、廴_ヽト\ >=彳:::|::|
rう:.:ヽrヘヽく `メこて´V{ |::l::|/
7:.:.:.;.:.く_nl〈 /,ニ{}ヘ f弌k ノ/;リ
/ :.:.::|:.:.:. r┤ ) // | lト、\ {X)″
. /:.:.:.:.:.|:.:.:.:.`)|〈 // | |圦∨〉( \
/:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:込八 \| l引 ∨ └r::∨
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/27(金) 23:21:35.64 ID:DO7l76Vp0
∩_
〈〈〈 ヽ
____ 〈⊃ }
/⌒ ⌒\ | |
/( ●) (●)\ ! ! はじめましてお!やる夫はやる夫だお。
/ :::::⌒(__人__)⌒:::::\| l やる夫もモスコー生まれだお!
| |r┬-| | /
\ ` ー'´ //
/ __ /
(___) /
____
/_ノ ' ヽ_\
/(≡) (≡)\ (どことなく気品がある人だお。
/ /// (__人__) ///\ たしかに貴族の血を享けていることは、その清らかな眼鼻立ちを見ただけでもわかるお)
| |r┬-| |
\ ` ー'´ /
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/27(金) 23:23:27.63 ID:DO7l76Vp0
それから彼はやる夫と非常な仲良しになってしまって、兄弟同様に親切にし合うのでしたお。
隙さえあれば宗教、政治、芸術…色々な話で盛り上がったお。中でも、
ノニ二三三三三三三三三三二二/
/ ニ三三 ,. ..:"´.:.:.:.::::::::::::::::::::::::::::.:.:.V
く ニ三三 ,ィ´.:.:.:.:.:.:.:.:.:l.:.:.:.l.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
ヽニ,.ィ´.:.:.:.:/.:/ /.::/l.:.:.:.ト、.:ヽ.:.:.:.:.:.l.:.:.:.:.:!
V.:/.:.:.:.:V::/ /.:./ /:ハ::| \.:\.:.:l.:.::l.:.:| やっぱり純な王朝文化は最高ですよね。
/:/.:/.:.:.:.V /.:ノ`メ、ヽl/ \⊥:l.::/.:. ! 音楽も美術もすばらしいです。
|.:l.::ハ.:.',.:.:Vノ ィ行ミヽ 仁ミ V:/.:.:.:.|
|.:|.:トぃ.:',.:.:', ゝ廴ソノ 1りノ/.:.:./
|.:|.:l.`ト、:ヽ.:.、 , , , , .:、 , , イ;.イ
N/l.:.l:.:.\:.::.\ 、_ _, ,.イ::l/
|人..:::ト、:l\|ヽ ,. イ.:/.:.l
\l _ハ `丁 `ヽl/.:./
, ィ´ L_ _/ , |/
ノ( V/ `Y´ / ,rく⌒L_
/l.:.:.:) リ /`7介ヽ ′ / /.:.:.:.:V
/.:l.:.:(``y' /〃〈〈ハ、:.\ /`7.:.:.:.:.:.:',
____
/ \
/ _ノ ヽ、_ \
/ o゚⌒ ⌒゚o \ 蒼星石もそう思うかお…涙が出るほど嬉しいお…
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
殺風景な軍陣の間に、これ程の話相手を見つけたやる夫の喜びと感激……
楽しみが、どんなに深かったかは、あなたのお察しに任せますお。
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/27(金) 23:25:56.20 ID:DO7l76Vp0
けれども、そうしたやる夫たちの楽しみは、あまり長く続きませんでしたお。
/ // /‐───- 、 \
/r‐─‐ァーf/ /-────-、 \\ ヽ
/ ∨三/'¨7 / / / \厶 ハ ',
. / \/__,/ / ,イ l | il V∧ハ
/ _//〉‐/ /\/ |i |l | 丶 i| l ト、 ', この村に白軍が移動して来たことを、ニコリスクの日本軍に知らせるわよ!
,′ f⌒∨ / /ハ {\! |l !{ \ i| | トく l 下士一名、兵卒十一名に、二人の将校と、一人の下士を添えて斥候に出なさい!
/ ハ. V /ィfテミ、 ヽ八 ヽ ヽ_| l |/ |
l l 〈_∧ ', ハ{_f::j:リヾ ヽ∧>七 j ! |_ | やる夫は弱虫だから、司令部の勤務でいいわ!
| l _ム _ ゝへ| V;之_ _ ヽハ ,' / | \|
| l >'´ ヽ ィ≡气 / / l\/!
| l | -ー―一ヘ , 、__ ヽ 〃:/| ∧ |
j八 | __} { `ア ,ムイ / ,イ__j│
,r≦三ヘ  ̄ ト、 ` ー' ,. イl│ ? / | jlリ
/ / ハ _, --‐〈. >‐r< /l│ 〃 / j /
// / | ハ , イ1 / ヽ./ ∧/ / /'
. 〆 / い \ -< }}/ ̄ ̄`ヽ>ーイ 、 /
〈 / ∨ 代\ ハ、 , -―‐- 丶 //丁fヽ
∧/ ∨ `三彡' \ __ ∨´ |│ l
l | \==彳│ \/ ` | |│ l
____
/⌒ ⌒\
/( >) (<)\
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \ あざーっす!助かったお!
| /| | | | | |
\ (、`ー―'´, /
 ̄ ̄ ̄
15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/27(金) 23:28:19.45 ID:DO7l76Vp0
____
/ ⌒ ⌒ \
./( ―) ( ●) \
/::⌒(_人_)⌒::::: | 斥候に出る蒼星石たちにお別れを言いに行くお。
| ー .|
\ /
|┃三 ガラッ
|┃ ____
|┃/⌒ ⌒\
|┃(●) (●) \
――‐.|┃:⌒(__人__)⌒:::::\ えへへっ
|┃ |r┬-| |⌒) 遊びに来たお!
|┃ `ー'ォ //
(⌒ヽ・ ・ ̄ /
|┃ノ /
|┃ つ <
|┃ (::)(::) ヽ
|┃/ > )
|┃ (__)
17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/27(金) 23:30:06.74 ID:DO7l76Vp0
____
/ \
/ ─ ─ \ って蒼星石しかいないのかお。
/ ( ●) (●) \ みんなウォッカ飲みに出かけたのかお。
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
,、 -──‐ ─- 、
,r'"´.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\
/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\.:.::.:.:.:.::ヽ
/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`ヽ.:.:.:.:l.:.:.:.:.:.:.:.:::゙、
/.:.:.:.:.:.:.:.:.:、.:.:.:.:.:.:.:.:.i.:.:.:.:|.:.:.:.:.:.:.:.:.:::!
/.:.:.:.:!.:.:.:.:.:.:.:\.:.:.:.:.:.l.:.:.:.:.!.:.:.:.:.:.:. :.::|
,/.:.:.:j.:|.::ト、.:.:.:.:.:.:ヾ:i.:.:.:|.:.:.:.:.! .:.|::::::::::::| ………
i.:.:/川.:.:iト.\.:.:.:.:.:.:|.:.:.:|.:.:.:.:.!:.:.l.::::::::l:::!
|.:,!|::l::ト.:ヽ.:.:ィ==- |.:.:.:!.:.:.:.:|.:.:i!::.:::::|/
|/ ヽ!`ヾ:ヾ!弋tテナ !.:/!.:.:.:.:|.:/{、.:::::l
``ソ l/ |.:.:.:.:l/ \,!
< __ |.:.:.:/レ'"´ ̄ \
\ _ ,ノj.:.:/ , -‐─- 、 \
ノヌ_}7! ,/.:.:.:.::::::.:.:.:.\ \
,f仄_}7 /.:.:.::::::::::::::::.:.:.:.\ |
,f仄_}7 /.:_:_:/::::::::::::::::l:::::`i
,f仄_}7レ'´.:.::::::::::::::::::::::::/::::::::|
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/27(金) 23:32:02.40 ID:DO7l76Vp0
,' . .:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:./:.:. |:|::.: |:.、:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:.:`、:.:.:.:.:.:.:l::`、
. !..:.:.:.l:.:.:.:,':.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:./:.:.:./l:|::.:.:|:.:ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`、:.:l:.:.:.:.:.:.l.:ト、:|
{.:.:.:.:.|:.:.:.:l:.:.:.:.:.:.:.:.:l:.:.:.:./:.:.:,イ:;ハ::.::、:.:.:\:.:.:.:.:.:.:.:.:l:.:.:.|:.:.:.:.|:.|:| l|
. l::.::.:.| .:.:.|:.:.:.:.:.l:.:.:.|:.:.:/:.:.:///_入:_ヽ:.\ヽ、:<´l ̄:|:.:.:.:.|:.l:| l|
|::.::.::!::.: |::.:.:.:.:.|:.:.:|/;:∠イ/´ ヽ\:\ ヽ、 ,.=キミ!:.:.:.//l/ リ
. l::.::.::.::.::l::.:.::.:.:.l// _, -==rミ\\:ヽ 个tク}〃 :;〃 / …やる夫さん、ちょっと来てくれませんか?
. `、::.::.::. |::l::.∠イ::.| < V弋ス┤ ヽ └- ' リ::/ / あなたにだけ見せたいものがあるんです。
`、::.:: l::|::.::.::.:|::.:ト、 ヾニ-‐' イィ′
ll::.::.|::|::.::.::. |::.lヽ\ / /l:|
||::.::l::.|::.、::.::l::.`、`ヽ , /::N
lト、:レヘ::.|::.::.\::ヽ、  ̄ /::.::.;′
\ ヽl::.::.::.::|ヽ:> 、 /!::.::.: ,′
|::.::.::.:l `ヽ、 `¨¬ー-‐'´|/|::.::.:/
ヽ::.::.:「 ー- 、 ト、 !::.:/
/ヽ::.| `丶、|∠\ |::/
r─<´ ∨ /,.イ {_}`ヽ`メ/_
r┬イ^ヽ、 〉 /// /}{|\ \ `くヽ
____
/ \
/ \ ,_\ やる夫だけに…?
/ (●)゛ (●) \ 一体なんだお…
| ∪ (__人__) |
/ ∩ノ ⊃ /
( \ / _ノ | |
.\ “ /__| |
\ /___ /
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/27(金) 23:33:20.06 ID:DO7l76Vp0
/三三三三三三三三三三三三三三三三\
r' 三三三,._ -‐ ':.:.:. ̄ ̄.::.:.: ̄ :. ̄:`''.、 三三三 )
ヽ三,. ' ´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ヽ三三/
ヽ!:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.::.:.:\:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:. ヽ/
!:.:.:.:.:.:.':.:.:.:/:.:ハ:.:.:.:.::ト ..:.::ヽ:.:.:.:.:.:. !:.:.:.:.: |
|:.:.:.:.:.::|:.:./__/_l:.:ヽ:.ヽ\:.:.:.\:.:.: l:.:. , :.:|
|:.:.:.:.::.:レ´:.l/__-_ i`.|\:.ヽ弋:_十 !.:|:.::/.:.:.| これです。
|:.:.:.!/ィく7ァ¨Tヾ、:! \! ,ォV== 、:./:.:.:.:.!
l:.:.:イ:.: ! ゝうノ \ tゞrケ j/::..:.:.: !
,:.:.ハ:.ヽ i ` ´ /:./.:.:. ,
!::.:.:..ヽ:_ゝ __ , 'イ.:.:.: ,.'
ヽ,:.:ヾ:.ヽ!ヘ. ` ´ ,..イ:.: /.:.:.:/
\:ヾ:.| γri 、 . ィ'__レ'j/!:.:.,
__ ,r、 _..ゝ`´ \ ` ´ / ` ヽj/ _
ノ_ヽ!ノ´ _ヽ,_,/__ ` {^Y _j
/:「 |フ γγ'フr r‐─ 、ヽ r` ! L:ヽ
┼ + ┼ +
∠二|\☆ 十 ∠二|\☆ 十
+ \|__|/.∠二|\ . + \|__|/.∠二|\
* \|__|/ . * \|__|/
____
/::::::::::::::::\
/::::::─三三─\
/:::::::: ( ○)三(○)\ な、なんて見事な宝石なんだお…
|::::::::::::::::::::(__人__):::: | 磨き方こそ旧式だけれども、全て一流のダイヤにサファイヤに…
\::::::::: |r┬-| ,/ やる夫は貴族だから、先天的な宝石趣味があるんだお…たまらないお…
ノ:::::::::::: `ー'´ \
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/27(金) 23:35:09.51 ID:DO7l76Vp0
''"´ニニニニニニニニニニニニニニニニニ/
ニニニニニニニニニニニニ_ニニニニニ/
ニニニニニニ_,.. - ''': ´ ̄ : : : : : : : : : : : \ これは今まで誰にも見せたことのない、僕の両親の形見なんです。
ヽニニニ: '"´: : : !:. : : : : : : : i: : : : :`ヽ : : : : ヽ 過激派の主義から見ればコンナものは、まるで麦の中の泥粒と同様なものかも知れませんけれども……
>'´: : : : : : : : .|: : l : : i: : : '; : : : : : : ヽ.: : : : ヘ 僕にとっては生命にも換えられない大切なものなのです。
, : : : : : : .!: : : :ハ : :!: : '; : : : \ : : : : : '; : : ヽ : !
|: : : : : : :i: : :./.ハ:.ヽ: : ヽ : :___lヽ.: : : : !: :i : :|!:.| ……僕の両親は革命の起る三箇月前……去年の暮のクリスマスの晩に、これを僕に呉れたのですが、
| : : : : : / : :/ _,.ヽ ト、 .l\: : ヽ \ ̄「: |: : l !:| その時に、こんな事を云って聞かせられたのです。
'; : ; : :./: : / ̄___ ヾ:.\ヽ. >ァ水 ァ.|: l: :/ リ
V : :/: ;.イ.ヾ'アュ _ !` `` .ヒ:;;'ソ 〉! ./;/
l:/イ: 、ヽ ゞ‐ ' ,,,,,, //ノ: :!:ヽ
. |∧: ' : :ヘ.` ''''''' i ,.イ ´: :|.|:.:.\
,.ヘ : : : : ヽ、 -‐ /| |/!: :ハ |:.:.:./
-、/. ヽ: : : :l l >t- .,,_,. イ:. )! | / .レ:/
ヽ、⌒l \: : | : . . >ァt<ヾヽ ( ト'´:.:,.イ
<´ヘ.`ーt ヽ:| // //ト、ヽ! | )!.).イ:. |
:.:.:じr.l :.ヽ ヾ ー'/ | | ー' .( .ト、:.:.:.: |
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/27(金) 23:37:32.11 ID:DO7l76Vp0
__{〆..:::::::::〆 ` 、
/_{f7.::::::::::〆 \
/ __{f7.:::::::〆 / \ \
厶イ7:r-、く | | | ヽ \
〈〈__/:ハ::.Vヽ\ | | |、 | ヽ ……この露西亜には近いうちに革命が起って、私たちの運命を葬るようなことに成るかも知れぬ。
. /ヾィ/ イヘヽノノ | |ヽ | \ ', | | '. だからこの家の血統を絶やさない、万一の用心のために、誰でも意外に思うであろうお前に
/ /://ll |:「´ |{ 丁ヾト、| ヽ |! | |l | この宝石を譲ってコッソリとこの家から逐い出して終うのだ。
|::| l| |:| |ヽ弋f==,ミメ、 ' ‖ /ハ || |
/|::| || |:|ヽ | 、_{._!ンヾ }ノ|l /厶| , / ハ| お前はもしかすると、そんな処置を取る私たちの無慈悲さを怨むかもしれないけれども、
|::| || |:| \ ヽ  ̄¨` l/rテミ|/ / / }ノ よく考えてみると私たちの前途と、お前の行く末とは、どちらが幸福かわからないのだ。
|::| l| |:| l \ \ 、ヾ' / イl/
l| | ` -\ ′/ ノ お前は活溌な生れ付きで、気象もしっかりしているから、きっと、あらゆる艱難辛苦に堪えて、
|l |\ ‐-,,、 / / 身分を隠しおおせるだろうと思う。
ハ ト、 、 ` イ そうして今一度私たちの時代が帰って来るのを待つことが出来るであろうと思う。
/ ハ l::.\ >_,、 / |
/ ∧ l:::::/.::7爪 丁 |
―- _∠::::ヽ ∨:::/ 小ヽ |l |
―‐ 、 ` マ}__ ト、 ∨/:||:lL)〉ハ |
::::::::::..\「` マ}___\ ∨:||:「く/ | |
::::::::::::::::::::::::::::..マ}___\ ∨| ヘ`ー| ∧
::::::::::::::::::::::::::::::::::..マ}__ \l| ヽ:::::l /:::ヘ
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..マ} ゙r〜、>|/-、:::::ヘ
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ゝ/ヽ| | 厶、ノ`}:::ヘ
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..\ /「?ヘ r':::::::.ヽ
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/27(金) 23:42:24.89 ID:DO7l76Vp0
| :l .| , -─‐-.. 、
| :l .| ,..:'´.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..`ヽ
| :l :|イ.:.://.:/:l.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\
| :l〃.:.//.:/::ハ、.:.:.l.: l.:l:.l.:l.:.:.ヽ 僕はそれから、すぐに貧乏な大学生の姿に変装をして、モスコーへ来て、小さな家を借りて音楽の先生を始めました。
| :l/.:. l/,.イ l:l トト、 l.: l.:l:.l:.}.:.:.: l 僕は死ぬ程音楽が好きだったのですからね。
| :l { : l:行ヽ:l リ_」_L_l.:l.:l.:}.:.:.:.:l そうして機会を見て伯林か巴里へ出て、どこかの寄席か劇場の楽手になりおおせる計画だったのですが……
ヽ| .l :ト、lftリ テテVl///.:.:.:./ しかしその計画はスッカリ失敗に帰して終ったのです。
{ミヽl :(/{ `、 _辷ソ.:./.:.:.::.:/
{ミソ.l :(l.:l\ ー ノ.:/:.:/l/ その頃のモスコーはとても音楽どころか、明けても暮れてもピストルと爆弾の即興交響楽で、
l:.:.:l :l:l/ソノ`ーr‐く:// l/ ′ 楽譜なぞを相手にする人は一人もありませぬ。
ノl レソ{二フ:ト、ヽl/ ,ィニフヽ おまけに僕は間もなく勃興した赤軍の強制募集に引っかかって無理やりに鉄砲を担がせられることになったのです。
〈 ノヽ ノソ フ/l:ト、ソノ ノソ.:.:.:.::.:ヽ
レ':ノソ ノソ l」 ノソ.:.:.i.:.:.:',:.:.\ ……僕が音楽を思い切ってしまったのはそれからの事でした。
〈:.(( __ノノソ ノソ.:.:. :l.:.:.:.:',.:.:.:.:ヽ 僕の習っていた楽譜はみんなクラシカルな王朝文化式のものばかりで、今の民衆の下等な趣味には全く合いません。
`7.:ニ7´ ( ノソ.:.:.: .:l.:.:.:.:.:.',:.:.:ノ そればかりでなく、ウッカリ赤軍の中で、そんなものをやっていると身分が曝れるおそれがありますからね。
(⌒Y⌒).:.:ヽニ7ニソ.:.:.:.: .:L.:.:.:.:.:´
ノ <> ぃ'⌒ヽ.:.:.:.:ノニニヽ
/.: ll / /三三l.:.:.:.:\
)V ⌒ヽ ll / l/ ハ.ニ/.: : : : : \_
{1 l ll /`ー‐ry'ヽ」.:.:.:.:.:.: : : : : : : : :\
/1 l l/ jノ.:.:.:. :. :.: .: .: .: .: : : : : : : :\_
/ 1 l / /´  ̄ ̄`ヽ.:.:.:.:、:.:. : : : : : : : : :`ヽ r─ < ̄ ̄`ヽ
l 1 .ノ/ /. . :. :. : : :.:, -─ `ヽ.:.:.: : : : : : : : : :「 ̄フ´ ̄ `ヽ 「 ̄`ヽ \
l `ーく/ /.: .:.: ./:/ \.:.: : : : : : : : :レ'´ , -‐': : ノ弐弐ソ ヽ ヽ
\ フー ニヽ.:.:. :{.:{ ヽ.:.:.:.:. : :./ / / ¨´ ⌒ヽ __) _ノ
 ̄`7/ノし'⌒\.:.:ヽ\ニフ ー── ─ ‐ヽ.:.:.:.:/ / /
`¨¨¨´ `ー‐‐'´
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/27(金) 23:46:46.35 ID:DO7l76Vp0
〃 i, ,. -‐ ですから一生懸命に隙を見つけて、白軍の方へ逃げ込んで来たのですが、
r' ィ=ゝー-、-、、r=‐ヮォ.〈 / それでもどこに赤軍の間諜が居るかわかりませんから
! :l ,リ|} |. } / .や スッカリ要心をして、口笛や鼻唄にも出しませんでしたが、その苦しさといったらありませんでした。
. {. | ′ | } l 上手なバラライカや胡弓の音を聞くたんびに耳を押えてウンウン云っていたのですが……
レ-、{∠ニ'==ァ 、==ニゞ< | ら
!∩|.}. '"旬゙` ./''旬 ` f^| | そうして一日も早く両親の処へ帰りたい……
l(( ゙′` ̄'" f::` ̄ |l.| | な 上等のグランドピアノを思い切って弾いてみたいと、そればかり考え続けていたのですが……。
. ヽ.ヽ {:. lリ |
. }.iーi ^ r' ,' ノ い
!| ヽ. ー===- / ⌒ヽ
. /} \ ー‐ ,イ l か
__/ ‖ . ヽ、_!__/:::|\ ヽ ♪
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/27(金) 23:48:23.22 ID:DO7l76Vp0
,. -── -
, '´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::`ヽ、
/.:.:.:.:.:.、.:.:.:.:.:..:.:.:.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.\ ところが、ちょうど昨夜のことです。分隊の仲間がいつになくまじめになって、
, '.:..:.:./:.:.:..:|.:.:.:.:.:.:..:..:..:..:.:.、:..:.:.:.:.:.:ヽ 何かヒソヒソと話をし合っているようですから、何事だろうと耳を引っ立ててみますと、
/:..:..:..:/:.:.:..:..:|:.:.:.:、.:.:.:...:..:...:.:l:.:.:.:.:.:.:.:.:i それは僕の両親や同胞たちが、過激派のために銃殺されたという噂だったのです。
〃!.:..:.:/:.:.:.:.:.|:.:l!:.:.:.:ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:|.:.:.:.:.:.:.:.:.| ……僕はビックリして声を立てるところでした。けれども、ここが肝腎のところだと思いましたから、
|| |:.:.:.:l:.:.:.:.:.:.|:.ハ、:.、:、\.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.:.| わざと暗い処に引っ込んで、よくよく様子を聞いてみますと、僕の両親が、何も云わずに、
|| |.:.:.:.|:.:.:.:.:/l7─‐ヾゝヽ\.:.:.|.:.:.:.:.:.:.:.:.}| 落ち付いて殺された事や、僕を一番好いていた弟が銃口の前で僕の名を呼んで、
ヽヘ:.{、:!.:|,イ ノ ァd尓7!:.:``.:.:.| }.:.:.:.:.:.:.:l 救けを求めたことまでわかっていて、どうしても、ほんとうとしか思えないのです。
ヽゞNハ〉. ゞ-。 |/:.:.:.:.:.:l:'.:.:.:.ノ/`′
ハ'、 /'|:.:.:.:.:.:/:.:.:!/'′ ……ですから、僕はもう……何の望みも無くなって……あなたにお話ししようと思っても、
ノl:.:\っ ||:.:.:.l/ `W 生憎勤務に行って……いらっしゃらないし……
|.:.:/リヽ_ ... -||:.:/|! ,..ゝ-、
∨/ __ _ _,.ノ V ''´ ,_\__
n}イ''"/〔!\ r‐┘_テvぅフ‐ァ
/ ){. / /|ヽ ヽrヘ/J´ ハ〉
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/27(金) 23:49:41.97 ID:DO7l76Vp0
____
/ \
/ \ ,_\
/ (○)゛ (○) \ (蒼星石が貴族の出であることは察していたが、まさかに、それ程の身分であろうとは…
| ∪ (__人__) | そういえば昨日、ニコラス廃帝が、その皇后や、皇太子や、内親王たちと一緒に過激派軍の手で銃殺された……
/ ∩ノ ⊃ / ロマノフ王家の血統はとうとう、こうして凄惨な終結を告げた……という報道があったお。
( \ / _ノ | | いくら過激派でも、あの何も知らない、無力な、温順なツアールとその家族に対して、
.\ “ /__| | そんな非道な事をするわけがないと思ってたが…
\ /___ / やる夫は非常に危険な運命の前に立たされていることになるお。)
____
/ \
/ ─ ─\ (しかし、ニコラス皇帝に皇子は1人しかいないはずだお。その皇子もやっと15歳になったくらいだから、
/ (●) (●) \ 蒼星石とは別人だお。世継ぎが渇望されるなか、秘密の皇子の存在があるとも思えないお。
| (__人__) | 第一やる夫になんでそんな重大な事を話すんだお。
/ ∩ノ ⊃ / 親友に同情して貰いたいだけだとしたらあまりにも軽率すぎるお。
( \ / _ノ | | しかし、「なんでその宝石をやる夫に見せたのかお?」と聞くのも、
.\ “ /__| | 危険な運命の方へ一歩踏み出すことになりそうだお。ここはとりあえず適当にあしらうお…)
\ /___ /
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/27(金) 23:51:02.66 ID:H6mMd2eJ0
妾の子とかそんなのかしら
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/27(金) 23:52:26.49 ID:DO7l76Vp0
____
/ \
/ ─ ─\
/ ,(●) (●)、\ そんなものは無暗に他人に見せるものではないお。やる夫だからいいけれども、
| (__人__) | ほかの人間には絶対に気付かれないようにしていないと、元も子もない眼に会わされるかも知れないお。
\ ` ⌒´ / しかし蒼星石の一身上に就いては、将来共に及ばずながら力になって上げるから、
,,.....イ.ヽヽ、___ ーーノ゙-、. あまり力を落さない方がいいお。
: | '; \_____ ノ.| ヽ i そんな身分のある人々の虐殺や処刑に関する風説は大抵二、三度宛伝わっているものだお。
| \/゙(__)\,| i |
> ヽ. ハ | ||
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/27(金) 23:54:05.12 ID:DO7l76Vp0
__ __
,.. -‐':.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.::: 、
/:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.::.:.:.:.::.::.\
':.:.:.:.:/:.:.:.:|:.:.l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:...:.:.ヽ
':.:.:.:.:::':.:.:.:.:.:.:|:.:.|:!.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:..:.',
.'.:.:.:.:./:.:.://ハ:.:|:lヾ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l.:.:.::|
l:.:.|:.:.レナナ'‐ l:.ト! \:.__:.:.:.:|.:.:.:| ……ありがとうございます…そう…ですよね。
|:.:.:ィ升Krォァ=、 ヾ!\´ _ゝ_ ` .:, .:.:.,'
|:.:.ハ:.:| 辷'ノ 丶 イt::_iヾレ:.::.::,
|:.:.:.:l:.| :::::: ゞ-' !:.:.:.:.:イ
l.:i:.:.:.|ヽ. _ ′ ::::: ハ:..:./
. |:l:.:.:.|:.:.\  ̄ イ:::::/
ヾ!.:,|ハ..:.:.|ゝ、 _ ...ィ/:.:.レ:j/
_ _ _ゞ\ー- 、 |:./レl:.:..:/
_レーハヽ ヽォ_ー 、. |:.:/
/::::::::::つ /,イjくヾ\'_
/:::::::::::::::L レ' //}ヽ.j\ヽ7
____
/ \ /\
. / (ー) (ー)\
/ ⌒(__人__)⌒ \ やる夫はいつだって蒼星石の見方だお!
| |r┬-| |
\ `ー'´ /
ノ \
/´ ヽ
| l \
ヽ -一''''''"~~``'ー--、 -一'''''''ー-、.
ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) ) (⌒_(⌒)⌒)⌒))
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/27(金) 23:56:28.46 ID:DO7l76Vp0
____
/ \ /\
. / (ー) (ー)\
/ ⌒(__人__)⌒ \ ………
| |r┬-| |
\ `ー'´ /
ノ \
/´ ヽ
| l \
ヽ -一''''''"~~``'ー--、 -一'''''''ー-、.
ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) ) (⌒_(⌒)⌒)⌒))
____
/ ― ―\
. / (○) (○)\ (欲しい…あの宝石が…欲しいお…っ!
/ ⌒(__人__)⌒ \ もしも、明日蒼星石が戦死したらあの宝石を手に入れることができるお…。
| `ー'´ | やる夫も…ついていくお…宝石…宝石…)
\ /
ノ \
/´ ヽ
| l \
ヽ -一''''''"~~``'ー--、 -一'''''''ー-、.
ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) ) (⌒_(⌒)⌒)⌒))
その宝石が、間もなくやる夫を身の毛も竦立つ地獄に連れて行こうとは……
そうして蒼星石の死後の恋を物語ろうとは、誰が思い及びましょうお。
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/27(金) 23:57:48.43 ID:DO7l76Vp0
二週間後
'"`゙ヾ
,. '"⌒ヾ
;;.:''゙' ゙ ,,) ,.. -、
リ r'"´ ⌒ヽ,
;., '"⌒ヾ ⌒ `ヽ' ,、_,,.;.,'´ ̄`ヽ
,.、.゙、 ゙、 /l ,;' ,. ,;'r'"⌒ヽ,
ヽト、;.,、 ,.;' ,,._;;')
レ'r'"´ `ヾヽ 、;.,_', ,'|l! r'ゞ,,;' `ヾ
l!./ゞ、 .,.;;'ノ /⌒ヾi! ,/、;.,.''.,; , ,. ';
i´ // ,.、 ;.,、_,.;'')'/ 、.,;''/ ., ;:.')
|/./'".,゙'" ., ;:' ;.,'")ノ |i!l|_/、;., 、.,;;. ,.;'ハ、
l!/ (⌒;.,;. ;、.,;ll! l|.ヽ|i!l| lv/;.,、__,.、.;:ノ'" `ヽ
|、wv从/l'|、wv从/l'|、wv从/l';.,'|l! l|. |i!l| |i!|.'|i!|' 、.,;'゙:、.,;., ,.;_..;')
川 /|ノル'川 /|ノル' ノルバl 彡ハ///vw彡|i!|,,;.、,:'゙、,:' ,:;゙ヽ,;.,ヾ
VjjNw/〃lVjjNw/〃レ'ヘ lル'/vwjj/从jj/彡彡,..|i!|,,,,,,____ハ
---――''"""""´´~."""""" ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄```゙゙゙゙゙゙゙゙''''''''''―――--
:.:.:.:.:.:.:.: .: .: .: .: . : .:
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/27(金) 23:59:17.22 ID:DO7l76Vp0
____
/⌒ ⌒\
(ヽ /( ●) (●)\ /) このあたりで一休みするお!
(((i ):::::: ⌒(__人__)⌒::::\ ( i))) もう直ぐ目的地だし、問題ないお!
/∠ | |r┬-| |_ゝ\
(___ `ー'´ ____ )
| /
| /
| r /
ヽ ヽ/
>__ノ;:::......
ヽ 三_,. - " 三三三三__三三_三_三三三ヽ
,V´三三三,. -─' ´ :.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.ヽ 三 ノ
|_三三 ,. イ,:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.::.::.:\:.:.:.:Y
l _三:: ':.:.:.:/:.:.:.:.:.:l!:.:.:.:.:.:.、:.:.:.:.:\:.:.:.:.ヽ:.::.゙
ゝ三 |:.::./:.:.:./.:.:.ハ:.:l!:.:.: i -.- .、::ヽ:.:.:.:.!:.:.:| そうですね。ここはなんだか穏やかでいい場所です…
ヽll !:.イ::.!: ,. -,‐‐l:.i! :.: | ヽ.:.:.::.:ハ:.:.:|:.:.:|
Y:.|!:.:.|:.:|:./_ !:|!、:.:.| ,._=ー,、:.:ヾl:.:.:l
l:.イ!:.:.l.:.レ =_.、ゝ ゝ! ォ::::リ !:.:.:..|:.,リ
∨ V:.:イ! フ..ノ  ̄"イ:.:.:レ
_ゞ.:.:ゝ" 、 イ:.:/
イ ハ:.:ハ!-、 ー ' ∠:l:/
/: :.l r'{ レ l ´`ー-、 __ イ l!' `ーr⌒ヽ
, : : : :フ! ゝ. _ \ / ヒ ハ
|: : : : ゝゝ _> ノr===,、 iト、〈: : ヽ
人: : : : : \r‐'/´  ̄ `<.li! |:! !|_ノ : : :.1
/: : : : : : : :「ヽ./ o ヽヾ_ ノj ノ`! } : : : :|
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/28(土) 00:00:48.47 ID:v2EV5M7f0
____
/ ⌒ ⌒ \
./( ―) ( ●) \
/::⌒(_人_)⌒::::: | 蒼星石もそうおもうか
| ー .|
\ /
┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"
____
/::::::::::::::::\
/::::::─三三─\
/:::::::: ( ○)三(○)\ お……
|::::::::::::::::::::(__人__):::: |
\::::::::: |r┬-| ,/ じゅ、銃撃だお!赤軍がいるお!
ノ:::::::::::: `ー'´ \
/ ̄ ̄ ̄ \
/ :::::\:::/\
/ 。<一>:::::<ー>。 あ、足をやられたお…命は大丈夫だけれども痛いお…
| .:::。゚~(__人__)~゚j
\、 ゜ ` ⌒´,;/゜
/ ⌒ヽ゚ '"'"´(;゚ 。
/ ,_ \ \/\ \
と___)_ヽ_つ_;_ヾ_つ.;.
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 00:02:31.63 ID:v2EV5M7f0
, ´__ ` - 、 `丶、
. / / / ` - 、 丶
/ / ' / ` - 、 \ /
/, ' / / /!l | ` 、 \ /
. // / / /__∠. 斗‐ | l、 | l ` 、 ` く::\
/イ /| ′ ///二ヽ! | | \ | | ,| \ \:ヽ
| / l| l/ ,イ:'〈 f!ハ '|l l! !__ メ、' / ! .:l:\ ヽ冫
l'′l| l //::,′ |l:::} l l|´ ,二ヽ \/ / .:;'::::::::\ /
{ | 'l..:/:::,' 、ゝ'′ l | 〃「「`ヽ/ X .:::/:::::::::::::::`Y
! l:::l::{ "" ` l| | !::::::i}/ .::/::::::::::::::::::::,′ や、やる夫さん!
. l |:ハ ! ゝtzノ' .:/:::::::::::::::::::;/
l|::∧ _ """ `ー/ .:/:::::/::::::::〃
|:':/::>、 ヽ __ - ´::::::;::::::'::::::/::::::://
}/l:/ ヽ.__/ ̄ ー=<彡::;:::イ/::::::://
/ /′ /イ/ イ::/:/::;:イ '
′ .イ l//:/::ハ ヽ
/⌒ー‐、 // ! / イ i
/ __/ ,.-イ / lヘ {
}/´⌒Y / l , ヽ
. { | / ..:/ i; l ', \
. | __!/ .::/ ':: l ゙、 `7
」/ / .:/ '::::; l ヽ. /
j/ ノ .:/ ':::::; l /| /
〈 \ .::/ /::; ' ∨、/_, '´
. } \/ /:::' ハ::ム
! _7ー- _ ′ /::::::',_ノ
| 厂 / ¨ ァ 、_, イ::::::::::::::',
┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"
46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 00:04:05.82 ID:v2EV5M7f0
┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"
/ ̄ ̄ ̄ \
/ :::::\:::/\
/ 。<一>:::::<ー>。 合図したら撃たれるお!
| .:::。゚~(__人__)~゚j
\、 ゜ ` ⌒´,;/゜
/ ⌒ヽ゚ '"'"´(;゚ 。
/ ,_ \ \/\ \
と___)_ヽ_つ_;_ヾ_つ.;.
____
/ \
/ \ ,_\
/ (●)゛ (<) \ みんなは…森の中に入ったみたいだお…
| ∪ (__人__) |
/ ∩ノ ⊃ /
( \ / _ノ | |
.\ “ /__| |
\ /___ /
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 00:05:57.26 ID:v2EV5M7f0
'"`゙ヾ
,. '"⌒ヾ
;;.:''゙' ゙ ,,) ,.. -、
リ r'"´ ⌒ヽ,
;., '"⌒ヾ ⌒ `ヽ' ,、_,,.;.,'´ ̄`ヽ
,.、.゙、 ゙、 /l ,;' ,. ,;'r'"⌒ヽ,
ヽト、;.,、 ,.;' ,,._;;')
レ'r'"´ `ヾヽ 、;.,_', ,'|l! r'ゞ,,;' `ヾ ┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"
l!./ゞ、 .,.;;'ノ /⌒ヾi! ,/、;.,.''.,; , ,. ';
i´ // ,.、 ;.,、_,.;'')'/ 、.,;''/ ., ;:.') ドン! ドン!
|/./'".,゙'" ., ;:' ;.,'")ノ |i!l|_/、;., 、.,;;. ,.;'ハ、
l!/ (⌒;.,;. ;、.,;ll! l|.ヽ|i!l| lv/;.,、__,.、.;:ノ'" `ヽ
|、wv从/l'|、wv从/l'|、wv从/l';.,'|l! l|. |i!l| |i!|.'|i!|' 、.,;'゙:、.,;., ,.;_..;') …………
川 /|ノル'川 /|ノル' ノルバl 彡ハ///vw彡|i!|,,;.、,:'゙、,:' ,:;゙ヽ,;.,ヾ
VjjNw/〃lVjjNw/〃レ'ヘ lル'/vwjj/从jj/彡彡,..|i!|,,,,,,____ハ
---――''"""""´´~."""""" ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄```゙゙゙゙゙゙゙゙''''''''''―――--
:.:.:.:.:.:.:.: .: .: .: .: . : .:
/ ̄ ̄ ̄\
/ ─ ─ \
/ <○> <○> \. 銃声………
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
/ \
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/28(土) 00:07:56.09 ID:v2EV5M7f0
/ ̄ ̄ ̄\ ……止んだのか…お…?
/ ─ ─ \
/ <○> <○> \.
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
/ \
/ ̄ ̄ ̄\ とにかく、森へ行くお…森へ…
/ ─ ─ \ ひとりぼっちはいやだお…
/ <○> <○> \.
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
/ \
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 00:10:09.53 ID:v2EV5M7f0
'r....:........::::....::....;;;;;;;;.;;;;........;;;;;;;;....::::..::::....;;;;;;;;........;;;;.;;;...::....::::........:....r''ソ :::::::::::::::
....;;;;...........゙i゙''';:,ノ.y;wリ゙W゛jリwj从リj"W゙リw;y.ノ,:;'''゙/...........;;;;.....wWj :::::::::::::::::::::
::::::....;;;;;;;;;;;;;,.,!、i;:''::゙i........ト ;i:iii;:::;iii:i;wj从リjイ/::'':;iノ,.,;;;;;;;;;;;;;....::::::r''~ ]::::::::::::::::
Wj゙ハ'w,.......,,...゙i:;i::.゙゙ヽ(. | ..;;;ii;:'':ii;;;.. | .)ヾ゙.::i;:/...,,.......,w'バjW::::::::r´` :::::::::::::
::::: ソ:リハw;::;;;j;;;;wi゙i;iiii;:ソ,゙゙゙:;i;:゙゙゙゙::iiii::゙゙,ソ:;iiii;/iw;;;;j;;;::;wハリ:ソ:;;;;;::;;;w:::::::::::::::::::
::::::::::::::::: ``Wj゙ハ'w,゙i:i;;i ;;゙゙゙:;;;;::.;;::;;;::;;;::゙゙;; i;;i:/,w'バjW´:::::::::::::;:;;::wリ` ::::::::::::::
: : : :::::: ::::: :::::::::::゙i;ii:ii:;i::.゙;;゙゙..;i;::::;i;:i;:ii:ii;/ ハハ;;;ノ::wサ;:;:;:;:;:;:リ::::::::::::::::::::::::::
: :: : :::::::::::::::::::::::::''r゙゙゙''';:,;;.:;:.:;ii;;ii;:.:゙゙゙r''::::::: wy:;;;;ii;;;uii;;;y::::::::::::::::::::::::::::::
: : : :: :::::::::::::::::|;;;;..:;;;::゙゙゙... :: ::...゙|:::::::::: ::::: |. :;ii;::.゙゙,゙゙::;:゙i ::::::::::::::: :: : ::: ::
: : :: : : |. :;ii;:.゙゙,゙゙::;ii;;ii;::゙i:: :: : : : :: :| ;::.゙゙,゙゙::;ii;;:゙i: :: : :: :
|.ii゙:;''゙;.:ii.;::;ii:.; (;| i;::.゙゙,゙゙::;ii;;ii;:|i
`l゙゙゙゙, ; i;,,;ii::゙゙,; ,゙| 〉;.::.;ii;.. ; ;; (
; :; : ;:; : ;T;:;:;:;:; :;:;: .ノ;;゙゙゙:;i;;;i::ii::i;;;i;:゙゙゙;;ヾ.;: ; :; :;ノ;;゙゙゙:;i;;;i::ii::i;;;:゙゙゙;;: .: ..:T::;: ;:; :
::; : ;:;: ;: ;: ;: ;: ; :; :.ヘ; ヽ,.ル;nノ; ll;l;l;;;;;;l;;l;rw. :;:;: ;: ;:;T:;: ;: ; : ;:; ;:;: ::T:;: ;: ;: ;: ; :
::: . :.: .: .:. : . . ;. ; .;: . :. ; : .: . : . :. : . :. :. . . . . . . ... .
:;: ;: ;:;T:;: ;: ; : ;:; . : .: .... .. .. ... . ..:.. .:;:;: ::T:;: ;: ;: ;: ; :
:::;: ;: ;: ; :. :. . : . .:. : .: . : . : . : . . . .. .
. . : . :.;: ;: ;:;T:;: ;: ; : ;:; ;:;: :::;: ;: ;: ;: ; :
____
/ノ ヽ \ もう真っ暗だお…みんなは無事なのかお…?
/( ●) (●)\ 遺品めいたものは落ちていないから、無事だと信じたいお。
/ ⌒(__人__)⌒ \
| U ` ⌒´ |
\ `ー'´ /
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 00:11:58.86 ID:v2EV5M7f0
_____
/ \
/ ─ ─ \ でも、もしここで蒼星石が死んでいたとしたら…
/ \ あの宝石はやる夫のものだお…
| ::::((○)::::::::(○)):::: |
\ (___人___) /
>  ̄ <
. / \
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/28(土) 00:12:51.02 ID:nSShknUMO
蒼‥‥‥まさか
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/28(土) 00:14:08.36 ID:v2EV5M7f0
____
/ \
/ ─ ─\ それにしても、暗くて何にも見えないお。
/ (○) (○) \ とりあえずライターで火を…
| U (__人__) |
/ ∩ノ ⊃ /
( \ / _ノ | |
.\ “ /__| |
\ /___ /
ボ
,' オ
(:' ォ
', )) ォ
} /( ォ
,' ノし': :ヽ
((,イ: : :: :V)
、ゝ: : : :(ノ}
ヽ: :: : : :: :/
ゝ;:; :;从;ノ
しかし、その火に照らされたものは
57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/28(土) 00:16:46.14 ID:v2EV5M7f0
____
/ノ ヽ、_\
/( ○)}liil{(○)\
/ (__人__) \
| ヽ |!!il|!|!l| / | ………!?
\ |ェェェェ| /
, -‐ (_).ヽ ー‐ ィヽ
l_j_j_j と) i
 ̄`ヽ ノ | l
/´ ヽ | l
l | ヽ_⊥-‐ 、
ヽ _,l- 、  ̄/ l
ヽl´ |_ / ̄ `l_-‐ ´
`-‐´  ̄ヽ --‐'
巨大な木の幹に、丸裸でくくりつけられたやる夫の戦友たちの死骸だったお。
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 00:17:09.23 ID:69un7TG80
うええ
59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 00:17:59.24 ID:itxLhIrI0
これちょっと前に地獄編でまとめられてなかったっけ
60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 00:22:09.63 ID:v2EV5M7f0
// //
. / / __,‐⌒ヽ、 // 眼を抉り取られたり、歯を砕かれたり、耳をブラリと引き千切られたり、
/ / / '─ \ / / 股の間をメチャメチャに切りさいなまれたり……
//ノ ─、 < ○ >\ / /
// | < ○ > 、 ヽ, ヽ l l 口を引き裂かれて馬鹿みたような表情にかわっているもの……
/ ヽ ヽ__,,,トー'i )| | 鼻を切り開かれて笑っているようなもの……
ノ ` ⌒'' ノ | |
( } ノ ノ
ヽ //
ヽ //
……現在のやる夫が、もし人々の云う通りに精神病患者であるとすれば、この時から異常を呈したものに違いないお。
>>59 今気づきましたorz
64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 00:24:40.12 ID:v2EV5M7f0
その時
.フウ… / ̄ ̄ ̄\
/ ─ ─ \
/ <○> <○> \. ため…息…?
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
/ \
__
.-´ ``ヽ
/ `ヽ
/ ヽ
(( / (○) ヽ 後ろにだれか…
|::⌒(__ (○ ) |
ヽ (__) ⌒:::: |
ヽ |
人 / | |
/ _ノ ノノ
|
74 名前:支援ありがとうございます![] 投稿日:2009/03/28(土) 00:35:57.46 ID:v2EV5M7f0
| _, / イ/ /― \ヽ \\ ィ>=ミ=ハ | / |
| / //イ丶=ミ \ 〃i _ } ∧| / |
! //rセ {_ } \ ヽ ノ,. / / |
i / \ ` ヽ_ノ ヽ  ̄` / / ′
/ \ \" ̄ i〉 / | ,′
77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 00:39:43.66 ID:v2EV5M7f0
____
/ノ ヽ、_\
/( ○)}liil{(○)\
/ (__人__) \ くぁwせdrftgyふじこlp!!!!!!111!!?????
| ヽ |!!il|!|!l| / |
\ |ェェェェ| /
_____
/ \
/ ─ ─ \ 蒼星石…死んで……
/ \ いや…え…この…この体は…
| ::::((○)::::::::(○)):::: |
\ (___人___) /
>  ̄ <
. / \
79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/28(土) 00:41:30.79 ID:v2EV5M7f0
i i .|
/,. ノ- .,_ /! / v' ヽ i'
`'' l l / i |
ヽ,、_ i´ | | /
i l | l .l
. l l. ∧ ,' /
l ヽ ヽ:_ ´ / /
. i ヽ | l /
l l.| l l
ヽ /゙i i| /
ヽ、 / | .| ヽ
''- .,__ / Y .|ヽ ゙i
i i ヽ ヽ
/ / .l ヽ
……蒼星石は女性だったのですお。しかもその乳房は処女の乳房だったのですお。
……ああ……これが叫ばずにおられましょうかお。昏迷せずにおられましょうかお。
……ロマノフ、ホルスタイン、ゴットルブ家の真個の末路……。
80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/28(土) 00:42:15.80 ID:H9a6U+nZ0
支援
誰だっけ、ドグラマグラの人?
81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/28(土) 00:43:37.22 ID:v2EV5M7f0
ヽ|,ハ、 r==、 ii .// ,ム ||
|| l\ Yニノ /ィ' // \|`
| // ヽ、u_r'" ̄ ̄`ヽ、_ム__
|l|/ / \ `ー、⌒`‐-、 r=─'" ̄
| ,. -─-、_ .| r‐‐、 r\  ̄``7ヽ r=─'" ̄
. ', / / |/ ヽ| ヽ | ̄ ̄ __=─'"
r、 fト、 ト、\___/ /| ヽ | /⌒`|
| | | |.| | |`ヽ、_ / | ヽ ヽ ヽ | / /⌒. |
(\| |,| | | ri r、 | /ヽ  ̄ | | ヽ .ヽ`‐、__ ト‐┬──(//ゝ)ゝ |
.\ ` || | ヽ,V ヽ | .| ヽ ヽ `‐┴' / / / |
| /⌒`‐-、|_\ ヽ / | ヽ l / / / |__ニ─
. | |  ̄``7ヽ. | /_ \ __>─'" ̄7レ′ /__/ |
l | | ̄ヽ Vrニ=─'" ̄ / //___/__ _____|_
その肉体は明らかに「強制的の結婚」によって蹂躙されていることが、
その唇を隈取っている猿轡の瘢痕でも察しられるのでしたお。
>>80 そうです。
82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 00:45:55.73 ID:v2EV5M7f0
のみならず、その両親の慈愛の賜である結婚費用……
三十幾粒の宝石は、口径の大きい猟銃を使ったらしく、空包に籠めてその下腹部に撃ち込んであるのでしたお。
/ ̄ ̄\
/ ノ \ \
| (●)(●) |
| (__人__) |
| ` ⌒´ │
| .│
│ │
| |
\ /
/ |\
( く"| __|__\__________ri ''"`"'''"`"'': ; . , _
r‐\ ヽノ _|||||________._|}=====fll||爪||||||l|」コ――――┘,' . : ; . : ; _,;; "=−
\_ 三〉))ー' ̄ `ー'ミ ̄~ ̄ "''
'ー---‐'''~`ー'
84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 00:48:53.68 ID:v2EV5M7f0
:::::::: :: :: ::::: :: :::
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:::::: :::: / ::: \ ::: ::: ::
:::: ::::/ :: \:: ::: :: 草原を匍っているうちに耳にした二発の銃声は、その音だったのでしょうお。
:::: /::: ─ ─ \ :: :: ……そこの処の皮と肉が破れ開いて、内部から掌ほどの青白い臓腑が
::: | :: .(○) (○) | : :::: ダラリと垂れ下っているその表面に
::: \ (__人__) ,/ : :::
:: ノ ` ⌒´ \ : :::
/´ ヽ :::
| l \:::
ヽ -一''''''"~~``'ー--、 -一'''''''ー-、.
ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) ) (⌒_(⌒)⌒)⌒))
86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 00:50:49.21 ID:v2EV5M7f0
血にまみれたダイヤ、ルビー、サファイヤ、トパーズの数々がキラキラと光りながら粘り付いておりましたお。
┼ + ┼ +
∠二|\☆ 十 ∠二|\☆ 十
+ \|__|/.∠二|\ . + \|__|/.∠二|\
* \|__|/ . * \|__|/
┼ + ┼ +
∠二|\☆ 十 ∠二|\☆ 十
+ \|__|/.∠二|\ . + \|__|/.∠二|\
* \|__|/ . * \|__|/
88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 00:53:08.99 ID:v2EV5M7f0
____
/⌒ ⌒\
/( ○) ( ○)\ ……お話というのはこれだけですお。……「死後の恋」とはこの事をいうのですお。
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \ 彼女はやる夫を恋していたに違いありませぬお。
| \ |r┬-| / | そうしてやる夫と結婚したい考えで、大切な宝石を見せたものに違いないのですお。
\ │ `ー'´| /
/⌒ヽ ー‐ ィヽ ……それを私が気付かなかったのですお。
/ ,⊆ニ_ヽ、 | 宝石を見た一刹那から烈しい貪慾に囚われていたために……ああ……愚かなやる夫……。
/ / r─--⊃、 |
| ヽ,.イ `二ニニうヽ. |
89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 00:55:47.85 ID:v2EV5M7f0
御覧なさい……この宝石を……。この黒いものは彼女の血と、弾薬の煤なのですお。
これはみんなやる夫が、彼女の臓腑の中から探り取ったものですお。
彼女の恋に対するやる夫の確信がやる夫を勇気づけて、そのような戦慄すべき仕事を敢えてさしたのですお。
┼ + ┼ +
∠二|\☆ 十 ∠二|\☆ 十
+ \|__|/.∠二|\ . + \|__|/.∠二|\
* \|__|/ . * \|__|/
┼ + ┼ +
∠二|\☆ 十 ∠二|\☆ 十
+ \|__|/.∠二|\ . + \|__|/.∠二|\
* \|__|/ . * \|__|/
90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 00:58:00.61 ID:v2EV5M7f0
____
/ \
/ ─ ─\ ……ところが……。
/ (ー) (ー) \ この街の人々はみんなこれを贋せ物だと云うのですお。
| \ (__人__) | 血は大方豚か犬の血だろうと云って笑うのですお。
/ | ∩ノ ⊃ / やる夫の話をまるっきり信じてくれないのですお。そうして、彼女の「死後の恋」を冷笑するのですお。
( \ / _ノ | |
.\ “ /__| |
\ /___ /
91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 01:00:07.04 ID:v2EV5M7f0
____
/⌒ ⌒\
/( ○) ( ○)\ ……けれども貴下は、そんな事は仰言らぬでしょうお。
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \ ああ……本当にして下さるお。信じて下さるお、……ありがとうお。ありがとうお。
| \ |r┬-| / | 宇宙間に於ける最高の神秘「死後の恋」の存在はヤッパリ真実でしたお。
\ │ `ー'´| / やる夫の信念は、あなたによって初めて裏書きされましたお。
/⌒ヽ ー‐ ィヽ
/ ,⊆ニ_ヽ、 | 私の恋はもう、スッカリ満足してしまいましたお。
/ / r─--⊃、 |
| ヽ,.イ `二ニニうヽ. |
92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 01:02:13.13 ID:v2EV5M7f0
___
/ ⌒ ⌒\
/ (○) (○) \ ……ああ……こんな愉快なことはありませぬお。
/ ///(__人__)/// \ そうしてこの宝石をみんな貴下に捧げさして下さいお。やる夫の恋を満足させて下すったお礼ですお。
| u.\ `Y⌒y'´ | やる夫は恋だけで沢山ですお。その宝石の霊媒作用は今日只今完全にその使命を果たしたのですお……。
\ │ ゛ー ′ , /
/ ー‐ ィ サアどうぞお受け取り下さいお。
93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/28(土) 01:03:37.99 ID:fwI8IF5DO
蒼星石殺した奴等は宝石に興味なかったの?
96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/03/28(土) 01:05:46.95 ID:26IjPI5Q0
これ実話?
97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 01:05:55.81 ID:v2EV5M7f0
___
/ \
/ノ \ u. \ !? ……エ……何故ですかお……。ナゼお受け取りにならないのですかお……。
/ (○) (○) \ この宝石を捧げるやる夫の気持ちが、あなたには、おわかりにならないのですかお。
| (__人__) / u. |
\ u.` ⌒´ | / この宝石をあなたに捧げて……喜んで、満足して、酒を飲んで飲んで飲み抜いて死にたがっているやる夫を
ノ \ 可愛相とはお思いにならないのですかお……。
/´ ヽ
| l \
ヽ -一''''''"~~``'ー--、 -一'''''''ー-、.
ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) ) (⌒_(⌒)⌒)⌒))
>>93 赤軍ですから、そういう嗜好品を嫌ったのではないかと。
98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 01:07:19.50 ID:v2EV5M7f0
____
/ノ ヽ、_\ エッ……エエッ……やる夫の話が本当らしくないって……。
/( ○)}liil{(○)\ ……あ……貴下もですかお。……ああ……どうしよう……ま……待って下さいお。
/ (__人__) \ 逃げないで……ま……まだお話することが……ま、待って下さいおッ……。
| ヽ |!!il|!|!l| / | ああッ……
\ |ェェェェ| /
100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 01:09:23.29 ID:v2EV5M7f0
「アナスタシヤ内親王殿下……。
―完―
(原作:夢野久作「死後の恋」)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000096/files/2380_13349.html
101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 01:11:28.52 ID:itxLhIrI0
救われねえなあ
102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 01:11:29.15 ID:v2EV5M7f0
支援してくださった方、感想をお寄せくださった方、ありがとうございました。
途中うっかりさるさんになってしまい、流石に焦りましたw
そして、この作品が以前にやる夫化されていたとは知らず、仰天しました…
これからはしっかり確認してから作ります。
ドグラ・マグラといい、夢野は人気ですね。
質問等わかる範囲でお答えいたします。
103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 01:12:37.31 ID:itxLhIrI0
やっぱり蒼だよなこの話は
104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 01:16:32.81 ID:v2EV5M7f0
>>96 実話ではないです。でも、ニコライ王朝や、アナスタシア皇女は実在しました。
>>103 ここまではまり役だと感動しますw
105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 01:16:49.83 ID:8chBipEb0
おもしろかった、乙です
タグ :
やる夫は死後の恋に苦しめられるようです
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