やる夫で学ぶ柳生一族 その73 黄金期の終わり 前編
130 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/10/31(月) 03:25:36 ID:t4hNOaOw0
このスレは、「柳生新陰流」を担った剣豪の一族「柳生一族」を
史実をベースとしつつ、適当にエピソードを盛り込んでいく形で紹介するスレです。
【今回のメイン柳生 ： 柳生内膳宗冬（やぎゅう ないぜん むねふゆ）】
.柳生茂左衛門利方(やぎゅう しげざえもん としかた)
.柳生七郎兵衛厳包(やぎゅう しちろうべえ としかね)
／￣￣＼
／ ＼ ／＼
| （●） （●） ヽ 柳生家当主、内膳宗冬です。
| （__人__） .|
| ｀⌒´ | 祖父と父が築いた柳生の名声、
/ / そして兄の無念、全て背負って、私は往くのだ…！
/ ヽ ____ .ノヽ
/ （ ） | |
( ／ ノ .| |
.＼＿_／ | |
､、
ｉ ,. -ー―ｰ-‐' .）_
_ lヽ-／, ,--- ::_ ヽ
( ,) ﾄ､_ヽ r/ rt;ミ-, _.l ヽ 尾張徳川家兵法指南役にして、
.ｌ i ヽ＿ ﾒl /l'' 〈'ｔﾏ l .新陰流正統五世、柳生七郎兵衛厳包だ。
,l__L...､ｰ--' l1、 l ! ｰ- " ｿ /ﾘ
, ''" _,,. -＼-_/ ヾl ~／l l / 父から譲られた新陰流の道統、
/ー‐''''" ヽ''''ー-ゝ-イ ll 俺もまた、次の世代へ繋ぐために…！
l , -‐''''''ヽ、 l､-.､ ￣'''-､--'
.､l ;;;; ;;;ヽ /ヽミヽr､- ＿L_,
＿
／Ｏ ＼
|. ° |
＼＿,／
|
／￣￣￣￣＼
／ ＼
/ ヽ 尾張柳生家当主、
| | 柳生茂左衛門利方です。
| ⌒ ⌒ |
ヽ ⊂⊃ ､_,､_, ⊂⊃/ 新陰流を七郎が背負うなら、
ヽ l⌒l _／ .家の未来は僕が背負うよ。
|三三三三三 i i l
/ ＿＿＿ .| iヽ
132 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/10/31(月) 03:26:33 ID:t4hNOaOw0
【解説役リスト】
※ 今回で本編最終回の為、解説役投票は行いません。
【過去、投票で決まった解説役-１】
その13 ： マシロくん(舞-乙HiME) ......その32 ： 閻魔あい(地獄少女)
その14 ： 渡良瀬準(はぴねす！). .. ： 輪入道・骨女・一目連・山童・きくり(地獄少女)
その15 ： 佐々木（涼宮ハルヒの憂鬱） .その33 ： ドロッセル（ファイヤボール）
その16 ： 綾崎ハーマイオニー(ハヤテのごとく！). .. .： ゲデヒトニス(ファイヤボール)＆AA色々
その17 ： 宮小路瑞穂（乙女はお姉さまに恋してる） ..その34 ： ゆの（ひだまりスケッチ）
その18 ： 菊地真（THE IDOLM@STER) .... .： 宮子・ヒロ・沙英・吉野家先生(ひだまりスケッチ)
その19 ： 木下秀吉（バカとテストと召喚獣）. ....その35 ： 山口如月（GA 芸術家アートデザインクラス）
その20 ： ドリィ＆グラァ（うたわれるもの） .. 大道雅 （GA 芸術科アートデザインクラス）
その21 ： 祇堂鞠也（まりあ†ほりっく）. .その36 ： 田中井律（けいおん！）
その22 ： 大佛はずむ（かしまし） ...... 秋山澪（けいおん！）
その23 ： マコ(みなみけ). ....その37 ： イカ娘（侵略！イカ娘）
その24 ： 佐々木（涼宮ハルヒの憂鬱） ※2回目. ..... 諌山黄泉（喰霊-零-）
その25 ： 渡良瀬準(はぴねす！) ※2回目 その38 ： なし
. ： シモン（下妻市非公式マスコット） ..その39 ： 羽衣狐（ぬらりひょんの孫）
その26 ： 藤岡ハルヒ（桜蘭高校ホスト部） .... 三浦あずさ（THE IDOLM@STER)
. ： 須王環（桜蘭高校ホスト部） ......その40 ： 神代マヤ（世紀末オカルト学院）
その27 ： 宮小路瑞穂（乙女はお姉さまに恋してる） ※2回目 ケンシロウ（北斗の拳）
. ： 菊地真（THE IDOLM@STER) ※2回目 ..その41 ： インデックス＆上条当麻（とある魔術の禁書目録）
その28 ： ティエリア・アーデ（機動戦士ガンダム00） .. ナージャ・アップルフィールド(明日のナージャ)
その29 ： 草薙素子（攻殻機動隊） .その42 ： 佐々木（涼宮ハルヒの憂鬱） ※4回目.
. ： タチコマ（攻殻機動隊） ...... 渡良瀬準（はぴねす！） ※4回目
その30 ： 渡良瀬準(はぴねす！) ※３回目 ......その43 ： ラミア・ラヴレス(スーパーロボット大戦)
. ： 木下秀吉（バカとテストと召喚獣） ※2回目 ... ゆっくり霊夢＆魔理沙(東方Project)
その31 ： 佐々木（涼宮ハルヒの憂鬱） ※3回目 .その44 ： 嵐山歩鳥（それでも町は廻っている）
. ： レベッカ宮本（ぱにぽに） ..... 辰野トシ子（それでも町は廻っている）
133 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/10/31(月) 03:26:58 ID:t4hNOaOw0
【過去、投票で決まった解説役-２（今回含む）】
その45 ： イカ娘（侵略！イカ娘） ※2回目 ..... その66 ： ミカサ・アッカーマン(進撃の巨人)
キュウべえ（魔法少女まどか☆マギカ） .... 月影ゆり(ハートキャッチプリキュア)
その46 ： 来海えりか（ハートキャッチプリキュア） . その67 ： 庚夕子(黄昏乙女×アムネジア)
花咲つぼみ（ハートキャッチプリキュア） . 佐々木（涼宮ハルヒの憂鬱） ※9回目
その47 ： 佐々木（涼宮ハルヒの憂鬱） ※5回目 . その68 ： ルーラー(Fate Apocrypha)
泉こなた（らき☆すた） 赤セイバー（Fate Extra） ※2回目
その48 ： 秋月涼(THE IDOLM@STER DearlyStars) . その69 ： 天龍(艦隊これくしょん-艦これ)
秋月律子(THE IDOLM@STER） ...... 龍田(艦隊これくしょん-艦これ)
その49 ： 泉野明（機動警察パトレイバー） .... その70 ： 贄波生煮(めだかボックス)
シャーロック・シェリンフォード（ミルキィホームズ） 佐々木（涼宮ハルヒの憂鬱） ※10回目
その50 ： 佐倉杏子(魔法少女まどか☆マギカ) .. その71 ： 呂布（恋）（恋姫無双）
巴マミ(魔法少女まどか☆マギカ) .... 三浦あずさ（THE IDOLM@STER) ※2回目
その51 ： セシリア・オルコット（インフィニット・ストラトス） その72 ： 如月千早（THE IDOLM@STER)
やらない夫 .... カリオストロ(グランブルーファンタジー)
その52 ： 佐々木（涼宮ハルヒの憂鬱） ※6回目 . その73 ： 佐々木（涼宮ハルヒの憂鬱） ※11回目
キョン子（涼宮ハルヒの憂鬱＠二次創作） . 長門有希(涼宮ハルヒの憂鬱) ※3回目
その53 ： ヘンゼル（BLACK LAGOON）
グレーテル（BLACK LAGOON）
その54 ： イカ娘（侵略！イカ娘） ※3回目
インデックス（とある魔術の禁書目録） ※2回目
その55 ： ドラゴンキッド（TIGER＆BUNNY）
暁美ほむら（魔法少女まどか☆マギカ）
その56 ： 佐々木（涼宮ハルヒの憂鬱） ※7回目
セイバー(Fate/stay night)
その57 ： ニャル子（這い寄れ！ニャル子さん）
柳生九兵衛(銀魂)
その58 ： 比良坂初音（アトラク＝ナクア）
綾崎ハーマイオニー(ハヤテのごとく！) ※2回目
その59 ： 邪神モッコス（ゼノサーガフィギュア）
柏崎星奈（僕は友達が少ない）
その60 ： 長門有希(涼宮ハルヒの憂鬱) ※2回目
綾波レイ(新世紀エヴァンゲリオン)
その61 ： みどろさん(涅槃姫みどろ）
輿水幸子(アイドルマスター シンデレラガールズ)
その62 ： 藤乃静留（舞-HIME）
赤セイバー（Fate Extra）
その63 ： ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール(ゼロの使い魔)
タバサ(ゼロの使い魔)
その64 ： イカ娘（侵略！イカ娘） ※4回目
オリオトライ・真喜子(境界線上のホライゾン)
その65 ： 佐々木（涼宮ハルヒの憂鬱） ※8回目
八雲紫（東方）
外伝6 ： 中野梓(けいおん！)
134 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/10/31(月) 03:27:15 ID:t4hNOaOw0
【慶安四年(1651)時の柳生一族系譜】
大膳長永
：
<柳生家>
：
├─────┐
柳生永珍 中坊源専
：
├─────┐
家厳 重厳
｜ （七郎左衛門)
｜ (松吟庵）
├───────────────────────────────────────────┐
宗厳 .妹
(新左衛門) .【江戸柳生】 ｜
(石舟斎) .(大和柳生藩） <幸徳井家>
├───┬───┬────┬───────┐ ｜
厳勝 久斎 徳斎 宗章 宗矩 友景
(新次郎) (五郎右衛門). (又右衛門) .|
｜ (但馬守) |
｜ 【尾張柳生】 ｜ |
├────┬────┬────┐ ├─────┬─────┬─────┐ .|
純厳 利厳. 妹 厳倚 三厳 友矩 宗冬 .義仙 友種
(久三郎) (兵庫助). (権右衛門) .（十兵衛） .（左門） .(主膳/内膳) (幼名：六丸) ..|
（如雲斎） .（幼名：七郎） .（刑部少輔） （幼名：又十郎) |
｜ .｜ ..｜ |
├────┬────┐ .├─┐ .｜ |
.清厳 .利方 厳包 娘 娘 五郎兵衛 友傳
.(新左衛門) (茂左衛門) .(七郎兵衛)
135 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/10/31(月) 03:28:37 ID:t4hNOaOw0
【第1部(その1～11)のあらすじ】
時は戦国、乱世の時代。
大和国柳生庄の領主、柳生新左衛門宗厳は、上泉伊勢守秀綱創始の新陰流の正統を継ぎ、
後に名を石舟斎とあらため、その剣名を天下に上げた。
しかし、長男新次郎厳勝の不具廃嫡、豊臣家による所領の没収、
新次郎の長男、久三郎純厳の死など、柳生家に辛く重い苦難が襲い掛かる。
だが、徳川家康の招きに応じ、「無刀取り」を以って家康に指南を請われた際、
末子・又右衛門宗矩を推挙したことで、再び柳生家にも光が差す。
その後、関が原の戦にて徳川家に味方したことにより、柳生家は旧領を回復、
更に家康が幕府を開いたことで、宗矩が将軍家剣術指南役となり、
柳生家、そして柳生家の新陰流…「柳生新陰流」は、一気に繁栄の路を進む。
そして、柳生家の家督を宗矩に、新陰流の正統を兵庫助に継がせた石舟斎は、
慶長六年(1611)、78年の生涯に幕を閉じたのであった。
【第2部前編(その12～24)のあらすじ】
石舟斎の死後、宗矩は正式に家督を継ぎ、新たなる柳生家の当主となった。
またその翌年、柳生庄にて宗矩に待望の嫡男・七郎…後の柳生十兵衛三厳が誕生する。
そして、大坂の陣による豊臣家の滅亡、一代の英傑・徳川家康の死を以って、
戦国の世は完全に終りを告げ、新たな時代「江戸時代」が始まる。
その新しき世において、柳生家は将軍家指南役となった宗矩の「江戸柳生」、
尾張徳川家指南役となった兵庫助の「尾張柳生」の二家に分かれ、
宗矩は「坂崎事件」を解決するなど、剣術指南の枠を超えた才を発揮し、柳生家を発展させ、
兵庫助は新たな時代の剣、「直立たる身」の工夫を編み出し、新陰流を発展させる。
その後、時は寛永・三代将軍家光の世に移り、尾張においては後の柳生連也斎厳包こと新六が誕生、
江戸においては十兵衛が小姓を致仕するなどがあったが、その末に、遂に宗矩が諸大夫成を遂げる。
「柳生但馬守宗矩」がここに誕生したのである。
【第２部後編(その25～68)のあらすじ】
晴れて但馬守となった宗矩だが、知己の禅僧・沢庵が紫衣事件で罪に問われ、
また自身も主君家光より難題を出されるなど、次々と苦難が立ちふさがる。
だが、大御所・秀忠の逝去によって赦免された沢庵より「剣禅一致」を説いた「不動智神妙録」を受けた宗矩は、
真の大将の剣、『活人剣・治国平天下の剣』を確立することに成功、これを家光に教授し、信任を確かなものにする。
そして、宗矩の惣目付就任、柳生藩一万石の大名への立身や、
柳生新陰流の全国への広がり、嫡男十兵衛の赦免など好事が続き、
途中、江戸時代最大の一揆「島原の乱」の発生や、次男刑部少輔友矩の夭折など、暗い影がないわけではなかったが、
その剣才を開花させ始めた七郎兵衛厳包を得た尾張柳生家も含め、柳生一族は繁栄の絶頂を迎える。
しかし、寛永という時代が過ぎた後、友である沢庵の入寂を追うように、
柳生一族を繁栄に導いた男、柳生但馬守宗矩も、遂にこの世を去ったのであった。
【第３部(その69～72)のあらすじ】
宗矩の死後、家光の差配により、十兵衛、宗冬は遺領を相続する。
分知によって、柳生本家は旗本落ちとはなったが、家督相続は認められ、十兵衛は新たな当主となった。
同じ頃、尾張では、宗矩の後を追うように、兵庫助が亡くなる。
流派の道統を厳包へ、家督を利方へとそれぞれ継がせ、己の役目を果たし終えての大往生であった。
その後、江戸柳生家に、「十兵衛の突然の死」という災難が襲い掛かるも、
家光のはからいにより、宗冬が本家を相続する事を許され、なんとか生き残る事に成功する。
そして、慶安四年、病床の家光の慰みとして「慶安兵法上覧」が開かれ、
宗冬の他、利方・厳包の兄弟も兵法を披露、それぞれ面目を保ったのだが、
その僅か後、三代将軍・家光は息を引き取ったのである…。
136 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/10/31(月) 03:29:30 ID:t4hNOaOw0
少し時は戻り、慶安四年(1651)四月二十日、
将軍・徳川家光は危篤状態にあった。
::::::::::::::::::::::::! { {从 |||ii __〉
:::::::::::::::i::::iﾘ Y :i f ………ｺﾞﾎｯ…
:://:::::::iﾉﾉ .! u ィ
从从从 ′ …さ、讃岐よ、いるか……？
u ＼ i
; ; u. , ----- '
; ; i
. i / γ´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣｀ヽ
. u. | ／ ＼__ l 上様、讃岐はここにおりまする…！ |
＼ ./{ ｀＼. ＼¨''‐..,,_ ヽ、＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ﾉ
∧ 〉 / ∨ ＼ ∧
. ∧￣￣｀ヽ′ ∨ ＼ ∧
∧ ', ∨ ∠＿ﾍ
. ∧ ', ∨ |｜
＿＿ ∧ .u ∨ .| .!
／ .∧ ∨ | ′
／ ∧ ',. ∨.｜',
. ∧ i＿＿', ! i
＼ ∧ ／ .i .|
＼ ﾊ￣ u. | i |
＼ i i .| | |
. ＼ l | | | |
∨ | | | | |
徳川家光
（とくがわ いえみつ）
昨年より病がちな状態が続いていたが、前夜に様態が急変したのである。
137 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/10/31(月) 03:30:04 ID:t4hNOaOw0
家光の様態急変を知った諸大名・旗本達は登城していたが、
既に危篤状態にあった家光に目通りすることは、御三家当主達ですら叶わなかった。
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γ ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ.:.:|||.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:||
｜ …最早、御逝去は避けられぬか |.:.:|||.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:||
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138 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/10/31(月) 03:30:29 ID:t4hNOaOw0
|::::::::,.-―――-､:::::r――-､::::::::/
|:::/ |::::| ',:::::::,'
i::::::７ |:::| }::::::i.
.|,.-〈 气圭≧x､.|:::!,x≦斗 <,..-| 不幸中の幸い…と言っていいのかわかりませんが、
L_ヽ! ヽ__υ_/ .|/ヽυ__/ .//. ! 上様は御病気になる事が多かったですから、
.ヽ./ﾍ /､ ./ .急な混乱だけは避けられそうではありますね。
､ヽ_ﾍ. .' u. ..ir' /
`┬ﾍ -ー- /T′
.| ＼ . ／ |__
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.＿_| ｀''-..,,＿＿＿.,.-''" .|＿＿
/ | | / ヽ
尾張徳川家・徳川光義
（とくがわ みつよし）
|
/.| .l |
/ .| l |
/ | ! !
/ 」 」 .|
,r__´ ,;_,.... ヽ.
,. ´ -‐ヾ " -‐' ヽ. …確かにそうだけど、
,' . _＿__ u. } それ、外で言うんじゃないぞ。
', ,.'
ﾞ､ ,. '
,.-'' ﾞ ‐- _____,..ィ"ー...､
,rく ; l |ﾞ''--------ｧ'ツ'´ }｝
/へハｒ''ﾆT¨て￣ ヽ､ l／⌒ゝ .ハ
ｿ ┴''" | ゝ.＿.. >' 丿ヽﾉハ
水戸徳川家・徳川頼房
（とくがわ よりふさ）
,.. -──- ..,_
／ ＼_
/｀'ｰ─-､-─'''二二__ヽ
|´ _ﾆ-‐´￣ ＿＿ |
|´ ＿_ﾆ二..,,,,＿_￣￣}
ヽ｀'ﾆ-､_レ'￣ ‐､ ／ ￣ヽ{_,.-‐'´/ .なんにせよ、ようやく天下も安定したのだ。
`l ｀ヽ'‐'Ｔ'‐- _ | _ -‐-､__/ ／! / 万が一に、ここで揺るがせては、父や兄に申し訳が立たぬ。
`l, <.| l_＿__･>‐<・＿__/ .// /
`l､ ヽ| -‐´ |､｀‐- ./ | / そのためにも、我ら身命を賭して働かねばならぬ。
`l＿| lﾉ /_,.‐'´￣｀＼ よいな？
_,.-''´ヘ l'､. ´￣｀ /´-‐__,..-‐ 丶.
/´ ￣￣＼L＼＿__ ,...-‐´￣￣ ヽ ./￣￣￣￣￣￣￣ヽ
/ ／￣ ￣￣￣￣＼ .| 「「はっ！」」 |
>､ ／/ ,..-‐' 乂＿＿＿＿＿＿＿/
￣￣￣７ ＼ | ヽ _,..-‐'´
＼ ＼ -─一´￣￣
.紀州徳川家・徳川頼宣
.（とくがわ よりのぶ）
139 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/10/31(月) 03:31:03 ID:t4hNOaOw0
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140 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/10/31(月) 03:31:25 ID:t4hNOaOw0
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｀!i{‐-_､ﾍ:::}´ｨｒ;z=ャｭ |;;;;l:|´ };;;;;;l};l.li;::1 …皆様。
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. ヽ " .,ィ .／ ヘ;;;;l.l;;;l::::!
` -＜ ／ ,／ミミゝ;:!,.
_,=≡／ 人 /´ ／ムﾎfヲ苑盆z､
_,xl盆fﾎ/ /` /∧ / ￣｀ヽホミz､_
,xﾀ壬ｼ'¨く_ ヽ.／/ﾀ ゝv´ / f ´ }
酒井讃岐守忠勝
. （さかい さぬきのかみ ただかつ）
∠ _:::::__ ------- ＼
／_ -=≦ ￣￣〕iト . ﾍ
, '_ __ ＿＿--- _ へ,
/ ',. ＜,. ＜＝＝-- ￣〕iト .／ ,:!
/／／- ￣￣￣￣￣｀ ､ ／ ,.ｲ i｜
/ ／ i , ' _,. r‐‐ ' ／ ／ :! ﾘ }
,j ' - _/ ,.ｨ｡_, ノ u 〈:::. / / ………讃岐。
八_弋_ ｡y ` ´ 「:: ノ / / .上様は…？
∧:／__ u γ⌒ ／:ﾝ
ﾟ,｀ヾ⌒ - ､',:. !＞ ' ｛ ＿__
i .: ´ r─:.. 从 ,. ＜二〕iト . ＼ __
ヽ ,:',. ＜ }／
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141 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/10/31(月) 03:31:51 ID:t4hNOaOw0
そして──
γ´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣｀ヽ
l …ただ今、御遠行されました。 .|
ヽ、＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ﾉ
_ -───- _
, '´ ｀ヽ
／ ＼
/ ヽ
/ __, ィ_,-ｧ__,, ,,､ , ､,,__ -ｧ-=彡ﾍ ヽ
' 「::::::::::::::::::::::::::::{ハi::::::::::::::::::::::::::::::::::} l
| |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| |
| !::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| |
| │::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〈 !
| |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::} ,'⌒ヽ
/⌒!|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| i/ ヽ !
! ハ!|::::::::::::::::::::::::::::::i:::::::!::::::::::::::::::::::::::::::::::||ヽ l |
| | /ヽ!:::::::::::::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|ヽ i !
ヽ { | ! |ﾉ /
ヽ | _ ,､ ! , ′
＼ ! '-ﾞ ‐ ﾞ レ'
｀! . /
ヽ ´￣￣￣￣｀ ./ |
|＼ . ￣￣ ., ′ !
| ＼ ／ |
_ -‐┤ ﾞ､ ＼ ／ ! l |`ｰr─- _
_ -‐ '" / | ﾞ､ ヽ ＿___ '´ '│ ! | ﾞ''‐- ､,_
慶安四年四月二十日・申刻(午後4時)、
徳川幕府三代将軍・徳川家光は、48歳でその生涯に幕を下ろしたのである。
142 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/10/31(月) 03:32:22 ID:t4hNOaOw0
,,..-――-..,,_
／:::::::::::::::::::::::::::｀ヽ_
/::::::::::::::::,.-――,.-'" {
r'‐''"二二二_,,.-'"'"´,ｨ ゝ
}_,,..-‐ ,.-''"=―― ／ |―ヽ …そうか。
〈-― ',..-''"￣ //､ |―-.〉 .…御遺言は？
〈,.-'" ＿＿__//_ l | {
〉' ,..-''" ／ ヽ.l /￣ ヽj
`l´ _,,.イ r/ / ￣ ＼,.-''"｀ヽ、 ,.-'"
ヽ `’‐′ u ､_/ ,.-'"´￣｀ヽ／
/_ | /_ -‐- ／
`つ j ,.-'"´ ／ _,,..-
＼＿_／| ／ﾆ=､ ／ ,.-'" /
＿∠ -''"￣ ／ ／／ .|
/ ,,.-'/ .／／ |
// ／ / ／
l {{ _,,..-―// /,--､
〈 ｀''-..,,__／ ／/ ／ l｀''-.,,
`ｙ´/ ／ / ／ / ｀''-..,,_
_ -=ｨ＝- __
／￣::, ,. ＜:::::::／:::::::::::::::::::::::〕ﾄ､
. , ':::::::::::::::,. ｲ／:::::::::::;::'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ-､
/::::::::::::::::/..../::::::::: : :/:::::::::::::::;::::::::::::::::::::::::::::::::∧
. /:::::::::::::::〃 ７::::::::::::::/:::::::::::::::::':::::::::::::::::::::::::::::::::::∧
/:::::::::::::::::i i. /::::::::::::::::i::::::::::::::::::|::::::::::::::::/:::;::::::::::::::::∧
,:::::::::::::::::::::|ﾊ,i::::::::::::::, ﾍ::::::::::::::::::i:::::--:::/_:/|:::::::::::::::::::∧
. i:::::::::::::::::::::,iV |:::::::::::/.ﾊi:::::::::::::::::::V::::/:///`i:::::::::::::|:::::::::::,
|:::::::::::::::::::,'/ﾊ {::::::::〈 ::::i::::::::::::::::ﾄ､弋芯｀ヾﾘ::::::::/ｲ!::::::::|:| 御預かりしております。
|::::::::::::::::::}'∧ i ヾ:::::∧ヽ !::::::::::::i:| ヾ 厶ｲ::/fﾘ7::::::::|:| ただ今、お伝え致します故、
|::::::::::::::::::}' | | ∨:::∧__!:::::::::::ﾄ､ ,／ ∨:::::::::ﾘ:| 皆様、御座間へお願い致します。
. i:::::::::::::::::| |ﾘ V::::::::/!ﾊ:::::ｉ:| 〉 :/:/ ﾘ
i:::::::::::::::::i ,:' ／:::::::/ ﾘ :}::::|:| __ _ ,:´::/|:::! 「わかった」
i:::::::::::::::::V 〃ｲ::::/} ./ Ⅵj ￣｀/::::/ .|::i
. V:::::::::::::∧ j/ /´ |::::::::＞ /::::/ Ⅳ
V::::::::/: ∧ / ＞ , ::::::{ ≧=' |:/ }'
∨:/::::::::∧ｲ ＞ , .i }'
／/:::::::::::::∧ト , ＞ ,{
. /:::/ V:::::::::::::∧ ＞ , ＼
143 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/10/31(月) 03:32:47 ID:t4hNOaOw0
家光が薨じた直後、まず御三家当主三人が御座間へ集められ、
年寄衆列座の中、大老・酒井忠勝より、家光からの遺言が伝えられた。
／
-‐…‐- __ノﾐく
'"´::::::::::::::::::::::::::::::::::｀丶､
'":::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
／::::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
. ／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼:::::::::::::::::::::::::::
. :::::::::::::::::::::::::::::::::::|:::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::Vハ::::::::::::::::
. /::::::::::::::::::::::::::::::::::: 、 :::: ､::::::::::::::::::::::::::::::|l:::::;::::::::::::::::
/ :::::::::::::::::::::: | :::::::::::`:::::::::`:::::::::::::::::::::::::::: |l:::::|:::::::`､::::
, :::::::::::| :::::::::::::| ::::::::::: `、 :: ､::::::::::::::::::::::::::::|l:::::|＼::::::::: .家綱様はまだ御幼稚ゆえ、
| :::::::::::| :::::::::::::|::::::::::::::::::`、::::＼＼:::::::::::∨:|l:::::|. ＼:::: 宗室の方々には天下万機の事を引き受け、
| :::::::::::| :::::::::::::|l::::::::::::::::::::＼:::::::＼＼::::::::∨__ノミ辷::::::: 輔導をお頼みしたい…との御遺言でございました。
| :::::::::::| :::::::::::::|l∧＼.:::::::::::〈＼＼l ＼＞＜＼＿ :|::::::::
. 八:::::::::::| :::::::::::::|l ∨l ＼:::::::`､ ‐≦くr‐=fさ丐ハ〕|::::::::
. ヾ:::::八:::::::::: 八￣￣≧＼:::::`、 '＾ -‐ゞ''’＾｀ :::::::::: γ´￣￣￣｀ヽ
. :::::::＼::::::::::: ､く¨夊ツ:|＼:::`､ ;::::::::: . l …承った |
. ＼:::::l:＼:::::::`、 | ＼:::＼ /:::::::::: 乂,_＿＿＿_ ﾉ
. ＼|::::: ＼::::`、 | ＼::::＼ /::::::::::::
. |＞-- ＼､＼ | ー― /:::::::::/
|::::::::::::::::`、￣ ＼ '＾ /::::::::://
|.::::::::::::::::::` /-‐ ´／
. 八::::::::::::::::::::::::> ⌒こ´￣ ｀ ／
`:::::::::::::::／ :＼ ／
V∧／ 二＼ ／ -=
-=二二二＼＿ .r≦二二
. ｢-=ﾆ二二二二二| |二二二
∨二二二二二二| |二二二
遺言は、当然ながら「幼少の跡継・家綱の輔導を頼む」という内容で、
御三家当主は落涙して退いたという。
144 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/10/31(月) 03:33:16 ID:t4hNOaOw0
次いで、松平越後主光長、松平出羽守直政、前田利常、
そして保科肥後守正之、松平隠岐守定行が召出され、それぞれ遺言が伝えられた。
_／￣￣￣￣￣ ヽ
／: : : : : : : : : : : : : : : : ＼
/: : : : : ,': : : ; : :: :､: :ヽ: : : ::',
/:: : :; : ::,': : : :l :l : : l: :l: l ､: : : ',
/: : :/: ;: :l :; : ::l: :l : : l: :l: l: l: : : :',
/:; : / : l :l!::{ : ::l: :l､: : l :l!: l :l ､: : ',
{!:l : l: l ; M;M＼l: :l llヽM;M: :l: }::; :}
l人: l l { 《弋歹ﾞ`､l "弋歹》 Y: :ﾊﾉ 肥後守様。
`､ ｀||从 ` l::リ .もう少し悲壮感のある顔はできませんかね？
. ||:∧｀ l: ト､
/|| ; ﾍ、 ｀´ / l!| 》
《》 ﾊ;;ﾙ＼ -＝- ／ｲﾙ《》
ﾉﾉ /;;;ﾉﾙ;; l` ､ ＿ , ィヾ､:ヽ `､
r‐‐ii"‐―‐､{:{ ﾄ､:::::||:::::;ｲ｀}:}｀ゞー―‐-､
/ ） || }:} `ｰ ‐'´ 〃/ （ ヽ
-'´￣￣￣ ﾞ '┛┗
.r´' ┓┏
.（ ,nヾ､＿､_､__､- l
π r .! .地顔だ、地顔。
（| ‐‐-､ll ll,.-‐‐ F-､j .大体、そんなAAないんだから仕方ないだろ。
.! i ∂!
i ､＿＿＿＿, .!- ' 「メタるのはやめーや」
.(二ヽ､_ ｀=´ _,ノ二二)
／ Y '|| （_ヮョヮ_〉＞ ヽ ＼
,´ i || >',〉llll〈/< 〓〓.l ',
保科肥後守正之
（ほしな ひごのかみ まさゆき）
なお、保科正之については、家光より「肥後よ、宗家を頼みおく」と直に遺言されたともいい、
以後、家綱の側で補佐を勤めることになる。
145 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/10/31(月) 03:33:39 ID:t4hNOaOw0
その後、譜代衆にも二心なく大納言(家綱)に奉仕する旨、遺言が伝えられ、
在封の者達にも、俄かに出立することなく、指示があるまでは封境を守り、
参府しないようにと伝達が出された。
,．-─-､
ljﾆ ii!ﾆ, i! くっ…、
j:!,,, ",,,, ﾘ
なんということだ… .`i`"ﾑ" ′
__」､二,ｲ;L＿_ r'.::::::ヽ
,｡::::::ヽ ,r''"´.:::::::l 爪 !::::::::::.:｀ヽ .〈,ﾊj;､ ,! 上様…！
ｲ`ヾｼ !.::Lﾆ二!.::`ー '.:::ー- 」:::::i `i ｀Y
,ﾊ__/ r─､ |::::::::::::::::::::::::::::::::::(9:::::::::::::| r─, ﾄ--ｲ L__
.::L_j::::.､ !｀`ﾘ |:::::::::::::::::::::::::::::::::::爪.:::::::::::| !´｀,! , イ.:ー'.:::::::::::
::::::::::::::::i _,ﾄ-ｲL,,,,!::::::::::::::::::::::::::::::::::l l」.:/￣ |.::::::ﾄ-ｲ::::､ /.:::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::| /.:::::ー'.:::::.:::::::::ﾄ､:::::::::::::::::::::::::::::::l ＿」:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
.::::::::::/ ].::::::::::::::::::::::l:::::::::| ﾞ,::::::::::::::::::::::::::::::l::::::::l:::::::::::::::::: 「」::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::/.::::l:::::::::::::::::::::l ]::::::::| i:::::::::::::::::::::::::::::;::::::::::::::::::::::::::::i:::.:::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::l l:::::|::::::::::::::::::::::::|::::::::| に´￣￣￣￣l:::::::::::::厂￣￣!:::.:r────ｲ:::::
家光の死は、翌二十一日、全ての大名・旗本が登城した場で、正式に発表される事になる。
146 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/10/31(月) 03:34:05 ID:t4hNOaOw0
その夜──
＿,-ｰ'´ `'´＜._
＞ ＼ l ＼
_∠´ ＞Nﾚ' ヽ_
／ 1‐-
/.::: ..: ',
/::::.: .:/ ...:: ..:/ l: l:. ﾍ､
/ｲ:::: .::/ ..::::/ ／l / ﾉ ＼ヽ::..:. :. :. l:. l`ヽ
l.::イ .:::::::/:／ ﾚi /:: /_.. -ｰ＼‐､l:: l:. ∧! …さて、みんな。
j:::::l .:: .::://ﾅ . :: /:/l::/7Z=サﾅ‐ｬ.〉l:: |:ﾘ ' 申し訳ないけど、家綱様の事を頼むよ。
ﾉ:::::|.::ﾘ l.::/ -=＝-､ﾞ:/l´ l/ " ヾ-' " /f`|! |'
／-イl::i:l´ﾘl/X ,, ｀ /)ｿ:l::ﾘ 僕はもう、「行かなきゃ」ならないからね。
l:/::|::::|､Kﾍ 〈L /-'/|/
/´l/ヽ:l::::::::::＼ ｰ- - -一' , '::／
ﾉノl/V|::::`-､,. ／l |/′
.-ｰ-|:::`' -､_,／ .ト､__
/i7:::::ﾉ::::::.. ',l l
|::: ｀ｰ､_::::::.. ..::r'´ ﾄ､
_/´ﾚ::: /｀ｰ`):::-､:. -‐十⌒〉 ＼｀ｰ､
／∠´-ｰ┘::::「{...＿___.. -‐|! く.__＿＼ ｀ヽ、
_,.-''´ .了 ／ |::三＝ー￣:|:＼ ｀￣､ ｀ヽ、
_,.-'´ _,-'´ ｀ヽ､l､::::::::::::::::::::/:／ ｀`-､ ｀ヽ
.堀田加賀守正盛
（ほった かがのかみ まさもり）
_ -=ｨ＝- __
／￣::, ,. ＜:::::::／:::::::::::::::::::::::〕ﾄ､
. , ':::::::::::::::,. ｲ／:::::::::::;::'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ-､
/::::::::::::::::/..../::::::::: : :/:::::::::::::::;::::::::::::::::::::::::::::::::∧
. /:::::::::::::::〃 ７::::::::::::::/:::::::::::::::::':::::::::::::::::::::::::::::::::::∧
/:::::::::::::::::i i. /::::::::::::::::i::::::::::::::::::|::::::::::::::::/:::;::::::::::::::::∧
,:::::::::::::::::::::|ﾊ,i::::::::::::::, ﾍ::::::::::::::::::i:::::--:::/_:/|:::::::::::::::::::∧
. i:::::::::::::::::::::,iV |:::::::::::/.ﾊi:::::::::::::::::::V::::/:///`i:::::::::::::|:::::::::::,
|:::::::::::::::::::,'/ﾊ {::::::::〈 ::::i::::::::::::::::ﾄ､弋芯｀ヾﾘ::::::::/ｲ!::::::::|:| …ああ、そうだな。
|::::::::::::::::::}'∧ i ヾ:::::∧ヽ !::::::::::::i:| ヾ 厶ｲ::/fﾘ7::::::::|:| .「あちら」での御勤め、よろしく頼む。
|::::::::::::::::::}' | | ∨:::∧__!:::::::::::ﾄ､ ,／ ∨:::::::::ﾘ:|
. i:::::::::::::::::| |ﾘ V::::::::/!ﾊ:::::ｉ:| 〉 :/:/ ﾘ
i:::::::::::::::::i ,:' ／:::::::/ ﾘ :}::::|:| __ _ ,:´::/|:::!
i:::::::::::::::::V 〃ｲ::::/} ./ Ⅵj ￣｀/::::/ .|::i
. V:::::::::::::∧ j/ /´ |::::::::＞ /::::/ Ⅳ
V::::::::/: ∧ / ＞ , ::::::{ ≧=' |:/ }'
∨:/::::::::∧ｲ ＞ , .i }'
／/:::::::::::::∧ト , ＞ ,{
. /:::/ V:::::::::::::∧ ＞ , ＼
遺言の公開が済み、年寄達のみとなった後、
堀田正盛は他の年寄達に挨拶し、その場を立ち去ろうとした。
147 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/10/31(月) 03:34:35 ID:t4hNOaOw0
, ../', .
.､､ ..,'.', ./ .| ,,
.ヽ＼ ..､'ｰ､_ ../＜~ヽ,..､__／/
ヽ ﾐ､_ノ) .`:＿,,ﾉ ..'` ヽ'
..1 ./'' ´`､__,,,,, ..rｰ'ﾆ=く､
| ／ ,,｡ .ヽ‐･" .`~´､____,)
_,,ノ,.' ノ ..,､__,.,,｡‐‐ ..ヽ
`ヽ.´ｰ‐''ﾌ´ r'ｰ'~´..__,,,a ..iｪｪｪ´'ｰ,
..| ／´ ,, ||＼ __|j~j ..|f､ r´
ノ,'_,,ｮ,〆j .|'~~ ____ ~ `.）i/
.＜´.~ ..| ..|.iﾞﾞﾞｰ‐､_ヽ､_／／|
`､__ `ﾞﾞｴ･´ '､`ｰ‐'~ .￣..`'ヽ､
)~ ヽ､ ,,,,,,,,,､ .＼_,･‐ｪ~' ノ.j,'
./ .〉､_ `i ix´~ヽﾞﾞ／_,,,｡´ｪ'´
.c' ,/.,| `ｰ' ..__,,,,‐',･'ｰ'･ｰ､､(
..,i ／.'´ゝｪｭ ../､‐ﾞﾞﾟ´,,,. ,,,Jjヽ､
..| /./´ / ..ﾉﾉヽニ〆,*´~‐´_,･‐
..| |/‐､ / //／.´､____ノﾞ'￣ヽ`｡
..i´ `j,i ..r´ ..//..|､. ..,,ﾉ..ﾉ
..ゝ__／,ﾞ／~､__ノ/,｡‐､ｴｪﾆﾆﾆﾆﾆﾐv'､'
''´ .| /´ ヽ ../ `＼ヽ
|./ ヽ/ `'`
`' ..'
.
148 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/10/31(月) 03:34:53 ID:t4hNOaOw0
だが、ここで予想外の事が起きた。
_ -
, '"
／
ん | !''! !'''、ヾ "!、
//ﾙ |.! | | 人 ヽ,,''!,,弋
〃;;;i '!!, 代 !i、＼|ヽ!ヾ !
!! ;;;|. 'ヾ、ﾞ ﾞ.:;;;;iiiiiiii!!!!!!"" ヾ,
! !,;;ii||i;, ﾞ 〃;杰;"ヽ "､
"!?段;, ._ヾｼ- !. /
":;i|i; ,,// ///" !/ 加賀殿、ちょっと待ってくれ。
;;/ 私も同行しよう。
/
ヾ;;;:-
i、 _,, - _=-
i、ヽ-'''
i、 -‐'' ' ／
i、 ,,-'
. / i、 _,.-i;;
〃 ヽ--‐=|!!!;:
!!;:
!"
阿部対馬守重次
（あべ つしまのかみ しげつぐ）
年寄の一人、阿部重次も、正盛に同調したのである。
149 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/10/31(月) 03:35:22 ID:t4hNOaOw0
これには場の全員が驚き、正盛も含め、全員で重次を止めようとしたのだが…
､、
,. -―-､ゝヽ_,. -―- ､
,:くr '´￣｀' '"´￣ ｀ヾゝ､
/::/ , ｀ヽ ヾ::ﾄ、
.,'У / / l|! ,, ', ヽヾ !
l/ i i,' / i、 |li /! ,ﾘ ﾄ、, l ヾ!
,' , | l /l |/|ﾄ、l|/ l/､Llィ | l , 」
/!i | l l/ｧ=ﾐﾅ | l/ ﾘｨ=ﾚ<!l l ,!ﾄ ちょっ…作十郎殿！！
ﾘ | /ﾘ{'l ') l ` |/ / ﾊ ') ﾉlﾊ, ,'/ﾘ 何言ってるんですか！？
|/!/l' l||liiT´ i:. ￣´ﾉﾘ!l/ﾊ!
丿ﾚK ''″ ' ι' /,ｲ/
ﾘゝ、u ,.=＝＝ｭ ,ｨ7/
|>､ ｀"二"´ ,ｨlﾌ|/
ﾚトi 、＿ ／lﾘ＿
. r‐=ｷ| '､７ ヽ-‐ '
阿部豊後守忠秋
（あべ ぶんごのかみ ただあき）
＿,､､_ ', ｉ ／ﾍ､
´ _,∠￣ゝ| l7〈-‐z__
, ‐'＿, - '´ l ７ﾍ ‐=､‐`､
ﾉ／ ／'´ , /| l ＼｀
// ／ / ／/ j l | l ヾ' ､l
. . ﾉ／ / ノ, /7/l`,ﾊ! jﾊ_}､i ﾄ l
イ/ /l∠､ｲ/ /''弋^}/（Lj,l/ !ﾘ そうだよ対馬殿。
/／ 八'Ｋ!{l 'ｲ ﾉ!|′ .僕はともかく、何故君まで…！
／ _/ rゝィ u -‐ ￢ /
´￣/ｲ/／, ! ` /
´ｿj/ﾚ| ｉ r一′
r‐┴ ､l |
_∠、 7ｉ {ｰ ､
_, ‐ '´ l 丿,ト ヽ、 ＼
f´￣ ｀ヽ
, -='´ ￣`´￣ﾞ` ､
／ , " ＼
〃／ ヽ
y´ , ､ ､
／. ..::／ .::,.' .::＼ ',
. ,' .:/:. .,'..::/:. .:::/::. : .:::}:::::ヽ:. ∨l
{::/:::::. :/.::/:::: .:::/:::::. } .:::/::､::::|:::. .:|::| そうだ、対馬殿。
. |ｌ::::::|:::i:::::|:::::/ｌ/ |::::::.|.::/ |:::|::::l:::::.:::!::! 加賀殿はわかる、当然だ。
{:::::::{::ﾊ;::l:::/､l__∧:::::!/__,!:∧::!::l:::::ﾚ' .だが、何故お主まで行かねばならんのだ。
. ｉへ:l:|:::l::|/ｲｴﾕ` ﾍ:::',"ｲｴﾔ!ｲ::!:::/
li:ｌ:::l::l ﾍﾍ l/::::| . 家綱様をお支えするために、
i|::::l::! u `'＼ !::::::|. これ以上、幕閣が減るのは避けねばならぬ。
,r── {::::从 ` ' ｀ ∧:::::!｀､─‐､ お主も年寄の一員であるならγ´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣｀ヽ
/ /￣ﾞ｀,.＼ fﾆ ユ ∠"¨￣;;;;;} ', | …私には、理由があるのです |
/;;;;／爪 ＞ イ 爪＼;;;;;;;;| ゝ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿__,乂
150 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/10/31(月) 03:35:56 ID:t4hNOaOw0
口々に止める皆に対し、重次は、次のように語り出した。
:::.:::.:.:.::.:.::.::.:.::.:.:.:.::.:::.:.:.::.::.::.:.:.::.:.::.:.:.:.::.::.::.::.::.::.:.::.::.::.:.::.::.::.:.::.:.::.:.:.::.:.::.:.::::.:::.:.:.::.:.::.::.:.::.:.:.:.::.:::.:.:.::.::.::.:.:.::.:.::.:.:.:.::.::.::.::.::.::.:.::.::.::.:.::.::.::.:.::.:.::.:.:.::.
..:..:.:..:...:.:.:..:..:.:.:..:.:..:.:.:.:..:..:.::..:.:..:.:.:.:.:..:.:..:..:.:.:..:..:..:.:.:..:.:.:..:.:.:.:..:.:.:..:.:.:.:.:.:.:..:..:..:.:..:...:.:.:..:..:.:.:..:.:..:.:.:.:..:..:.::..:.:..:.:.:.:.:..:.:..:..:.:.:..:..:..:.:.:..:.:.:..:.:.:.:..:.:.:..:.:.:.:.
〃 i, ,. -‐
r' ｨ=ゝー-､-、､r=‐ヮｫ.〈 ／
! :l ,ﾘ|} |. } / .や 使 高
. {. | ′ | } l
ﾚ-､{∠ﾆ'＝=ｧ ､=＝ﾆゞ< | ら 者 崎
!∩|.}. '"旬ﾞ` ./''旬 ` f＾| |
ｌ（( ﾞ′｀￣'" f::`￣ |l.| | な を へ
. ヽ.ヽ {:. ｌﾘ |
. }.iｰi ^ r' ,' ノ い の
!| ヽ. ｰ=＝=- / ⌒ヽ
. ／} ＼ ｰ‐ ,ｲ l か
__/ ∥ . ヽ､＿!__／:::|＼ ヽ ...................................
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､ ヽ ::::::::::::::: :::::::::::::::
|ヽ ﾄ､ ﾄ､ ﾄ､ ､.`、 ::::::::::::::: かつて、上様の御世初めの頃、 .:::::::::::::::
/|l. l. | |l l | | l |l.| |l. l ::::::::::::::: 駿河大納言様の一件で、私は :::::::::::::::
/' j/ ﾉ|ﾙ'/ﾚ〃j/l | ::::::::::::::: 上様直々に密旨を命じられました。 .:::::::::::::::
-‐7" ヾー---┐|_.j ::::::::::::::: :::::::::::::::
￣ ./ﾞﾆ,ﾆF､'' ｌ _ヽ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:: ,.,. |ヽ 」９L.` Ｋ }.| （高…崎…！ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
ｌ' ｌ ) / ……忠長様！） ...................................
ｈ､,.ﾍ. ﾚ'/
ﾚ′
r.二二.) /
≡≡ ,ｲ
. ／ !
＼ ／ ├､
::::::｀￣´ / !ハ.
:::.:::.:.:.::.:.::.::.:.::.:.:.:.::.:::.:.:.::.::.::.:.:.::.:.::.:.:.:.::.::.::.::.::.::.:.::.::.::.:.::.::.::.:.::.:.::.:.:.::.:.::.:.::::.:::.:.:.::.:.::.::.:.::.:.:.:.::.:::.:.:.::.::.::.:.:.::.:.::.:.:.:.::.::.::.::.::.::.:.::.::.::.:.::.::.::.:.::.:.::.:.:.::.
..:..:.:..:...:.:.:..:..:.:.:..:.:..:.:.:.:..:..:.::..:.:..:.:.:.:.:..:.:..:..:.:.:..:..:..:.:.:..:.:.:..:.:.:.:..:.:.:..:.:.:.:.:.:.:..:..:..:.:..:...:.:.:..:..:.:.:..:.:..:.:.:.:..:..:.::..:.:..:.:.:.:.:..:.:..:..:.:.:..:..:..:.:.:..:.:.:..:.:.:.:..:.:.:..:.:.:.:.
151 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/10/31(月) 03:36:29 ID:t4hNOaOw0
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..:..:.:..:...:.:.:..:..:.:.:..:.:..:.:.:.:..:..:.::..:.:..:.:.:.:.:..:.:..:..:.:.:..:..:..:.:.:..:.:.:..:.:.:.:..:.:.:..:.:.:.:.:.:.:..:..:..:.:..:...:.:.:..:..:.:.:..:.:..:.:.:.:..:..:.::..:.:..:.:.:.:.:..:.:..:..:.:.:..:..:..:.:.:..:.:.:..:.:.:.:..:.:.:..:.:.:.:.
_,r'´::::::::::::::::::::::::::｀'､. / 言 遠 嫌 対
{::::::::rr-‐-‐'^i::::::::::::::i. ! っ .慮 な .馬
ﾞl'´ﾞ《 __,,,ゝ:::r､:::::l | て し .ら ：
ﾄ=r;､ ﾞ"rｨｧ‐ﾘﾒ }:::::} ヽ い .な
ﾞi`"l ￣ ｿ::::ヽ l′ い い
ﾞi. ゝ^ , /ヾヾヾ､ ヽ, ぞ で
ヽ ﾞこ´ / ヽ､ ∠_
ヽ､ ／__,∠､ ｀'-､ ^ー――
｀ﾞｸ'ﾞ´ ｀ ﾞ'､ ヽ
/ 〉 ヽヽ
ｨ ヽヽ
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
| や い ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
/. り .い ::::::::::::::: :::::::::::::::
| ま え ::::::::::::::: その時、もし大納言殿を預かる安藤重長が.::::::::::::
| す ： ::::::::::::::: 密旨を拒否するなら、一命を賭して :::::::::::::::
_ - | ： ： :::::::::::::::... 御意を果たすと申し上げたのです。. ...:::::::::::::::
, '" ! ： ::::::::::::::: :::::::::::::::
／ 丶＿ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
ん | !''! !'''、ヾ "!、 |/￣ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
//ﾙ |.! | | 人 ヽ,,''!,,弋
〃;;;i '!!, 代 !i、＼|ヽ!ヾ !
!! ;;;|. 'ヾ、ﾞ ﾞ.:;;;;iiiiiiii!!!!!!"" ヾ,
! !,;;ii||i;, ﾞ 〃;杰;"ヽ "､
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152 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/10/31(月) 03:36:54 ID:t4hNOaOw0
ヽ j .す .こ
大. ﾞ, l. ご .の
き ! ', く 覚
い ', ', ： 悟
で ト-､,,_ ｌ は
す ! ｀ヽ、 ヽ、 ._/
； / ヽ、｀ﾞγ'´￣
/ ＼
! ﾄ, ヽ
ヽ__ ___ノ ,! | | ﾄ, ﾞ､
ﾚ'ﾞ ,ｲ ./|! .ﾘ | ﾘ ! .|! | ﾄ|ﾄ}
,ｲ ,／ ./〃/ / | / .ﾘ/ //ｲ|.リ
/／ ／／ノノ //ﾞ ﾉ'/／//|.ﾘ/
´彡'ﾞ,∠-‐一彡〃 ト.､,,,,,,,,,,,ﾚﾞ
二ニ-‐'''"´ /｀二､ﾞﾞ7 …この時、私の命は、
,,ｧ''7;伝 ` {.7ぎﾞ`7ﾞ 既に上様に捧げていたのです。
ゞ‐ﾞ'' ,. ,. ,. ｌ`'''ﾞ" ,'
〃〃" ! | .命を捧げた主亡き今、
! ｌ 私に出来る事は、ただ一つだけです。
! (....、 ,ノ ! どうか、お許し願いたい…！
j `'ﾞ´ ,'
ｰ--＝==ｧ /
_ ＿ ./
＼ ｀￣ ,/
` .､ /
:ﾐ:ｰ.､._ ／｀`'''ｰ-､
`ﾞ三厂´
153 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/10/31(月) 03:37:22 ID:t4hNOaOw0
,.-'", ィ"´:::::::::::::::::Y^ヽ , ‐:''"::::::::::｀丶、
／ ／:::::::::::::::::::::::::::/:::::::V:::::::::::::::::::::::::::::::
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,:' ,:':::::::::::::/::/::::::／:,:=､ l::::::::::l,:=:､:::::::::::::::::::::::
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/ /:://:::::/:::/::::/::,r'""~ﾞﾞ'i::::::::l'""ﾞﾞ`丶､;::::::丶',
,'/ /:i/ //::::/::::/／ l:: ::l .:.:.:.:.｀ヽ:::::',',
i′,':::l l ,'' .:/ｲ/::/ l: :l .:.:.:.:.:.:.:.:.:',::::::
| i:::l.:l l / /.::/ l:. .:l .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:',:::::
| |:::l:l / /.::/ ',::::l .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:',:::
| l:::::lｌ / /:'-―‐‐- ､、 ',:::l ,, -‐.:''"´￣',::
l ,!:::|l l l // _ ｀` ',:l .'´: __,, .:.:.:.:.:.',:
l /l::::|ll .::ll::::,' _,, =＝=ﾐミヽ ',:! ,':.:.:,彡=＝≡ミ、 そういうことなら仕方あるまい。
/ /| l::::|||::::ll::,' '´ ｀｀ ,ﾘ l;, .:´.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. この伊豆、大いに感涙したぞ。
/イﾉ! ',:::l|l:::::l:,' / |;, :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
／´,ノ/! ',::|::::::,' |;;, :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. では、行っていいぞ。
/ l ,l::::::::::l、 |;;;;, :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
_,ﾉ_/}',::::::::lヽ |;;;;;; :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
|_／l八::::::ト'ゝ、 ﾉ '" :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
ﾘ ノ ',::::lWﾊヽ、 ､＿ .:.:.:.:.:.:.:.:＿, .:.:.:／
l::::l▽／｀>、 丶'´￣￣￣￣￣｀ン´.:イ^'
|::::|イ 〈::l ＼ ｀丶 ＿＿＿ ,. '´／/!:〉:.:
|::::| ヾ 丶､ ､,,＿,, ／.:./:l/:.:.:
／{｀＞ 丶、 丶､＿＿／.:.:.:/:.:/.:.:.:
松平伊豆守信綱
（まつだいら いずのかみ のぶつな）
l| lﾘ /ｻ=l/`! /´liﾞ`lﾊ、 |li
l /l / / 0 刈/l ﾘ0/ ﾄ、/ﾘ
_/ 'ｲ:. .:. / l:. .:l ∨ 台詞と表情が一致してねえーッ！！
_＞u丶:_:_:彡 ヽ:_:_:彳ﾘ っていうか、その超上から目線やめろーッ！！
_＞ r‐､u＿__ゝ_,ιl!
＼u /_ｨ_r､, Mvy/u /
￣ /:::::::::::'´:.:.:.:/ /
/:::::::::::::::::::::/ /
重次の話を聞いた一同は、「げに尤もなり」と感涙し、納得したという。
154 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/10/31(月) 03:38:02 ID:t4hNOaOw0
／／ ／ ､＼
イ´ / ／ ヽ丶
/ / / / ／ ヽ ヽ
ノ/ / /／ ／ , .l
／,.ノ ,r'`ヽ / ／_,.／ ,ィ i l ,ﾄ､.l
∠彡 ! r >l /, ／ ∠-､,.／ / / / /! l | ヽl
ｲ l / l ゝ //／ ／Tヒj｀ヽ` / イ/l,/ | l/ .i
/// , ヽ､ / ｀ﾞ` /,ｲ ／/,ｲﾂヽ /! l /
ノﾉ .」 | l 〃／ l ┴' /┤ /l ｲ./ では、また後で。
∠ノ/ ﾊ l! ./ ﾚ' l/ﾚ'
＿,'イ i,/ `ヽ､. ノ ノ
/ ｀`ｰ-- ＿l ヽ ￣｀ ／
／ ｀ヽ､ ヽ､ ,／
<T ｰ─-､ .__ ＼'´ヽ､ , '
/´￣￣｀｀`─ヽ､ ヽ `
..,,､;:::''::"::￣￣`-.､
／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
〃:::::::::::::::::::::::::::::::: ::::::::::::::::',
｛/:::i:::i､::::i､:::ヽヾ＼ ::::::::::::::::i
｛!i::|ﾍ:!＼!＼!≧三ミ:::::::::::::::i
{｛,,,,ヾ､ ´"'¨せ ∨Cヽ:::! うん。
{ﾍ´f;ｊ｝ ´¨ るﾉ:::! では、また。
ヾ', i _ しﾍ:::l
', `" __, ./ ヾ
ヽ ￣ ., ./ : /;;〉ヽｰ＝￢
＼ ／ ; ／;;/タ://;;;;;;;;;
ヽ-ﾍ::: ／;;∠ク //;;;;;;;;;;;;
∨/;;;;∠ク i i;;;;;;;;;;;;;;
{ココ少′ ｌ ｌ;;;;;;;;;;;;;;
/￣ ! !;;;;;;;;;;;;;
かくして、堀田正盛、阿部重次の両名は、手に手をとって城を出、
お互い「やがてやがて」と挨拶をし合った後…。
155 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/10/31(月) 03:38:22 ID:t4hNOaOw0
:,: (/)
ﾉ霜斧ﾐx,゜ '´ _ノ(
(圭圭圭{!' (圭{
寸圭圭ｲ :';''' '´⌒
τ'{{7⌒∴：
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＿,ｨ( `'''´⌒'・
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炸圭( ,ィ升彡 ノ圭圭圭圭そ 。 佳圭心､_
⌒`寸ﾄ､ ,{抄'⌒ ﾉ斧ﾐ､ o ∴炸圭圭圭|iて ',∴ ･ _ノ佳佳佳て。
゜ ﾉ/ ⌒∴ ・ ﾉ(_ノ圭斥⌒',寸ﾐ､ ',.:,：･'｀¨∵¨¨⌒´
,,、 ／/ ノ( /少'⌒ ` ..,, _,.｡x≦少"・ ,ｨ(＿∴_,：･・
π_ノ心､_ノ(,炸||( ,,.,⌒ ・っ ∴ ･ ;,,ｨ炒⌒;. c=≠二,ｨ炸圭圭(;''
)圭圭圭圭圭ア ∴：¨'` ` ',∴ ･ ⌒ 寸筵τ'⌒``
τ｀Ⅷ:圭圭圭圭(_ノ廴 τミx｡、∴＿_ ノ廴_,ｨ炸廴ｨ
)}圭圭圭圭圭そ `⌒'・ __,ｨ圭掛x、∵ ,ｨ炸圭少⌒'・
_,ｨ炸圭圭才寸圭廴｡x:≦少"´⌒''''⌒¨∵¨´ ⌒¨¨∵：･
⌒`寸ﾄ､∴｀寸ﾐ､ ∵：･
`寸そ：¨'`沁っ
屋敷に戻り、それぞれ切腹した。
── 主君が薨じたその夜、寵臣であった二人は殉死したのである。
156 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/10/31(月) 03:38:55 ID:t4hNOaOw0
また、殉死者は彼ら二人だけではなく、他にもいた。
〃/ }/ { ' / ヽ { {
{〃 }/ ,八 { } ヽ 八
{/ / 〃' } } ヽ ∧ ハ `ヽ
. /＾Y.、 / 〃 / 人 ﾉ ﾊ ﾉ / 丶 }ﾊ ﾍ
/ / } .{ { { { ﾄ( (ｰ彡ｲ ノ)イノイ二二厶イ }
. / / / ゝヽ.トミ弋弋ヌ 〉==〈 /べツノ ／} { ミ=≠' )ヽ 両番のうち、小姓番番頭の方で、
/ / / _ } ト----' } ｀ ー─一 ´ トゝ ミ=-=≦イﾄ. 御側出頭の信濃守です。
. / / / （f＿乂 ∧ , ｊ ｀ミ=-＜ﾆ二ノ
/ / / ヽ -=彡 '. ヽ , 八 ﾄ､ ﾌ ､/ﾆヽ 上様への忠義と寵愛では、
＿_,/ / / /⌒7 /( ノ 八 ＿ ＿＿ / ﾊ ｀ﾆ=-く } ∨ } .私も年寄衆の二人に負けていません。
￣｀ヽ} / / ｰ=彡' } }丶. 二 ' { 丶 ｀ﾆ=- ' ,ﾉ .ノ
⌒丶､ }} / ′ 廴 ＿_人 } ヽ ／ ､｀ミ=- ≧=- 彡
＿ } レ / (( ﾉ ﾘ } ﾄ､＿,. イ ′ 〉、 -=≦彡'
} レ'´, / ｀寸彡幺イ ﾉﾘ,ﾊ| / / ゝ 二ニフ´
｛___／ / { _／ ｰ=彡' / | / / ｀ ､
内田信濃守正信
（うちだ しなののかみ まさのぶ）
/ /:::::::::::::::／ ＿ ＼
／／::::::::::::／ ／＿ 冫
/ /::::::::::::／ ,;´ "|□匸二 了
ゝ L:::::::::::Ｌ＿＿ ..z：： ‥"´￣＼ `､＼ _
＜:::::::=ﾆ二::::::::::::::彡",ｨヽ、､＼ へ ＼ ＼__ 二ﾆｨ .ども！
厂ト､ ｀ゞ_ﾄｪ,,＼ヽ rﾋ壬iゝ＼、ﾍ ﾄ＼ ヽ、 、＼ 両番のうち、書院番番頭の方の土佐守です！
： ; | `ｬ依l ＼､｀ l/ 」ヽ ﾄ ､. ＼
; :; | ﾔ｜ ｢r| ＼ ヽ ｀ ヽ .俺は病気の身だったから
_厂ヽ | : :| ヽ ―` .,ｨ / ,/ｫ ハ｀ .＼ ｀ 今度こそ活躍しなきゃなあ！
r" :; Y ヽl ; | ＼ﾔﾆﾆ" ､ ／ :; l /―┐ ｀
| ; : 冫￣ コ ＿ Ｖl |＼ lゝ´/ ,:／ " ヽ
ヽ__ト┘ﾋ二二ﾐ｜ / ＿〕 ヾｰ`ヽ ::／ ＿__｀:ｭ
ﾄ､ ヽ ＿ Ｙ / ┌──ｧく冫´ /´ ＼::::::::＼
| ｀:; / ∨ / ／ Ｃ＾.::＼ c/ ／ ＼:::::::::..＼
ヽ У ／ _/ , ｲ::;;;／ ＞､ ／ ＼:::::::::::::::ヽ 、
∧＿ヽ ＿ / ┌:什 / ﾚ´::::/ / ／ /"￣￣ ＿＿＿＼
∧ ﾌ / ／ / У Ｃ::::::/ ／ / ／ |
/｀ ミ二二ﾌ ／ | / /::::::::/ ／ / ／ ／´￣￣ 了
三枝土佐守守恵
（さえぐさ とさのかみ もりしげ）
家光の近衛師団ともいえる両番(小姓番・書院番）の番頭である内田正信、三枝守恵も殉死している。
157 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/10/31(月) 03:39:30 ID:t4hNOaOw0
殉死者は、前述の四人のように高位の者だけでなく、比較的低い身分の者にもいた。
＼:.., j!:.:, ヽ j /三＞'" __, j ///: : :ﾊ
ヾ.:., } ! .:し.:.:., ｝ し ノノノ ,. -‐ '" j l し ∨: :ﾊ
＼! j { .:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ { _,.:クク,r" , -､ 〃/ ∨: :ﾊ
ヽ} し' :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.} ゝ=ﾆ＞'":.:.彡 乂ソ -'´ }: : : } .えっ！？
ヾミ≦三≧=―---'ゝ、ヽ_ |:.:.:.:.:.:.:.:r'´￣:.:.:.:.:.: j{ ｌ /l: : : :| 出てきていきなり死ぬのかよ俺！
ゝ三＞'" ￣二ニ'､:.｀':, ｀ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: し' | / |: : : :!
ヽ -='" rftヽ, ゝ | ｀¨¨¨:.:.:.:.:.: j{ /: j/|/|/ っていうか、他と比べて
｀l ぃ__,ゝ'´:.:.:.:.:.:, :.:U::: し' /:.:. .::/:./:.:.:. 俺だけ石高低くね？
:, :.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.u:, :: j:.:.:.:. :.':.:.:.:.:.:.:.
:, し:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. :, !:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
, :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::, ヽ j{ .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./
＼ し:.:.:.:.:.:.:.:.:} __.......) U .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/::
:,､ :.:.:.:.:.:.:.:.ゝ .::::::::/:.:.:.:.: .:.:.:j{.:.:.:.:.:.:.:/::::
:, :.:.:.:.:.:.:.:.:.｀ー-:.:.:.:.: ,r .:.:.し'.:.:.:.:./:::::::
＼ :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l__:: , -――-......-‐'" .:.:.:.:.:.:.:.:./::::::::::
＼ :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.r‐-'´／ニフ¨ﾌ/ .::: .:.:.:.:.:.:.:.:.:/::::::::::::
奥山茂左衛門安重
（おくのやま しげざえもん やすしげ）
奥山安重は250石の軽輩の身ながら小十人頭に抜擢されたものの、
かつて起きた不祥事(※)に巻き込まれ、大した奉公ができないままであったのを気に病み、
せめてもの殉死、ということであったという。
（なお、これら家光に殉死した5人の家臣にも、己の主に殉死した者が7人出ている）
※ 正保三年九月、幕府鉄砲方の井上正継と稲富直賢の喧嘩に際し、
両名の和議に介在したが、話がこじれて斬り合いになった末、
井上・稲富両名のみならず、仲介役の長坂信次まで死んでしまった事件。
この件で安重は閉門を受けている。
158 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/10/31(月) 03:40:02 ID:t4hNOaOw0
この他、殉死こそしなかったが、別の形で家光の死に殉じた人物もいる。
: . . : . . : | : . . : . . : . . : . . | : . . : . . |＼ : . . : . : . . : . . ｀ﾐｘ、 | : .Ⅵ／//＼: . . : . .ヽ
: . . : . . : | : . . : . . : . . :! : .|i, : . . : . .l!: . .ﾄ､: . . :｀ヽ : . . : .ﾄ､'. 乂 : ＼//: l!|: ｀ヽ: . 〉.ム
: . . : . . j! . : . . : . . : . | : .| | : . . : . .| : . .', ＼: . . : . . : . . | } } `トﾐ ＼ﾉ |: |: . .У. . : 〉
: . . : . . :″. . : . . : . . : ! . :| | : . . : . .| : . . ! ヽ: . .|: . . : .|// ,. ''"__j/|:｀ミx《:/: ／. . :／
: . . : . ./ . . : . . : . . : . ′. リ. : . . : ,/ . : . | '. ! : . . // ／ ,. ＜Yノ . :ハ:｀Ｙ. . : ／
: . . : ./. . : . . : . . : . ./. ;／. . : . .／. . : . 丿 |: | : . .,/ /,／´ ,,.ィ'タ. . :/. .j!: .| : ./
: . . :/. . : . . : . . : . ./／. . ; . . '". . : . ,∠＿＿＿ Ⅳ. :〃 .:〃,ィ欣ﾃ ﾘ从 :/ ／| : | : ′
: . ./ . . : . . : . . : ,〃 . :／. . : . ,.斗≦-────j!. :/ .:/7´ 弋少'’..::::Ⅶ' : ﾘ : | l{
:／. . : . . : . . :／ . . : . . : . ,／-─ 二三壬ﾄ､::::/: /.:. 〈:::｀¨¨”....::;; '' '. . :/ : / 八
: . . : . . : . . : ′. . :/ . : ／,..x=笊斥蔘 ﾘ ,从::/: /.:: :,｀'''' ¨´ } :/. :/. . : . ＼
: . . : . . : . . : . . : . ′: /≪< ゞ=- ''″..:::::/. :/.: :, ,:/ ／廴_: . . : .` 、 あの世への御供は他の方々がなされた。
: . . : . . : . . : . . : . . : /.:::`::....`ー─= '''".::::::ｲ : ′ :, ｲ :∧: . . : .￣｀ﾞ: . . ＼ .なら…私は、私にしかできぬ奉公をしよう。
: . . : . . : | : . . : . .| :ｲ.:::: ｀ ::::::::::::::::::: ''" |: 《 :, ∧《: 乂 : . . : . . : . . : . ヽ
: . . : . . : |: . . : . . :Ⅵ 乂:＼ :, ′从: . . ｀ヽ: . . : . . : . . ハ
: . . : . . : | : . . : . . :ヾ ヽ: '. :, ″: .｀＼ : . . } : l| : . . : . . : }
: . . :|: . .八: . . : . . : . ＼ }: | ...、 〉 .ﾊ: . . : . . : . . :| : ﾘ. : . . : . . ﾉ
: . . j!: . . : .＼: . . : . . : . ＼ jリ ￣￣ ′∨ . : . . : . /／. . : . ,〃´
: . /:| : . . : . . `ト ., . : . . : . ＼ /" /. . : | : /. . : .／. . : . . :/《
: . | : . . : . . : .八: . `i＜: . . : ハ ＿,,ノ ,仆､ : l!/. : .／. . :. （: . . 廴:＼
: . 乂 . . : . . : . . ＼八 ｀ヽ: .〈 ..:..:´..-‐'"〉 / || : Ⅵ′. . : . . : . ./｀ヽ: . .｀ヽ`ー
＼: . .｀ヽ: . . : . . : . `: ＼ Ⅵ _,,. ..:..:..´￣..:..:..:..:,ノ ′j!: ／. . : . . : .〈. :/ ', : . . ト--
//＼: . . : . . : . . : . . : ￣｀ヽﾉ′ ｀ ''' ─ '' "´ l: ./'″. : . . : . . : .乂 j! : . ﾉ
梶左兵衛佐定良
（かじ さえもんのすけ さだよし）
梶定良は家光に見初められ、小姓に抜擢された人物だが、
家光の死後、職を辞し、日光にて家光の墓前を守る事を決めたという。
159 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/10/31(月) 03:40:25 ID:t4hNOaOw0
_,,ノヽ、
,.ｲﾚ7/7ム
ﾑ｣:..:..:..:..:..ﾊ 貴様！
|:<0.>.:.<.0>ト､ 大猷院様(タナトス)の声を聞け！
ﾉﾄ､｀l:..:..:.l´/l!/}} （粗相をした供僧に）
《:ム`:ｨ竺y' ///|ﾄ､
ﾄ＼＞--＜///|| | ト- .,
|､＼＼//////八| | | ;..;..＞─‐=＝- .,
八＼＼∨//////》 ..;..;..;/.;..;..; ` .,,__
／..;..;..;..;..;..;└‐-ミ'／..;..;..;.／＿..;..;-‐..;..;¨¨￣￣￣￣¨ ‐- 、
／..;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..;／..;..;..;..;..;..;../ア..:..:／..:..:..>､＿＿＿＿＿＿＿＼
〈 ;..;..;..;..;..;..;≪＿＿_..;..;..;./.;/─ヘ,＿／＼＼＿＿_,,,.斗=ニ//ｱ¨ヽ
}､ ;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..;./..;..;./..;ｲ/////＼;..;..;..;.`ー─-≪/////|/,′:..:|、
l| ￣¨;..;..‐-;..;..,__;..;..;..;..l|＼/..;..;.|'///////≧=- .,,,＿___,,.＞=-､|/|:..:..:..:..:`ｰ- 、
l| ;..;..;..;..;..;..;..;|;..;..;..;..;||;..;..;..;..;.∨/////////////////////,ハ乂_入:..:..:..:..:..ﾄ､
l| ;..;..;..;..;..;..;..;.|l;..;..;..;..||;..;..;..;..;..;ﾄ､/////////////////////.;..;..;..;..;..;ヽ:.|¨ｱ.:|:..〉
l| ;..;..;..;..;..;..;..;..;.|l;..;..;..;||;..;..;..;..;/;ﾄ､∨//////////////////.;..;..;..;..;..;..;八j//|:.|/
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l| ;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..;乂;..;八;.／..;..; |l ..;∨//////////////.;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..;.
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l| ;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..; ||;..;..;..///,＼;..;..∨///////////.;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..;. !
l| ;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..; ﾘ;..;..///////ヽ;..|////////////.;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..; |
l| ;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..; /.;..;..;∨//////||;.|/////////////.;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..|
l| ;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..;.イ.;..;..;..;..;∨/////|L|//////////////.;..;..;..;..;..;..;..;..;..;. !
l| ;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..l|;..;..;..;..;..;..∨/////////////////////.;..;..;..;..;..;..;..;..;. |
l| ;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..;||;..;..;..;..;..;..;..〉/////////////////////.;..;..;..;..;..;..;..;..;..|
l| ;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..;||;..;..;..;..;..;..///////////////////////.;..;..;..;..;..;..;..;..;. !
l| ;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..;||;..;..;..;..;..////￣￣`≪////////////.;..;..;..;..;..;..;..;..;..;. |
l| ;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..;||;..;..;..;..//// `≪////////.;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..;..|
梶定良・大猷院廟定番モード
これに感じ入った家綱から、「大猷院廟定番」の役を与えられた定良は、
その後、元禄十一年(1698)に死去するまで一日も欠かすことなく家光の廟に詰めたという。
また、彼以外に、小納戸役・杉浦政清も剃髪し、日光へ供奉を申し出たという。
160 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/10/31(月) 03:41:01 ID:t4hNOaOw0
なお、ここで余談になるが、
この家光への殉死に際し、柳生家にも若干関連する話題が一つあるので紹介する。
, ｨ '" フ￣￣ ≧ s ､_
／ ／ ｀ヽ､
,:' ./ , j l ヽ
/ / / / / /l l l ! l ': ! ﾊ
./ rz=､ / / /,' /! /l ,' .l l l l '; ﾊ
,:ﾊ ﾊ从7 ' ,' /―,-＜/..l / ; ,: / / l l ﾊ
/! ; l ト‐' ,: ,: //-l/.､l,' ｀l/ ! _/lﾊ/l j .l 'ﾊ
./ ,:. l r | ! l / 斧気 ' l /ﾉ/ﾌ`l ﾄ ,: lj ! …どうしたのよ伊豆。
/' l l .l :, !l l/ 乂戎 lノ 斧気ヾ l /.l ./ .ニヤニヤして。
!.ﾊ ﾊ ヾﾍ { 乂戎 /l / .},'
,:' Vﾊ ｀-r､` / '. '
ヾ!V!､l ヽ ' /
V ＼ ‐ . '
/フ! ｀ ､ _.
/ ｀ ､ /¨
/ヽ ｀ ､ /｀ヽ､
／,'7 ＼ ｀ヽ,､ 〉,
/ ,r l i! ﾊ ヾ;;;;;;;;;;;l ヾ;;;i!;;l
/ / l l! 川 _,lriナ卅''ｱ ﾞi;;ll;;l
/ / l l!'ﾞ´ ﾄ;;;;_ェ土ﾘ､l;;ll;;l
/ l ﾘ ハイ:::::}ﾞン ヾjﾘ なに、面白い報告が来たのでな。
ｲ l l /,! / l;;｀Tｦ´ /,ﾍ お前にも関わりがあるので、これを読んでみるがいい。
リ l l! ,! l / l;;;;;;;;l ,ﾘ′＼
j ｨi ﾉ/ ,ｲ // |;;;;;;;l f' ,> 「ふーん…どれどれ」
ll / ,! /,f ﾊ// |;;;;;;;! l イ´
ﾘ〃!/ｲl /ﾞY/i! |;;;;;l! _,,._,〉
!/i/〃ll / 〃 !;;;ﾉ ｰ ''´ ,,j
ﾚﾘ//ﾊLｲ｀i ! l;;/ |
川'ﾉ ▽ fil! ｀丶!;ト;;-;ｧ::,,＿,ﾉ
▽‐- i､ _▽ l;! ,ｨｲj
/ ７ヽ､、 jLf/ ▽
161 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/10/31(月) 03:41:30 ID:t4hNOaOw0
家光の死から10日ほど経った五月二日、日本橋にて、ある落書が立ったという。
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二＿…─‐┴=ﾆ二二|i:i:|:|…ー- |i:|:|...,,,＿＿:|i:.| | .””““ Τ┬r─--==ﾆﾆ|i:i:i|二三三三二二ニニ=
: : :￣￣ ￢ｰ-=ﾆ二三三三二ニ＝=─ ┴.| |=ﾆ二＿‐|i:i:|:|─-- ..,,_|:|i:i:i|i:i||＿__￣￣””““ '''
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: ,､‐'" : : : : : : : : : : : :,､丶`: : : : : : : : : : : : : : : : : :／: : : : : : : : : : : : /: : : : : : :/: : : :,′: : : : : | : : : :
そこには、以下のような文面が記されていた。
『急度飛札をもって申し上げ候。
大猷院様(家光)、御機嫌揃う所なく極楽世界へ着御あそばされ候間、心安かるべく候。
しからば御先え相越し候柳生但馬守一人、不吉の御礼これあるといえども、
かのものばかりにては御不自由に思し召され候間、其許に罷りある御譜代の内にても、
とりわけ日来御心安く召し仕われ候、中根壱岐守、永井日向守をまず差し越さるべく候。
その外、朽木民部少輔、大沢右近太夫、久永飛騨守、三好能登守等儀は、
面々勝手仕廻次第、早々相越し候様渡さるべく候。
猶又、爰元(ここもと)にても、吉利支丹の御詮議に御あぐみあそばされ候間、
井上筑後守儀、早速弘誓の早船をもって渡海せしむべきの旨、上意に候。
恐々謹言。
内田信濃大居士
阿部対馬大居士
堀田加賀大居士
酒井讃岐守殿
松平伊豆守殿
阿部豊後守殿』
162 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/10/31(月) 03:42:17 ID:t4hNOaOw0
, ‐―辷二辷―- 、
／ , ィ "´ ｀ ヽ. ｀ヽ
.,:' ／ ., ＼ ヽ
/ ,:' / .,:' l l , ヽﾊ
,: / / ,: // .,:.l .l .! l l ': .ヽﾍ
,r/ ,: ; /lﾊ ﾊ l ,! l､ ;､ ﾊ .! V7;
lY ; l / l/_lﾊ l '; l l l_ﾊ__;ﾍ l Yj
.l | ; ´7´l＿!｀ド': ﾊ!´!{_V_`l トl !j .l …なにこれ？
ｌ { ﾊ ﾍ lイ斥芯 ヽ ! ' 斥芯｀ヾﾉ 从ﾉ 落書にしては、奉書の文体に結構似せてあるね。
'Vﾍ ﾊ{ ｀弋弐 丈弐 'ﾊ / ｿ .宛先に私の名前も入ってるし。
ﾊ V､'､ /ィﾊ/
ヽ!､ ﾄヽ ' ノｲV ' くだらない悪戯の類だけど、
ヾﾄ,.＼ ＿ ／j,:ｿ .上様のお気に入りの人間をある程度把握してるし、
Y lヽ イﾉ!' .これ書いたの、それなりに事情に通じてる奴だね。
/ l ｀ ´ lヽ 但馬殿の名前を入れてるとか、結構捻ってるなあ。
ノ ヽ､ ノ ＼
,イ .{ ﾊ ,< / ト､
, イ Yﾊ /￢､ﾍ /＞-､ /､ｿ ｀ヽ 、
., :' .l≧ﾆ=-ハ -.{ }- Y /_..-‐‐z ｀ヽ、
/ .!二二二ﾆ≧イ､ ト,ﾆ ≦二二二:l ':,
: l二二二二二二|二二二二二ﾆ| ';
,' ﾄ､:二二二二二|二二ニニ_.., ｨ-､ ':
.l イ.,ィ=､≧､二:二二|ニニニﾆく-‐ｴ.､ ヽ/ ;
.| .{´ _..., ､＼ニ:二:ﾆﾆ|ニニニﾆ／,ｨ- .._ ヽ .l
.l. { ., -､ヽ`二二二|二二二ﾆ,/ ｨ‐- j .|
l '; ﾄ ｨ‐｀`二二ニﾆ|二二ﾆﾆ'ｲイへ / .!
／ }/ ＼
／ イ⌒ヽ. {, ､__ .＼ ＼ ` ､ヽ
.{／./i:i:i:iｲ Ⅵ ／i:i:i∨ ＼ ＼ Ⅵ
／ /i:i:i:/ {i:i:/{_/i:{i:i:i:i: ∨ . ∨
.{ .:/i:i:i:/¨ {i:i:{⌒`ｰⅥi:i:i:i ∨ ∨
./ ../i:i:i:/ |i:i:{ .Ⅵi:i:i} ﾄ､ ∨ }. } そうだ。
/ .,ｲi:i:i: { .Ⅵi Ⅵi:i:} Ⅵ .∨.}. | くだらん落書きだが、
./ ./ |i:i:i:i:{__ .Ⅵ .Ⅵi:i＼..∨ } i | 茶菓子程度にはなる。
ｲ.ノ../|i:i:i:i:}..＿｀ ､ Ⅵ ｘｚ=--i:i:i:} }. | i |
..▽ {/i:i:i:i:i: 篷'㍉. Ⅵ .´,ｨ尨ﾃ¨アi乂 八. こいつを誰が書いたか、
.／./i:i: / `ｰ=` i}i ｰ`¨=彡i:i} /＼.＼ ‘， その「謎」を喰う(ﾄｸ)としよう。
./i:i:i:/ .ﾑ /′ }i:} ./: : : : ￣￣￣￣
.／i:.,イ: : ∧ . }i:}/: : : : : : : : : : : :
=彡イ: : :: : : : { ..､ ､_`_´＿__／ .}i:}: : : : : : : : : : : :
: : : : : : : : : : : { i ＼.`ｰ-= ´ ／}i}: : : : : : : : : : : :
: : : : : : : : : : : { { ＼ .／/ .▽: : : : : : : : : : : :
: : : : : : : : : : : Ⅵ ＼r.￣ .}／ /: : : : : : : : : : : : :
: : : : : : : : : : : : ＼ / / } | ./: : : : : : : : : : : : :
落書の内容は、家光の寵愛を受けていた人物のうち、殉死しなかった人間に「早く殉死せよ」と促す嫌がらせであった。
163 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/10/31(月) 03:42:55 ID:t4hNOaOw0
_／￣￣￣￣￣ ヽ
／: : : : : : : : : : : : : : : : ＼
/: : : : : ,': : : ; : :: :､: :ヽ: : : ::',
/:: : :; : ::,': : : :l :l : : l: :l: l ､: : : ',
/: : :/: ;: :l :; : ::l: :l : : l: :l: l: l: : : :',
/:; : / : l :l!::{ : ::l: :l､: : l :l!: l :l ､: : ',
{!:l : l: l ; M;M＼l: :l llヽM;M: :l: }::; :} そなた達、何をやっておるのだ。
l人: l l { 《弋歹ﾞ`､l "弋歹》 Y: :ﾊﾉ .もしかして手が空いておるのか？
`､ ｀||从 ` l::リ
. ||:∧｀ l: ト､ なら、まだまだ仕事はあるぞ。
/|| ; ﾍ、 ｀´ / l!| 》
《》 ﾊ;;ﾙ＼ -＝- ／ｲﾙ《》
ﾉﾉ /;;;ﾉﾙ;; l` ､ ＿ , ィヾ､:ヽ `､
r‐‐ii"‐―‐､{:{ ﾄ､:::::||:::::;ｲ｀}:}｀ゞー―‐-､
/ ） || }:} `ｰ ‐'´ 〃/ （ ヽ
/:::rﾍ:::::| ､_:ﾉ 、 ＼/.::::::/;:;r ､:::::::,.ィ"｀丶::::::::::::.. ヽ ヽ ヽ ヾヽ、
ゝ_） `" | i 、ヽ、 i |:::::::f彡{:::ト‐'´ _＞―-::.. ', ', ﾄ､ ', ',､＞
// i | '、 ヽ,. ―-､ | :::::「´ ',::'、 ／_ _,.zヽ::: ﾄ、i | ＼',ヽ＼ .それは奇遇ですな！
,'!l | /! /ヽ ヽ / |ヽト､ト､.| :::::| ＿､::ヽ ' 'イti下ﾌ:: .: .::| ヽ | l ゞ`!ゝ､丶 今、豊後殿が、
l| ! i |斗lV､__l>､ メヽl, ―ミ、',! ::::','´__-_、:ヽ ゝ‐ '" ',:::::.:.:::| ヽ | i ヽ| ､ヽ｀`
|l | ,イ| |,ゝ―ミ、＼ ','｀（・:） ' ', :::::ヽ〈 ti::}t、:', |::::::::::li ト､ | ﾄ､ ヽ卞△_ 「この程度では足りぬッ！
/|「l | ﾄ< （:・）｀ ｀ ` "¨´ ﾑ, :::::::ヽ ‐ '´＼:'、 |::::::::::|l _lﾑ＞――`ー- ､、 更なる仕事を！
/´!｀ﾄ､ ﾄ! ､,_ ''"´ ､ f /:::|',....:::::::ハ |｀` _,.|::::::::ﾉ'´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. より多くの仕事をッ！！」
', | ヽ | rf::ヽ ヽ__ _,. ～´|, |:::::､',:::::::::| ＼ ｀` _,. ‐ '´ /!::::/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
､ﾄ､ `ﾄヾ',::::', Y´~´ ﾊ /::::::::〉、:::::|'´￣｀丶 ｀丶＿／ |:::/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: と申してまして…！
ヽﾄ､「l:!::::､_, ゝ､＿__／ /:::::::::{／ヽ:::! ヾ＞､ "´ /:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
｀ |:､:::::｀:‐-､＿-_,.ィ:::::::::::::l ヾ:、 ヽ:.|｀二]::{:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:._,. --::_,.:.:.:.:.:
｀ヾ､｀::､::::::｀::ー:'::::::::::::::::', ヾ,､| 、 ',| |l>/!:.:.:.:.:.:.,. -‐ '´::,.:-:'´:.:.:.:.:.:.:. 「ﾓｶﾞｶﾞｰｯ!!(んなこと言ってねえーっ！)」
, -----ヾ:､ヾ::::､_:::::::::::::::::::::::::', <7}| ', ':, '´ |:.:.:.／:::::::,. -:'´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
. / !:ヽ::丶_:::::::::::::::::::::::::::| i｀^!、 l ', t:'´::::::::／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
. | ＼ ｀ ー 、::::::::::::::::::::::::::::! | | | |、 !ヾ::／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. γ´￣￣￣￣￣￣￣￣｀ヽ
. | ＼ くヾ＞,､::::::::::,. -┴―-'､ | | |:ヽ |／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. | 仲いいなお前ら |
、 ヽ ｀>ミｿ｀t／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.V! ! |::::ヾ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ゝ＿＿＿＿＿＿＿＿__,乂
ヽ 、 丶 ヽヽ「>':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.', ｜ ｜:::::У:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
なお、この落書の下手人については不明である。
164 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/10/31(月) 03:43:16 ID:t4hNOaOw0
閑話休題。
死後、家光は朝廷より「大猷院」の諡号と共に、太政大臣・正一位の追贈がなされた。
また、その遺骸は家光自身の遺志により、祖父・家康が眠る日光東照宮に近い太師堂の側に廟を作り、
そこに葬られる事となった。
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∨三三三三三三三川,.ィ´||:::::|| ｀ヽΠ三三三三三三三ア
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zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzｧァァ久_ ﾏﾑ‐‐((代_|二二圦弌旡乍七巧_|二二|ノ))‐‐/７ 久ミァｧzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz
////////////////爪ノミ爪アi{ | |廻圖廻圖廻圖廻圖廻圖廻圖廻圖廻圖| | /＼爪彡ヾ爪///////////////
芥芥芥芥芥芥芥芥芥芥芥＼∧ 弌テ弌テ弌テ弌テ弌テ弌テ弌テ弌テ弌テ弌テ /／／芥芥芥芥芥芥芥芥芥芥芥
久久久久久久久久久|_|テ＾＼＼ 弐テ弐テ弐テ弐テ弐テ弐テ弐テ弐テ弐テ'^ ／,.イィ㌻弌テ久久久久久久久久
竺竺竺竺竺竺竺竺竺「」≧s｡||＼＼ 弋二二二二二二二二二二二二二二テ ／／| | ｡s≦|‐:|竺竺竺竺竺竺竺竺
───;;| |───ー | |''7ZZZZZZZZZZZ/|| lﾆﾆﾆﾆﾆ| |￣￣￣￣ | lﾆﾆﾆﾆﾆ| :|ヽZZZZZZZZZＺＺＺ| |───ｰ | |──
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二二二二二二| |==(_,,)=============|::|l: || |_|=艾)),,| | | | |__((艾__,| :||￣|::|===============(_,,)|:::|二二二二二
───┴┴─|_||斗=ミ│││││││|l: || |:|:|:|:|:|:|:|| | | | |:|:|:|:|:|:|:|| :|| |│││││││| 斗==ミ|‐┴┴──
￣￣￣￣￣~((_(＿}i＿))_))────./￣/_||_|zzzzzzz|_,,| |_|_|zzzzzzz|_,||＿∨∧────‐‐((_((___ﾉ__))_))───
￣￣￣￣￣/ _凵凵_ / /二二二二二二二二二二二二二二二二二∨∧ __凵凵_ |￣￣￣￣
￣￣￣￣￣ 弋ﾆケ / /二二二二二二二二二二二二二二二二二二∨∧ 弋ﾆﾆケ ￣￣￣￣
}__:{: / /二二二二二二二二二二二二二二二二二二二∨∧ }___{
──────‐ |｀´|────‐./ /二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二∨∧￣￣￣￣￣|｀´|￣￣￣￣￣￣
／￣~＼ ./ /二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二∨∧ ／￣~＼
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現在、日光にある大猷院廟がそれであり、承応三年(1654)に完成し、
今に至るも国宝として現存している。
165 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/10/31(月) 03:43:44 ID:t4hNOaOw0
── こうして、三代将軍・徳川家光の治世は終わりを告げた。
／
／./
＿- ､ ,. '" 、 ,.' ./
｀ヽ 、 ,.-‐: : : : : ヽ:）': : : :.｀ヽ ,.' '
. ヽ.＼ :´: : : : : : :=-; : -‐: : : : :＞､ / .{
. ヽ j/: : : : : :'": : ; :､:ヽ: -:ヽ ,. ィ/ .｝ ',
V. ＼ /ゝ: :／: : : : :/: : : ／ , }:} : : / ./ ／- ､
', ／､ゝ、｀"'ｰ-----‐'" ／:ノ-､:/ ' ／./:ヽヽ', ._
} / ./: : :＞ 、 ,.'"--､ヽ （__': : : :.:ヽ {/ {ｿjﾉ: ﾉィ: :｀ヽ
. {ヽ./: /: ;.-‐ﾉ .i { ::::} .} ＿}:ヽ: : : l {＿_ ゝ´: :／ｰ-:ヽ} 徳川の天下は…私が守る！
ﾞ, {: :.{: :l : : !-,.､_｀ー' ,イ⌒ヽﾉ: }: : ｿ!.{￣ {ｰ-＝-ー- 、
乂: ､:.V: :.ゝ:.{/`i T´Vﾊ,.ィｒV}:.ｿ: /jヽ!､ {: :ノ- ､: : : :.ヽ 見ていて下さい、父上！
､_.ゝノゝｰ ヽ弋ッ､､ ｊﾉ-ゝ'゛ﾉｲｿ.ｲヽ:ヽ',ー-- . ._ ヽ:）: :｝
ヽ _ -}: :ハ: :ゝ-｀ ヽ ´ ﾊ」ｔ.ｊﾉ: : ｿ: : : : : : : ＞､ソ
:::::::､ .／: : :ｊノ: : :ｿ:.ヽ ｀- ‐ ／ (＿)/: : : : : ＞ ''"￣ ヽ',
ヽ:::::::､ /／/￣＼: : : : :.l { ＞ _ .イ_ -/ /: : : ／ ´ ヽ. }
ヽ::::::::､. .{: :/ ´ ヽ: : : {､＼ ヽ Y _ ' /: : : / / / }ﾉ
､ ＼:::::ヽ `{ i ﾄ､: :､ ヽ｀ー一" /: :/:./ ' .／ .!
. ＼ ＼::::＼ ', ! ､ V!: :.＼ ｀ｰ _ - ,': : i: :{／／ {: ﾉ
. ＼ ＼::::＼ ヽ ヽ. ヽ : : : ＼ ／: : {:.V.／ , l/
. ＼ i::::::::＼ .} ', ､ ヽ V: : ヽ:.＼／: : : : ゝ/ ／ j
ヽ !::::::::::::＼! l ＼ }: : : : ｀: : : : : : : : :{ / ／ ' /
. V::::::::::::::::l｀T 、 ヽ ヽヽ: : : : : : : :.／: : j ／./ / /:j
⌒＼::::::! .l l iゝ―‐- _l ＼: : : : : : : : ／ ／ ' /ノ
. ヽｲ .l l l.{. ヽ ト./´ニ.ヽ:j !/!
〉､ﾞ .U { }ヽ{ { :::} .ﾉ .l´ﾉ.､
, ヽ ｊ ,'.ヽiゝ ニ/-‐ ､ ,. l´ヽ: :, ＿_,,,,,... ､
l `'´ /ヽィ!: l: /,.-― ､ ヽ { /＞､: :V＝/￣￣ {ヽ',
. ', ／ ﾉ .ト､: :/ ヽ j/_イ ＞､ﾆ二 -―― 冖 .!:::!|
''''''''"""""ｒ`''''''''＞‐＞、 .／ ／ / ｌ‐- ､ /', ｌ ｊ: : : :＞. ､ヽ ＿＿! .l .ｌ:::ｌ|
＿ -― ＜:_: : : : : :ヽ .{ｰ ､ , ' ./ ' ..' ｰ、 ///! .ｌ ﾉ: : : : :.ヽ: :＼二-―=＝ヽ´ ヽj
（_. _／ ｀ヽ: : : :.', .V/,.入_ ／ .／.: ヽ'///! /: : : : : : : '; : : ヽ--―― '''`‐ ''"
￣＞" ヽ: : : ヽ ヽ__ノ:､ゝr‐' .／ ､//j ｊ: : : : : : : : : : : : :.＼
"'／ V: : : ＼ ヽ: : :.ヽ_ｰ､ ＿,. ' ﾉヽ'／: : : : : : : : : : :l: : : : ヽ
/ V: : : : `: ､ ＼: : : : :.ゝ--‐'" ノｊ : : : : : : : : : : : : : l: : : : :.〉
-‐ - ヽ: : : : : ::＞- ＞__イ,..-‐＝ ノ: : : : : : : : : : : : : : :ｌ: : ／
四代将軍・徳川家綱
.（とくがわ いえつな）
それは同時に、四代将軍…僅か十一歳の幼君・徳川家綱を奉じた世の始まりでもあった ──
166 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/10/31(月) 03:44:27 ID:t4hNOaOw0
...:.:.:.:.:.:￣:.:.:.:.:...
／:.:／:.:.:.:.:.:.:.:｀:.:.､:.:.:＼
.:':.:.:.:':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.､:.:.:.:.:.＼:.:.ヽ
/:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ｉ:､:ヽ:.:.:.:.:.:.ヽ:.ﾊ
.':.:.: ':.:.:.:.:.:.:.':.:.:,:':. ﾄ､:.:､:.: ｉ:.:.:ｉ:.:.:ｉ
!:.:.:.l＿:.:.:.ｲ:.:./ｨ:./ ヽ:.ｉ:.:.l:.:. l:.:.:l さて、いよいよこのスレも本編最終回だ。
.:l:ｉ:´l:.:／｀ﾒ:, ' /:´￣ メ､:l:.ｉ: l:.:.:l
.': ll 小ィfﾗﾄ､ ィfﾊｵﾄ､:l:ﾊﾘ:.:.:.! 解説のトリを勤めるのは、
./:/:.!:ヽﾊ 乂:ﾉ Ｙ::ﾉ´ﾘ' ﾉ:ｉ:.:.:.! 解説役登場回数最多の僕と…。
/:.':,ィ:ｉ:.:.:.ﾊ , /ｰ´:.:.l:ﾊ:.l
. {:ﾊ:l .lﾊ:.､:､ ヽ ｰ一 イ:.:ﾉ:.: 人 l:.!
ヽ ｀ ｀ー｀ー＞. _ ＜ムイハ从 ﾉ'
‐､／| ﾉ' }
. ／: : : //´l ／: : :ゝ. __
. /: : : : ://_ ｀ ／: : : _ -－､ヽ
/ /: : : 〃- ､ヽ:´: : :, ´ ヾ!
. / /: : : 〃 ／: : : : :/.ｉ }:ｉ
/ /: : : :/ ／: : : : : : :'j ' .':.ヽ
.... _,. ─ ､. -- ._
／ ｀ヽ
／ 、 、 ＼
/,. ,. / l. | ヽ ヽ ヽ. ヽ
/ / i'/ / ,| | ,! | ',. ！ ',
∠-7 j |.| | ./| ,1 ハ. ハ | |l. l |
| | |l.',. } ﾅTｧ-| ./ l./'''Tﾅ{. ,ﾘ |1
l！Mヽ.{<ｨﾃtﾄ !' ' t5ﾓト,.ﾚ!' ,1 ,!
最初の解説役だった私。 1',l.| ﾞﾄ 'ぅり , 2tﾀ / /,!'
.... ｀| l. ｢ヽ __ /! ｲ/
では、早速始める。 . l.ﾄ. |l. ヽ､ _,.ノｲ/ |!
｀ ヽl ﾍゝl｀ - ´lﾙ ′
／.ノ ヽﾞヽ、
_.. - ´ L._,. -- .._...| ｀ ‐ ､._
,f´l. | 「 _, - ､._j / / ｽ
/ l. ', ', ｢_,. -- ..｣ / / / ',
! ヽヽ ヽ | ｜ / / / l
167 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/10/31(月) 03:44:59 ID:t4hNOaOw0
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／: : :／: : : : : : : : : : : : ＼
ノ /:/ : /: : :, : : : : : :/: : :| : : : ヽ.
まずは家光についての話。 ￣ﾉ': : :/: :／;.､=7;､イ;i: : |: |:: : ､:::ヽ
. ! !: : /|': :'´ ;/'iｧz;､,'ﾄ: :/;ｲ: : : }: i l
柳生スレの本編最終回なのに Ⅵ :( .!: : : :{ `''゛' '|:/ﾊ /ｲ;ｨ:/ｲﾘ
最初の挨拶以外、 .... ] : :>,| : : | ｨ)y'/;ｨ:/
柳生家の人間は誰も出てないから…。 ノﾍ:|'; :|: : | _ ｒ./!' !'
__ .|ヽﾍ` | ､ ´, ィ':i/|
/: :｀丶､ ` {_´´l／ﾘ
/: : : : : : : ＼. ﾄ ヽ、
￣:.:.:.:.:.:.:.......
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＞
:.／:.:.:.／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼
:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.／:.:.:j:.:.:.:.ヽ
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i!:.:.:.:.:.:.
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.j:.:.:.:.:.:.:.
:.:.:.′:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./|:.:.:.:.:.:.:.:.
:./:.:.:.:.:.:.:.′:.:./y ＼:.:.:.:.!:|:.ﾊ まあ、柳生家の話はこの後、追々ね。
:V:.:|:.:.:.:.:.:l:.:.／ ′ l}:.:.:.:ﾉ!:|:.:∧
Y:.l:.:.:.:.:.:l{:.! ﾞミﾐry:.ｲ:./ｲ:.:ｲ} ヽ 家光は、柳生一族に
′:.:.:.:.:.:ﾊ{ ﾞ ′´ ′:.l 一番深く関わった将軍であるし、
:.:.|!:.:.:.:.:.| ﾞﾞ （:.:.:.:.:ﾘ この時代における最重要人物だ。
:.:.|:.:.:.:.:.:| ゝ:.:.i| 何より、スレのレギュラーなんだしさ。
:.:.|:.:.:.:.:.:| ， ／:.:.:.:.|
:.:.|:.:.:.:.:.:| ｀」⌒┤:.:.:.:.:.| では彼の評価から話をしようか。
:.:.|:.:.:.:.:.:| l ′ ハ_:.:.:.:八
:.:.|:.:.:.:.:.:|ー i | j / ﾉｰ､ ｀
:.:.|:.:.:.:.:ﾘ | ー / / / ｰ,
:.ﾘ:.:.:.:./ | ー/ / ,ｲ!
| lー/_ /j
､ ! /
168 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/10/31(月) 03:47:14 ID:t4hNOaOw0
>-''''': : : : : : : : :'''-､
＞'''": : : : : : : : : : : : : : : :＼_
＞'''": : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :＼,
徳川家光という人物は、 ＞'" : : : : ::: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ,
評価が非常に分かれる人物。 ..... ,,,-'''"-'/ ::: : :: : : : : : : ::...: : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
.. /::: :::./ : ::: : :::: : ::: : : : ::::...: : :::.: : : : :..: : : : : 'l
「幕府体制を確立させ、 . /::/: :::::: :.. :::: : :::::.: : : : :::ヽ:..: :::.: : : ::::..: : : : :'l
江戸時代が260年間続いた礎を築いた名君」 /::/::::|:::: :::: : :. ... :::::..: : : : ::ヽ::..:::.: : : ::::::.: : : : l
.. l:::/|: ::l:::::: :/|: : ::::|: : ....l.. l ::::::: : : ::: l
「家臣に恵まれただけの無能で、 ...... |:/ |: ::ヽ:::l:|┤: ::::|ヽ: :::l､:::::::.. : :.|::::::::: : : ::::::::: : : :|､|
.鎖国政策で日本が世界から孤立した |l |:::1ヽ:|ﾑヾ、:::.l ヽ、ﾒヽ、::::..::|:::::::: : : ::::::::: :::: :l ヽ
原因を作った元凶」 . .' ヽ:ﾄ､:::lﾚﾅﾄﾞ.､:::l ヾ､￣'-,,,l::::::::: : : ::::::::::::::::/
.. |l ヽ:::|ﾚ|ｶ ヽ . ﾄ''''''ﾄ,,,,, |::/:::: : :/､::::::/:/
極端ではあるけど、 ...... l:::| " / .ﾄﾅｶﾞﾚ l:::|::::: : /| |::/|/
概ねこのどちらかの方向になることが多い。 l:ヽ、ヽ ''''''''' /:/::: : /.／/ .'
.l::::|ﾄ､ - .//l::: /"::/
.l::|' ＼" __,,,/:ｸ::: :/|/l/
ヾ ''''''''l"-,,/':/:／,-l'''':ヽ
＿＿＿
. -='´:::::::::::::: ｀::...､
／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::. ＼
. ／.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::... ＼
/:::........./.....................}......ヽ.........:::::::ヽ
. /:::/::::::::::::::::::: /:::::::::::::::::∧::::::::::::::::::. まあ、極端な意見はさておき、
. ':::::::::::::::::i::::::: /ｲ:::: /:::／ ';:::::::::}:::::::', >>1が見る限り、
.::::::::::::::::::|::: /' |:: /／ ⌒|:::::::::::::::: |
ｉ:::{::::::::::::∧/ }:/´ ｨ f示}ｲ::∧:::::::| .・為政者としての能力自体はそれなり
|::::::::::::::::ｉｨ f示 乂t ﾘ }/::::iヽ:::: ・健康面に不安あり
|::::: ＼::::|乂ｔ ﾘ |::::: |ｲ:::::. ・性格的にはかなり癖がある
|::::::::: {ヽ{ ′ /:::::::::::::::::{
|::::ﾊ:::::::个:.、 ／ヽ一' .ｲ::::::::/／}∧ こんな感じかな。
}ｲ }＼ﾄ{ V≧/ ￣} ＜}/イ}ｲ´ 名君というには微妙だけど、
/ ￣}￣ {:′ .じゃあ無能な暗君かというと、
i ７ ＼ それはおそらく違う、と言ったところかな。
. ＿, r７-/| ′ ＼ ＿rx _
／ }ﾏr{＾ゝ==ｲ丶 r‐一 r｢７ ＼
169 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/10/31(月) 03:47:49 ID:t4hNOaOw0
＿＿＿＿
r ﾆ=ｰ: : : : : : : : : ＞ ､
, -=j: ´: : : ＿,.: : : : ＜: : : : ＞.､ _
/,ィ/⌒: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 二ニイ _,ｨ
l:{/: : : : : : : : : : : : : : : : : : ＞ ､: : : : : : ｀￣: : ＜
,j∨: : : : : : : : : ト: : : : : : : : : : : :ヽ: : : : : : : : : : ､ヽ
／／/: : : : : : : : : :| ＼: :ゝ_､: : : : ﾊﾉ: : : : : : : : :＼ヽ .敢えて言えば、感情的になりやすい性質で、
/／ィ ′ : : : : : : ﾊ: ! ／￣｀ヽ:.ｰ: : l : : : : : : : : : : : ヽ 好みで人事を動かすところがある。
. /八 ∨: : : : : : 乂: : l ｨf｡示ハ: V,へ: : : : : : : : : : :ﾊヽ
{! l |: : {: : 斗匕ｰﾉ-ゝ "乂ぅﾘ i:l ﾊ´ !: : : ハ､: : :ヽ: i .そこだけ言うと暗君っぽく聞こえるが、
｀ ,′ i: ﾄ:ゝ: :乂ィﾃ:ﾊ " ﾉi: :ﾊ ｲ: : : 八:ハ:!ヽ∨ 見込んで引き立てた人物については、
/ ､ ィﾊ:..ヽ:.ーゞ 乂ｿ , 'ﾉ:: : l: !: : /ノ ﾘ }′｀ 松平信綱や阿部忠秋、保科正之など、
＞く ーy: j: : : : i＼: ミ=- _ ， ,イノｲ: : :／ ´ 後に家綱時代を支えた人物がいるから、
::::::::::＞l: ﾊ: : : : l: : l｀: : ゝ _ ／ 彡イ 人物評価は結構できてたんじゃないかな？
:::::::::::::∧:{ ゝ=-!: : : : : l: :トミ ｰ l´_,イ´ ﾄ､
:／:::::::::/｀ ゝ: ﾋ_, ーゞｰr yf ／::::ﾊ 能臣をきちんと評価し、引き立てる、というのは
::::::::::::/ ￣＿＿／jｰti _,.／:::::::::/::ﾄ､ 主君として美点なのは間違いないしね。
:::::::::/ ／:::::／::,ィ:i:i/ｰ／::::::::::::/::::::::::＼
::::::/ _, ィ￣:::::／:::,ｨ /:i:ij イ:::::::::::::::/::::/"＿::::ヽ_
:::::〉_,ｨｰ=く::::::::::::::::/:::,ィ ﾚ:／ /::::::::::::::::/::::/:::::::::::::::::::ﾊ
,' / / l ＼ ヽ
! / / / ,' | l ﾊ ﾍ､ヽ､_,
. | ! l ｌ / / ,ｲ ! i ! l ヽ ',｀￣
. l | l ｌ ,/ 〃 ,/ /│ l j l│ ! l
その意味では宗矩や沢庵も、 . ノ | ! │ | /_／/ ／/ / ,' ∧ / | / j ｌ│
家光に引き立てられた人物だから ﾉ l ｧ| lノ┬‐'┬ / ／ / ´‐┬ ! / ,/ / ﾘ
柳生一族からすれば、 ｲ 八{´ｌ !| |::::::::! '´ l::::::::! ｲ } /
「大恩ある主」と言える。 ..... Vﾊ l ゝ:;;;ﾉ ゝ:;;ﾉ ./}, '/／
...... ヽ ', | ﾁ' /
尤も…衆道方面での引き立ても .. `ﾍ lヽ 厶 ./
かなり目立ったから、 . ', {.代ﾄ､ , イ | /
全面的に褒めるのも問題がある。 .... ＼_'i| ＞ ､ _ , イ/ V ｌ./
...... ／ ヽj {｀ヽ ′
γ´￣￣￣￣￣｀ヽ ... _ ／ ｢´ ヽ} ＼
| …尻一つ？ | ... _, -‐ ´ l‐--‐､ ＿ -‐ | ` ｰ- ､
ゝ＿＿＿＿＿_,γ ￣￣￣￣￣￣ヽ..r＜＼＼ ヽ '´￣ ___ ｀ヽl| / /ヽ
. ｜ …直球過ぎる |.y⌒ヽ ＼＼ V ￣ ＿ ｀ヽl| / / ∧
乂＿＿＿＿＿＿ノ .ヽ. ＼＼ ∨￣ ｀ヽ | / / / l
{ ヽ ＼＼ ヽ / / / / │
170 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/10/31(月) 03:49:04 ID:t4hNOaOw0
__
_.. .:.:.¨:.:.:.:.:.:.:.｀:.. 、
, .:.´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. 丶 次に、家光自身は将軍専制を志向していたし、
. ／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ゝ 実際、幕府内の体制も色々改変してるんだけど、
, ':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.,:.:.:.:.:.:.:.｀ｰ- _ 健康上の問題から、それが歩詰まりする事が多く、
/:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.,:.:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.ﾄ、:.:.:.、:.、`ー ￣ 将軍抜きでも重臣の合議で幕政が廻せる体制に落ち着いた。
. ′:.:.:.:.:.,':.:.:.:.:.:.':.:.:.:.:.:/:.:,':.:.:.:.:.:.:|:. , ヽ:.:.:.!:.:.ﾄ､:ヽ
|:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:l:.:.:.:.:./!:.:.l!:.:.:.:.:.:.:|:.,' __V:.:!:. ﾊ ＼: 、 家光本人からすれば不本意だったかもしれないけど、
|:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.':.tヤﾌ「ﾐ .:!:.:.:.:.:.:.// ´ V:.:.:.:.ﾄ、 ヽ! .これが江戸幕府が長続きした一因であったし、
|:.:.:.:.:r从:.:.:.!:.l!:./ |:.:/ | :.:.:／ ′ /:.:.:.:. | ＼ 事実、家光自身が早逝して、早速機能した訳だしね。
. !:.:.:.: | { ,v:.:i!/ヽtﾃ示ﾐ,ｯ／ ,,rf示ァ ' :.:.:.:.:.:| ヽ
:.:.:.:人 こヾ!:! ﾞ辷ソ 辷ソ i:.:.:l!:.:.:.:! ,}_ まあ、これについては結果論だから、
. v:.:.:.:.≧‐ﾍ , ,':.:.:l|:.:. ′ ／:::::::＼ 功績というには微妙だけど。
. ∨, ‐‐-ﾐヽ ､＿_, , ｲ:.:.:.,'|:.:/ゝ .....:::::::::::::::::＼
／::::::::::::::::i:.|＞ イ :.|:.:./ |:/〈 :::::::::::::::::::::::::::::: ＼
. /::::::::::::::::::::::| |!} ｀ ‐- ＜-‐‐ y'!/ ,′ ヽ :::::::::::::::::::::::::::::::: ＼
/:::::::::::::::::::::: 从ﾘ{ ` / ,}、乂 ｀ー-‐‐=‐ ＼::::::::::::::::::::::::::::::::::丶
. /::::::::::::::::::::::::::| У ー 、 ／ 〉 }!::｀:::::::::::::::::::::::::｀丶:::::::::::::::::::::::::::::::::＼
...... _／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :＼
ｰ=ﾆ ｧ: : : : : :／: : : :/: /: : : : :､: : : :｀ヽ: : : : ヽ
/ ,: : : :〃: :/: : /: │: : : : :lヽ: : : : ﾊ: : : : :.ヽ
. / / : : //: :/: : /: : │: : : : ::|: :!: : : : i|: : l: : : :ヽ
/ ｲ : : : l |: :│: :j : : ∧: : : : :l: :|＼: : ｉ|: :│: : : :.＼
その健康問題については、 l/ |: : : :| ｌ: :∧: :ﾊ: : l '.: : : :ﾊ j ヽ ｉ|: :│: : : :}
本人の体質的な問題だけど、 . ││: : ｌ|│ﾅ下/-ヽ | ヾ: :/_ﾑ'― 弋|: :│: : ! j
積極的に鷹狩りに出るなど、. j. │: : |i V ,ｨテ圷､ヽ ∨ ｨチ示k l: : ﾄ: : Ⅳ
健康の維持や体力増強に . ヽ: : | ﾊ` Vf:::::i} Vf:::::i} Y|: : ﾑ N
気を使ってる様子は伺える。 ..... ヽ |ﾍ i l ゝー' `ー'' ﾊ!: :,) }i|
そもそも、剣術を学んだのも .. ｀l: :ヽﾑ ' /:/: :ﾙｲ
その一環ではあっただろうし。 .. ', : : |ﾍ､ ‐ ｨ' /: :/
...... ヽ: :ｌヽ ＞,､ イ/７: :/
その意味では、武家の棟梁として ＼! Ｖ厶|＞ｰ ＜ﾚ_'/ /／
立とうとする自覚はあったと言える。 , '´/ノ L､ ／
,.-' | ___.＿ | `ｰ､
_..-‐'´ |´ ＿｀ ｰ<| ｀ｰ､_
171 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/10/31(月) 03:49:47 ID:t4hNOaOw0
_ - ￣｀ ー
／ ＼
, ' ,､ ､ ヽ それと、問題になったのは、
/ / ,ｨ ｨ/ ヽ ! | ヽ さっきも話題に出たけど、やはり衆道だね、衆道。
,' l , -‐-x i / ｲ-─ﾘﾊ l ﾍ ',
i l ｧ≠､/ ィﾆﾃ!/ l ! 自分が病弱である事は自覚してただろうし、
,'.| ゝﾄﾍﾋノ , ゞ-ｨ fヽ | l 自らの手で実弟を処断してるんだから、
! ! ヽ_', _ __ ｜ f ' i i 徳川宗家存続を考えたら、絶対に子供は必要なのに
{ ﾄ ヽ､ ,ｲｨ/ ｨ i l,' 30代後半まで千代姫一人しか子供を作らなかった。
ﾄゝヽﾍ_､-､_｀ t - イ /!ィハ/ｿ
r z' ,k-､ 家綱以降の出生頻度を考えると、
_ ┬ ﾍ 只 ／`7-､ 性的能力に問題はなかった訳だから、
／ ', ', ヽ/ ヽ' / / ＼ それこそ心理的な問題で女性相手に不能だったか、
二￣＼_ j｀ヽ ヽ 丶 / / j ヽ ／⌒二つ.. 性的嗜好で嫌がっていたかのどちらかなんだろうけど、
/ )､ ' ヽ ヽ , ' , ' ﾑ { /{ ｀ー . 前者ならともかく、後者だとすると、ちょっと、ねえ…。
, , / 弋ミﾐ} ＼＼ _／／ |彡 V ＼
,/ / ／ ﾍ 7 ＼ ／ ,' .! / 厂
_/^´ | V Ｙ / {_/ ／
ヽ } } | ! {/ ／
...... ／ ヽ
／ , , ' ヽ
/ / / / / , / ヽ !
〃/ / ! l / ! ! ヽ | !
│ ! ! │ { ! | ヽ ! ! ! |
…むしろ、家綱誕生以後、 ...... ! /{ {. ﾄ｀ ト､ |ヽ !＼ ,ム‐ﾊ| } l
5人連続で男子が生まれた方が ﾚ ! iヽ !,,====ﾐ､＼l ,,====ﾐ ! l l !
不可解に見えるレベル。 ... ヽ |.-ヽ!'<fえヶ.ll, - ､ll ｲkか>l ,!､ ﾊl
...... /, ﾆヽﾄ ゞ-' ノ ヽ ゞ-' ,' / ﾉﾘ
結果だけで言えば、 .. ,'/ﾆヾ 人 ｀_ / /ﾘ´
以後、7代目までは直系宗家が ... { /ﾆヽ ヽへ ィ ﾊl
存続したのだから、問題ないとも ヽ、ヽ } | ＞ _ , ィ´/ノ-､
言えるけど。 _,' ﾚ′_,-‐l ／ ヽ
__/ | /､‐'/ ／ , ' ＼
/ ─ ' } /へ、 ／ ＼
{ / / ヽ､ , ' ィ ﾆ二二＼
, ｲ ,' 〉/ ／ ／／ , -―─-}
173 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/10/31(月) 03:50:45 ID:t4hNOaOw0
,. - ‐ - ､
, ´: : : : : : : : : :＞ｰ-
, ィ: : : ／: : : : : : : : : : : : : : : ＼
, ´′: : : : : ／: : : : : : ／: : : : : : : :ヽ
／ ,ｨ′: : : /: :/: : : : : : ,ィ: : : : : : j!: : : : :
／ / /: : : : /: :/: : : : ー-/: : : :/ : ハ: : : : :ﾊ まあ、色々書いたけど、
{ {! ,′: : : :{:ｲ : : / ´_ ｲ: : : :ｨ: /＿_i: : : ! : i 総じて言えば、
乂: : : : : : 从 : iｲ示ﾄﾒl: :／ソ ´￣ | : : |: : |
/ ｲ: : : : : : ﾙ: :| ￣｀ ﾚ ／ rﾃt-､!: : :i: : :ﾄ 「幕府による支配体制を確立し、
＿ノ,ｨ: : : : : : : : : : i{ i ｀ｰ′'j: : 八: :| 天下の安定を維持し続けた」
′i{: : : : : : : : : :ﾊ ′ /ﾚ: : : :lヽ､
{ヽ: : : : : : : : :| ｰ- _ /: : : : : :i という点については、
Ⅶ: : : : : ﾊト ノ: : : : : : ﾘ .家臣に恵まれたという点を割り引いても、
}从ﾘﾊj ヽ ｀ ､ _, ＜: : : : : : :ｲﾉ 家光の統治者としての実績として
＿＿ /{. . ' ＼ﾆｭ__-jﾚ ｨ --{: : ｨﾘ: // 挙げてもいいと思うよ。
／:.:.:.:.:.:.:.:.:.｀}:.:!. . . . . .Y . Y: : : : : : /v/／/
!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.j:.:{. . . . . . j､, ｲ. . . . . /､ ′ 個人的には、秀忠の評価として言われる
|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.｀ハ._. . . ´ムハ. . . . .i:.:.＞ .,_ 「守成の主君」という評価は、
|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l:.:ヽ／:{ Y! ヽ｀ y_j:.:.:.:.:.:.:.:.｀ヽ .むしろ家光にこそ当て嵌まるのでは、とも思うけどね。
!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∨ゝ:.:.:.:.:.∧ l , トｰ':.:.ﾄ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|
､:.:.:.:.:.ヽ:.:.:.:.:.:リ:.:.:＼:.:.:.:.＼ V:.:.:.＼:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!
/:::/::::/::::::::::::l::::::::|:::::::l:::::::::l:::::::::::::::::::::ヽ:::::::::::::::::::::i::::::
/::;ｲ::::i::::::::::::::| ::::::l|;::::::li;::::::::|､;::::::::::::::::::::l:::::::::::::::::::::l:::::
.l::/ l:::::|::::::::::::/!::::::| li::::::lヽ::::::l. ヽ;:::::::::::::::::l::::::::::::::::::::l::::::
あと、柳生一族…というか、 ..... |::l | ::::|::::::::-i-L;;_l .|!i:::::l ヽ::::l ヽ､__;;;;::::| :::::::::::::::::l::::
武芸者方面から見れば、武芸を奨励し、 .. |:! .|::::::l::__;;;|_ l:::l｀ヽヽ;:::l ヾ;ﾚ‐'''ﾞﾞ´＼ :::::| ::::::::::::::::l:::::
剣術が「武士の表芸」とされる土壌を ... l! .|:::／ ___ノ,ｨ'ﾄ|''=ﾐ､ ヾ! ,r-=fニﾐ;;弍;;| :::::::::::::::l~ﾞ'i
作った人物とも言える。 ... l/ ,/ﾄ､::lﾞ__ﾞヾ::ii::|ヽ ,/ .|:::illi:::ﾞii/ |:::::::::::::::j¨ﾞ l
/⌒ヾ､|/`fﾄ l ﾞK);j .l'⌒''h. K);;;;ｯﾘ l:::::::::::::/ .ﾉ
また、家光と宗矩の関係なくして、 ...... /‐-､ `iﾉ /'ヽ|､ ノ ヾ､ ,/ |:::::::::::/=7ﾞ
「兵法家伝書」も存在したかどうか怪しいから、 ./ ､. ヽ |ﾞV,_ l:::i､￣ 丶 ﾞ''ｰ-‐'' ,l::::::::::/|:;/
彼抜きだと武道史も若干変わっていたかも。 . i 'ﾞヽ_j-' .|::::|.＼ ‐- ,,ｲ::::::::/ ,l/
ヽ ヽ jl:::::l. ヽ､ , ''ﾞ /:::::::/ﾞ｀ヽ､
ヽ､. /ヽ::::| ,,｀=ｰ '''i´ /:;/ﾚ'〉;:;:;:;:,.,＼
/ /. ヽ:| ,,r''ﾞ,.;:;:;r''ﾞ~ﾉ /ｲ /;:;:;:;:;:;:;:;:;:;
174 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/10/31(月) 03:52:40 ID:t4hNOaOw0
, ＜: : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
,r : ´: : :/:.:/: : {: r､: : : : : : : : : : ヽ: : ＼
/ : ／: : :!:./: : : :l: ﾄ八: : : : : : : : : : : ＼: :＼
. /: :/{: : : : l/: : : : ﾊ: ! ＼: : : : : : : : : : :ヽ: : ヽ
/: : : ′ : : j!: : : : : !: :l ゝ : : : : : : : : : : l: : : :＼ まあ、家光についてはこんなところかな。
′ : i! : l: : ′: : : : j j!i ，"￣ ＼: : : : : : : : : ! : ヽ ､:＼
,: i: : : l: : : : 斗―- ｲ/,j 彳示ヾァ ､: : : : : l: : : :＼＼ 柳生一族からすれば、
!: ! : : : : : :´j:/ムメjﾉ乂 '乂｡:::::i ' j: ﾊ: : !: : : : : :＼ 繁栄のきっかけとなったのが家康なら、
Ⅶ : l: : : : : :ｲ乍:::::ﾊ ヾー′ /ｲ: l: ハ: : : : : : : ヽ .繁栄を支えてくれたのが家光、といったところで、
Ⅵ: l乂: :∨:ﾊ ぅｚ;ﾘ ﾉ _ノ´/: :i: ! l: : : :l{ : ヽ 彼抜きで、というか、彼と宗矩の関係なくして、
ゝ: : : : : 乂 " ,: : : : :Y: : : : :ト,: : 柳生一族の黄金期はなかっただろうね。
/: : : : : : : : ｀ｰ _ = - ､ !: : : : :j : : : : i ヽ:
. /: : /j: : : : : : ∧ V j !: : : : ;′: ﾘ: j ∨ 「主君と剣術指南役」という面でも、
.. /: : /ｲ: : : : : : : : :ヽ ｀ ｰ_ ′ ,ィ: : : :/: : ／从 ｀ヽ 一番の成功例と言っていいんじゃないかな。
,′:/ {: : : : : : : : : : : : :＞ ., ／人: ／:. l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
, : : ' i: : : : :l{ : : : : : : : : : : : : ｀r= イ／ ∨ .:.: jl:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
. l: / !{: : : :ハ: : : : : : : : : : : :/{! ／ /:. ／{:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
,:' : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ∨: : : :＼
/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :,: : : : : : :|: : : : : : :ヽ
／ : : : : : : /: /: : : : : : : : : : / : |: : : : :|: : ､: : : : : '.
／.': : : : : : : /: /: : : :/: : :/: ,.:ｲ: :l: l: : : : :|: : : V: : :＼}
}/: : : : : /: : : : : :/ : : /: / |: : :/: : : : :| : : : : : : : : l＼
「いい出会い」だった。 . /: : :|: : : :|: : :.|:-:/:-:／-/､ |: :/ : : : : 人: |: :|: : : |: |
.. ': /: ,: : :,.-|: : :.|: :|:／/:／__-､|:/: :,: : : /- |､:/:|: : : |: |
少なくとも、宗矩と家光については、 /:ｲ/ｲ : : |l_,|: : :.|:,ｨ=≠≦=ﾐ､｀ヽ: /: :／＿ }人/: : : : :,
確実にそう言っていいと思う。 . / 八: :|:{ |: : :从{ vこツ }/: ｲｨ≠ミ､ヽ/: : : ,}:/
.. ∨:乂|: : : : |乂:.:.:.: (ﾉ／{)Vzツ ノ/: : : //
その子供同士… V:|: ∨: : :| ｀ ― ´ 、 :.:.:. /:ｲ : /
宗冬と家綱については、 ... }∧: ∨: :| ' ￣/´ : ｨ:{
この後、話していこうと思う。 .. }:/}∨:| ､ ､ _ ム : / ﾘ
´ ∧:| ｀ イ: : ／
γ ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ ＿/ ＼ ｀7ｰ ´ /: ／
|. そうだね。 |...../ / / ／
|. じゃあ、本編に戻ろうか！ | .｀￣＼ {＼
乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ノ ＼ ＼＼
/＿＿ ＼-､ ＼'.
202 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/06(日) 22:31:45 ID:Xk1t06rQ0
慶安四年(1651)八月十日、徳川家綱は江戸城にて将軍宣下を受け、
正式に四代将軍として就任した。
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_ノ;人'､
}､、__,. -'',r'／ｐ､ヾ､
,}”ー--､."ﾆー--ﾞ'ゝ ﾞ'‐､_＿,､ｬ,
,､ /;;,rlT=ｲ__~￣~＾~＾''ー‐---､.ｙ"
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../,r'ｰl~~~^~_,.,r'%%r===%%''ｭ.,_"‐^"‐''=fhifhicifcifriririririyr'g'y'ng'y''ngmgigpmgwwiV} ｀''‐､._
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;;',;ヾ;ヾ;､;;;'''゛iil||||||||l::::::::::::::::::::::::::::;|ｼ､_}~ｽ､く,ﾉ~i´_K´ﾅｖ＾ｰﾇ_ヽ^{~ﾌｖ7_,ｒ`}ﾌ～ｖﾚﾝ､ヽﾌｖ_,ｒ`}ヽ
203 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/06(日) 22:32:11 ID:Xk1t06rQ0
まず、先代家光の薨去に伴い、正室・側室共に落飾、大奥もその規模が大幅に縮小された。
（大奥の女房3700人余りが暇を出され、不要の建物がことごとく取り壊されたという）
,. - ' ´:::::::::::::::::´"' - ,_
┛┗::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀ヽ
┓┏::::::::::::::::::::::::/::::::::ﾊ:::::::::::ヽ
/:::::::::::::::::::::::::r─‐┴─┘Ｌ:::::::::::ﾍ
/:::::::::::::::::::::::≧ﾆ＝ｘ,_ー┐ ｀ヽ/}::ヽ , ､
/::::::::::::::::::::::::::::７癶 ‘’ `ラ仏_,ﾉ＿ V:::ﾍ く ヾ ）
::::::::::::::::::. ::::: ::::! ￣´イ { ⌒ﾄ‘’＼ }::::::} ｒく／ .結局、最期まで、
:::::::::::::. .. :::!i ´ ｒ冖- ﾍ｀¨^7＼┘／´ 夫婦仲は冷え切ったままとはのう…。
:::::. .: .::::: ::! ﾄ- `⌒ - _,ノ ´{:::::ｊ／ ..おかげでチビどもは誰一人ワシの倅にできんかったわい。
::: :: ::::: ::! ＿,r＝ニつく 丿／
:: .::: :::: :! ! ｛王王ﾐtヾYf‐ ':::::|
: .:::: :::: l ヽ ､＿_ ｀ ｿ :::::::: |
:::..::. ::::::: :::: | }＼ ｀ ｀ Y:::.. :::::|
:::::::: ::::::: :::: | |: : :ヽ､＿ 丿:::: :::{
:::::::: l:::::: l:::::! }: : :/ /: :厂｢:::::::::::::::. ::::|
:::::::l l:::::: l:::::} !: : ' /: :/ ./:::::::::::::::::: ::::{
本理院（元：鷹司孝子）
（ほんりいん）
‐ ￣ ｰ- ､
´_ ＼
／ ＼ ｀ ､ ＼ ヽ
´ i ヽ ヽ ヽ ',
/ / ハ＼ ＼ ＼ ヽ ヽ i
/ / l l､ ＼ ＼ヽ＼_ } } i
/ / l ハ_Lヽ ､_ﾊ＼ ＼ ヽ} l }
' l l ‐√_V ヽ l＼ ヽ＿} ! } .本理院様、
ﾚ１ ! V<圷示,ヽ lｰ-ヽ_ヽV｀ヽ | } あの子もその辺りは承知しておりますので…。
! ! ハゞ=' ＼ l 'ｲ圷示 ! ! ハ
j l ト､ , ゞ=' '/ / i ! iハ 「わかっとるわい。
// V lヽ ' / ／ /ﾍヽ ハ} .あいつ(家綱)はようしてくれとる」
/ハ ゝ ノ イ / ∨ ! ヽ
l ﾊiヽ ｀ ` ／/ ∧ {
ヽ ﾊ i ＞ -､ ´ / /´∧ {
ヽ ハ三/ 〉 ／/ /／ /::ヽ !
／ ∨‐´:::::ﾊ / / ／レ´ イ ヽ::::ヽ ヽ
/ ／::::::::::::::∧.∨ ﾚ. ／ ／::::＼ ＼:::Vハ
宝樹院(元：お楽の方)
（ほうじゅいん）
なお、家光正室・本理院（元：鷹司孝子）は延宝二年（1674）に73歳で、
家綱の母・宝樹院(元：お楽の方)は承応元年(1653)に32歳で亡くなっている。
（余談であるが、正室・鷹司孝子と家光は最期まで不仲のままだったため、
家綱をはじめ、家光の子供と孝子は養子関係を結べていない）
204 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/06(日) 22:33:04 ID:Xk1t06rQ0
ただ、その中で、一人、落飾せずに大奥に残った人物もいる。
}ヽ´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.>‐、_:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
.ミ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:ヽ从:.:.:.:.:.:.:. : 爻彡彡彡ｿｿ从:.:.:
ヾ:.:.:.:.:.:.: 彡へミミﾐミﾐ| 巛{i⌒Y从从从从从ﾑ''"::::::::::::::::::::
.,爻',.:.:.:.:. : ﾐ. {:. ||||ﾊ',{ {从从ﾑ''"::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
',:.:.:.:.:.:ミ. ',:. ||ﾑ 乂:'､_::::::::::::::::::::::::::::::::,ｨ:::::::::::::::::
＼ : :ミ ヽ,...从 ゞ-ヽ.:::::::::::::::::::::::ｲ(´::::::::::::::::::
.｀ヽゝ=ミ:. ｿ. λ:: ヽ､ミヽ､ ::::::::::::: ,ｨ:: ）):::::::_;;::::::::
. ＼:.:.:.:.: ｿ ≫ｘﾑノ） _）) :: . ｀ヽ;ﾏ ::::::::::::::: ζｖ（;;ノ,ｧﾑ-‐::::::
. ｀ヽ彡寸斧弍ゝ'ｨｲ(´::: ::: }!.:::ｿ／:::;;;( ゝ' ｨノzzzz≪;;;;;
. ミ::::从.: :.{:てうｧx,::;; ::: :::::::::;;;xｧ≫''λ_), . ）: : :.从;;;;; それはこのお万だ！！
. ミﾊﾑ 乂___.ノ㍉ｘ､:;;〃;;..ｧﾏ"´ ゝ---イ ,,, ＜;;;;;;;;
＞'{.:.:ﾊ⌒ゞ､＿_,,,-‐爻;;;;;;;;;爻ｲゝ､__,,,,,,,, -z=＜;;;;;;;;;;;;; フフフ…上様が薨去されようと、
.. /. ﾑ乂:.{ﾍ'／"¨/¨:::;;;;;''' { :::;;;;;;;;;/¨"!^^ヽ:::::::::::::::};;;;;; このお万、心に一切の揺らぎ無し！！
∨ /厶ﾄ ／｀Y::）､ :::: ', ::::;;;;;;;;;; .::::::::ﾉ;;;;;
. ＼/厶.／ ﾑ' ヽ 〈} ;;;'''';;;::: ....... ..::::::::ﾉ／:::
＼/ ／ ヽ,. ‐く ヽ___ｲ'" ___,,ｧ'ﾞ::::::::::::::／:::::::::
. / ／', //ﾊ. ¨''xzzｚｆﾁｱ'"::::::::::::::／ 〃
/イ.', ', {///｀ヽ ;;;;こ¨;;;;..::::::::::::: ／
＼＼＼ ＼. ﾘ//i ヽ､ ''''''''''''.: : , イ
. ＼ ｀ヽﾄ、ヽ, ∨/! ￣￣￣ ／
＞x ヽ ヽ' ∨i{ ／
＞ｘ｀ヽ Vﾑ､ ／
お万の方
-‐ '´￣￣｀ヽ､
／ ／" ｀ヽ ヽ ＼
//, '/ u. ヽﾊ ､ ヽ
〃 {_{ノ ｀ヽﾘ| ｌ │ i|
ﾚ!小ｌ○ ○ 从 |、i| （アカン）
ヽ|l⊃ ､_,､_, ⊂⊃ |ﾉ│
/⌒ヽ__|ﾍ ゝ._） u .j /⌒i !
＼ /:::::| l＞,､ __, イァ/ /│
. /:::::/| | ヾ:::|三/::{ﾍ､__∧ |
｀ヽ< | | ヾ∨:::/ヾ:::彡' |
祖心尼
（そしんに）
家光を女体開眼させたと言われるお万の方である。
彼女は名を「お梅の方」と変え、その後も大奥を取り仕切ったと言われるが、詳細は不明。
名のある側室の中では最も長生きし、正徳元年(1711)に88歳で亡くなるまで生き続けたという。
205 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/06(日) 22:34:02 ID:Xk1t06rQ0
さて、そんな江戸城内のあれこれとは別に、
幼君家綱、そして彼を支える幕閣が最初に直面する事になった事件が──
::::::::l:l:::ll|! /l ﾄ!::.i.:::::::: ::::. lil::::::::l
:::l::::l:l:::H､!_l l l::l ﾊ:::. :::::. .::il,:::l
:::l:i:::::::lﾄi>､l｀`'' ＝==､-- 、 ＿＿＿,, . ィl::lﾗiｧ::: ::::i::::::Ａl::l
:::::l:::::::lﾞ'lﾄ､|｀::::::::::::::::::::::::::ﾞ ヽ ,イ::::::::::::::::::::::〒!:l:ﾒil::::::::ll::::/ l lﾄ、
:::::|:::::ll ,l!ヽｴ::::::::::::::::::::::::::::::::', ,'::::::::::::::::::::::::::::ﾅ!::! l l:::::::lﾘ:人l l ヽ、
::::ll::::::l ,l! |::::::::::::::::::::::::::::::::::l ,!::::::::::::::::::::::::::::: ﾘ:,! l ll::::::/l/ ヽﾑ、 ヽ
::::l'!:::::l l! ,':: :: ,!/ ,!l l::::/ ′ ハ 丶 さて…この私が立ち上がった時、
,:::i ',:::l l {: l:,' /ll l:::l′__ ヽ ヽ
ヾj､',:l l l,' ll/l:,' /il｀丶､、 ヽ 一体、どのようなことが起こるか、わかるかね？
,l,' 、 ,、 ', ,、 / ,ﾂ }' ,' ｀`ヾ:､、
ﾘ ヽ、 '（ ',、,） ,ｲ ! ﾄ、 それは…
／iヽ ,ｨt、 丶 l;/ ,ｨ>／iヽ. l }r┬-- ､、
/ l! ＼ `丶､、＿_ ヽ,__,ノ＿_ ,, ィ'" ／:: l:, 丶 l ,.ｨl ', ｀`
/ l ＼丶、｀丶.｀二二´. -''", .:／::: l:. 丶 L、 l 'r- ､、
206 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/06(日) 22:34:30 ID:Xk1t06rQ0
;;l l〃ｼ/ﾉ,r':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ﾞぃヾミ;;
1ﾘN jM/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ﾞi,ﾞ!ゝﾐ
川;;l;;/リ!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ﾞi,ﾞ i;;;;;
;;;;;;;;_l__ﾊ:.:.:.:.:.:.:.:.::_,ｨァ':.:.:.:.:.:,r::''ﾃ=＝'ﾞ工l;;;;
;;;;;;;;;;;;;ヒ!ニ二二´ﾐ、:.:.:.:. l l::: ｨ=＝ｔ･lﾌフ
;;;;;;;;;;;lヽl､,,__,tﾟ･ﾉｪ= |t::.. ｀三ﾞﾞ干ﾞ
;;;;;;;;;;;l｀ﾞｌ`:'''':"¨~´ | ﾞ:;::. | 幕府の転覆…。
;;;;;;;;;;;l:.:.|:.:.:.:.: : | :: | 即ち、徳川の世の終わりということだ。
;;;;;;;;;;l:.:.:|:.:.: ', ﾉ
;;;;;;;;;;ﾄ、|.: ,:'ﾞ:,: ､
;ti;;;;;;lハ! ,__）
;Nl;;;;;l l ﾞﾄ、 ﾞ ｰ､__ノ´
川l;;ﾘ lﾉlNヽ、 ;::
,ｿ ,/ lﾄVwヽ ､＿__,: --―‐:ァ'ー一''"
l! | ∨Mゝ、 ｀￣￣´_,,,.::-‐
l い ﾞﾄ、 ｀~ﾞ:":::::' ﾉ
|, ＼ ／〉
l ＼ ／::/
ﾉ 丶､,＿_,, ノ /
由井正雪
（ゆい しょうせつ）
── 「慶安の変」…即ち、由井正雪の乱である。
207 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/06(日) 22:34:55 ID:Xk1t06rQ0
詳細に語ると話が延びる為、簡略な説明になるが、
軍学者である正雪は、代替わりの機を見て、生活に不満を持つ牢人達を糾合し、
天下を転覆させようとする計画を練っていたという。
／ !:::l;｜ ＿,,,,,...、
／ j::::l | , -―:::::'"´::::::::::::::＼
／:::ヽ、 ／::/;'｜ /::/:::::::ヽ::::::::::::::::::::::::::＼
／ ',::::::::Y::::::/;'' | /:::f''"´~´',::::::::::::::::::::::::::::::ヽ .ククク…。
| ､ヽ-┴-ｲャ ' | ,'::::,ｲ l::､::::::::::::::::::::::::::::', 計画はいよいよ最終段階だ。
| '^ヾ/,,::;:;:;､',;;;､、| !:::ｲ,|,､、r彡lァ:ﾄi::::::::::::::::::::::::ﾄ あとは機を待つのみ…！
| _彡';:;:;:;:;:;:ミXミ |, {::;;{ﾆ,､} /:.｀ﾞ|八| li::ﾄﾄlri l::::::::l
|ｨ'′ ,. == 、 ｀ﾞ| lﾊ:ト彳 :. | ,ﾘ |N ﾘ,_,ｨi::::ﾄi`
|, -;;::'-zwｨゞ;::r-,ｧ| l jl:'､ l__,.っ ,、 / ﾊN／丶、
,rへ、 i´;;;;;ﾘ ∠、| ,ﾘﾊ:.:.:´_,-‐ｧ'"´／ ヾﾉ ヽ、
{＼/＞-ﾐ‐- ' ,イｨﾘ ﾞ| ヽ"ﾆ二´ ／:.: .: / ヽ｀丶-―‐--
__j ｀^丶ミ r‐┘ '、 ／:.:.:.: :: / ',
｛、w _z三 `"´フヽ:.: .::. / ',
7 」 ﾋ＿,z＝三手 lr､ ヾ!、 .:::: /'´￣｀`丶､'、
l, { Z´ ,r'^´ n_//:.ヽ. ｌ :: /
l 'z ／ ／ ﾄｲ ,//:／ヽ'、 /
l l ﾗ ,' , ィつ liﾚ′ /／ ｀ヽ/
ヽ ヽ!_ { / /´ ＿__ ,ﾉ l
', '! ', / / ／,r一' _r'′ ﾉ
', 'i, ﾞi l /^/´ _,ノ ヽ
＼'､, '. '′{ ,ィ" 〈
「大風の夜に江戸城の火薬庫に火を投じ、その爆発に合わせて江戸の各地に放火、
驚いて登城する年寄衆を討ち取り、そのまま江戸城を乗っ取る。
同時に、駿府でも同様に事を起こし、久能山にある金銀を奪って軍資金とし、
それを元に、江戸や大坂の牢人達を集め、天下転覆を狙う」
正雪の計画というのは、大まかに言うと、こういうものであり、
そして、七月二十二日、いよいよ計画を実行に移すべく、正雪は駿府に向け、出立した。
208 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/06(日) 22:35:24 ID:Xk1t06rQ0
だが…
.', '、 l l 、 l ! ヽ､、├-- `',
.', ヽ 丶 丶 ､ ヽ ＼ ヾ.｀` γ´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣｀ヽ
lﾊ '、 ヽ 丶 ｀､｀ﾄ、`､ーz 丶、 l ──天下の転覆だと？ |
|l:;>､ﾄ. |ヽ |＼ ヽゝ-ミ>` ｀ﾞ `'; 乂,_＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ﾉ
r'ﾘ´ _｀ヽ!-ヾ―丶.'、￣｀_)
.ゝ ‐'´::::::::::::::::::::::::::::::`:｀丶､ヽ
_,. -'―――‐┬―――--::::､、｀ヽ、
- '´:::::::::::::::::::::::::::::l::::::::::::::::::::::::::::::::::｀丶ゝ､＿
_,. '´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀ﾞ ―-- ､、
:'":::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀丶
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::ヽ
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::l、
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l:::::::/ 丶
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!::::/:i:::::ヽ
､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,':::,':/::::::::: ﾄ、--
::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l: ノ::::::::::::/:::l、
209 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/06(日) 22:36:22 ID:Xk1t06rQ0
'､ヽヽ、 ＼＿ l, l, ＿z- ､ ,-、 /l ,ｒ＝､、 r'" /
ヽ＼'ー-、 ｀ー-- 、 | | ［＿ト､/ / l ﾄ-､ l l // // /｀`/ ,. -―――
＿＿」 ｀`ー-- ､｀`ヽ| | 〔＼ ./ ,l j ヽ〉 l l / '､_// /｀'l/-――､'´ _／￣￣
▽､-、 ト、､| |｀ヽ、＼/ ,'/ ,rｰ' l l ヽ＿ノ ＼/＿＿,. -―,ｚ―‐ｧ
▽､ｰ--ゞ:ヽ､_ヽ:'､ | ヽ､/ ,' |/ ,l. l ∠＿_ノ
ｰz三ﾆ=ﾍ:.:ヾ^ヾヽ ＼ / ,' /{ lｲl l ＿,.. -zﾆ,,＿_ ＿,-
▽=ﾆ二-―-ﾐヽ:::ヽ::i:::', ＼/ ,' 「＼ /ｨァ l ll l ,ィi'´:::::::::::::::::::::三そ ,z‐'´￣´
v-=テ＝= ､、ヽヾ､::::l::::l. / /| ｀`' / / Lll l ,'::::::::::::::､ミミﾐ､::::::三z ￣乙＿_
ﾆ≧二 ￣三ミ,ｯ'二､^l::ﾉ / /´＿ / / ｒｭ, l ｌ i:::ﾄ､:ヾヽミミミゝ::::::三_
z=＝ｧ彡' ,f^}ｼ' ､__､ゝl′ / / ＼| ﾚ' ＿ ,l l l::l ＼､:::::::::::::::::::::::::≧
△彡ﾃ'´ 〈 ri ヽli' 〈 / / /l/ / l l ':t ｨ".仆ミfﾗi::::::::::::::ミ、
二二二二ﾆﾕ<^'ｰ ヽ ＼/ く r' ,' l / 'ﾞ`′ `'ﾉへトミrゞ
: : : : : : : : ＿二ﾌ :'､｀ ｰ-r'´ fi, V ,' l | , ＿, l: ll ヽ
-'^'ー,´二」_ :. ::,ゝ-`′ ､_ ﾄ-、 l '、 r､ ./ l／} `´｀ﾋ"´ ／-、ll :. ／｀丶z_
ゝ、 ｀丶:.、l__ 「ﾄ、￣ l ', ､j./ l l l `ｰ'´ ', ll.::／ ,r':. ≧
＼,ィ":|:.:ヽ、 У L、 tｭ | l `ｰ､ l 〉 / l/ l /￣/ ,r‐l / / 三z_
'´､:.ヽ:.|:.:.:.:.ヽ＿／ '、 ヽ'､ l l,/ / l ,/ ,ﾉZフ //!l,ノ.ﾍ. / ヽ／
: : :＼＼:__,,. ＞' ,ｨ/,ｲ 丶ミ､'、<^ヽ l ,l／＿ ￣´ /ｲ / ヽ/ .::. :ヽ.
＼:､-＼＼_,,. '" ／´ / ゝ ｀`' ﾑ'´ 丶＿」 / /| yi // .:/.:: :.:.'i,
:〈:.＞―-､_〉 ,／,_'ｨ'´! }:'、 ／|l _,ノУ | ト, }/ .:/ .ｲi .:.:.:しi
:´ヾ￣） '" ／:.:ヾ' ,/l:.:l ,l ﾘ /了´ ＿|＿＿＿/ --―ｧ .:/ ／/ /^' l
:.:.:.:ト､ﾐ-r'ニﾚ'-▽―:'ヾl:.:l ＿＿/ / ＿,. '-‐ '"´,. i--―┬っ ／ _,. --―-- ､_ /l :. ',
｀ヽ:.'､:l:.:.｀`丶､、:.:.:.:.:.:.:.ヽ:', イ | / ┌―''"＿,. -‐ '"´: :/ l7 l／.／＼ ヽ二二二二フ .: .:::. ',
:.:.:.:ヾ:.:l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀`丶､:.:.:ヽ! ﾚ ヽ／ / _,. -l´ lrl: : : : : :,.イ ／ ／: : : : ＼ .:ト、 .:.: .:.: :.
:.:.:.:.:.ヽ:i::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀丶', ,イ! '"´ /Yl/ /: : : ／／ ／ ／: : : : : : : : ＼ .:.:.:.:ヽ .:.: .:
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:.:.:.:.:.:.:.:li:::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l ／ // //__/: : ／／ ,l l: : : : : : : : : : : :.＼／ ヽ_／
:.:.:.:.:.:.:.:l:::::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l〈 // レ'-‐:／／ ト、 / l l: : : : : : : : : .:ト､ ,／
:.:.:.:.:.:.r'､:::.:::.:.:::..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.', ヽ ,ﾑ' ／ / ［l ヽj ,' l: : : : : : ./: : l: ｀l
:.:.:.:.:.:l:.:.:.::.:.:.::.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:', ヽ{ヽヽ / / / _」_: : : . : l: : :,l: : :l
:､'、:.:l::.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:／ト､:.:.:.:.:.:l | ヽヽ 〈＿,ノ r==＝＝ﾆﾆ二￣ ,イ: : . : : : l／: :l_,.-l
:.:ヽヽ:l:::::.:.:.:.:.:.:.:／: : l: :l:.:.:.:.:.:{, '、 ヽヽ. ,ｨ l,.-,´イ´ '、 . : : : : /: : : : l: : l
:.:.:.:.:ヽ:∠二二二二二二二二フ ヽ＿〉」 ,へ、 ／/ <.イ ヽ. :ヽ:_,r'": : : : :l: : :l
210 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/06(日) 22:36:45 ID:Xk1t06rQ0
/ /./:::::::::::::::::::::::::::::／ |::::::|. ,. '´￣￣￣｀ヽ
. i / /:::::::::;:-､:::::::::::::/ |:::::| / 我 そ ∨
i / ./::::::／::::::}::::::::::/ l::::| l. が ん l
. i l !::::／:::::／:::::::::/..,_ l:::l l 輩 な l
i l l／:::::／;::::::::::/´ `丶､. l::l l が 輩 l
. i l／:::::／::::l:::::::::/...,,＿ ｀ヽl::l ∧ .は ,!
.／:::::／::::::::l:::::::::厂 ７;;;;;;;;;;､ヾ l:l /::ヽ、 ノ
::::::／l::::::::::::l:::::::∧ 弋;;;;;;;;ノヽ l:l l::::::::::＞ ＜
:／/ ,.l::::::::::l::::::/ ゞｰ- -一 | |:::::::/ ヽ
/ ／ｌ::::::::l::::::l ! |::::/ ﾍ
,.'イl l::::::::!:::::ﾍ l::/ 排 計 l
|/...l::::::::!::::l ﾄ､ |:l 除 画 l
-‐=::":::｀ヾ､:::l l.へ |:! す ご l
::::;::::=-､:::::::＼! l | ＼ |:! る .と l
'" i.ヾ:::::::＼l | l lヽ、ヽ､.._ ﾍ､ /
i::::ヾ::::::::i.∧l !./へ `ミ._ー--‐∠、 _／ |
ヽ、 l::::l l:::::::ｌ l //r:1.｀ ､ ｀ ― ''" ｀ ―ｧ‐ﾄ､ ﾄ､|
::::::ヽ l::::! l::::::l ▽./ :| ｀ ＿ ／ / l、ヽ▽
l:::::::/ }./ l::::::l ﾉ/ ,/| / .l / |!､
:::／ ｢｀> ﾍ:::::i / /〆 ′ 7 ′＼
正雪の計画は、翌七月二十三日夜には訴人によって松平信綱に露見。
即座に奉行所から同心が派遣され、正雪の同志・丸橋忠弥とその一党が捕縛された。
211 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/06(日) 22:37:15 ID:Xk1t06rQ0
,. -- ､、 __
／, .:'"⌒ヾｰｧty'´::｀ヽ
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,ｲ ,ィi:.:.:.:.:./_ l:ﾉ !::::::::::l ハ
z彡ｨ'/ ! /、｀ヽ /,..-―|::.:.:.:.::! |
イ/ ,j|:.:.:.ｨ;ﾐiヽ`／/.:,=＝l: :.: .:!. ':､
/l ,ｲ,'::::/￣´／ ,' ､fti /// ｒ＼ 既に万事手配は済んだ。
´ﾚｲlﾉ:::/ ;.:. ｀7:.:.:.:/,'./イ :. ヽ あとは、正雪とやらの捕縛か。
彳lﾒ:ノ 丿: /:::::::ｲ//彡| ∧
/l／ｲﾄ､ ヽ――- ､_ /:::／l// /ｲﾙ'!ヾ:.
△イ「l/ﾘl>､ ｀` ﾆﾆ ‐ ｼ／／,ｲイﾊ从 | ﾘ
▽ /ﾙ'|i＼ ﾞ"ﾞ /:/,.ィfﾃ八l>/ﾚﾍ !
▽ ﾘ| ｀ ―△'´／|▽ ▽
＿/ '´_∠ ┴z_ '′
/く彡'´Lr‐ '´ __,、 人
,-‐{/| /_,. - '´ ,. -'´:.:.:ゝ、
. | ／/ / ,'＿,. -彡'":.:.:.:.:／:.:.:.:｀￣｀` 丶 、
. ﾘ ,' /i !::::, -'´:.:.:.:.:.:.／､＿:.:.:.:.:.:.:.:.:.,. -‐ヽ
. / / ,/::| ,l／:.:.:.:.:.:.:.:／:.:.:.:.:.:.:｀＞‐ '"´:.:.:.:.:.:.'、
/ ,'/::::l／:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:.:.:.:.:, - '´:.:.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
,:'l::/⌒!:.:.:.:.:.:.:.:/:,. － '´￣）:.:._,. :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
/:,ﾝ:;:;:;/--―ッ'":;:;:;:;:, －'´ｨｼ'´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:､:.:rイ
,'/:;:;:;:;/'"´>'´:;:;:;,. ‐ '´,ｲｼ'´:.:.,. ´￣）:.:.:.:.:.:.:.:.ヽヾ!
.;ｲ:;:;:;:;'´,. '":;:;:;／:.:.:.:.:ノ/∠ン:;:;:;／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ|
':;:;:;:;/'":;:;:;:;:;:／:.:.:.:.:,.ｨ彡:'":;:;:;:;／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ､、:.:.ヽ
:;:;／:;:;:;:;:;:;r',. --―:;:'":;:,. -‐',. '⌒):.:.:.:.:.:.:.:.:丶丶::::::〉
:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:＿_;: 彡´:.:.:／:;:;:／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀ヾ:〈
:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;｀` ‐ ､＿:＿:.ノ:;:;:／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヾヽ
翌日には、正雪の計画は幕閣によって概ね把握、即座に対策が取られ、
江戸にいた正雪の関係者は次々と捕らえられ、要所の守りは堅められた。
また、正雪の人相書も作られ、捕縛の命と共に、駿府に送られている。
212 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/06(日) 22:37:46 ID:Xk1t06rQ0
,,. -――- ､、
,.ィ"::.. ... ::....::::::ヽ―-
／::::.. ::::.. ::::....::::::::::三=
,ｨ':,､::. :::::::::::::::::::::::::::::::::=― さらばだ幕府の申し子よ…
,' .::f^ヾ:.. :::..::::::::::::::::::::::::::::::'ｭ＿＿
! .:.::l ＼::::::::::i､{｀'ﾄ､:::::::::::::に二 君は実に強敵だった…
',.::::::ﾄ､ ｨ'fﾝ､:ﾄ､lﾞ'ヾ) ,l::::::::::::::三三
ヾ:::::i′ ﾞ' ヾ'､ﾞ ｲlN川ﾘ=F …願わくは君とは…
丶l -､ ,、 ﾉ ﾆ三＿
､_,.イ_, - '´ / ,. --―＝=ト三ﾆ 私が江戸にいるうちに…
｀'ｰ､'",ｲ .:／ ＿_」に__ ‐
`´ l ／ ,. - '´ ヽ 三ﾆ＝＿ もっと話しておきたかったよ…
／ ,. - '´ ﾞ', _ェ三三二＿＿
/ ／ ', ＝ョ===
／'´ ', ＝ェ二＿＿
,. '´ l ｭ二ﾆ＝==
,. '´ l 二にニ
,. -'´――-- 、 l __三ニ二
l ヽ l ＝=＿―￣ー__
そして、江戸出立のわずか４日後の七月二十六日、
駿府城下にある梅屋太郎右衛門方に投宿した正雪は、
宿を捕り手に囲まれたところで観念し、自害した。
その後、大坂に向かった正雪の弟子・金井半兵衛を含め、
僅か20日程度で関係者は全て捕縛されるか死ぬかし、この「慶安の変」は落着したのである。
213 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/06(日) 22:38:17 ID:Xk1t06rQ0
しかし…
／.:::::::::::::::::::/ヽ::Y、
. ／.:::::::::::::::::::::::::|:::::ヾ:ヽ
. ／ ..:.:.:.:.:.:.:.:::::::::_:_:!::::::ﾄ､:
,:′.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::::,ィ'ミx|:::::fミ>
. / . .:.:.:.:.:.:.:.:.:.::::/´ |:::::|
/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:::/ |..:::|
. /. : .:.:::::::::::::::::::/ ',.:::!
′.:.:.::::::::::::::::::/ |:::|
ｉ:::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::::::/｀丶、 |:::!
|:::.:.:.:.:.:.:.:.:.:::::/ :::ヽ. |::l
|::::::::::::::::::::::/￣/丶、 ::':, |::!
|:::::::::::::::::::∧ |{frj}ﾐ>、', !:! では、この花押の事など知らぬと仰せですかな？
|:::::::::::::::::,' `‐`＝=' l:|
',::::::::::::::::ﾄ、 i ﾘ
.ﾄ､::::::::::::| l', .,'
.| l、:::::::::| |. 、 .::/
.|,ハ:::::::::| | li':, ::〈
7 ',::::::::| |ﾉﾘl'、 ヽ
. ',:::::::Wl/|l ヽ
|:::::::| / ﾘ､ li>、t,､、
|:::::::lｲ lj 〉l/ﾘi、丶ミ 二二
|:::::::| /ｲi;▽<lﾍ、 ､＿_
|:::::::|./／ l / ｿ>､ ￣
|:::::::l′ /-‐'´ ,ｨﾄ､
|:::::::! ｲ 〈:::| ｀ ―‐
. _」:ｘく._ ハ ヽ、
l ｀:〃/ ∧ ∧ノヽ、_
| 〃ｲ ヽ. / /
214 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/06(日) 22:38:41 ID:Xk1t06rQ0
＿＿_
,.-‐''"´ ￣ ｀`ヽ､
r≦-―=＝ニ二ニ＝ニニミヽ、
､ /彡≠ﾆ二三≧＝ニニ―-ミ､ -ヽ、
‘，ヽ､ { ／ ／´ ／￣￣ ｀`ヾﾐヽ γ´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣｀ヽ
ヾ::!::ヽヽﾚ ／ ＿二-― ―--ニ二ヽ! | ──紀伊大納言様. |
ヾ:! ヽヽ､ ／,彡=-‐''"´￣｀`ヾﾐミヾﾐ､_} ゝ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿__,乂
ヾ､ ヾ､/／´ {´ ｀`ヽ、 ｀`ヾﾐ ヾ}
ヽ::... /⌒ヽ´:::::::::ﾞ'ー{ﾞ`'ヽ、 `ヽ、ｉ ヾﾐ}
ヾ、:::{;;;;ﾆﾞ:::::::::::::: ‐-ヾ= ､ `r,､ }ー― }、_
＼:::::＼:::::::::::::: ￣￣｀ﾞ`'' ﾞミ≠ﾍ二ﾝ〉/ ／ 無論だ。
＿ ヽi>､.__}::::::::::::. ／ / /, '
. ／´ ヽ⌒/:::: !::::::::::::: ＿ '′l'’
／ .ヽ/:::::::. ﾄ､::::::::::. ( ''"´_ ﾞ' ./￣≧=--､
､ /::::::::::.‘，＼:::::. 'ﾞ´ , ' ／-‐''"´￣｀
ヽヽ、 {:::::::::::::..‘， ＼:. , ' ／ /
ー――--'＝＝=:､.‘， ＼. , '／ / //
ヽ ＞､＿＿≧‐--‐'／ ,. イ,.ｲ:/
ヽ､ ,. -‐''／ _,. -‐''"´／ //
＼＼'ー―''"´／／ -‐''"´ ／ ／:/l／
この正雪の計画に、紀伊徳川家当主・徳川頼宣が関わっていたのでは、という嫌疑が出たため、
頼宣は江戸城に召喚され、老中列座の中で真偽を正される事になったという。
正雪の遺品の中から、頼宣の判物が出てきたとも、
書状の中から、頼宣の花押の記されたものが出たからともいうが、真相は不明。
（また、正雪自身が、計画中、頼宣の名を騙って事を進めようとしたことも一因とされる）
215 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/06(日) 22:39:07 ID:Xk1t06rQ0
j__＞' ／ ,. -‐ ' ＿＿ ──────- ハ,.ィ
/´＞'´ ／ -‐ '´￣ ￣￣ --- _／ }
.ﾄ､ 〉 __,. -─ ニ＝── ニニニニニニ＿__／ 7
', ＼} ,.ｘ＜ _,. --=ニ _￣￣ __ ニニ-≠ ,:::} 7
', {_＞'´ ＞ ' ´￣￣￣￣￣ -- __ ニ_, ' /:::,' 7 だが、使われたのが、この俺の名であったのは
∧ V '´ ､.... { _,..- ｀ y' ∠::::{ 7 不幸中の幸いというものであろうな。
∧〈 ヽ､:::::::::,: '´ _/ 7
∧ ￢- _ Y´ _,. =:y￢:::￣ {::::､ .,′
ヽ. ﾍ 弋ｯ..〈__,.t '´ _`_´ -' -y / ＿＿
＼ ￣ , ￣ )::/ ／￣ ｀
, -', / 7 ´ ／r ´￣
__ _,〃-,ハ :ゝ::::: __,.ｨ/ /-＜ j
｀＞- _ / ∧ 弋＿／ / ＞'´￣￣
／￣>､_7 / .∧ -- ∠＿／
.／ .／ ! ￣ ｀ヽﾍ,. -──ｘ _,.ｘ＜￣ ｀`ヽ､
/ / j ／ ＼
／／／ ／:::::::::} ｒ.rー.、＼ヽ
／／／ ／/ /::;/ｌｌﾊ:::|:ヾ:::::ｌ ヾ|
／ ／/ ／ / ／ /:/ ヾ :ﾘ i i ＼
￣/// ／/:::::/、 /:/ | :l | i }
///／ /:::::/__ ヽ // _ ｌ:::::| | | /
l/／ //:::::/T;;;;ﾗヾ// /二__|:::::| l //
| l//:::/ `＝- / /ｴ;;;,)_,|::::|ヽ / ほう、その御真意は？
l/ /:::/ / ￣ |:::::|ｌ /
▽ |:::ﾊ / }:::// |
,):ハ|ヽ `- ＿＿, ／////l |
▽ﾘﾘ| ＼ 二" ／ﾘ:/|▽ ▽
/{ 〈| ヽ- "/:| ヽ▽
216 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/06(日) 22:40:20 ID:Xk1t06rQ0
. ＼ {-‐=ﾆ二三￣ -‐=≠ﾆ二三￣ ＿ 三二ﾆ=-‐=ｱ ／
. ＼ {三ﾆ=-‐ -‐=≠ﾆ二三￣ ＿ 三二ﾆ=-‐=ｱ／ イ /
＼ ＼{=-‐=ﾆ二三￣ -‐=≠ﾆ二三￣ ＿ 三二ﾆ=-‐=ｱﾞ ／ /
ﾞ. /´＼ { ￣_ 三二ﾆ≠ﾆ二三￣＿＿＿___ ＿/ ／ } /
'. ｛ ＼ ｀7ﾆ二 ￣￣ ｜ ￣￣ ∨ ／ / /
'. Ｙ 丶 | ´ Y / /
. ∧ 人 ＼ ｜ ／ 人 ／ / 決まっておろう。
∧ 丶 ｛ ` ｰ┬‐‐-ミ ＼ | ／ -┬ｧ アﾞー｝ ／｀ヽ
｀/⌒ヽ ＼ '. ∧ ｀`丶､ Y ィ" / / ,ノ ／ 外様大名の名であれば、また改易される家も出ようが、
/ ＼ ＼ ハ ∧ (:_＼ | ／:ノ / ん ／ 俺の名であるならば、そのようなことなど有り得ぬからだ。
＼ ⌒` ｀ﾆ=-=ニ._入＿_,人＿,∠ニ=-‐=ﾆ´ ／ ／
ﾆ=‐-ミ＼＿ ∧ =-‐－‐-=ﾆソヽ ﾆ〃＾ﾆ=-‐－‐-= ,＿／, ′ ふっ、はははははは…！
｀ヽ 厂￣l'. } i l / ∨ / -‐ ￣
,ﾆ=‐-ミＶ lﾊ / ､ ｰ┐ / ∨ -‐ ￣
=‐-ミ l∧ ┌ ヽ __,ｒ' ／ / ｌ ／
=‐-ミ ｌ ∧ ｀ ー-‐ ´ / l / } γ´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣｀ヽ
＼ l ＼ , ==､ ／ l 厶=-‐ / l …成程。ごもっともで…… |
＼ ＼ ∠ﾆ=-‐≠ﾆ二. _ ／ ヽ、＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ﾉ
〃 ￣三二ﾆ＝=込、_ ＿／ ｀`丶 /／
／/ / ｀／⌒´ ｀` ＜￣｀`丶、 /
この時、頼宣は、自らの疑惑を完全否定し、
また幕府側も世間の動揺を考慮してか、これについては不問という形に収まったという。
217 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/06(日) 22:40:56 ID:Xk1t06rQ0
_,.. -―- ､_‐ｭ_,. -‐- 、
,ｨ',ﾆ -‐ '"三 ,ィ"~丶､￣,>にﾆ、
_／ _,,∠こ／:::::::::::::::::｀Ｙ::::l::::::::｀丶
,ィ/ _,ィ"´／／:::::::::::::::::::::::ミl::ｨil:彡::::::::::＼
,ｲﾉ／/ _,/ /::::::::::::::::::::::ﾉ｀~^'i::i, ﾄ､::::::::::::､、'、
/／ ,ﾉ／/ ,ｨ':r'､::,.､::::::／ l:::lﾘl ヽ::::iﾄﾐ ヾ':,
/' ,ィ彡,/ /,':/ '" ﾉ:::/ l:::::::l ',:::ヽ jl!
l 彡才ｲ l l::li //ﾉ:::/ l:::::,' ',::::'､ f::l
三ﾐｿ7ﾘノ/,ｨl l,l::::ll!:::ﾘ:::/―‐- 、 l:::/, -―ﾍ:::::ﾍ,j:::l
ﾆ彳ツ /／l ll:::::l::/::::l,. -‐- ､_ l//_ ,. - ､'、::::l!:::l .ところで、話は変わりますが、
//|_>ﾉ／ｨi /li::::l::::::::l'、 ● > / ,' '< ●,.>!::::|::::l しばらく前まで、紀州家に見慣れぬ兵法者達がいたという噂も
_,'/,r△彡彳l /l li::::::::::::l ｀ "" ´ l, ｀""´ 〉::::::,' .聞いたのですが。
//ｲ△∠lｲ,li/ li l::::::::::::! '、 ﾊ:::::,'
/,ｲ!Tl▽､',ﾒで! l '､::::::::l ,〉 /ﾘ:::/ その中に、柳生但馬殿に似た風体の人物もいたとかなんとか。
/ li ﾘ!l lﾄ、>､__, l l:::::::l /l/!:/
jﾂ lN l'､llTﾘｲ｀ ､!::::l ､＿＿＿＿ ,,..ィ / /:/
/ l ﾘﾍﾄヾﾘlj l::::l、 丶、＿＿_／ / ,'::i
/ ',j Уl l:::l 丶､、 ‐-‐ ／ l::l
,! l ﾉ:ﾉ ｀:::..::┬-‐' _l::l__
/こ二二ｿ ヾv７ ::::::::| 丶v/
/ ｀ヽ､ノ У ::::l､＿＿_ ｀ｹ
,/ ｀丶､ ﾄ、 ヽ、
'"´L、 ｀丶､、 ヽ 「ヽ.丶、
｀ヽ、 ｀丶、 ', '､:.:.＼＼
＼ , ﾆヽ l ヽ:.: ＼
＼ ／ / ! | _,>、
＼ ／ ノ '、 ｊ l ＼
|´ _ﾆ-‐´￣ ＿＿ |
|´ ＿_ﾆ二..,,,,＿_￣￣}
ヽ｀'ﾆ-､_レ'￣ ____,,,,,ノ ,!､,___￣ヽ{_,.-‐'´/
`l ｀ヽ'‐ ´.,ﾆ｡=, ,=｡ﾆ､ / ／! / おう、話が伝奇ルートに分岐するからやめてさしあげろ。
`l, <.| ´￣´ノ i｀￣｀｀ // /
`l､ ヽ| . ´ / } ./ | / .γ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
ヾ! i ,､ ,..､ヽ lノ | ちなみに私、美形の若者ならともかく、 .|
| _ _ ｲ l .| 肥満体の老人など返り討ちですので。 ..|
l ,ｨﾁ‐-‐ヽ i /、 .乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ノ
ﾞi､ ゝ､二ﾌ′ ﾉ/'"＼
| ＼ ｰ一 ／ / _,ﾝ'ﾞ＼ 畜生自重しねえ上にメタネタまで突っ込んできやがった。
,ィ|､ ＼ /_,､-'" _,.-''´ ｀丶､＿_
＿, イ | ヽ＿ 二＝''" _,. -''´ """""´´ ｀`ｰ
尤も、幕閣からの警戒は続いたようで、しばらく頼宣に帰国の許可は下りなかったという。
218 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/06(日) 22:41:37 ID:Xk1t06rQ0
さて、この慶安の変の後、幕閣内で協議が持たれた。
議題となったのは、今回の乱の原因となった社会に不満を持つ牢人層への対策である。
/ : :.:.:.:.:.:.;.:.:.:.:.:.:.＼:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}:.ヽ' ﾉ}､::{.|
〃､ :.:.:/:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.､＼.:.:.:.:.:.:.ノ|ﾟ´ﾘ､/:ﾊ:l.|
/ ｀ -{‐ !ー{ー ‐!--ヽ'ヽ￣二_,!´;}l.:!:::::}ﾊ!
ﾊ;｀‐/ -|-:|ー:|ー-'{‐|:‐:ﾊ::|"!:.:.:.:}}ｲ:::}.}:::ｿ:∧
!:!{ :.:!.:.:.:|.:.:!:.:.:.{.:.:.:.:.l∧N ﾚヽﾄ､:.:.ﾘ.|::::|´';:!l::::ﾊ
!| !.::i!:::.i:ﾄ､|ヽ:∧::::::ﾊﾆ|三,ﾆﾆ､.Y.:.:|::::|f. }l.l:::::ﾊ
!! ',::ll:::::l:!ェﾆﾆミヽ::::∧ /´ﾋzﾘﾉﾉ!.:.|::::|ﾘ/:!l::::::::}. …紀伊大納言様はともかく、
{ ∨:::i::l{《弋zj｀ ＼::ﾍ ￣ ´ |!.:|::::|ﾉ::::!l::::::::ﾊ .この一件、やはり牢人どもが一番の問題か。
｀. 弋::l:::i`￣ ＼!. |!.:!::::!:::::f }:::::::::ﾊ
. ﾚ!::∧ ` ||.:|::::|ﾍ::l,,,!:::::::::::}, 伊豆守、お主はどう考える。
{.!:::!∧ 丶' ,!|.:|::;:| '､;､:::::::::::::l
l.!:::l::{ ＼ ‐＝ ‐ ´ﾊﾙ'´ .//‐､::::::::::!
{!:::l::| l´ ＞ ￣ ／ / // '::::::::::!
`ゞ､j {. ≧ __ . ＜ ./ // ＼::::!
＼ ､ ＼!lヽ､ ./ // ﾍ:|
ヽ! !l`'､ﾍ / .／'´ ＼
} !l ´¨//-､＿_,...__ ＼
／ }/ ＼
／ イ⌒ヽ. {, ､__ .＼ ＼ ` ､ヽ
.{／./i:i:i:iｲ Ⅵ ／i:i:i∨ ＼ ＼ Ⅵ
／ /i:i:i:/ {i:i:/{_/i:{i:i:i:i: ∨ . ∨
.{ .:/i:i:i:/¨ {i:i:{⌒`ｰⅥi:i:i:i ∨ ∨
./ ../i:i:i:/ |i:i:{ .Ⅵi:i:i} ﾄ､ ∨ }. }
/ .,ｲi:i:i: { .Ⅵi Ⅵi:i:} Ⅵ .∨.}. | .そうですな。
./ ./ |i:i:i:i:{__ .Ⅵ .Ⅵi:i＼..∨ } i | すぐに結果を出すならば、
ｲ.ノ../|i:i:i:i:}..＿｀ ､ Ⅵ ｘｚ=--i:i:i:} }. | i | 江戸から牢人を追放するがよいでしょう。
..▽ {/i:i:i:i:i: 篷'㍉. Ⅵ .´,ｨ尨ﾃ¨アi乂 八.
.／./i:i: / `ｰ=` i}i ｰ`¨=彡i:i} /＼.＼ ‘， .牢人が江戸に群がるからこそ、
./i:i:i:/ .ﾑ /′ }i:} ./: : : : ￣￣￣￣ 今回のような事態となった訳ですから、
.／i:.,イ: : ∧ . }i:}/: : : : : : : : : : : : .諸国に追い散らせば、そのようなことは起きますまい。
=彡イ: : :: : : : { ..､ ､_`_´＿__／ .}i:}: : : : : : : : : : : :
: : : : : : : : : : : { i ＼.`ｰ-= ´ ／}i}: : : : : : : : : : : : 「ふむ、そうだな…」
: : : : : : : : : : : { { ＼ .／/ .▽: : : : : : : : : : : :
: : : : : : : : : : : Ⅵ ＼r.￣ .}／ /: : : : : : : : : : : : :
: : : : : : : : : : : : ＼ / / } | ./: : : : : : : : : : : : :
酒井忠勝、松平信綱は、対策として、江戸から牢人を追い出す事を提案したのだが…
219 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/06(日) 22:42:17 ID:Xk1t06rQ0
_,-‐ｧ
_ ,. -‐ﾆ≧'´‐- ､、
,ィz＝ ,. -‐- ､、_,.へ、ヽ
／"⌒ ｀ヾ:ﾍ::',
. , ' ヾ!:}
/ i ヽ', 丶、､ヽ .駄目よ！
l / l ﾄ、 l ﾄ､l l､、丶ヽ それじゃ根本的な解決になってないでしょ！
! i l ,ﾊ l N､ l !',j仏メ、､ヽヽ
l | | | Nヽﾄi ヽ l イ,ｨ=tﾐ､ヽ 牢人達だって、生きる為に江戸に来てるんだから、
', l l 行云ミ､ヽj 久）::l,ハ!ヽ .追い払ったところで、どうにかして潜り込んでくるでしょうし、
V'、Ｋ 彳J:::i｀ 'ﾞ"ﾞ´ .諸国に追い払ったところで、生活に困って盗賊の類になるのがオチよ。
ヽ!､ヽ ゝ'" /
Vﾄ､ ､ ／ 天下の事を考えるなら、そんな目先の対策でなく、
ﾘ丶､ -― ／ ／ これ以上、牢人が増えないように手を打つべきよ。
｀ ‐-イ ／
＿,」／
/,、 /
/ハ〈∧. ／
,' ,ィ7', ゝ、／／
/ ,r l i! ﾊ ヾ;;;;;;;;;;;l ヾ;;;i!;;l
/ / l l! 川 _,lriナ卅''ｱ ﾞi;;ll;;l
/ / l l!'ﾞ´ ﾄ;;;;_ェ土ﾘ､l;;ll;;l
/ l ﾘ ハイ:::::}ﾞン ヾjﾘ
ｲ l l /,! / l;;｀Tｦ´ /,ﾍ …ほう。
リ l l! ,! l / l;;;;;;;;l ,ﾘ′＼
j ｨi ﾉ/ ,ｲ // |;;;;;;;l f' ,>
ll / ,! /,f ﾊ// |;;;;;;;! l イ´
ﾘ〃!/ｲl /ﾞY/i! |;;;;;l! _,,._,〉
!/i/〃ll / 〃 !;;;ﾉ ｰ ''´ ,,j
ﾚﾘ//ﾊLｲ｀i ! l;;/ |
川'ﾉ ▽ fil! ｀丶!;ト;;-;ｧ::,,＿,ﾉ
▽‐- i､ _▽ l;! ,ｨｲj
/ ７ヽ､、 jLf/ ▽
だが、これに対し、阿部忠秋は、それでは根本的な解決にならないと反対。
220 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/06(日) 22:42:46 ID:Xk1t06rQ0
,.－≦三`'‐_zニ=､｀
,ｨ':::::::::::::ヾﾐ ｨ':::::::::::::`
＿＿ //:::::::::::::::ミ|:ヽ彡ﾐ、:::::::
_,二ニｭ｀丶._ ,. -== ､ //:.:.:::::::r'" ﾞi:.::! ヾ:.:.:
, '´ __,. z==-ﾐヽ、l/: :.:.:.::/ l:.l ヾ:. .面白い！
/ , '´￣￣｀` ´ ヽヾ'::.:.. /＿__ l:! ,. -―!: お前が我輩の意見に真っ向から反対するとは。
/「У 〈::}∨:.:/ __｀' l| _,.. l:: ..しかも、理が通っている。
//'′ l / ､ヾ V::{ '´￣｀ iﾘ '´￣',:: .よかろう、お前の意見を採用しようではないか！
,'// / ,i /| , , i 、 li l l ∨i'、 ﾉ l:
. | lｨ! ll / l l| |iﾊ /! |､ l || l l jﾊ|iヽ 〈 ﾞ
| /l! |! / l l| |l l / | i!ヽﾄ,、|ﾊ | ﾄ､ﾄ ▽ト､ ､＿＿＿_, , …本気？
/ﾆﾆﾆl,ｲ|l ,i| /≧'､! ﾘ ', / _,.!jｨ土_´ﾑ ', l ! 'l j ﾘlゝ.ヽ、＿_,ノ ,.ｲ} アンタが私を褒めるとか
,.、,.-tj| /l|Ｋ´f:ﾟ:;:ヾﾐ,∨ 'イ:ﾟ:,:.lﾞ> ,ﾄl/ｨﾘ _, -‐≧`ニ"イ 槍でも降るんじゃないでしょうね？
／:;У:;:;/! /! ' ` '-ﾞ'´ / `ﾞ'‐`'′/〉l/'^,.ィ"´' ヾ' .:: ／
.r;7:;:／:;:;:ｲrw/:ヽ ,!ｲﾘ'"/{ li /^⌒ ー<
ヾ／:;:;／:;:;／ヽ:;:;ゝ、 _ ι //l/:./:.:.', |l､ / , | ,/
ヾ／:;:;／:;:;:;:ﾉ:;:;ﾉﾚl>､ ／ﾚ':.:.:./:.:.:.:.', {li;/ /| |′
〈:;:;:;/:;:;:;／:;:;:;:| '′丶 ´￣￣｀ .イ:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:ヽ / /:;| | _,
＼:;:;:;:;':;:;:;:;:;:;:;! ,ｨ'ﾕ},｀ ― ´〉/ヽ:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:..ヾ| /:;:| |彡'
合議の結果、この件については忠秋の意見が採用された。
221 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/06(日) 22:43:41 ID:Xk1t06rQ0
,. -‐＝‐_,.､
/ ,.へrv'^ヽﾐヽ .ははは…。
,' /;:;r-{f-ミ､;ヽ '､_ 槍は降らぬが…こうだっ！
| l::::l‐-{i ,-‐i::::l il|
.. ﾉ! |;:;l⌒ﾞﾒ､⌒l;:z='⌒´￣｀`丶、
jﾙ;:;l、r‐'‐ｯ jｨ´ ,ｨ'´, , , ､ ､、ヽ
―＝二三 ,ﾍl ト.三イ/ ry' // / ﾉｲ｡ﾄi l
(`;<__:::l`｀Zｴ^'-z/_∠ノｨ-イ`ｰfﾙ′ 三二＝― ｸﾞｴｯ！？
__,.＞;:;:;:;:｀`i:::::::: Ｚで'、u `ｰﾟ' _ｿ┘ ｸﾞｷｯ
r;:';:´;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:__」、__:: -'‐ム､＿＿｀ﾌ r;、
｀￣/￣￣_´::-‐vへ、､', ,} l」-ゞ'ぞl､ ノ;ﾑ---――;､
'、::ー-｀､丶､::::::＞-‐rf〈,ﾆヽんム＝<;:;:;:;:;:;:;:;ﾆ三ﾃ'´
丶､::ー-ｧ'"´ﾌ`ヾ､_,V彡'"´::::::::::::::::::ヽ;:;:;:;_;彡'´
丶､:::::::::/::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::‥:::l下´
丶､:::::::::'::::::::::::::::::__,. -‐ ''i７´ l
l｀i丶:::_,. -‐ '"`'′ lY '、
_／￣￣￣￣￣ ヽ
／: : : : : : : : : : : : : : : : ＼
/: : : : : ,': : : ; : :: :､: :ヽ: : : ::',
/:: : :; : ::,': : : :l :l : : l: :l: l ､: : : ',
/: : :/: ;: :l :; : ::l: :l : : l: :l: l: l: : : :',
/:; : / : l :l!::{ : ::l: :l､: : l :l!: l :l ､: : ',
{!:l : l: l ; M;M＼l: :l llヽM;M: :l: }::; :}
l人: l l { 《弋歹ﾞ`､l "弋歹》 Y: :ﾊﾉ おい、遊ぶのはいいから、
`､ ｀||从 ` l::リ 牢人対策の話を進めるぞ。
. ||:∧｀ l: ト､
/|| ; ﾍ、 ｀´ / l!| 》
《》 ﾊ;;ﾙ＼ -＝- ／ｲﾙ《》
ﾉﾉ /;;;ﾉﾙ;; l` ､ ＿ , ィヾ､:ヽ `､
r‐‐ii"‐―‐､{:{ ﾄ､:::::||:::::;ｲ｀}:}｀ゞー―‐-､
/ ） || }:} `ｰ ‐'´ 〃/ （ ヽ
ともあれ、この慶安の変に端を発し、
幕府の統治方針のうち、大名家に対するものは、従来の改易や断絶の目立つ苛烈なものから、
家の存続を重視した穏便なものに変更されていく事になる。
これをはじめ、四代将軍・家綱の世は、
後に「武断政治から文治政治へ」と評される統治がなされていくのである…。
222 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/06(日) 22:44:16 ID:Xk1t06rQ0
.. _,. - '' ￣￣ ｀ヽ､_
_ '´ ｀ヽ
, '´ ＼
_, イ´ ヽ
´￣／ ／ ./ ',
/ ′/.l ′ .| ヽ |
./ .! ,' l l | '. ', ｌ |
…まだ柳生の出番がゼロだけど、 .,' /l | .! ﾊ |. ヽ | | |
どういうこと？ . l ′! ﾊ ﾄｌ.ﾊ ﾄ､ ヽ. ! ｌ !
.. |′ ｌ ﾄヽ.l.ｲヽ'., ! _ヽ.__,,..lヽ.,,__| .ｌ ,'
説明を要求する。 ... ', ﾊ ﾊ l'::;! ヽ.', ＼上_ ｀`! ,' /
ヾ ｀ｌ l ┘ ｀ ´|ﾃ;;;;::ﾐ>.| ﾊ ,ｲ /
|.ﾊ. ′ ｒ'_;;;/ l / ﾘ./ l/
', lヽ .､ | ./ '´/ ′
Vl ＼ _,..′ ./,.ｲ/
ヾ `ー zﾆ ´_/ ／ソZﾍ
/￣´ /／￣ ﾉー‐----､
ノー-－―ｒ-- －'ｱ´ ﾄ
￣:.:.:.:.:.:.:.......
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＞
:.／:.:.:.／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼
:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.／:.:.:j:.:.:.:.ヽ
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i!:.:.:.:.:.:.
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.j:.:.:.:.:.:.:.
:.:.:.′:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./|:.:.:.:.:.:.:.:.
:./:.:.:.:.:.:.:.′:.:./y ＼:.:.:.:.!:|:.ﾊ
:V:.:|:.:.:.:.:.:l:.:.／ ′ l}:.:.:.:ﾉ!:|:.:∧
Y:.l:.:.:.:.:.:l{:.! ﾞミﾐry:.ｲ:./ｲ:.:ｲ} ヽ もう少し待ちたまえ。
′:.:.:.:.:.:ﾊ{ ﾞ ′´ ′:.l この代替わりに関連する物事について
:.:.|!:.:.:.:.:.| ﾞﾞ （:.:.:.:.:ﾘ 解説が済んだら、いよいよだから。
:.:.|:.:.:.:.:.:| ゝ:.:.i|
:.:.|:.:.:.:.:.:| ， ／:.:.:.:.|
:.:.|:.:.:.:.:.:| ｀」⌒┤:.:.:.:.:.|
:.:.|:.:.:.:.:.:| l ′ ハ_:.:.:.:八
:.:.|:.:.:.:.:.:|ー i | j / ﾉｰ､ ｀
:.:.|:.:.:.:.:ﾘ | ー / / / ｰ,
:.ﾘ:.:.:.:./ | ー/ / ,ｲ!
| lー/_ /j
､ ! /
223 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/06(日) 22:45:41 ID:Xk1t06rQ0
＿＿＿
. -='´:::::::::::::: ｀::...､
／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::. ＼
. ／.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::... ＼
/:::........./.....................}......ヽ.........:::::::ヽ まず、将軍家の代替わりに伴う
. /:::/::::::::::::::::::: /:::::::::::::::::∧::::::::::::::::::. 統治方針の変化についての話だ。
. ':::::::::::::::::i::::::: /ｲ:::: /:::／ ';:::::::::}:::::::',
.::::::::::::::::::|::: /' |:: /／ ⌒|:::::::::::::::: | 家綱が将軍家に就任した慶安四年…
ｉ:::{::::::::::::∧/ }:/´ ｨ f示}ｲ::∧:::::::| イコール、家光が亡くなった年でもある訳だが、
|::::::::::::::::ｉｨ f示 乂t ﾘ }/::::iヽ:::: 「慶安の変」がいきなり起こる。
|::::: ＼::::|乂ｔ ﾘ |::::: |ｲ:::::.
|::::::::: {ヽ{ ′ /:::::::::::::::::{ 実際には、他にも似たような事件があるんだが、
|::::ﾊ:::::::个:.、 ／ヽ一' .ｲ::::::::/／}∧ これらにの事件には共通の土壌があった。
}ｲ }＼ﾄ{ V≧/ ￣} ＜}/イ}ｲ´
/ ￣}￣ {:′ 「牢人の増加」と「それに伴う社会不安」だ。
i ７ ＼
. ＿, r７-/| ′ ＼ ＿rx _
／ }ﾏr{＾ゝ==ｲ丶 r‐一 r｢７ ＼
ヽ ﾏ:ﾊ :} r｢７´ ／ ＾ヽ
ｉ ＼/′ {＿＿＿＿,r｢７´ }
｜ ／ -=７ ⅩⅩⅩⅩ {′/ /
.. 厶イ ′ / // ｲ ′ / l | ､ ＼ ﾄﾉ
/ / .ﾞ //__/_! /:ｉ /Ｖ ./__! l 、 〉|
. / /.ｵ :! .ｨ1 / j/ l ' | ./ │∧ i ハ!
…牢人が増加するのは無理もない。 .. 厶イ/ | ﾚﾘ l/-=ミ. |/ |/ .ｫ=j/ ｌi :| ﾍ
.. /:| |i { lfｲi::::::ﾄ ｲi::::j7'ﾘ :! <ヽ
幕府開府以来、家康・秀忠・家光の三代で、 . / | . ｲヽ '. ハﾞぃ:ｼ ﾋ:.ｿ /} ﾄ､iヽ＼
119家の大名家が、無嗣断絶、または . ﾚ | ハ '. ∧ ′ /仆:.| ＼ ､
法度違反や御家騒動などで改易されている。 . "y⌒ｉ ゝ∧ ｎ .ｲy′ｌ| ヾ
.. | |ヘ＼≧． ＿__ . イ､:/ ﾘ＿__ ＿
石高にすれば1000万石以上、 . | | ヾソ ﾌ′ ﾄx”￣￣ :ｉ | | ヽ
それに加えて直参旗本や陪臣についても ..＿j Ｖ´￣ ./ ＿_ ´| | | | ーx
同様の措置が取られた訳だから、 i´ ！ __j_ ／r─二| | | | / ＼
これで牢人が増えない方がおかしい。 . rf ヽ ＼ ｀´ ．ｲ ／￣ヽ.| ｌ l ′ |
. ハ ､__ﾄ .ノ .イ ﾚ′ j .// / ！ ＼
// 厂 ー‐一 | | | // / l! ヽ
. //ノ 〉 ゝ. | .// / /lー-
224 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/06(日) 22:47:08 ID:Xk1t06rQ0
|ヽ|l:.:.:.:/|:l:.:.:.:.:.:..|:.,rｰ'''ﾞ¨ヽ､:.:.:.:.|:.:.:.:|:.:.:.|:.:|
|/ ｌ＼/ l/|:.:.:.:ｌ:.|!´ l:.:.:.:.:|:.:.:.:l!:.:.:|:.:| .まあ、家こそ残ったものの、
|_/|／ ヽ､|:.:.:.!/ /:.:.:.:.:.|:.:.:.:.l:.:.:.|:.:| 十兵衛が死んだ際の柳生家も、
|｀ヽﾐ l:.:.:./ _,,,.. -ｰ/li.:.:.:.:.:l:.:.:.:.:|:.:.:.|:.:| この中に含まれる訳だからねえ。
|ィﾄ,/` l,／´ ｌ:/|｀:.:.:./:.:.:.:.:|:.:.:.|:.:| あの時も、宗冬の4000石分が公収されてた分、
|ｿ,/ ＿__ ' i:.:.:.:/:.:.:.:.:.:|:.:.:.|:.:| 80人程度は召し放ちになっただろうし。
|｀ ./,､￣`_ヽ|:.／l:.:.:.:.:./:.:.:.:|:.:|
| ,ﾄ!(:.:rﾃ'/ ´ /:.:.:.:./:.:.:.:.:.:l:.:| そんなこんなで、正確な数は不明だけど、この頃、
| ' ヾﾆ_ ／ /'ﾉl:.:.:/:l:.:.:.:.:.:.|:.:| .牢人は全国で20～40万人程度いたのではと言われているね。
/iヽ ヽ ､_ ,／_' -‐':.:.:|:.:.:.:.:.:|:.:l
ヽ｀ ＼ ￣ ィ‐':.:.|:.:.:.:.:.:.l:.:.:.:.:.:.|:/ .時代を考えれば、荒事に慣れた人間も、
l｀ヾ､ l--──‐─‐.' ´:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:i:.:.:.:.:.:.l/ それなりの割合でいただろうし、そんな人間が
_'､ ＼. |イ:./l/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.,:.:.:.:.ﾉ:.:.:/l/:.:.:.:.:./' .不満を抱えたまま、数万単位で江戸市内にいたら
l l ＼ ｀'i Y |:.:/ノ_ -‐!/l:./l:.:.:/ /:.:.:.:./l そりゃ事件の一つや二つは起きるだろうさ。
〉､ ヽ | ＼ ｀ ´ ﾚ i／ il_／
,. :-:.' ｰ ' ¨ :.ゝ.､
,.:´: : : : : : : : : : : : : ヽ.
この頃の牢人は .. ,.': : : : : : : : : : : ',: : : : : : ヽ､
無職による窮乏に加え、 ...... ,':.:;':.:.:;'.:.:.;'.:./.:;'.:.:|i:';:.:.:.:.:.:.::`､｀ゝ
寺院や武家屋敷に寄宿する事は ,':.:.i:.:.:.i:.:/i:.:/i:.:ﾊ:.:l:i:.:.i:.:i:.:.:.';.:.:',
禁じられていたし、地域によっては . /ｲﾊ:!:.:.:l:/ i/ ﾉノ ﾉリﾘハﾘ:!:i:.:.!:.l
その土地自体から追放された。 ..... i/!:.:!:.:.;;;;;;;;;;;;;;;; ;;;;;;;;;;;;;;l:.!:ﾊ!
∨|:.:.! ﾉ/i/ﾉ
更に、一部の牢人には、 .. ﾍ!:| ﾉ!/′
「奉公構」の処分により、 .. ヾ!＞ｰ- ´｀-- ＜ｲﾘ
再仕官自体が不可能な者もいた。 . （;;;;;ｿ⌒)￣｀´￣(⌒ヽ
ヽ;;=;;/＿_,,､＿/;;｀ソ
…こんな状況で不満が出ない訳がない。 〉;;;;;;;;ｿ:/Ａ.i:ｌ;;;;;;!′
く;;;;;;;;;;;;i;!;;;;;;;;i;!;;;;;ゝ
i､__,,/ !､__,,!
`ｰ'′ `ｰ'′
225 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/06(日) 22:48:10 ID:Xk1t06rQ0
_,,.. -ｰ― -ｰ―- ､- ､
,.: ::´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀ﾞ':::｀ヽ、
, ':::::::::::::::::::::::::::::::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::ヽ､
/:::::::::::::::::::::,::::::::::::i:::lヽ:::::::､::::::::::::::::::::::::ﾞ i、 そこで、家綱の代になって打ち出されたのが、
/:::::::::::::::::::l:::!:::::::::::l::::l ﾞ､:::::i:::::::::::::::::::::::::::ﾞ,
,':::::::::::::::::::::l:::i:::::::::::il:::i ﾞ､::::i:::::::l:::::::::::::::::::i 「末期養子の禁の緩和」
!:::::::::::::::!:::::li:,'i::::::::::,':l::,￣｀｀ﾞ､::i::::::!::::::::::::::::::ﾞ、
ｲ:::::!:::::::::l_;;;l lj l:::::::,' l:' ﾞ､:i,::::i:::::::::::::::::::::ヽ って訳だ。
,'/l:.:.i:.::.::.::l:.:.l i,' l:::::,' l! ,,ｨttｰｧ､-:.:l_,,.._:::.:.:.:.i:.:i:.ﾞ、 何せ、法度違反や御家騒動などと違い、
/ .l:.:.l:.:l:ヽli.:;ｨftt-､' ' 弋'o;;ﾉ l:.l:.l -､ﾞ,..:..:.l:.:.ﾄ:.ﾞ、 .無嗣断絶はどうしようもなかったりするしね。
' l:.､!:.l:.:.:l.iヾ;or';ﾅ ~´ .i::.:il _iﾉ.,':i:::l::li:::l ｀ヾ､ 柳生家だって危うくそうなりかけた訳だし。
l､,'､:li::::l, ｀¨´ ' ,'::::l, - '::ｲ::.lﾞ:l.l:.l
l:.､:!ﾞ､:l ＿, ./.:.:l::l::,i::/ l:,' j! ',i 当主が50歳以下の場合に限る、と
l:.:l､:､:.:l｀ ､,'^､. ／l::::::l:.i/l,' i' 制限はあったけど、それでも、これによって
. l::l ﾞ､ヽ:.,-'-t, lｰ,- - 'ﾞl´ ,':::::!l:_,,..-ｰ-、 急な当主の死に際しても、養子を据えて、
l:!. , ',_ｰt ﾄ'ﾞ./,,-tｰ-' jl::::,'､l:.:.:.:.:.:.:.:i 家を残す事はできるようになった。
.i' .l ._/l ,l.ﾉ. ,'::::::/､,,､_,,,_ l::,'::::｀.:.:.:.:.:.:.i .実際、これ以後、改易の頻度はぐっと下がったしね。
iﾄ､ﾞ-'´_,,-'ﾞｨ:./,XXXXXl'l::,'-:.:.:.:.:.:.:.i
｀､ヽ‐-‐´:.:|:':｀ﾞｰ--ー''ﾞ:::i:.:.:.:.:.:.:.:.:.i
_. -－- ._
. ,..イ´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:´￣｀丶､
改易される大名家が減る事で . ／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼
牢人になる武士も減るから、 ／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
牢人対策として理に叶っている。 .... ／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ﾍ
. ∠:ィ:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:.:.',:.:.:.:.:ﾊ:.:.:.:.:.:＼
ただ、既にいる牢人について、 . /:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.ﾊ:.:.:|:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.:トゝ
どう対策したかは不明瞭なので .... |:.:':.:.:.:.:.:.:.:|:.:∧:.:.:.:.:!､:.:.!.､:._｣',...Ｌ:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.Ｎ
「牢人を増やさない」対策ではあるけど、. l:.:l:.:.:.:|:.:.:下'ト ヽ:.:.:| ｘ|'´＼! ',:l:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.|
「牢人を救う」ものではない。 . V||:.:.:.Ｖ:.:.|,ｨ=ミ､＼! ｨイ¨'ﾄヽ:.:.:.:.:ハ:.:ﾄｿ
. ﾘ､:.:.:.＼|:{ ﾋ,ハ ら､j.| |:.:.:.:.,'ノ〉:|′
あと、少し後になるけど、 . ヽN:.:.:.:| ｰ‐' ー-' ,!:.:.:./ｲ/ヾ
他に「殉死禁止令」も出ている。 . l∧:.:.ヽ '_ /:.:.// '′
これについても解説を行う。 ＼:.|｀ _,..__ .ィ ./:.:./ｰ､
｀rｧ ´ / l ,./:.:/ ∧
／′ /三ミ ､//／ ヽ
227 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/06(日) 22:49:00 ID:Xk1t06rQ0
＿＿＿＿
r ﾆ=ｰ: : : : : : : : : ＞ ､
, -=j: ´: : : ＿,.: : : : ＜: : : : ＞.､ _
/,ィ/⌒: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 二ニイ _,ｨ
l:{/: : : : : : : : : : : : : : : : : : ＞ ､: : : : : : ｀￣: : ＜
,j∨: : : : : : : : : ト: : : : : : : : : : : :ヽ: : : : : : : : : : ､ヽ そうだね。
／／/: : : : : : : : : :| ＼: :ゝ_､: : : : ﾊﾉ: : : : : : : : :＼ヽ .ついでに、家光への殉死についても
/／ィ ′ : : : : : : ﾊ: ! ／￣｀ヽ:.ｰ: : l : : : : : : : : : : : ヽ 併せて解説をしていこうか。
. /八 ∨: : : : : : 乂: : l ｨf｡示ハ: V,へ: : : : : : : : : : :ﾊヽ
{! l |: : {: : 斗匕ｰﾉ-ゝ "乂ぅﾘ i:l ﾊ´ !: : : ハ､: : :ヽ: i まず、前提として、この時代、
｀ ,′ i: ﾄ:ゝ: :乂ィﾃ:ﾊ " ﾉi: :ﾊ ｲ: : : 八:ハ:!ヽ∨ 「殉死」は亡君への忠義を示す手段として
/ ､ ィﾊ:..ヽ:.ーゞ 乂ｿ , 'ﾉ:: : l: !: : /ノ ﾘ }′｀ .流行りを見せていた。
＞く ーy: j: : : : i＼: ミ=- _ ， ,イノｲ: : :／ ´ そうでなければ、わざわざ禁令なんか
::::::::::＞l: ﾊ: : : : l: : l｀: : ゝ _ ／ 彡イ 出さない訳だからね。
:::::::::::::∧:{ ゝ=-!: : : : : l: :トミ ｰ l´_,イ´ ﾄ､
:／:::::::::/｀ ゝ: ﾋ_, ーゞｰr yf ／::::ﾊ .おかげで、主君が死ぬたびに
::::::::::::/ ￣＿＿／jｰti _,.／:::::::::/::ﾄ､ 家臣が追腹切って死んでいく事態が続出した。
:::::::::/ ／:::::／::,ィ:i:i/ｰ／::::::::::::/::::::::::＼ 家光の時も、5人殉死してるけど、
::::::/ _, ィ￣:::::／:::,ｨ /:i:ij イ:::::::::::::::/::::/"＿::::ヽ_ ひどいのになると20人以上殉死者が出た例もある。
:::::〉_,ｨｰ=く::::::::::::::::/:::,ィ ﾚ:／ /::::::::::::::::/::::/:::::::::::::::::::ﾊ
::/{:::::::::::::::::::::::::::::/:／ i " ／∧＿＿_/:::::::∨::::::::::::::::::::i
:{::::::::::::::::::::::::::::::// ヽ／ ,:::ヽ:-:::;_::::::::::/:::::::::::::::::::::::ﾊ
..... /:::/::::/::::::::::::l::::::::|:::::::l:::::::::l:::::::::::::::::::::ヽ:::::::::::::::::::::i::::::
/::;ｲ::::i::::::::::::::| ::::::l|;::::::li;::::::::|､;::::::::::::::::::::l:::::::::::::::::::::l:::::
殉死の理由は大別すると、 .l::/ l:::::|::::::::::::/!::::::| li::::::lヽ::::::l. ヽ;:::::::::::::::::l::::::::::::::::::::l::::::
..... |::l | ::::|::::::::-i-L;;_l .|!i:::::l ヽ::::l ヽ､__;;;;::::| :::::::::::::::::l::::
１ ： 「忠義」の発露 |:! .|::::::l::__;;;|_ l:::l｀ヽヽ;:::l ヾ;ﾚ‐'''ﾞﾞ´＼ :::::| ::::::::::::::::l:::::
２ ： 情死 ... l! .|:::／ ___ノ,ｨ'ﾄ|''=ﾐ､ ヾ! ,r-=fニﾐ;;弍;;| :::::::::::::::l~ﾞ'i
..... l/ ,/ﾄ､::lﾞ__ﾞヾ::ii::|ヽ ,/ .|:::illi:::ﾞii/ |:::::::::::::::j¨ﾞ l
この二つになる。 /⌒ヾ､|/`fﾄ l ﾞK);j .l'⌒''h. K);;;;ｯﾘ l:::::::::::::/ .ﾉ
１は更に細分化もできるが . /‐-､ `iﾉ /'ヽ|､ ノ ヾ､ ,/ |:::::::::::/=7ﾞ
話が延びるので省略する。 .... ./ ､. ヽ |ﾞV,_ l:::i､￣ 丶 ﾞ''ｰ-‐'' ,l::::::::::/|:;/
..... i 'ﾞヽ_j-' .|::::|.＼ ‐- ,,ｲ::::::::/ ,l/
家光に殉死した5人も ..... ヽ ヽ jl:::::l. ヽ､ , ''ﾞ /:::::::/ﾞ｀ヽ､
理由はこのどちらか。 . ヽ､. /ヽ::::| ,,｀=ｰ '''i´ /:;/ﾚ'〉;:;:;:;:,.,＼
/ /. ヽ:| ,,r''ﾞ,.;:;:;r''ﾞ~ﾉ /ｲ /;:;:;:;:;:;:;:;:;:;
228 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/06(日) 22:50:42 ID:Xk1t06rQ0
_ - ￣｀ ー
／ ＼
, ' ,､ ､ ヽ
/ / ,ｨ ｨ/ ヽ ! | ヽ 幕府にせよ、大名家にせよ、これは困った。
,' l , -‐-x i / ｲ-─ﾘﾊ l ﾍ ',
i l ｧ≠､/ ィﾆﾃ!/ l ! .なにせ、一応「亡君への忠義」や「慕情」故に
,'.| ゝﾄﾍﾋノ , ゞ-ｨ fヽ | l .追腹切ってる訳だから、なかなか批判しづらい。
! ! ヽ_', _ __ ｜ f ' i i .といって、主君が死ぬたびに、家臣も死んでいくんじゃ
{ ﾄ ヽ､ ,ｲｨ/ ｨ i l,' .残された跡継ぎはたまったもんじゃない。
ﾄゝヽﾍ_､-､_｀ t - イ /!ィハ/ｿ
r z' ,k-､ .実際、家光も、殉死はせず、家綱を支えるよう
_ ┬ ﾍ 只 ／`7-､ .年寄達に遺言を残しているしね。
／ ', ', ヽ/ ヽ' / / ＼
二￣＼_ j｀ヽ ヽ 丶 / / j ヽ ／⌒二つ 【「徳川実紀」慶安四年四月二十日】
/ )､ ' ヽ ヽ , ' , ' ﾑ { /{ ｀ー 「君(=家光)、昇天の御門出に御供せんの志は誰も同じく願ふ所といへども、
, , / 弋ミﾐ} ＼＼ _／／ |彡 V ＼ 君もかくと思召しらせたまひ、幼主の御事をくれぐれも仰置れたるなり」
,/ / ／ ﾍ 7 ＼ ／ ,' .! / 厂
_/^´ | V Ｙ / {_/ ／
ヽ } } | ! {/ ／
... ヾ 、 , -‐- 、
', ` 、 , ' ´ ｀ヽ､
＼ ｀ ""ﾞ ´ ￣￣｀ヽ 、
ヽ 、, ' ＼
／ ヽ ヽ
／ ´ ., , ' ´ _＿__ ｀, ヽ
生きて、家を守る為の .. ／ ／´ , , ´~ ヾ ー ,__ ', ｀,
次の主への奉公こそ忠義、と。 ／ _/ ／ ./ ', ､ ＼ ｀ヾ, ､ ! 、 ｀,
... / ／/ / /! ! ヽ、 ヽ,ヽ､ ＼ ヽ ヽ
…でも、阿部重次は殉死した。 . l / | ,! , ./ | l !､ ヽ、 ヽ ヽ ヽ ヾ､､ヽ, ', ヽ、
... ` .| | _!,! ,' | l ', ,ヽ ヽ ヽ ＼ ヽ ヽ ヾ､! ',',ヾ
それに、堀田正盛については l /| | `,才ト､| ﾄ ', ', ＼ヾ､ ヽ ＼ ヽヽ ', ヽヽ'.、
誰も止めた様子はなかった。 . ヾ ヽ | !汁ド､トﾊ ヽゝ‐-ヾ-'=､__!＿ ヽヽヽ ', / } ',ヽ
... ヽ}', ', ﾝ:::rﾘヾ＼ ヾ -ー‐ヽ ヾ,} ヽ ', ', ゞr,! /ノ ', !
これについては？ .i| ヽヽ` ｰ´ `｀ヾ 斗云弐ﾐ=!,ヽヾ ,ヾﾉ /.// ',!
´', ヾ,ゝ ﾉ リ::::r〃"} ﾊ ', ',Y /, {/
ヽ ヽ ｀￣´ / } ､ ',.} ´
＼ |＼ ヽ 、 / /.ハ ',!
｀` ＼｀´ , '´/ ／ ', i,!
〉ー－ ' ´ ´}´ ',! ,!
229 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/06(日) 22:52:41 ID:Xk1t06rQ0
￣:.:.:.:.:.:.:.......
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＞
:.／:.:.:.／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼
:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.／:.:.:j:.:.:.:.ヽ
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.i!:.:.:.:.:.:. 阿部重次の場合、かつての事件に絡めて
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.j:.:.:.:.:.:.:. 「自分は既に亡君に命を捧げた身である」と述べてるよね？
:.:.:.′:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./|:.:.:.:.:.:.:.:.
:./:.:.:.:.:.:.:.′:.:./y ＼:.:.:.:.!:|:.ﾊ １でいう「忠義」というのは、
:V:.:|:.:.:.:.:.:l:.:.／ ′ l}:.:.:.:ﾉ!:|:.:∧ 所領安堵or扶持を受け、その見返りに仕えるという
Y:.l:.:.:.:.:.:l{:.! ﾞミﾐry:.ｲ:./ｲ:.:ｲ} ヽ いわゆる「御恩と奉公」に拠るものとは別の、
′:.:.:.:.:.:ﾊ{ ﾞ ′´ ′:.l 「主君と自分だけの特別な関係」が土台になるものなんだよ。
:.:.|!:.:.:.:.:.| ﾞﾞ （:.:.:.:.:ﾘ ちょうど、家光と重次の話みたいにね。
:.:.|:.:.:.:.:.:| ゝ:.:.i|
:.:.|:.:.:.:.:.:| ， ／:.:.:.:.| で、そういう関係を感じた主君に対し、忠義を示す
:.:.|:.:.:.:.:.:| ｀」⌒┤:.:.:.:.:.| 一番分かりやすく、そして最後の機会なんだよね、殉死って。
:.:.|:.:.:.:.:.:| l ′ ハ_:.:.:.:八 だから、止められようとなんだろうと、
:.:.|:.:.:.:.:.:|ー i | j / ﾉｰ､ ｀ 「自分がそう思ったから」殉死する、という訳だ。
:.:.|:.:.:.:.:ﾘ | ー / / / ｰ,
:.ﾘ:.:.:.:./ | ー/ / ,ｲ!
| lー/_ /j
､ ! /
... _／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :＼
ｰ=ﾆ ｧ: : : : : :／: : : :/: /: : : : :､: : : :｀ヽ: : : : ヽ
/ ,: : : :〃: :/: : /: │: : : : :lヽ: : : : ﾊ: : : : :.ヽ
…つまり、地位や石高とは別に、 . / / : : //: :/: : /: : │: : : : ::|: :!: : : : i|: : l: : : :ヽ
重次本人が、 .. / ｲ : : : l |: :│: :j : : ∧: : : : :l: :|＼: : ｉ|: :│: : : :.＼
... l/ |: : : :| ｌ: :∧: :ﾊ: : l '.: : : :ﾊ j ヽ ｉ|: :│: : : :}
「このような事があったからには ...... ││: : ｌ|│ﾅ下/-ヽ | ヾ: :/_ﾑ'― 弋|: :│: : ! j
.死んで御供をするしかない」 .j. │: : |i V ,ｨテ圷､ヽ ∨ ｨチ示k l: : ﾄ: : Ⅳ
... ヽ: : | ﾊ` Vf:::::i} Vf:::::i} Y|: : ﾑ N
と思ったから殉死を選んだ、 . ヽ |ﾍ i l ゝー' `ー'' ﾊ!: :,) }i|
ということ？ ...... ｀l: :ヽﾑ ' /:/: :ﾙｲ
', : : |ﾍ､ ‐ ｨ' /: :/
｀Y´￣￣￣￣￣￣￣ヽ ヽ: :ｌヽ ＞,､ イ/７: :/
| そういうことだね | ＼! Ｖ厶|＞ｰ ＜ﾚ_'/ /／
ゝ＿＿＿＿＿＿＿,ノ , '´/ノ L､ ／
,.-' | ___.＿ | `ｰ､
_..-‐'´ |´ ＿｀ ｰ<| ｀ｰ､_
230 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/06(日) 22:53:50 ID:Xk1t06rQ0
_,,.. -ｰ― -ｰ―- ､- ､
,.: ::´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀ﾞ':::｀ヽ、
, ':::::::::::::::::::::::::::::::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::ヽ､
/:::::::::::::::::::::,::::::::::::i:::lヽ:::::::､::::::::::::::::::::::::ﾞ i、
/:::::::::::::::::::l:::!:::::::::::l::::l ﾞ､:::::i:::::::::::::::::::::::::::ﾞ,
,':::::::::::::::::::::l:::i:::::::::::il:::i ﾞ､::::i:::::::l:::::::::::::::::::i
!:::::::::::::::!:::::li:,'i::::::::::,':l::,￣｀｀ﾞ､::i::::::!::::::::::::::::::ﾞ、 .で、堀田正盛については、
ｲ:::::!:::::::::l_;;;l lj l:::::::,' l:' ﾞ､:i,::::i:::::::::::::::::::::ヽ 大体分かると思うけど「２：情死」だね。
,'/l:.:.i:.::.::.::l:.:.l i,' l:::::,' l! ,,ｨttｰｧ､-:.:l_,,.._:::.:.:.:.i:.:i:.ﾞ、
/ .l:.:.l:.:l:ヽli.:;ｨftt-､' ' 弋'o;;ﾉ l:.l:.l -､ﾞ,..:..:.l:.:.ﾄ:.ﾞ、 元々、正盛は家光の恋人だった。
' l:.､!:.l:.:.:l.iヾ;or';ﾅ ~´ .i::.:il _iﾉ.,':i:::l::li:::l ｀ヾ､ それに拠って格別の引き立てを受けている。
l､,'､:li::::l, ｀¨´ ' ,'::::l, - '::ｲ::.lﾞ:l.l:.l 正盛の立身は、家光の寵愛あってのもので、
l:.､:!ﾞ､:l ＿, ./.:.:l::l::,i::/ l:,' j! ',i .「主君と家臣」という関係を越えている。
l:.:l､:､:.:l｀ ､,'^､. ／l::::::l:.i/l,' i'
. l::l ﾞ､ヽ:.,-'-t, lｰ,- - 'ﾞl´ ,':::::!l:_,,..-ｰ-、 .１の忠義との違いは、こちらは「相互の関係」なのと
l:!. , ',_ｰt ﾄ'ﾞ./,,-tｰ-' jl::::,'､l:.:.:.:.:.:.:.:i 「御恩と奉公」の枠外のものだということかな。
.i' .l ._/l ,l.ﾉ. ,'::::::/､,,､_,,,_ l::,'::::｀.:.:.:.:.:.:.i
iﾄ､ﾞ-'´_,,-'ﾞｨ:./,XXXXXl'l::,'-:.:.:.:.:.:.:.i
｀､ヽ‐-‐´:.:|:':｀ﾞｰ--ー''ﾞ:::i:.:.:.:.:.:.:.:.:.i
..... ＿
,, -''' ￣ '' ー 、
／ ＼
／ ＼
/ ＼
/ | ｀,
重次と違い、正盛の殉死が... / ! | / ',
制止されなかったのは、 . /. | li＿/｣`___ || | / ',
..... /. | | V l/＼ 7Ⅵ ／ / / l
「亡君から格別の寵愛を得た」 l | ヽ |イ.干≧ﾐ l ／//7ヽ/ﾚ/ / l
..... | /l ヽ ヽ! 代ｭ ::}.l !／ ィ≦干下ヽ／ l
ことが誰の目にも明らかで、 ..... ﾘ. l lヽ | 弋辷ソ 代ｭ ::}.l/ ／ /
止めたところで無駄と. . . l. | ヽl , 辷匕リ /' /
見做されていたから、と。 . | | | / ／./
ﾍ | | _ _ /／ /
_,,,-‐‐l ト､ |､ ´ ／´ /
,,- '' ,ﾘ | ﾄl＼ ／／／/l /
/´_,,,-‐'''´￣｀ヽ､ ﾍ| ヽ__ヽ､_ ,, ｨ -／／／ l/ ﾝ'
ﾚ´ ＼ ヽ￣ヽ /_/／／ '
／ ＼ ヽ^ |/ﾍ/／￣￣｀ヽ
231 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/06(日) 22:55:20 ID:Xk1t06rQ0
_........-――.--..､_
,...:.:.:.´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀ー.､
／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀:.､
／:.,:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:,:.:.:.:.:.:.:.:.ｉ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
/:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:./:.:/:.:ｉ:.:.:.:.:.:.ｉ',:.:.:.:. ｉ:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.',
./:.:.:.ｉ:.:.:.:.:.:.:.:.:.ｉ:.:.ハ:.l:.:.:.:.:.:.:l ',:.:.:.:.l:.:.ｉ:.:.:.:.:.:.:.:.:.::. .そして、他の3人の殉死者についても、
ｉ:.:.:.:ｉ:.:.:.:.,:.:.:.:.:.l:.:.! !:.',:.:.:.:.:.:.l ',:.:.:.:!: l:.:.:.:.:.:.:.:.:ｉ:.:ゝ .個別に言えば、内田正信は情死、
l:.:.:.!:.:.:.:.:ｉ:.:.:.:.:.!‐l―!-!‐':.:.:.:.:!-‐,―!‐l‐- ｉ:.:.:.:ｉ:.l:.:.lヾ､ 三枝守恵と奥山安重は忠義の発露が理由といえる。
l:.:.:!:.:.:.:.:.l:.:.:.:.:ﾊ:.l ヾ! ',:.',:.:.:.! ',:.:!N.!:.:l:.:.:.:.l:.:l:.:.l ＼
l:.:.:!:.:.:.:.: !:.:. ,'ィｵﾃﾐ斥 ',:.',:.:.',ィﾃ≠ﾐｘ､!:.:.:.:.l:.l:',:.:l 三枝守恵は少し分かりづらいけど、
l:.:.:.:.:.:.:.:.:l ≪ し':ﾊ ヾヽ:.', ん心 ≫:.:.:ｉ:.l:.!:.',:.l この頃、病身で満足に勤められなかった事を
l:.:.:.:.:.:.:.:rz:.:.ｉ .弋ｚｿ ヾ!弋zｿ ｉ ｉ｀):.!:.l:l:.:.l',:l .気に病んでたらしく、
/:.:.:.:.:.:.:.:{ ',:.', ､､ , 丶 ､､ .!/,.':!':.:!':.:.:l ':!
./:.:,ｲ:.ｉ:.:.:.:.ゝ､ゝ', 从,ｨ:.:.:.:ｉ:.ｉ:.l .「取り立てて頂けたにも関わらず、
/／ .l:.:',:.',:.:.:ｉ: ',¨ヽ ‘ ' ,.ｲ:!/,':.:ｉ:.:.ｉ:.!:.l .満足に働けなかったから、せめて殉死する」
/' l:.:.ﾊ ',:.:.',: ',:.:.',.＞ ,..イ:./:. //:.:.,l:.:.!:ハ',
l:.:ハ:.',:.:.',: ',:.:.', ｉ ｀ ｰ .ｉ〃〃／/ｲ:./l:/l:' ＼ というものだったようだね。
.!' .ヾ＼lヾ',:.:.',.} l/ /' /' .}/ .}' !
｀ ',:.:',' ゝ..._＿___'
＜´ : : : : : : : : ヾ､＿ ミー-､
／: : : : : : : : : : : : : :._)⌒ヽ: : : :.:＼
…話を聞く限り、情死はともかく、 .... ／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ＼: : : :.＼
忠義の殉死の方は、殉死する側の主観に ／ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.､＿_
極めて依存すると言える。 .ー=ﾆ彡´: : : : : : ヽ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.八￣
/: : : :/ : : : : :.＼: : : : : : : ＼ :ﾄ､: : : ﾄ､ : : |＼ ∧
事実、他の大名家では .... /: /: :/: : : : : : : : :＼: : :＼: : : ,.!: ＼:.:|: :＼ !: : ヽ !
ごく下級の武士が殉死しているが、 ... .,: :/: :.:|: | : ＼: : : : : : ＼ : : ＼: :|: :.:.:ヽ!: : : .:| : : :.:.|
「主君手づから何かを授けられた」程度で .| ∧ : :!八: : : ＼: : : : : : :.､: : : ヽ!⌒ヽ |: : :.:.:|: :.:.:.N
感激し、殉死を遂げている例もある。 . .|/ ∨{ ､: ＼: : :.｀／_:_:_:_:∨: : : | 7ｿ : :.:.＼|: : l/
.|. ∨: ＼: ヽ ／_.ｨ笊_／∨: : :|／| : : : : : : : |/
これでは、誰が殉死を言い出すか ∨､ﾑ＼ (ｲ斤云. ∨ : |彡´＼: : : : :f´
主君が死ぬまでわからない。 ＼＼､ ＼之ｿ |: : :! ｀＼j从
家の存続を考えるなら看過できないリスク。 .＼ ﾉ ｀¨ .:|:.:.:.|_ ＼＿
｀ - .|.:.:∧＼ _ .イ￣ ヽ
!` ‐一ｲ.:/ ／|／ .::::|
232 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/06(日) 22:56:49 ID:Xk1t06rQ0
__＿＿__
.，: :´: : :: : : : : :｀ : .､
／. . . : : : : : : : : : : : : : : : 、
／. . . : : : : : : : : : : : : : : : : : : :'， そうだね。
/ . . . /. : : : : : : : !: : : : : : : :、: : :‘. それに加えて、「周囲の批判」って要素もある。
. / . : :l: : : : : : : : :人 : ::! : : : } : : : : :, 主君に取り立てられた人間に、周りの嫉妬が集まるのは
/.:/ . : :{: : : : : : : / __`斗 : : :.ｌ : : : : :ｌ よくあることだけど、忠義の発露として殉死が流行ると、
ﾉイ . . : :i : : : : : :/￣ ＿_} : : :ｌ : : : : : ｉ
ゝ: : :ｉ弋T从:/ _xf::::::ﾟii: ﾊ:.}: : : : : 丶 「あいつは殿に取り立てられたのに殉死しないとは
`:､/ xf＝x っﾉ}/ ﾘ: : : : : : : ｀ヽ 忠義などなかったのではないか」
ハj/:ｉ.っﾉ }: : : |: : : : : : 厂｀
j/ｉ: : :ｉ ｀ j: : : i: : : jVi'/ .という具合に批判する声も出てきたんだよ。
{: : : ゝ ‐ ′ /: : : 八{/ .酷いのになると、嫉妬を通り越し、政敵を追い落とす為に
∨ j/ `: ､_ ,，'’j/|／j､ .殉死を煽るような真似まで出る始末だ。
_￢ ／ ／i .ヽ, .日本橋に上がった落書はその典型だね。
i´::::i!^^i. . ／:::/:::::::::::ヽ
i::::/厂ﾉУ:::::::/::::::::::::::::::::j
, -‐-'´ ー- ､._
,､' : ,:-'´: : : : : : :＼＿
／: : :／: : : : : : : : : : : : ＼
ノ /:/ : /: : :, : : : : : :/: : :| : : : ヽ.
…衆道関係ならまだしも、 ..... ￣ﾉ': : :/: :／;.､=7;､イ;i: : |: |:: : ､:::ヽ
才覚故に引き立てられた人間が、 ! !: : /|': :'´ ;/'iｧz;､,'ﾄ: :/;ｲ: : : }: i l
Ⅵ :( .!: : : :{ `''゛' '|:/ﾊ /ｲ;ｨ:/ｲﾘ
「引き立てられたのだから殉死しろ」 ..... ] : :>,| : : | ｨ)y'/;ｨ:/
ノﾍ:|'; :|: : | _ ｒ./!' !'
と批判されるのは、 . __ .|ヽﾍ` | ､ ´, ィ':i/|
家の維持という意味では最悪に近い。 / 丶､ ` {._´´l／ﾘ
「亡君への恩はないのか」と正論風の .. / ＼. ﾄ ヽ、
ガワを被ってる分、尚更性質が悪い。. /;: ＝== L_＼:ヽ_
</: : : : : ヽヽ ＼=￣{
!: : : : : : : '､'､ ヽ、. !',
233 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/06(日) 22:57:25 ID:Xk1t06rQ0
´ ￣￣￣ ｀ 丶､
／ 、
., ' ＼
/ ＼ まったくだ。
./ ヽ だから、後に幕府が寛文三年に出した「殉死禁止令」は、
∧ ヽ ヽ
/ '. '. } '. 「理由を問わず、殉死は厳禁する。
| i ∧ i ハ u .i .主君は家臣にこれを堅く言い含め、
! _|,. '^ﾍ‐ ､, | ､.l｣i|,､., | | .もし違反する者が家中にあれば、
'. ｜ 八＼ ﾄ､ | ｉ| | .亡くなった主君の落度とし、跡継も罰する」
∧ 八x行うミ ＼ . 行ﾃY| /
ヽ {＼ 《 {:::::ｒ'| ＼/ |:::ﾘ ∧ / ' という具合に、問答無用で殉死を禁止する内容になっている。
| 八_|` ｰ-ゝゞ= ' , ｀ 八i／ | 原文だと「殉死は古より不義無益の事也」とまで書いてるね。
| | | ,
! i 八 ι ／ | 実際、これが出た後も殉死があったんだけど、
八 |ヽ ∧ ＼丶._ ＾⌒／ ハ 人 八 その際、その家は所領削減、殉死した家臣の倅は斬首と、
＼| ∨ ヽ八ト-‐' ∧ﾊ￣l;/,ハ/ }／ ヽ 強硬な措置を執ったことで、以後、殉死はぱったり止んだそうだよ。
／ /
∠二 _ {
/ ｀ヽ '.
,､ -─‐- ､,
, ' ´: : : . : . : . :.` .､
／: : : : . : . : . : . : . : . ヽ
/: : : : . :/: .,': . : . : . ',: ',: . :',
/: /: : /: :ﾊ: :{ l: . : . : . :l: .i: . :.',
/: : /l: ./|∠＿';ﾄ:l: . : . :;: ﾊ: |: .l: .',
残当 ,': : :ﾊｊ:ﾊ:ﾄ＿_＿､`ヽ: . :.,-─i:|. l . :;l
ｨ: : |〈|: . | .;:ｊ ` ﾋｾ;'ｧ::|: . ﾊ !
ﾄ/|:.|:.:|: .:| ｀ ´ 'ｰ' ﾑ:l.:./ '
ヽﾄ;:.l .:人 ' /:.::|/
／',:.:ﾄ､` ¨ , .イ:.:.,'l
／ ',| ＼,_.ｽｰ ' `7ヽ/
234 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/06(日) 22:58:54 ID:Xk1t06rQ0
／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ﾞ,.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
, ':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.,:':.:.:.:.:.:.:.:.:.:ﾄ､:.:.:.:.:.ヽ.:.:.:.:.:.ヽ
/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:,:':.:.:.:.:.:.:.:.:.,',.!. ヽ:.:.:.:.:.ﾍ ヽ:.:.:∧
,':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.,':.:.:.:.,':.:.:.:.:.:.:.:.:.:,' .,' ヽ:.:.:.:.:l!:.:l:.:.:.:.∧
,′:.:.:.:.:.:.:.:l.:.:!:.:.:.::.!:.:.:.:.:.:.:.:.:,':.:,' .',:.:.:..:l!:.!:.:.:.:.:.∧
..,' ! /:.:.:.:.:.:.:l!:.:l:.:.:.:.:.!:.:.:.:.:.:.:.,:'!,/ ':,:.:..l!:.!:.:.:.:.:.:.:ﾊ .少し長くなったけど、家綱の代になり、
.,' .!/:.:.:.:.:.:.:从,:.! ""卞、:.:.:,:' 〃 """"" ﾍ :l!.:l:.:.:.:.:.:.:.:.i 幕府は、大名家を押さえ込む方針から、
′!:.:ﾄ､:.l:.:.:l! .ﾄ,.ｨ≠ﾐkﾊ :,:′′ ,;ｨ=≠ﾐ ,.Ⅵ.:l:.:r､.:.:.:.:.:! 安定させ、存続させる方針に切り替えていった。
!:.:l:.:.:Ⅵ:ﾍﾊﾄ fｏ::::::::ﾊﾞ ′ "fｏ:::::::::ﾊ> !:l:.:.l.}!:.:.:.:.:.!
!:.:l:.:.:.:l:.:.:ゝ:.ゞヽっ:::::::j |っ:::::/'ﾞ /:,':.:.:i.′.:.:.:.i それは、徳川による統治体制が安定化し、
i.:.:.:.:..:l!:.:.:.:.:ヽ ｀￣´ ｀￣´ . rｰゞﾆミ ､:.:.:.′ 大名を力で抑える必要が薄れてきたとも言える。
l.:.:l.:.:.∧:.:..:..∧ ﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞ ′ ﾞﾞﾞﾞﾞﾞノ彡:.)ｰr― ､ ヾ､ .「武断政治」から「文治政治」への移行、という訳だ。
l.!:.l:.:.:.:.:.ヾ.:.:.:.∧ ー _ 一 ｲ,;!:.:i !'￣¨` `i
iﾘ人.:.ヽ:.:.:.:ヾ:.:.:.ゝ. , ,仏':.:.:} j l´￣` ' さて、家綱の治世についてはこんなとこかな。
ﾉ ゝヾ!ヾﾄ､l､ヾﾄ､＞ , イ:.:./:.:./:.| `'}ﾉ7 / じゃあ、いよいよ宗冬の出番…本編に戻ろうか。
ヾﾄ､l ｀ ‐-‐ ｲﾘ:／:.:ﾉ| ,' /
; {.:.Ⅵ厂￣￣`i´｝.:.:|.:.:.:.::、 ｛
丿:.:‘，|::::::::::::::::｝::}､.:i、.:.:.:.ヽ )ヽ γ´￣￣￣￣￣￣￣｀ヽ
＞ﾊ.:.:.:.:! }:::::::::::-=}'y:ﾉハ.:.:.:.:{＾ーr‐¨ }::}＾ヽ, | …その格好は何？ |
, =-::::¨⌒ヽ:::::.:.:.:.|`ｰ――‐彳::::::‘，.:.:.:）::::ヽ:::::i.ﾉ{:::( ゝ＿＿＿＿＿＿＿__,乂
/::ヽ:::::::::::::::::::::::.:.:.:.:'::::::|:::::::::::::::ヽ:::::::＼.:{＾ｰ‐r::¨:::ヽ::::＼
/::::::::::ヽ :::::::::::::::::.:.:.:.:'::::::',:::::::::::::::::::',::::::::::｀ヽ、::ヽ :::::::＼::::＼
ﾉ _:::::::::::::＼ ::::::::::.:.:.:.::'::::::::',:::::::::::::::::::ヽ:::::::::::｀`ヽ::ヽ::::::::: ヽ:::: ＼ …いいじゃないか、たまには。
{i':::::｀ヽ:::::::::::ヽﾉ:::::.:.:.丿:::::::::ヽ::::::::::::::::::::ヽ::::::::::::::::::ヽヽ:::::::::: ヽ::::: ＼
|:::::::::::i::ヽ::::::::/ :: ::::/::::::::::::::::::::::`ヾ:::::::::::::::',::::::::::::::::::‘，ヽ:::::::::::ヽ:::::::'，
‘，:::::::l:::::ヽ::/:::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,.::::::::::::::::::‘，:::::::::::::::::::::::::!
‘，:::::l::::::: /:::::::::,':::::::::::::::::::::::::::::::::::',::::::::::::::::i::::::::::::::::::::i‘，::::::::::::::::::ヽ|
i:::::::l::::::′:::::::,::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l::::::::::::::::ｌ::::::::::::::::::::l::‘::::::::::::::::::::::{
|:::::::l:::::|:::::::::::l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ｌ:::::::::::::::l::::::::::::::::::::,::::‘，:::::::::::::::: ｝
‘.:::::::l::│:::::::::!::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l:::::::::::::::'::::::::::::::::::/:::::::/ヽ::＿__ ノ
‘:::::::l.::‘，:::::::l::::::::::::::::::::::::::::::::::::,'::::::::::::ﾉ::::::::::::::::::'::::_:: ′
‘:::::::l:::::::、:::::',:::::::::::::::::::::::::::::ノ"_::::'"i⌒::::￣i`ﾆ::¨|
|::::::l::::::::iヽ:::::_、::::_:::::::::::彳::::´:::::::::ｌ::::::::::::::l:::::::::::|
235 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/06(日) 22:59:26 ID:Xk1t06rQ0
時が過ぎ、家綱が将軍となって5年後。
明暦二年(1656)九月十八日──
丁''＜二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二:::/|::|
|::::| ｀''＜////////////////////////////////////////////////////////////////// |::|
|::::| ｀`''＜二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二7 |::|
|::::| ｀`'＜//////////////////////////////////////////////////////// |::|//
|::::| ｀` ＜二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二| |//
|::::| :| ＿＿＿＿＿＿＿＿＿__ |:::::| ＿＿＿＿＿＿＿＿___＿__, ｌ|: //
=-廴| :| |_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_| :|:::::| |_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_| :ｌ| //
ﾆ二二ﾆ=- _ :| |[|[|[|[|[|[|[|[|[|[|[|[|[|[|[|[|[| :|:::::| |]|]|]|]|]|]|]|]|]|]|]|]|]|]|]|]|]|]|]| :ｌ| .// ／
「丁 -=ﾆ二ﾆ=-,,＿ |＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿|:ﾛ:|＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿____l|//／ ｉ||
{: {:{ {{ 「「 -=ﾆ二ﾆ=-|───────────┬────────────‐:l|/:|:| i||
}::}:} }} }} {{ {{ 「「 Ｔ「￣ｌ{￣ｌ{ ￣ｌ{￣~ｌ{￣ ｌ{￣~{i:{i{￣ ｌ{￣ｌ{￣~~{i:{i:{￣~ }ｌ￣ }l￣￣l| |:| i||
￣丁::T ‐- ＿}} }} }} |弋＿ゝ＿ゝ＿ゝ＿ゝ＿ゝ＿乂ゝ＿ゝ＿ゝ＿乂乂＿ﾉﾉ＿ﾉﾉ＿ノl| |:| i||
|::|i:| |:|「「丁Ｔ≡=イ「丁T≡ ＿| | ￣| | |＿＿___,| :|:||￣||￣||￣||￣| | l| |:| i||
|::|i:| |:|:|Ｌﾆ|ﾆ|ﾆ|:|::|」」」L|| |:| ￣|「TＴュ | | |＿＿| | :|:|ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆニ:ｉ| | l| |:| i||
|::|i:| |:|:|Ｌﾆ|ﾆ|ﾆ|:|::|」」」L|| |:| |_l_l_l|:| | (二二二ニ) |:| | rzzzzz| | | l| |:| i||
|::|i:| |:|:|Ｌﾆ|ﾆ|ﾆ|:|::|」」」L|| |:| |_l_l_l|:| | ｀¨¨二¨¨¨´ .:|:| |‐ー┴ｭ | | | l| |:| i||
|::|i:| |:|:|Ｌﾆ|ﾆ|ﾆ|:|::|」」」L|| |:| |_l_l_l|:| |＿＿{｀¨´}___＿__|:| |￣ ﾉ~乂 | | | l|0:|:| i||
|::|i:| |:|:|Ｌﾆ|ﾆ|ﾆ|:|::|i:i:i:i:i:i||＿|:| -- |i:i:i:i:|:|≦=====ゝ-ｲ=====|:|,」￣ ゝノ ￣＼| | l| |:| 0||
|::|i:| ＿,,|:|:|Ｌﾆ|ﾆ|ﾆ|:|::|i:i:i:i:i:i||:. _,. -= '' ￣￣￣￣￣￣ ,.￣´￣￣￣￣￣￣￣∧| l| |:| i||
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:.:.:.:.:.:.:.:.:.:._,. -=≦「＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ ／... ゝ＿＿＿＿＿＿＿__,乂 .ﾏ|:| i||
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￣￣￣￣ﾞﾞﾞﾞﾞﾞ '''''' ＝＝===== zzzzァ'"＿＿＿＿＿ ﾏﾑ||
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,.｡+'ﾟ ∨
236 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/06(日) 22:59:51 ID:Xk1t06rQ0
／￣￣＼
／ ─ ─
/ . （●）（●）
.| （__人__） 柳生内膳宗冬、参りましてございます。
.| ｀⌒´|
ヽ ./
／ヽ ノ
／ ⌒ヽ '´(
/ ,＿ ＼ ＼／＼ ＼
と_＿＿）_ヽ＿つ_;_ヾ_つ.;.
_ -- ､ｰ.､
, .:´: : : : : : :ヽｿ,.-‐ ､
` ､ ,.': : : : : : : : : :ヽ: :.⌒:.ヽ
ヽ ＼ ／"'＜: : : : : : : :｀: :.ヽ: : : :', -
ヽ. ＼、 ,.: : :.＞､ ｀＜:.＿_: :.＞ ''"´ ヽ. , '"／
' l､ヽ／: ⌒: : : :.} , -―-､ ,. ＜´: ヽ、 ／ '
' /: :.／: : :.＞' .{.i´::.ヽ.}.} .{: : : :ヽ: :.:／./ /
} {: : {: : : /＿ - ､乂__.ノﾉ ゝ､: : :.Y ／ '
}、￣乂:.V: /´:./l: :/ /ー-┬i"⌒:＞!: : :.}.{＿ {
, ,.{ヽ､:{: : {‐l:ｲ､_{:i: / }:.l _,.ィ}: :j: : :ﾘ/ , '´ うむ。
ｊ／ ｊ .{.ｒゝ: ヽ弋ｚjゝ:.{ ‐j弋zﾘ_ｊ;.ｨ: ; ｲj､ （ 待っておったぞ。
', / ヽ ｰ､｀ ｀ ´ .'ｿ/ ､ `r'
} / /: :Tﾊ. ヽ _ /:.ji_: ヽ. {
ｿ ,: : : :|: :.:＼ ￣ イ: (__:）: :',＼､
{: : : :.!: : : i. ＞ - ´ i:.}: : :!: : : :} ｀
_. . . ＿_ゝ:_:_:,:-／l 、 ヽ'ｰ-,:､;.:_ﾊ
. _. .: : : : : : : : : : :{: :ｆ .{＿ :. / ＿.ﾉ .}: :.ヽ-. ._
/:_: : : : : : : : : : : : : :', ＼￣ ｀ ､ , -‐＿／ .ﾉ: :./: : : : : : : .、
この日、宗冬は家綱に召し出され、御座所に参上した。
（これより少し前の五月四日から、宗冬は中奥に伺候する身となっている）
237 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/06(日) 23:00:25 ID:Xk1t06rQ0
|..＼ ／ /
._..,,:-'''`_.,;;;-;;;,._ ／ ／
_,.;;:-'''`,,..;;;;-''` ＼／ /
.／|i _.;;- ／ |
| | `''' -;;;,.._ ／::::: ..; :i
| |i ,-;;.._ `''---'i::: ::..i 此の度、お前を呼んだのは他でもない。
.＼|i ／ｿ:;i::i::'i-;;:,._|○ i====＝＝＝＝=-
〆i::/, =:i::|ヾ::;i ;;`--i;, ::::／ …伊豆。
ヽ: i.б`. <;::/:/∂|＼:::;; ;;.: /;;ヽ
/ ヽ／ ;;::/--'::: ＼ .:::;|:::;;ﾐ;;;:
/._ .◎/::ノ ::;;;.＼ .ヾ| :::;;;;;; ;.,
i .__ i;;i |:: i:; ＼/ヽﾐ;; ヾ
'; i..i ;;...i ;;;i :::;
i__.;:- 'i__;;;-i:;i;;; ＼
i` ::;;;
|
／／／ ／:::::::::} ｒ.rー.、＼ヽ
／／／ ／/ /::;/ｌｌﾊ:::|:ヾ:::::ｌ ヾ|
／ ／/ ／ / ／ /:/ ヾ :ﾘ i i ＼
￣/// ／/:::::/、 /:/ | :l | i }
///／ /:::::/__ ヽ // _ ｌ:::::| | | /
l/／ //:::::/T;;;;ﾗヾ// /二__|:::::| l // はっ。
| l//:::/ `＝- / /ｴ;;;,)_,|::::|ヽ /
l/ /:::/ / ￣ |:::::|ｌ /
▽ |:::ﾊ / }:::// |
,):ハ|ヽ `- ＿＿, ／////l |
▽ﾘﾘ| ＼ 二" ／ﾘ:/|▽ ▽
/{ 〈| ヽ- "/:| ヽ▽
238 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/06(日) 23:00:59 ID:Xk1t06rQ0
／ }/ ＼
／ イ⌒ヽ. {, ､__ .＼ ＼ ` ､ヽ
.{／./i:i:i:iｲ Ⅵ ／i:i:i∨ ＼ ＼ Ⅵ
／ /i:i:i:/ {i:i:/{_/i:{i:i:i:i: ∨ . ∨
.{ .:/i:i:i:/¨ {i:i:{⌒`ｰⅥi:i:i:i ∨ ∨
./ ../i:i:i:/ |i:i:{ .Ⅵi:i:i} ﾄ､ ∨ }. }
/ .,ｲi:i:i: { .Ⅵi Ⅵi:i:} Ⅵ .∨.}. | 内膳。
./ ./ |i:i:i:i:{__ .Ⅵ .Ⅵi:i＼..∨ } i | .お前は今、幾つになる。
ｲ.ノ../|i:i:i:i:}..＿｀ ､ Ⅵ ｘｚ=--i:i:i:} }. | i |
..▽ {/i:i:i:i:i: 篷'㍉. Ⅵ .´,ｨ尨ﾃ¨アi乂 八.
.／./i:i: / `ｰ=` i}i ｰ`¨=彡i:i} /＼.＼ ‘，
./i:i:i:/ .ﾑ /′ }i:} ./: : : : ￣￣￣￣
.／i:.,イ: : ∧ . }i:}/: : : : : : : : : : : :
=彡イ: : :: : : : { ..､ ､_`_´＿__／ .}i:}: : : : : : : : : : : :
: : : : : : : : : : : { i ＼.`ｰ-= ´ ／}i}: : : : : : : : : : : :
: : : : : : : : : : : { { ＼ .／/ .▽: : : : : : : : : : : :
: : : : : : : : : : : Ⅵ ＼r.￣ .}／ /: : : : : : : : : : : : :
: : : : : : : : : : : : ＼ / / } | ./: : : : : : : : : : : : :
／￣￣＼
／ ＿ノ .ヽ
/ （●）（●） ..歳、でございますか。
.| （__人__）
.| u .｀⌒´| …今年で、42になります。
ヽ /
/ ヽ ノ
／ ⌒ヽ '´(
/ ,＿ ＼ ＼／＼ ＼
と_＿＿）_ヽ＿つ_;_ヾ_つ.;.
明暦二年、この年、既に宗冬は42歳になっていた。
239 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/06(日) 23:01:39 ID:Xk1t06rQ0
／.:::::::::::::::::::/ヽ::Y、
. ／.:::::::::::::::::::::::::|:::::ヾ:ヽ
. ／ ..:.:.:.:.:.:.:.:::::::::_:_:!::::::ﾄ､:
,:′.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::::,ィ'ミx|:::::fミ>
. / . .:.:.:.:.:.:.:.:.:.::::/´ |:::::|
/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:::/ |..:::|
. /. : .:.:::::::::::::::::::/ ',.:::!
′.:.:.::::::::::::::::::/ |:::|
ｉ:::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::::::/｀丶、 |:::!
|:::.:.:.:.:.:.:.:.:.:::::/ :::ヽ. |::l
|::::::::::::::::::::::/￣/丶、 ::':, |::!
|:::::::::::::::::::∧ |{frj}ﾐ>、', !:!
|:::::::::::::::::,' `‐`＝=' l:| …お前の兄、十兵衛が家を継いだのは、
',::::::::::::::::ﾄ、 i ﾘ 40の頃であったな。
.ﾄ､::::::::::::| l', .,'
.| l、:::::::::| |. 、 .::/
.|,ハ:::::::::| | li':, ::〈
7 ',::::::::| |ﾉﾘl'、 ヽ
. ',:::::::Wl/|l ヽ
|:::::::| / ﾘ､ li>、t,､、
|:::::::lｲ lj 〉l/ﾘi、丶ミ 二二
|:::::::| /ｲi;▽<lﾍ、 ､＿_
|:::::::|./／ l / ｿ>､ ￣
|:::::::l′ /-‐'´ ,ｨﾄ､
|:::::::! ｲ 〈:::| ｀ ―‐
. _」:ｘく._ ハ ヽ、
l ｀:〃/ ∧ ∧ノヽ、_
| 〃ｲ ヽ. / /
／￣￣＼
／ .＼ /
/ （○）（○）
.| （__人__） …はっ。
.| u .｀⌒´|
ヽ / （…何故、ここで兄のことが…？）
/ ヽ ノ
／ ⌒ヽ '´(
/ ,＿ ＼ ＼／＼ ＼
と_＿＿）_ヽ＿つ_;_ヾ_つ.;.
240 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/06(日) 23:02:09 ID:Xk1t06rQ0
/ ,r l i! ﾊ ヾ;;;;;;;;;;;l ヾ;;;i!;;l
/ / l l! 川 _,lriナ卅''ｱ ﾞi;;ll;;l
/ / l l!'ﾞ´ ﾄ;;;;_ェ土ﾘ､l;;ll;;l
/ l ﾘ ハイ:::::}ﾞン ヾjﾘ 奴の事は、子供の頃から知っている。
ｲ l l /,! / l;;｀Tｦ´ /,ﾍ 奴がまだ七郎と名乗り、大猷院様の小姓であった頃からな。
リ l l! ,! l / l;;;;;;;;l ,ﾘ′＼
j ｨi ﾉ/ ,ｲ // |;;;;;;;l f' ,> .その頃から、奴の兵法の腕前は大したものであったよ。
ll / ,! /,f ﾊ// |;;;;;;;! l イ´ 生きていれば…上様の兵法御指南役として相応しい者になっていたであろう。
ﾘ〃!/ｲl /ﾞY/i! |;;;;;l! _,,._,〉
!/i/〃ll / 〃 !;;;ﾉ ｰ ''´ ,,j
ﾚﾘ//ﾊLｲ｀i ! l;;/ |
川'ﾉ ▽ fil! ｀丶!;ト;;-;ｧ::,,＿,ﾉ
▽‐- i､ _▽ l;! ,ｨｲj
/ ７ヽ､、 jLf/ ▽
て
／￣￣＼ そ
／ .＼ /
/ （○）（○）
.| （__人__） ……兵法…御指南役…！
.| u .｀⌒´|
ヽ /
/ ヽ ノ
／ ⌒ヽ '´(
/ ,＿ ＼ ＼／＼ ＼
と_＿＿）_ヽ＿つ_;_ヾ_つ.;.
241 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/06(日) 23:03:04 ID:Xk1t06rQ0
,. -- ､、 __
／, .:'"⌒ヾｰｧty'´::｀ヽ
-‐ァ'／::::::::::,ｨ:､:Y;.::|;､:::::::::::',、
／' /::::::::::／￣｀ﾘ::/`''i::::::::::l ヽ
,ｲ ,ィi:.:.:.:.:./_ l:ﾉ !::::::::::l ハ
z彡ｨ'/ ! /、｀ヽ /,..-―|::.:.:.:.::! |
イ/ ,j|:.:.:.ｨ;ﾐiヽ`／/.:,=＝l: :.: .:!. ':､
/l ,ｲ,'::::/￣´／ ,' ､fti /// ｒ＼ そして内膳。
´ﾚｲlﾉ:::/ ;.:. ｀7:.:.:.:/,'./イ :. ヽ お前は、その兄が柳生家当主となった歳を越えた。
彳lﾒ:ノ 丿: /:::::::ｲ//彡| ∧
/l／ｲﾄ､ ヽ――- ､_ /:::／l// /ｲﾙ'!ヾ:. その上で問うぞ。
△イ「l/ﾘl>､ ｀` ﾆﾆ ‐ ｼ／／,ｲイﾊ从 | ﾘ 「柳生家当主が担うべき勤め」…お前は果たせるか？
▽ /ﾙ'|i＼ ﾞ"ﾞ /:/,.ィfﾃ八l>/ﾚﾍ !
▽ ﾘ| ｀ ―△'´／|▽ ▽
＿/ '´_∠ ┴z_ '′
/く彡'´Lr‐ '´ __,、 人
,-‐{/| /_,. - '´ ,. -'´:.:.:ゝ、
. | ／/ / ,'＿,. -彡'":.:.:.:.:／:.:.:.:｀￣｀` 丶 、
. ﾘ ,' /i !::::, -'´:.:.:.:.:.:.／､＿:.:.:.:.:.:.:.:.:.,. -‐ヽ
. / / ,/::| ,l／:.:.:.:.:.:.:.:／:.:.:.:.:.:.:｀＞‐ '"´:.:.:.:.:.:.'、
/ ,'/::::l／:.:.:.:.:.:.:.:.／:.:.:.:.:.:, - '´:.:.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
,:'l::/⌒!:.:.:.:.:.:.:.:/:,. － '´￣）:.:._,. :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
/:,ﾝ:;:;:;/--―ッ'":;:;:;:;:, －'´ｨｼ'´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:､:.:rイ
,'/:;:;:;:;/'"´>'´:;:;:;,. ‐ '´,ｲｼ'´:.:.,. ´￣）:.:.:.:.:.:.:.:.ヽヾ!
.;ｲ:;:;:;:;'´,. '":;:;:;／:.:.:.:.:ノ/∠ン:;:;:;／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ|
':;:;:;:;/'":;:;:;:;:;:／:.:.:.:.:,.ｨ彡:'":;:;:;:;／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ､、:.:.ヽ
:;:;／:;:;:;:;:;:;r',. --―:;:'":;:,. -‐',. '⌒):.:.:.:.:.:.:.:.:丶丶::::::〉
:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:＿_;: 彡´:.:.:／:;:;:／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:｀ヾ:〈
:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;｀` ‐ ､＿:＿:.ノ:;:;:／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヾヽ
242 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/06(日) 23:04:01 ID:Xk1t06rQ0
.γ´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣｀ヽ
l ……果たします |
ヽ、＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ﾉ
.
243 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/06(日) 23:04:33 ID:Xk1t06rQ0
_. -―――- ､._
／ ｀ヽ､
／ ＼
/ ＼
./ ､
/ ＿ ',
./ ｀ー ､. i||i ､ -＝´､ ',
/ /.,:::::::ヽ , ,:::::::::::､ ', .i この内膳宗冬。
.,' { {:::::::::i i i i::::::::::::} } | 父が担い…そして、兄が継ぐ筈であった勤めを
{ ゝ ー ' ゝ -‐ ' ノ | .果たしてみせまする！！
{ / ヽ |
i { i } |
{ ゝ_＿__ノ ゝ __＿_____ ノ |
ﾍ. /
＼ /
＼ ´
ﾞ＞ ､_ ／￣ ￣ ヽ、
i ／ ／ ＼
/ / ヽ
244 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/06(日) 23:04:53 ID:Xk1t06rQ0
|l | /:::::::::::::::::::::::::/ !: ::! ヽ:::::::::::::::::::ヽ ヽ ',
!l l !:.:.:.:.:.:.::::::::::::/＿＿_ l:.:/ ＿＿',::::::::::::.:.:.:.:.', ヽ',
ﾉ | l: :.:.:.:.:.:/ ､__｀ﾞミ=ｭ ,':/ ,,ィ'"´__,::::::::',:.:.:.:.: :| ',
. /!| l l:...:. /_,,..;ｧ＝=ミ、`' // ﾞ :::'´: '_´,. =＝=ミt, | ﾄ'、
/ ﾘ ! |:::::.:.:....:.. / .Y:fj＞=─. ,'/ |:::::::::::─=＜fj:Y |、:.. ...:.:|､ ', |
,/ // | |:::::::::::::::/r''¨´￣´ !' l::::::::::::::::::::::::::｀￣`'!i:.:.:.:.:.:.:.:.| ', ',j よかろう。
// | ',::::::::::::/! 〈 |:::::::::::::: :::::::::::,'l|:::::::::::::::l ￤ﾘ!、 .その言葉、しかと聞いたぞ。
ノｲ! ,!i l',:::::::::ﾊl、 |::::::::::::::: ::::::::://|:::::::::::::/ ! ﾄ'
ﾘ ﾊ::::::::{ﾄﾐ'! |:::::::::::::::::::::::::::::::,'i/ |:::::::::::/ l | …上様、お聞きの通りでございます。
/! //!:::::::トﾄｯ ﾉ:::::::::::::::::::::::::::::// ,!::::::::/ / ,.Ｎ
／ ,!/ｲ l::::::::トi,ヽ :::::::::::::::::::::::::::ﾉ'′ﾉ:::::::/ l /|l '、
/ /| ﾘ!::::::| jゝ.'、 `＝'''''¨¨´￣￣｀¨¨'''＝イ:::,' /:::::,ｲ / lｊ l! ヽ γ´￣￣￣￣￣｀ヽ
. /／ l/ l:::::::l//下ゝ、 :::::::::::::::::::::/ /:::／l| j|i |l ヽ | …うむ .|
/´ ,ノ ,ﾉ:::::ﾉ/ /| l|/l＼ ｀~""'''''""~´::::::::::::| ,.ｲ:::/l ﾘ/!ﾄ､ l! ゝ＿＿＿＿＿__,乂
／;::ィ´/ /,ｨ! l| li| ＼ :::::::::::::::::::::::::::／ |::/ l /l/ ﾙﾍ」
/ヾｼ'´/V/!ｲｨ!」-'ｧﾘ! 丶､ ::::::::::::::,.::::' ＿」:L..,＞ｲ ﾘ<l7７
245 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/06(日) 23:05:30 ID:Xk1t06rQ0
_ -- ､ｰ.､
, .:´: : : : : : :ヽｿ,.-‐ ､
` ､ ,.': : : : : : : : : :ヽ: :.⌒:.ヽ
ヽ ＼ ／"'＜: : : : : : : :｀: :.ヽ: : : :', -
ヽ. ＼、 ,.: : :.＞､ ｀＜:.＿_: :.＞ ''"´ ヽ. , '"／
' l､ヽ／: ⌒: : : :.} , -―-､ ,. ＜´: ヽ、 ／ '
' /: :.／: : :.＞' .{.i´::.ヽ.}.} .{: : : :ヽ: :.:／./ /
} {: : {: : : /＿ - ､乂__.ノﾉ ゝ､: : :.Y ／ '
}、￣乂:.V: /´:./l: :/ /ー-┬i"⌒:＞!: : :.}.{＿ { 内膳。
, ,.{ヽ､:{: : {‐l:ｲ､_{:i: / }:.l _,.ィ}: :j: : :ﾘ/ , '´ 我が父、大猷院は、
ｊ／ ｊ .{.ｒゝ: ヽ弋ｚjゝ:.{ ‐j弋zﾘ_ｊ;.ｨ: ; ｲj､ （ .そなたの父、但馬守に学び、
', / ヽ ｰ､｀ ｀ ´ .'ｿ/ ､ `r' .兵法を…新陰流を修められた。
} / /: :Tﾊ. ヽ _ /:.ji_: ヽ. {
ｿ ,: : : :|: :.:＼ ￣ イ: (__:）: :',＼､ 私も16歳…そろそろ頃合だと思ってな。
{: : : :.!: : : i. ＞ - ´ i:.}: : :!: : : :} ｀
_. . . ＿_ゝ:_:_:,:-／l 、 ヽ'ｰ-,:､;.:_ﾊ
. _. .: : : : : : : : : : :{: :ｆ .{＿ :. / ＿.ﾉ .}: :.ヽ-. ._
/:_: : : : : : : : : : : : : :', ＼￣ ｀ ､ , -‐＿／ .ﾉ: :./: : : : : : : .、
{ {/＞ｰ-:_: : : : : : : : ＼ ￣￣￣￣´ -‐ .／: : : : : : : : : ; :-､ヽ
／￣￣＼
／ ＼ /
/ . （●）（●）
.| u. （__人__） ………。
.| ｀⌒´|
ヽ ./
／ヽ ノ
／ ⌒ヽ '´(
/ ,＿ ＼ ＼／＼ ＼
と_＿＿）_ヽ＿つ_;_ヾ_つ.;.
246 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/06(日) 23:05:54 ID:Xk1t06rQ0
)ノ)
,. -‐'⌒::::'⌒ヽ、 ,､
ｒ'´`ｰ､_,.---､_,.-‐'´ヽ ／/
r ､ ／::`ｰ-､ r==､ ,.-‐'ヽ ／ /
＼｀''-､_／::::::::::::::::::〕 ll ll 〔:::::::::::::＼_／ /
＼ |:::::,ィ::::::::／ `==' `''┐::i:::/ | （
） Ｖi:::l:::／ｒ‐‐'⌒ｰ-‐i'⌒'┬':l:::ﾄ:lo.l , '⌒
⌒ヽ l/l〈::/|/!_∠!∧::::| ___!/|/:::ヽl / 内膳。
〉 i⌒ﾄ､<,ｒ‐-ﾐ､j;ノ,／-‐' /⌒i/ .〉 .私に兵法を…父と同じく、新陰流を教授してくれるか？
ヾ､ヽ.(ハ （ (:l l:) ） /ﾌ) /| .〈
| .｀>-ﾍ ￣ (! ￣ /-‐'´l ＼|
| /!::と):ヽ、´￣ ／::と)::〈
`_rV-､_::_| ` ー '´|__!:/V＾′
_,.．-‐'´ ｒ'＾rｰ'´ .`ｰ‐r-'/⌒iｰ――-
_,. -‐'´: : : : : : : ＼＼`ｰ-､ _,．-‐／／: : : : : : :
: : : : : : : : : : : : : : :`､`ｰ‐----‐‐‐'´／: : : : : : : : : :
【「徳川実紀」明暦二年九月十八日』
『柳生内膳宗冬御座所にめして剣法(当時兵法ととなふ)を傳奉るべしと仰出さる』
247 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/06(日) 23:06:29 ID:Xk1t06rQ0
／⌒｀"⌒ヽ、
／,, ／￣￣￣＼
/,／/:: ＼ .…ははっ！
;/⌒'":::.. |⌒ヽ この内膳、全霊を以って、
/ /､:::::... ｜ヽ_ ＼ その御役目、勤めさせて頂きます！！
_＿（ ⌒ー-ｨ⌒ヽ、 /⌒`ー'⌒ ）
━━━`ー──ゝィｿﾉ-ヾy＿ﾉー─━━
248 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/06(日) 23:06:52 ID:Xk1t06rQ0
┌──────┐
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└──────┘
┌───┐
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┌─┐
│ :: │
└─┘
┌┐
└┘
□
・
249 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/06(日) 23:07:34 ID:Xk1t06rQ0
こうして──
／￣￣＼
／＼ ／ ＼
/ （⌒） （⌒） ヽ では、上様。
| （__人__） | .撓(しない)をお取り下され！
| ｀⌒´ . |
.ヽ /
ヽ_／⌒ヽ､-- ノヽ γ´￣￣￣￣｀ヽ
| イ ｀￣ヽ | うむ！ |
ﾔ/‐<＿＿ ,..､ ヽ. ゝ＿＿＿＿__,乂
| ゝ､ ﾞ.
', |ヽ, ﾄﾍｲ´>
', |ﾍﾄイ｢｣"´
ﾔ {〉､<"
j ﾄメヽ>
/ |
. イ./ |
イ ,.ｲ. |
. イ . イ´ / / |
ﾄ､_ イ / /´l" |
/ / | |
宗矩の死から十年、十兵衛の死から六年、
この日、柳生家は再び「将軍家兵法指南役」の地位に返り咲いたのである…。
266 名前：1[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:02:10 ID:EyemU/3c0
明暦二年九月十八日、宗冬は四代将軍家綱の兵法指南役となった。
宗矩が亡くなって以来、空白であった役目を、再び柳生家当主が務める事になったのである。
／￣￣＼
／ ＼ / ＿
/ （●）（●） ／／ 上様、まずは
.| （__人__） .／／ 打つ事にお馴れ下され！
.| |r┬| | ／／
ヽ `ー'./ .／／ さあ、御遠慮なく！
/ ヽ ノ .／／
/ く .／／
| ＼ ／／
| ヽ、二⌒)ゝ
／./
＿- ､ ,. '" 、 ,.' ./
｀ヽ 、 ,.-‐: : : : : ヽ:）': : : :.｀ヽ ,.' '
. ヽ.＼ :´: : : : : : :=-; : -‐: : : : :＞､ / .{
. ヽ j/: : : : : :'": : ; :､:ヽ: -:ヽ ,. ィ/ .｝ ',
V. ＼ /ゝ: :／: : : : :/: : : ／ , }:} : : / ./ ／- ､
', ／､ゝ、｀"'ｰ-----‐'" ／:ノ-､:/ ' ／./:ヽヽ', ._
} / ./: : :＞ 、 ,.'"--､ヽ （__': : : :.:ヽ {/ {ｿjﾉ: ﾉィ: :｀ヽ
. {ヽ./: /: ;.-‐ﾉ .i { ::::} .} ＿}:ヽ: : : l {＿_ ゝ´: :／ｰ-:ヽ} う、うむっ！
ﾞ, {: :.{: :l : : !-,.､_｀ー' ,イ⌒ヽﾉ: }: : ｿ!.{￣ {ｰ-＝-ー- 、
乂: ､:.V: :.ゝ:.{/`i T´Vﾊ,.ィｒV}:.ｿ: /jヽ!､ {: :ノ- ､: : : :.ヽ 行くぞ、内膳ッ！！
､_.ゝノゝｰ ヽ弋ッ､､ ｊﾉ-ゝ'゛ﾉｲｿ.ｲヽ:ヽ',ー-- . ._ ヽ:）: :｝
ヽ _ -}: :ハ: :ゝ-｀ ヽ .u ´ ﾊ」ｔ.ｊﾉ: : ｿ: : : : : : : ＞､ソ
:::::::､ .／: : :ｊノ: : :ｿ:.ヽ ｀- ‐ ／ (＿)/: : : : : ＞ ''"￣ ヽ',
ヽ:::::::､ /／/￣＼: : : : :.l { ＞ _ .イ_ -/ /: : : ／ ´ ヽ. }
ヽ::::::::､. .{: :/ ´ ヽ: : : {､＼ ヽ Y _ ' /: : : / / / }ﾉ
､ ＼:::::ヽ `{ i ﾄ､: :､ ヽ｀ー一" /: :/:./ ' .／ .!
. ＼ ＼::::＼ ', ! ､ V!: :.＼ ｀ｰ _ - ,': : i: :{／／ {: ﾉ
. ＼ ＼::::＼ ヽ ヽ. ヽ : : : ＼ ／: : {:.V.／ , l/
. ＼ i::::::::＼ .} ', ､ ヽ V: : ヽ:.＼／: : : : ゝ/ ／ j
ヽ !::::::::::::＼! l ＼ }: : : : ｀: : : : : : : : :{ / ／ ' /
. V::::::::::::::::l｀T 、 ヽ ヽヽ: : : : : : : :.／: : j ／./ / /:j
⌒＼::::::! .l l iゝ―‐- _l ＼: : : : : : : : ／ ／ ' /ノ
. ヽｲ .l l l.{. ヽ ト./´ニ.ヽ:j !/!
〉､ﾞ .U { }ヽ{ { :::} .ﾉ .l´ﾉ.
, ヽ ｊ ,'.ヽiゝ ニ/-‐ ､ ,. l´ヽ:
l `'´ /ヽィ!: l: /,.-― ､ ヽ { /＞､: :
. ', ／ ﾉ .ト､: :/ ヽ j/_イ ＞､
''''''''"""""ｒ`''''''''＞‐＞、 .／ ／ / ｌ‐- ､ /', ｌ ｊ: : : :＞. ､ヽ
＿ -― ＜:_: : : : : :ヽ .{ｰ ､ , ' ./ ' ..' ｰ、 ///! .ｌ ﾉ: : : : :.ヽ: :＼
（_. _／ ｀ヽ: : : :.', .V/,.入_ ／ .／.: ヽ'///! /: : : : : : : '; : : ヽ
￣＞" ヽ: : : ヽ ヽ__ノ:､ゝr‐' .／ ､//j ｊ: : : : : : : : : : : : :.＼
"'／ V: : : ＼ ヽ: : :.ヽ_ｰ､ ＿,. ' ﾉヽ'／: : : : : : : : : : :l: : : : ヽ
/ V: : : : `: ､ ＼: : : : :.ゝ--‐'" ノｊ : : : : : : : : : : : : : l: : : : :.〉
-‐ - ヽ: : : : : ::＞- ＞__イ,..-‐＝ ノ: : : : : : : : : : : : : : :ｌ: : ／
267 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:02:51 ID:EyemU/3c0
／￣￣＼
／ ＼ ./.ヽ
/ （⌒） （⌒）ヽ この明暦二年に限っても、
.| （__人__） .| .このように月に二回程度の頻度でお召しを頂いている。
.| .｀⌒´ .| .御熱心で有り難い事だ。
ヽ /
/ ヽ .ノヽ
／" ' ￣-‐'"￣￣/'￣￣￣`'￣￣￣ ヽ __,,...---―
/ ' / / {二--―― ―
! | ! l l i::.............................
ヽ..::. | ＿| ､ ヽ ヽ;;;;;;;;;;;;;;:::::::::::::::
＼::::::.. Y´::::::l ､ ＼ ヽ ）（/ ￣￣
ﾄ､入;;;;,.. !::::::::.＼_＼__＼＿ノ￣`‐'
l :::::::ヽ:::::..... ヽ::::::::::::/!::::::::ヽ.
ヽ ::::::::`ヽ:::::::........ヽ:::／/.::::::::::::.ヽ
┌ 【徳川実紀(明暦二年・宗冬兵法教授)】.────────────────┐
│ │
│ 明暦二年十月廿五日 │
│ 『柳生内膳宗冬をめして刀法を学ばせたまふ。 ...│
│ 久世大和守広之御打太刀つかふまつる。 .....│
│ はてて宗冬に御手づから熨斗を給ふ』 ..│
│ │
│ 明暦二年十月廿六日 │
│ 『柳生内膳宗冬を召て昨日はじめて刀法聞え上しにより時服五着下さる』 ....│
│ │
│ 明暦二年十月廿七日 │
│ 『けふも柳生内膳宗冬を召して御剣術あり』 │
│ │
│ 明暦二年十一月三日 │
│ 『柳生内膳宗冬を召して撃剣の御学あり』 │
│ │
│ 明暦二年十一月廿日 │
│ 『柳生内膳宗冬を召て剣術を御覧ず』 .│
│ │
│ 明暦二年十二月廿六日 │
│ 『此日柳生内膳宗冬をめして撃剣をあそばさる』 ....│
└─────────────────────────────────┘
家綱への兵法教授は、召しを受けた翌月の十月二十五日から始まり、
明暦二年に限っても六度召し出され、それ以降も都度召し出された記録が残っている。
実紀未記載分も考慮すると、家綱は相応に意欲を持って剣を学んでいたと思われる。
268 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:03:17 ID:EyemU/3c0
そして…
／￣￣＼
／ ─ ─
/ . （● ）（● ） よいか、上様へ御挨拶する時は、
.| （__人__） お耳に届くよう、しっかりと声を出すのだぞ。
.| ｀⌒´|
ヽ ./
／ヽ ノ
／ ⌒ヽ '´(
/ ,＿ ＼ ＼／＼ ＼
と_＿＿）_ヽ＿つ_;_ヾ_つ.;.
／￣￣＼
／ ｢ ＼
| :::::::::::::::::::
. | ｜ | は、はい…。
| u .__´___ﾉ
. | `ー'´}
. ヽ }
ヽ ノ
／ ⌒ﾟ '"'"´
/ ,＿ ＼ ＼＼ ＼
と_＿＿）_ヽ＿つ_ヾ_つ
269 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:03:56 ID:EyemU/3c0
_ -- ､ｰ.､
, .:´: : : : : : :ヽｿ,.-‐ ､
` ､ ,.': : : : : : : : : :ヽ: :.⌒:.ヽ
ヽ ＼ ／"'＜: : : : : : : :｀: :.ヽ: : : :', -
ヽ. ＼、 ,.: : :.＞､ ｀＜:.＿_: :.＞ ''"´ ヽ. , '"／
' l､ヽ／: ⌒: : : :.} , -―-､ ,. ＜´: ヽ、 ／ '
' /: :.／: : :.＞' .{.i´::.ヽ.}.} .{: : : :ヽ: :.:／./ /
} {: : {: : : /＿ - ､乂__.ノﾉ ゝ､: : :.Y ／ '
}、￣乂:.V: /´:./l: :/ /ー-┬i"⌒:＞!: : :.}.{＿ {
, ,.{ヽ､:{: : {‐l:ｲ､_{:i: / }:.l _,.ィ}: :j: : :ﾘ/ , '´ お前が内膳の倅か。
ｊ／ ｊ .{.ｒゝ: ヽ弋ｚjゝ:.{ ‐j弋zﾘ_ｊ;.ｨ: ; ｲj､ （ 名をなんと申す？
', / ヽ ｰ､｀ ｀ ´ .'ｿ/ ､ `r'
} / /: :Tﾊ. ヽ _ /:.ji_: ヽ. {
ｿ ,: : : :|: :.:＼ ￣ イ: (__:）: :',＼､
{: : : :.!: : : i. ＞ - ´ i:.}: : :!: : : :} ｀
_. . . ＿_ゝ:_:_:,:-／l 、 ヽ'ｰ-,:､;.:_ﾊ
. _. .: : : : : : : : : : :{: :ｆ .{＿ :. / ＿.ﾉ .}: :.ヽ-. ._
/:_: : : : : : : : : : : : : :', ＼￣ ｀ ､ , -‐＿／ .ﾉ: :./: : : : : : : .、
{ {/＞ｰ-:_: : : : : : : : ＼ ￣￣￣￣´ -‐ .／: : : : : : : : : ; :-､ヽ
／￣￣＼
／ ｢ ＼
| （ ●）（●）
. | ｜ | …柳生五郎兵衛宗春と申します！
| u . __´___ﾉ
. | `ー'´}
. ヽ }
ヽ ノ
／ ⌒ﾟ '"'"´
/ ,＿ ＼ ＼＼ ＼
と_＿＿）_ヽ＿つ_ヾ_つ
.柳生五郎兵衛宗春
（やぎゅう ごろうべえ むねはる）
この年の十二月十八日、宗冬の嫡男、宗春が家綱に初御目見をしている。
慶安二年（1649）生まれなので、この時、まだ数えで8歳である。
【徳川実紀(明暦二年十二月十八日)】
『中奥小姓柳生内膳宗冬子五郎兵衛宗春(略)初見し奉る』
270 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:04:25 ID:EyemU/3c0
なお、宗春は翌年の九月十一日には家綱の御前で剣を披露し、褒美を得ている。
この時、まだ9歳であったことを踏まえると、かなり早い時期から稽古を始めていたと思われる。
, ─ ､
／ ＼
/ ',
￣￣｀｀゛¨ ￢―- ＿,ｨ'＾ｌ'＾ｈ i / ｀ヽ i
＿,.....､＿_,......__,.....＿/ } | | .i_ i 「 （●） i 俺まだ9歳なんだけど、いいのかね…？
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./. / | | .|二￢‐- ｚ=ﾅ ､ （●） i
-―― ￢'¨´￣￣ﾌﾞ / / , ﾄ ､二 ‐-ﾆ>〈ヾｌ|ハ | u. i
. ／ / / ｀¨￢‐-| |||:::::', ヽ i
. ＿,, -―/ / ――‐r ､＿」 ｌ||:::::::', -― ﾄ.、
￣ .ｌ ノ ヾミL_ノヶｵ!:::::＼ ／ i: :＼
. | ／ ￣ ｀ ' ' -ヽ ＿ _／. . -―'": : : :＼
| ＿ /__ _,, -┴‐－'. : : : : : : : : : : : ヽ
_＿」-＜ : : : : | ＞ . . : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :'.,
|: : : : : : : : : : : :| ／ . . : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ',
|: : : : : : : : : : : :| ／ . . : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : i
)ノ)
,. -‐'⌒::::'⌒ヽ、 ,､
ｒ'´`ｰ､_,.---､_,.-‐'´ヽ ／/
r ､ ／::`ｰ-､ r==､ ,.-‐'ヽ ／ /
＼｀''-､_／::::::::::::::::::〕 ll ll 〔:::::::::::::＼_／ /
＼ |:::::,ィ::::::::／ `==' `''┐::i:::/ | （
） Ｖi:::l:::／ｒ‐‐'⌒ｰ-‐i'⌒'┬':l:::ﾄ:lo.l , '⌒
⌒ヽ l/l〈::/|/!_∠!∧::::| ___!/|/:::ヽl / なかなか見事なものではないか。
〉 i⌒ﾄ､<,ｒ‐-ﾐ､j;ノ,／-‐' /⌒i/ .〉 よしよし、褒美をやろう。
ヾ､ヽ.(ハ （ (:l l:) ） /ﾌ) /| .〈
| .｀>-ﾍ ￣ (!. _,￣ /-‐'´l ＼|
| /!::と):ヽ、´￣ ／::と)::〈
`_rV-､_::_| ` ー '´|__!:/V＾′
_,.．-‐'´ ｒ'＾rｰ'´ .`ｰ‐r-'/⌒iｰ――- ┌─────────────────┐
_,. -‐'´: : : : : : : ＼＼`ｰ-､ _,．-‐／／: : : : : : : .....│ 「むねはる は うえさまのころも を ....│
: : : : : : : : : : : : : : :`､`ｰ‐----‐‐‐'´／: : : : : : : : : : ..│ てにいれた！」 .│
: : : : : : : : : : : : : : : : `ヽ､ ／: : : : : : : : : : : └─────────────────┘
`ｰ-‐'´
【徳川実紀（明暦三年九月十一日）】
『柳生内膳宗冬が子、五郎兵衛宗春はじめて御前にめされ、剣法を御覧に備ふ。
よて召れたる御衣をかづけらる。時に九歳とぞ』
271 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:05:08 ID:EyemU/3c0
／￣￣＼
／ _ノ ヽ_＼
/ （⌒） （⌒）ヽ よくやったぞ五郎兵衛。
.| （__人__） | 早いうちから稽古を始めた甲斐があったものだ。
.| |r┬| |
ヽ `ー' / 私は子供の頃、あまり熱心ではなかった分、後で苦労したからな…。
/ ヽ ノヽ .お前はしっかり稽古するように。
./ / ∩ノ ⊃| |
( ＼ ／ ＿ノ | |
.＼ “ ／＿＿| |
. ＼ ／＿＿＿ ／
／￣￣＼
／ 「 ＼
| （ ●）（●）
| ｜ | はい、父上。
| __´___ﾉ
| ￣´ } …おや、あれは。
ヽ }
ヽ ノ
/ く
| |
272 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:05:40 ID:EyemU/3c0
-‐ '´￣￣｀ヽ、
／::::::::::､::::::::::::::/ て
∠／::::::::/'´￣￣｀｀ ヽ
ノ／/::::/ __ノ ヽ､ヽ ｜ .父上、兄上。
ｲ /: :从 ::::::::::::::::::::::ﾚレ| お疲れ様ッス。
|ﾊ | （__人__）./ﾉ
ｲ| ｀⌒´ ﾉ ＼
ヽ } ＼
／ ヽ､＿＿__ノ ）
／ . | ／
| | ノ
273 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:06:20 ID:EyemU/3c0
-‐ '´￣￣｀ヽ、
／::::::::::､::::::::::::::/ て
∠／::::::::/'´￣￣｀｀ ヽ
ノ／/::::/ シ .ヽ、ヽ ｜
ｲ /: :从 （●）（●） ﾚレ|
. |ﾊ | （__人__） ./ﾉ
ｲ| ｀⌒´ ﾉ。 ウィッシュ
ヽ .川 .}
ヽ_/ } . ﾉ
/⊂ ＼∩ノ ⊃
(〆 ⊂ ／ ＿ノ |
.＼ “ ／＿ /
＼ ／＿＿／
柳生又右衛門宗在
（やぎゅう またえもん むねあり）
この又右衛門は、承応三年（1654）に生まれた宗冬の次男である。
「宗在」を名乗るのはまだ先の事だが、ここでは最初からこう呼ぶ事にする。
（なお、宗冬には他に娘が3人いる）
明暦三年の時点だと数えで4歳になる。
274 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:07:09 ID:EyemU/3c0
／￣￣＼
／ _ノ ヽ_＼
/ （●） （●）ヽ .その妙な挨拶は止めぬか。
.| （__人__） | って言うかお前、一応まだ4歳であろう？
.| |r┬| |
ヽ `ー' / もう少し、こう、それらしい挨拶をせぬか。
/ ヽ ノヽ
./ / ∩ノ ⊃| |
( ＼ ／ ＿ノ | |
.＼ “ ／＿＿| |
. ＼ ／＿＿＿ ／
-‐ '´￣￣｀ヽ、
／::::::::::､::::::::::::::/ て
∠／::::::::/'´￣￣｀｀ ヽ
ノ／/::::/ シ .ヽヽ ｜
ｲ /: :从 （─）（─）ﾚレ| 「それらしい」となると…
|ﾊ | （__人__）./ﾉ
ｲ|.ｌ^l^lｎ｀⌒´ ﾉ
. ヽ L }
ゝ ﾉ ノ
／ / ＼
／ / ＼
. / / |ヽ、二⌒)
ヽ＿＿ﾉ
275 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:07:45 ID:EyemU/3c0
-‐ '´￣￣｀ヽ、
／::::::::::､::::::::::::::/ て
∠／::::::::/'´￣￣｀｀ ヽ
ノ／/::::/ シ .ヽ、ヽ ｜
ｲ /: :从 （●）（●） ﾚレ| ── なら、この肉体(からだ)で挨拶(こたえ)ればいいのかい？
|ﾊ | （__人__） ./ﾉ
| ｀⌒´ |._
ヽ / ￣ ｀ヽ
, '´ ＼＿_／ ＿__ , -‐‐ﾞｰ=: .､
,. ‐='´｀ ＞‐‐ ､≠ ´ ｀ヽ ﾍ
/ ／ ;' ﾊ..
i ; i ヽ,､ _ /｀ヽ.
}. { ! ∧｀´ ｀ﾞ'´`ヽ. ',
/ ∨`ヽ ノゝ .._ ｡ _ノ ﾍ. ＼.',
{ ,' ゝﾟ.. ィ´ { _,._' ￣￣＜.__ ﾍ. , `',
/ .ｲＹ⌒`ﾞ{´ ｀¨´∨ ハ､ ノ ヽ. ﾘ ',
/ ヾ. / ﾄ.､_____ ;.... -‐‐‐ｲ//ハ,/ Y ﾊ.
/ ﾍ-､／ }{ ｀.: ﾉ',/ ; ﾊ ﾞi ノ/ i
! : i |ﾊ､......ｃ;r '" ￣ } し' ｜ ',/ ,ノ ;.
ﾊ、 ノ ,' ! i. ,' _ノ>、 ∨ / ,'
i,ﾘ ）' / ヽﾍ /_..≠／､.ﾍ i {..
! , ' 人三三三三三.≠...... ',. } ／ {
i :. ／ / .i:::::::::::::::::::::::::::::::::: ;:::::::::::',| ! , i.
| ヽ / '´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: : : i. {/ ,/ //ﾘ
,' ､ 〈 ,'':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ｉ i. i' /.ノノ". ┌────────────────────┐
ヽ {'ﾍ_j .,'i/:::::::::::::::::: : `Ｔ ,':::::::::::::::::::::::: : i ｀ │..「にい」と口の端を吊り上げて、宗在は笑った。..│
ゞ､.)っ. !.!::::::::::::::::::::::::::::! ｉ:::::::::::::::::::::::::: : i │.. ..│
| ﾞ!:::::::::::::::::::::: : |::::::::::::::::::::::::::::::::::|. │ たまらぬ笑みであった ── │
└────────────────────┘
276 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:08:38 ID:EyemU/3c0
／￣￣＼ て
／ _ノ ヽ そ
/ （○）（○） うおおおい！もっと駄目だろそれ！！
.| u. （__人__）
.| |r┬| | 餓狼臭漂わすのは世界が違うから！違うから！！
ヽ `ー'./ 大事な事だから二回言ったよ！！
/ ヽ ノ
/ く
-‐ '´￣￣｀ヽ、
／::::::::::､::::::::::::::/ て
∠／::::::::/'´￣￣｀｀ ヽ
ノ／/::::/ シ .ヽヽ ｜
ｲ /: :从 （─）（─）ﾚレ| でもぶっちゃけ俺ッチのAA、ミニキャラが殆どないんで、
|ﾊ | （__人__）./ﾉ 子供役としては使いにくいんスよねー。
ｲ|.ｌ^l^lｎ｀⌒´ ﾉ でも、出番はこの回だけだし。
. ヽ L }
ゝ ﾉ ノ 「そういうメタいことは言わない」
／ / ＼
／ / ＼
. / / |ヽ、二⌒)
ヽ＿＿ﾉ
277 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:09:18 ID:EyemU/3c0
／￣￣＼
／ ＼
/ ヽ
.| ／ ─ | …メタネタはともかく、旗本奴の影響かのう？
| u （ー） （ー） |... ああいうのを真似してはロクな事にならんぞ。
ヽ （__人__） /
/ ヽ ｀ ⌒´ノヽ
./ / ∩ノ ⊃| |
( ＼ ／ ＿ノ | |
.＼ “ ／＿＿| |
. ＼ ／＿＿＿ ／
-‐ '´￣￣｀ヽ、
／::::::::::､::::::::::::::/ て
∠／::::::::/'´￣￣｀｀ ヽ
ノ／/::::/ __ノ ヽ､ヽ ｜
ｲ /: :从 （●）（●）ﾚレ| メンゴッス。
|ﾊ | （__人__）./ﾉ 気をつけるっスよ。
ｲ| ｀⌒´ ﾉ ＼
ヽ } ＼ 「…説得力ないなー」
／ ヽ､＿＿__ノ ）
／ . | ／
| | ノ
278 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:09:52 ID:EyemU/3c0
::::::::::::::::::::::::::::::＼ ＼ ＼
:::::::::::／⌒ ,ィ＼::,ｨ{ﾊ /l{ ,､ 、
rクＶ /{ （:::トN_{__i:{＿_{:::N:::j::ﾊ
V//ﾊ{::しく⌒ヽ:＼:::ヽ:＼｀:＜}:::::ｊ,ﾊ , 、
{V/人::::::::｀ヽ:::::＼:ヽ:::＼:ヽ:）:｀Y::ﾉ:} くノ ）
V::{:{::::＼::::､:ヽﾐｧ::::ｧ::＼::-く::_;ノ__;ノ） ／／
｀Ｙﾐﾄ､_::::｀ﾆ::/7::::/:::::/::|:ヽ::ヽ::｀Y:::7＼ ／／
. ミﾐ:::::::::::::::::::{｛:::/ l:::/:/ }::::}::::} l::|::::} ＼ ／／
:::::ミ三=::::::::;八::{Ｌ{;;{/ /l::/!::/ ｊ人:{ ＼ ＼ /／ ＼_人__从_人__从_人__从__从_
}:::::__ﾐ三r一' '" 二≧ミh､}/ｊﾚﾆﾆｿ ＼＼ ／ ' _）
:::/ﾆV:::ﾉ く ｔｯ ヽソﾉ {ｨｯラ{ ヽ: ／ ' ‘， _） 喧嘩に身分の上下なし
::{ { ∧::ｉ ￣￣/ ‘,￣l::＼ ／У i ） 喧嘩無礼講とまいろう！！
八＼＾V r_ ﾆ 〉 ﾊ ／／ ‘， _) （でも暗殺）
::::::＼⌒ ｀ｰｒ' ｉ／／ ＼ i ）
￣| ー ｉ /二二ﾆｱ /／＼ ヽ | ／⌒Ｙ⌒Ｖ⌒Ｙ⌒Ｖ⌒ＹＶ⌒Ｙ´
三| 八 {'⌒ヽ⌒{ (,ノ三 ∧ i
. 二 ＼ / ､ ＼＿＿ｊ /二二ﾆ‘， |
三三＼ ＼ ｀こ ´ /三三三ﾆ}
二二ニ=＼ 丶、 /二二二ﾆ/＿＿＿
二二ニﾆ∧＼ ￣￣|二二ニﾆ/三三三三¨¨ﾆ=ー‐┐
＼二ニニ∧ ヽ / │二二ﾆ '二二二二二二二ニﾆ|＼＿
二＼二ﾆﾆ∧ ＼ / |二二ﾆ/二二二二二二二二二{＼＿_＼
二二 三＼ ∧ / .l二ﾆﾆ/二二二二二二二二二ﾆ}＼＿_＼＼
水野十郎左衛門成之
（みずの じゅうろうざえもん なりゆき）
家綱の代の頃、旗本奴と称される、直参身分であるにも関わらずかぶき者として振舞う者達がいて、問題になっていた。
代表格はこの水野十郎左衛門であり、「大小神祇組」と称した旗本奴の集団の頭となり、狼藉の限りを尽くしていたという。
この年(明暦三年)には町奴(町人のかぶき者)の代表格、幡随院長兵衛と諍いを起こし、殺害している。
279 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:10:29 ID:EyemU/3c0
|￣￣￣￣＼＿＿
lヽ ┌～┐ ＼＿＿ ＿＿__ ＿__
│人 人从人 (o∽o）／＼ ／三三三ﾐY三三≧x
|_,ﾉ _）,乂{￣}ノ (o∽o) ＼ ／／二ニニニ}i´二≦￣＼
|__,ﾉ〈/八}厂 (o∽o) ｒ ⌒ヽ ＿＼ ／／／二二二Y八￣￣＼ ＼
| ﾚNi||┌冂┼'⌒´ﾉ ｒ'⌒´ ´￣＼／j/////／ }三}从从从ｨ( ＼ ＼ γ´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣Y´
| |匸}畄匚]ﾉ＿,ノ⌒ (__r＿ｒ'´＼////i{ 人ｉ{(《《《{Vﾘﾉﾉ》》彡ﾍ、 | ハイクを詠め、水野＝サン |
|く⌒'⌒ヽ｀└凵┘´ ｀⌒ー（／__,ﾉ__,ノ ∧// ミ三三ｧ/ / ｧkくしく彡'＾＼ ゝ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿,ノ
|_）ｰ┘_,人（/ |￣〈⌒廴 ／ イ´ ∧｀ｰ=ミ三{ {ｉl{ / ｌ|} j}Nﾊ彡 ＼
|__( (__ﾉ _） ﾉlﾊ厂｀（_ﾉ／（___,ノ＿） ´（ __,ﾉ ∧ミ三彡人从{ﾚ'ﾘjｲﾘﾉ ﾋﾉ＼ j
||＼＿___,ﾉ ＼ ／____） ／ ___r'⌒ヽ__ ∧Y^}｢´ r苡ぅﾉi ｋﾃテ人 ＼ 『落とすなら 地獄の釜を 突ん抜いて
|| l ∨ ／＼ ／ ﾊﾉ イ { （ Ｊﾉ) ） |乂}l { { /{ ＼ ＼ 阿呆羅刹に 損をさすべい』
r―||、l /￣|____ ／￣|＼) (￣ (⌒ﾄ､__ノ'⌒⌒＼八 弋[{ ∧| ﾄ､ i
. '⌒ヽ || │ / ／ ／l___／|l ＼ ー―く＿ノー'⌒ー‐＼ ｀ー‐ / ） ﾉ ）
ｉ ＼ l /／ ／ イ ＼ _ ー--- ┌〈〉┐＿》》 l ＼ ￣ /＼/
.〈 ＼ /￣ ヽ／ ／ _└┬= | ';*; ┌〈〉┐Y几Y´￣》》 /＼ ヽ=ー'l| | ＼＿__
./＼ ＼＿__,ﾉ― ､_ｉ＿＿_|＿ |l ;*;';*;'Y几Y===巛 ∧ ﾉ＼ { l| | | ＼＿＿
{_ ＼/＿＿__}＿__}i￣￣￣〉￣||￣￣';*; ￣￣￣(￣￣ / ∧〉У ＼ｌ l! | | ヽ ＼
.} ＼_/＿______ﾉ ＼ ｀￣￣〉 / ;*';*';*;' ＿,ｒ'⌒ヽ＿ |│∧(＿ ＼| | |＼＿ﾉ＼ ＼
.＼ } ＿_} { ｰ-= 〈__ | ;*';*';*';*;'（__,ハ __ __) lﾉレ'∧＿ ￣ j} l __｣___iヽ ＿i ヽ
￣￣|＼＿＿,ノ＼ | ‐-= _';*';*; ,ﾉｰ一'´／ l___}∧ ￣/__ノ| ＼ l ＼|ﾉ |
| ＼ ｀ | ＼＿___/ ∧‐-=(＿＿／ ￣｀|＿__,ﾊ /）厂 | } l| /| |
| |＼ ｀| ＼ く￣｀∧(（'⌒＼／｢￣｀| ∧ /／ l ＿/│___ﾉ|_/ | |
| | ヽ │ iﾄ､＼ ∧＼＿_(＼l | '⌒V⌒ヽ__/|＿___｣______「￣ |l }
. ＼ ＼ ＼___/ _| ＼ ヽ∧＼＿___,| | /'⌒＼ｉ/ﾆ| | ｌ（￣| /
. ＼ ＼ /＼ ﾉ！／／＼‘,＿＿__,| l|l＿＿/ /＼r| | ＼ l /
＼ ヽ/ ＼ ]⊂l／ | l／{￣{￣/ ＼ /＿_ヽ| | ヽ } i
＼___|ヽ＿＿_＼ﾉ八l | |／) (__/_ﾊ｢＼/ 〉______| | } │/
/|￣￣￣￣{{⌒＼ | | }___（/_人｣__/__∧＿ | | 匚| l/
. |（|二二二二［ ( j＼ | / f⌒/＿ / | │ | | ＿ |__/ ／
. ヽ|＿__________|'⌒｢ ∧ | /___ﾉ ∧/__〉 /＜ ヽ| |（_____(| |＿|
|｢￣￣￣ |ンﾉ＼/∧ | / ／∧/ノ / |__ __厂|＿_ | | |￣|
ﾚ'´￣￣￣|'⌒i⌒ヽ / /｢￣７ /＿,/ ∨ /___][___ | /＼ |／
|⊃)___,ノ￣l__,人__ノ∨ヽ／ 人_/ ＼/_｣M{_／ / ／ l_____/ ／ /
その後、十郎左衛門は不行跡を咎められ、母方の実家・蜂須賀家にお預けとなったが、
評定所に召し出された際、月代も剃らず、袴もつけぬ着流しの姿で出頭したため、
あまりに無作法として評定の翌日に切腹、2歳の嫡男も斬罪という処分となっている。
このような旗本奴や町奴など無頼の衆の取り締まりは、綱吉の代まで掛かることになる。
280 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:10:55 ID:EyemU/3c0
／￣￣＼
／ -‐'＼
| . （ ●）|
. | | この御時世、何かと物騒ですしね。
| _＿_´ 奴どもならまだしも、牢人やあぶれ者などは
| ｀ー‐.} 先日の大火事でも狼藉を働いたといいますし。
ヽ }
ヽ ノ …あの時は参りました。
ノ ＼
／´ ヽ
／￣￣＼
／ _ノ ヽ_＼
/ （－） （－）ヽ …まあな。
.| （__人__） | うちもようやく上屋敷が直ったところだしのう。
.| u. ｀⌒´ |
. ヽ ｎｌ^l^l 火事はもう、こりごりだわい。
/ ヽ | ﾉ
. / ヽ く
281 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:11:26 ID:EyemU/3c0
「先日の大火事」とは、俗に言う、「明暦の大火」のことである。
,.イ
（＿二二 ￣７,イ人 ,ィ ﾄ､ // |ﾄ､iﾉ(/ | i |
/／（_ノし' ,ィ ﾄ､ （ :し' しイ ＼ ＼i}＼ //__.|i （／ | i |
.... ,.イ ／/ （ :し' しイ ￣7 |￣ :ト､j7__,ｨ ＼ﾉ＼ﾉ＼ﾉ＼/__/} ／' | i |
| 'ー―'´ / ￣7 |￣ ／,ｲ :! ＞ｨr―' l7l7rｧ＼ _ ＼/／ i| i |
iﾄ∠,. -―― ' ／,ｲ | ＜／ﾉノ ＜_ノ:|」 /'´ .,' ,ｒi― ゜| i |
{i i_ _ | i} ∠／ﾉノ イi ―‐=イ 千王三¨ 。゜/i| i |
_ i__ ﾉ¨}_／ ﾄ､ i| _,ｨ=/ | ‘， ﾟ'*。. ﾉしイ ﾘ＿）r==ｧ ﾉ⌒/ 。゜///i| i |
_}{-イ i| l__|／イﾞ′ i| 。゜＿＿ __ ‘，.／⌒)ﾉ ノ二￣￣ ___ｱ ／////／| i |
_厂￣⌒¨ | ,r≦三≧=ｧ__ ＿ﾆ..（:しイ r‐ｉ i､⌒¨込､／////／ i| i |
iト． ¨ _ i¨| ,r‐‐ {三ﾆ少'-ｭ=＿＿,.ィ ￣´ } { / ﾄi ／乂f､_／ i| i |
〕iト．_/ｰ=､ _ ｒi|ｭ､i} |/ }≧==. ,ィ ⌒):::＿ ヽ . i} } { / __.ィ ／⌒／i| i| i |
⌒厂¨¨i￣ _|/| |:i|＿..... ,イ r―'r' ／'´ ）ﾉ ` ， ￣ ‘，} ‐千王/i| i| i |
ｘv､ ／¨¨｀ヽﾉト． ﾟ *。|:i| | （:::::し'::::::ノ （'´ ￣） ∴:. ,.=ミ|ii/i| i| i ,.
‘_.|! ,人ﾄ､ ｀⌒)f´: : : ､ ￣）￣￣ ‘， -=≡ ゞﾐ'ﾂ､/i| i| iｲ}
ﾄＪ人 ＾ﾞ^^' : : : :ﾄ､: : ＿ﾉしｲ: : ⌒)!、 ＿)} r‐､ ヾ//{'′ }¨ / ﾚi |i
＾＾"'''" 人ィ | : : ::ノ::::|ィ: ::⌒)ノ: : :ﾚ' ﾉ ./|ｭﾉ‐､ ＼/ } _ - { V从
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} /｀ヽ:.:.:.:.:..} i|/ﾊ八人 人从 ＾''' '' ´.....|:.:.:.|__}/儿ﾉ{ /:.:.} } } i}=､ i i///
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/¨⌒ヽ/ ＼___}‐ ､| | }==={_ﾉ少'´￣¨¨¨´￣ rｭ }==={_ ^ﾞ~ { |i {i.:.:.} ＿ } _}少'´￣¨¨¨
＼ｭ__/{_＿／~ﾉ /¨´丁¨¨¨´ r‐ｭ __宀≠￢ ｀'' }:.:._} ,彳￣}}
`‐‐‐イ⌒‐=''´￣ ￣￣`=冖宀冖≠う‐‐≠
明暦三年正月十八日から二十日にかけて連続して発生した火災により、
江戸の大半が焼け落ち、何万という死者を出した大災害であった。
282 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:12:30 ID:EyemU/3c0
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/,Eｬｯ⌒)イ⌒) ,.ｨ.,､ﾆﾆ ｰ_ー‐-ー' ゛. ＿ノ （_ ,. ノ .＿＿／ ＞ｨr―' し' (ノrイ ﾉ |
/,r".トﾄ､ . /:し'´（.””””'''''''ー,rk':;fiririri.⌒)イ⌒) ,.ｨ .''⌒'￣ ＜_ノ:|」 _,.ノ / ＾)/
,ｨイ! ﾉ::ノ...￣ l、 : : ::::｀フ::::ー‐,ノ,ム.ﾄ、､.､.゛,.___゛ /:し'|しｲ /´￣ ＿,
,.（:::::八 |'´l,,,::::i::::|iil￣｀Y´.|||:::::;7／,r'. r' ﾉ..:::.iﾍ::::::::...l、 :..J（´ ⌒)ノ
. ｫ} . ｀ヽ | rｲ..￣~"""゛””ヽ、 | /´ .`＼[iillIIIII|||]￣｀Y´....,
i!;;;;;;;;;;; ﾘ ﾉ し! -ﾆﾆ二､こ,..）ヽ ﾉ|,.-ｰ{ }ｰ､`､＼"＾"＾"＾"^゛'' ＼＿_人＿人从＿人＿人从／
,il;;;;;;;;;;;;;.（ :::ム.:::... ,.....／:::::/´:::しイ..｀´ ―`i､゛､＼゛＾゛""ｰ'r ＿） （＿＿
i l;;;;;;;;;;;;;;;;.￣´ヽ|.-''＾_,,../:::::;ィ::::::::::::::ヽ _,ｲ.iilllll `i､` ､ﾞ-､:::::::::|;iｔ.） ああっ…天守が…！ （
_r,=ｰｦｰ",,:;;;;;;'7rｲ~,. -'''~,._| :::/. ｀ｰ-イ::::::｀::::/.|||||||}.:::::ﾞ'‐､ ` ､ﾞ''-￣￣） (￣￣
〕{ｭｮiririririrm;;;;;~_,ｎ､￣__. |::: て_:::／;;;;;ー―‐---`. ヽ、 |..／⌒Y⌒Y⌒⌒Y⌒Y⌒Y⌒＼
../,r'ｰl~~~^~_,.,r'%%r===%%''ｭ.ヽ ／::/ ifcifriririririyr'g'y' ）ヽ ﾉ| mgigpmgwwiV} ｀''‐､._
/,r'=r|::::::::,r7=-ｰ''＾`ｰ"＾ -､ :､ :::＿::::ノ........_________... ／:::::/´:::しイ.”””””|”””riririririnｆｚmir'7
ゞ゛ヾ゛;:"゛ゞ"'';;,r';";;ヾ、:::::::::|::::::i####lllllllllllliiiiii;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;./:::::;ィ::::::::::::::ヽ _,ｲ::::|”””””””ヽ､””””"
ヾ､ﾊ,;;^",,;;;;;,r''^"::;''"",r'::::::::|､::::||iiiiilllllllllIIIIIIIIII||||||||||||||||||| :::/. ｀ｰ-イ::::::｀::::/.::::::|＾~＾~＾~'i~"
ヾゞ,､;:,,y''''７''""""'', ヾ､.|;;`ヽ;､_,､::;;;;;”””””””””””'''''''|::: て_:::／.:::::::::|::::::::::::::::|
::ヾ､,,;;;ﾊ;''"""'''';;::.（ヽ、 ,ﾉ ）´( ､ ゝ､ fﾀfﾀfﾁfﾂfﾖfﾖfﾖfﾖf..ヽ ／::/ $%$%$$ﾕ:::::::::::|
''"゛;;;;:::"''',,《;;;;''ヾ､,;.) Y 人 ヽ)ゝ'丿,.__`ｰ'___`ｰ'__`'ｰ' ｀ :､ :::＿::::ノ.`ｰ'｀-ｰ'"::::::::::::::|
ヾ;;;,,ゞ,r'"";;,," .:!）ﾉ' ﾉ ,（ ` ´（'_ﾉ｀i~,ｋ'_~T"ｖ~「＾ｊ,Ｔニｿﾆｉ`ウﾆ{''Ｔ;ﾆｊ7{ﾍ""""""""
;;'ヾ,r";r'ヾ'";:"/ (（ ´!. ､ t ヽ､ ｀t ,.ヽ^{~ﾌ～ｖ_~ゝく,ﾉ~i´_K´ﾒｖ_~Ｋﾄｰ{_{､ヽ､ｊ､_}~ｽ､
この火事からは江戸城も逃れられず、この時、天守閣も全焼している。
これにより、江戸城天守は再建されることなく現代に至る。
283 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:13:05 ID:EyemU/3c0
柳生家への影響については、「玉栄拾遺」「柳生雑記」などにも記録が残っていない為、
詳細は不明であるが、虎ノ門にあった上屋敷は被害を受けた可能性がある。
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上屋敷が使えない間は、被害のなかった目黒の下屋敷で過ごしていたものと思われる。
284 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:13:39 ID:EyemU/3c0
しかし、禍福はあざなえる縄の如し。
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|! |! |! | | i 干-==|==| |===幵============ 幵===| |===-干 ; | | | |l ||
|! |! |! | | | | i | | | ＼ |:| |:| |:| |:| |:| ／ | |__|| | | ｉ | | | |l ||
|! |! |! | | | | l_,,|γ´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣｀ヽ| | | | | | | |l ||
|! |! |! | |jI 斗t≦ニニ | では、内膳… |.ニニ≧s | | | |l ||
|! ,jI斗t≦＿＿＿＿＿_ _ . ゝ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿__,乂 ._＿＿________ ≧s _|l ||
jI斗t≦――――――‐_ r≦: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :≧s _ ―――――≧s , ||
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この年の末、宗冬にとって嬉しい知らせもあった。
285 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:14:18 ID:EyemU/3c0
,. -- ､、 __
／, .:'"⌒ヾｰｧty'´::｀ヽ
-‐ァ'／::::::::::,ｨ:､:Y;.::|;､:::::::::::',、
／' /::::::::::／￣｀ﾘ::/`''i::::::::::l ヽ
,ｲ ,ィi:.:.:.:.:./_ l:ﾉ !::::::::::l ハ
z彡ｨ'/ ! /、｀ヽ /,..-―|::.:.:.:.::! |
イ/ ,j|:.:.:.ｨ;ﾐiヽ`／/.:,=＝l: :.: .:!. ':､
/l ,ｲ,'::::/￣´／ ,' ､fti /// ｒ＼
´ﾚｲlﾉ:::/ ;.:. ｀7:.:.:.:/,'./イ :. ヽ お前は、従五位下飛騨守に任じられる。
彳lﾒ:ノ 丿: /:::::::ｲ//彡| ∧ これから先は、
/l／ｲﾄ､ ヽ――- ､_ /:::／l// /ｲﾙ'!ヾ:. 、
△イ「l/ﾘl>､ ｀` ﾆﾆ ‐ ｼ／／,ｲイﾊ从 | ﾘ 「柳生飛騨守」
▽ /ﾙ'|i＼ ﾞ"ﾞ /:/,.ィfﾃ八l>/ﾚﾍ !
▽ ﾘ| ｀ ―△'´／|▽ ▽ と名乗るがいい。
＿/ '´_∠ ┴z_ '′
/く彡'´Lr‐ '´ __,、 人
,-‐{/| /_,. - '´ ,. -'´:.:.:ゝ、
. | ／/ / ,'＿,. -彡'":.:.:.:.:／:.:.:.:｀￣｀` 丶
／￣￣＼
／ ＼ /
/ （●）（●）
.| （__人__） …ははっ！！
.| |r┬| |
ヽ `ー'./ （遂に諸大夫に…！
／ヽ ノ これでまた、柳生家が再興に一歩近づいた…！）
／ ⌒ヽ '´(
/ ,＿ ＼ ＼／＼ ＼
と_＿＿）_ヽ＿つ_;_ヾ_つ.;.
明暦三年十二月二十七日、大晦日も近づいた年の瀬、
宗冬は諸大夫成を果たし、「従五位下・飛騨守」の官位を授けられた。
「柳生飛騨守」の誕生である。
【徳川実紀(明暦三年十二月廿七日)】
『柳生内膳宗冬は飛騨守と改む』
286 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:14:52 ID:EyemU/3c0
／￣＼
.| ＾o＾ | との、おめでとうございます
＼＿／
＿| |＿
| |
野殿杢之助光則
(のどの もくのすけ みつのり)
／￣￣＼
／ ＼
/ ヽ
.| ─ ─ | …うむ。
| （－） （－） | 兄上が果たせなかった諸大夫成。
ヽ （__人__） / 私が受ける事ができるとは…ありがたいことだ。
/ ヽ ｀⌒´ノヽ
./ / ∩ノ ⊃| | ますます以って励まねばな。
( ＼ ／ ＿ノ | |
.＼ “ ／＿＿| |
. ＼ ／＿＿＿ ／
287 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:15:23 ID:EyemU/3c0
／￣＼
.| ＾o＾ | せんじつの なべしまけへの かでんしょさいでんも
＼＿／ .ぶじに すみましたし じゅんちょう ですね
＿| |＿
| |
／￣￣~＼
／ ⌒ ⌒＼
/ （●） （●）ヽ うむ。
.| （__人__） .｜ 鍋島家とは、今後も末永く付き合いできそうだ。
.| (＿/´ .| 和泉守殿も熱心な御方だしな。
ヽ /
/ ヽ ノヽ
./ / ∩ノ ⊃| |
( ＼ ／ ＿ノ | |
.＼ “ ／＿＿| |
. ＼ ／＿＿＿ ／
288 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:15:57 ID:EyemU/3c0
宗矩以来、縁のある大名家も、当然ながら当主の代替わりが発生している。
/::::::::::/ （____ﾉ..;;;| ;;乂___ﾉ ::::.ヽ
＞'/,:::::::::::,'. __ |..;;;;| ;,ヾ;;;;; ::::::.ヾﾄ、
. ／ /.{::::::::::::|.. Y Y:;;;;;| ;;Y´ ｀Y ::::::;ﾊ ',.ヽ
/ ,,,ｨ ',:::::::::::乂 ノゝ-ｲ:;;;/ |ヽゝ､,,ノ, ,;:::;;;' } ﾄ､ ﾍ
. ,ﾏニ-‐‐､ゝ､ｨ､:::::::::::::::::::,､;/ i ＼,-､;;;;;;;;;;;;/ヽ,ﾉｲｨ-､ヽ〉
ヽ:.:.:.:.:.:.:. : / ￣￣￣ ヾ, | /´ ＿＿_ ∨:. : ﾞ＼
. ',::..ヽ:. : :/ ﾄ-‐''"￣¨"''-､ﾑ!..,-､ ゝ‐''_,,,,,,,,,,_¨¨''‐ ',:.:.:.:.:.: {
. ,ｲ'''''ヽ、:.ゝ､_.,／￣¨''ー-ｲ_ノ;;|'＼_ノﾞ¨¨¨¨ヾゝ_／:.:.:.:.:.:.: ﾏ
〈:.:.:.:.:.:.: ゝ‐､.:;;;{ ,,ｲ;;ｿﾞヾ;;| ∧ゝ、 ﾉ-' {:.:.:.:.:.:.:. : ノ .私も但馬守殿の門弟である。
ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./7/ﾞi==匕''i|ﾞヽ.}:. | { / ﾄ=ﾆ手'',ﾍ ',:.:.:.:.:.:／ 甥の飛騨殿(鍋島直能)とは同い歳の相弟子になるな。
＼:.:.:.:.:.: / {;;;;;;{ ﾄ､ ヾ､Vﾉ : | }Y/ｲ / /;;;;; ',ﾊ:. : :ｧ"
ヽ:. : :｀ヽ'';;;;;,｀ヽ ヽ, (ｚﾄ､ ,,,,ｨ //;;;;;;／ ｧ'' : :{ ちなみにこの年、36歳だ。
〉:.:.:.:.:.:ヽ Y;;;;; |ﾉii ゝｨ iiく {;;;;;;;. { ﾑ､ : :',
___厶"¨ ／¨ヽ;;;;; >＼_ﾑﾆ=ﾆｭ___/..ﾄ､;;;' ｧヽ ￣¨''‐-､
/_ _,,z''":. ｌ｀ヽ Y／__/ヾ"´,,,,,,,,｀¨''ﾍ,-v'___/,'} } }:. : :ヾ｀｀ヽ
/:. ||.:.:.:.:.:.:ﾑﾊ',Y;;;{¨ /ヽ='''''''''''''''''∨､ i {iﾉﾉ‐､:.:.:.:.:.:.:. :
／¨,' : ||:.:.:.:.:ノ..ﾑ､. }::::i 〈 /.:.:.:.:.:.', :',ヽ |＿,,,ｲ ,,... -‐ '' "´
/ ／''{｀ヾ,,,,,,,ｨ ﾉﾆﾆﾆﾆﾆ===､.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ﾉ/''"ｨ'孑' ,,.-‐ '' "´三
,'ﾆﾆﾆ=､ヽ>‐i" ∨￣ｧ-‐''''''''ノ====ﾆﾆ=''''''" | |ﾞ´三三三三三
..ﾑ三三ﾏ /ﾑﾊ / / -''" Y ｧ‐ｚ-.| |三三三三三三
,'三三三 //¨Y / ,' ﾊ＞'" ／,ﾑ`| |ニニニニﾆ=''"
ﾑ ',ﾆﾆﾏ i_i / ,' { ＞''" ＞-=ﾆﾆi. { |三三ﾆ-''_ ｡r≦
鍋島和泉守直朝
（なべしま いずみのかみ なおとも）
鍋島家も、当主鍋島勝茂がこの年三月に逝去。
これに伴い、宗矩が授与した「兵法家伝書」が次当主である光茂から返納されたのだが、
勝茂の遺言により、これを九男である鹿島鍋島家当主・鍋島直朝に授与している。
以後、直朝に授与された家伝書は、鹿島鍋島家内で当主から次当主へ代々相伝されることになる。
289 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:16:42 ID:EyemU/3c0
なお、鍋島元茂に送られたもう一つの家伝書(宗矩最後の「乱れ花押」の家伝書)については、
これは元茂のみのものとされ、跡継である直能に家伝書は相伝されていない。
ｲ ﾄ
／ （ ) ＼
/ ____ Y | Y ____ ‘:, ﾄ,
. ﾑニﾑ-､__ __{ （ r ／ | ＼ュ ） }__ .}ﾑ
ﾆ}ﾆﾆ} } {｀Yヽ ヽ ｀¨{ { ｜ } }¨´ /__ノ}ﾆ}
７ﾆﾆj__{__ﾉ_ﾉ_ﾉﾆﾑ__} ヽ〉 | 〈/ {ニﾆ{二
ﾆﾆ/jノ}ﾉ}ﾉ}人ﾆﾆ}ﾆ〉 __ __ 〈ﾆﾆﾆ}ﾆ{ 俺の新陰流は父上(直能)からの相伝だ。
. ニ/ jー}二＼ 〈{ 鼎＼l／鼎 }〉 ／ﾆﾉ二 以後、小城鍋島家では、俺の家(西小路鍋島家)が
￣＞‐-‐＜ ｀７__z=「:ｉ＞＼¨´}__{｀¨／＜ミ=～ﾆﾉ 新陰流の家元を勤めているんだ。
. _／ /:::::{ } /,YY寸〈r― 〔{Y三Y}〕 ―､〉ﾆﾆ∠ _
≧s｡.{::::__j／YYYY }:i:ｉ:ｉ:} {｀ ー ´} }:i:ｉ{ YYY }／ ＞x、_
>/¨´ ＼ {YYYト､}:i:ｉ{ ハ }{ ,ハ{:i:i:ｉ} YYY} ／ //::
:iY:i:i{ ＼ {YYY_〉ｉ:ｉ:i:i}＼_ .}{ _／}i:iﾘ YYY} ／/::
:人:i{ ＼ ＼ }YY L:i:i:ｉ:ｉ{＞ __｀ニ´_ <{iム YYY}＿／ ,二::
:iY:i:i} ＼ } }YY __〉ｉ:ｉ{／ }Y{ ∨:i:i:i:{YYY{ .／
. >}i} ＼. r「ﾘYYY 〉:i:i:i:ｉ}ﾆ二ﾆYﾆ二j:i:i:</{. YY}__／ ／
<:ｉ:ｉ:i} [ブﾘ{ ./i:i:i:ｉ;厶 }Y{ /:i:i/寸:i:>x {______.／
. >iﾉ [ブ´从}_.xくヽ:_i冂i:込、_人_ {:i:i:i} .}/ _}〉＿＿__／
. イ [ブ ﾘ }寸＼_ 〈:i:i:i:ｉ{:::::::::/:i:ｉ:} ,ィi〔/ Y〉----――
x<{ 从{ヽ:i:iヽ i＼:i{::::::/:i:i:ｉ:{ ,ニ/从 ｀Y〉---―
}:i:i:ｉ:ｉ〉 .〉}::/:i:i:iア /:i:ｉ:{ ｀Y〉_____
鍋島大蔵元敦
（なべしま おおくら もとあつ）
小城鍋島家では、直能の次男・元敦が伝系を引き継ぎ、家中の新陰流家元として勤めた。
以後、代々、直能が授与された伝書集と、家伝書のうち「進履橋」の写しが相伝され、今に至っている。
290 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:17:22 ID:EyemU/3c0
また鍋島家と共に、宗矩の大名弟子の双璧であった細川家でも
家伝書の再伝が行われている。
ヽ 人 ､ ) ) 人 "
} )::::⌒::::''＜,,) ン..,,ィ彡::⌒ヾ彡 {
ﾉ ∨::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヾ ヽ
( { ミ::::::／:::⌒::::::::ー-‐::::彡::⌒::::::::::} } ）
{ ヽ {::::::::::／::⌒::::::ｰ--‐::::彡::⌒:::::::::j ﾉ }
ヾ ゞ:::::::::／::⌒:::ー--‐:::::::::⌒:ヽ::::〈 ｼ
) ミﾉ:::::;;z;;＿::::::::::::::::::::::::::＿,,z,,::::::::ヾ (
{ Y::::ｲ::::⌒ﾆ=ヾ::::::::::::::::x"⌒:::ヽ::::::::::Y }
（ ヲ:::::::≦:::⌒:::､ゝ::::::::ノｨ:::⌒:::≧:::::::::::彡
ゝ 彡<Trf三三三≧=＝=≦三三三抃T7::ミ ン 祖父・忠利が受けた家伝書は、
T::う:､::::Y三二ﾆ=ｦ¨;⌒;¨ﾋ=ﾆ二三Y:::::/:うT 父に再伝されたそうだが、父の没後、返納されたようでね。
ゝ::い:::::ゞ二ニ彡:〈:::::::〉::ゞニ二シ::::::心::ﾉ .私が飛騨守殿から再伝されたのは、21歳の時さ。
ヽ:::ﾄ::::::::::::::::γヽ:}::::し:ﾍ::::::::::::::::::::::j:::::; '
Ji::＼:::::::::人::::(:::::)::::人::::::::::::／:iし￡ .尤も、鍋島と違い、ウチ(細川家)で
､::::::::::Y:::::::x㌻ ㍊;;;:::::::Y::::::::::, ' § .伝書の相伝を受けたのは、私が最後だがね。
＼::::::{::::ミ;( f⌒'j )豸:::}::::::／
＿ イハ::::::､:㍊} i i {㌫':::,::::::∧＼ ＿ ＿
_, -‐ ￣イ///// i＼:::::;;㌢i j ㍉;;::::／i ∨////へ ‐- _
￣ ////// i㏍ヾ;"ゞ 二 ノ'';ｼ㏍v ∨/////ﾍ ￣
////// i㏍kk;;:::::;;;;;::::::;;ｫ㏍V V/////∧
////// v㏍k:ゞ州州ｯ/㏍V V/////∧
////// ∨㏍{:::::::::::::::ﾉ㏍/ v//////V
//////ﾄ V㏍kT:::::::<㏍V ∧//////}
{/////∧ V㏍㏍〉:::（kV / }/////1
細川越中守綱利
（ほそかわ えっちゅうのかみ つなとし）
細川忠利に授けられた「白紙印可」の家伝書は、その子・光尚に再伝されたようだが、
光尚が慶安二年に早逝した際、柳生家に返納されていたようで、
寛文三年(1663)、光尚の子・綱利が21歳になった際、宗冬から再伝され、
それ以後、家伝書は細川家内で保管され、現在に至っている。
291 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:17:54 ID:EyemU/3c0
さて、それから時が過ぎ、
3年後の万治三年(1660)、柳生庄・芳徳寺…
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_,＿,,_,,,-'''＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ "''-､,,,_,,＿,_,,_
ヽ @==@==@==@==@==@==@==@==@==@==@==@==@==@==@==@==@==@==@==@==@==@==@==@==@==@ ﾔ
`ヽ丶.}{ |艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸艸| }{ ／
＼}{ |ｌ|!￣￣||￣￣￣||￣￣￣||￣￣￣||￣￣::┣━Д━┫::￣￣||￣￣￣||￣￣￣||￣γ∴⌒∴⌒ .；}{.／
}{ |ｌ|!: ::::::::|iiiiiiiiiiiiiiiii|iiiiiiiiiiiiiiiii|iiiiiiiiiiiiiiiiii|jjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjjj|iiiiiiiiiiiiiiiii|iiiiiiiiiiiiiiiiii|ir;(∵ ∴丿;∵;∴ヾ∴ヽ
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: : : : : : : : ﾉ;ﾊﾉﾘヽ_ : : : : ; : : : : : : : : : : : ; : : : : : : : : : : : : : : ; : : : : : : : : : : : : : : : ; : : : : : : : : : : : ; : :ﾉ;ﾊﾉﾘﾊﾉﾘヽ_: : : : ; : : : : : : : :
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292 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:18:23 ID:EyemU/3c0
_
／: : :ー'f~f=-ﾏﾍ-rft__＿__
f､: :＜￣｀∨l=t=l |t_{-､_: : : )
∨: :｀´ヽﾉ !j}={ｿ !____ノ: : /
∨: : : ｿリ｀¨´|ﾘ': : : : :ノ
〉､ｨｭ: : / !=､|´ レ: ﾑf
ノ }: : ＼7==､. /￣!: : :|
.,ﾊ ﾉ､: : :/::::::∧^∧::::::!: :∧
ﾉ / ヽ:/:::::::::::::∨::::::::ﾊ/､ ∨
./ / /::::::::r､::::::::::r､::ハ::､ ∨
/____/⌒､_/:::::::/: ,ヽ:::::/: ヽ:::ハ:､ ∨-'､
／ゝノ| ´ー‐´ .ー ヽー､7|弋ノ＼
ﾑ´､__r´j__/ ∨_j＼__ヌ
木造沢庵和尚坐像
／￣￣＼
／ u. ノ ＼
/ （ ●）ヽ …これが和尚の像か。
.| （__人_） 確かに似てはおるが、もう少し、なんとかならんかったのか？
.| u .｀⌒ﾉ
ヽ ./ 具体的にいうと姿勢とか。
/ ヽ ノヽ
./ / ∩ノ ⊃| |
( ＼ ／ ＿ノ | |
.＼ “ ／＿＿| |
. ＼ ／＿＿＿ ／
293 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:18:54 ID:EyemU/3c0
.. ....---､＿__
_／´ `''‐､
,,-‐" ＼
_,,__ ｀、
,,'"''‐ヽ 、 ﾍ
〃 ,,___ノ /ｉ 、 '、
ゞ ヽ ／/ぇ │ │ そうですか？
│ j彡ｿ' ' ﾆﾉ '、- 、 ゝ 私は、和尚様らしくていいと思いますが…。
'!│ ﾞ｀''ｌ公/<〃'j:へ〉 丿
〃 ‐￣ .// ’ソ ＼ 大仏師の康春もノリノリでしたし。
‐''１ , !ｌ /￤ 丿
ｌ’.＿ ｌ ｸ ﾉヤ |、 「止めろよオイ」
│ ｀ ..// ,'ｨ/ ﾉ
｛ゝ_ _....‐´ｌ ' _,'ﾉ,'l ..、 _ ｿ―‐‐ -..、
｀'- ﾆ 亅 ,'|r│､ ﾞ冖´ ´
.. VYＪ‐''│/ ｉ!! l ﾞ／
ｰ..、 l1|i|｛!ｌ:! ﾄl|| ﾉiﾕjiｨ
ヽ、 从ｌとｌ（|仆‐ !〕卜
柳生義仙
（やぎゅう ぎせん）
:::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: ::::
:::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: ::::
/: : : : : :.:/: : : : : : : : :／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :. ／
＼ /: : : : : :.:/ : : |: : : : : /: : : : : : :|: : : : :|: :.:|: : : : : : : : : ::. ／
＼ ／: : :/: : : :′: : |: : : ／: : : : : :／|: : : : ﾊ: :.|: : : :‘,: : : : : ::. ,,..
..,, ⌒¨¨/ : : |: |: : :./|:.／/: : : ,,: 'ﾞ j: : ／ |: :ﾄ､: : : ‘, : ｉ: : : : ''"
… ..,, : : : :.:|: |: :./ １ {_;.ィ´ /／ 乂{ ＼: :.:ｉ: :|: : : :i
|: :.ィ |: |イ ⌒`丶、 ,.ィ⌒ ＼｝.:ﾄ : : :| 沢庵和尚の木像だって…！？
レ' l .|: { ｘ=示㍉、__j ｔ..斗z示=ミ |: :| |: :八 --==ﾆﾆ よし、僕の仏像(ｶﾞﾝﾌﾟﾗ)魂を
￣￣ ==‐-- ゝl ∧ / |ﾉi:i| ヾ / |ﾉi:i| ‘， ﾊ!:.|ﾉゝ: : :ヽ .今こそ見せる時！！
/|: : :: 弋ツ 弋ツ ﾞ: : :ﾄ､:.:.}¨¨´ ―‐＿￣
―== ￣￣ ／: |: : : :. `ｰ―= =‐一′ : : :.:.| Ⅵ …－-- __ 仏像(ｶﾞﾝﾌﾟﾗ)は…自由なんだ！！
⌒¨| /: : :. :::} .: : {: :|
,,... ''" |小 : ﾊ /:..:.ﾊ: |
'''" │: : :∧ r===== ､ ｲ: :./ 八 丶 ..,,
／ ﾚ＾V: :.个 ゞ ＿___,ﾉ ／:.:}ﾚ ＼ ゛'' ..,,
／ / ＼人:_:_〕ヽ イノ}／ ＼＼
／ 〃 ィ≦八 ー‐ /｀ヾ≧ｭ ＼＼
康春
（こうしゅん）
:::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: ::::
:::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: :::: ::::
なお、沢庵和尚の像は、明暦三年に義仙が京の大仏師・康春に依頼したものという。
時期的に和尚の十三回忌の際のものと思われ、今も芳徳寺に現存している。
（なお実際の和尚像はＭ字開脚などしていないのであしからず）
294 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:19:30 ID:EyemU/3c0
fﾐ.､
ﾐ;;､:＼
ﾐ:＼ };; ';.: ヽ
ﾐヽ: :｀ ､ , -‐─L;;_ ';: : ヽ､
';. ヽ／´: : : : : : : ､: : ヽ: :ヽ｀ ､
ゝ´: : : : : : : : : : : ヽ: : ヽ: : : :ヽ
//: : /: : :ﾊ: : l: : : l:ﾊ : : :ヽ: : : ﾊ
/ｲ: ://: :/ }:i: l: : :i:l: :}: : : ﾊ: : : : i
|:l{: l:{:l从i jﾊﾉjﾊi从:} : : : !:!: : : : ! .まあまあ、殿。
i!li::从lrぅ示 ´f示ﾃｧ: : : |:|: : : : l 変に畏まった像を造るより、
j!|ﾘ: :ﾊ込ｿ 弋zｿ|:: : : |:|: : : : :! .こちらの方が和尚様も喜んでくれるじゃろ。
l: : : :ﾊ 〈 i: : : :j:|: : : : ::|
|: : : :l人 ﾏ￣ﾉ j: :,´⌒ヽ: : : ::l それより、お元気そうでなによりじゃの。
l: : : :||: :l＞､｀ ｲ: : i , -┴─､!
|: : : :|: : |: : :｀ﾆ彡/: : 」'´:.:.:.:.:.:.:.:.:.}:!
l: : : :l: : :|:, ‐7´-/: : : |:.:.:.r‐──〈::i
l: : : :|: : :f 〃 /: : : ｲ,'"´ /:::|
お藤
／￣￣＼
／ ⌒ ⌒＼
/ （●） （●）ヽ まあな。
.| （__人__） | 実際、柳生庄に戻ってくるのは、
.| |r┬| | 幼少の時以来だが、
ヽ `ー' / やはり故郷は水が合うのかもしれぬな。
/ ヽ ノヽ
./ / ∩ノ ⊃| |
( ＼ ／ ＿ノ | |
.＼ “ ／＿＿| |
. ＼ ／＿＿＿ ／
この年の三月、宗冬は所領に戻る事を許され、
幼少時に離れて以来、戻っていなかった柳生庄へ帰郷していた。
時に宗冬48歳、義仙26歳。
【徳川実紀(万治三年三月三日)】
『柳生飛騨守宗冬襲封の暇たまふ』
295 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:19:58 ID:EyemU/3c0
／￣￣＼
／ _ノ ヽ_＼
/ （●） （●）ヽ で、義仙。
.| （__人__） | こちらの住持になれたのはよいことだが、
.| ｀⌒´ | 修行の方は進んでおるのか？
ヽ /
/ ヽ ノヽ
./ / ∩ノ ⊃| |
( ＼ ／ ＿ノ | |
.＼ “ ／＿＿| |
. ＼ ／＿＿＿ ／
／::::::::::::::::ヽ、
／:::::::::::::::::::::::::::::｀ヽ､
ノ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾄ､
ｍ'_::::::ヽﾐｼｲ{しz=x::::::::::::::::::::::::::} いずれ大徳寺には戻りますよ。
r彡|.||.|:｢|::｝,ｨ,ゝこ{{ｎ}}::::::::::::::::::::::::::ヽ、 それまでこちらで励みます。
x= と__ゝ| Ｋﾍ{処・_}ｰ'}ｂ′::::::::::::::::::::::::::::}ヽ
_ノノノ-z＝ﾍ ヽﾐﾄ、 {::::ﾉY:::::{:::}::::::::::::::::::､_ﾉ:::}
__〃⌒ r{:::::::::::ヽ ∟__,.Υ:λ::::ﾋ从_:::::::::ヽ::::::::::{__
x=＝彳:::::{:::::::r} }::::| ヽ{ ):::ｨﾀ宀{:::::::::ﾉ:::::::::::::::ヽ
こﾆ=ﾆ三ミ=行三彡{:::::::::::::ﾊZｚｲ::└ァﾀ｢ｨﾀ:.:ﾉ:.:ﾘ:::::: {{::::::::::::::::::::}
＿ゝ、:::::::::::::::::(´:::::::::::::::::::::::::::》乂X>:::ｨﾀ:.ｨﾀ:.／:. 〃:::::〃､＿_::::::ヽし)
ｰイ, ―､::｀ ｰ‐::::::::::::::::::::::::::::::::::_//:.:.:》J::_ゝＹﾀ∠-＝ﾘ:::::::ﾘ／:.:.:.:｀ヽ::::｀ヽ
ー γ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::γ::lｌlヽ〃∠-ｽ＾＼ヽ:.:〃{::: 〃:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:Y:::::::}
－-:: ＿:::::::::::::::::::::::::::::::::::::: /:.:.:.lｌ:l: |￣.／f ヽ Y:ノ:ﾉ/:.:.:.:.:.:／:.:.:.:.:}:::::｛
この頃、義仙はまだ大悟を果たしていないものの、
芳徳寺の住持として勤めていたようである。
296 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:20:30 ID:EyemU/3c0
／￣￣＼
／ u. ノ ＼
/ （ ー）ヽ ならよいがの。
.| （__人_）
.| u .｀⌒ﾉ …さて、これから出かけねばならん。
ヽ ./ 春日社と興福寺の連中で諍いがあるらしくての、
/ ヽ ノヽ こちらに仲裁の相談が来たのでな。
./ / ∩ノ ⊃| |
( ＼ ／ ＿ノ | |
.＼ “ ／＿＿| |
. ＼ ／＿＿＿ ／
／￣＼ しかし うまく おさめれば
.| ＾o＾ | れいのとちをもらうこうしょうも とおるでしょう
＼＿／
＿| |＿ 「まあな」
| |
この頃、春日大社と興福寺の人間の間で諍いがあり、これを宗冬が仲裁した際、
見返りに、南都に屋敷を得たという。
【玉栄広遺】
『寛文元辛丑年、和州南都東寺林町ノ営地ヲ求メ玉フ。
此地元来興福寺中光林院ノ旧地也。
謹按、里老諺、此地中世号怪寺無住也。
公欲シ玉ヘトモ寺地武家タル事難シ。
時ニ春日社人・興福寺衆徒争訴ノ事アリ。
公執シ玉ヒテ其事知平ス。故ニ寺僧格別ニ取扱、終ニ此地ヲ得玉フト云々』
297 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:21:09 ID:EyemU/3c0
／￣￣＼
／ ⌒ ⌒
/ （●）（●） では、私は行く。
.| （__人__）
.| |r┬| | 修行を重ね、いずれは大徳寺長老ともなれるよう
ヽ `ー'./ しかと励むのだぞ。
/ ヽ ノ ））
/ く
.. ....---､＿__
_／´ `''‐､
,,-‐" ＼
_,,__ ｀、
,,'"''‐ヽ 、 ﾍ
〃 ,,___ノ /ｉ 、 '、
ゞ ヽ ／/ぇ │ │
│ j彡ｿ' ' ﾆﾉ '、- 、 ゝ
'!│ ﾞ｀''ｌ公/<〃'j:へ〉 丿 …兄上もお気をつけて。
〃 ‐￣ .// ’ソ ＼
‐''１ , !ｌ /￤ 丿
ｌ’.＿ ｌ ｸ ﾉヤ |、
│ ｀ ..// ,'ｨ/ ﾉ
｛ゝ_ _....‐´ｌ ' _,'ﾉ,'l ..、 _ ｿ―‐‐ -..、
｀'- ﾆ 亅 ,'|r│､ ﾞ冖´ ´
.. VYＪ‐''│/ ｉ!! l ﾞ／
ｰ..、 l1|i|｛!ｌ:! ﾄl|| ﾉiﾕjiｨ
298 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:21:54 ID:EyemU/3c0
／::::::::::::::::ヽ、
／:::::::::::::::::::::::::::::｀ヽ､
ノ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾄ､ …立場が人を作る、というのはあるのですね。
ｍ'_::::::ヽﾐｼｲ{しz=x::::::::::::::::::::::::::} 昔の主膳兄は、もっと控えめな人だったのに、
r彡|.||.|:｢|::｝,ｨ,ゝこ{{ｎ}}::::::::::::::::::::::::::ヽ、 今は、随分堂々としている。
x= と__ゝ| Ｋﾍ{処・_}ｰ'}ｂ′::::::::::::::::::::::::::::}ヽ
_ノノノ-z＝ﾍ ヽﾐﾄ、 {::::ﾉY:::::{:::}::::::::::::::::::､_ﾉ:::}
__〃⌒ r{:::::::::::ヽ ∟__,.Υ:λ::::ﾋ从_:::::::::ヽ::::::::::{__
x=＝彳:::::{:::::::r} }::::| ヽ{ ):::ｨﾀ宀{:::::::::ﾉ:::::::::::::::ヽ
こﾆ=ﾆ三ミ=行三彡{:::::::::::::ﾊZｚｲ::└ァﾀ｢ｨﾀ:.:ﾉ:.:ﾘ:::::: {{::::::::::::::::::::}
＿ゝ、:::::::::::::::::(´:::::::::::::::::::::::::::》乂X>:::ｨﾀ:.ｨﾀ:.／:. 〃:::::〃､＿_::::::ヽし)
ｰイ, ―､::｀ ｰ‐::::::::::::::::::::::::::::::::::_//:.:.:》J::_ゝＹﾀ∠-＝ﾘ:::::::ﾘ／:.:.:.:｀ヽ::::｀ヽ
ー γ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::γ::lｌlヽ〃∠-ｽ＾＼ヽ:.:〃{::: 〃:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:Y:::::::}
－-:: ＿:::::::::::::::::::::::::::::::::::::: /:.:.:.lｌ:l: |￣.／f ヽ Y:ノ:ﾉ/:.:.:.:.:.:／:.:.:.:.:}:::::｛
／ ／ ／ ,. -──‐- . ､`ヽ ＼
/ ／ ／ , ィ´. : : : : : : : : : : : ｀`ヽ＼ l
/ / ／ ／.:.l l:.l:l: l:.!:l:.l:.l:l : :ハ: :.l: : ＼＼ l
/ / ／ ／. : : :l l:.l:l: l:.!:l:.l.:l:l l::l. ',.:.l: : : : .＼V
./ /／ ／ . : : : : 从从 N l:.l.:l:l l.:l i:.:l:::::::V:.:.:.ハ
/ / ,.ｲ. : : : : : : l ´￣｀`VNN从| i::.l.:.:.:/::::::/::::',
./ /／.:.:l: : : : : : : :l ..__ ﾘ ﾘ l:_./l.:::://::/:!
/ ／.:.:.:.:.:l.:l: : : : : : : :l, -=＝=ﾐヽ ／ﾘ「:ﾒ:://:://:! 世の中、そんなものよ。
／ ,. ィ´.:.:.:.:.:.:.: l.:l: : : : : : :i.:| r＝=ﾐl// l//:/
／ ／ l.:.:.:.:.:.:.:: : l:.l: : : : : : :l.:| ヽ ｀`1:l // お前とて、殿の仰る通り、
＼ l.::.:.:.:.:.:. :. l.:|: : : : : : :l.:| ／ ,:.l 〃 .大徳寺の長老様にでもなれば、
＼ /.:.:.:.:.:.:./ .:l.:|: : : : : : :l.:| rー ‐ ─ｧ ./:.:l ′ .立派なお坊様として振舞う事になるであろうよ。
＼_./.:.:.:.:.:.:./ .:. l.:|: : : : : : :l.:|. ヽ / /: : :|
/.:.:.:.:.:.:./ .:.:.:.l.:|: : : : : : :l.:| ｀¨¨ ／ : i: :|
/.::.:.:.:..:./ : :/. l.:|: : : : : : :l.:|. 丶､ ／.:.i: : :.l: :|
/. :.:.:.:.:.::.:.:.:/ .:.l. !: : : : : : :l.:| i｀ ー'´.::.:.:.l: : :.l: :|
/ .:.:.:.:.:.:.:.:／￣￣|: : : : : : :l.:| |.:.:.:.:.:l.::::::: l: : :.l: :|
./.:.:.:.:.:.:.:／.:.:::::::::::: |: : : : : : :l.:| .ﾊﾍ : :|.::: : .|: : :.!:.:|
/, -一 ´ヽ＼:::::::: : |: : : : : : :l.:ﾄ､ //.:: ＼|.::::::.:|: : :.!:.:|
'"´.::::::::::::::::::::::::＼＼.:.:. |: : : : : : :l.:|:::V/.:::::::::::::l:::::::::|: : :.!:.:!
299 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:22:26 ID:EyemU/3c0
__...................._ _............._
_. -‐_.. ニ ｀"´ ｀丶、
,ｚ＝ﾆ￣ ヽ＼
_〃 ＼ヽ
／ ′ ｀ ヽ
/ ／ ｀ヽ、
ｌ / ／ ヽﾞi
／l/ / _,r勿ｘ l
/ { ｛ 〃 ﾉ i , |
/ / ヽ! ｛′-= __..ノ // l
｛ / , ＼ ` ｰ-（ ｛｛ / / i |
Ｙ / / ヽ ヽ､｀＼｛ ｛ l |
〉 { ｛ i } ｝ ‐,= ニ二二ヽ､＼ l !
/ ｀ヽ ﾉ ﾉノ 斗云苙苙耒 ￣ ﾘ …なら、よいのですがね。
i / -=ﾆ= イ "´ （&9）,ｊ亥 / ﾉヽ /
l｛ / 二ラ"∠ ィ'⌒ ｝ 〈 とりあえず、再来年は
ｨ | ! ノノ/ｒ,z ／フ"´ ﾉ＾)ﾉ / ヽヽ｀ｰ_=‐ .父上の十七回忌、兄上の十三回忌の年です。
/ { ｊ ｰ≦彡1 ､_ /／ イ _ ／ ＼二=‐ .その頃には、経のひとつも上げて、
｛ `ｰ'′ ノ 'r_∋ ｛′ ／／厂// ! ! .僧らしくするようにしますよ。
＼ ノ ﾉ ／ j ／／ ,小｛ { ｌ ｌ
／ ／ i i__＼ _. イ ／ ／ } ＼ｰ- ....＿____ﾉﾉ＿__
/ ／ ﾉ ｊ / /⌒＞,ｒ‐='´ ｛ ／ ﾉ ｝｝ _..）
. / / -=ﾆ ｲ / ′/ {_{____.. -‐∨ ／ ｊ // ―- ._ ／ ヽ
l ｌ / ／ ヘ / ﾉ´ ｝┌‐ '´ ｛ ／ ／j′ ｀ / l
l │l i ∨ / ﾉ|│ / ／ ／} ｀ ｰ- .._ ′ |
なお、この後、宗冬が柳生庄に帰郷したのは、
2年後の寛文二年(1662)、6年後の寛文六年(1666)の二度のみであり、
それぞれ、宗矩、十兵衛の年忌法要に当たる年であった。
この時、義仙が法会でどのように振舞ったかについては不明である。
【徳川実紀（寛文二年二月六日）】
『柳生飛騨守宗冬就封の暇給ひ。長子内膳宗春を同伴すべしと命ぜらる。
故但馬守宗矩十七回の法会行ふによてなり』
【同寛文六年四月七日】
『柳生飛騨守宗冬めして御撃剣あり。宗冬に襲封の暇給ふ』
300 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:23:10 ID:EyemU/3c0
その翌年、宗冬が江戸に戻った後であるが…
_,r‐―――-､_
,ｒ‐'´ | `:､ ,/／ ,`ｰ.､
/| ! _,.．-‐‐---‐‐:､_:／:ヽ、
/ ／ `ｰ-､_i
_Lr'´_,.．-‐'´￣￣￣｀`ヽ､. :`:､
./ : : : : : : : : ::::|
〈, -'´_,.. -‐'´￣￣￣｀`‐- `ｰ-､＼|
|／_,. : : : : ＿＿＿: : : : : :::::＼}
.|_/ : : __,ｒ<.｣.,､,､,､,ﾚ`-‐､__: :: :::::| 兄上と同じく、
| ／ ／ ｀T'‐| ｀´i^!ィ''T|´ ﾄ､:::::/ 今後、よろしく頼むよ。
〈: : i＾|_;__!｣i´,.!'ｰ'┘/｀i `ｰ-,'ﾘ〉::〕
＿rヘ`ｰ|.`ﾍ. Li:ﾟl lﾟ:i.｣ /ｿ/_ｒ'´
,＞ /￣:`ｰﾍ、'"ﾞﾞ 〈! _,｀ﾞﾞ' /‐'∠､
∠, _r‐'〉: : ⌒ヽ＼_ ￣´ _.イ;＾´ ⌒ヽ、
＜/ （ : : :｛┘`,ｰ-‐,',r‐'´: : : : : : ｝
/｀ : :〔 : : : : : :｀￣￣￣ : : _／: : ./￣`ｰ-､
./ : : : :＼ _,.．-‐'´ : : : : _＿_,ノ: : : : : :＼
. ｣ : : : : ｀`ヽ､__`ｰ─-----─‐'´
徳川綱吉
（とくがわ つなよし）
／￣￣＼
／ ⌒ ⌒＼
/ （⌒） （⌒）ヽ かしこまりました。
.| （__人__） |
.| ｀⌒´ | （甲府宰相様だけでなく、館林宰相様にも御入門頂けるとは、
ヽ / ありがたいことだ）
/ ヽ ノヽ
/ ヾ
この年の六月、家綱の弟で、館林徳川家の当主・徳川綱吉も宗冬に誓紙を入れ、門下に入っている。
また、兄である甲府徳川家当主・徳川綱重も同じく門下に入っていたようである。
【玉栄拾遺】
『同(寛文元年)六月十二日、従館林綱吉君新陰流相伝誓詞ヲ賜フ。是常憲大君也』
301 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:23:45 ID:EyemU/3c0
なお、この寛文年代は、家綱の治世において、ひとつの転機になる時代であった。
/.| .l |
/ .| l |
/ | ! !
/ 」 」 .|
,r__´ ,;_,.... ヽ.
,. ´ -‐ヾ " -‐' ヽ. オレの跡継（光圀）、
,' . _＿__ u. } オレよりずっと有名なんだよなー。
', ,.'
ﾞ､ ,. '
,.-'' ﾞ ‐- _____,..ィ"ー...､
,rく ; l |ﾞ''--------ｧ'ツ'´ }｝
/へハｒ''ﾆT¨て￣ ヽ､ l／⌒ゝ .ハ
ｿ ┴''" | ゝ.＿.. >' 丿ヽﾉハ
,. -―---､
_∠三三{_ ＼
/三 ／ ＼ i ヽ
/_ﾆ天弋弋ヽ、 ＼ |
,イ/ f＾｀´＾i ﾄ iヽ、 ｀} 「隠居してからが本番」とか、
〇 ./イ l i|_ |人_,_!__入 | 「本体は印籠」とか、
|｜ ＼,_代ｔ:､, 'ｔや う ﾉV 「戦闘はお供がオートバトル」とか、
__ _ _ /∧ _ﾍ. <__, /＜ヾ! ロクなこと言われませんけどね。
r'7ーにｔ⊥j_」__ーヽ |―'￣r'￣`ヽ__,.＜‐''弋ﾈ＿_
|_」二ニニﾆｆ´/ﾆﾆﾉ |二￣入､_ー―￣` ／´/ /''弋 「マジか」
|＝=イﾍ ∨/r'T￣ __＼＿_＿二--/ / ―ニヽ
｜ _／＼__| |く、 / o ト-／ ／ o | | ／ ﾚ'
徳川光圀
（とくがわ みつくに）
まず、寛文元年には、水戸徳川家の初代当主・徳川頼房が死去。
302 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:24:34 ID:EyemU/3c0
次に、翌年の寛文二年(1662)、
＿__
／￣｀ヾH ｀丶、
j }‐|、 ＼ .では上様。
lﾊ }|リﾘｲ| | ｀>／⌒ ﾊ 伊豆、これにて。
'ﾘﾘ´＼ﾚ| //／ } ！
‘‘ `ァ'ﾉ /〃' ﾄ､
＿っy---―‐匕 /´ |人
`气ス廴二二ニﾆノ| |､,｣
/｜ |
∨|＿＿／
|｜| |
| | | |
l | l |
l l l |
!l | /
l|.l ﾊ
|∨/
| l ﾊ
| ｌ | |
| | |｜
|｜|｜
| 〔 |｜
| l |八
_,| |イ
└卜イ ┘
| |
ヽ丿
_ -=ｨ＝- __
／￣::, ,. ＜:::::::／:::::::::::::::::::::::〕ﾄ､
. , ':::::::::::::::,. ｲ／:::::::::::;::'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ-､
/::::::::::::::::/..../::::::::: : :/:::::::::::::::;::::::::::::::::::::::::::::::::∧
. /:::::::::::::::〃 ７::::::::::::::/:::::::::::::::::':::::::::::::::::::::::::::::::::::∧
/:::::::::::::::::i i. /::::::::::::::::i::::::::::::::::::|::::::::::::::::/:::;::::::::::::::::∧
,:::::::::::::::::::::|ﾊ,i::::::::::::::, ﾍ::::::::::::::::::i:::::--:::/_:/|:::::::::::::::::::∧
. i:::::::::::::::::::::,iV |:::::::::::/.ﾊi:::::::::::::::::::V::::/:///`i:::::::::::::|:::::::::::,
|:::::::::::::::::::,'/ﾊ {::::::::〈 ::::i::::::::::::::::ﾄ､弋芯｀ヾﾘ::::::::/ｲ!::::::::|:|
|::::::::::::::::::}'∧ i ヾ:::::∧ヽ !::::::::::::i:| ヾ 厶ｲ::/fﾘ7::::::::|:| 心配をすればきりはないが、
|::::::::::::::::::}' | | ∨:::∧__!:::::::::::ﾄ､ ,／ ∨:::::::::ﾘ:| 上様も御歳22歳…もう立派な大人だ。
. i:::::::::::::::::| |ﾘ V::::::::/!ﾊ:::::ｉ:| 〉 :/:/ ﾘ
i:::::::::::::::::i ,:' ／:::::::/ ﾘ :}::::|:| __ _ ,:´::/|:::! …大猷院様、遅くなりましたが、
i:::::::::::::::::V 〃ｲ::::/} ./ Ⅵj ￣｀/::::/ .|::i 讃岐、お側に参ります。
. V:::::::::::::∧ j/ /´ |::::::::＞ /::::/ Ⅳ
V::::::::/: ∧ / ＞ , ::::::{ ≧=' |:/ }'
∨:/::::::::∧ｲ ＞ , .i }'
／/:::::::::::::∧ト , ＞ ,{
この年には、筆頭年寄の松平信綱、大老の酒井忠勝が、それぞれ在職のまま死去。
303 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:25:23 ID:EyemU/3c0
更に、寛文六年(1666)に阿部忠秋が老中を辞任、
七年(1667)には徳川頼宣が隠居、寛文九年（1669）には保科正之も隠居している。
_,-‐ｧ
_ ,. -‐ﾆ≧'´‐- ､、
,ィz＝ ,. -‐- ､、_,.へ、ヽ
／"⌒ ｀ヾ:ﾍ::',
. , ' ヾ!:}
/ i ヽ', 丶、､ヽ
l / l ﾄ、 l ﾄ､l l､、丶ヽ
! i l ,ﾊ l N､ l !',j仏メ、､ヽヽ …伊豆が死んで、讃岐殿も亡くなって、
l | | | Nヽﾄi ヽ l イ,ｨ=tﾐ､ヽ 私も身を引けば、幕政は「あいつ」が引っ張る事になるけど、
', l l 行云ミ､ヽj 久）::l,ハ!ヽ 大丈夫かな…？
V'、Ｋ 彳J:::i｀ 'ﾞ"ﾞ´
ヽ!､ヽ ゝ'" u. /
Vﾄ､ ､ ／
ﾘ丶､ -― ／ ／
｀ ‐-イ ／
＿,」／
/,、 /
, ｰ― 、
i'二Xﾆ=ｌ 頼房も死んで、
.i､!,-ー-=i,'! 最早、父上の実子は俺だけか…。
, -――､}_＿, --rt'-､_＿＿＿
（ｒ''-､= ,, _ ヽ、＿,-ー- ｝、 ") …いや、あの男(忠輝)がいたか。
＼ iヽ "-.', ヽ、ｒ''" }i イ いつまで長生きするんだ、あいつ。
} ｀、 ｌ .i ＼ ノ | |
| i ﾉ ｌ ｀ヽ | i l
,| i ,! l ､ .ｌ l |
ｒﾂ.ｌ i｀ヽ | ｌ ﾉ | |
.ﾉｼ__| .| .丶、 l ! , ｌ `i
. { /.::::| / ヽ ｌ | ! .|
"{:::/ ／ i ＼ / ヽ、
ｌ/ ／ ＼_ ／ ｌ ｝
／ ＿ ＿＿＿'＿＿ヽ＿＿ノ
￣￣" ゛ー一"
-'´￣￣￣ ﾞ '- ､ γ´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣｀ヽ
.r´' ヽ l 結局、最後まで保科姓のままでしたね |
.（ ,nヾ､＿､_､__､- l 乂,_＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ﾉ
π r .!
（| ‐‐-､ ,.-‐‐ F-､j いいんだよ、これで。
.! i ∂! まあ見てろ。
/｀/｀/｀) ､＿＿＿＿, .!- '
/ /｀) ､_ ｀=´ _,ノ二二)
（＿（ _,／ !'|| （_ヮョヮ_〉＞ ヽ ＼
＼ ,' || >',〉llll〈/< 〓〓.l ',
304 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:26:08 ID:EyemU/3c0
/,ク::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;::::::::::::::
.／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;ｨ:::::／l::::::::::::::
/::::::::::::::::::::::::::::::;::::::::／/:／ ,::::::::::::
_レ::::::::::::::::::::::／_￣´ / ⌒ ヽ ヽ;::::::::
ヽ::::::::::::::::::/ﾚ/ ｀ , , .＼:_ いやー、小うるさいジジイ連中が消えて、
＼::::::::::/ , l .∩ i l:: やっとナウなヤングの俺達の時代が来たってモンよ！
＼::::ヽ 、 ∩, ,、 ー ´ :|:: ネッ、内膳正ちゃん！
ヾ二ヽ ｀′ ＿＿ V
i^, ￣ l ＿ - ヽ ./|
. .l l ゝ 、 ＿. -= .ﾉ, |
、 .l l ＼ヽ＿＿＿ ＞'"＿__|
.ヽ」 ヽ＿ ｀＞ _ - / l
＼_,,r-一 _⌒ヽ＿＿__/ヽ .| ./ i!
「_ ヽ￣ T l / ｨヽ ! / .i!
.f´ ＼」 ! l ./／ .i!.＿/ |_／
. ヽー一′、 l ´ / O
l＼ .」
l ＼ j
酒井雅楽頭忠清
（さかい うたのかみ ただきよ）
＿_＼￣｀ヽr'"￣Ｚ_
＞ｰ-:::::ミ｀:::::"ｚ::::::＜
. ∠;-:三::::::::彡:W:ﾐ｀:::::::::ヾ ダメッ‥‥！
. ∠;::::: 彡:;:ｨ:;ｲ:ハ::l_:i::ヾﾊi:|
/:;:::::::;べ'く l/ ﾋ'ィﾍﾄ､__:::| 何だ‥‥？
. l///l/!ﾞご9i `9こﾌﾞ|F!｝| この男っ
l/ ! ｒ-┘v v |ﾚ' :| ‥‥‥‥！
. ',｀ ---=っ ∧ﾘｉ|-､
ヽ ≡ ／ >'′L._ 80年代過ぎる
_>､_,.ィ´ ／ /::::::::｀¨''''ｰ- ‥‥‥！
_,,. ‐''´＼ /| ＼ /::::::::::::::::::::::::
/l::::::::::::::::::::Y:::j`ｰ-‐':Y:::::::::::::::::::::::::::
〉:l::::::::::::::::::::||::l:`ｰ-‐':||::::::::::::::::::::::::::
. 〈::::|:::::板倉:::.||:|:=====||::::::::::::::::::::::::: ←寛文五年（1665）に年寄就任
,ハ;:lﾆﾆﾆﾆﾆﾆ|||:::::::::::::::||ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ.
.板倉内膳正重矩
（いたくら ないぜんのしょう しげのり）
その結果、寛文後半以降の幕政は、酒井忠清を中心とした体制に切り替わっていった。
この体制は、家綱が没し、綱吉が将軍に就任まで続く事になる。
305 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:26:50 ID:EyemU/3c0
さて、寛文年代に於ける柳生家であるが…
_ -─…‐-ゝ::::::::＼ _ -─ｧ
￣＞:::::::::::::::::::::::::::Y´:::::::::∠....＿
／::::::::::::> ＞::::Ｚ ::::::::::: ＜::::::::::::＜｀
:::::::::::::::::´ﾌ└ｚ__::’‐'レﾍﾊ｢｀::〈 Ｚ_::＼
:::::::::::::::::::´Ｚ:-っノ:::::::::::::::::::::_r┘く::::::ヽ
::::::::::::::::::::::::::::::,:::::;ｨ:::::ﾊ::::::::ﾚヘ（｀:::::::N
／::::::::::::::::,ｨ /:l::/:|:::/ ヽ::ﾄ､::::::::::::::::::|
. ／:::::::::::/'l/ﾆﾚｭ:|:/ ┌'_ﾍﾚﾍﾄ､::::::::::|
/／:::::::::ﾒx=＝=ミﾞ′ ﾞ彡=＝=ｯX:r‐〈 これからは雁間に詰めてくれ。
/ｲ /ﾍ:| .,,_ ｆ9 ｆ9 _,､ |:|う |
lｲに|:l ￣_ノ| ￣ |:|_,リ 雁間詰…わかるかい、この意味…っ？
_,ゞﾃl:|: ヽ;| |;しﾍ,,__
￣:/ /:::lﾍ ヽ二ニﾆニニ二ｿ 八. ヽ:::￣
::::/ /::::::Ｎ＼＼ーｰr‐一／ ,.ｲﾉ::ヽ 〉，:::
::〈:､｛:::::::::::ﾄ､ ＼ ｀二二´ .／ |::::::::l //:::::::
:::::＼>､::::::|:::＼. ＼ ／ ／:|::::::::|//:::::::::
:::::::::::｀:<:､|＼::::＼. `ｰ'′／::／|:::／.':::::::::::::
───‐Y::::::＼:::::￣￣::::／::::::Y,:'´───
: : : : : : : |:|::::::::::::￣￣￣::::::::::::::|:| : : : : : : : :
／￣￣＼
／ ＼ /
/ （●）（●）
.| u. （__人__） …あ、ありがたき仰せでございます…！
.| |r┬| |
ヽ `ー'./ （雁間詰を許された…！
／ヽ ノ これは、我が柳生家の悲願成就を期待していいのか…？）
／ ⌒ヽ '´(
/ ,＿ ＼ ＼／＼ ＼
と_＿＿）_ヽ＿つ_;_ヾ_つ.;.
寛文二年(1662)五月、宗冬は雁間(かりのま)に詰める事を命じられている。
雁間は基本、大名が詰める場所であるため、旗本落ちの柳生家にとって、
ここに並ぶことは、悲願である大名への復帰に一歩近づくことを意味していると言える。
【徳川実紀（寛文二年十二月十五日）】
『柳生飛騨守宗冬雁間詰列命ぜらる』
306 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:27:26 ID:EyemU/3c0
兵法指南の方も順調で、この頃には、普段の稽古に加え、
毎年正月に「剣術始」が行われている。
／￣￣＼ 行きます、父上！
/ヘ ＼
（ ●） | ,r-､__ ____,r‐''7´7
/ |┬ﾌ i￣`''´r--っ二>
___,,,,..,..---‐‐‐‐'''' ヽ __ |┴< r-ﾆ'''''/ f'''´ /
___,,,,....--‐‐‐'''''''￣__,,,,,...--‐‐‐''''''''￣´´ .}-'´ .|__ lﾆ;l_,f-､~`ヾ ／
(,,..--‐‐‐'''''''''' ￣ > '" ｀￣ /´
,,/'"~´/ ／
/ / , -‐ ~´
〈 l r~´
／￣￣＼
／ ─ ─＼
/ （ ●）（ ●）. .＿ うむ。
.| （__人__） | ／／
.| ｀⌒´ | ／／ （五郎兵衛…いや、内膳も
ヽ / ／／ .随分使えるようになってきたな…）
/ ヽ ノヽ ／／
（⌒ヽ、 ィ.ヽ／／
l ＼ ＼ i ／／
| ＼ ＼ ／, ｲ
| ＼ , '⌒く／ /
l ゝ、ﾆ≠ソ
| ｀´ ￣ |
| ,ｨ' |
| | ヽ ,l
| ,|ノ ／
寛文四年(1664)からは、
兵法稽古の際、宗冬だけでなく、嫡男宗春も一緒に召し出されるようになっている。
時に宗春16歳、宗冬52歳。
この際、宗春は「五郎兵衛」ではなく「内膳」を名乗っており、
宗冬が飛騨守の名を得た後、宗春に「内膳」の名を譲ったのかもしれない。
307 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:28:07 ID:EyemU/3c0
また、次男・宗在も、寛文四年、
11歳の時に家綱の御前に召し出され、剣術を披露している。
,ｨ7
／,/
/ /
/ /
-‐ '´￣￣｀ヽ、
／::::::::::､::::::::::::::/ て
∠／::::::::/'´￣￣｀｀ ヽ
ノ／/::::/ シ .ヽ、ヽ ｜
ｲ /: :从（○）（○） ﾚレ| …ち、父上、これでいいっスか？
|ﾊ | （__人__） ./ﾉ
. / ,| ｀ ⌒´ u | （緊張してたまんねえッス。
ィ´ /''ヽ ﾉ 兄上は、よくこんなの9歳でできたもんッス。
(⌒) ｲi一‐ヽ、 / .マジ.パネェっス）
7 .K.`ｰ--→―― ）
ヽ/ ヾ--‐―‐ /
/ /
／￣￣＼
／ u. ノ ＼
/ （ ●）ヽ そう固くなるな。
.| （__人_） 普段通りにするがいい。
.| u .｀⌒ﾉ
ヽ ./ （…やはり内膳の方が上か）
/ ヽ ノヽ
./ / ∩ノ ⊃| |
( ＼ ／ ＿ノ | |
.＼ “ ／＿＿| |
. ＼ ／＿＿＿ ／
【徳川実紀(寛文四年十一月六日）】
『柳生飛騨守宗冬二男敷馬宗在を新に召て剣術を御覧じ給ふ』
308 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:28:46 ID:EyemU/3c0
そして…
_ -- ､ｰ.､
, .:´: : : : : : :ヽｿ,.-‐ ､
` ､ ,.': : : : : : : : : :ヽ: :.⌒:.ヽ
ヽ ＼ ／"'＜: : : : : : : :｀: :.ヽ: : : :', -
ヽ. ＼、 ,.: : :.＞､ ｀＜:.＿_: :.＞ ''"´ ヽ. , '"／
' l､ヽ／: ⌒: : : :.} , -―-､ ,. ＜´: ヽ、 ／ '
' /: :.／: : :.＞' .{.i´::.ヽ.}.} .{: : : :ヽ: :.:／./ /
} {: : {: : : /＿ - ､乂__.ノﾉ ゝ､: : :.Y ／ '
}、￣乂:.V: /´:./l: :/ /ー-┬i"⌒:＞!: : :.}.{＿ { 飛騨よ。
, ,.{ヽ､:{: : {‐l:ｲ､_{:i: / }:.l _,.ィ}: :j: : :ﾘ/ , '´ .お前からの伝書、感服した。
ｊ／ ｊ .{.ｒゝ: ヽ弋ｚjゝ:.{ ‐j弋zﾘ_ｊ;.ｨ: ; ｲj､ （
', / ヽ ｰ､｀ ｀ ´ .'ｿ/ ､ `r' …父上が、お前の父・但馬守から
} / /: :Tﾊ. ヽ _ /:.ji_: ヽ. { 天下統御の術を学びたりと申されたこと、
ｿ ,: : : :|: :.:＼ ￣ イ: (__:）: :',＼､ .今こそ得心した思いだ。
{: : : :.!: : : i. ＞ - ´ i:.}: : :!: : : :} ｀
_. . . ＿_ゝ:_:_:,:-／l 、 ヽ'ｰ-,:､;.:_ﾊ
. _. .: : : : : : : : : : :{: :ｆ .{＿ :. / ＿.ﾉ .}: :.ヽ-. ._
/:_: : : : : : : : : : : : : :', ＼￣ ｀ ､ , -‐＿／ .ﾉ: :./: : : : : : : .、
{ {/＞ｰ-:_: : : : : : : : ＼ ￣￣￣￣´ -‐ .／: : : : : : : : : ; :-､ヽ
／￣￣＼
／ ⌒ ⌒
/ （●）（●） 勿体無いお言葉でございます…！
.| （__人__）
.| u. |r┬| | （よかった…！
ヽ `ー'./ 上様に新陰流を教授して8年…。
／ヽ ノ 今ならご理解頂けるとは思うていたが…！）
／ ⌒ヽ '´(
/ ,＿ ＼ ＼／＼ ＼
と_＿＿）_ヽ＿つ_;_ヾ_つ.;.
明暦二年（1656）以来、既に8年に渡って新陰流の教授を続けたことから、頃合と見たのであろう。
寛文四年、宗冬は家綱に宛て、伝書を献上した。
（この時、献上した伝書の詳細は不明）
309 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:29:07 ID:EyemU/3c0
_ -― -､
if´r'Y-ﾍ-ﾍ＼
＼/ `-くｽー＼
＼/´７_￣＞＼
＼7´フ´⌒ｼ＼
＼7´ｽ´⌒ﾌﾞ＼
＼７'ｯ''´￣ｽ＼
＼ﾇ`< /￣ﾌ＼ ｀Y´￣￣￣￣￣￣￣ヽ
＼ス´7i￣フ＼ | そこで、だ |
＼７ 元￣７l＼ ゝ＿＿＿＿＿＿＿,ノ
＼ブ人ｒ' て)＼
＼ ,へ个'￣ii＼
＼ ７´ﾌ'ﾟ´ヌ'＼
＼,,ヘ,ソ￣ｽ＼
＼ ,へ人ち) ＼_,,-―-- 、
＼,,/ -‐７￣ii<⌒)iillliiiiiヽ
／:f⌒ﾌiiiiii_, ,- ヘ'iir‐ｧiii|
/iiiiiiii＼ｌ .fl _ -ｰ 'へ+´iliil
liiiiiiiiif⌒ヾ へ ::::::::::::::::､,ノ ｽｯ…
ゝ,iiiiiiﾍ ＼;;;;;;::::::::::: ==ベ ＿
`ー-ヾ__ ＼fr _..- ￣ ´ ヽ_
ｌ γ´ -― ￣ ヽ
l , - ― ´￣´ ヽ、
ﾉ／ --―--<
/ ＿y_ 'l
ー―---＝ ＿ ＿＿__ ノ /´￣::::::::::::::＼l
￣￣￣￣￣￣ヽ, へ/'::::::::::::::::::::::＼
ｌ ‐´ ＼;;';,::::::::::::::::::::＼
: : : : : : : : : : : : : : : : : :. . . . . . . . il ＿＿,, -―' ´ ＼;,::;､:::::::: ::::::::＼
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :. . . . . . . . l|7-‐' ´ ＼;;,;､:::::::::::::::::::＼
＿:::::::::::::::::::::: : : ::::::: :: :: : : ::-::: :: : : / ＼:｀::::::::::::::::::::::＼
:::￣::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::: ::: :: : : : : l
:::::::::::::::::: : : : : : 7:::::::::::::::::::::::::::::::: : : : : :: :il
::::::::::::::::::::::::: : ; ': :::::::::::::::::::::::::::::::::::: : : : :/
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: : ／
310 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:29:42 ID:EyemU/3c0
／
／./
＿- ､ ,. '" 、 ,.' ./
｀ヽ 、 ,.-‐: : : : : ヽ:）': : : :.｀ヽ ,.' '
. ヽ.＼ :´: : : : : : :=-; : -‐: : : : :＞､ / .{
. ヽ j/: : : : : :'": : ; :､:ヽ: -:ヽ ,. ィ/ .｝ ',
V. ＼ /ゝ: :／: : : : :/: : : ／ , }:} : : / ./ ／- ､
', ／､ゝ、｀"'ｰ-----‐'" ／:ノ-､:/ ' ／./:ヽヽ', ._
} / ./: : :＞ 、 ,.'"--､ヽ （__': : : :.:ヽ {/ {ｿjﾉ: ﾉィ: :｀ヽ
. {ヽ./: /: ;.-‐ﾉ .i { ::::} .} ＿}:ヽ: : : l {＿_ ゝ´: :／ｰ-:ヽ} この備前長義と共に、
ﾞ, {: :.{: :l : : !-,.､_｀ー' ,イ⌒ヽﾉ: }: : ｿ!.{￣ {ｰ-＝-ー- 、 お前に、改めて誓詞を入れる。
乂: ､:.V: :.ゝ:.{/`i T´Vﾊ,.ィｒV}:.ｿ: /jヽ!､ {: :ノ- ､: : : :.ヽ
､_.ゝノゝｰ ヽ弋ッ､､ ｊﾉ-ゝ'゛ﾉｲｿ.ｲヽ:ヽ',ー-- . ._ ヽ:）: :｝ これからは、
_ -}: :ハ: :ゝ-｀ ヽ ´ ﾊ」ｔ.ｊﾉ: : ｿ: : : : : : : ＞､ソ .師と弟子ということになるな。
／: : :ｊノ: : :ｿ:.ヽ ｀- ‐ ／ (＿)/: : : : : ＞ ''"￣ ヽ',
./／/￣＼: : : : :.l { ＞ _ .イ_ -/ /: : : ／ ´ ヽ. }
..{: :/ ´ ヽ: : : {､＼ ヽ Y _ ' /: : : / / / }ﾉ
／￣￣＼
／ ＼ /
/ （○）（○） そ、それは…！？
.| u. （__人__） なんと、畏れ多い…！！
.| |r┬| |
ヽ `ー'./
／ヽ ノ
／ ⌒ヽ '´(
/ ,＿ ＼ ＼／＼ ＼
と_＿＿）_ヽ＿つ_;_ヾ_つ.;.
311 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:30:12 ID:EyemU/3c0
_ -- ､ｰ.､
, .:´: : : : : : :ヽｿ,.-‐ ､
` ､ ,.': : : : : : : : : :ヽ: :.⌒:.ヽ
ヽ ＼ ／"'＜: : : : : : : :｀: :.ヽ: : : :', -
ヽ. ＼、 ,.: : :.＞､ ｀＜:.＿_: :.＞ ''"´ ヽ. , '"／
' l､ヽ／: ⌒: : : :.} , -―-､ ,. ＜´: ヽ、 ／ '
' /: :.／: : :.＞' .{.i´::.ヽ.}.} .{: : : :ヽ: :.:／./ /
} {: : {: : : /＿ - ､乂__.ノﾉ ゝ､: : :.Y ／ '
}、￣乂:.V: /´:./l: :/ /ー-┬i"⌒:＞!: : :.}.{＿ { …飛騨、父上と但馬守のように、
, ,.{ヽ､:{: : {‐l:ｲ､_{:i: / }:.l _,.ィ}: :j: : :ﾘ/ , '´ 師として、よろしく頼むぞ。
ｊ／ ｊ .{.ｒゝ: ヽ弋ｚjゝ:.{ ‐j弋zﾘ_ｊ;.ｨ: ; ｲj､ （
', / ヽ ｰ､｀ ｀ ´ .'ｿ/ ､ `r'
} / /: :Tﾊ. ヽ _ /:.ji_: ヽ. {
ｿ ,: : : :|: :.:＼ ￣ イ: (__:）: :',＼､
{: : : :.!: : : i. ＞ - ´ i:.}: : :!: : : :} ｀
_. . . ＿_ゝ:_:_:,:-／l 、 ヽ'ｰ-,:､;.:_ﾊ
. _. .: : : : : : : : : : :{: :ｆ .{＿ :. / ＿.ﾉ .}: :.ヽ-. ._
/:_: : : : : : : : : : : : : :', ＼￣ ｀ ､ , -‐＿／ .ﾉ: :./: : : : : : : .、
／⌒｀"⌒ヽ、
／,, ／￣￣￣＼
/,／/:: ＼ はっ…ははあっ！！
;/⌒'":::.. |⌒ヽ
/ /､:::::... ｜ヽ_ ＼ . （私が…この私が、父上と同じく、
_＿（ ⌒ー-ｨ⌒ヽ、 /⌒`ー'⌒ ） 上様の師となるとは…！！）
━━━`ー──ゝィｿﾉ-ヾy＿ﾉー─━━
寛文四年十二月二十八日、
将軍・家綱は、宗冬に誓詞を入れ、改めて師弟の縁を結んだ。
この時、合わせて備前長義の刀も沿え、また宗春にも時服を与えている。
この時、遂に宗冬は、名実共に将軍家の兵法の師となったのである。
【徳川実紀（寛文四年十二月廿八日）】
『柳生飛騨守宗冬、剣法の秘書を献じければ、御内書に備前長義の御刀添て給ひ、内膳宗春に時服三下さる』
【玉栄拾遺】
『厳有大君（家綱）新陰ノ術歎賞シ玉ヒ、誓詞且備前長義ノ刀ヲ賜フ。
.代金十五枚、折紙添、無銘有樋、長サ二尺三寸也。内膳宗春公ェ時服ヲ賜フ』
312 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:30:41 ID:EyemU/3c0
￣:.:.:.:.:.:.:.......
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＞
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:./:.:.:.:.:.:.:.′:.:./y ＼:.:.:.:.!:|:.ﾊ
:V:.:|:.:.:.:.:.:l:.:.／ ′ l}:.:.:.:ﾉ!:|:.:∧
Y:.l:.:.:.:.:.:l{:.! ﾞミﾐry:.ｲ:./ｲ:.:ｲ} ヽ .…随分長く掛かったけど、
′:.:.:.:.:.:ﾊ{ ﾞ ′´ ′:.l ようやく宗冬もここまで来たね。
:.:.|!:.:.:.:.:.| ﾞﾞ （:.:.:.:.:ﾘ
:.:.|:.:.:.:.:.:| ゝ:.:.i|
:.:.|:.:.:.:.:.:| ， ／:.:.:.:.|
:.:.|:.:.:.:.:.:| ｀」⌒┤:.:.:.:.:.|
:.:.|:.:.:.:.:.:| l ′ ハ_:.:.:.:八
:.:.|:.:.:.:.:.:|ー i | j / ﾉｰ､ ｀
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:.ﾘ:.:.:.:./ | ー/ / ,ｲ!
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＞'''": : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :＼,
＞'" : : : : ::: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ,
,,,-'''"-'/ ::: : :: : : : : : : ::...: : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
/::: :::./ : ::: : :::: : ::: : : : ::::...: : :::.: : : : :..: : : : : 'l
・将軍家兵法指南就任 .. /::/: :::::: :.. :::: : :::::.: : : : :::ヽ:..: :::.: : : ::::..: : : : :'l
・諸大夫成 ... /::/::::|:::: :::: : :. ... :::::..: : : : ::ヽ::..:::.: : : ::::::.: : : : l
・雁間詰 . l:::/|: ::l:::::: :/|: : ::::|: : ....l.. l ::::::: : : ::: l
..... |:/ |: ::ヽ:::l:|┤: ::::|ヽ: :::l､:::::::.. : :.|::::::::: : : ::::::::: : : :|､|
かつて宗矩が歩んだ道を |l |:::1ヽ:|ﾑヾ、:::.l ヽ、ﾒヽ、::::..::|:::::::: : : ::::::::: :::: :l ヽ
宗冬も歩んでいる。 .. .' ヽ:ﾄ､:::lﾚﾅﾄﾞ.､:::l ヾ､￣'-,,,l::::::::: : : ::::::::::::::::/
..... |l ヽ:::|ﾚ|ｶ ヽ . ﾄ''''''ﾄ,,,,, |::/:::: : :/､::::::/:/
残るは、あとひとつ。 l:::| " / .ﾄﾅｶﾞﾚ l:::|::::: : /| |::/|/
l:ヽ、ヽ ''''''''' /:/::: : /.／/ .'
.l::::|ﾄ､ - .//l::: /"::/
.l::|' ＼" __,,,/:ｸ::: :/|/l/
ヾ ''''''''l"-,,/':/:／,-l'''':ヽ
313 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:31:20 ID:EyemU/3c0
＿＿＿＿
,..::'´:::::::::::::::::::::::｀::...、
／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::::::::::::::::ﾍ
.':::::::::::::/:::::::::::::::/::／､::::::::::::::::::::::',
ｉ::::::/::ｲ}ｲ/}ｨ:::://ｲ⌒ﾍ::::::::::::::::::::::
|::}ｲ:Ⅵ} rfﾊ}イ/ r示ﾐ､}ｨﾄ{ヽ:::::::::::i そうだね。
|::|:ｉ:::}::ﾄ ゞﾟ' 弋zりｲ:::::|ｲ::::::::::::|
ﾉｲ::::ﾊ∧ ' |:::::::::::::::ｉ:::::′ ちなみに、家綱の入門の件だけど、
／:.:.}ｲ从}ｲ＼ ｀ ´ ｲ::::ｨ:::ｉ::/:::/ 早速、翌年には印可を出してるね（※）。
／:.:.:.:.:.:.:／ _≧-r‐ ' /イ从ｲ/ｲ/ .まあ、この辺りはそういうものだろうけど。
／:.:.:.:.:.:.:／ ,..::ｰ:.:':.:.／ } ＼
. ／:.:.:.:.:.:.:.;ィ:-‐':.:.:.:ヽ／ ､ _rf＞=ヘ
/:.:.:.:.:.:.:.／:.:.:.:.:.:.:.:.:／ヽ＿´￣/／.:-:.:‐.:.:＼ ※【徳川実紀(寛文五年九月十五日)】
. /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./＼ ＿_... ７ｲ:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:} 『柳生飛騨守宗冬剣術の印可状に関孫六兼元の刀そへて奉る。
. ゝ=ｰ- ---‐一 ¨７:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.{:/:.:.:.:.:.:.:.:.:./ よて御座所にして志津の御脇差を給ふ』
{:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:./
. ゝ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:./
. _,. ─ ､. -- ._
／ ｀ヽ
／ 、 、 ＼
/,. ,. / l. | ヽ ヽ ヽ. ヽ
/ / i'/ / ,| | ,! | ',. ！ ',
∠-7 j |.| | ./| ,1 ハ. ハ | |l. l |
あと、更に翌年には、 . | | |l.',. } ﾅTｧ-| ./ l./'''Tﾅ{. ,ﾘ |1
改めて何かを献上している(※) .... l！Mヽ.{<ｨﾃtﾄ !' ' t5ﾓト,.ﾚ!' ,1 ,!
. 1',l.| ﾞﾄ 'ぅり , 2tﾀ / /,!'
「傳授の一箱」とあるけど ...... ｀| l. ｢ヽ __ /! ｲ/
これはどういうものなの？ l.ﾄ. |l. ヽ､ _,.ノｲ/ |!
｀ ヽl ﾍゝl｀ - ´lﾙ ′
／.ノ ヽﾞヽ、
_.. - ´ L._,. -- .._...| ｀ ‐ ､._
,f´l. | 「 _, - ､._j / / ｽ
※【徳川実紀（寛文六年十二月三日）】
『柳生飛騨守宗冬長子大膳宗春めして御兵法あり。
宗冬より傳授の一箱を奉る』
314 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:31:42 ID:EyemU/3c0
＿＿
_ - ´: : : : :｀ ー ､
／: : : : : :.:.ヽ: : : : : ::.:.:.:＼＼
／: : : : : : : : :.:.ﾍ: :. : : : : : .:.:.ヽ.:＼
'´.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/ハ: :.l: :!: : : : : :l
i: : : .: : . :. {.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/ハ.: !: : : :}
|: : |: :.|: : : |::.:.:.:.:.:....:.:.:..:./.:.;.': /l: : : l : ;′ その辺りは記録がないから、なんとも言えないなあ。
|: : |: :.|: : : |::|: : ::.:___ｲ.:/;/Vく : :./}:/
＼|: :.|: : : |:.|: : :∠rﾃﾃﾐ tり:.:/ l/ ただ、将軍家に献上する伝書、ということで考えると、
＼|ヽ: :|.:|: : :弋弋zソ ヽ jⅣ 「兵法家伝書」である可能性はあるかな。
}ヽ仆ヽ: : : :lN _ _／: :l
／￣￣｀`ヽ､: レ'´￣｀): : : :l
／ V `ー ﾕヽ.:.|
| ﾕ､l../
| l ﾊ'′
.. ＿
,, -''' ￣ '' ー 、
／ ＼
／ ＼
/ ＼
/ | ｀,
/ ! | / ',
…宗冬自筆の可能性は？ /. | li＿/｣`___ || | / ',
.. /. | | V l/＼ 7Ⅵ ／ / / l
確か宗冬自筆の伝書は . l | ヽ |イ.干≧ﾐ l ／//7ヽ/ﾚ/ / l
幾つかあった筈だけど。 .| /l ヽ ヽ! 代ｭ ::}.l !／ ィ≦干下ヽ／ l
ﾘ. l lヽ | 弋辷ソ 代ｭ ::}.l/ ／ /
l. | ヽl , 辷匕リ /' /
| | | / ／./
ﾍ | | _ _ /／ /
_,,,-‐‐l ト､ |､ ´ ／´ /
,,- '' ,ﾘ | ﾄl＼ ／／／/l /
/´_,,,-‐'''´￣｀ヽ､ ﾍ| ヽ__ヽ､_ ,, ｨ -／／／ l/ ﾝ'
ﾚ´ ＼ ヽ￣ヽ /_/／／ '
／ ＼ ヽ^ |/ﾍ/／￣￣｀ヽ
315 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:32:22 ID:EyemU/3c0
_ - ￣｀ ー
／ ＼
, ' ,､ ､ ヽ
/ / ,ｨ ｨ/ ヽ ! | ヽ 宗冬自筆の伝書は
,' l , -‐-x i / ｲ-─ﾘﾊ l ﾍ ',
i l ｧ≠､/ ィﾆﾃ!/ l ! 『宗冬兵法聞書』
,'.| ゝﾄﾍﾋノ , ゞ-ｨ fヽ | l 『我が心は前鏡の』(仮称)
! ! ヽ_', _ __ ｜ f ' i i 『飛鳥川流』(仮称)
{ ﾄ ヽ､ ,ｲｨ/ ｨ i l,'
ﾄゝヽﾍ_､-､_｀ t - イ /!ィハ/ｿ この辺りになるんだけど、
r z' ,k-､ いずれも宛先はなかったり、門弟宛だったりで、
_ ┬ ﾍ 只 ／`7-､ 将軍家に献上するというものじゃないね。
／ ', ', ヽ/ ヽ' / / ＼
二￣＼_ j｀ヽ ヽ 丶 / / j ヽ ／⌒二つ.. あと、『宗冬兵法物語』というものもあるけど、
/ )､ ' ヽ ヽ , ' , ' ﾑ { /{ ｀ー . これは庄田喜左衛門が宗冬の言を口述したものだから
, , / 弋ミﾐ} ＼＼ _／／ |彡 V ＼ ちょっと違うしね。
,/ / ／ ﾍ 7 ＼ ／ ,' .! / 厂
_/^´ | V Ｙ / {_/ ／
ヽ } } | ! {/ ／
.. ／ ヽ
／ , , ' ヽ
/ / / / / , / ヽ !
〃/ / ! l / ! ! ヽ | !
なるほど。 . │ ! ! │ { ! | ヽ ! ! ! |
.. ! /{ {. ﾄ｀ ト､ |ヽ !＼ ,ム‐ﾊ| } l
ただ、家綱だけでなく、 ... ﾚ ! iヽ !,,====ﾐ､＼l ,,====ﾐ ! l l !
綱吉からも誓詞を受けている事や ヽ |.-ヽ!'<fえヶ.ll, - ､ll ｲkか>l ,!､ ﾊl
鍋島家・細川家に伝書の再伝を . /, ﾆヽﾄ ゞ-' ノ ヽ ゞ-' ,' / ﾉﾘ
出している事などを踏まえると、 ,'/ﾆヾ 人 ｀_ / /ﾘ´
立場と歳に相応しい評価があったと { /ﾆヽ ヽへ ィ ﾊl
考えてよさそう。 ... ヽ、ヽ } | ＞ _ , ィ´/ノ-､
_,' ﾚ′_,-‐l ／ ヽ
__/ | /､‐'/ ／ , ' ＼
/ ─ ' } /へ、 ／ ＼
{ / / ヽ､ , ' ィ ﾆ二二＼
, ｲ ,' 〉/ ／ ／／ , -―─-}
／ / / ／ ／／ ／ !
316 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:33:18 ID:EyemU/3c0
__ __
ｨヽ-'⌒Y´ ├´ レ､
､-< ` Ｌ,
, ‐く .ゝ‐.::: ￣￣::::`. .､ ! く
ゝ ／:::::::::::::::::::::::::::::::::::: ＼ 冫
｀７:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ ゝ
/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::::::::::::::::ﾍ
':::::::::::::/:::::::::::::::/::／､::::::::::::::::::::::', そうだね。
ｉ::::::/::ｲ}ｲ/}ｨ:::://ｲ⌒ﾍ::::::::::::::::::::::
|::}ｲ:Ⅵ} rfﾊ}イ/ r示ﾐ､}ｨﾄ{ヽ:::::::::::i 宗冬も、寛文四年の時点で52歳。
|::|:ｉ:::}::ﾄ ゞﾟ' 弋zりｲ:::::|ｲ::::::::::::| 宗矩が「此の道の滋味を得たり」とした
.ﾉｲ::::ﾊ∧ ' |:::::::::::::::ｉ:::::′ 知命の年を越えている。
}ｲ从}ｲ＼ ｀ ´ ｲ::::ｨ:::ｉ::/:::/
._≧-r‐ ' /イ从ｲ/ｲ/ 嫡男・宗春もかなり評価されてるようだし、
ヽ-iﾚ _,r'￣i 一兵法者としても、兵法指南役としても、
ﾉ ,ｲ|／´.:.:.:.:.:.＼ この頃の宗冬は、円熟の時を迎えつつあったと
/;;;;;;;;;;／ , イユﾉ 見ていいだろうね。
/;;;;;;;／ ／ __」;;;l
ｒ､/;;;;／ , ｨ＿.ﾉ;;;;;;;;;;l さて、それじゃあ、いよいよ
〃＿＿＿ / ￣ / 」;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l 柳生家が失った「最後のひとつ」が戻る時に移ろうか。
l ヽー-､ヾ ,' ）ノ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l
ｌ ｉ l i 〈;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ｌ
,ｲ l l l ', ゝ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;」
/ l ,' ｉ l＼.l ＿＿ /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;」‐ '´
/ l / l l /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/
/ l ノ l ト;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/／＼
/ l l L;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;／i-ー ､l
＼ └ー-- '´i｀‐--┘l ｀＼;;;;;;;;:／ ト、 ＼
｀ ‐--‐ '" ´ ｒ┴‐ '"´ ｀.プ┤ヽ ／
,ｲ ／／;;;;;;ヽ 「
/ ! ／￣::T::r.､ノ
/ ／::l::::::l:::::l:::l::::',
317 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:33:54 ID:EyemU/3c0
家綱から誓詞を得た時から四年、寛文八年(1668)の年末…。
l | | ＼=＼ ========================================================== ／=／´ | |
l | | ＼=＼//////∧/////∧///////// |///l////////∧/,/////∧////////／=／ | |
l | | ＼=＼================================================== ／=／ | |
l | | ＼=＼ '///∧/////∧///////,|///|,'//////∧/ /////∧ ////／=／ | |
l | | |'＼=＼,'=========================================,／=／ | |
-| | | | ＼=＼// ヽ'////∧///// |///|'/////∧/,/////∧//／= '' | | | | _
ニ<>=-,, | | =＼================================= ／='' | | _ -=<>ニ
ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ=- | l ＼＼'/ﾞ＼//∧////|///l////∧/ //／//／-'' | | _ -=ﾆニニニﾆ=-
'' -=ﾆﾆﾆﾆﾆ=- _ | | 「＼＼＿＼＿__＿_l_____|＿__/____,／___,／' | | | |_ -=ニニニ=-
'' -=ﾆﾆﾆﾆ=- _ | | ＼::==========幵==========:ィ' | | _ -=ニﾆ=- '' _
=- _ '' -=ﾆﾆ=- | | | |王王王王王l |王王王王王| | _| | -=ﾆﾆ=- '' _ -‐=ニニ
-=ﾆニﾆﾆ=- _ ||＿＿'' -=ﾆ=- _|_|王王王王王l_|王王王王王|_|_ -=ﾆ=-＿＿||_ -=ﾆニﾆ=-rr--‐
|!￣ i!---r--幵==========- 幵----------|ol --------- 幵-======= 幵--r‐ |i ||
|! |! |! | | i 干-==|==| |===幵============ 幵===| |===-干 ; | | | |l ||
|! |! |! | | | | i | | | ＼ |:| |:| |:| |:| |:| ／ | |__|| | | ｉ | | | |l ||
|! |! |! | | | | l_,,γ´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣｀ヽ|| | | | | | | |l ||
|! |! |! | |jI 斗t≦ニ l …待たせたな、飛騨 | ニニ≧s | | | |l ||
|! ,jI斗t≦＿＿＿＿＿_ _ 乂,_＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ﾉ.s _＿＿________ ≧s _|l ||
jI斗t≦――――――‐_ r≦: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :≧s _ ―――――≧s , ||
￣￣￣￣￣￣￣￣-================================================-￣￣￣￣￣￣￣
＿＿＿＿＿＿ r≦: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ≧s _＿＿＿＿＿＿
＿＿＿__ r≦:＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_≧s ＿＿＿＿
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／ ／／ ＼＼ ＼
／ ／／ ＼＼ ＼
／ ／／ ＼＼ ＼
この日、宗冬は城に召し出された。
318 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:34:27 ID:EyemU/3c0
)ノ)
,. -‐'⌒::::'⌒ヽ、 ,､
ｒ'´`ｰ､_,.---､_,.-‐'´ヽ ／/
r ､ ／::`ｰ-､ r==､ ,.-‐'ヽ ／ /
＼｀''-､_／::::::::::::::::::〕 ll ll 〔:::::::::::::＼_／ /
＼ |:::::,ィ::::::::／ `==' `''┐::i:::/ | （
） Ｖi:::l:::／ｒ‐‐'⌒ｰ-‐i'⌒'┬':l:::ﾄ:lo.l , '⌒
⌒ヽ l/l〈::/|/!_∠!∧::::| ___!/|/:::ヽl / 家を継いで18年。
〉 i⌒ﾄ､<,ｒ‐-ﾐ､j;ノ,／-‐' /⌒i/ .〉
ヾ､ヽ.(ハ （ (:l l:) ） /ﾌ) /| .〈 兵法指南役となって12年。
| .｀>-ﾍ ￣ (!. _,￣ /-‐'´l ＼|
| /!::と):ヽ、´￣ ／::と)::〈 我が師となって4年。
`_rV-､_::_| ` ー '´|__!:/V＾′
_,.．-‐'´ ｒ'＾rｰ'´ .`ｰ‐r-'/⌒iｰ――-
_,. -‐'´: : : : : : : ＼＼`ｰ-､ _,．-‐／／: : : : : : :
: : : : : : : : : : : : : : :`､`ｰ‐----‐‐‐'´／: : : : : : : : : :
: : : : : : : : : : : : : : : : `ヽ､ ／: : : : : : : : : : :
`ｰ-‐'´
／￣￣＼
／ ─ ─
/ . （●）（●）
.| u （__人__） ………。
.| ｀⌒´|
ヽ ./ （…なんの御用であろうか？
／ヽ ノ もしや…いや、しかし…）
／ ⌒ヽ '´(
/ ,＿ ＼ ＼／＼ ＼
と_＿＿）_ヽ＿つ_;_ヾ_つ.;.
319 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:35:00 ID:EyemU/3c0
/| ＿_
/ | _,..-‐―`＝)-､
/ i-,‐'::::::::::::::::::::::::::;;;＞-､
/ ｌ（:::::::::::::::::::::,--,:::`‐'"~::ヽ ,,-‐"~/
,...-‐"~ ＿l ヽ----‐" .／:::::::::::::::::::::ヽ､／ /
.／フ'／::::::::> /⌒ヽ 'ー-､＿::::::／￣/ /
./~/:::/::l:/ ,、ヽ--' ,-―-､＿ `（ / /
ｌ ∧::l:レ' ヽ┬┬'￣|） ヽ:::::::::￣ｌ○ ｌ_＿＿（
V （::|::::::l ┬､i::::i =ﾆﾆ二ｌ:::∧:ｌ⌒i ｒ-' /' 本来、家も、流派も、
`i:::::i::l￣゜ｌ､:::l ‐┴┴|::ｌ .|:| ∧ ヽ ＼（ 継ぐ身でなかったお前が、
|::∧:l / ヽi /ﾉ ﾉﾉ/:::::ヽ | /` .よくぞここまで勤め上げた。
ｌ:;l. ヽi､ヽ_ ノ' /人::::::::lヽ |
V 〉､ ￣ ／（ﾟдﾟ）::::）ヽ | その働きを賞し、
|/ヽ＿__,....ノ _,. -‐"Yヽ､V .今こそ、お前の悲願を叶えようと思う。
/ / _,. -‐" _,. -‐" `ー-､
/ /_,. -‐" _,. -‐" ヽ
/ _,. -‐" ｜
／￣￣＼
／ ＼ /
/ （●）（●） …う、上様。
.| .u （__人__） それは、もしや…！！
.| |r┬| |
ヽ `ー'./
／ヽ ノ
／ ⌒ヽ '´(
/ ,＿ ＼ ＼／＼ ＼
と_＿＿）_ヽ＿つ_;_ヾ_つ.;.
320 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:38:25 ID:EyemU/3c0
_ -- ､ｰ.､
, .:´: : : : : : :ヽｿ,.-‐ ､
` ､ ,.': : : : : : : : : :ヽ: :.⌒:.ヽ
ヽ ＼ ／"'＜: : : : : : : :｀: :.ヽ: : : :', -
ヽ. ＼、 ,.: : :.＞､ ｀＜:.＿_: :.＞ ''"´ ヽ. , '"／
' l､ヽ／: ⌒: : : :.} , -―-､ ,. ＜´: ヽ、 ／ '
' /: :.／: : :.＞' .{.i´::.ヽ.}.} .{: : : :ヽ: :.:／./ /
} {: : {: : : /＿ - ､乂__.ノﾉ ゝ､: : :.Y ／ '
}、￣乂:.V: /´:./l: :/ /ー-┬i"⌒:＞!: : :.}.{＿ { そうだ。
, ,.{ヽ､:{: : {‐l:ｲ､_{:i: / }:.l _,.ィ}: :j: : :ﾘ/ , '´ お前に、千七百石を加増する。
ｊ／ ｊ .{.ｒゝ: ヽ弋ｚjゝ:.{ ‐j弋zﾘ_ｊ;.ｨ: ; ｲj､ （
', / ヽ ｰ､｀ ｀ ´ .'ｿ/ ､ `r' …この意味が、わかるな？
} / /: :Tﾊ. ヽ _ /:.ji_: ヽ. {
ｿ ,: : : :|: :.:＼ ￣ イ: (__:）: :',＼､
{: : : :.!: : : i. ＞ - ´ i:.}: : :!: : : :} ｀ ＼＿_人人人从_／
_. . . ＿_ゝ:_:_:,:-／l 、 ヽ'ｰ-,:､;.:_ﾊ ＿） （＿＿
. _. .: : : : : : : : : : :{: :ｆ .{＿ :. / ＿.ﾉ .}: :.ヽ-. ._ ） ……！！ （
/:_: : : : : : : : : : : : : :', ＼￣ ｀ ､ , -‐＿／ .ﾉ: :./: : : : : : : .、 ￣￣） (￣￣
{ {/＞ｰ-:_: : : : : : : : ＼ ￣￣￣￣´ -‐ .／: : : : : : : : : ; :-､ヽ ／⌒YY⌒Y⌒＼
. V/// ｀ ､: :.＼: : : ＼ ‐- ._ ／: : ; : : : :＞ '"_＼/:./
. ヽ/ ヽ: :.ヽ: : : :＼ ／: : : :/: :.／ ￣ ヽ'
､ ＼ : : : : : : : ＼＿／: : : :i: /: :/ ／ }
l - ._ ヽ: : : : :＿: : : : :／:＿:{:.{:./ ／ /
. l ｰ-､／ ＞‐＜_,ヽ、ハ' '" /
l L,ィ､／ ／ ＼ ヽ＼、 ,'
l ／/ ./ { ヽ',＼ ` '
. ', / / / ! ､ ヽ /
ヽ / ' / ./ ヽ ｿ /
. ＼ { ｀ , '
【徳川実紀(寛文八年十二月廿六日)】
『柳生飛騨守宗冬千七百石益祿ありて万石になさる』
321 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:38:55 ID:EyemU/3c0
:
i
;
.|
|
|:
｡
|
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: ﾎﾟﾄｯ…
:!
.;: ｡
､ . | .｡
ﾟ ,､人,､'
｀^⌒^´
322 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:39:37 ID:EyemU/3c0
｀丶＝二ー－＿、＿ 、 │ ＼
:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;｀￣──＿＿二三三二｀＼＿」│ ∥ │
;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;;::;:;:;:;:;:;:;: ;:;:;:;:;:;:;:;:;: ∥ │
;:;:;:;:;:;:;:;:;: ＞ ─￣´二￣￣ 丶＼;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:＼ /
＿／ ,ィ炙ノ ㌧ ＼;:;:;:;:;:;:;:;:;:│ ﾉ / お、おおぉ……！
／／ ,彷/Ｏ ﾟ亥. 心 〉 ;:;:;:;:;: ﾉ／/－
く│ 以亥亥主主/! / ／／二 う、上様…！
ｉ Ｗ圭靈圭' ,У / /／≡=、
ハ、 `冬圭竺才 ノ ;:;:;
＼＿＿ ;:;:;: ／
ｒ゛ .;:;:;:;:;:;:; ;: i.
i: ;:;:;／:;:;:;:;:;:;:: i:
l: /:;:;:;:;: i!:;
し . |:;: ｉ!;:;
323 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:39:55 ID:EyemU/3c0
／￣￣＼
／ ＼.i||i./＼
/ （＞） （＜）ヽ ……上様…！
.| 。'ﾟ~（__人__）~ | ありがたき…幸せに…ッ！！
.| o ｀⌒´。 |
ヽ . /
/ ヽ .ノヽ
/ .ヾ
)ノ)
,. -‐'⌒::::'⌒ヽ、 ,､
ｒ'´`ｰ､_,.---､_,.-‐'´ヽ ／/
r ､ ／::`ｰ-､ r==､ ,.-‐'ヽ ／ /
＼｀''-､_／::::::::::::::::::〕 ll ll 〔:::::::::::::＼_／ /
＼ |:::::,ィ::::::::／ `==' `''┐::i:::/ | （
） Ｖi:::l:::／ｒ‐‐'⌒ｰ-‐i'⌒'┬':l:::ﾄ:lo.l , '⌒
⌒ヽ l/l〈::/|/!_∠!∧::::| ___!/|/:::ヽl /
〉 i⌒ﾄ､<,ｒ‐-ﾐ､j;ノ,／-‐' /⌒i/ .〉 フフ…飛騨。
ヾ､ヽ.(ハ （ (:l l:) ） /ﾌ) /| .〈 朱印状を出すのは年を越してから故、
| .｀>-ﾍ ￣ (!. _,￣ /-‐'´l ＼| 喜ぶのは、それからにするがいい。
| /!::と):ヽ、´￣ ／::と)::〈
`_rV-､_::_| ` ー '´|__!:/V＾′
_,.．-‐'´ ｒ'＾rｰ'´ .`ｰ‐r-'/⌒iｰ――-
_,. -‐'´: : : : : : : ＼＼`ｰ-､ _,．-‐／／: : : : : : :
: : : : : : : : : : : : : : :`､`ｰ‐----‐‐‐'´／: : : : : : : : : :
: : : : : : : : : : : : : : : : `ヽ､ ／: : : : : : : : : : :
`ｰ-‐'´
324 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:42:22 ID:EyemU/3c0
_ -- ､ｰ.､
, .:´: : : : : : :ヽｿ,.-‐ ､
` ､ ,.': : : : : : : : : :ヽ: :.⌒:.ヽ
ヽ ＼ ／"'＜: : : : : : : :｀: :.ヽ: : : :', -
ヽ. ＼、 ,.: : :.＞､ ｀＜:.＿_: :.＞ ''"´ ヽ. , '"／
' l､ヽ／: ⌒: : : :.} , -―-､ ,. ＜´: ヽ、 ／ '
' /: :.／: : :.＞' .{.i´::.ヽ.}.} .{: : : :ヽ: :.:／./ /
} {: : {: : : /＿ - ､乂__.ノﾉ ゝ､: : :.Y ／ '
}、￣乂:.V: /´:./l: :/ /ー-┬i"⌒:＞!: : :.}.{＿ {
, ,.{ヽ､:{: : {‐l:ｲ､_{:i: / }:.l _,.ィ}: :j: : :ﾘ/ , '´ …これからも、励んでくれよ。
ｊ／ ｊ .{.ｒゝ: ヽ弋ｚjゝ:.{ ‐j弋zﾘ_ｊ;.ｨ: ; ｲj､ （
', / ヽ ｰ､｀ ｀ ´ .'ｿ/ ､ `r'
} / /: :Tﾊ. ヽ _ /:.ji_: ヽ. {
ｿ ,: : : :|: :.:＼ ￣ イ: (__:）: :',＼､
{: : : :.!: : : i. ＞ - ´ i:.}: : :!: : : :} ｀
_. . . ＿_ゝ:_:_:,:-／l 、 ヽ'ｰ-,:､;.:_ﾊ
. _. .: : : : : : : : : : :{: :ｆ .{＿ :. / ＿.ﾉ .}: :.ヽ-. ._
/:_: : : : : : : : : : : : : :', ＼￣ ｀ ､ , -‐＿／ .ﾉ: :./: : : : : : : .、
{ {/＞ｰ-:_: : : : : : : : ＼ ￣￣￣￣´ -‐ .／: : : : : : : : : ; :-､ヽ
／⌒｀"⌒ヽ、
／,, ／￣￣￣＼
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;/⌒'":::.. |⌒ヽ ははぁっ！！
/ /､:::::... ｜ヽ_ ＼
_＿（ ⌒ー-ｨ⌒ヽ、 /⌒`ー'⌒ ）
━━━`ー──ゝィｿﾉ-ヾy＿ﾉー─━━
325 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:42:59 ID:EyemU/3c0
そして…翌年の寛文九年(1669)十一月十五日。
. /: : : : : : : : | : : : : : : :ヽ: : : : : : : : : : : : l :i 丶
l : : : i : : : : | : : : : : : : λ: : : : :i : : : : : : | :l l
. l : : : .l : : : ハ: : : : : : :/ `､: : : .:| : : : : : : l :| ﾚ´|
| : : : : l : : :| .l : : : : : l ､: : : |､: : :i : : : .:|´.: .: :|
l : : : : :l : : l_ _ l: : : : : l 丶: : :|'､: : l : : : :|.:_.: .: l
. l : : : : :|'､: |`､`ヽ: : : :l__,,, -‐'､: ::|´､: l : : : :|´l;| /
lヽ: : : :l ヽ:lてょヽ: : :|｀-‐''てﾍ: :l.> ､l : : : :|､ﾉ/|
l.:l:､: : :l `丶ﾞﾝ ＼:|. 丶ﾞﾝ`l y : : : | | 待たせたわね、飛騨守殿。
l |:ヽ: :l l ヽ | : : : :|. |
| :丶｀､ | .| : : : | |
| : :ﾊ｀ヽ ｀ ｀ l : : : :| |
| : : :ﾊ ー ――‐' / l : : ..:|. .|
| : : : ::|.＼ ‐‐ ／ l : : : | l
| : : : :| i ｀ ､. ／ / .| : : .:|. i. l
. | : : : :| ll | ｀ -‐ ´ ./ | : : .:| l. l
| : : : :| || | /.／.| : : .:| | l
| : : : :| || _,,,ﾉ:｀ ,､ ,,､ｨ ´: : .:l : : : |｀ - ,,|_ '､
永井伊賀守尚庸
.（ながい いがのかみ なおつね）
＿＿＿＿ _
´:::::::::::::::::::::::::::::〕iト
ィi〔::::::::::::::::::::::::::::::::::＼::::::::::::::::::ヽ
.／:::::::: ´ :::::::::::::::::::::::::::::::::メ::::::::::::::::`:..､
/::::::::::/ ／:::::::/:::::::::´:::::::::::::::::::::､:::::::::::::::::＼
./::::::::::::::::::::::::::::::ﾐ:::::/:::::::::::::::::::::::::::::::ヽ::::::::::::::::::ヽ
′:::::::::::::::::::::::／ﾑｨ:::::::::::::::::二ニ= ::::::::::::::::::::ﾟ，
i::::::::::::::::::::::::::/ ｀|::::::::::::::::::::::::::::::::::::`:::.. :::::::::::::::ﾊ
|::::::::::::::::::::::::′ |::::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼::::::::::::: !／:7
|::::::::::::::::::::/ !l:::::::.、::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ:::::::: |: : :{ .これでやっと柳生家も
、:::::::::::::ｲ _＿＿_ 、::::::、:::::::::::::::::::::､:::::::::::::::::::::: ﾘ:_:_ﾉ あるべき格式に戻れる訳ですからね。
乂::::::川 ､ ` 乂::::::＼::::::::::::／ﾊ::::::::::::::::::::/: : : :ヽ
７ ぇ云ッ == ￣ l::::::::/ y }:::::::::::::::::ｲ: : : : : :} では、飛騨守殿…。
/ ￣´ |::／ .ｲ|:::::::::::::/: : : : : ／-ﾐ
、 ﾞ 厂 ヽ:::::::::{: : : : :ｲ⌒l: :冫
＿_ _ , ＼从: :／人==彡、
こ｡ノ }: |≠彳 ノ: :Y
ヽ ． ´ |: リ 厶イ: : : :!
ア´￣_ｿ ＼ ィ个 ィ才i/: : : : : : : :|、
(｀Y ／ ｀ﾇ : : : : : :ヽ .ィi〔: : }: ﾚ: : : : : : : : :/:＼
∨ ./￣≧ﾐ /: : : : : : : :l: : ＼ イ: : : : :/}:/: : : : : : : : ｲ: : : : : .、
| ′/ ___）_ , : : : : : : : : ｌ : 圦. /: : : : : : ｲ〃: : : : : : : : : : : : : : : : ＼
土井能登守利房
（どい のとのかみ としふさ）
この日、若年寄・永井尚庸、土井利房より、朱印状が授けられ…
326 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:43:43 ID:EyemU/3c0
γ ￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ヽ
| 柳生家一万石の朱印状、ここに授けます |
乂＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ノ
γ´￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣｀ヽ
l これを以って、柳生家は諸侯の列に戻ります。 .|
｜ ｜
｜ 以後、ますます忠勤に励まれますよう…。 ｜
ヽ、＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ ﾉ
_. -―――- ､._
／ ｀ヽ､
／ ＼
/ ＼
./ ､
/ ＿ ',
./ ｀ー ､. ､ -＝´､ ',
/ /.,:::::::ヽ , ,:::::::::::､ ', .i
.,' { {:::::::::i i i i::::::::::::} } | ……ははっ！！
{ ゝ ー ' ゝ -‐ ' ノ |
{ / ヽ |
i { i } | （ああ…！
{ ゝ_＿__ノ ゝ __＿_____ ノ | .父上…！兄上…！！）
ﾍ. /
＼ /
＼ ´
ﾞ＞ ､_ ／￣ ￣ ヽ、
i ／ ／ ＼
/ / ヽ
【玉栄拾遺】
『壱万石御朱印ヲ賜ヒ、永井伊賀守殿・土井能登守殿ヨリ村付目録ヲ渡シ賜フ』
327 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:44:17 ID:EyemU/3c0
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::::::::::::::: 又十郎は、やりましたぞ…！！ :::::::::::::::
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この日、遂に柳生家は大名に復帰した。
.宗矩の死後、失われたものは、ここに取り戻されたのである。
.宗冬、57歳の時であった…。
.
329 名前：やる夫で学ぶ柳生一族(その73)[saga] 投稿日：2016/11/15(火) 01:54:26 ID:EyemU/3c0
てなとこで、今回はここまで。
平日＆この時間で恐縮ですが、お付き合い頂けてれば、
ありがとうございます＆お疲れ様でした＞ALL
これまでのペースと比べると、
結構駆け足気味な感じではありましたが、
ようやく柳生家が大名に復帰できるところまで書けて、やれやれと。
正直、ここまでを「その73：柳生家復興」で〆て、
ここから先を、「その74」にする方がよかったかなーという気も
しなくもなかったのですが、当初の方針貫徹という塩梅であり、
折衷案的に、ここまでを「その73・前編」、この次からを「その73・後編」としまする。
さて、今回は宗冬メインの回であり、
旗本落ちした柳生家が、大名家に戻るまでの物語といったところになります。
十兵衛の死後、どうなったかはあまり知られてない江戸柳生家ですが、
実際、調べてみると、記述も結構あるし、タイミングを照らし合わせると、
存外にドラマがあるなあと改めて認識したり。
この辺は次回、また描けるかと。
ともあれ、次からは大名に戻ってからの宗冬と、
尾張柳生の兄弟二人、そして、終幕の物語となります。
（尤も、また分割になる見込みですが）
なるたけ本編は今月で完結できればと考えてますが、
結構な物量になりそうなので、溢れた場合、今年中でご容赦頂ければ。
それではまた。
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