2016年1月2日朝、ニュースに驚きました。ナタリー・コールの訃報。色々闘病が伝えられていたようですが、ライヴを精力的に行っていたし、近年来日も頻繁にしていたし、いつでも観れるんじゃないかなぁと甘く考えてました。信じられません、享年65歳。こんなに病状が深刻だったとは。。日本のニュースでも大きく報じられていますが、本国アメリカでもその驚き、悲しみたるや…。2015年最後にアレサの名唱が話題になりましたが、皮肉にもアレサの元日ライヴでナタリーを追悼することになるとは…。会場は、まだナタリーの訃報を知らなかった方も多かったのか、一瞬どよめく様子をYouTubeで観て、深く悲しくなりました。そこで披露された曲は急遽、ナタリー1975年デビュー作・タイトル曲"Inseparable" …
アレサとの繋がりも深く、1968年から8年連続で女性R&Bグラミーパフォーマンスを獲得し、その後ナタリーがアレサに代わって2年連続で受賞。R&Bの新時代を築いた歴史的なシンガー!無論、Nat King Cole の娘という肩書も不要なくらいに活躍を広げてきました。1980年代前半にはドラッグ問題にも悩まされつつも、1980年代後半から徐々にチャート復活を遂げ、1991年には名盤Unforgettable にて父を継承するが如くジャズにおいて、さらにはポップスの世界においても素晴らしさを知らしめた作品を生み出し、Album of The Year を獲得、これまでにも計8つのグラミー賞を獲得した孤高のシンガー、、、残念でなりません、いやー、もっと活躍してくれると思ってただけに。
今回、ナタリーのアルバムで取り上げてなかったものの中から選んだのは2006年のカヴァーアルバム。2015年12月31日に亡くなってしまった彼女だけど、2016年の今からだとちょうど10年前の作品。前作から3年半振りとなるVerve からの2作目、通算20作目のオリジナルアルバムでR&B16位・POP97位を記録。ジャズに傾倒することが多くなったナタリーにとって、R&Bに立ち返ったうれしくなるような作品でもあります。選曲も幅広く!1. Criminal
Dallas Austin pro. でスタートするはFiona Apple カヴァー。R&Bというより、クラシカルなソウルに仕上げてきた!ダラスと組んで、このオールディーズ感はワクワクする。サウンドもコーラスも、そしてナタリーのヴォーカルの躍動がタマラン
2. Old Man
Neil Young カヴァー。アコースティック風、ここでは何より低域すぎる声にグッとくる。サビなんかはカントリーも意識されたようで、さらにはサウンドのうねりも良いし、重なったサビの声も洗練されてて素敵
3. Day Dreaming
1stシングル、R&B77位を記録。1972年Aretha Franklin R&B1位・POP5位のカヴァーでもあり、ナタリーにとって最後のチャートインシングルになったのも特筆すべく点。これまでも、ナタリーは(一部R&Bライバルとして確執があったとも伝えられてきましたが)1999年のArista 25周年記念ライヴでアレサを紹介したり、2008年An Evening with Aretha Franklin では"Call Me" をカヴァーしたり。今回のアレサのカヴァーはアルバムに大きな軸としてR&Bの幹の太さを置くことに成功しているとともに、艶めいたカヴァーとして異彩を放っています!
4. Leavin'
Shelby Lynne カヴァー。ソウルでもあるんだけど、軸はゴスペルとバラードの癒し。語りだったり、興味深い進行だし、彼女の心がほんとじっくり堪能できるようで
5. The More You Do It (The More I Like It Done)
Ronnie Dyson カヴァー。やわらかいソウルのようで、キレも随所あるし、洗練されたポップさもあるし、とにかく楽しげ
6. Lovin' Arms
Tom Jans カヴァー。不思議な感触のフォーク曲、その場で紡ぐような流れでもあり、彼女の節々の表現が格好良く!
7. Love Letter
Bonnie Raitt カヴァー。アルバム後半、ボニーのブルースさではなく、ソウルに生まれ変わった曲。歌いっぷりだったり、クラシカル風な演奏も自分好み
8. Man With The Child In His Eyes
Kate Bush カヴァー。"With You I'm Born Again" のような滑らかさ・繊細さに、緊張感やシリアスさも加わったような深さ、深い・・
9. 5 Minutes Away
この曲だけ、オリジナル曲!Dallas Austin, Natalie Cole 共作。R&Bでもあるけど、だいぶゆったりした創り、アーバンコンテンポラリー。メッセージもだけど、案外骨太スロウで聴きごたえ
10. Don't Say Goodnight (Ladies' Version Slow Grind)
The Isley Brothers カヴァー。一部ナタリーによる詞も加えられ、しっとり、包み込まれるようなバラードにて。ゆったりしてて、まるで風と化すような美しさ
11. You Gotta Be
Des'ree カヴァー。アコースティックにて、意外性ある選曲だけど、しっかり歯切れよく歌われ、デズリーのような声の透明さも兼ね備えつつ、心地よく黄昏たい気分
12. If I Ever Lose My Faith In You
Sting カヴァー。なるほど、この曲だったのかぁ、サビ聞いて分かったんだけど、アレンジやヴォーカルも色々工夫されてて新たな息吹として
<Bonus>
13. I Think It's Going To Rain Today
Randy Newman カヴァー。ボートラってのが贅沢なくらい、心が洗われるようなゴスペルフィーリング、彼女の胸の内の浄化が伝わるように
本編12曲・52分半、国内盤のみボートラ1曲追加で56分半。改めて、重要なシンガーがまだまだお若いのに亡くなってしまい、ほんと悲しいです。R&Bという宣伝が強かったけど、飛ばしすぎず、ジャズからうまくポップに寄ったような作品でした。選曲、そして近年聴いてなかったようなアレンジやヴォーカルが広がっていて魅力!改めて、ナタリー・コールの音楽は17−18年くらい聴いてきたけど(確か初ナタリーはHolly & Ivy だったと思います)、ほんと素晴らしいシンガーでした。合掌、ナタリーの様々な音楽に感謝しつつ、今はただただ安らかにお眠りください、と心より。
<過去レビュー>
1975年 Inseparable
1977年 Unpredictable
1978年 Natalie Cole...Live
1979年 We're The Best of Friends with Peabo Bryson
1979年 I Love You So
1980年 Don't Look Back
1981年 Happy Love
1985年 Dangerous
1989年 Good To Be Back
1991年 Unforgettable... with Love
1994年 Holly & Ivy
1996年 Celebration of Christmas with Jose Carreras Placido Domingo
1999年 Snowfall on the Sahara
1999年 The Magic of Christmas with London Symphony Orchestra
2000年 Livin' For Love
2008年 Still Unforgettable
2010年 Most Wonderful Time of the Year
ナタリー・コール
ユニバーサル ミュージック クラシック
2006-12-06
Natalie Cole
Verve
2006-09-26