■2022/02/18(金) 名作ショートショートをAA化しよう 「無表情な女」 |
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![]() 短編まとめ 18禁短編まとめ やる夫&モナギコショートストーリーセレクション 307 名前:無表情な女(1/13) [sage] 投稿日:04/03/28(日) 08:14 ID:Fz07rSpd |______________| | / // | // / | | | | |._. ∧∧ | ._」 //! (,,゚-) ∧_∧ |.\\ // |ニ/,, ⊃■(∀` ..)二二二| \\ |||| |~て ) _) ( )⊃ | ..|||| |||| ./ (/ ∪__ |||__\ ̄ ̄\ .|||| ||||/ / (_)_) \ \|||| |||| ̄ ̄||| |\ |||| ̄ ̄..||| | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| |(´∀`. .) そこは空いてるのでしょうか? .| |(,,゚-) ・・・ええ・・・ .| 308 名前:無表情な女(2/13) [sage] 投稿日:04/03/28(日) 08:15 ID:Fz07rSpd | じゃぁ、失礼して・・・ \___________ __ |______________| V | / // | // / | | | | |_. ∧∧・・・ | ミ∧_∧ .」 //!. (,,゚-) | (∀` ..)\ // |ニ/,, ⊃■二二二二⊂ ..ノ \\ |||| |~て ) _) (⌒ 〇 |||| |||| ./ (/ ∪______し ̄ \ |||| ||||/ / \ \|||| |||| ̄ ̄|||| |||| ̄ ̄..|||| |______________| | / // | // / | | | | |_. ∧∧・・・ | ∫ ∧_∧」 //! (,,゚-) .| ・━-` ..)\ // |ニ/,, ⊃■二二二二⊂ ..ノ \\ |||| |~て ) _) (⌒ 〇 |||| |||| ./ (/ ∪______し ̄ \ |||| ||||/ / \ \|||| |||| ̄ ̄|||| |||| ̄ ̄..|||| 309 名前:無表情な女(3/13) [sage] 投稿日:04/03/28(日) 08:17 ID:Fz07rSpd | どちらまでおいでなのですか? \___________ __ |______________| V | / // | // / | | | | |_. ∧∧・・・ | ∧_∧」 //! (,,゚-) .| (∀` ..)\ // |ニ/,, ⊃■二二 ・━⊂ ..ノ .\\ |||| |~て ) _) (⌒ 〇 |||| |||| ./ (/ ∪______し ̄ \ |||| ||||/ / \ \|||| |||| ̄ ̄|||| |||| ̄ ̄..|||| (,,゚-) <・・・さあ・・・ (∀` ..) <気ままな旅というわけですね。うらやましいですな。 (,,゚-) <・・・さあ・・・ (∀` ..) <休暇をお楽しみなのですか。絵の題材でも求めてのご旅行ですか。 (,,゚-) <・・・さあ・・・ 310 名前:無表情な女(4/13) [sage] 投稿日:04/03/28(日) 08:18 ID:Fz07rSpd ――――――――――――――――――――――――――――――――― 女は青年の方を見ようともせず何回も同じような気の無い返事をした。 青年は少し反省し、頭をかきながらこう言った。 ――――――――――――――――――――――――――――――――― | いや、これは失礼しました。 | 突然なれなれしく話し掛けたりして・・・ \___________ __ |______________| V | / // | // / | | | | |_. ∧∧ | ∧_∧」 //! (,,゚-) .| (∀`つ.)\ // |ニ/,, ⊃■二二 ・━⊂ ..ノ .\\ |||| |~て ) _) (⌒ 〇 |||| |||| ./ (/ ∪______し ̄ \ |||| ||||/ / \ \|||| |||| ̄ ̄|||| |||| ̄ ̄..|||| (∀` ..)<僕は怪しげな男などではありません、 ちゃんとした新聞社に勤め、今は調査の帰りなのです。 ちょっとした話相手になってもらえませんか? ――――――――――――――――――――――――――――――――― そういって青年は名刺を差し出したが、女はそれを手にしようともせず 相変わらずの声で答えた。 ――――――――――――――――――――――――――――――――― (,,゚-) < ・・・さあ・・・ 311 名前:無表情な女(5/13) [sage] 投稿日:04/03/28(日) 08:19 ID:Fz07rSpd ――――――――――――――――――――――――――――――――― 青年は少し不愉快になり、話し掛けるのをやめた。 随分失礼な女だ、お高くとまっているのか、こちらを警戒しているのか。 耳が遠いのかは知らないがわけがわからない女だ。 犯罪にでも関係して逃げているのだろうか、青年はそう思った。 ――――――――――――――――――――――――――――――――― |______________| | / // | // / | | | | |_. ∧∧ | ・・・ ∧_∧」 //! (,,゚-) .| (ヘ` .)\ // |ニ/,, ⊃■二二 ・━⊂ ..ノ \\ |||| |~て ) _) (⌒ 〇 |||| |||| ./ (/ ∪______し ̄ \ |||| ||||/ / \ \|||| |||| ̄ ̄|||| |||| ̄ ̄..|||| 312 名前:無表情な女(6/13) [sage] 投稿日:04/03/28(日) 08:19 ID:Fz07rSpd ――――――――――――――――――――――――――――――――― 青年の思っていることはある意味では当たっていた。 しかし、彼女は犯罪者でもなければ精神異常者でもなかったのだ。 彼女の住んでいた港町とT市との間で交わされた電話が事の発端だった。 ――――――――――――――――――――――――――――――――― 313 名前:無表情な女(7/13) [sage] 投稿日:04/03/28(日) 08:20 ID:Fz07rSpd ................................................................ プルルル,ガチャ ──────────────── 同胞。例の品はどうなったニダ。 ─────v─────────‐ ∧_∧ D < `∀´>O ___ ( ./D……/◎\ ============================= C ∧_∧ ミツユノキゲンハウリナラニダ。 ___ ○<`∀´メ> /◎\……C ) ─────────ゝ──────────── ああ、ウリナラから密輸された ダイヤのことニダ。無事に手に入り今ここにあるニダ。 ────────────────────── < `∀´> <そうニダか。では約束どおり届けてくれ。 ウリナラに持ち帰る盗品の購入手はずは済んでいる 早いところ引き渡して撤収するニダ。 <`∀´メ> <十分承知ニダ。だが軽々しくは動けない、 イルボン警察はうすうす感づいているらしい。 自分で持ち運ぶのは危険ニダ。普通小包で送ることはまさかできないニダ。 < `∀´> <誰か信用のできる同胞にでも持たせたらどうニカ? <`∀´メ> <それも心配ニダ。信用のできる同胞が居ないわけでもないが なにしろ大量のダイヤだ開けるな、と念を押せば開けたくなるに 違いないだろうニ。亡命されるニダ。 314 名前:無表情な女(8/13) [sage] 投稿日:04/03/28(日) 08:21 ID:Fz07rSpd ────────────────────────── 困ったニダ。こちらとしても早いところ撤収しないとやばいニダ。 ─────v─────────────────── ∧_∧ D <;`∀´>O ___ ( ./D……/◎\ ============================= C ∧_∧ ___ ○<`∀´メ> /◎\……C ) ───────ゝ─────────────────── いや、全然方法がないということもないニダ。 近所に旅行の大好きなチョッパリの女の子がいる、旅費を出せば 大喜びで逝ってくれるに違いないニダ。その子に託すニダ。 ─────────────────────────── <;`∀´> <しかし、女の子は好奇心が強いニダ。旅行させてもらえる 理由を知りたがるだろうし、旅行中にカバンを開けてしまうかもしれないニダ? <`∀´メ> <まあ普通ならそうなる、そうならぬよう彼女を普通じゃ無くなすニダ。 < `∀´> <どういうことニダ? <`∀´メ> <催眠術ニダ。実はウリは昔興味を持ってかなり詳しく研究したことがあった 催眠状態にして命令を彼女に与え、覚めさせたらいいニダ。 本人は何も覚えていないが、その命令は暗示となってその通りに行動してくれる。 カバンを持っていけ、中を開けるな、手から放すな、他人から話し掛けられてもあまり答えるな と命令したらカバンを手から放すことは無く、置き忘れたりしないし、奪われそうになっても必死に抵抗するニダ。 T駅で下車しろと命令しておけばちゃんと届けてくれるニダ。 <;`∀´> <しかし、暗示がきいていてカバンを渡さなかったらどうするニダ、 駅で女の子相手に騒ぎを起こしたらまずいニダ・・・。 <`∀´メ> <いや、合言葉を決めるニダ。その言葉を言われたとき女が反射的にカバンを 渡すよう暗示をかけておけばいい。そしたら彼女の暗示は全て消えて後には 何も問題は残らないわけニダ。 < `∀´> <なるほど。で、どんな合言葉ニカ? <`∀´メ> <そうだな・・・『まぬけ野郎』というのはどうだろう。おとなしそうな女の子に向かって この言葉を怒鳴るチョッパリはいないだろう。従ってそちらの手に無事に届く。 < `∀´> <わかったニダ。待ってるニダ。 <`∀´メ> <ウェーハッハッハ ................................................................................................................................ 315 名前:無表情な女(9/13) [sage] 投稿日:04/03/28(日) 08:22 ID:Fz07rSpd ――――――――――――――――――――――――――――――――― 単調な音を立てながら列車は走りつづけている。 女はずっと姿勢を崩さない。青年はさっきからうとうと居眠りをしていた。 女が突然青年に声をかけた。 ――――――――――――――――――――――――――――――――― |______________| | / // | // / | | | | |_. ∧∧・・・ | ∧_∧」 //! (,,゚-) .| ZZ(Д- ..)\ // |ニ/,, ⊃■二二 二二⊂ ..ノ \\ |||| |~て ) _) (⌒ 〇 |||| |||| ./ (/ ∪______し ̄ \ |||| ||||/ / \ \|||| |||| ̄ ̄|||| |||| ̄ ̄..|||| |______________| |______________| | / // | // / | | | | |_. ∧∧ | ∧_∧」 //! (,,゚-) .| Σ(Д` ..) \ // |ニ/,, ⊃■二二 二二⊂ ..ノ \\ |||| |~て ) _) (⌒ 〇 |||| |||| ./ (/ ∪______し ̄ \ |||| ||||/ / \ \|||| |||| ̄ ̄|||| |||| ̄ ̄..|||| ________|\________ |(,,゚-) T駅はまだでしょうか? |Σ(Д` ..) うわ。 316 名前:無表情な女(10/13) [sage] 投稿日:04/03/28(日) 08:22 ID:Fz07rSpd | なんですって? \___________ __ |______________| V |______________| | / // | // / | | | | |_. ∧∧ | ∧_∧」 //! (,,゚-) .| (∀`;.)\ // |ニ/,, ⊃■二二 二二⊂ ..ノ \\ |||| |~て ) _) (⌒ 〇 |||| |||| ./ (/ ∪______し ̄ \ |||| ||||/ / \ \|||| |||| ̄ ̄|||| |||| ̄ ̄..|||| (,,゚-) <T駅はまだでしょうか。 (Д`#)プチン ――――――――――――――――――――――――――――――――― 青年はむらむらと腹をたてた。 さっきはあれだけ話しても相手になってくれなかったのに今になって。 もうすぐT駅だということぐらいわざわざ起こしてまで聞かなくても分かるだろうと。 実際は暗示の力によって出てしまった確認の言葉だったのだが青年は知るよしも無い。 眠いところを不意に起こされたので一段と機嫌が悪かった青年は呟くように言った。 ――――――――――――――――――――――――――――――――― 317 名前:無表情な女(11/13) [sage] 投稿日:04/03/28(日) 08:23 ID:Fz07rSpd このまぬけ野郎! 318 名前:無表情な女(12/13) [sage] 投稿日:04/03/28(日) 08:33 ID:Fz07rSpd | い、いや、すみません。 | ついねぼけていて・・・。 \___________ __ |______________| V |______________| | / // | // / | | | | |_. ∧∧ | ∧_∧」 //! (*゚д) | Σ (∀`つ;)\ // |ニ/,, ⊃■二二 二二⊂ ..ノ \\ |||| |~て ) _) (⌒ 〇 |||| |||| ./ (/ ∪______し ̄ \ |||| ||||/ / \ \|||| |||| ̄ ̄|||| |||| ̄ ̄..|||| ――――――――――――――――――――――――――――――――― しかし頭がはっきりするにつれ、すぐに青年は謝った。 だが、頭がはっきりしてきたにも関わらず、彼は狐につつまれたような気分になった。 女が突然カバンを彼に押し付けたからだ。そして呆然としている彼を後に 彼女は別の車両に行ってしまったのである。 ――――――――――――――――――――――――――――――――― |______________| |______________| | / // | // / | | | | |_. .| ・・・ ∧_∧」 //! | (´д` ..)\ // |ニ二二二二二二二■⊂ ..ノ \\ |||| | (⌒ 〇 .|||| |||| ./  ̄/_______し ̄ \ |||| ||||/ / \ \|||| |||| ̄ ̄|||| ∧∧ |||| ̄ ̄..|||| (..゚-) / つ ~ ノつ (/´ 319 名前:無表情な女(13/13)完 [sage] 投稿日:04/03/28(日) 08:33 ID:Fz07rSpd ――――――――――――――――――――――――――――――――― しばらくして青年は我に帰った。それからしげしげとカバンを眺めた。 これはどういうことなのだろうか、開けてみようとしたが鍵が掛かっている。 こじ開けることは気がとがめた。まともな新聞社に勤めている身では 軽率なことはできない。彼はこう考えた。 ――――――――――――――――――――――――――――――――― |______________| ○ | / // | // / .| ○ | | .| 。 |_. | ∧_∧」 //! .| (д` ...) \ // |ニ二二二二二二二■⊂ ..ノ \\ |||| | (⌒ 〇 .|||| |||| ./  ̄/_______し ̄ \ |||| ||||/ / \ \|||| |||| ̄ ̄|||| |||| ̄ ̄..|||| (д` ..)。○(まもなくT駅だ下車したらすぐ警察に届けることにしよう。 特ダネになればもうけ物だが、あまり期待はしないほうがよさそうだ・・・。 大した物が入ってるわけが無い。変な女が置いていったカバンなんだから・・・。 星新一著 おせっかいな神々 「無表情な女」 320 名前:( ´∀)・∀),,゚Д)さん [sage] 投稿日:04/03/28(日) 08:35 ID:ZcVy43pc ぬるぽ 321 名前:( ´∀)・∀),,゚Д)さん [sage] 投稿日:04/03/28(日) 08:36 ID:b9OeUU2j >320 ガッ!! >319 乙。面白かった。 322 名前:( ´∀)・∀),,゚Д)さん [sage] 投稿日:04/03/28(日) 08:43 ID:iJ4nM/VD >319 (・∀・)b良! >320 がっと行きたい所だがナイス支援ですた。
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