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やる夫ショートストーリーセレクション
236 名前： ◆UfNNCaTAr. [sage] 投稿日：04/12/07(火) 02:06:47 ID:JzQFwk0Q
┌──────────────────────────
｜中世では動物に対しても裁判が行われていて、
｜法的には人間と同様の扱いを受けていたそうです。
｜
｜また、「獣.姦」というのは宗教的な理由から、
｜「悪魔の行い」としてタブー視されていて、
｜タブーを破ったものはほとんどが火刑にされていたらしいです。
└──────────‐ｖ───────────────
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ .｜ .ｒ────────────
| ＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ | ｜ | このお話は、
| | | | ｜ ｜ 前半が裁判の記録、
| | |＞ PLAY | | （~ヽ /~ ） ｜ 後半が被告の独白という
| | | | 〉 Ｙ' / ｜ 構成になってます。
| | | | ◇⊂ / ∠＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
| | | | (､Ａ,"）
| ￣￣￣￣￣￣￣￣￣ | ｀^´
| °° ∞ ≡ ≡ |
￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
237 名前：証言 1/6 ◆UfNNCaTAr. [sage] 投稿日：04/12/07(火) 02:07:10 ID:JzQFwk0Q
┌──────────────────────────────
｜>>1です。
｜「たいへん不名誉な罪」で妻から起訴されています。
｜私と「ロシナンテ女史」との間に不適切な関係があったというのです。
└────ｖ─────────────────────────
∧＿∧
（・д・ ,,）
（ ）
238 名前：証言 2/6 ◆UfNNCaTAr. [sage] 投稿日：04/12/07(火) 02:07:34 ID:JzQFwk0Q
┌───────────────
│>>1の妻です。
│夫に極刑が下されるまでは、
│枕を高くして眠れません。
└───────ｖ───────
∧∧
（ﾟiｭﾟ; ）
| ui
┌───────＾ｰ───────────────
｜なにせ、あの男は悪魔ですから。
｜投獄されていようと、何をやらかすかわからないのです。
239 名前：証言 3/6 ◆UfNNCaTAr. [sage] 投稿日：04/12/07(火) 02:07:58 ID:JzQFwk0Q
┌────────────────────────
｜>>1の隣人です。
｜ええ、確かに聞きました。寒い夜でしたね。
｜>>1が酒に酔って帰ってきて、奥さんを殴ったのです。
｜そして、はっきりとこう言いました。
└───────‐ｖ────────────────
∧＿∧
（´Д｀ ,,）
（ ）
┌───────＾ー─────────────────
｜「お前よりはまだ、ロシナンテのほうがマシだ」とね。
｜汚らわしい・・全く汚らわしいことですよ！
240 名前：証言 4/6 ◆UfNNCaTAr. [sage] 投稿日：04/12/07(火) 02:08:25 ID:JzQFwk0Q
∧,,∧
（ﾟДﾟ,,）＾i
（| ﾉ
┌────────＾ー───────────────
｜>>1の向かいに住んでいる者です。
｜ええ、私も>>1と「ロシナンテ女史」の関係のことは聞いてましたよ。
｜もうその話題でみんなもちきりですよ。誰でも知ってます。
241 名前：証言 5/6 ◆UfNNCaTAr. [sage] 投稿日：04/12/07(火) 02:09:08 ID:JzQFwk0Q
,,ｖ‐ｖ-/l＿ (⌒)
_「／￣ く /
lＹﾉﾉ/_ﾉl_ヽ)） えっちなのはいけないと (ry
＜ｲ（ l l ）l＞
＜|）'|l､"(ﾌノ|l
,(ヨﾘ<>o<>ﾘ'］
|ト‐!］-ム- i'］l
ヽ_ﾉｖ＿＿l/ /
┌───＾ー───────────────────────
｜>>1の家のメイドです。
｜ロシナンテ女史がそんなことをしていたとは、信じられません。
｜きっと彼女が唖であるのをいいことに、>>1が無理矢理に
｜やったに決まっていますわ。
｜>>1は今すぐ火刑に処せられるべきですよ！
└───────────────────────────‐
＊唖（おし）…言語障害を持つ人に対する古い呼び方。
現代においては差別語。
242 名前：証言 6/6 ◆UfNNCaTAr. [sage] 投稿日：04/12/07(火) 02:09:32 ID:JzQFwk0Q
┌─────────────────────────────
｜>>1の被害者である、ロシナンテ女史の代理人です。
｜彼女は唖であるので証言はできませんが、
｜彼女に対する外科医の診断も、不適切な行為があった可能性を
｜認めました。犯行の日からだいぶ日にちが経っているので、
｜確定的ではありませんが。
└───────ｖ──────────────────────
∧＿∧
（,,-[ ]_[]）
（ ク/￣７
┌───────＾ー───────────
│周辺住人への聞き込みでも、多くの人が
｜>>1の容疑を裏付けてくれました。
243 名前：判決 ◆UfNNCaTAr. [sage] 投稿日：04/12/07(火) 02:09:55 ID:JzQFwk0Q
┌───────────────────────────────
｜>>1の裁判官です。
｜判決を言い渡します。
｜証言ならびに外科医の判断に基づき、当法廷は起訴事実を認め―
｜『 獣 姦 罪 』により、>>1を 火刑に処すことに決定いたします。
└───────────‐ｖ───────────────────
_、_
( ,_ﾉ`)
<@];;|：;;;>
     |
244 名前： ◆UfNNCaTAr. [sage] 投稿日：04/12/07(火) 02:10:18 ID:JzQFwk0Q
┏
何か、 言い残したことは、 ありますか
┛
245 名前：独白 1/8 ◆UfNNCaTAr. [sage] 投稿日：04/12/07(火) 02:10:46 ID:JzQFwk0Q
言いたいことは、星の数ほどあった。
妻が近隣住人を買収したこと、
妻の私に対する不実、
ロシナンテはまだ一度も種付けをしていなかったこと、
したがって、外科医の診断は捏造であること。
しかし、そんなことは審理中に何度も話しては、
人外のたわごととして片付けられたことばかりだった！
＼∧∧∧∧∧∧∧∧∧／
＜ ＞
＜ ・ ・ ・ ！ ！ ＞
＜ ＞
／∨∨∨∨∨∨∨∨∨＼
∧＿∧
: （,, ； ・E）
: / ゝ_に)
: / .|~￣
:（＿ノマ|
この審理にまつわる資料は、私の火刑のついでに燃やされてしまうらしい。
「ゾヌと交わった悪魔」にまつわる文書など残しておくとそこから呪いがもれる、
といったところだろうか。
246 名前：独白 2/8 ◆UfNNCaTAr. [sage] 投稿日：04/12/07(火) 02:11:12 ID:JzQFwk0Q
私は、証人席に立つロシナンテのほうを見た。
／￣￣￣￣＼
／ ● ●､
|Y Y ＼
| | | ::::: ▼ !
| ＼／ ＿人.|
| ＿＿＿ノ
＼ .／
｜ ｜ |
（_＿）＿）
ロシナンテは生まれたころからよく病気にかかり、つきっきりで看病することも多かった。
247 名前：独白 4/8 ◆UfNNCaTAr. [sage] 投稿日：04/12/07(火) 02:11:51 ID:JzQFwk0Q
／￣￣￣ ＼
/≡ ≡ u |
／ ,,, Y ∧＿∧
| ▼ u ::::: | （,, -Д-）
|_人＿ /⌒| （ ∽ ）
(＼＿＿_（＿__）＼ 八 ﾍ＿）__）
￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
高熱を出してあわや死ぬところだった晩には、わたしは厩舎でロシナンテと寄り添って眠った。
熱を出しているのもあって、すきま風が吹き込む厩舎でも、ロシナンテは暖かかった。
眠りについたロシナンテからは、故郷の匂いがした。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
あの、発端となる言葉を呟いてしまったのは、明くる日のことだった。
呆けたような顔をした妻と
相変わらず善良そうな隣人の「現場」を見てしまって、
私は、思わず呟いたのだ。
∧∧ ∧＿∧
（ﾟдﾟ；） （´Д｀；.）
u つと ）
r────────────────────── ､
∧＿∧ ｜僕はどうしても人の心がわからない人間らしいね。 |
（ ;;;;;;;） ∠ こんなことなら、ロシナンテと .|
（ ） | 結婚したほうがよかったかもしれないな・・・. |
└──────────────────────'
248 名前：独白 5/8 ◆UfNNCaTAr. [sage] 投稿日：04/12/07(火) 02:12:17 ID:JzQFwk0Q
／￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣＼
.| 「言い残すことは ないのですか？」 |
＼＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿／
そう裁判官にせかされ、私はやっと、何を言うか決めた。
249 名前：独白 6/8 ◆UfNNCaTAr. [sage] 投稿日：04/12/07(火) 02:12:44 ID:JzQFwk0Q
┌───────‐──┐
｜ ロシナンテの体は … . |
└────────‐ｖ‐┘
┌────────┐
｜ 暖かかったです。 . |
└─‐ｙ──────┘
∧＿∧
（ ・Д・ ）
（に) ）
250 名前：独白 7/8 ◆UfNNCaTAr. [sage] 投稿日：04/12/07(火) 02:13:08 ID:JzQFwk0Q
そこにいた誰もが顔をしかめた。私を起訴した妻でさえも。
251 名前：独白 8/8 ◆UfNNCaTAr. [sage] 投稿日：04/12/07(火) 02:13:32 ID:JzQFwk0Q
私はそう遠くない未来に、業火の中に飛び込むのだろうが、
それも悪くない、と思えた。
ロシナンテ以外に
私は暖かいものに触れたことがなかったのだから。
252 名前： ◆UfNNCaTAr. [sage] 投稿日：04/12/07(火) 02:13:57 ID:JzQFwk0Q
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿_
| ＿＿＿＿＿＿＿＿＿_ | ┌─────────────────────────
| | | | ｜こういう事件では、かなり冤罪があったらしいです。
| | □ STOP. | | └─────‐ｖ───────────────────
| | | | ,､__,､ ちなみに、「1の母で（略」系統のＡＡだけで
| | | | ﾋﾟｯ （´∀｀）-～3 ドラマがつくれないかと考えたのが
| | | | ◇⊂ Ｖ ＾ﾉ─┛ この話を作る発端でした
| ￣￣￣￣￣￣￣￣￣ | || ／⌒ ヽﾉ～＿|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | ||（_(￣ﾉ´ l| |
￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣
253 名前：（ ´∀）・∀）,,ﾟД)さん [sage] 投稿日：04/12/07(火) 02:41:50 ID:VWitqhx3
>>252
面白かった。
いいね。こういうの。
乙華麗。
254 名前：（ ´∀）・∀）,,ﾟД)さん [sage] 投稿日：04/12/07(火) 05:05:19 ID:SwoeJUSZ
>>252 言われてみれば確かに>>1の○○ですg(ryだ・・・。
面白い発想だな。
255 名前：（ ´∀）・∀）,,ﾟД)さん [sage] 投稿日：04/12/07(火) 06:50:14 ID:DBkE+c1s
獣.姦の相手になった動物も一緒に刑に処すんじゃなかったっけ？
256 名前：（ ´∀）・∀）,,ﾟД)さん [sage] 投稿日：04/12/07(火) 06:51:48 ID:DBkE+c1s
あぁ 処刑の場面も描くと蛇足になるのか
257 名前：（ ´∀）・∀）,,ﾟД)さん [sage] 投稿日：04/12/07(火) 10:37:15 ID:H+Dv/GKx
まとめ方が綺麗だな。
乙。
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