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■2021/06/09(水) 【江戸川乱歩】心理試験

カテゴリータグ:モララーのビデオ棚第36巻 シリアス・ホラー・サスペンス・鬱系 シリアス・ホラー・サスペンス・鬱系(2004) 小説・文学・絵本系 小説・文学・絵本系(2004) 2004 モララーのビデオ棚

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117 名前:フォントサイズ最小 ◆ccqXAQxUxI  [sage] 投稿日:04/09/14(火) 13:27:45 ID:IzdNndD6



 ____________
 | __________  |        ┌────────────‐
 | |                | |        │江戸川乱歩第二段。
 | |  |> PLAY.      | |        └─v───────────
 | |                | |           ∧_∧
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

118 名前:フォントサイズ最小 ◆ccqXAQxUxI  [sage] 投稿日:04/09/14(火) 13:28:28 ID:IzdNndD6


          │
          │    ┌───
          └┐┌┘
     ───心理試験────
            │
            └──┐           江戸川乱歩

119 名前:フォントサイズ最小 ◆ccqXAQxUxI  [sage] 投稿日:04/09/14(火) 13:28:53 ID:IzdNndD6
蕗屋清一郎がなぜこれから記すようなことを思いついたのか、
詳しくはわからぬ。
彼は非常な秀才で、貧しいから好きなときに読書などができない
と残念がっていたのは確かだ。
もしかしたら彼は根っからの悪人だったのかもしれない。



                   ∧_∧
                  ( ・∀・)
                  (    )
                  | | |
                  (__)_)


120 名前:フォントサイズ最小 ◆ccqXAQxUxI  [sage] 投稿日:04/09/14(火) 13:29:27 ID:IzdNndD6

ある時、彼はふとしたことから同期の斎藤勇と
親しくなった。しかし、これが一番のはじめだったのである。



  ∧_∧
  ( ・∀・)  ∧_∧
 (  ⊃ )  (´∀` ,,)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ (つ_つ__
 ̄ ̄ ̄日∇ ̄       \
        ̄          \

121 名前:フォントサイズ最小 ◆ccqXAQxUxI  [sage] 投稿日:04/09/14(火) 13:30:12 ID:IzdNndD6
斎藤は一年ばかり前から素人屋に部屋を借りていた。
この家主は六十に近い老婆で、かなりの守銭奴らしく、
表面的な銀行預金のほかに莫大な財産を自宅に隠しているという
うわさだった。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄' |    |      │      |
          ||        |    |    |┷|    |
          ||        |    |    |士|    |
          ||        |    |    |心|    |
          ||O       |    |    |┯|    |
          ||        |    |              |
          ||        |    |_______|
三三三三三三三三三三三|  /     ξ     \
三三三三三三三三三三三|/      ⊂⊃      \
                 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
             ∧ ∧     _______
             (,, ゚A゚)   /        /||
             /  |  /         /'' ||
            (,,_/ ..||~~~~~~~~~~~~~||
                 ||           ||


122 名前:フォントサイズ最小 ◆ccqXAQxUxI  [sage] 投稿日:04/09/14(火) 13:30:48 ID:IzdNndD6
蕗屋はこの金に誘惑を感じた。

             r'⌒'~'⌒'~'⌒'~'⌒'~'⌒'~'⌒'~'⌒'ヽ
            ( 老いぼれが金をためるより、この俺の )
              ) 学資にしたりしたほうがよっぽど   (
            (   有効じゃないか。            )
             丶~'⌒'〇'⌒'~'⌒'~'⌒'~'⌒'~'⌒'~'´
                 O
                 o
                 ゚
                ∧_∧
               ( ・∀・)


しかし斎藤がその金の隠し場所を発見したということを聞くまで
確定的な考えをもたずにいた。

123 名前:フォントサイズ最小 ◆ccqXAQxUxI  [sage] 投稿日:04/09/14(火) 13:31:26 ID:IzdNndD6
君、あの婆さんにしては感心な思い付きだよ。
大体隠し場所っていうと縁の下や箪笥の中だろうけど
婆さんの場合はちょっと意外なところなのだよ。
床の間に大きな紅葉の植木鉢があるだろう?
あの中なんだよ。
言ってみれば守銭奴の天才なんだろうね。
――――――――y――――――――――

         ∧_∧
        (´∀` )
        と   と),,,,,
     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/|
   ∧_∧     / /|
  ,'(    ) _/ / ┌────
 || (     つ  ||/  <なるほど。
 ||,(_○___),   ||    └────
     o
      O
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
| どうやってばれずに       |
| この金を手に入れるか・・・    |
\____________/


アクセスカウンター



124 名前:フォントサイズ最小 ◆ccqXAQxUxI  [sage] 投稿日:04/09/14(火) 13:32:04 ID:IzdNndD6
老婆はほとんど外出しなかった。また、外出したとしても
田舎者の女中が留守をしっかり守っているのだった。
最初は老婆と斎藤のいないときにこの女中を騙して
使いに出しているうちに金を盗る。と考えたが、
それは甚だ無分別な考えだった。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄' |    |      │      |
          ||        |    |    |┷|    |
          ||        |    |    |士|    |
          ||        |    |    |心|    |
          ||O       |    |    |┯|    |
          ||        |    |              |
          ||        |    |_______|
三三三三三三三三三三三|  /     ξ     \
三三三三三三三三三三三|/      ⊂⊃      \
                 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ,∧_∧
             ∧ ∧     ______     X ヘ ハ ヽX
             (   )   . /        /||     (^∀^ ソ|
             /  |  /         /'' ||     (    )§
            (,,_/ ..||~~~~~~~~~~~~~||        | Y  |ii
                 ||           ||         (_(__)


125 名前:フォントサイズ最小 ◆ccqXAQxUxI  [sage] 投稿日:04/09/14(火) 13:32:50 ID:IzdNndD6
仮にうまくいったとしても、あの家にただ一人でいたことがばれては
嫌疑がかかってしまう。
斎藤や女中やただの泥棒が盗んだように見せるトリックとか、
たっぷりと一ヶ月考えたがどれも発見される可能性がある。


        ────老婆をやっつけるほかはない。
                  蕗屋青年はそう思った。

                    ∧_∧
                   ( ;-∀-)


126 名前:フォントサイズ最小 ◆ccqXAQxUxI  [sage] 投稿日:04/09/14(火) 13:33:15 ID:IzdNndD6
あとは時期がくるのを待つばかりであった。が、案外それは
早くきた。斎藤は学校関係で、女中は使いに出され二人とも夕方まで
帰ってこないことが確かめられた。

そして蕗屋は最後に本当に植木鉢の中に貯金があるかどうかを確かめるため
老婆の家を訪問した。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄' |    |      │      |
          ||        |    |    |┷|    |
          ||        |    |    |士|    |
          ||        |    |    |心|    |
          ||O       |    |    |┯|    |
          ||        |    |              |
          ||        |    |_______|
三三三三三三三三三三三|  /     ξ     \
三三三三三三三三三三三|/      ⊂⊃      \
                 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
             ∧ ∧     ______  ∧_∧
             (,, ゚A)   . /        /||(・∀・ )
             /  |  /          /'' と   と)
            (,,_/ ..||~~~~~~~~~~~~~||    (__(__つ
                 ||           ||

127 名前:フォントサイズ最小 ◆ccqXAQxUxI  [sage] 投稿日:04/09/14(火) 13:36:32 ID:IzdNndD6
彼は「隠す」と言う度に老婆の目に注意した。
すると予想したとおり彼女の目は植木鉢
(そのときはもう紅葉ではなく松だった)
のほうをちらりちらりと見るのであった。
                          |
                          |
                          |
        ;;;;         (;;;;;;;;;)    |
       ;;;  ;;;        (;;;;;;;;);;;;;;;)   |
      ;;;;    ;;;        ))(,     |
      ;;;     ;;;     ⊂ニニ⊃,   |
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;       ;;;     |    7    |
             ;;;     ー―‐'     |
              ;;; ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄''''\
. ;;        ○    ;;;            \
;;  ;;           ; ;;;             \
   ;;          ;  ;;;
'''''''''';;           ;;;

128 名前:フォントサイズ最小 ◆ccqXAQxUxI  [sage] 投稿日:04/09/14(火) 13:37:22 ID:IzdNndD6
さて、いよいよ当日である。
結局彼は変装をしないことに決めた。
発覚の恐れがあるものはあえて単純にし、簡単にすることによって
逆にばれなくすべきという彼の一種の哲学だった。


             ∧_∧
            ( ・∀・)
            (    )
             人 ヽノ
            (__(__)


129 名前:フォントサイズ最小 ◆ccqXAQxUxI  [sage] 投稿日:04/09/14(火) 13:38:00 ID:IzdNndD6
入ることだけばれなければよい、ということで蕗屋はさっさと老婆の家へ行った。
隣家への注意のためにとても小さい声で案内を頼み、
斎藤のことで内密に話がしたいという口実で奥の間に入った。




    ∧ ∧          ∧_∧
   (,, ゚A゚)       (・∀・ )
   / つつ         (    )
 ~(  (          | | |
   U~U         (_(__)


130 名前:フォントサイズ最小 ◆ccqXAQxUxI  [sage] 投稿日:04/09/14(火) 13:38:29 ID:IzdNndD6
そして老婆がお茶をくみに行った時、蕗屋は力任せに
首をしめた。老婆はグッという音を出したきり、大してもがきはしなかった。
しかし、苦し紛れの老婆の腕がそこにあった屏風に少し傷をつけた。
六歌仙の小野小町だった。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄' |    |      │      |
          ||        |    |    |┷|    |
          ||        |    |    |士|    |
          ||        |    |    |心|    |
          ||O       |    |    |┯|    |
          ||        |    |              |
          ||        |    |_______|
三三三三三三三三三三三|  /     ξ     \
三三三三三三三三三三三|/      ⊂⊃      \
         ∧ ∧     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
>,        (,, 。p)∧_∧     ______ 
>|           | と(∀  )    /        /||
| |          |  ヾ    ) /          /''' ||
| |          ∪∪|| | ||~~~~~~~~~~~~~||
| |            (_(_),,||           ||


131 名前:フォントサイズ最小 ◆ccqXAQxUxI  [sage] 投稿日:04/09/14(火) 13:39:02 ID:IzdNndD6
そして彼は松ノ木を引っこ抜き、中の油紙を開いて半分を財布に入れた。
残ったのを元道理にしておいた。これは金を盗んだということをくらます
ためだ、貯金の額は老婆だけが知っているので、それが半分になっても
誰もわからないだろうと蕗屋はかんがえたのだ。
そしてナイフを取り出し、止めを刺した。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄' |    |      │      |
          ||        |    |    |┷|    |
          ||        |    |    |士|    |
          ||        |    |    |心|    |
          ||O       |    |    |┯|    |
          ||        |    |              |
          ||        |    |_______|
三三三三三三三三三三三|  /     ξ     \
三三三三三三三三三三三|/      ⊂⊃      \
                 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∧_∧
>,                               (・∀・ ,,)
>|                      / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /||  (     )
| |                  /          / ' ''||    人  Y
| |        ∧ ∧         ||~~~~~~~~~~~~~||      し (_)
| |        (,, 。p);;;;)つ    .||           ||
>        "''';;;


132 名前:フォントサイズ最小 ◆ccqXAQxUxI  [sage] 投稿日:04/09/14(火) 13:39:27 ID:IzdNndD6
そして彼は帰りがけに交番へより、先ほどの財布を遺失物として届けた。
持ち主がいる訳ないのだから、一年後にはおおっぴらに使えるのだ。



                        r'⌒'~'⌒'~'⌒'~'⌒'~'⌒'~'⌒'~'⌒'ヽ
                       ( ぬすんだ金を警察に届けるなんて   )
_______________    )   お釈迦様でも夢には思うまい。  (
     オマエモナ交番          |  (                         )
        ○             |   丶~'⌒'〇'⌒'~'⌒'~'⌒'~'⌒'~'⌒'~'´
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄         O
                    |            o
            ______.|            ゚
  ┌──┐    |         |
  ..|('A`) .|    |         |  ___
  └──┘    |         |  ヽ=@=ノ     ∧_∧
              |         |  ( ´∀`)    (・∀・* )
              |         | ./| ̄У フつ□と(    )
              |         | ∪=◎=|     | | |
              |         |  (__)_)     (_(__)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


133 名前:フォントサイズ最小 ◆ccqXAQxUxI  [sage] 投稿日:04/09/14(火) 13:39:48 ID:IzdNndD6


 ____________           ┌──────────‐
 | __________  |        |屋根裏の散歩者より
 | |                | |        │こっちのほうが好きです。
 | |  □ STOP         | |        └─v─────────
 | |                | |           ∧_∧
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) モチロンツヅクヨ
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

134 名前:( ´∀)・∀),,゚Д)さん [sage ] 投稿日:04/09/14(火) 13:43:49 ID:L6cOgtu9

GJ!
続きが楽しみ




235 名前:フォントサイズ最小 ◆ccqXAQxUxI  [sage] 投稿日:04/09/16(木) 13:06:35 ID:RYKR3vGM



 ____________
 | __________  |        ┌────────────‐
 | |                | |        │そして第二幕開始。
 | |  |> PLAY.      | |        └─v───────────
 | |                | |           ∧_∧
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

236 名前:フォントサイズ最小 ◆ccqXAQxUxI  [sage] 投稿日:04/09/16(木) 13:06:57 ID:RYKR3vGM


          │
          │    ┌───
          └┐┌┘
     ───心理試験────
            │
            └──┐           江戸川乱歩

237 名前:フォントサイズ最小 ◆ccqXAQxUxI  [sage] 投稿日:04/09/16(木) 13:07:20 ID:RYKR3vGM
翌日、蕗屋青年は非常に驚いた。友人の斎藤が
嫌疑者として上げられたのだ。理由は不相応な金額を所持していたためらしい。
蕗屋はこう想像した。

斎藤は女中より早く帰ってきて死体を発見した。しかし例の貯金が気になり、
調べてみたところ、ちゃんとあった。それを見て斎藤は悪心を起こしたのであろう。

蕗屋にとってはうれしいアクシデントだった。


  ヽ=@=7       ∧_∧
  ( ・∀・)        (´Д`;)
  /| ̄У フつO     (    )
  ∪=◎=|  :     | | |
  (__)_) O     (_(__)


238 名前:フォントサイズ最小 ◆ccqXAQxUxI  [sage] 投稿日:04/09/16(木) 13:07:52 ID:RYKR3vGM

ここから少し視点が変わる。


この事件を担当した予審判事は有名な笠森氏だった。

彼は一種の心理学者だったことで、数々の事件を奏効してきた。
しかし今回の事件は困難なことがだんだんとわかってきた。



                     ∧∧
                    (,,゚Д゚)
                    ⊂<y>⊃
                   ~|  |
                     し`J


239 名前:フォントサイズ最小 ◆ccqXAQxUxI  [sage] 投稿日:04/09/16(木) 13:08:30 ID:RYKR3vGM
ほかに嫌疑者が現れず、斎藤は法廷の空気に恐れをなし、
知っているはずの事を忘れてしまったり、前言ったことを取り消したり、
あせればあせるほど嫌疑を深くするばかりであった。

本人は自白せず、これといった証拠もなかったので、事件は停滞した。


─────┐         ,∧_∧
   ∧_∧ |    ∩_∩   ∂ノノハ)))
  ( ´∀`) |   (´ー`)   |ハ`∀´ノ
  ,丿~,  ~ヽ│  丿~, ~ヾ  丿~,  ~.ヾ、
 ̄ ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
    |.         A_A.           |
    |         (  ・w・)         |
    |          ノ~,   iO)、          |  ∧_∧ 
    |  | ̄ ̄|~. ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.| (;   )        ∧ ∧
  ∧|_∧     |               ┌─┬┴⊂  〇) ,,'⌒丶、 (゚Д゚ )
 (   `)    |               │  │  │ | │_ゝ@==>(〈y〉 )
┏━┳┓ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄ ̄ ̄|   │  │  (__)__,) (´∀` ;) ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄ ̄
┃  ┃┗┓        |      |   │  │ ̄ ̄ ̄| ̄~i ( =|=,~ ),,        |
┗━╋━┛        |      |   │  │ ̄ ̄ ̄| ̄ ̄|⌒(⌒,,_,)          |
  ┏┻┓_         │,   │   │  │ ̄ ̄ ̄| ̄ ̄ ̄|(__) ̄ ̄ ̄| ̄|、  │
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


240 名前:フォントサイズ最小 ◆ccqXAQxUxI  [sage] 投稿日:04/09/16(木) 13:08:53 ID:RYKR3vGM
こうして事件から一ヶ月がたった、そのとき、ひとつの朗報が届いた。
それは事件の当日に大金の入った財布が蕗屋によって届けられているということだった。
困り果てていた笠森判事は一道の光明を得た気がした。

これが偶然だろうか?事件の当日、現場からあまり遠くないところで大金を拾う、

たった一つの可能性は、蕗屋が犯人だということだ。
彼は最後の手段として二人に心理試験を施そうと決心した。

              ∧∧
             (;‐Д)
             ( ∽)
            ~|  |
              し`J


241 名前:フォントサイズ最小 ◆ccqXAQxUxI  [sage] 投稿日:04/09/16(木) 13:09:17 ID:RYKR3vGM
さて、心理試験について少し記しておこうと思う。
心理試験は大体2つにわけられる。
ひとつは整理上の反応によるもの、もうひとつは言葉を通じて行われるものだ。
たとえば「おまえは老婆を殺した犯人だろう」とかいって脈や瞳孔の動きを見たりする。

もうひとつはことばによるもので、「障子」だとか「インキ」だとか「ペン」などなんでもない
単語を並べて、できるだけ早く、少しでも考えないで連想した単語をしゃべらせるのだ。
そして、それらのなかに、「血」だとか「ナイフ」だとか事件に関係があるものを;気づかれぬように
混ぜておいて、それに対する反応を調べるのだ。

242 名前:フォントサイズ最小 ◆ccqXAQxUxI  [sage] 投稿日:04/09/16(木) 13:09:44 ID:RYKR3vGM
蕗屋は少なからず狼狽した。なぜなら彼は種々の書籍によって
心理試験というものを知りすぎるほど知っているのだ。

そして彼は辞林を開き何万という単語に対してどう反応するか練習した。
反復をすることによって慣れさせるのだ。

         ∧_∧
         ( ・∀・) 
        ( ⊃|~~Y~~|
      ̄ ̄ ̄ ̄ ー'^ー'\
           日∇    \
                    \


そして犯罪に関する単語には正直にはなすことにした。
隠さず本当のことを言ったほうがかえってばれないと思ったのだ。
蕗屋は考えているうちにだんだん安心してきた。
それどころか心理試験を待ちかねるようにさえなった。

243 名前:フォントサイズ最小 ◆ccqXAQxUxI  [sage] 投稿日:04/09/16(木) 13:10:14 ID:RYKR3vGM
それは心理試験の翌日であった。結果を前にして小首を傾げてる判事のもとへ
明智小五郎の名刺が通じられた。

             / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
             | こんにちは、
             | どうですか事件の程は?
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
| いや全くをもって     ̄ ̄ ̄|/ ̄ ̄ ̄ ̄
| 難しい事件ですよ。

   ̄ ̄ ̄|/ ̄ ̄ ̄ ̄
                 ∧_∧
                (Å・`ミ )
   ∧∧            口 ■ 口
  (;゚Д゚)           ,' y   ',
  と<y>つ          し||:` ∪
 ~|  |           く人_ロゝ
   し`J            [;;[;;;;;;;;;]


244 名前:フォントサイズ最小 ◆ccqXAQxUxI  [sage] 投稿日:04/09/16(木) 13:10:49 ID:RYKR3vGM
  刺激語  | 蕗屋清一郎 ''|  斎藤勇    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
─────┼──────┼────── | 斎藤のほうが反応が顕著でしょう。
   頭     |   毛 0,9秒 . |   尾 1,2秒  .| 金に対して鉄といったり、盗むに
   緑     |   青 0,7   .|   青 1,1   | 対して馬といったりかなり無理がありますよ。
   殺す  | ナイフ 0,8   |  犯罪 3,1  | 反応時間だって遅いんです。それに反して
   窓     |   戸 0,8   .|  ガラス 1,5   .| 蕗屋のほうはごく自然です。もし犯人だったら
   金     |  紙幣 0,7  ...|   鉄  3,5  | 隠すべき発想を平気でしかも短い時間で
   冷い  |   水 1,1   .|   冬  2,3  | 答えています。彼がもし犯人だったらよほどの
   松     |  植木 0,8.  |   木  2,3  | 低能児に違いありません。
   山     |  高い 0,9    |    川  1,4    \
   血     | 流れる 1,0  |  赤い 3,9      ̄ ̄ ̄|/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   嫌い  |  蜘蛛 1,2.  |  病気 1,1
  植木鉢  |   松 0,6.   |   花  6,2       ∧ ∧
   鳥     |  飛ぶ 0,9  ...| カナリヤ 3,6       (,,゚Д゚)
   本     |  丸善 1,0  ...|  丸善 1,3
  油紙    |  隠す 0,8    |  小包 4,0
  友人    |  斎藤 1,1  ...|  話す 1,8
  犯罪    | 人殺し 0,7   .|  警察 3,7
  満足    |  完成 0,8  ...|  家庭 2,0
   絵     |  屏風 0,9  ...|  景色 1,3
  盗む    |   金 0,7   .|   馬  4,1


246 名前:フォントサイズ最小 ◆ccqXAQxUxI  [sage 規制TUREEEEEEE] 投稿日:04/09/16(木) 13:20:29 ID:RYKR3vGM

             / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
             | しかし僕はこの心理試験の結果から、
             | 蕗屋が犯人だと思うのですよ。
             | どうでしょう。彼をここへ呼んでくれませんか?
             | そうすれば真相を突き止めてお目にかけますがね。
  人人人人人人人人\
< なんですって!?   ̄ ̄ ̄|/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
< ほんとうですか?
  YYYYYY|/YYYYYY
                 ∧_∧
                (Å-`ミ )
   ∧∧            口 ■ 口
  (;゚Д゚)           ,' y   ',
  と<y>つ          し||:` ∪
 ~|  |           く人_ロゝ
   し`J            [;;[;;;;;;;;;]


247 名前:フォントサイズ最小 ◆ccqXAQxUxI  [sage] 投稿日:04/09/16(木) 13:20:51 ID:RYKR3vGM
「ご友人の斎藤氏は有罪と決した。それについてお話したいことがあるから、
私の私宅までご足労を煩わしたい。」


                   ∧_∧
                  ( *・∀・)
                  (    )
                   人 ヽノ
                  (__(__)

これが呼び出しの口上だった、さすがの彼もこの吉報には少なからず興奮していた。
うれしさのあまり、そこに恐ろしい罠のあることをまるで気づかなかった。

248 名前:フォントサイズ最小 ◆ccqXAQxUxI  [sage] 投稿日:04/09/16(木) 13:21:16 ID:RYKR3vGM



                     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     | なあに、たいした事はないんですが
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ....| 殺人のあった部屋に屏風がありましてね、
| 話っていったいなんです?    .| それに一寸傷がついていたといって
\                   ..| 問題になっているのですよ。
   ̄ ̄ ̄|/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  .| 殺人の際についた傷に違いないから
                     | 弁償しろといって聞かないのですよ。
                     | どうです?あの傷は以前からありました?
                     \
                        ̄ ̄|/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                        ∧_∧
                       (Å-`ミ )
         ∧_∧            口 ■ 口
        ( ・∀・)           ,' y   ',
        (    )           し||:` ∪
        | | |             く人_ロゝ
        (__)_)           [;;[;;;;;;;;;]
 
 
 

249 名前:フォントサイズ最小 ◆ccqXAQxUxI  [sage] 投稿日:04/09/16(木) 13:21:44 ID:RYKR3vGM
ほんとうは僕が部屋へ入ったのは一度きりなのです。それも事件の
二日前でね、しかし、その屏風なら覚えています。僕の見たときは屏風に
傷なんてついていませんでした。
そうそう、思い出しましたよ、あれは六歌仙の絵でしたね。
小野小町も覚えてますよ。もしそのとき傷がついていたとすれば
見落とすわけがありません。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                   ∧_∧
                  ( ・∀・)∩

蕗屋はニヤニヤしながら言った。

250 名前:フォントサイズ最小 ◆ccqXAQxUxI  [sage] 投稿日:04/09/16(木) 13:22:06 ID:RYKR3vGM

                     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     | そういうふうに無邪気にすべて話してしまうのが
                     | あなたの特徴ですね、蕗屋さん。
                     | 実はあの屏風は殺人が起こる前日に
                     | 屋敷へ運ばれているのですよ。~~~
                     \
                        ̄ ̄|/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                        ∧_∧
                       (Å-`ミ )
         ∧_∧            口 ■ 口
        ( ;・∀・)           ,' y   ',
        (    )           し||:` ∪
        | | |             く人_ロゝ
        (__)_)           [;;[;;;;;;;;;]

明智はいつもどうり口調を変えずにいった。
蕗屋は罠にはまったのだ。

251 名前:フォントサイズ最小 ◆ccqXAQxUxI  [sage] 投稿日:04/09/16(木) 13:22:28 ID:RYKR3vGM
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 僕はあなたが屏風のことを知っていられると思っていたのですよ。
| 例の心理試験で絵に対し屏風といっている。下宿屋なんかにはふつう
| 屏風なんてないから、さしずめ老婆の屏風が特別に深い印象になってると
| 思ったんですよ。
|          ............................
| しかもあなたは事件に関係する言葉に反応するのが早すぎる
| 遅いのも困り者ですが早すぎるのも困りますね、蕗屋さん

   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

                         ∧_∧
                        (Å-`ミ )
         :∧_∧:            口 ■ 口
        :( ; ∀ ):           ,' y   ',
        :(     ):          し||:` ∪
        :| | |:             く人_ロゝ
        :(__)_):           [;;[;;;;;;;;;]

蕗屋は少女のように今にも泣きそうな顔だった。

252 名前:フォントサイズ最小 ◆ccqXAQxUxI  [sage] 投稿日:04/09/16(木) 13:22:54 ID:RYKR3vGM


 ____________           ┌──────────‐
 | __________  |        |原作も読んでくださると
 | |                | |        │これ幸いです。
 | |  □ STOP         | |        └─v─────────
 | |                | |           ∧_∧
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )シエンアリガトウゴザイマシタ
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

255 名前:( ´∀)・∀),,゚Д)さん [sage] 投稿日:04/09/16(木) 15:27:26 ID:/+e463di

オモチロカッタよー
GJ



256 名前:( ´∀)・∀),,゚Д)さん [sage] 投稿日:04/09/16(木) 16:44:12 ID:hFC3Palx

古いから敬遠してたけど原作読んでみようかな
GJでした



257 名前:( ´∀)・∀),,゚Д)さん [sage] 投稿日:04/09/16(木) 19:52:45 ID:qv1agDNT

GJです。面白かったです。
原作も読んでみます。



258 名前:( ´∀)・∀),,゚Д)さん [sageニコル乙] 投稿日:04/09/16(木) 21:22:00 ID:4Cd6/jm9

Good job!!
推理物は好きなのでAA化されてかなり嬉しいです。
江戸川乱歩系列は>>225と共に数少ないビデオ棚の救いのひとつとなってるんでね。
これからもおながいします。



259 名前:( ´∀)・∀),,゚Д)さん [sage] 投稿日:04/09/16(木) 23:26:10 ID:/anm6Dee

文字多すぎ



260 名前:( ´∀)・∀),,゚Д)さん [sage] 投稿日:04/09/16(木) 23:51:29 ID:vugnxJjY

たしかに文字大杉はいえてるかも…
おもしろいけど



261 名前:( ´∀)・∀),,゚Д)さん [sage] 投稿日:04/09/16(木) 23:55:00 ID:oBEB3zdH

台詞が多くなると、逆に大変だぞ。
小説が原作である以上、こう言う形態の発表でも、文字が増える。




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