こんにちは。みちくさ学会事務局員の大谷です。

私も事務局・読者としてではなく、「壁材」講座を受け持つことになりました。勉強しながら参加できればと思います。
初回は、私の名前にちなんだわけではありませんが、「大谷石」の石塀の魅力についてお伝えしたいと思います。(わたしは"おおたに"、石は"おおや"です)
「大谷石」はその名の通り、栃木県は大谷町付近で産出する石材のことです。
加工のしやすさから古くは古墳にも用いられ、戦前から高度経済成長期にかけては関東一円を中心に外壁、縁石に利用されてきました。帝国ホテルなど、近代の名建築に用いられていることでも知られています。

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(内装にも大谷石をふんだんに使った栃木県日光市の金谷ホテル。窓の外、壁面に石が使用されているのがわかります。)

大谷石は耐火、耐熱性に優れているとされ、宇都宮市周辺では大谷石造りの蔵が多数現存していますが、多孔質で柔らかいため、経年劣化によって表面に汚れが目立ったり、剥がれ落ちたりしやすい石材でもあるのです。したがって、決して安い石材ではない大谷石をあえて加工しながら使用し、劣化しても補修を行えるような人が、大谷石を住宅に使用してきたとも言えるのです。

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(もちろん現在でも手に入れることはできます)

安価で大量生産に適したコンクリートによる壁が主流になった現在でも、住宅街をすこし歩けば、かなりの確率で大谷石の石塀に出会うことができます。そして、みちくさ的な観点では、劣化した大谷石の石塀がもつ趣きこそが、住宅街の持つ歴史や、昔そこに住んでいた人たちの息遣いを感じさせてくれるポイントになるのです。

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(門中から壁にかけて使用しているケース。)


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(市松模様のように正方形に石材を配置したパターン。)

次回から、具体的な鑑賞のポイントについて解説していきたいと思います。




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  • 株式会社ライブドアポータルビジネス部にて、ニュース等を担当。


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