001.JPGみちくさ、路上観察、散策、史跡巡り、土木建築見学など”みちくさのヒント”が転がっているだろう!と思われるイベントにみちくさ学会事務局員のふたりが足を運びレポートする連載記事企画、それがイベントレポートです。
と、大上段からはじめて見ましたが、イベントをレポートする、タイトルそのままの企画です。とはいえ、そこはみちくさ学会、何々コンサートや何々フェアなどをレポートしたところで芸がありませんので、”みちくさのヒント”が見つかる、街歩きの視点が変わるようなイベントを中心にレポートしたいと思います。

さて、第1回の今回は、わたくし事務局員の阿部がお届けします。


感謝の気持ちを込めて洗おう、橋を

去る7月25日の日曜日、炎天下の東京都中央区では「日本橋の橋洗い」というイベントが開催されました。

「日本橋の橋洗い」をご存知の方はどのくらい居らっしゃるのでしょうか?ちょっと聞きなれない催しかも知れません。実は私はこの催しを今年初めて知りました。しかし、なんと今年で40回を数える歴史あるイベントなのだそうです。失礼しました。

毎年7月の第4日曜日に開催されるという橋洗いですが、やることはひとつ!橋を洗いまくるという至ってシンプルなものです。ですが、さすがは”名橋”日本橋、このシンプルな催しに毎年多くの人が参加し、昨年は1,500人の人出、今年はこれを越える人数の参加者が集まったそうです。さん付けの尊敬感ですね、日本橋さん。

002.JPGこの日のために主催者側が用意したデッキブラシは500本超!これが全て駆り出されてもまだ足りない訳ですから、催しの規模の大きさがご理解いただけるでしょう。

そんな日本橋さんですが、その昔は五街道の起点、現在でも日本の道路の起点を示す「日本国道路元標」がありまして、みちくさフリークであるなら一度は巡礼しておきたいスポットであることは間違いないでしょう。

「みちくさするなら、まず日本橋行ってからにしろ」・・・そんな言葉はありませんが、”みちくさのヒント”が隠れてそうですね。


老若男女入り乱れての橋洗い


003.JPG橋を洗う前にまず行われるのが「名水水合わせ」。日本各地から用意された名水を「道路元標」に注ぐというものです。

004.JPG十種類の名水が「道路元標」の前に勢揃い。「道路元標」は日本橋の中央にありますので、自動車の往来が絶えない日曜のお昼などには、まずお目にかかることができません。貴重な体験ですね。私もここで初めて「道路元標」の詳細なレリーフを観察する事が出来ました。

005.JPG合わせ水が終われば、次は散水車で十分に路面を濡らします。みるみる路面の色が濃く変わってゆきます。そして、3台並走する散水車、スゴい迫力です。

006.JPGさあ、ここからは参加者の出番です。お年寄りから小さな子ども、あるいはハッピを着込んだ大人たちが一斉に車道に飛び出してきます。ゴシゴシ、ゴシゴシ、デッキブラシが路面をこする音が聞こえます。

007.JPG放水する消防隊員のまわりは子供たちの人気エリア、皆デッキブラシを持って駆け寄ってきます。

008.JPG日頃の感謝の気持ちを込め、デッキブラシで丹念に磨き洗いされる「日本国道路元標」。

009.JPGあらかたデッキブラシでの掃除が終われば「日本国道路元標」もこの通り、ピッカピカですね。


日本橋の橋洗いは手洗いで締める


010.JPGいよいよ橋洗いもクライマックス。最後は放水車からの大量の水を使って高速に掲げられている「日本橋」のプレートを洗います。放水の様子。

011.JPGプレートに当たった水しぶきが、辺りに一瞬の霧を降らします。

011.JPGそして締めは、参加した子どものなかから数人がクレーンでプレートまで近づき、なんと手洗い!大切な一張羅は手洗いするべし、というのは衣類も橋類(?)も変わらないようです。


日本橋の美化保存を目的に、子どもからお年寄りまで日本橋地区の町内会や地元企業をはじめ、日本橋を愛する多くの人が参加する催し「日本橋の橋洗い」。それは一方で「日本国道路元標」の詳細なレリーフ鑑賞など新たな視点をもたらしてくれました。

ということで、”みちくさのヒント”、それは路上キズ、プレートや銘板など風景の中に溶けこんで一見気づかないようなモノにも、くまなく目を光らせる事なのかもしれませんね。


「日本橋の橋洗い」に関するお問い合せ先
名橋「日本橋」保存会 事務局
電話:03-3274-6263 お問い合わせの際には、電話番号をよくお確かめのうえ、おかけ間違いのないよう、よろしくお願いいたします。
http://www.nihonbashi-meikyou.jp/



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