子供の頃、夜の高速道路を走る車の中から外を眺め「きれいなお城が建ってるな」と思ったのを思い出します。
今思うと、インターチェンジ近くのラブホテル街だったと思います。
今回掲載した写真のホテルは、地元では有名なホテルだそうです。
ド派手なピンクのネオンは暗闇の中でとても目立ちますし、ネーミングも変っています。

何故ラブホテルには変った外装や変った名前が多いのでしょうか。
疑問に思ったことはありませんか?
夜の散歩を好む者としては、毎晩外壁を照らし目立とうとするあの異様な建物が気になります。


結論から言うと、ラブホテルにとって外観は広告そのものなんだそうです。

ラブホテルの外観の歴史について、ラブホテル評論家の日向琴子さんは以下のように語っています。「ラブホテルの外観は、そのまま広告の役割をしている」
一昔前までラブホテルは新聞に広告さえも載せることができなかったそうです。
それがある時、業界では考えられないほどド派手なラブホテルが伊豆に建ち、連日満室となったそうです。
それにより「"派手な外観=集客に繋がる"という図式が出来上がった…」らしいのです。
(サイゾーウーマン[連載]女子的ラブホ考察 ラブホテルを脅かす、新形態のホテルとは!? より引用)

奇抜で派手な外観はもちろん、奇抜なネーミングも人を呼び込むための広告の役割を果たしているという話もあります。


ラブホテルの総合プロデューサー、建築家の亜美伊新さんのオフィシャルサイトでは、年代別に関わったラブホテルの写真等が公開されています。
普通では考えられない度肝を抜かれるものが多いです。

亜美伊新さん曰く「非日常空間・異次元の世界、これこそがラブホテルの真髄」ということだそうです。
このサイトでは外装のスケッチも公開されています。これを見ると「内装と比例して外装も派手になっている」ということがわかります。

有名なラブホテルの本があります。
編集者・写真家として活躍されている都築 響一 さんが編集で関わった
「Satellite of LOVE―ラブホテル・消えゆく愛の空間学」 Alfred Birnbaum (原著), アルフレッド バーンバウム (翻訳)
という本です。
大型書店に行くと必ず"アート"や"写真集"のコーナーに置いてあります。
見るとわかりますが、各ホテルで競うように派手で奇抜な内装を施しています。

外観はもちろん、内装やネーミングの広告としての効果を上げ人気を得ようとした結果、
競争が激しくなり次々に個性的なラブホテルが建てられていったようです。

一方で、段々と傾向が変わって来てもいるようです。

前出したラブホテル評論家の日向琴子さんもおっしゃっていますが、インターネットなどの宣伝ツールも増えたため、
外観・内装・名前に奇抜さや派手さが必要とされずに、「"ラブホテルっぽくない"外観のホテルも増えている」そうです。
珍妙なラブホテルに出会えなくなる日も近いかもしれません。
そうなる前にラブホテル街をカメラ片手に歩いて、記念に写真を残すのも面白いですね。





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  • 光と人

  • 2006年に開催されたインゴ・マウラー展で照明に魅了される。職業は調理担当。
    無計画の散歩が大好き。