地下化工事の進む、東急“新・渋谷駅”を見学
 国土交通工事の見学会など”みちくさのヒント”が転がっているだろう!と思われるイベントへみちくさ学会事務局員のふたりが足を運びレポートする連載記事企画、それがイベントレポートです。
 さて今回は、地下化工事の進む“新・渋谷駅”ホーム周辺を見学してきました。東急東横線と東京メトロ副都心線は、2012年度に相互直通運転が予定されています。この相互直通運転に伴い、現在渋谷警察署前付近では、渋谷駅から代官山駅までのおよそ1.4km区間を地下化する工事が行われています。

 イベントレポートでは、もはやお馴染みとなった地下化工事現場ですが、今回もふるってレポートさせていただきます!それではどうぞご覧ください。

5つの路線を結ぶ、都市交通工事


 トビラで掲載している1枚目の写真は、渋谷署前を走る明治通りの真下、およそ地下25mで建設が進められている東急“新・渋谷駅”ホーム(からちょっと歩いたところ)です。渋谷駅を背中にして、代官山方面を見たカットです。2012年度には、渋谷駅ホームを発車した代官山駅行東横線の車窓からこんな風景を見ることが出来るかも知れませんね。

 地下化工事が完了すると、東武東上線・西武池袋線から東京メトロ有楽町線・副都心線を経て、東急東横線そして、みなとみらい線までがひとつの経路として結ばれることになります。つまり埼玉から神奈川までを一本で結ぶことになる訳ですから、非常に広域的なネットワークが形成されると言えます。便利ですね!


 そんな渋谷駅地下化工事が行われているのは、大変交通量の多い、渋谷宮益坂口の明治通りの真下!
 ここから地下に足を踏み入れるのです。奥に見えるのが、首都高速3号渋谷線と歩道橋。


 とても狭い階段を下ると見えてくる工事現場の様子。(今回降った階段は、過去のレポートと比べても“最狭"でした!そのため階段の様子は撮れず・・・。)現場には「地図に残る仕事。」という垂れ幕が。まさにその通りのコピー!こういったコピーで工事に携わる方々も鼓舞されるのではないでしょうか。太明朝でカッコいいです。


 最下部まで降る途中で、なんと下水管を見つける事ができました。こちらは渋谷川幹線下水。ここから更に降ることになりますので、電車は下水管よりも深いところを走るということでしょうか。


 垂れ幕の奥には保護された円筒を見ることができますが、これも下水でこちらは古川幹線下水とのこと。工事はこのように埋設物を保護しつつ進められるのです。


地下化する“新・渋谷駅”



 ホームが作られるであろう辺りまで降りてきました。ついつい何度も確認してしまいますが、ここが明治通りの真下!いつも目にしている道路、通勤通学に使っている通りのその下を歩くって、とても不思議な感覚です。


 ホームまで降りてきました(正確には4路線のホームからちょっと離れ、路線が上り下りの2路線に変わる辺りです)。こちら冒頭で掲載した写真と同じ場所です。この地下化工事では、地下化される渋谷駅〜代官山駅間1.5kmのうち、中間部分のおよそ508mがシールドトンネル区間となり、両端の渋谷駅と代官山駅周辺は箱型トンネルという地上から掘削する区間となるそうです。写真はちょうど、シールドトンネル区間と箱型トンネル区間の境目あたりでしょう。


 渋谷駅〜代官山駅間地下化工事で使用されたシールドマシンのご紹介。「シールドマシンって?」という方は、こちら「横浜環状北線シールドマシン発進式」の記事をご覧ください。動いている様子も見ることが出来ますよ。ちなみに、こちらの双子の楕円形のシールドマシンは、タテ7.44m、ヨコ10.64m、重さ1,000t。シールドマシンで掘り進め外壁を作って、また掘り進み、といった工程を457回、期間にして10ヶ月を費やし現在に至ったとのことです。


 こちらの筒状の鉄鋼はシートパイルと呼ばれるもの。港湾・河川工事等の締切り材として立て並べられているところを見ることがありますが、ここでは鉄道のレールを地下に降ろすために用いられているそうです。


 こちらの立坑からレールを降ろすというから、案外地道な作業なのですね。

さて、こちらは現場の様子です。代官山方面から、渋谷駅方面に180度ぐるりと撮影してみました。



東急文化会館のDNAを受け継ぐ、渋谷ヒカリエ


 さて、ここまで一気に渋谷駅〜代官山駅間地下化工事のレポートをご紹介しましたが、実は今現在、渋谷駅の宮益坂口周辺全体が「渋谷ヒカリエ」をメインにした大規模工事の真っ只中なのです。渋谷駅〜代官山駅間地下化工事はその一部。(下の写真、建設中のビルが「渋谷ヒカリエ」)

 では、「渋谷ヒカリエ」とは何か?と言いますと、2012年春に開業が予定されている高さ182.5mの超高層複合ビルです。開業するとオフィスのほか、本格的ミュージカル劇場や商業テナントが入るようです。最近では、モバゲーを運営する株式会社ディー・エヌ・エーが本社を「渋谷ヒカリエ」に移転すると発表し話題を呼びました。

 「渋谷ヒカリエ」は東急文化会館の跡地に建つ予定。東急文化会館といえば、都内初のプラネタリウムやシネコンの走りとも言える映画館を時代に先駆け備えた、戦後当時の渋谷文化地であったと聞きますから「渋谷ヒカリエ」は東急文化会館のDNAを受け継ぐカルチャースポットとなりそうですね。

 開業後の「渋谷ヒカリエ」に足を運ぶことがあれば、その地下では渋谷駅〜代官山駅間地下化工事という大規模事業が行われていたことも思い出し、渋谷を散策してみるのも面白いかも知れませんね。


関連リンク

東急電鉄公式サイト「東京メトロ副都心線との相互直通運転に伴う東横線渋谷~横浜間改良工事」
渋谷ヒカリエ公式サイト

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