換気口の聖地
換気口鑑賞愛好家にとってはすでに言うまでもない常識となっているが、換気口の聖地といえば、そう新横浜だ。
近隣にお住まいでない方のために説明をすると、新横浜とは1964年の東海道新幹線開業時に
つくられた駅で、東京から乗ると品川の次に停車する駅である。大阪で言うと新大阪、札幌で言うと新札幌、加勢大周で言うと新加勢大周みたいなものだと理解してもらえばいい。

新○○と名のつく駅にありがちだが、開業時新横浜周辺は田園地帯で何もなかったそうだ。そんなところに新幹線の駅が出来たのだから、街を発展させなければならない。
横浜副都心をつくろうという意気込みで、そこから急にたくさんのビルが出来、ホテルが建ち、マンションがそびえ、ラブホテル街が生まれ、横浜アリーナが作られ、ラーメン博物館がオープンした。
しかし、一代で財をなした成金のお金が身につかないように、急ごしらえの都心ではひずみも生じる。勢いにのって建てられたビルはいつか壊され、そこは都会の常識コインパーキングになった。
そうして今新横浜は絶好の換気口スポットになっている。

適度に間引きされ、鑑賞してくれと言わんばかりに壁面をさらす実に手ごろなサイズの高さのビル群。そして大規模で窓のないラブホテル群。目移りしそうなくらいに良質な換気口物件が続く。
三蔵法師が換気口マニアならきっと天竺はここだ。

余談だが、新横浜には元ラブホテルだったカラオケボックスがあり、なぜか個室毎にトイレがあるらしい。人づてに聞いた話なので真偽のほどは定かではない。ただひとつだけ間違いないのはそのカラオケボックスも良い換気口物件に違いないということだ。

新横浜




  • 前川ヤス

  • がらり~換気口鑑賞団 

  • 1972年生まれ北海道出身。2007年春頃、電車の車窓から見える換気口配列の美に魅せられ、「日本に一人しかいない趣味(タモリさん認定)」換気口鑑賞を始める。一児の父。