前回も紹介した鍾馗さんの分布図です。
実際に筆者が確認した鍾馗さんの数を、都府県別に示すとこんな感じ。

愛知県 2,004 京都府 1,809 奈良県 1,766 滋賀県 1,135
大阪府  967 三重県  801 岐阜県  184 兵庫県   67
和歌山県  20 長野県   20 埼玉県   14 東京都   7
神奈川県  1 静岡県   1 石川県   1 福井県   1
徳島県   1

もちろん未確認の鍾馗さんが、まだ数限りなくあるはずですが、
傾向として、関西周辺に集中していることがおわかりいただけると思います。

鍾馗さんが多く見られる地域で「どうすれば出会えるか?」について、
本稿から何回かにわたって、経験則を説明することにします。

「お寺鍾馗」「突き当り鍾馗」



鍾馗さんはもともと災厄を運んでくる「鬼」を退治してくれると信じられているため、
鬼の多い(と思われる)ところに置かれることが多くなります。

ひとつはお寺の周辺。
寺院には鬼瓦が葺かれており、鬼瓦はやってくる鬼をはねかえす霊力があるとされます。
お寺の霊力が強いほど、周囲の家にはお寺がはねかえした鬼が入ってきてしまうではないか!!
という訳で、お寺の鬼瓦に対抗するために周囲の民家では、お寺の方を睨みつけるように
鍾馗さんが置かれるようになりました。
これが「お寺鍾馗」と呼んでいるタイプです。
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(奈良県天理市)
お寺と鍾馗さんを一枚のアングルに収めるのは結構難しかったりする・・


もうひとつのパターンは「突き当り鍾馗」。
なぜか鬼はまっすぐにしか進めない、ということになっている。
すると道の突き当たりに建つ家は、コーナーを曲がれない間抜けな鬼たちが
どんどん入ってきてしまい、うっかりしていると鬼のたまり場になってしまう。

そうはさせじと突き当たりの家は、鍾馗さんを道に向かって揚げて防御することになります。

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(京都市上京区)
 正面の家の小屋根に小さく見えているのが鍾馗さん。
典型的な突き当り鍾馗。


このふたつの類型にあてはまらない鍾馗さんも数多くありますし、
地域によってその割合も大きく異なるため、鍾馗さんを効率よく見つけるためには
「地域別の傾向と対策」が必要となってきますが、そこのところはまた次回。


厳しい状況


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(奈良県天理市櫟本町)


この仲良し鍾馗さんも突き当り鍾馗。
陽だまりで茶飲み話をしているような風情がなんともいい。
桜井市と奈良市を結ぶ古道、上街道(上ツ道)が櫟本の町で屈曲するところに建つ家に
あったので、南から歩くとこの鍾馗さん達は遠くからもよく目立っていました。
のほほんとしていても、かつては行き交う人たちで賑わった街道で、
突進してくる鬼たちから家を護っていたのでしょうか。

IMG_1238
残念ながらこの家は2007年に全面修復され、鍾馗さんは消滅しました。

鍾馗さんは工芸品というよりは縁起物の扱いで、役目を終えればほとんど省みられることなく
破棄されています。こうして失われる鍾馗さんは数多く、
筆者が焦り、憑かれたように毎週出歩く理由になっています。





  • Kite

  • 鍾馗を尋ねて三千里

  • 鍾馗博物館

  • 愛知県在住の会社員、1961年生まれ。
    週末のたびに関西方面へ遠征し、民家にひそむ鍾馗さんに望遠レンズを向けてます。
    不審尋問には笑顔とポケット版鍾馗ファイルで対抗するも、追い払われることもしば
    しば。