鍵泥棒のメソッド

【 ストーリー・あらすじ 】
「アフタースクール」の内田けんじが監督を担当した、さまざまな要素が詰め込まれた予測不能の娯楽作。ひょんなことから人生が逆転してしまった2人の男性を巻き込んだ物語の成り行きを、笑いとサスペンスを交えて描き切る。
35歳にして定職もなく、売れない役者稼業にもほとほと嫌気がさした桜井(堺雅人)は自殺にまで失敗してしまう。その後、出掛けた銭湯で見るからに勝ち組男のコンドウ(香川照之)が彼の目の前でひっくり返り、頭を強打したせいで記憶を失ってしまった。桜井は衝動的に彼の荷物をくすねてコンドウに成り済ましたのだが、実はコンドウの職業は殺し屋だった…。
【 出演 】
堺雅人, 香川照之, 広末涼子, 荒川良々, 森口瑤子
【 監督 】
内田けんじ
【 感想 】
この映画「鍵泥棒のメソッド」を皆さんは鑑賞されたことがありますか?内田けんじが監督を務め、主演の堺雅人と香川照之が贈るコメディとサスペンスで楽しませてくれる作品です。
以前紹介した「アフタースクール」がとても面白かったので、同じく内田けんじ監督作品の本作を鑑賞してみました。やはり脚本が見事で多くの方が楽しめる映画になっていると思いますので、ぜひ鑑賞してみてください。
登場人物の紹介
桜井武史 (堺雅人)
小さなアパートに住む売れない貧乏役者。
自殺しようとしている。
コンドウ (香川照之)
誰も正体を知らないプロの殺し屋。
銭湯で転倒し、記憶喪失になってしまう。
水嶋香苗 (広末涼子)
雑誌の編集長をしている。
相手はいないが結婚する日を決めている。
工藤純一 (荒川良々)
極道のボス。
ある人物を殺すようにコンドウに依頼する。
井上綾子 (森口瑶子)
元銀座のホステス。
極道のボスである工藤に命を狙われている。
売れない貧乏役者の桜井(堺雅人)
オンボロアパートに住む売れない貧乏役者の桜井は自殺しようとするも失敗に終わり、死ぬ前に銭湯にでも入っておくかと銭湯に行くのですが、そこでなんと大事件が起こります。
お金持ちそうなコンドウという男が銭湯に入るや否や、第1歩目で転がってきた石鹸を踏んでしまい、マンガみたいに宙に浮いて地面に叩き付けられ失神してしまうのです。

桜井は今だとばかりに、コンドウのロッカーの鍵と自分の鍵を取り換えます。財布にはたくさんの札束、車は高級車、自宅は超高級マンションとまさに成功者。桜井にとっては夢の生活なんですよねっ。しかし、コンドウという男は秘密があって、実は誰も姿を見たことのないという伝説の殺し屋だったのです。
鍵を取り換えた相手がお金持ち、ここまでは桜井にとって予想通りだったと思いますが、まさか伝説の殺し屋だったとは・・・。出来心だったとはいえ、こんな展開になると思っていなかったでしょうねっ。

伝説の殺し屋から売れない貧乏役者へ
腕には血の付いた腕時計、仕事を終えた殺し屋のコンドウはたまたま見つけた銭湯に入ります。だがそこで石鹸を踏んですってんコロリ、ロッカーの鍵を取り換えられたことも知らず、救急車で運ばれていきます。そしてなんと記憶喪失になってしまうのです。

記憶を失ったコンドウはロッカーの鍵が取り換えられたことにより、自分を売れない貧乏役者をしている桜井だと思い込んでしまうんですねっ。彼の記憶喪失により完全に人生が入れ替わってしまった桜井とコンドウ、とっても面白い設定だなぁと思いました。
そして、すごく怖い表情をしていたコンドウが、いきなり柔らかい表情になるんです。殺し屋のイメージとは真逆で、今後の人生においてやるべきこと、必要なものなどをノートにメモしておくなどすごく真面目な性格ですし、人としてすごくしっかりしているのでそのギャップが面白かったです。

結婚したい雑誌編集長の水嶋香苗(広末涼子)
雑誌編集長の香苗がいきなり結婚をすることになったとみんなに報告します。だが、相手はまだいないとのこと・・・。ということで、計画した結婚予定日に向けて相手探しが始まります。
結婚をしたいという気持ちはわかりますし、何歳までに結婚したいと考えている人は実際けっこういらっしゃると思いますが、何月何日に結婚するというピンポイントで計画を立てるのはすごいですよねっ。まぁ、これも相手がいるのであればまだわかるのですが、今から探すわけですからすごい女性だなぁと思いました。

殺し屋と役者
伝説の殺し屋コンドウは誰にも姿を見られたことがない、そして本物の殺し屋コンドウは記憶喪失になっている。なのでコンドウに桜井がなったとしても、誰にも気づかれないんですよねっ。部屋にある変装グッズを駆使して、桜井が殺し屋を演じ切ります。
誰にも姿を見られたことがないほどの一流の殺し屋コンドウですが、桜井が演じることによりどんどんとコンドウの格が下がっていきます。なんといっても売れない役者だったわけですから、全然演じ切れていないんですよねっ。いかにも怪しい変装なんかは学芸会のようで面白かったです。

逆に本物の殺し屋コンドウは、小さい役ですが仕事が与えられます。なんといっても伝説の殺し屋だったわけですから、殺しの技だけでなく、変装や演技なども得意だったんですよねっ。才能と一生懸命勉強する真面目さもあって役者の道が広がっていきます。
この人生が入れ替わっても成功する人は成功するし、失敗する人は失敗するものなんですねっ。といっても運とかではなく、それに向かう姿勢がいかに真剣なのかが影響していて、コンドウからそれがすごく伝わってきました。

逆プロポーズ
おそらく香苗は出会った日からコンドウに少し惹かれていたのだと思いますが、出会ってまもなくして逆プロポーズします。確かにコンドウは誠実で努力家で男性として素敵だと思います。ただ、コンドウからすれば戸惑いますよねっ。
もちろんコンドウも香苗のことを好意的に思っていたとは思いますが、それとは関係なく出会ってまもないのに結婚というのは、なかなか決断できるものではありませんし、何しろ記憶を失って自分自身のことをまだよくわかっていない状態なわけですからちょっと難しいですよねっ。
ただその直後に香苗の父の死によって、結婚を急いでいた理由が明らかになります。しかも、あることがきっかけでこの時にコンドウの記憶が戻るんですねっ。ここから後半へと突入し、物語がスピーディに展開していきます。

殺し屋とニセ殺し屋
桜井が高級マンションに戻ると、そこには記憶の戻った本物の殺し屋コンドウが・・・これで桜井は自殺する前に殺されてしまうのかなっ?と思いきや、コンドウは追ってくるヤクザの工藤の件を解決しようと奮闘します。
しかし、誰も姿を見られたことのない殺し屋として活動していたコンドウは、桜井の殺し屋ごっこのせいで顔がバレて家まで見つかってしまったので、本物のコンドウは桜井が演じるコンドウの部下を装ってヤクザの工藤に接近していきます。
この時のコンドウの演技は見事なんですよねっ。殺し屋のオーラを一瞬に消して、下っ端感を出すところなんかは素晴らしかったです。
それにしても堺雅人と香川照之、この2人が揃うとどうしても「半沢直樹」を思い浮かべてしまいます。流行語にも選ばれましたし、あれだけ話題となったドラマですので仕方ないですよねっ。2人ともシリアスとコミカルの演技もできるので素晴らしいなぁと思いました。

実は便利屋!?
まさかまさかの新事実です。伝説の殺し屋と思っていたコンドウは、実はただの便利屋だったんですねっ。よくよく考えれば、家にあった銃はただのエアガンでしたし、桜井と同じくコンドウも伝説の殺し屋を演じていたということなんです。
なので「ヤクザ vs 殺し屋&役者」から「ヤクザ vs 便利屋&役者」という構図になっちゃうんです。ヤクザ相手でもこっちに分があると思っていましたが、一気に頼りなさが出てきますよねっ。演技力をフルに活かしながらヤクザに挑みます。

桜井の渾身の演技
絶体絶命のピンチ!もう逃げ道はないという状況で、あのポンコツ役者の桜井が渾身の演技を魅せつけます。ヤクザの工藤を前にし、伝説の殺し屋コンドウを堂々とした態度で演じる桜井、これはすごくかっこよかったです。

すごく静かな声で話し、時計に付いた血を拭き取る姿は冷血な殺し屋のようでした。ただ、これまでコミカルな演技しか見せなかった桜井が、いきなりシリアスで見事な演技を魅せるというギャップがあって、すごく面白かったです。
しかも、血を拭いたハンカチを真上に投げるなど後半になるにつれて自分の演技に酔っていましたよねっ。あと桜井の演技を心配そうに見守るコンドウの表情もすごく面白かったです。

心のトキメキ
結婚していなければ人はいくつになっても恋をする生き物です。しかし、若い頃は心のトキメキで恋をしていたのが、徐々に年を重ねるにつれてそのトキメキが無くなってしまうようです。
若い頃は心で、そして年齢を重ねると頭で恋愛をするということなんですねっ。香苗はコンドウに惹かれていて、それは頭で考えた上でのことだったのですが、彼が書き綴っていた計画や目標などが詳細に書かれたノートを見て、心のアラームが鳴り響きます。

と同時に前方で電柱に追突してアラームを鳴らしている車が・・・。そこから降りてきたのはコンドウだったんです。車のアラームからわかるように彼の心のアラームも鳴っていたんですねっ。2人の恋が実って嬉しかったです。
車のアラームで心のアラームを表現するところなんかはオシャレで上手いなぁと思いました。あと森口瑶子演じる井上綾子が鳴り響く車のアラームを、イラつきながらバンッと殴って止めるところなんかも好きです。

桜井にも恋の予感
色々と大変な体験をして、自殺する意志を改め頑張って生きていくことを決めた桜井の元に1匹の猫が・・・。すると近所に住む猫の飼い主である女性の心のアラームが鳴り響きます。きっと猫を抱きかかえる桜井が輝いて見えていたと思います。
この女性は中盤あたりで出てきていて、その時は顔が見えず暗い印象がありましたが、実はすごく綺麗な女性だったのでびっくりしました。桜井にも明るい人生がやってくる予感をさせる感じで、すごく綺麗なラストで良かったと思います。

タイトル「鍵泥棒のメソッド」の意味
「鍵泥棒のメソッド」の「メソッド(method)」は「方法」という意味ですので、「鍵泥棒の方法」という意味だと思っていたのですが、調べてみると「メソッド演技法」から付けれらているみたいです。
+ 「メソッド演技法」 +
1940年代にニューヨークの演劇で確立・体系化された演技法・演劇理論である。役柄の内面に注目し、感情を追体験することなどによって、より自然でリアリステックな演技・表現を行うことに特徴がある。
- Comment(2)
- [ 日本映画 ] 邦画
- 2014/10/06
- w.sさん
こんばんは、w.sさん。
コメントありがとうございます。
とても丁寧に脚本が作られていましたし
相反するキャラクターの対比がとても面白いですよねっ。
「半沢直樹」は流行語にも確か選ばれていましたし
ちょっとした社会現象にもなりましたので
どうしてもそのイメージが大きかったです。
あと確かに「リーガルハイ」で古美門とちょっと敵対していた裁判長役として
広末涼子さんが出ていましたねっ。
「半沢直樹」の話題が凄すぎたので目立たなかったですけど
「リーガルハイ」もかなりいいドラマですよねっ。
個人的には「リーガルハイ」の時の堺雅人さんの方が
演技力の凄さが伝わってきました。
今後も映画とドラマ共に頑張ってもらいたいです。
ご訪問ありがとうございました(^^)
- 2014/10/09
- パッチさん
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先日、私も観ましたがとても面白かったです。真面目で潔癖な男と面倒くさがり屋でいい加減な男という対照的なキャラがいいですね。
パッチさんがおっしゃったように堺雅人と香川照之のツーショットは「半沢直樹」を思い出しますが、逆に堺と広末涼子に関して言えば「リーガルハイ」を思い出します。