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2007年09月21日 23:02

「みくみく」にされちゃうのはむしろ音楽業界のほうではないか

 
みっくみっくにしーてあげるー♪

ニコニコ動画でいま一番ホットなコンテンツはなんでしょうか?

ランキングを見るとわかりますが、「みくみくにしてあげる♪」という楽曲です。この歌は既存の音楽のコピーでも無ければリミックスでもありません。ユーザーが作ったオリジナルの曲と詞を、ボーカロイドが歌い上げた楽曲です。

しかもこれがすばらしい作品。とりあえず以下より聞いてみてください。

ニコニコ動画のアカウントを持ってない人は、以下のYouTube版をどうぞ。


【初音ミク】みくみくにしてあげる♪【してやんよ】ニコニコ動画コメント付 - YouTube

どうです? 「みっくみっくにしーてあげるー♪」という意味不明のサビに「萌え」すら感じる人もいるのではないでしょうか? 再生回数はすでに18万を越え、もうすぐ20万に達しようとしています。それほどの中毒性すら秘めたこの曲が、ユーザーの手によって作られてるということに驚きを禁じ得ません。

パソコンによる音楽作成はDTM(DeskTop Music)と呼ばれ、20年以上の歴史があります。往年のパソコンファンなら、雑誌に載っていたMML(Music Macro Language)コードを入力してFM音源やPSG音源の音楽を聞いた覚えがあることでしょう。

そうしたDTMの歴史の中に、衝撃が走ったのは今年の夏。VOCALOIDというYAMAHAの歌声合成ソフトウェアに、声優藤田咲がその声を提供し、初音ミクという製品になって発売されました。

この可愛らしい声に魅了されたファンたちが、次々に既存の楽曲を初音ミクに歌わせ、それがニコニコ動画で大ヒットしています。

そうなれば当然、次はオリジナル楽曲を初音ミクに歌わせる事を考えるでしょう。

そう、それがこの「みくみくにしてあげる♪」なわけです。

さて、ここで問題です。

ユーザーの手によるオリジナルな作品がじゅうぶん以上に楽しめるということが証明されてしまいました。今後、初音ミクによってどんどんオリジナルな曲が発表されていくことでしょう。

Vocaloidは初音ミクだけではありません。今後もいろんな声優がVocaloidのの歌声ライブラリを提供していくことでしょう。もはや「歌声」はDTMにとってひとつの楽器になるわけです。

また、ニコニコ動画には「歌ってみた」と呼ばれるユーザーが実際に歌ったコンテンツも人気があります。素人的おもしろさのものもあれば、プロ顔負けの本当に上手な歌もたくさんあります。

オリジナル楽曲と、歌声という楽器と、ユーザー自身による歌唱。

これらがじゅうぶんな数を揃えたとき、消費者はニコニコ動画やYouTubeで聞ける音楽に満足してしまわないでしょうか?

少なくともそれが消費者の音楽を聴く時間を、従来のJ-POPなどから奪うことになるわけです。

そう、既存のアーティストの最大のライバルとして、ユーザーが作った音楽が台頭する可能性すらあるわけです。

しかもユーザーが作った音楽に、DRMはありません。コピーフリーです(技術的には)。

それほど音楽を作るユーザーがたくさんいるだろうかと疑問に思う人もいるでしょう。実は音楽の世界も裾野はものすごく広くて、無料で聞ける音楽を提供しながらCDを売ってるようなインディーズ系のアーティストはものすごい数がいます。

たとえばインディーズ音楽配信サイトであるmuzieには、13万曲もの音楽が登録され、その多くが無料でMP3をダウンロードできるようになっています。新曲も毎月100曲以上出てますし、登録してるアーティストは2万近くにものぼっています。

たぶんYouTubeみたいに、muzieで公開してる音楽をブログに張って紹介できるようなブログパーツを提供すると、もっと活況になるんでしょうね。

これだけのユーザー側のコンテンツ提供の土壌ができていて、ニコニコ動画やYouTubeのような発表の場が揃って来ている。さらにそこから収益をあげるシステム(アフィリエイト等)まで揃ってしまうと、もう「専業のプロ」が出る幕すら無くなってしまうのではないかと思ってしまいます。

だってそうでしょう。提供できるコンテンツの質は多少上かもしれませんが、買うと致命的に高い。1000円でDVDが買える時代になぜ3000円も出してCDを買うのか。

しかも著作権保護といってユーザーの自由をどんどん束縛している。束縛を強めようとしている。替え歌サイトですら潰してしまう音楽業界に、果たして未来はあるのでしょうか?

ニコニコ動画やYouTubeへの転載も「まあ宣伝になるから」と言って容認されがちで、別の人が歌ったり演奏したりしても受け入れられがちなユーザーコンテンツの方が、よりたくさんの人の耳に届き、ひいては聞いてくれる人の数も増えるようになるのではないか。

そう思えてならないのです。

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