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　　　　　　 ペリーの浦賀来航に先立つこと５年、箱館より更に北の利尻島にて──

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　　　 嘉永元年（１８４８年）６月２日　利尻島・浜辺近くの小屋
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　　　　　　　　　　 .｡　　　　　　 　 　 .{:: : : : |:::+;;;　 （;;;_ .|: : : :｝　　　　　　　　./ | ヽ
　　　　　　　　　　 .｡　　　..., ､　 　 　 .{ : : : :|ヾ　　,.、 　 |:: : : :;!　　　　　　　　 ＿__
　　　　　　　　　　 .｡　　　.ヽ ヽ.　　_ ...ヾ: :: :i　r‐- ┃┐.| : : :ﾉ　　　　　　　　 .|　　|
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 }　 >'´.-!、 ゞイ!ヽ┃ﾆﾞノ ｲゞ‐′　　　　 　 　 　 .|＿_|
　　　　　　　　　　　　　　 　 |　　　 －!　　 ＼` ｰ一'´丿 ＼　　　　　　 　 　 　 .｡
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ﾉ　　　 ,二!＼　　 ＼___／　　　/｀丶､　　　　 　 　 .｡
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /＼　 ／　　 　＼ 　 /~ﾄ､　　 ／　　　 l ＼ 　 　 　 .｡
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 /　、 ｀ソ!　　　　　 ＼/l::::|ハ／　　　　　l-7 _ヽ
　　　　　　　　　　　　　　/＼　　,へi　　　　⊂ﾆ''ー-ゝ_`ヽ、　　　 |_厂　_ﾞ:、
　　　　 　 　 　 　 　 　 ∧　 ￣　,ﾄ｜　　　 >‐-￣｀　　　　＼.　　| .r'´　　ヽ、
　　　　　 　 　 　 　 　 ,ﾍ　＼_,. '　| |　　　　丁二＿　　　　　7＼､|ｲ　_／￣ ＼
　　　 　 　 　 　 　 　 i 　 ＼　　 ハ∟　　　 　　 |::::|`''ｰ-､,_/　 /＼＿　 _／⌒ヽ

　　　　　 　 ┼╂┼
　　　　　 ∩＿┃＿∩
　　　　　 | ノ　　　　　ヽ.
　　　　　/　,, ノ　U　ヽ ヽ　　　　　　──間違いない。
　　 　　|　|||||●　　　● ）
　　　　彡､　　 ( _●_)　 ミ　　　　　　あれはどこをどう見ても異人クマ…！
　　　/＿＿U 　|∪|　　 　ヽ
　《 ( ＿＿＿.） ヽノ（￣￣ 丿》

　　　【 利尻島のまとめ役 】



　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∩＿＿＿_∩
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 / u 　 　 u └| 　∩＿＿＿_∩
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 | ●　　　● 　 ヽ/ 　u　　　 └|
　　　　　　　　　　　　　 　 　 彡 　 (_●_ )　u　 |●　　　●　　ヽ　　　　　やっぱりクマー…
　　　　　　　　　　　 　 　 　 ／ 　 　 |∪| 　　 彡　 (_●_)　u 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　（　 く　　 ヽ ﾉ 　 ／ u 　 |∪|　　　　ミ
　　　　　　　　　　　　　　 　 ＼_ )　　　　 　（ 　く 　 ヽ ﾉ　　　　　ヽ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【 利尻島の漁民 】

　　　　　　　　　　　　　　 ∩＿＿＿∩
　　　　　　　　　　　　　　 | ノ　u.＼　 ヽ､
　　　　　　　　　　　　（⌒/●　　●（⌒）l　　　　　　…沖の方で小舟が漂流していたから、
　　　　　　　　　　　　　＼|　(●_　)　＼＼ミ_
　　　　　　　　　　　　　　彡､|∪|　u.　u.＼＿） 　 　 仲間と一緒に岸まで引き上げたクマ。
　　　　　　　　　　　　　　　　ヽノ　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　）　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　　 /　　 　 　 　その舟には櫂や色々な荷物があったけど、
　　　　　　　　　　　　　　　|　　／~|　　|
　　　　　　　　　　　　　　　|　/　　｜　|　　　　　　　 舵らしきものはどこにもなかったクマー。
　　　　　　　　　　　　　　／　）　　｜　|
　　　　　　　　　　　　　（＿／ 　　/＿/



　　 　 ┼╂┼
　　 ∩＿┃＿∩
　　 | ノ＼　　　　 ヽ
　　/　　●゛　　● |　　　　　　近頃の異人は、この辺りの海によく捕鯨に来ると聞くクマ。
　　| ∪　　( _●_)　ミ
　彡､　　　|∪|　　 |　　　　　　 きっとこいつは何かの理由で母船からはぐれ、
/　　　　 ∩ノ ⊃　 ヽ
(　 ＼　／ ＿ノ　|　 |　 　 　 　 おまけに舵も流されたに違いないクマ！
.＼　“　　／＿＿|　 |
　　＼ ／＿＿＿ ／

　　　　　　 　 　 　　　　 　 　　 ,, ＿∩
　　　　　　 　 　 　　　　　∩／　　　 -ヽヘ
　　　　　　 　 　 　　　　　Y　,　 　　 ○　ヾ＼
　　　　　　 　 　 　　　　/^ｆ:○ (_●_)　 　}　}　　　　　　　──異人の密入国は死罪クマ…！
　　　　　　 　 　 　　　　|: .|:..　　.）　 |　　ミ　|
　　　　　　 　 　 　　 　　ゝ:ヾ..　 ⌒"　..,ｲ、ｲ　 　 　 　 　 その密入国を（結果的に）助けた自分達も、
　　　　　　 　 　 　　　　　 ＼;"ヽ::...　∠ ヽ ＼
　　　　　　 　 　 　　 　γ⌒:|:: .}"　 　　⌒＼ ＼　　 　 　 こいつと一緒に処罰されるクマ…？
　　　　　　 　 　 　　 　 |　 ;/　/　　　　,ｨﾍ.　＼ ヽ
　　　　　　 　 　 　　　　|　/　/　　　　ﾉ 　 ＼___ノ
　　　　　　 　 　 　　　　| "　/　 　　/
　　　　　　 　 　 　　 　 ゝ__ﾉ　 　　/
　　　　　　 　 　 　　 　　/. 　 　　..ｆ



　　 　 ┼╂┼
　　 ∩＿┃＿∩
　　 | ノ　　　u.　 ヽ
　　/　　●　　　● |　　　　 　…それは大丈夫らしいクマ。
　 |　u.　　( _●_)　 ミ
　彡､　　　|∪|　　､｀＼　　 　 ”漂流した”異人を救助したことに対するお咎めはないと聞くし、
/　＿＿　 ヽノ　/´>　 )
(＿＿＿）　　　/　(_／　　　　 異人もせいぜい国外追放になるだけクマー。
　|　　　　　　 /
　|　　／＼　＼

　 　 　 ┼╂┼
　　 ∩＿ ┃＿∩
　　 | ﾉ　　　 　　 ヽ　　　　　　──とりあえず、急いで番所に連絡してくるクマ！
　　/　●　　　●　 |
　 |　　　( _●_)　 u.ミ　 　 　 　 お前たちは、あの異人に着替えと何か暖かい物を
　彡､ u.　|∪|　　　､｀＼
/　＿　 　ヽノ　　/´>　 )　　 　 用意してやるクマー！
(＿＿＿）　　　/　(_／
　|　　　　　　 /
　|　　／＼　＼



　　　 　 　 　 　 　 　 ∩＿＿＿∩
　　　 　 　 　 　 　　/ 　ノ 　 ＼ 　ヽ
　　　 　 　 　 　 　　|　●　　 　●　| 　　　　　　　…よく考えたら、見知らぬ土地に漂流して
　　　 　 　 　 　　彡　　　(_●_)　 　 ミ
　　　 　 　 　 　 　/､　　　|∪|　　 　,＼　　　　　　あんなボロボロになるなんて、あの異人も気の毒クマ。
　　　 　 　 　 　 /.| 　 　　ヽノ 　　　|　ヽ
　　　　　　 　 ,,/-―ｰ-、, --､　　　.|＿,|
　　　 　 r-、,'''";;:;;:;::;;;;:;;::;:;:;;::;:;｀'- /_,l,,__ ）　　　　 ちょうど切り身が余っていたから、すぐに料理して
　　　　　|,,ノ;;:;r'"￣￣ﾞ^"`Y'-､;;;::;:;::;:;:;:;::;:|
　　　　　 .ヽ,′　　　　 　 ;　　 ｀"";;;;;⌒ﾞ') 　 　 　 あいつに食わせてやるクマー！
　　　　　　　´`ﾞ'''''''''''‐-‐'"`‐-‐'"゛　 ｀ﾞ´
　　　 　 　 　 　 　 　　| 　.∥　/
　　　 　 　 　 　　　　("＿__|＿`つ

　　　　　　,.．-──- ､
　 　 　 ／. : : : : : : : : : : :＼
　　　 /.: : : : : : : : : : : : : : : : ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ワイワイ ＞
　　　,!::: : : :,-…-…-ミ: : : : :',
　　　{:: : : : :i　-'　 ﾞー　i: : : : :}　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　ガヤガヤ ＞
　　　{:: : : : |　ｪｪ　 ｪｪ　|: : : : :}　　　　…………
　　　.{ : : : :|　　　,.、 　 |:: : : :;!
　　　 ヾ: : : i　r‐-ﾆ-┐ | : : :ﾉ
　　　　 .ゞｲ!　ヽ 二ﾞノ ｲゞ‐′
　　　　 __ィrlﾆ` ｰ一'´二 |二=､
　　　〃ヽ､_=--,-|_ :::::::: !:::|　 ! ヽヽ
　　 /　|::|　.|::,i":::::::｀`)l/|｜ .|:::::: !|
　　 ヽ_|__L,-| lｱ丁￣了`ｰ=ﾆ' |'／

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:;;;;;;;;;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;;;;;;;:;::;;;;;;;;;;;;;;;.｀ ..::;;...
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:;;;;;;^;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.)
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　　　　　　　/　::/　　　　　　　　 ..;;;;;;||;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.....;;;;;;;;;;;;...;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ;;;;;;; ;;;;;; ;;;;;;;;;;;;;;
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　　ヽ　:／　　　 );;;;＼　　 ;..;;;;=- :　.|| .:::／;;;/　　　　　　　　　　　　　　　　　 /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
　　　:／　:::....／　　　 )_-=￣~ 　..::: |／;;;;;;/:　　　 ＜●＞ 　　　　　　　　　 |;;;;;;;;;;;;;;;;;;＼::　　 、
　　／　::::.／::::...　／￣　　　_...-=´´;|;;;;;;;;;/:　　　　　:::::::　　　　　 ＜●＞　/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;＼　 三__|__
　　ヽ-=|　__--=￣　　＿―￣;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/:　　　　　　　　　　　 ::　　:::::::　　/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;)　 .口　|
　　⌒｀=　::::::::::ヽ::::／　　　 ＼;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/:　　　　　　　　　　_-._::　　　　　 /;;;;;;;;;;;;;;;;;::::::／　　 ‐┬‐
　　　　　　　/::::;／　　　　　　ヾ;;;;;;;;;;;;;;;;;;|:　　　　/;^;;;;;＼ ｀｀==-:　　　　　/;;;;;;;;;;;;;;;;/　　　　 .│田│
　　　　　　　|;/　　　　　　　　 <;;;;;;;;;;;;;;;;/|:　　　 :|;;;;;;:::::::;;;~;;;; ;;;::::.^;|　　　/;;;;;;;;;;;;;;;;＼　　　　　.￣￣
　　_　　　　　＼　　　　　　　　　＼;;;;／/:|:　　　 :|;ﾒ:￣ｴｴ==____;;;;;/　　/;;;;;;;;;;;;;;;/ ^　　　　 　 ､　マ
　　　￣＼　　　＼　　　　　　　　　　／|::ｲ　　　 :|;;;;;＼.　￣ ／;;;/　 ／;;;;;;;;;;;;;;;;;|　　　　 　 　 了 用
　　　　　　 ＼　　ヽ　　　　　　　 ／　/|:::ヽ.　　　ﾄ;;;;;;;;;;;===;;;;;;;/　 ／;;;;;;;;;;;;;／　　　　　　 　 .'"`ー‐
　　　　　　　　ヽ　 :|　　　　　 ／ 　 /:/:::::::＼　　 ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/　/::|　　＼　 　 　 　 　 　 　 　 ,
　　　　　　　　　＼_|　　　　／　　 /:/::::::::::::::＼　　 ＼;;;;;__／　/::／　　　 ＼　　　　　 　 　 　 .ﾚ　|
　　　　/;;;;;-=_＿xr―＝￣|　　　丶: 　　 ::::::::::::＼_　　　　　／／　　　　　　　),,, 　 　 　 　 　 　 ノ
　　_／;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;//　　　::|　　　 　＼ 　　　　:::::::::::::￣＝~／　　　　　　　　／　　＼＿
　　　　　　　　　//　　　::::|　　　　　　 ＼　　　　　_==／　　　　　　　　　／　　　　　／／=

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【 ラナルド・マクドナルド 】


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　　　　　　／￣￣￣＼
　　　 　／　　─　 　─＼　　　　　 今回の番外編は、この”漂流”してきた異人と、
　　　／　 　 （●）　（●） ＼
　　　|　　　　　（__人__）　　　|　　 　 この男が幕末日本にもたらした影響についてだお。
　　　＼　 　 　 ｀ ⌒´　　 ,／
　　　ノ　　　　　　ー‐　　　＼
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　　　　　　　 このマクドナルドという男は、北米大陸西岸のオレゴンの出身で、１８２４年に

　　　毛皮交易会社に勤めるスコットランド系の父親と、アメリカ先住民の母親の間に生まれたお。

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　　　　　　　　　　　　　　　　 　,、＿_　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ,.-─一‐-､
　　　　　　　　　　　　　　　　/ヽ　　　``ヽ　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 /::::::::__::::.＼:::ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　 //￣'￣￣ヽ.＼　　　　　　　　　　　　　 　 /::/::/ 　＼:::::!::::!
　　　　　　　　 　 　 　 　 `i |,＿,　,＿,、 i　>　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 !::!::ktｭ,　ｨfｭ､::!:::::!
　　　　　　　　　　　　　　 .ﾄ|,:ﾆ/ヽ二|'ー!イ　　　　　　　　　　　　　　　!:!::!　..:l　　　!:::|::!l:!
　　　　　　. , ､　　　　　　 　|￣,.レ,..、　　）7　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |:|:l:l.　ｰ‐ 　 !l::|::!:八
　　　　　　　ヽ ヽ.　　_ 　　　.! ''=＝=i　　/'　　　　　　　　　　　　 　 　 |:ll:::llヽﾞ___／||/:/:ｲ:::＼
　　　　　　　　}　 >'´.-!、　　 ヽ `!　!'　,//＼_　　　　　　　 　 　 　 　 _|:l:::|::::|　　　//:::::::!L_:::ヽ､
　　　　　　　 .|　　　 －!,―イ＞`'´‐＜ / 　 ＼＿　　　　　　　　　　 /´!~!＿　 　//＿ﾚ ,/ /＼ヽ
　　　　　　　.ﾉ　　　 ,二!_/　 /`―「_!―'./　　 /　`―::、　　　　 　 ,i ､_ |　!　　　　　　　/ / ／ !::!
　　　　　　 /＼　 ／　|i　　　|　 ///'　／　　 !_　　　　＼ 　 　 　 /-､,,/|　!-――一-ノ.∧_,／ l::!

　　　　　　　　　【 父：アーチボルド・マクドナルド 】　　　　　　 　　【 母：コアール・クソア 】
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 （マクドナルド出産の数ヶ月後に他界）

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　　　　　 その後、マクドナルドは先住民や混血児が多く暮らすコロンビア川地区や

　　　　　　　　　　　　　レッド・リヴァー地方の辺境で成長していったお。

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　　　　　そして１５歳になると、「文明生活を身に付けさせたい」という父親の考えにより、

　　　父親の友人が経営する銀行の見習いとして、セント・トーマスで暮らすことになったお。

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　　　　　　　　　　　しかし、そこで彼を待っていたのは──

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　　　　　　今まで強く意識して来なかった、混血児としての自分に対する

　　　 　　　『文明』という名の『白人社会』の容赦無い風当たりだったお。

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　　　　　　　　　　 し!　　　　　_　　-──　‐- 　　､　 , -─-､　-‐─_ﾉ
　　　　.ド 混 　 　 ./／￣＞ ´ ￣　　　￣　　｀ヽ　 Y　 ,　 ´　　　　　） 　 混　え
　　　　田 血　　　 L_　／　　　　　　　　　　　　　 　 ／　　　　　　　 ヽ　 血　 |
　　　　舎 が　　　　/ '　　　　　　　　　　　　　　　　'　　　　　　　　　　 i　 !?　マ
　　　　だ 許 　 　 /　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　 く　　　 ジ
　　　　け さ 　 　 l　　　　　　　　　　 ,ｨ/!　　　　/　　 　/l/!,l　　 　 ／厶,
　　　　だ れ　　 i 　 ,.lrH‐|'|　　　　 /‐!-Lﾊ_　　l　　　 /-!'|/l 　 ／｀'ﾒ､_iヽ
　　　　よ る　　　l　 | |_|_|_|/|　　　 / /__!__ |/!ﾄi　　　i/-- ､ ﾚ!/ 　 /　,-- ﾚ､⌒Y⌒ヽ
　　　　ね の　 　_ゝ|/'/⌒ヽ ヽﾄ､|/　'/￣｀ヾ 、ヽﾄ､Ｎ'/⌒ヾ　　　　　 ,ｲ￣｀ヾ,ﾉ!
　　　　 l　は　　「　　l ′ 「1　　　　　　 /てヽ′|　|　|　 「L!　　　　　' i'ひ}　　　ﾘ
　　　　　　　　　 ヽ　 | ヽ__Ｕ,　　　　　 ､ヽ シノ ﾉ!　!　|ヽ_､ｿ,　　　　　 ヾシ _ノ　_ﾉ
　　-┐　　　　,√　　 !　　　　　　　　　　 ￣　　 ﾘ l 　 !　￣　　　　　　　￣　　 ７/
　　　 ﾚ'⌒ヽ/　!　　　 |　　　〈　　　　　　　_人__人ﾉ_　 i　　く　　　　　　　 　 　 //!
　　人_,､ノL_,iノ!　　/! ヽ　　 r─‐- ､　　 「　　　　　 Ｌ_ヽ　　 r─‐- ､　　 u　　ノ/
　　　　　　　　/　 /　lﾄ､ ＼　ヽ, -‐┤　 ﾉ　　キ　　　 了＼　 ヽ, -‐┤　　　　　/／
　　ハ　キ　　{　 /　　　ヽ,ﾄ､ヽ/!｀ｈﾉ　　）　　モ　　　　|/!　「ヽ, `ｰ ／）　　 _　‐'
　　ハ　ャ　　 ヽ/　　 r-､‐'　// / |-‐ く　　　 |　　　　 ＞ / / ｀'／／-‐､　　　　／
　　ハ　ハ　　　 ＞ ／＼＼// / /ヽ_　 !　　 イ　　　 （　 / / ／／　　/　`ｧ-‐ '
　　ハ　ハ　　　/　/!　　 ヽ　　　 レ'/　ﾉ　　　　　　　　＞　 ' ∠ 　-‐　￣ノヽ　　　/
　　　　　　　　 {　 i　l　　　 !　　　　/　 フ　　　　　　　/　　　　　-‐　/￣/〉 〈 ＼ /!

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　　 　　　　　　　　　　　　　　さらに、文明社会の典型とも言うべき銀行員としての仕事は

　　　　　　　　　　　　　　　多くの先住民の中で生まれ育ったマクドナルドの性に全く合わず、

　　　 　　　　　　　　　　しだいに白人中心の社会に対する、拭い難い反感が生まれていったお。

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　 　 　 　 　 :| :;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:; |i　　　　 アメリカ合衆国──アメリカの最初の新しいイギリス──の
　 　 　 　 　 .| :;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:; |
　 　 　 　 　 :|::;:;:;:;:;:,.　　　 　 　 .,:;:;:;:;:;::|:　　　　 独立宣言草案の起草者に、いやその後継者たちにお尋ねしたい。
　　　 　 　 .:/:::.　　　　 　 　 　 　 　 　 |:
　　　　 　 :/:　　　　　　　 　 　 　 　 　 |:　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ・ ・ ・ ・
　　　　 .//:　　　　　　　　　　　　　　　 |:　　　　 「すべての人間は平等」であるか。
　　　　//:　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 |:
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　　　ｉ,':　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ||　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　── Ｒ・マクドナルド『日本回想記』
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　　　　　　　　　　　　　結局マクドナルドは２年ほどで銀行員の仕事を放り出し、

　　　誰にも告げぬままセント・トーマスを飛び出して、ニューヨークで船乗りの仕事に就いたお。

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　　　　　　　　　　　　船乗りとして世界中の港から港へと渡る、慌ただしい生活を過ごしている間、

　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 彼はたびたびある噂を耳にしたお。

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　　,ｒｎ　　　　　　　　　　　 　.n!inｎ　　　　　　　　　　　　.n!inｎ　　　　　　　　　　　 　.n!inｎ　　　　　　　　　　　　　.n!in
　r｢l l i.ｎ　 .,. -──-､　　 .ｎi l l hi.ｎ　 .,. -──-､　　 .ｎi l l hi.ｎ　 .,. -──-､　　 .ｎi l l hi.ｎ　 .,. -──-､　　 .ｎi l l h
　|　､.　!j／. : : : : : : : : :＼ .i !.:　　| !j／. : : : : : : : : :＼ .i !.:　　|| !j／. : : : : : : : : :＼ .i !.:　　|| !j／. : : : : : : : : :＼ .i !.:　　|
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　　ヽ─' ゞイ!　ヽ 二ﾞノｲゞ/　　ヽ─' ゞ,イ!　ヽ 二ﾞノｲゞ/　　ヽ─' ゞイ!　ヽ 二ﾞノｲゞ/　　ヽ─' ゞイ!　ヽ 二ﾞノｲゞ/
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　　　　　　 それは外国との交流を頑なに撥ね付け続ける、東方の神秘の島国”日本”の噂。

　　　　果たしてそこにはどんな国民が、どんな習慣が、どんな富が、どんな生活があるのか──

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　　　　　　　　子供の頃に聞いた、「アメリカ先住民は大洋の彼方からやってきた」という話を信じていた彼は、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　噂を聞くたびに日本に対する憧れを強くしていったお。

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　　　　 ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿　　　　　　　 　 古めかしい東洋の「ユートピア」！
　　r´ ´＼　　　　　　　 　 　 　 　 ＼
　 (　　　　＼　　　　　　　 　 　 　 　 ＼　　　　　　 昔のアラビアの物語に出てくる伝説上の「ワク・ワク」。
　　＼　　 　 ＼　　　　　　　　　　 　 　 ＼
　　　 ＼ 　　 　＼　　　　 　 　 　 　 　 　 ＼　　　　現存の人類中最も古い民族。
　　　 　 ＼　 　　 ＼　　　　 　 　 　 　 　 　 ＼
　　　 　 　 ＼　　　　＼　　　　 　 　 　 　 　 　 ＼　 遥かな豊饒の海によって岸辺を洗われ養われる「東方の島国」帝国。
　　　　　　　　＼　　　　＼＿＿＿＿＿＿＿＿＿＼
　　 　 　 　 　 　 ＼　 　 r´＝＝＝＝＝＝＝＝＝ｒ´ 驚異に満ちた大洋の中の驚異！
　　 　 　 　 　 　 　 ＼　《 三三三三三三三三三=
　　　　　　　　　　　 　 ヽゝ＝＝＝＝＝＝＝＝＝=ゝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　── Ｒ・マクドナルド『日本回想記』

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　　　　　　　　　　　　　　　──そして、彼はついに決心したお。

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　　　　　　 ｨ'二 ',
　　　　　　l_ヽ､_'´　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　／｀ヽヾ
　　　　　 /　 Г　,.．-──- ､ 　　　　　　　　　　|､ 　 ／
　　　　　 !　　| ／. : : : : : : : : : ＼ 　　　　　　　,/ 　 У
　　　　 r`ｰ-､/.: : : : : : : : : : : : : ::ヽ 　　　　　/ 　 ,/
　　　　 l二`!,!:::: :,-…-…-ミ: : : : : :', 　　　　,l ､_　/
　　　　 ト___ {:: : ::i '⌒'　 '⌒' i: : : : ::} 　　　ノヽ､ 丁　　　──そうだ、日本、行こう！
　　　　 l-─{:: : ::|　ｪｪ　 ｪｪ　|: : : : ::} 　 ,r~ヽ､　/
　　　　 |,-‐''{ :: ::|　　　,.、 　 |:: : : ::;!　,/ . ヽ､ /　 　 　 　 日本近海まで行く捕鯨船に乗って、
　　　　 j‐'ﾌ=ヾ::::i　r‐-ﾆ-┐ | : : ::ﾉ／`ー-､ ,/
　　　　 ヽﾚ'ﾚ'_ゞイ!ヽ 二ﾞノ ｲゞ‐'_ｨ!、　ヽ､,-’　　 　 　 　 自分だけ途中で下船すればいいんだ。
　　　　　l'〃|イ| |レ-ｰ‐'"__ !==lll| !、 ヽ､ '
　　 　 　 l.ﾚ' ~ ./了‐''"~　 /'´/ | )　`~/
　　　　　/　　 / !, イ--､　/￣　', .ニ'´　　　　　　　　　　 漂流者のフリをして日本人と接すれば、
　　　　 /　　 ///./ 抜 ! .厂￣ !／
　　　　,' 　　 |/ .' !'"~.ノﾚ' .!、 ~丁　　　　　　　　　　　　　密入国での死罪もきっと避けられる！
　　　 .|　　　! !　　 ￣"　　 ｀`~,!
　　　｜　　,l ,!　　　　　　　　　 !
　　　 !　　 | l　　　　　　　　　/

　　　　　　　 　 　 ,.．-──- ､
　　　　　　　　 ／. : : : : : : : : : ＼
　　　　　　　 /.: : : : : : : : : : : : : : ヽ　　　　　　　　　…漂流民を装うなら、岸に近づく前に小舟を
　　　　　　　,!::: : : :,-…-…-ミ: : : : :',
　　　　　　　{: : : : :i '⌒'　 '⌒' i: : : : :}　　　　　　　　一回わざと転覆させた方がそれらしいな。
　　　　　 　 { : : : : |　ｪｪ　 ｪｪ　|: : : : :}
　　　　　　　{ : : : ::|　　　,.、 　 |:: : : :;!
　　　　　　　 ヾ: :: :|　r--ﾆ-┐ |: : ::/　　　　　　　　 別の目的（布教・測量など）があって入国したと
　　　　　　　　 ゞ-ｲi､ヽ二´.ノ /┬〈
　　　　　　　 ／　 ヽ｀' ―- ´／　 ＼　　　　　　　　 疑われる行動は絶対に避けないと。

　　　　　　　　　　 ,.' :: :: :: :: :: :: :: :: :: ::
　　　　　　　　 　 ､ﾞ:: :: :: :: :: :: :,,,,, :: :: :: :
　　 　 　 　 　 　 ,.':: ::,,-‐'´￣ 　 |:: :: :: ::
　　　　　　 　 　 (:: /__　　　　　　ﾞi:: :: :: ::　　　　　　　 ”相手の信頼を得ようとする”フリをするのではなく、
　　　　 　 　 　 （:::i´　 ヽ　　　　　ﾞi:: :: :: ::
　　　　　　　　　ぃi'ｪｪ　 　 　 　 　 L:: :: :: :　　 　 　 　 逆に”相手を全面的に信頼する”フリをして、
　　　　　　 　 　 i!,! ,　　 　 　 　 　 i,::__::,_ ::
　　　　　　　 　 ,/..　 　 　 　 ::::..　　　jｿl:: :: ::　　 　 　 日本人の人情にすがるべきだろう。
　　　　　 　 　 (;､o)　　　 ;;;;;;::::::::::..　 H.}:: :: ::
　　　　　　,,,,,,,,,,,,,|!＿_　　,,,;;;;;:::::::::::　―':: :: ::
　　　 ,.-‐' -､=｀i￣i- ﾞi　 ;;;;;;;;;;::::　　､:: :: _:: ::　　　 　　あと、日本人は上から下まで読書好きらしいから、
　　　」 = | _ l = l--l‐‐'....;;;;;;;;;;::::::::::　 `ｰ' ﾞｰ‐′
　 　 |　ｉ-| =.!--ﾄ="ゝ､＿＿__;- :::::　　　 　 　 　 　 　 怪しまれない程度に荷物に本を──
　 　 i　`‐iｒ‐l`='　|　 ,,,,, l!-‐く;;::::::::
　　　ﾞi　　ﾞ‐''　 　 !"´ 　 　 　 ＼:::::

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　　　　　　 　 　 　 　 ﾞヽ､..ノ
　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ,,ξ
　　　　　　　　　　 　 ,, ,,-=＝=-,,_
　　　　　　　　　 ,.-´／ 　 　 　 　丶 　 　 　 　 　 　 私は、どれほどの努力を払っても、
　　　　　　 　 ./　 /　　　　　　　　　ヽ
　 　 　 　 　 /.　 / 　 　 　 　 　 　 　 ',　　　　 　 　 ──さよう生命それ自体を犠牲にしてでも、
　　　　　 　 i' 　 i'　　　　　　　 　 　 　 l
　　　　　　 .l. 　 l　　　　　　　　　 　 　 }　　 　 　 　 できるならば、この神秘を自分で解いてみようと心に決めた。
　　 　 　 　 .', 　 ',　　　　　　　　 　 　 ,'
　　　　　　　　､　　､　　　　　　　　　 /
　 　 　 　 　 　 ゝ、 ゝ、　　　　　　 /　　　　　　　 　 気違いじみていようと、いなかろうと、
　　　　 　 　 　 　 ｀ ｰ ｀ｰ _＿_ -‐´
　　　　　　　　　　 　 -= ﾆ¨¨¨¨　=-　　　　　　　　 　少なくとも私の目的にかない、力の及ぶ限りは、
　　　　　 　 　 　 ../　　　　＼ｰ-＼ 　 ｀__
　　　　　　 　 　 φ　＼|＼|　＜二＞ ＼― ＼　　　 私はそうしようと決心したのだ。
　　　　　 　 　 　 |＼　　　 　 　 　⊂＿　 ￣　|
　　　　　　　　　　＼ ｀　 　 ,,_ 　 　 　 __）　　φ
　 　 　 　 　 　 　 　 ` 　.,_ 　 　 　 -----― '　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　── Ｒ・マクドナルド『日本回想記』
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ＿＿＿__/

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前半はここまでです。後半はまた後で。

まさかここまでドナルドの嵌り役が実在するとはｗ

乙
そこまでやったのはすごいなｗ

凄い行動力だな

┌───────── ─ －‐‐
└───────────── ─ －‐‐

┌─────────────── ─ －‐‐
└───────────────────
┌────────────────────── ─ －‐‐
│
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┌────────────────────────────── ─ －‐‐
└────────────────────────── ─ －‐‐

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　　　こうして計画通りに日本入国を果たしたマクドナルドは、松前藩の役人によって

　　　　　　　　　　　宗谷、松前を経て長崎へと護送され、取り調べの後に

　　　　　　　　　　　　　　　崇福寺大悲庵の座敷牢に収容されたお。

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　　　　.,,r''ﾞ;;:; ; ;:;:; ::;:; :;:; ;:;::;:; ;;:; ; ;:;:; ::;:; :;:;,,,ｿ “ﾞﾟ''''' ''ﾟﾞﾞﾟ　　彡ﾐ；ヾ::：;;ゞ　：;:ゞ.：ゞ
　　 ,,rﾞ‰‰‰‰‰‰‰‰‰‰‰‰‰　　(彡ﾐ彡ﾐ彡ﾐ彡ﾞ》ﾐ彡ﾉ''ﾞ(　　　;;:　.'；:;:.：　ゞ;ﾞﾟヾ；:;::ゞ;:;
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　　,r'~二二二二二二二二二二二二二　ヽﾐゞ　ゞ::;ゞ;　:;:ﾐ;:;:彡ﾐ彡ﾞﾟ''')：　　;　:ゞ.：;;ゞ；：;:ゞ.：;;
　　ﾞ~l~~~~~~~~~~~~~~~~ﾆﾆﾆｗﾆﾆﾆ~~~~~　(彡　　彡;:;:;ﾐ　彡ﾐ：　;;丿：;;ゞ　：;:ゞ.：　　;;ゞ；　：;:ゞ.：;;ゞ
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　　:.､､　;:...:,:.:.､,:.:.､､　;:...:,.､　:.､､;:...:,:.:.　､,:.:.､､;:...:,:　　.:.､~'ﾍ;;::::::::::::::::::::::::::::::::
　:.､､;:...:,:.:.､,:.:.､､;:...:,:.:.､　　:.､､;:...:,:.:.､　,:.:.､､;:...:,:.:.､　:.､､;:...

∞∞∞∞∞∞∞∞
　　──座敷牢
∞∞∞∞∞∞∞∞


　　 　 　 　 　 　 　 　 　 !､
　　　　　　　　　　　＿＿ヽ,＼|＼　 i!
　　　　　　 　 　 　 ＼　 ￣　　　 ∨ i
　　　　　　　　≦`ー゛　 　 　 　 　 　 ∨{
　　　　　　 　 　 ＞　　　　　　　　　　 　 }
　　　 　 　 .＜￣　.∨`､／￣　ー-　＿/　　　　 ──日本とオランダとを行き来する定期船がある。
　　　　　　 　 ｀ﾌ 　 |δ|　　⊂ヽ､　　　 |
　　　 　 　 　 ム 　∧__|. 　EミΞΞΞﾆ|　　　　　アンタはそれに乗って、日本から出国してもらうことになった。
　　　　　　　　}M /　 .| ∨｀ヽミΞΞ=／
　 　 　 　 　 　 /｀ヽ_　ヽ,　　＿￣Г´
　　　　 　 　 ∠＿　　＼ ヽ, 从 ／　　　　　 　 　 とは言え、次の定期船が来るのは１年近く先だ。
　 　 _　-‐'"　／＼｀ヽ　.｀┐二i
　／ ￣￣￣＼＼ .＼ ヽ,_,ﾊ＿〉、　 　 　 　 　 　 それまではここで辛抱してくれ。 （※英語）
r'　　　　　　　　＼' , ', ', ',＼ヽ, ヽ,＼

　　【 森山 栄之助 （オランダ語通詞） 】



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.．-──- ､
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ／. : : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　　　　　　　　　 /.: : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　,!::: : : :,-…-…-ミ: : : : :',
　　　　　　　　　　　　　　　　{:: : : : :i　-'　 ﾞー　i: : : : :}　　　　　　…うん、分かったよ。
　　　　　　　　　　　　　　　　{:: : : : |　ｪｪ　 ｪｪ　|: : : : :}
　　　　　　　　　　　　　　　　.{ : : : :|　　　,.、 　 |:: : : :;!
　　　　　　　　　　　　　　　　 ヾ: : : i　r‐-ﾆ-┐ | : : :ﾉ　　　　　　 （快適そうな住居だけど移動の自由はナシ、か。
　　　　　　　　　　　　　　　　　 .ゞｲ!　ヽ 二ﾞノ ｲゞ‐′
　　　　　　　　　　　　　　　　　 __ィrlﾆ` ｰ一'´二 |二=､　　　　　　 まあ、死罪よりはずっとマシだろうね）
　　　　　　　　　　　　　　　　〃ヽ､_=--,-|_ :::::::: !:::|　 ! ヽヽ
　　　　　　　　　　　　　　　 /　|::|　.|::,i":::::::｀`)l/|｜ .|:::::: !|
　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ_|__L,-| lｱ丁￣了`ｰ=ﾆ' |'／

─────────────────────────────────────

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ・
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ・
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ・

─────────────────────────────────────

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
　　　──数週間後
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ／i,-‐,
　　　　　　　　　 i｀ヽ／Ｙ´,'　, '￣￣ｱ
　　　　　　　　_,,..ゝ,,. 　.{　　,'　, '⌒´￣ﾌ
　　　　　　 ≦　　　,.----------.､　 <
　　　　　　　 ﾌ　 ノ――――――＼　ﾆ=-
　　　　　　 厶 ,〈　 ⊂ﾆﾆﾆﾆﾆﾆ⊃　 .〉ﾐ=ｰ 　 　 　 　──なあ、あのマクドナルドという異人、
　　　　　　　 ハ i .⊂ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ⊃ ./ ）}
　 　 　 　 　 .Иヽi ⊂ﾆﾆﾆﾆﾆﾆ⊃ /_/.{　　　　　　　　アンタから見てどう思う？
　　 　 　 　 　 }从 ＼厂｀匸i￣ヽ_/从{
　　　　　　　 　　 }从　　-‐‐- 　 仆´
　　　　　　　　　 　 ﾊ＼___爻__／.´|
　　　　　　　　　／/　＼_,.-"´　 ／＼
　　　　　,,..-‐'"´ /　/￣ ＼　　/ / / ｀ﾞ゛‐- ..,_
　,,..-‐'"/ / / / .|／ゝ-､／＼/ ,' ,' ,' ,' ,' ,' ,' / ﾞ゛ ‐-､



　　　　　　　　　　　　　　　 _,:-=====‐-､
　　　　　　　　　　 　 　 　 /''二￣　　　) ﾞヽ
　　　　　　　　　　　　　　 ir'"r-__,,,,,,.:-'"　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　r_,,r''"´`i'''ヽ　r‐:､　l　　　　　　　　　　　 ……？
　　　　　　　　　　　　 ／"r'.!__..-'　　`'";'ﾉ,! ,'
　　　　　　　　　　　　 ヽ_,r'iﾞ　　　 、　 'r:< ,'　　　　　　　　　 　 　 立場上こう言ってはまずいのかもしれませんが、
　　　　　　　　　　　　　　ヽr‐=''''` ,!.　丿, `i
　　　　　　　　　　　　　　　`(　　_,,-‐'"　l _,.!>､__　　　　　　　　 　 かなり親しみやすい人物ではありますね。
　　　　　　　　　　　　　　　　`'''".)､i ,.:-:'" ,.:'　 i. `'''ー--,-.､
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.:|.iﾞ''ヽ　 /　　 .|　　　 r'"　　`:､
　　　　　　　　　　　　　　　　,:r'　|,!,ノ.ヽ/_　 　 |　 　 ,'　　　　　i

　　　　　　　　　　　　　 【 堀 達之助 （オランダ語通詞） 】

　　　　　　　　　　　　　　　┌──────────────────┐
　　　　　　　　　　　　　　　│　　　　　 ,.．-──- ､　　　　　　　　　　　　　 │
　　　　　　　　　　　　　　　│　　 　 ／. : : : : : : : : :: ＼　　　　　　　　　　　   │
　　　　　　　　　　　　　　　│　 　 /.: : : : : : : : : : : : : : ヽ　　　　　　　　　　　│
　　　　　　　　　　　　　　　│　　 ,!::: : : : : :,-…-…-ミ: : ',　　　　　　　　     │
　　　　　　　　　　　　　　　│　　 {: : : : :: : :i　'⌒'　'⌒'i: : }　　　　　　　　　   │
　　　　　　　　　　　　　　　│　　 {:: : : : : : | 　ｪｪ 　ｪｪ | : }　　　　　　　　　  │
　　　　　　　　　　　　　　　│　　 { : : : : : :|　　　 ,.、 　|: ;! 　 　 ＝=､yr=､　  │
　　　　　　　　　　　　　　　│　　 ヾ: : : :: :i 　r‐-ﾆ-┐| :ﾉ 　　/　　 // /     │
　　　　　　　　　　　　　　　│　　　 ゞ : :イ!　ヽ 二ﾞノｲ‐′ 　/　,.,,_// ./　　 │
　　　　　　　　　　　　　　　│　　　　　　 ／` ｰ一'´ヽ　 　 '‐-ミ　ｿ､/　　　  │
　　　　　　　　　　　　　　　│　　　　　　｜　　　　 |　＼　 　 ／／　　　　　  │
　　　　　　　　　　　　　　　│　　　　　　｜　＼＼ |＼　＼／／　　　　　　  │
　　　　　　　　　　　　　　　└──────────────────┘
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【 入牢中のマクドナルド 】


　　　　　　　　　　　　　　 ,､- '' ﾞ￣,ヽ､_
　　　　　　　　　　　 　 ／　 ,､-''｀ﾞヽ 　｀ヽ
　　　　　　　　　　　　/　　 !ﾞ　　 　 |　　　｀.　　　　　　 常に穏やかで、大声を出したり暴れたりしない。
　　　 　　 　　 　　　├--''ﾞ　　　　/　　　　i
　　　　　　　　　　 , .,L _;.;;;;､　　ヽ ﾞヽ､./´｀!i　　　　　　座敷牢を訪れるどんな相手に対しても礼儀正しい。
　　　　　　　　,､-';;､-''ﾞ!,.､ヽ-- 'ﾞ｀_,／'ﾞ!Ｇ.ﾉ!
　　　　　　 ／,;-'ﾞ ,,-';ﾞ!--ﾞi-i'" ￣ '，　 Yi,　 　 　 　 　 日本語を覚えようとしているところも好感が持てます。
　　　　　 /　　　".／ヽ, 　 ! ﾞ;;＿,,ノ 　 　! ﾞヽ,
　　　　　/　　　 ./　　　￣;Ｔ!　 ,／　　 ﾉ.　 丿i ┬-─ '',ﾞﾆ'- ､
　　　　 /　　　,,/　　　　　 ﾞ''ニﾞ- 　 ／　i／　/　i　　　/　　　 ｀i
　　　.,_,i　＿,;;'ﾞ　　　　　 ,､-''ﾞヽ､_／,､-''｀　 /　　i　　/　　　　　 i
　　　i　￣＿,.ﾌ　　　　 /i　　 /　! i´ ）､ 　,/　　 !　 i　　　　　　 i
　　 !￣￣　 　 ! 　 　 / !　　/　,i　!'iﾞ　'.／!-､,／　/　　　　　 　 !

　　　　　┌───────────────────────────────┐
　　　　　│　　　　　　　,,､,､､,,,';i;'i,}､,､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
　　　　　│　　　　　　　 ヾ､'i,';||i !｝ 'i, ﾞ〃　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
　　　　　│　　　　　　　　　ﾞ､';|i,!　　'i i"i,　　　　　　 ､__人_从_人__/し､_人＿入__/し､_　　　 │
　　　　　│　　　　　　　　　 `､||i　|i　i　l|,　　　　　　､_）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
　　　　　│　　　　　　　　　　 ',||i　}i |　;,〃,,　　　 　_）　ニク！ サケ！ ニク！ サケ！　　   │
　　　　　│　　　　　　　　　　 .}.||||　| ! l-'~､ミ　　　　｀)　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　  │
　　　　　│　　　　　　　　　 ,＜.}||| il／,‐'liヾ;;ミ　　　'´⌒V＾'^Y⌒V^V⌒W^Y⌒V^V^V　　   │
　　　　　│　　　　　　　　　.{/ﾞ'､}|||/／　 .i| };;;ミ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　   │
　　　　　│　　　　　　　　　Y,;-　　 ｰ､　　.i|,];;彡　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　  │
　　　　　│　　　　　　　　　iil|||||liill||||||||li!=H;;;ﾐミ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　  │
　　　　　│　　　　　　　　　{　 く；ｧｿ　 '';;,;'' ﾞ};;彡ﾐ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
　　　　　│　　　　　　　　　 ﾞi　[`'''~ヾ. ''~ ||^!,彡ミ　 　＿,,＿＿　　　　　　　　　　　　　　　  │
　　　　　│　　　　　　　　 　 ﾞi　}~~　｝ ';;:;li,　ﾞiミミミ=三＝-;;;;;;;;;''　　　　　　　　　　　　　　　   │
　　　　　│　,,,,-‐‐''''''}￣~フハ,“二ﾞ´ ,;／;;'_,;,7''~~,-''::;;;;;;;;;;;;;'',,=''　　　　　　　　　　　　　　　 │
　　　　　│　　;;;;;;;;''''/_　 / | | `ー-‐'´_,,,-',,r'~`ヽ';;:;;;;;;;, '';;;-'''　　　　　　　　　　　　　　　     │
　　　　　│　'''''　　,r'~ `V　ヽニニニ二､-'{ 十　）＿＿;;;;/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│
　　　　　└───────────────────────────────┘
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　【 ラゴダ号の船員 】



　　　　　　　　　 ,.rrr''￣￣､ﾞﾞヽ、
　　　　 　 　 　 /~ニ　　u　 >llllllヽ 　 　 　 　 　 その反面、ラゴダ号とやらの連中は…
　　　　　　　　 j_ ヘ ヽu　<llllllllllllllヽ
　　　　　　　　/､__,.=ﾆニ===､lllllllllll}　　　　　　　騒ぐわ、暴れるわ、何度も脱走するわで
　　　　　　 ,.-‐ﾌ''f　　 j!　 ﾉ,.イ)）lllj
　　　　　　 |＿(,.｡`ｰ''"　　"　ﾉﾉlll<　　　　 　 　 本当に扱いに困ります。
　　　　　　　　{ i＿＿　、　　r'　 〉}ヽr- ､_
　　　　　　　　ヽrｰ-　ヽ） _ン ､/ ﾞ|　|　　　` ヽ ､
　　　　　　　　　t __,. -''＜　　/　 |　 |　　　　　　,.`ｰ ､
　　　　　　　　 ,.-''　`TTtヾ､/　　|　　|　　　　　/　　　 ヽ
　　　　　　　　f　　　　|　ヽt;;:`>､!　　 〉　　　　{　　　　　 ヽ、

※ ラゴダ号 … マクドナルドの日本入国とほぼ同時期に、松前近海で座礁したアメリカの捕鯨船。
　　 　 　 　 　 　 船員３０名のうち１５名が漂着し、長崎へと護送されていた。

　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 !､
　　　　　　　　　　　　　　＿＿ヽ,＼|＼　 i!
　　　　　　　　　 　 　 　 ＼　 ￣　　　 ∨ i
　　　　　　　　　　　≦`ー゛　 　 　 　 　 　 ∨{
　　　　　　　　　 　 　 ＞　　　　　　　　　　 　 }
　　　　　　 　 　 .＜￣　.∨`､／￣　ー-　＿/
　　　　　　　　　 　 ｀ﾌ 　 |δ|　　⊂ヽ､　　　 |　　　　　…俺も同じ意見だ。
　　　　　　 　 　 　 ム 　∧__|. 　EミΞΞΞﾆ|
　　　　　　　　　　　}M /　 .| ∨｀ヽミΞΞ=／　　 　 　 あの穏やかな異人、嫌いじゃねえぜ。
　　　　 　 　 　 　 　 /｀ヽ_　ヽ, 　､＿￣Г´
　　　　　　　 　 　 ∠＿　　＼ ヽ, 从 ／
　　　　 　 _　-‐'"　／＼｀ヽ　.｀┐二i　 　 　 　 　 　 　 そこで１つ提案なんだが──
　　　　／ ￣￣￣＼＼ .＼ ヽ,_,ﾊ＿〉、
　　　r'　　　　　　　　＼' , ', ', ',＼ヽ, ヽ,＼
　 　 {　　　　　　　　 　 |＼.', ', ', ,ヽ, i　 ｌ',',＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　ﾄ､　　　 .|　＼　　　　入
　　　　　　　　　　　　　{　＼　　.|　　 ＼　　/　ヽ,
　　　　　　　　　　　　　＼　 ＼ .|　　　　ヾ,'　　 　|　人
　 　 　 　 　 _　-‐=ーー⇒　　 ＼ 　 　 　 ｉ　　　 ∨　|
　　　　　　　＼　　　　　　　　＼　.＼　　　 i　　　　i　.i
　　　　　　＿__＼　　　　　　　　ゝ一ー―一ー一‐､　ｉ
　　　　　　ヽ,　　 ＼　　　　／　 　∠ニニニニニニ>ヽ
　　　　 <⌒"""　　　　　／　　 　∠二二二二二二>;;,ヽ
　　 　 　 ＼　 　　　　／　　 　＿　二二二二二二ﾆ>;;;,,ゝ
　　 　 　 　 ＼／　　 <＼　　 　＼＿＿＿＿＿＿＿_>,,;;/　　　　──俺たち通詞が、アイツから英語を学べるよう
　　　　　　 ／ 　　　　 ヾ;;＼　　　　　　　_＿＿＿__　　/
　　　　　∠＿ 　 　 　 　 ヾ;;;＼　　　_ -‐　　　　　　‐ y　　　　　　上の方に掛け合ってみるっていうのはどうだ？
　　　　　　／　　　 ／＼ 　 ゞ‐--‐′　　　　　　ゝ　　ｉ
　　　　　 ムイ　　　＼　（　　　　　　　　　　　　　　　 /
　　　　　　 ／ , '　　　゛ー＼　 　 　 　 　 ,-‐‐‐‐‐- /
　 　 　 　 〈／|　　　／　　　|!i!　　　　　　　　　从　|
　　　　　　　　｛从/　　　 　 ﾋﾐﾆ＝､　 　 　 　 wxii!ﾘ
　　　　　　　　　　|　　　　　　　　 ゛ヾ三三三三彡′
　　　　　　　　　∠二ﾆﾆ＝＝‐‐‐‐--､ .|
　　　　　　　 .／=--‐‐¨¨~　　 　 　 　 ＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　　　 ＿|　　　　　,.イイ
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　　　 ＼　　　　／二￣ﾞﾞヽ、
　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　　　 　 ＜　　　 ,.へ　ー-､　　)ヽ
　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　　　 　 　 ／　　 __l___!__,.r===ｧ'<ミﾐ　　　　 　 　 　 ──なっ！！
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　 jﾊ､＿__ﾉ　ヽミ}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`┬ﾌﾟ ﾟｰ､　　　 ﾉ/)）　　 　 　 　 　 どうして突然そんな事を！？
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i ヾ===､　 }　 rノ　,._'ﾌﾌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,. ‐--､_　ﾞ､} /γ} }　 ｨj,.-''"ノノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.r-=ﾆ二二ニ=ｰ---L`==',.-‐''"　-'',-'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.-''"　　　　　　　　　　　　 ￣! |　　_-'_ノ--っｰ--､-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　 r'　　　　　　　　　　　　　　　　|　|_ノ　　,r‐''"~、　　 `i ｀!
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　O　O　 {　し`ー´　 j　　ヽ　 　 |　ヽ



　　　　　　　　　　、、　　　　从　从
　　　　 　 　 　 　 .＼｀ヽ⌒＼　`´　Уi.ﾊ
　　　　 　 　 　 ._ -‐‐ゞ　｀ヽ　　　　 　i　.}
　　　　　　　　 　 ＼＿　 yｰ´` ‐-　、__ /ﾌ
　　　　　　　　　 　 ／　 /　　ミミ､､､ 　 ヽ
　　　　 　 　 　 　 ムｲ 　|　ミミミミミミミ　〉 　 　 　 今の俺たちの知っている”英語”らしきものが、
　　　　　　　　　　　 }／ .∨`ゝ-　_````／
　　　　　　　　　　　　}从∧　 _＿__.￣/　　　　　　　実際の会話にあまり役立っていないからさ。
　 　 　 　 　 　 　 　 　 ｉ＼_＼__廴 ／
　　　　　　　　　　_ -‐¨_＼ ￣／＼ｉ__
　　　　　┌―一´ヽ／＼＼∨(　　) |;: ~¨‐-､_

　　　　　　　┌──────────────────────────────────┐
　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ;|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　  │
　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿|＿__　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　  │
　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/｜｜｜ ;|｜　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　   │
　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　∠ー┴┴┴⊥_|　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　  │
　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜Ｔ￣|￣￣|￣~|┬┬┬￢　　　　　　　　　　　　　　　 │
　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　/｜　｜　　｜　 ;|｜｜｜ ;　|　　　　　　　　　　　　　　   │
　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　ャ＝ニ二工厂―-|===#===爿　　　　　　　　　　　　　　　│
　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　〃 ;／ ;彳｜丁￣|~|｜｜　|　　い　　　　　　　　　　　     │
　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　__ン'/ノ ;｜｜｜ ;　|　ヒコiニコヽ-ゝ￣ヽ　　　　　　　　　　   │
　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　_,-･′ ;　/ ;/ﾆﾆ立―､___|＿| ;　| ;　|￣~|＝＝|　　　　　　　　　  │
　　　　　　　│　　　　　　　　　　_,-･′　　　 ;/ ;/　　　|　丁￣|￣~|＿|＿|_　　|＿＿|　　　　　　　　　  │
　　　　　　　│　　　　　　　　　メ―＿＿＿/ ;/｜＿　|　_|_　　|　　|Ｔ￣|￣〒寸￣~|　　　　　　　　　　   │
　　　　　　　│　　　　　　 ;_.ノ´　／　　　　　/ ;/-―ニ工￣|￣ー､_||　　|　｜　|＿＿|　　　　　　　　　 │
　　　　　　　│　　､--､ノ´ ;　　ム――ケ￣　|　｜　　｜￣丁~~|￢コ匚ニ┴、|￣￣|　　　　　　　　　 │
　　　　　　　│　　　￣｀＝ｰ‐､ﾉ　　ム―イ￣　｜　　　｜　｜　|　|　 ;|　｜￣~|＿＿｜　　　　　　　　   │
　　　　　　　│　　　　　　｀ー､｀-､ﾉ_　 ;　Ｋ＿＿_|_＿_　｜　｜｜｜　 ;|　　|　| ;|　 ;／|⌒　　　　　　　   │
　　　　　　　│　　　　　　　　　＼_　￣~｀―――､＿｀￣ームム_|　　|　　|　| ;|／―-ゝ　　　　　　　　   │
　　　　　　　│　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　｀￣￢　　　￣|厂｀-―､_|￣￣￣|　　　　　　　　　│
　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　　　　　　￣不才――――ケ￣￣ﾌ　　　　　　　　   │
　　　　　　　│　　――――――――-ヽ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿/-―――――　　│
　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
　　　　　　　└──────────────────────────────────┘
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 【 フェートン号 】


　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ／i,-‐,
　　　　　　　　　 i｀ヽ／Ｙ´,'　, '￣￣ｱ
　　　　　　　　_,,..ゝ,,. 　.{　　,'　, '⌒´￣ﾌ
　　　　　　 ≦　　　,.----------.､　 <
　　　　　　　 ﾌ　 ノ――――――＼　ﾆ=-
　　　　　　 厶 ,〈　 ⊂ﾆﾆﾆﾆﾆﾆ⊃　 .〉ﾐ=ｰ 　 　…そもそも、英語通詞の必要性が声高に叫ばれ出したのは、
　　　　　　　 ハ i .⊂ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ⊃ ./ ）}
　 　 　 　 　 .Иヽi ⊂ﾆﾆﾆﾆﾆﾆ⊃ /_/.{　　　　　４０年近く前に起きた、イギリスのフェートン号の一件が発端だ。
　　 　 　 　 　 }从 ＼厂｀匸i￣ヽ_/从{
　　　　　　　 　　 }从　　-‐‐- 　 仆´
　　　　　　　　　 　 ﾊ＼___爻__／.´|
　　　　　　　　　／/　＼_,.-"´　 ／＼
　　　　　,,..-‐'"´ /　/￣ ＼　　/ / / ｀ﾞ゛‐- ..,_
　,,..-‐'"/ / / / .|／ゝ-､／＼/ ,' ,' ,' ,' ,' ,' ,' / ﾞ゛ ‐-､

※ フェートン号 … 文化５年（１８０８年）、長崎港に侵入したイギリス海軍のフリゲート。
　　　　　　　　　　　 オランダ商館員２名を人質に取り、日本側に物資の供給を要求した。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.rrr''￣￣､ﾞﾞヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /~ニ　　u　 >llllllヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 j_ ヘ ヽu　<llllllllllllllヽ　　 　 　 　　 …ええ。 当時の日本側に英語を解する者がおらず、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/､__,.=ﾆニ===､lllllllllll}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.-‐ﾌ''f　　 j!　 ﾉ,.イ)）lllj　　　　　　　 　イギリス側と満足な交渉ができなかったことが、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |＿(,.｡`ｰ''"　　"　ﾉﾉlll<
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{ i＿＿　、　　r'　 〉}ヽr- ､_　　　 　 フェートン号の逃亡を許した原因の１つだったとか。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽrｰ-　ヽ） _ン ､/ ﾞ|　|　　　` ヽ ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　t __,. -''＜　　/　 |　 |　　　　　　,.`ｰ ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.-''　`TTtヾ､/　　|　　|　　　　　/　　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　f　　　　|　ヽt;;:`>､!　　 〉　　　　{　　　　　 ヽ、




　　　　　　　　　　、、　　　　从　从
　　　　 　 　 　 　 .＼｀ヽ⌒＼　`´　Уi.ﾊ
　　　　 　 　 　 ._ -‐‐ゞ　｀ヽ　　　　 　i　.}
　　　　　　　　 　 ＼＿　 yｰ´` ‐-　、__ /ﾌ
　　　　　　　　　 　 ／　 /　　ミミ､､､ 　 ヽ　　　　　その苦すぎる教訓を踏まえ、
　　　　 　 　 　 　 ムｲ 　|　ミミミミミミミ　〉
　　　　　　　　　　　 }／ .∨`ゝ-　_````／　　　　　長崎ではオランダの商館員を教師として、
　　　　　　　　　　　　}从∧　 _＿__.￣/
　 　 　 　 　 　 　 　 　 ｉ＼_＼__廴 ／　　　　 　 　 俺たちのような通詞にオランダ語に加えて英語を学ばせた──
　　　　　　　　　　_ -‐¨_＼ ￣／＼ｉ__
　　　　　┌―一´ヽ／＼＼∨(　　) |;: ~¨‐-､_

　　　　　　　/　ゝ､　　 ,′ 　 ｉ　　　　　　　　　　　≧x
　　　　　　　|　　　 ＼,′　　,′　　　／　　　　　　~≧
　　　　　　 ∧　 　 , -' -‐―――‐-､　　　　　　　　~≧
　　 　 　 ./　入, /-ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ> ＼‐--,　　　　￣≧
　　　　　|＼　| ./彡´二二二二二ﾆ>　 ヽ /-‐ 、￣　　≧
　　　　　ヽ　 ∨ ./彡´彡ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ=> ||　　　｝-‐＜´
　　　　　　ヽ∨彡´ﾘ　　　＿＿＿　　　　彡′　ｉ　　 ヽ人_从人__从_从人__从人_人_从人__从人__从人_从人_人人ﾉ
　 　 　 　 　 ├彡"　 r'~　　　　　 ヽ―一´|　／￣.＜　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ＞
　　　　　　　 /彡´　/ ＼　　／｀ヽ　　 　　／　　.＜　　　──だが、そうして苦心して学んだはずの”英語”が　　　＞
　　　　　　　ヽ　　　i　　　／.／￣　＼ ／　　 　 .＜　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＞
　　　　　　　　ヽ　 ∧　∠／　　　　 ／　　 　 　 .＜　　　　　　　　肝心のイギリス人やアメリカ人に　　　　　　 　 　 ＞
　　　　 　 　 　 .ヽ∠｣　 ＼　　 　.／　　 　 　 　 .＜　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞
　　　　　　 　 　 　 　 ＼　..＼ ／　　　　 　 　 　 ＜　　　　 ロクに通じねえっていうのはどういうことだ！？　　　　 ＞
　　　　　　　　　　　　　　＼＿ゝ-‐==＝＝=ﾐ　　　.＜　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ／　　　　　　　ヾﾐ　　　　..Y⌒YW⌒Y⌒WW⌒⌒YW⌒Y⌒WY⌒⌒Y⌒WY⌒Y⌒WY⌒Y
　　　 　 　 　 　 　 　 　 ／　　　　　　　　　 ヾﾐ　 　 　 　 ／　　 　 ＼　　 ヽ,
　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　ﾐ　　 　／　　 　 　 　 |　 　　 ヽ,

　　　　┌───────────────────────────────────────┐
　　　　│・オランダ人から学んだ内容をまとめた英和辞典、『諳厄利亜語林大成』の発音表記の一例　  │
　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
　　　　│　　　　　　　　　　　daughter … ダウトル　　　　　　　　happy … ペッピイ　　　　　　　　　　　　　　│
　　　　│　　　　　　　　　　　ear … ヱール　　　 　 　 　 　 　 　 here … ヘール　　　　　　　　　　　　　　　  │
　　　　│　　　　　　　　　　　fire … ハイル　　　　　　　　　 　 　 knee … キニー　　　　　　　　　　　　　　　  │
　　　　│　　　　　　　　　　　flower … フロウル　　　　　　　　　 she … スシー　　　　　　　　　　　　　　　　  │
　　　　└───────────────────────────────────────┘

　　　　　　　　　　　　　　　／厶ｲ ,.-‐,・
　　 　 　 　 　 　 　 　 i!／　　　￣　厶＿__
　　　 　 　 　 　 　 　 i　　　　　　　　　　∠_　　　　　　　　　　…まあ、オランダ人の教える”英語”が
　　　　　　　　　　　　i,,..-‐―‐-､_　 __ 　 ≦
　　　　　　 　 　 　 _「,,..-‐"´`‐i　`r'　｀i　｀ヽ､　　　　　　　　　何から何まで滅茶苦茶だと言うつもりはねえ。
　　　 　 　 　 　 　 |ΞΞΞ彡 i　/ δ/　　≦
　　　 　 　 　 　 　 ヽΞΞΞ彡∨　r'　 从{
　　　　　　 　 　 　 　 └i　　　　　　〉}从{　　　　　　　　　　 　 ただ、あのマクドナルドという男は生まれたときから
　　　　　　　__（〉-‐‐-､　ヽ,ｰ-　 .／／　　>‐- ., ＿＿
　　　　　　 /-./　 　 　 ｀ﾞi .ｉ爻／／　　／/ /／　　　 |　　 　 ずっと英語の中で育ち、英語を話してきたんだ。
　　　　 　 ├./　　 　 　 ///「￣| 　 ／,' ,' ／　　 　 　 i
　　　 　 　 ［/　　　　　./,'/／Y´|.／,' ,' ,',/　　　　　　　i　　 　 少なくともオランダ人よりはマシな教師になると思うぜ。
　　　　　／| ＼ 　 　 ./,'/´　/／,' ,' ,' ,' /　　　　　　　　i
　　　　/ 　 ヽ一`ｰ-‐"/　 ／,' ,' ,' ,' ,' ,'|　　　　　　　　　i
　　　./　　　　　/,' ,' ,',| ／,' ,' ,' ,' ,' ,' ,' ,'i ＼　　　　　　　 i

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,:-=====‐-､
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /''二￣　　　) ﾞヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ir'"r-__,,,,,,.:-'"　　ヽ 　　　　　　　　──なるほど、確かに一理あります。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r_,,r''"´`i'''ヽ　r‐:､　l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／"r'.!__..-'　　`'";'ﾉ,! ,'　　　　　　　　　ただ、相手は一応罪人なので、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ_,r'iﾞ　　　 、　 'r:< ,'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽr‐=''''` ,!.　丿, `i　　 　 　 　 　 　 上役の方々がお認めになるかどうか…
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`(　　_,,-‐'"　l _,.!>､__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`'''".)､i ,.:-:'" ,.:'　 i. `'''ー--,-.､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.:|.iﾞ''ヽ　 /　　 .|　　　 r'"　　`:､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,:r'　|,!,ノ.ヽ/_　 　 |　 　 ,'　　　　　i



　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ／i,-‐,
　　　　　　　　　 i｀ヽ／Ｙ´,'　, '￣￣ｱ
　　　　　　　　_,,..ゝ,,. 　.{　　,'　, '⌒´￣ﾌ
　　　　　　 ≦　　　,.----------.､　 <
　　　　　　　 ﾌ　 ノ――――――＼　ﾆ=-
　　　　　　 厶 ,〈　 ⊂ﾆﾆﾆﾆﾆﾆ⊃　 .〉ﾐ=ｰ　　　　　そこが一番難しいところだ。
　　　　　　　 ハ i .⊂ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ⊃ ./ ）}
　 　 　 　 　 .Иヽi ⊂ﾆﾆﾆﾆﾆﾆ⊃ /_/.{　　 　 　 　 こんな機会を逃す手はねえと思うんだがな…
　　 　 　 　 　 }从 ＼厂｀匸i￣ヽ_/从{
　　　　　　　 　　 }从　　-‐‐- 　 仆´
　　　　　　　　　 　 ﾊ＼___爻__／.´|
　　　　　　　　　／/　＼_,.-"´　 ／＼
　　　　　,,..-‐'"´ /　/￣ ＼　　/ / / ｀ﾞ゛‐- ..,_
　,,..-‐'"/ / / / .|／ゝ-､／＼/ ,' ,' ,' ,' ,' ,' ,' / ﾞ゛ ‐-､

ＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺ

　　　　　　　　　　　　 ──結論から言うと、この２人の考えは上役から認められたお。

　　　これには、イギリス・アメリカの船員や漂流民に対して長崎の英語通詞が十分な職責を果たせず、

　　　　　　　　　　江戸からたびたび批判を受けていたことが要因の一つとして考えられるお。

ＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺＺ


　　　　　　　　　 .| 　 　 　 ｌ　　　　　,.．-──- ､　　　　　　|＿＿＿|
　　　　　　　　　.├──-┤　　　／. : : : : : : : : : ＼　　　　 |　　　　 |
　　　　　　　　　 .|　　　　 .|　　 /.: : : : : : : : : : : : : : ヽ　 　 ├──‐┤
　　　　　　　　　.├──‐┤ 　,!::: : : :,-…-…-ミ: : : : :',　　 l＿＿＿_l
　　　　　　　　　　!　　　　　!　 {: : : : i '⌒'　 '⌒' i: : : : :}　　/　　　　./
　　　　　　　　　　ヽ───ヽ {:: : : ::|　ｪｪ　 ｪｪ　|: : : : :}　/───/
　　　　　　　　　　　.＼＿＿＿{ : : : :|　　　,.、 　 |:: : : :;! /＿＿＿/　　　　　 英語の教師？
　　　　　　　　　　　　 .＼　　　ヾ: : ::i　r‐-ﾆ-┐ | : : :ﾉ/　　　　 /
　　　　　　　　　　　　　　 ＼──ゞイ! ヽ 二ﾞノ ｲゞ‐'/───/　　　　　　　 もちろんOKさ！！
　　　　　　　　　　　　　　　　＼＿ﾉ|　＼` ｰ一'´丿 | |＿＿__/
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ）/　|　　＼___／　　/　',　　/　　　 | |
　　　　　　　　　　　　　　　　　 !　　 ＼　　/＾ﾄ､　 /　 ｀￣/　　　 //
　　　　　　　　　　　　　　　　　 !　　　　＼/l:::|ﾊ／　　　　 ｌ　　　//
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｌ　　　　　　|:::|　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　|:::|　　　　　　　!

※ 世界から閉ざされた日本人の教師になることも、マクドナルドの日本入国の目的の１つだった。

こういう情熱と行動力のある人って羨ましいわ

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　　　　　　　　　　　こうして、森山栄之助・堀達之助を含むオランダ語通詞１４名が

　　　　　　　　　　　 　マクドナルドの座敷牢に通い、英語を学ぶことになったお。

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　　　　　　,.．-──- ､
　 　 　 ／. : : : : : : : : : : :＼
　　　 /.: : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
　　　,!::: : : :,-…-…-ミ: : : : :',
　　　{:: : : : :i　-'　 ﾞー　i: : : : :} 　 　 　 ──はい、そこ！　”L”を”R”で発音しない！
　　　{:: : : : |　ｪｪ　 ｪｪ　|: : : : :}
　　　.{ : : : :|　　　,.、 　 |:: : : :;!　　　 　 もう一回同じ場所を繰り返して！
　　　 ヾ: : : i　r‐-ﾆ-┐ | : : :ﾉ
　　　　 .ゞｲ!　ヽ 二ﾞノ ｲゞ‐′
　　　　 __ィrlﾆ` ｰ一'´二 |二=､
　　　〃ヽ､_=--,-|_ :::::::: !:::|　 ! ヽヽ
　　 /　|::|　.|::,i":::::::｀`)l/|｜ .|:::::: !|
　　 ヽ_|__L,-| lｱ丁￣了`ｰ=ﾆ' |'／



　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ＿|　　　　　　,.イイ
　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＼　　　　　／二￣ﾞﾞヽ、
　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＜　　　 ,.へ　ー-､　　)ヽ
　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／　　 __l___!__,.r===ｧ'<ミﾐ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　 jﾊ､＿__ﾉ　ヽミ}　　　　　　　…す、すみません！
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　`┬ﾌﾟ ﾟｰ､　　　 ﾉ/)）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i ヾ===､　 }　 rノ　,._'ﾌﾌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,. ‐--､_　ﾞ､} /γ} }　 ｨj,.-''"ノノ
　　　　　　　　　　　　　　　,.r-=ﾆ二二ニ=ｰ---L`==',.-‐''"　-'',-'
　　　　　　　　　　　　 ,.-''"　　　　　　　　　　　　 ￣! |　　_-'_ノ--っｰ--､-､
　　　　　　　　　　　 r'　　　　　　　　　　　　　　　　|　|_ノ　　,r‐''"~、　　 `i ｀!
　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　O　O　 {　し`ー´　 j　　ヽ　 　 |　ヽ

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　　　　　　　　　　 　　　　 マクドナルドの講義は、英語の音読、意味や構文の説明などから成り、

　　　　　　　　　　　 　 　 　　　音読以外の部分はできるだけ日本語で行なわれたそうだお。

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　　　　　 　 　 　 　 /i /　/-――,　＿＿
　　　 　 　 　 　 　 / /　,'　　　￣￣　　／
　　　　　　　　　 iY′　　　　　￣゛ﾟﾞ　く　_　　　　　　　彼らは文法などの面でかなり上達した。特に森山がそうだった。
　　　　　　　　　 {　',　,'　, '　_　 _ ｀　丶． ＞
　　　　　　　 　 .」二二二二 ＼＿ ＿'　,二ﾆ=‐　　　　ということは、彼らが進んでそれを私から学び取ったということだ。
　　　　　　　　 /ﾆﾆﾆﾆﾆ⊃　.＼　|′ |　 ＼
　　 　 　 　 　 |ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ⊃ /　/） / 　 ＼ﾌ
　　　　　　　　 ヽﾆﾆﾆﾆﾆ⊃ ノ　/ヾゝ|　　 ＼>　　　　 彼らは大変飲み込みが早く、感受性が鋭敏だった。
　　　　　　 　 　 ￣［￣￣￣｀・´　|　 }ﾊ　 从{
　　　　　　　 　 　 　 (￣`　 　 ,.／　　　∨　　 　 　 　 彼らに教えるのは楽しみだった。
　　　　　　 　 　 　 　 ｝＿_,.-ぐ_, -一 "´ 〉 、
　　　　　　　　　　,,.-‐´　|　／ｰ＼　　 ／　　ﾞ丶..,_
　　　　　　,,.. -‐".| | | | ./ / >､_／＼/　/ / / / / ｀゛ ‐- ..,,　　　　　　　　　　　　　 　　 ── Ｒ・マクドナルド『日本回想記』
　　　　 ／　　/: : : : : : :|/　/　.|　　 /　,' ,' ,' ,' ,' ,' ,'/　　　　 ｀ヽ
. 　 　 /　　　/: : : : : : : | 　!　　|　 ./　,' ,' ,' ,' ,' ,' ,'/　　　　　　　i
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　　　　　　　　 こうして、日本初の”英語を母語とする人間”による英語講義は、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　ほぼ毎日のように開講され──

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　　　　.,,r''ﾞ;;:; ; ;:;:; ::;:; :;:; ;:;::;:; ;;:; ; ;:;:; ::;:; :;:;,,,ｿ “ﾞﾟ''''' ''ﾟﾞﾞﾟ　　彡ﾐ；ヾ::：;;ゞ　：;:ゞ.：ゞ
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　　　　翌年４月に長崎に来航したアメリカ船プレブル号にマクドナルドが引き渡され、

　　　　　　　　　　　　　　日本を去ることになる日まで続けられたお。

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　　　　 　 　 　 （:::i´　 ヽ　　　　　ﾞi:: :: :: ::
　　　　　　　　　ぃi'ｪｪ　 　 　 　 　 L:: :: :: :　　　　 （実は永住する気満々だったんだけど、
　　　　　　 　 　 i!,! ,　　 　 　 　 　 i,::__::,_ ::
　　　　　　　 　 ,/..　 　 　 　 ::::..　　　jｿl:: :: ::　　 　 さすがにそれは無理かな…）
　　　　　 　 　 (;､o)　　　 ;;;;;;::::::::::..　 H.}:: :: ::
　　　　　　,,,,,,,,,,,,,|!＿_　　,,,;;;;;:::::::::::　―':: :: ::
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　　　」 = | _ l = l--l‐‐'....;;;;;;;;;;::::::::::　 `ｰ' ﾞｰ‐′
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　 　 i　`‐iｒ‐l`='　|　 ,,,,, l!-‐く;;::::::::
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※ プレブル号 … 正確には前述のラゴダ号の船員の引渡しを求めて来航した。
　　　　　　　　　　　マクドナルドの存在は、日本側から伝えられるまで知らなかった。

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　　　　　　　　　　　　　　　　 　──　そして、それから５年後　──

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　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ｲ!　　　　　　　　　　　　,.　"r＃''y、
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　　　　　　　　　。　　　　' 　 ; ,::!|::.　　　　　　　　　 ,／'TΤΤT''ヽヽ.　　　 　 　 　 ヽ
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　　　　　　ヾri'TTTi　｀ ~¨''';ﾃ-＝=ェｪ_ ､,,,, __ヽ　　　 ,';;; 　 ! !:::.　　 　 ｀､''ー''´~　　　　　　　　　　>=k'>
　　　 　 。　ﾍ｀l.l"¨ﾞ　　　 ,',ﾞ　:! !: :.　　~~¨¨"''''ｰ　　,';;';ﾞ 　 ! |:.::.. 　 　 　 ヽ、　　　 　 　 　 　 ,　',. ',. '
　　　 　 lﾄ､　 ｀l.l､　　 　 ,',' 　 | |:. :.　 　 ヽ　　　　 ,.',';';ﾞ　　i .i:.:.:.　.　　　　　.ヽ、　　 　 　 ,　' ／／
　　　 　 ll:ﾘ　,' 仆ﾞ､　　 ,':,'　:　| |:.: :.　　 　 ヽ　　 ,.',',';;ﾞ　　 l .|:.: :.　　　　　　　　ヽ、　 ,　'ﾞ ／／
　　　　　ll(　,　 l ! ヾ､ ,',','　 　 | |: :.::.　　　 　 ヽ ,.',',',';ﾞ　 　 l .l: :.::.　　　　　　　　　,.>く ,／／
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　　__,lヽ､　　 //,',','ト､三ヽ:::::::|:::|:::::::!!/＿,,/ ,'　'-─‐｀ヽ､ミ_ー:'-≦＝ニ三＝| | ヽ,ノ
　　|＼＿｀ｰ///,','　　　Ξ￣""""'￣/,/,|| /　,'　　　_||＿ll,,,,,,]l,,-亠''"~ _,,, -‐',-'''~
　　＼|＿　｀'''ー-＝ーΞ,,,,,__,,,,,,ﾑE===＝＝＝＝''''''テ''''"""　 _,, -‐''"　,.ィ"
　　　　 ﾄ､｀　､　,'　　 Ξ ,'_　　,'_　　_i　　ｌｌ;; l　　　　 =＝-‐'''''"~　, ,‐''"~
　　　　 ヽ.｀ゝ ､｀ ｰ-Ξ,,,',,,,,＿;＿＿.l＿＿_ゞ､ ,,,,,,,,,,, 　-─ ノﾉ´/〃
　　,,_　　　ヽ、 　｀　ー--　　 ,,,,,,　＿＿＿　,,,　　、　-_,,　,.´´ ,/〃
　　　　~'' ｰ　_｀'' ～　､、 ..,,__ ､,,、　　 　 ､、　､,,｀　ー ''､´ヾ､ｼ〃
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∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
　　　 嘉永６年（１８５３年）６月３日　浦賀・サスケハナ号近辺
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　　　　　　　　　　,.rrr''￣￣､ﾞﾞヽ、
　　　　　　　　　 /~ニ　　u　 >llllllヽ
　　　　　　　　　j_ ヘ ヽu　<llllllllllllllヽ　　　　　＼_人＿人∧从＿人_∧_人_从_/／
　　　　　　　　 /､__,.=ﾆニ===､lllllllllll}　　　　　　)　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＞
　　　　　　　,.-‐ﾌ''f　　 j!　 ﾉ,.イ)）lllj　　　　　 ＜ 　　　I can speak Dutch!　　　＞
　　　　　　　|＿(,.｡`ｰ''"　　"　ﾉﾉlll<　　　 　　 　<　　　　　　　　　　　　　　　　　(
　　　　　　　　 { i＿＿　、　　r'　 〉}ヽr- ､_ 　　 ／＾Y￣∨￣∨^Y^⌒Y^YY^^Y^＼
　　　　　　　　 ヽrｰ-　ヽ） _ン ､/ ﾞ|　|　　　` ヽ ､　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　 t __,. -''＜　　/　 |　 |　　　　　　,.`ｰ ､　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　,.-''　`TTtヾ､/　　|　　|　　　　　/　　　 ヽ
　　　　　　　　 f　　　　|　ヽt;;:`>､!　　 〉　　　　{　　　　　 ヽ、
　　　　　　　　 | l　　　　|　ヽ`!:::l l`ｰ＜　　　　 |　　　　　　　i､
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　　　　　　　　　　　　　　堀達之助は浦賀に来航した黒船との最初の遣り取りを交わし、

　　　　　　　 　　　　　　その後も通詞として活躍、日米和親条約の翻訳にも関与したお。

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　　 (　　　　＼　　　　　　　 　 　 　 　 ＼　　　　　　　　 日本語で話を進めるのは困難に思われたとき、
　 　 ＼　　 　 ＼　　　　　　　　　　　　　 ＼
　　　　 ＼ 　　 　＼　　　　 　 　 　 　 　 　 ＼　　 　 　 　 横づけにした番船上の一人が真に見事な英語で、
　　　　 　 ＼　 　　 ＼　　　　 　 　 　 　 　 　 ＼
　　　　 　 　 ＼　　　　＼　　　　 　 　 　 　 　 　 ＼　　　　 「私はオランダ語を話すことができる」と言った。
　　　　　　　　　＼　　　　＼＿＿＿＿＿＿＿＿＿＼
　　　 　 　 　 　 　 ＼　 　 r´＝＝＝＝＝＝＝＝＝ｒ´
　　　 　 　 　 　 　 　 ＼　《 三三三三三三三三三=　　　　　　　　　 　　　　　── M・C・ペリー『日本遠征記』
　　　　　　　　　　　　 　 ヽゝ＝＝＝＝＝＝＝＝＝=ゝ

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　　　　　　　　黒船が去った後は、外国新聞の翻訳や英日辞典の編纂などに携わり、

　　　西周らと共に、日本初の本格的な英日辞典である『英和対訳袖珍辞書』を刊行したお。

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　　　　　　　　　　　　　　　 ,､- '' ﾞ￣,ヽ､_
　　　　　　　　　　　　　　／　 ,､-''｀ﾞヽ 　｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　/　　 !ﾞ　　 　 |　　　｀.
　　　　　　　　　　　　├--''ﾞ　　　　/　　　　i
　　　　　　　　　　　 , .,L _;.;;;;､　　ヽ ﾞヽ､./´｀!i　 　 　 　 この辞書があれば、オランダ訛りでない
　　　　　　　　　,､-';;､-''ﾞ!,.､ヽ-- 'ﾞ｀_,／'ﾞ!Ｇ.ﾉ!
　　　　　　　 ／,;-'ﾞ ,,-';ﾞ!--ﾞi-i'" ￣ '，　 Yi,　　　　　　　正しい英語の発音を調べられます。
　　　　　　 /　　　".／ヽ, 　 ! ﾞ;;＿,,ノ 　 　! ﾞヽ,
　　　　　　/　　　 ./　　　￣;Ｔ!　 ,／　　 ﾉ.　 丿i ┬-─ '',ﾞﾆ'- ､
　　　　　 /　　　,,/　　　　　 ﾞ''ニﾞ- 　 ／　i／　/　i　　　/　　　 ｀i
　　　　.,_,i　＿,;;'ﾞ　　　　　 ,､-''ﾞヽ､_／,､-''｀　 /　　i　　/　　　　　 i
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　　　　　　　　 　 森山栄之助も、堀達之助と同様に黒船来航時に通詞として活躍。

　　　　　　　　　　　　　　　　その後も幕末の多くの外交交渉に関与し、

　　　　　　単なる通詞の枠に留まらない外交官として、歴史にその名を残すことになったお。

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　　　　　　　　　 そしてマクドナルドは、日本からの出国後も海外放浪の旅を続け、

　　　　　　　　　　　　　　黒船来航の年である１８５３年に北米に帰国。

　　　　　　　その後の人生はあまり良く分かっていないものの、職や住居を転々とする

　　　　　　　　　　　　　　　慌ただしいものだったと考えられているお。

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│', U ! ﾚ' /　{:: : : : |　ｪｪ　 ｪｪ　|: : : : :}　　　　　　　　　  │　　「サヨウナラ、my dear、サヨウナラ」
│/　　　 〈　　{ : : : |　　　,.、 　 |:: : : :;!　　　.ｎ　　　　　  │
│ヽ　　　　ヽ-っ::: ::i　r‐-ﾆ-┐ | : : :ﾉ　　l^l.| | /）　　　　│　　　 ──１８９４年８月５日、最期の言葉
│　＞'´￣￣´　ゞイ! ヽ 二ﾞノ ｲゞ‐'　　　 | U ﾚ'/／)　　 │
│／ヽ､_ｨ-r―‐<　＼` ｰ一'´_|　　　　　 ﾉ　　　 ／　     │
│.＼ 丁‐ｲ　　　ヽ､ 　ヽ=／　 ヽ　　ｒニ 　　　　|　　　　  │
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 【番外編その２　終わり】

【番外編その２の登場人物（新規のみ）】
　○江戸時代（回想）
　　【外国人】
　　　 ・ ラナルド・マクドナルド 　 　 　 　 ・・・ ヌケドナノレド (2ch)

　　【幕府関係者】
　　　 ・森山 栄之助 (オランダ語通詞)　・・・ ゴドー (逆転裁判)
　　　 ・堀 達之助 (オランダ語通詞)　　 ・・・ 亜内 武文 (逆転裁判)

　　【利尻島】
　　　 ・利尻島の漁民　　　　　　 　 　 　 ・・・ クマー (2ch)
　　　 ・利尻島のまとめ役　　　　　　　　 ・・・ アナロ熊 (2ch)

番外編２は以上です。
次の投下は9/17(月祝)までに頑張ります。

乙乙！　ほっこりするな、こういう話しは

乙！
昔の人の行動力はすごいなぁ。
もちろん、凄い行動をしたから歴史に名が残ったんだろうけど。