駒形橋西詰交差点から雷門正面に向けて、仲見世の延長線となる道幅の広い通りがありますが、22番の枝線が敷かれていたのがこの通りで、雷門手前の【雷門】で電車が折り返していました。明治37年の電車開業当初からの伝統ある路線の一部で、日本橋、銀座、品川方面とを結んだ馬車鉄道時代からのルートでもあり、かつてのトップナンバー1番はここから品川へと向かい、1番が【品川駅前】~【上野駅前】間に変更されて後も、日曜祭日に限り、【三田】からの臨時1番が【雷門】に姿を見せていました。【雷門】からの臨時22番は、運行回数も少なかったようで、平日はこの枝線に電車が入って行く光景はあまり見られなかったようです。

駒形橋西詰交差点を左へ入ると、隅田川を渡す駒形橋です。こちらも震災復興橋で、昭和2年の架橋です。水色のタイドアーチが美しい橋ですが、よく見ると中央部がいわゆる下路式のアーチ橋で、その両側に上路式のアーチ橋がつながっている三連の橋であることがわかります。設計者にどのような意図があったかはわかりませんが、上流側の上路式の吾妻橋と、下流側の下路式の厩橋に挟まれ、その両方式を採用したのは偶然なのでしょうか。

駒形橋の袂に、端正な方形の土蔵造りを見せるのが、駒形堂です。ここは浅草寺本尊の観音像が、隅田川から引き揚げられたと伝えられる場所で、堂は天慶5年(942)に平公雅が建立したとする説や、治承4年(1180)に源頼朝が浅草寺へ戦勝祈願をした際に建立したとする説などがあるようです。現在の堂は、震災による大破を経て、昭和8年に再建されたものです。

江戸通り右手には、創業200余年という「駒形どぜう」の看板が見えます。一見、江戸期以来かと思わせる建物は、実は昭和39年再建とのことで、老舗の伝統が建物という外観においてもしっかりと守られている感があります。その並びには大手玩具メーカーのバンダイ本社がありますが、このあたりから人形や玩具の問屋街として発展してきた蔵前の街並みが始まります。

*本文中の【 】は、電停名です。

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駒形橋

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