それではオプションのトレーディングでもっとも基本的なデルタ・ヘッジを勉強しましょう。先ほどと同じコール・オプションを考えます。
行使価格=50円
満期までの期間=1年間
ボラティリティ=30%
金利=1%
配当利回り=2%
株価が50円の時に、ATMのコール・オプションを100万個買ったとしましょう。BSモデルから計算するとプレミアムは5.63円ぐらいなので、563万円だしてコール・オプションを100万個ロングしたとします。また、この時のデルタは同じくBSモデルより約0.54なので、株価の上下に対してリスクを除去する、つまりデルタ・ヘッジするには、100万x0.54で54万株ショートすればいいのです。
さてそれではこの合成ポジションのPL(損益)は株価の変動に対してヘッジされているかどうか見てみましょう。オプションは100万個ロングしているので、プレミアムが1円上がれば100万円儲かります。逆に1円下げれば100万円損します。株は54万株ショートしているので、1円上がれば54万円損しますし、1円下げれば54万円儲かります。
![BS_DeltaHedge1](https://livedoor.blogimg.jp/splus_r/imgs/9/d/9d7ab76f.PNG?cb39d436)
緑の線がオプションと株の空売りのポートフォリオのPLです。50円付近では確かにほとんど水平になっていて、株価が上下してもほとんどPLはでないようにヘッジされていますね。それでは50円付近のところを拡大してみましょう。
![BS_DeltaHedge2](https://livedoor.blogimg.jp/splus_r/imgs/3/a/3ac6e3d3.PNG?1ee552c4)
株価が1円や2円動いたところでほとんど利益も損もでないことがわかります。でも5円ぐらい動いて株価が55円ぐらいになると29万円ほど儲かりますし、5円下がって45円になると36万円儲かります。さてここでひとつ面白いことがわかりました。コール・オプションはこのようにデルタ・ヘッジすると株が上がっても下がっても儲かるのです。
さてここで、株価が45円になったとして、もう一回デルタ・ヘッジをやり直して株価の上下に対してリスクを消しましょう。45円になると、オプションのプレミアムは約3.29円になっていますから、100万個を5.63円で買っているので、オプションの方では(5.63-3.29)x100万で234万円の損失になります。しかし54万株を50円で空売りしていますから、ここで270万円儲かりますから、合計では36万円の儲けになります。それではもう一回デルタ・ヘッジするにはどうすればいいでしょうか? 株価が45円の時のデルタは約0.40なので、オプション100万個に対しては株は40万株ショートすればいいことになります。今すでに54万株をショートしているので、14万株を45円で買い戻せば40万株のショート・ポジションが作れます。こうするとまた株価の(少しの)上下では損益がでないポジションになります。こうやってずれたデルタをもう一回ヘッジすることをリヘッジといいます。
![BS_DeltaHedge4](https://livedoor.blogimg.jp/splus_r/imgs/2/6/2649bbb9.PNG?8b9ba68e)
コール・オプションをロングして株をショートしてデルタ・ヘッジすると、このように株が上がっても下がっても儲かるのです。もちろんこれは魔法でも何でもなくて、最初にごっそりオプション料金、つまりプレミアムを払っているからです。この場合は、最初に563万円払いましたね。もし1年後の満期で株価が50円以下だったら、このプレミアムはパーになります。しかしデルタ・ヘッジをこのように何度もしていくと、株価が動いてリヘッジするたびに儲かります。つまり、デルタ・ヘッジをしていると株価が激しく上下に動けば動くほど儲かることになります。この時に最終的に最初に払ったプレミアムよりもたくさんリヘッジで儲かれば、このオプション戦略は成功でしょう。それでは成功するかどうかは何が決めるのでしょうか?
それはいろいろな要素がありますが、基本的には実現するボラティリティがオプションを買ったときのボラティリティ、この場合は30%よりも大きくなるか、小さくなるかで決まります。このオプションが取引された時、30%のボラティリティを予測しました。それであなたはオプションが割安だと思って買ったのです。逆にいえば、取引相手はオプションが割高だと思って売ったことになります。オプション価格を計算するためにボラティリティをインプットしましたが、オプションのマーケットではBSモデルやボラティリティなど気にせずにオプションの値段が毎日付いていています。このようなオプション価格から逆算して割り出されるボラティリティをインプライド・ボラティリティといいます。あなたは30%のインプライド・ボラティリティが割安だと思ったわけです。しかしこれは予想なので、実現するボラティリティはこれより大きいかもしれませんし、小さいかもしれません。要するに、オプション取引とは実はボラティリティを予測して、ボラティリティを安く買って高く売るか、あるいは高く売って安く買い戻すゲームなのです。
それでは次はガンマやセータやベガを勉強して、このへんをもっと見ていきましょう。
ブラック・ショールズ・モデルって何だ? その1
ブラック・ショールズ・モデルって何だ? その2
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ブラック・ショールズ・モデルって何だ? その4
Black Scholes Calculator
行使価格=50円
満期までの期間=1年間
ボラティリティ=30%
金利=1%
配当利回り=2%
株価が50円の時に、ATMのコール・オプションを100万個買ったとしましょう。BSモデルから計算するとプレミアムは5.63円ぐらいなので、563万円だしてコール・オプションを100万個ロングしたとします。また、この時のデルタは同じくBSモデルより約0.54なので、株価の上下に対してリスクを除去する、つまりデルタ・ヘッジするには、100万x0.54で54万株ショートすればいいのです。
さてそれではこの合成ポジションのPL(損益)は株価の変動に対してヘッジされているかどうか見てみましょう。オプションは100万個ロングしているので、プレミアムが1円上がれば100万円儲かります。逆に1円下げれば100万円損します。株は54万株ショートしているので、1円上がれば54万円損しますし、1円下げれば54万円儲かります。
緑の線がオプションと株の空売りのポートフォリオのPLです。50円付近では確かにほとんど水平になっていて、株価が上下してもほとんどPLはでないようにヘッジされていますね。それでは50円付近のところを拡大してみましょう。
株価が1円や2円動いたところでほとんど利益も損もでないことがわかります。でも5円ぐらい動いて株価が55円ぐらいになると29万円ほど儲かりますし、5円下がって45円になると36万円儲かります。さてここでひとつ面白いことがわかりました。コール・オプションはこのようにデルタ・ヘッジすると株が上がっても下がっても儲かるのです。
さてここで、株価が45円になったとして、もう一回デルタ・ヘッジをやり直して株価の上下に対してリスクを消しましょう。45円になると、オプションのプレミアムは約3.29円になっていますから、100万個を5.63円で買っているので、オプションの方では(5.63-3.29)x100万で234万円の損失になります。しかし54万株を50円で空売りしていますから、ここで270万円儲かりますから、合計では36万円の儲けになります。それではもう一回デルタ・ヘッジするにはどうすればいいでしょうか? 株価が45円の時のデルタは約0.40なので、オプション100万個に対しては株は40万株ショートすればいいことになります。今すでに54万株をショートしているので、14万株を45円で買い戻せば40万株のショート・ポジションが作れます。こうするとまた株価の(少しの)上下では損益がでないポジションになります。こうやってずれたデルタをもう一回ヘッジすることをリヘッジといいます。
コール・オプションをロングして株をショートしてデルタ・ヘッジすると、このように株が上がっても下がっても儲かるのです。もちろんこれは魔法でも何でもなくて、最初にごっそりオプション料金、つまりプレミアムを払っているからです。この場合は、最初に563万円払いましたね。もし1年後の満期で株価が50円以下だったら、このプレミアムはパーになります。しかしデルタ・ヘッジをこのように何度もしていくと、株価が動いてリヘッジするたびに儲かります。つまり、デルタ・ヘッジをしていると株価が激しく上下に動けば動くほど儲かることになります。この時に最終的に最初に払ったプレミアムよりもたくさんリヘッジで儲かれば、このオプション戦略は成功でしょう。それでは成功するかどうかは何が決めるのでしょうか?
それはいろいろな要素がありますが、基本的には実現するボラティリティがオプションを買ったときのボラティリティ、この場合は30%よりも大きくなるか、小さくなるかで決まります。このオプションが取引された時、30%のボラティリティを予測しました。それであなたはオプションが割安だと思って買ったのです。逆にいえば、取引相手はオプションが割高だと思って売ったことになります。オプション価格を計算するためにボラティリティをインプットしましたが、オプションのマーケットではBSモデルやボラティリティなど気にせずにオプションの値段が毎日付いていています。このようなオプション価格から逆算して割り出されるボラティリティをインプライド・ボラティリティといいます。あなたは30%のインプライド・ボラティリティが割安だと思ったわけです。しかしこれは予想なので、実現するボラティリティはこれより大きいかもしれませんし、小さいかもしれません。要するに、オプション取引とは実はボラティリティを予測して、ボラティリティを安く買って高く売るか、あるいは高く売って安く買い戻すゲームなのです。
それでは次はガンマやセータやベガを勉強して、このへんをもっと見ていきましょう。
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