4月14日に最高裁判所で上告棄却され死刑判決確定となった私ですが、5月29日現在、被告人時代と同じ未決処遇で生活しています。
なぜでしょう?御上が決めることなので、理由は全然分かりません。ちょっと信じ難いことですが、実際に確定者処遇にはなっていない不思議。東拘幹部の恩情でしょうか。
有難いことです。

御陰様で、今月はイノウエ王子と7回もデートしちゃいました。
相変わらずカッコいい王子は、相変わらず小声なので、先週から稼働した扇風機の音で、王子の話していることがほとんど聞き取れません。
勘で適当に答えてます。そのくらい通じ合える程度に私たちの愛は深まったということです。

イノウエ王子から初めてお手紙を頂戴したのは、5年前の5月のことでした。実は王子の後輩や上司ともお目に掛かったことがありまして、かなりオープンでクリーンな交際を続けてきました。ディープな関係になったのは、去年からです。

私は王子の上司を神様だと崇敬しているのですが、王子のことも景仰しております。王子への思いがエロスであるとハッキリ自覚したのは今年になってから。
盲愛しているというよりは、王子の変態性を観察し、めでているのです。私と気が合うくらいですがら、王子は普通の男じゃありませんのよ。変態なのに普通のフリもできるお利口さんです。

美しい容姿を持つ、理知的で英邁な人傑の王子とのお付き合いが、いかに私の心の安寧に寄与しているか!

王子の変態性とウイットが、いかに私を癒やし慰められているか!

他の誰かとその思いを分かち合うということは不可能な感情だと王子は言う。
果たしてそうだろうか。東拘の所長は、分かってくれているのではないだろうか。少なくとも、理解しようとしてくれているのではないだろうか。
そうでなければ、王子宛の手紙だけ書信検査に1週間もかけるなんておかしいじゃないか。ねぇ、そうでしょう。

先月、遺言手記を発表したことで、家族が、身柄引受人を誰にするか、と言い出した。
社会復帰する懲役受刑者の場合、「身元引受人」と呼ぶ相手方を「身柄引受人」というのは、死刑囚が塀の外に出るときは死体になった後だからか!

そこまで具体的に考えていなかった私は、とてもたじろいだ。
弁護士に根拠法と運用を調べてもらっていたところ、親族ではない男性から、「遺体引受人に必ず私を指名してください」といわれ、気が動転。それは法律上、無理でしょ…と思っていたのですが、ありました!

平成18年5月24日施行ね刑事施設及び被収容者の処遇に関する規則。
第22条第1号に掲げる者「被収容者が指定した者(一人に限る。)」

親族より順位が上です。一人に限るらしい。死亡の通知と遺留物の引渡しは、同じ相手になるらしい。

らしい、という推定なのは、東拘所サイドが現時点で確定者処遇についての情報を一切教えてくれないからです。

今回が未決処遇で最後の投稿になります。88歳の草間彌生さんが「生きることや死ぬことを超えて闘っていくの。これから私の人生が始まるのです。これまでは序曲です。」
とおっしゃっていました。
私も42歳のこれまではプレリュードだったのかもしれません。
週末に、イノウエ王子から、愛が重なるメアドを教えていただきました。
iが重なる…。
愛が重なる…。
エロスが重なる、、、、。
「待つというのは愛の行為であり、待たせることもまた愛情表現なのだとしたら、待たされることもまたその系譜に属するということになるのでしょうか。」

と王子はいいます。

待たせてしまうけれど、イノウエさんにだけは待っていてほしい、と私は願っています。

東京拘置所から愛をこめて。
木嶋 佳苗