悪くない組み合わせと言えるだろう。7月7日に行なわれたロンドン五輪アジア最終予選だ。

最初の幸運は、中国の2次予選敗退だった。08年の北京五輪で日本より多くの勝ち点をあげた中国は、最終予選に進出すれば第1シードになるはずだった。しかし、中国がオマーンに足元をすくわれたことで、日本は韓国、オーストラリアと並んで第1シードになることができた。ここまでくれば楽な組み合わせはないとしても、仕上がった3つのグループを見れば、「悪くない」という思いが膨らむものだ。

ここ最近の若年層の大会で、アジアを勝ち抜いているのは朝鮮民主主義人民共和国 (北朝鮮) であり、UAEであり、ウズベキスタンである。韓国とオーストラリアはもちろんだ。2次予選で敗退した北朝鮮はともかく、UAEともウズベキスタンとも別グループとなり、昨年のU-19選手権で3位に食い込んだサウジアラビアとの対戦も避けられたのは大きい。第1シード昇格の恩恵だ。

対戦相手には既知の国が揃っている。バーレーンはここ数年にわたって、フル代表が何度も対戦してきた相手だ。このチームも2月の中東遠征で戦い、2-0の勝利を収めている。マレーシアは昨秋のアジア大会で対戦している。メンバーに変更があるとはいえ、相手の実力や特徴を皮膚感覚で知っているのはメリットだ。

シリアは未知数の相手になるが、過去二度のU-19選手権ではいずれもグループリーグ敗退に終わっている。1月のアジアカップにはロンドン世代から二人の選手が選ばれていたが、どちらもレギュラーではなかった。こちらが力を出し切れば、十分に勝算のある相手と考えていい。

また、シリアは今年に入ってデモの発生やデモ隊と治安当局の衝突などになり、安全上の問題が指摘されていた。このため、2次予選のホームゲームを第三国 (ヨルダン) で行なっている。シリア対日本は来年2月の第4節に予定されているが、今後の動向を注意深く見守る必要がありそうだ。

予選のポイントは、そのシリアをホームに迎える11月27日の第3節と予想する。4日前の23日に日本はバーレーンとアウェイで対戦するが、シリアは同日にマレーシアとのアウェイゲームを消化する。より早く日本に入りできるのは、アウェイチームのシリアなのだ。前回の予選通過ラインが勝ち点11から12だったことを考えても、ホームのアドバンテージを削がれてしまうこの試合は、最終予選の行方を左右するだろう。最終予選で唯一の連戦となる11月の2試合で、確実に勝ち点4以上をつかみたいところだ。

いずれにしても、最終予選は半年以上に及ぶ長丁場だ。固定したメンバーで乗り切るよりも、ある程度大きなグループで対応していくことになる。シーズン序盤の活躍で酒井 (柏) がレギュラーに食い込んできたように、いまはまだノーマークなタレントの台頭も望まれる。チームとしての総合力で上回る国が、ロンドン行きの切符を手にするだろう。 

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