以下の内容はhttp://blog.livedoor.jp/crii/archives/cat_707191.htmlより取得しました。


紫電改のマキ 1 野上武志

田舎から首都圏に転校してきた主人公、羽衣マキ。
その高校では飛行機通学が認められ、
日々領空を争う空中戦が繰り広げられていた。
彼女は偶然、墜落していた戦闘機、紫電改を手に入れる。

…なんだこれ。
世界観は現代日本、絵柄ではよくある女子高生の普通の物語と見せかけ
タイトルからは戦記物の香り。
紫電改なんて戦闘機の名称が出ているので、
架空戦記ものだと誤解していた自分はカウンターパンチを食らった。

現代日本の首都圏を舞台にしている…はずなのだが、
この主人公達がいる高校の設定が実に妙。
高校だけかと思ったら、町中の人間の意識も妙。
どういうことなのか、世界観を要約すると

・高校は飛行機通学可能。飛行機は「不良の乗り物」扱い。バイクか。
・バス通学のように、輸送機で通学する学生も。
・他校の生徒が、戦闘機でその輸送機を撃墜しに来る。輸送機の護衛は生徒の仕事。
・他校は空戦のみならず、学校も爆撃。そのため学校に対空陣地もある。
・戦闘機が撃墜されて庭先に落ちても気にしない市民。

…いやぁ、ブッ飛んでおられる。なんだこの世界観。


そんな世界観の妙さに目をつぶれば、
…一昔前の、バイク不良番長漫画女子高生バージョンとでも言おうか。
人語を話す高性能機体を偶然手に入れ、他校の襲撃をほぼ一人の力で跳ね除ける、
由緒正しき番長ものだ。
ド派手に爆撃されて爆発したり、空戦で実弾機銃をバンバン打ち込んだり、
輸送機が燃え上がって墜落したり、戦闘機が両断されたりするけれども、
パイロットも一般人も市民も、誰一人死なないあたりも不良もの。
ケンカやバイク運転中に鉄パイプで殴り合いをする、古マンガの懐かしさを感じてしまった。
登場人物たちのダメージはせいぜい血が出る怪我までで、
爆撃されて教室が燃え上がってるのに「よくあることだし」扱い。
ギャグ時空的でもある。

世界観は妙だけれども、戦闘機には細かいところまでの書き込み、
機器の描写も力が入っており、
戦闘機に対する愛は十二分に感じる作品ではあった。
世界観は妙だけれども。(二回目)

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くまみこ 1と2 吉元ますめ

副題?に英字で、「Girl meets Bear」。

東北のどこか山奥。電気はあるがその他色々なもののない田舎町。
そこには神の御使いとして崇められる、人語を話す一匹のヒグマと
神の託宣をする巫女が、一つ屋根の下で暮らしていた。

などとあらすじには書いたが、巫女であるヒロインはこの村が大嫌いであり、
都会に憧れるフツーの女子中学生。
クマはクマで、一応村のしきたりでこの村から外には出られないが、
電化製品を使いこなし多分ネットで知識を蓄えている現代っ子。
この二人が織り成す日常マンガ。
基本的にメインストーリーは、都会に出て行きたいと嘆くヒロインと、
機械・文明オンチのヒロインに、諦めさせようと課題を出すクマという構図で物語が進む。

ヒロインのコミュ障ぶりと、都会に対する憧れの割には
電化製品を必要以上に怖がったり、都会のことについて何も知らなかったりと、
そりゃあクマが過保護でなくとも止めるよな、と読者側としても納得。
ヒロインの無知なのに無鉄砲な、引き返すことを選ばない部分とか、
見てて本当に危険だしなぁ。

都会に出て買い物をしてくる話で、結局テンパってしまって
何も買えないどころか、泣きながら帰ってくる話は実に面白かった。
…うん、泣かせたくなるヒロインって久しぶりに見たね。
なにか私の中にある、危険な趣味のスイッチが入りそうになった。
結局のところ、クマ自身もまちを保護者のように心配しているだけではなく、
ほぼこの村を出て行って欲しくないだけなんだ、とわかる回であったのも実に良。
こういう関係も共依存って言うのかね?
そう考えると「(DVが)激しくて…」という台詞も、なんか深くて良し!

裏設定的な、わずかしか語られない、
「なぜクマが人語を話せるのか、一匹だけ人家で暮らしているのか」も
ちょっと興味が沸くけれど、そちらにはあまり踏み込まないようだな。
日常を描くだけで、充分なギャグテイストの物語であるし、
そちら方面は薄めなのだろう。
でもなぁ、気にしないようにしていたそちらの設定も、
クマの「切ってあるから」という一言だけでもう気になりすぎる。
何があったんだクマの一族の代表。切っていいのか。
人間とクマとの文化の架け橋役にならなきゃいけないんじゃないのか。
…と妄想が走りかけたが、これからの話を待つとしよう。
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艦隊これくしょん-艦これ- 4コマコミック 吹雪、がんばります! 1 桃井涼太

提供:DMM.com
開発/運営:角川ゲームス

「言わずと知れた」存在になりつつある…それはもういいか。
艦隊これくしょんの公式、DMM.com公式4コママンガに
歴史的元ネタなどの説明を加えた一冊。
主人公はタイトルにもあるとおり、駆逐艦・吹雪。

主人公の吹雪が、艦隊育成学校である「鎮守府」に入学してくる。
そこは妙な女学生達のたむろする、不思議な場所であった-
-などという私の説明も不要。
中身に関しては少しファミ通コミッククリア(リンクは作品)で直接読めるし、
現在も連載中なので見に行くと良い。
…サイトが絶妙に読みにくい作りにされているのは、
単行本を売るためなのか?と邪推するほど読みにくいが。

艦これ攻略Wikiで、艦の情報を調べていると時折この4コマ漫画の情報が
リンクとして貼られている事があり、その時にぱらぱらと該当箇所を見ていた。
まあ、うん。アンソロジーだな。
ぐったりする面白くなさがこめかみを痛くさせる。
こういうアンソロジーは読む側も、物語としての面白さを求めていないだろうし、
公式マンガということではっちゃけたものを描けもしないだろうし、
冒険する部分ではないよな。
でも漫画として面白くないんだよ!
こういうキャラがいます、なキャラの面白さと紹介で話が終わってしまっているイメージ。
山盛り艦娘がいる上、連載中にもゲームのほうで新規実装されて
艦娘が増えているのもわかるが、ちょっと作品としては残念な出来。

史実の艦たちの記憶を受け継いでいる娘たちが多い、
という設定のため、登場する娘は絶望的トラウマもちの少女ばかり。
そのシーン毎の史実上の説明が、物語と物語の間に挟まるため、
読んでいてブルーになることは間違いなし。
電子コミック上で読まない、単行本で読む読者のためのサービス付記だろうに、
どうしてこうなった。

公式アンソロジー4コマ。
この本はそれ以上でもそれ以下でもなく、
面白さを求めて読むものではないのだろう。
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艦隊これくしょん-艦これ- 水雷戦隊クロニクル 1 深山靖宙

原作:「艦これ」運営鎮守府
英訳副題に「TORPEDO SQUADRON CHRONICLE」

そろそろ「言わずと知れた」存在になりつつある、
「艦隊これくしょん」を原作にした漫画。
主人公はひよっこ駆逐艦・暁と、
駆逐艦娘たちを教え導く少し怖い先輩、軽巡洋艦天龍。

艦これは祈りパワー使い果たしてプレイ休止しました。
…などと言いながら、いやちょっとデイリー任務だけ…などと
細々プレイを続けている日々。
そんな折に、友人Iからこんな本を渡されたわけです。

中身を開いてみれば、これまで想像していたいわゆる「アンソロジー」とは
明らかに違う、妙に描き込みの密度の濃い、
表情豊かなゲーム原作漫画であった。
現実の歴史設定を引っ張ってきているような重さはなく、
謎の存在・深海艦と戦うこれまた謎の少女達の戦場と日常が
濃い絵柄で、シナリオ的には割りと薄めに描かれている。まだまだ序盤だしな。

ゲームのアンソロジー的部分としては、駆逐艦娘達の成長物語が基幹。
誰もが最初の絶望を味わったと思われる3-2、
キス島攻略が最終目的であるようだ。
…うん、機嫌良く艦隊運営してて、戦艦だ!空母だ!火力こそパワーだぜ!
なんて言ってたプレイヤーに、冷や水をぶっ掛けてくれるマップだからね。
ここを読む方なら当然知っていると思うけど、
クリアするために艦隊全員を駆逐艦で出撃しなければいけないのである。
あれ、てことは天龍も龍田も軽巡洋艦だから出撃不能か。
この漫画のシナリオどうなるんだろう…嫌な予感がプンプンするぜ。(ニヤリ

訓練用標的艦が普通の船の姿してたり、
登場する整備員の兄ちゃんとか司令部おっさんとかが
妙に濃かったりするアンソロジー漫画だが、
普通に楽しめる出来栄えでした。そのあたり妖精さんじゃないのかよ!
作者の人は他にどんな漫画を描いているのかと調べたが、
軍記ものとかを描いている訳じゃないのね。
それくらいおっさんが濃かった。
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赤ずきんチャチャ 6~13 彩花みん

流れるように残り全巻を渡してくれた友人Iに感謝を。
もしかしてこの本、友人Iにとっては「譲れない一作」だったりするのだろうか。
12巻辺りでようやく勢いに衰えを見せるものの、間違いなく名作であった。

前巻までのパワフルなキャラ造形は留まるところを知らず、
シナリオもギャグ8割・どう見てもホラー2割とカオスを維持。
苦手な部分を上手く隠しつつ、得意な部分を押し出した物語の描き方は秀逸なまま。
背景や小物や機械やらの描き込みは、どう見ても画力不足のような気もするが、
勢いとインパクト重視なシナリオで、そちらに目を向けさせない。
…もちろん目を向ければアラは目立つ。
けれどそこに面白さのキモがあるわけでなし、そっと目を瞑るべきだろう。

エピソード毎に目を向けてみれば、作者の才が惜しみなく溢れ、
全編にわたり全開で降り注いでいる。妙でないエピソードはなかった。
その中でもおとなしい、「耳かきが大好きな主人公級キャラ」というエピソードでさえも
後に竹本泉がつい同ネタを描いてしまうという、
強烈なインパクトで、他漫画家のアイディアの脳に傷を残していることがわかる。
師匠の父親が美少女に擬態したトカゲとか…
どんな頭してたら思いつくんだそれ。(ほめ言葉)

そして物語を追うにつれ、この作者はギャグよりも、
日常に潜む恐怖を描く方が才能があるんじゃないのと思うことしきり。
どこまで行っても追いかけてくるサルの影、胡散臭い動物病院から始まり、
手作りチョコを作るために、主人公狼人間をシバキまわして涙を奪い取り
師匠の父親の尻尾を引き千切り、赤ん坊の爪を剥ごうとするヒロイン(複数)とか。
特に夢に見そうなほど怖かったのは、自分達が花瓶にされる回。
文字通り手も足も出ない束縛と、割れれば命に関わるかもしれない恐怖と、
周囲のにこやかに割れそうな行動を取るさまが実にホラー。
…まあ私のイメージが、諸星大二郎の「毒」と、
「壺中天」に出てくるツボ入り仙人、費長道だからなのかもしれないけれど。

ラスト近くで突然生えてきた設定、セラヴィー師匠の本当の名はサンダル。
大魔王の息子設定…強大な魔力…人間界に落ちた…
ああ、メタトロンの双子、サンダルフォンをイメージしていたのかと納得。
あの大天使も、元は人間だったという設定があったし、
わりとしっくり来る「生えてきた後設定」でしたな。
天使で師匠にそっくりなキャラが現れる、なんてエピソードもこれの伏線だったのかと
思わせるほどに。あっちはじゃあメタトロンなのか。

なるほど、少女漫画の内でも、歴史に語り継がれるほどの名作だということが
よく解る作品でありました。
…残念ながら「N」で復活した作者に、この頃の煌めきを求めるのは酷ということも。
むしろ一時マンガを描く事から離れた人間が、
この作品に迫るようなものが描けるならば奇跡としかいえないと思う。
友人Iに改めて、「N」の感想を聞いてみたくなったな…。
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