日露戦争、地獄の二〇三高地を生き延び「不死身」と呼ばれた男、杉本佐一。
彼はある日、偶然にもアイヌの隠し財宝の情報を手に入れる。
盗まれ隠された財宝を求める彼は、とあるアイヌの少女と出会う。


[読書開始直後から時間の流れ]

(´・ω・)「…日露戦争、二〇三高地。舞台も北海道だし、『皇国の守護者』な戦記物かな?」
  ↓
(´・ω・)「なんか戦争話は過去のことだった。宝探しがメインなのかな」
  ↓
( ゚д゚) 「『孤独のグルメ』ならぬアイヌのグルメじゃねーか!」

と予想外の感想の移行を見せたこの作品。
「不死身の杉本」という異名を持つ、えらく頑丈な主人公が砂金を求めて、
同じ目的を持つ軍人やら過去の亡霊やらとバトルに次ぐバトルを繰り返す物語がメインなのだけれど。
ヒロインとして登場する、アイヌのアシリパ(リは小文字)がまた破天荒というかヒロイン的でないというか。
可愛くないわけではないのだが、勇ましい戦友という感じの彼女との交流のほうが
中盤からは読んでいて楽しくなってくる。

もちろん物語は、主人公の見ていて痛くなるほどに傷だらけになる戦闘、
話し合いも出来そうにない、妖怪のような人間達とのだましあいも読ませるものがあるのだが。
彼女と主人公が雪山を歩き、日々の糧を得るためマタギのように動物を狩る。
この時の二人の食事風景のほうが、味があるような。
こちらはそこまでメインじゃないはずなんだけどなぁ。

どう見ても主人公が食べなれてない、リスの脳みそやらウサギの目玉やら、
カワウソの頭やらを食べさせられるシーンの主人公の顔ときたら。
「食べたくない食べたくない」ってな顔をしながら仕方なく食べる表情とか、
どうやって食えばいいのかわからない顔でまごつくシーンとかは本当に絶妙。
そしてそんなふうに異文化を前面に押し出した、
「やっぱり異文化の食文化はわからないもんだな」と思わせておいてからの
「なんだ美味い物に国境なんかねーな!」な食事風景が必ず来るのも良構成でよろしい。
味噌も国境を越えるのだ。
一番ニヤリとしたシーンは、雪山の中で彼と彼女が水を取り合うシーン。
ヒロインが水袋に必死になるあまり、ヒロインがしちゃいけない顔をしております。

…というわけで、黄金を求める非情なバトルものという側面よりも、
サバイバルアイヌグルメマンガとしての魅力が心に残ったお話でした。
それが悪いわけではなく、読ませる面白さがあるのでこのまま突き進んで欲しいと思います。
ヒンナヒンナ。(食事に感謝する言葉)





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