副題に「艦隊これくしょん前日譚ファンブック」。

ある日、海から陸へ打ち上げられた、それまで人類が見たこともない生物。
それは生体と機械が奇妙に融合した、海の恐怖を表したようなモノだった。
未来に待つ危機に対峙するため、一人の科学者が研究を始める。

「艦隊これくしょん」の同人誌。
同人誌といえば、公式がやらないカップリングやらヌードやら絡みやら、
R-18まっしぐらなものばかりという偏見があるが。
今回のこの本、ネーちゃんの裸も絡みもさっぱりなく、
画力もそこまで秀でているというわけでなく、
派手なアクションシーンもない。
…絵面としては地味な、まるで「ロボット残党兵」に出演していたような科学者が、
たった一人であれこれする話なのだが。
一匹の打ち上げられた深海棲艦から、全てを揃えていくこの物語は
地味派手といいたくなるダイナミズムがある。

艦これをプレイしていて、公式がわざとぼやけさせている部分。
鎮守府という組織がどのようにして出来たのかとか、
なんかゲーム始まって間もない時から二体の艦娘(明石と大淀)がいるけれど、アレは何なのかとか、
妖精さんとは、羅針盤の謎とは。
ゲームをプレイするには、悩む必要のないどうでもいい部分だけれど、
気になる人には気になる部分を妄想と想像で突き詰め、埋めていく。
これこれ、こういうのがいいんだよこういうのが!
敵の正体と唯一奴等に効く攻撃と、
なぜ敵を倒すと艦娘が手に入るのかとか、
よく物語として落とし込んだなと思うほどの設定考察。
うむ、地味に見える一冊だが、いい仕事をしております。

いやはや、同人誌というものがR18表現が主だなどという、
私の偏見を幾らか取り除いてくれるほどの良作品でありました。






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