ざくアク2ざくアク1











魔法と科学がそれなりに同居した世界。
この世界には、異世界より生き物を召喚する魔法があった。
この魔法によって己の意思に拠らずこの地へと喚ばれた者たちは、
元の世界へ戻る術もなく、「ハグレ」と呼ばれ細々と生きていた。
これは二人の「ハグレ」が、「ハグレ」のための王国を作ろうと立ち上がった物語。

フリーゲーム界の金字塔、あの「らんだむダンジョン」を作ったはむすたさんの最新作。
一章ごと、完成するその都度公開ということで、
大分前に第三章をクリアした時点で感想を書こうかと思っていたのだが。
いやいや完結まで待たねばと思い封印。
そこからは一日千秋の思いで、上記ブログの更新を暇があったら覗きに行っていたが、
ついに某日、第四章の実装、ならびにざくざくアクターズの完成が発表された。
ひゃっほい待ちわびたぜ!セーブデータ引継ぎ?いいや第一章からもう一度プレイだ!
→クリアまで一月半かかった。後には満足そうに息絶える貧者の姿があった。

…と思ったら公式でアップデートパッチが配布されてるし。(ムックリ起き上がる)
まだまだ戦いは続きそうだな…!


総合評価:S


総合評価 目安
S:万人にお勧めできる超名作。普通のゲーム買ってる暇があったらこれをやれ。
A:友人にお勧めできる、きらりと光る部分がある名作。やって損はない。
B:勧める人は選ばなければならない。好みも分かれる作品。
C:…うーん、合わない。クリアまで出来ないレベル。


全てにおいて文句なし。近頃のRPGがつまらない?もうゲームは卒業?
んなこと言ってるオサーンor若者がいたら、このゲームをやってから言うべし。
面白いRPGは、まだここに生きているぞ。

濃いキャラクターの性格設定。ゲームバランス。物語のテンポ、伏線、解き明かされていく謎。
キャラ毎の掛け合いは楽しく、シナリオが進むごとに変わる拠点での会話を楽しみに、
全員の会話を聞きなおしていたプレイヤーも多いだろう。
熱中できるミニゲームの数々。
前作からは少々分量は減らしたが、楽しめるアイテムたちの説明コメント。
何より特筆すべきは良シナリオ。近頃年取って、涙腺が緩んでる実感はあるのだが、
とりあえず覚えているだけで4度は泣いた。泣き過ぎな俺。しかも二回目プレイなのに。
しかしかといって泣きゲーなどと言うつもりはない。
心が熱くなるシーンは数え切れず!

前作「らんだむダンジョン」では既存の、ゲームツクール配布のキャラグラフィックを使っていたため
「こんなイベントやこんなイベントを考えていたのに、一枚絵さえも実装できねぇ!」という
作者の慟哭が聞こえてきそうなシーンもあったが、
ついに今作では「キャラ絵・イラスト・戦闘アニメーション」全てを
作者自身で描くという方法で解決。
これまで全く絵を描いてきたことがなかったという作者の努力、
涙なくして見られるものではない。
だが決して下手などという一言で終わらせられはしない。
キャラに対する愛はたっぷり、溢れんばかりに感じられ、
描くものそれぞれに惜しまぬ気合を感じさせる。
それだけでなくシナリオが進むごとに、つまりゲームの開発、現実の時間が進むごとに、
画力が飛躍的に上がっていくのが見て取れるはずだ。
イベント絵が、戦闘のアニメーションの絵がうめぇ!すげぇ!!
王様ランチの絵が旨そう!釣りの絵が!
と一人盛り上がっていたのは内緒。

総評。
素晴らしい。その一言に尽きる。
この作品、何より心に響いたのは、良シナリオだろう。
思い切り力の入ったシナリオを背骨に、グラフィックひとつとってもわかるほどの愛を、
全てに注ぎ力強く塗りたくり丁寧に焼き上げた。
素晴らしい完成度のフリーゲームでありました。
これがフリーゲームだということに、何度でも驚愕しよう。
ものすごいゲームだった。ありがとうございました。


以下は好きなキャラネタバレこみトーク。
未プレイの方は戻ってくださいね。














好きなキャラなのにキャラ性能で使えねぇぇぇぇっ!!(魂の叫び)
い、いや、愛さえあればどんなキャラでも強く使えるのはわかってるんじゃ。
けどつい、合体技とかシナジー効果とかのせいで
好きなキャラより使えるキャラを使ってしまうじゃろ!?

ということで、最終メンバーは
ヘル・ミアのラージュ姉妹、エステル、イリスの魔術部隊。
ティーティー様とこたドラ、柚葉とデーリッチでした。
魔*下ろしつええ。最終局面直前で手に入った風属性三回攻撃魔法とラカニトでヘルちんが鬼。
中盤手に入る全員消費MP1/4の魔法、ハローワールドが強かった。
あれがなかったら主力を魔法部隊にしようとは思わなかったなー。
イリスが入るまではゼニヤッタがメインでした。
一線を退いてからでも、ゼニヤッタのMP吸収技は大規模戦闘で獅子奮迅の大活躍。

好きなキャラは多い、多すぎる!
ヤエちゃんは雪乃との絡みがなくてもいいキャラだったなぁ。
ハピコみたいな、序盤から出てきて辛辣なことも言える毒キャラは大好き。
ブリギットも味があるキャラだったなぁ。見た目あんなのでも中身おばあちゃんだし。
マッスルとアル君も、いつのまにか王国のいい先輩になってる所が好きだったなぁ。
妖精王国三人組もステキ。大明神がシナリオごとに良い役とセクハラ役をもらってていいなぁ。
毒たっぷりなプリシラも、ヅッチーの前だとただの妖精ぽい言動に戻るのも好き。
エステル・メニャーニャ・シノブの三人組も好きだけど、
もうストーリー中央の存在でサブ主人公みたいなもんだし語る部分はないか。
デーリッチとローズマリーの過去シーンは涙腺が緩みすぎる。最高。

これ以外のキャラたちももちろん好きなんよ!?
細かいイベントシーンとか、王国の店建てるシーンの掛け合いとか!
突っ込み役を一手に引き受けるローズマリーさんとかね!
突然現れるキングと、傍に控えるゼニヤッタは笑うわ!
仲いいよなこの二人。タイガーイベントとか。
でもさすがにきりがないからこのへんで割愛。

細かいイラスト、イベント絵ともものすごい力の入りようだったなぁ。
魔法部隊が主力なので、お店ブーストでヤエのスプーンは確定で入っていたんだけど、
その絵と後期の絵が入り乱れれば画力の上達が一目瞭然。
特産品の絵も、キャラごとに送られてくるお礼の手紙も大好き。
食べ物系はもう。ミントドリンクさんが某やる夫スレ第十二話(感想)で描かれたのも納得の、
イラスト一枚から伝わってくる旨そうな空気。王様ランチ食いてぇ!
ハンバーガーの魔力に逆らえないヅッチーとデーリッチの絵とかも本当大好き。
一番画力の上達を感じたのが、お祭りのデーリッチ釣りをするミニゲームの絵かな。
表情の変化がとてもステキでした。


ひとつだけ心残りがあるとすれば、数ある大規模戦闘で、
全てのキャラに会話があるってところかな。
キャラが好き過ぎて、第一回出撃で使ったキャラが第二回出撃のときにどういうことを話すのか、
全部聞きたくなってしまう。
さすがに大規模戦闘を何度もやる気力がなかった。残念。

あとイリスには「この時点で私がいるなんて」みたいなことを言われることに成功したけど、
もし三週目をやるとしたら、あの最終大規模決戦前に何とかしてマリオンを…!