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うにゅほとの生活を書き連ねた日記が十四年と二ヶ月半分たまった(2026年2月前半)

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1 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/07/01(金) 19:13:30 ID:1bfcR2jI0

うにゅほと過ごす毎日を日記形式で綴っていきます 


ヤシロヤ──「うにゅほとの生活」保管庫
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765 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/02/16(月) 18:51:41 ID:FyGf35Pc0

2026年2月1日(日)

「はっ」
と気付けば、パソコンチェアで寝落ちしていた。
痛む首をさする。
最近、また、寝落ちの頻度が上がっている気がした。
周囲を見渡すと、うにゅほがいない。
廊下から顔を出すと、すぐに居場所がわかった。
弟の部屋から、母親とうにゅほの声がしたのだ。
適当に覗きに行くと、なにやらアソビ大全を買ったらしく、いろいろ試しているようだ。
俺もヨットに参加したが、出目がまったく振るわず、一度も勝つことができなかった。
「あそびたいぜん、いいねー」
「わりといいな。アホみたいにゲーム詰まってるし」
「ごじゅういっこ?」
「多分……」
「たぶんなんだ」
「こういうのって、後か追加されたり、ある程度プレイしたら解放みたいのあるから」
うにゅほが、うんうんと頷く。
「そういうの、ある」
「たとえば?」
「──…………」
特に思いつかなかったらしい。
「マリカとか?」
「まりかとか!」
即相乗りされた。
まあ、いいか。
うにゅほと遊べるゲームが増えるのはいいことだ。
何か面白そうなゲームを見繕っておこう。








766 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/02/16(月) 18:51:57 ID:FyGf35Pc0

2026年2月2日(月)

「明日、節分か……」
「えほうまき、たのしみだね」
「買うのかな」
「え、かわないの?」
「買うの俺じゃないし……」
「そだけど」
「まあ、買うだろ、たぶん」
「なんでいまふあんにしたの……」
「すまん」
何も考えずに口を動かしていたのだった。
「××、そんなに恵方巻き好きだったっけ?」
「すきだよ」
「節分過ぎても?」
「あー……」
うにゅほが眉根を寄せる。
「ふつうかも」
「てことは、節分ってイベントありきってことか」
「たぶん……」
「そういうの、あるよな」
「あるある」
「たとえば?」
「──…………」
黙ってしまった。
「映画館だとポップコーン食うけど、普段は買わないとか……」
「それ!」
相乗りされた。
「あと、うみのいえのやきそばとか……」
「海の家の焼きそば食ったことないだろ」
「ない……」
「まあ、でも、よく言うよな」
「いうよね」
「××は可愛いな」
「……なんでいま?」
「なんか可愛かったから……」
「──…………」
照れてしまった。
うにゅほは可愛い。






767 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/02/16(月) 18:52:17 ID:FyGf35Pc0

2026年2月3日(火)

月に一度の定期受診である。
あくびをしながら朝八時に家を出て、家に帰り着いたのは午前十時前だった。
「早めに帰ってこれたな」
うにゅほが胸を撫で下ろす。
「よかったー……」
「でも、怖くなかったか?」
「こわい?」
「会計のとき、死ぬほど人いたじゃん。もし八時半に家出てたら、あれに巻き込まれてたぞ」
「……たしかに!」
「こりゃ、今後も朝八時だな……」
「はやくいって、はやくかえれるなら、そのほういいもんね」
「よく考えたら大して早くない気もするけど」
「きにしない」
「はい」
今日は、節分でもある。
うにゅほも大好き恵方巻きは、今年は切られて食卓に出てきた。
「かなしい」
「××、恵方向いて食べるの好きだもんな」
「せつぶんだし……」
「いちおう、南南東向く?」
「むく」
節分にしか使わないiPhoneのコンパス機能を使い、明後日のほうを向く。
「──…………」
「──……」
「すぐたべれる」
「喉詰まらなくていいじゃん」
「そだけど……」
案外、イベント事をちゃんとやりたがる子である。
「恵方巻き、美味しかったな」
「うん。きったら、いろんなあじたべれるね」
「切ったほうがいいじゃん」
「それはそれ」
「それはそれなんだ……」
わからんではない。
来年の節分には、笑っていられるだろうか。
 






768 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/02/16(月) 18:52:38 ID:FyGf35Pc0

2026年2月4日(水)

「にしのひだねー」
「西?」
カレンダーを見て納得する。
たしかに西の日だ。
「西には何があるかな」
「にし……」
うにゅほが思案する。
「にしって、どっち?」
「太陽が沈むほう」
「あ、そか」
「──…………」
「そんなめでみないで! いっしゅん、わかんなかっただけ!」
「ならいいけど……」
西を指差し、うにゅほが言った。
「あっち、カレーやさんあるね」
「ネパールカレーか」
「すーごいおいしい……」
「また行きたいな」
「いきたい!」
「雪が解けたらな」
「そだね……」
「また雪降るんだっけ?」
「たしか」
「このまま春が来なかったりして」
「こまる……」
「困るなあ」
「やめてね」
「俺が……?」
突っ込みどころの多い会話を交わす。
まったく頭を使っていないのだが、これが楽しい。
「ねとふり、はいってたっけ」
「昔入ってたけど、もう解約したよ。見たいのあった?」
「ないけど」
「ないんかい」
「あまぷらは?」
「アマプラは入ってる。買い物するし」
「ふーるーは?」
「サイト開いたこともない」
「ほか、なんかあったっけ……」
「わからん」
「わからんかー」
適当な会話を適当にしても許される関係が、俺は好きだ。






769 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/02/16(月) 18:52:56 ID:FyGf35Pc0

2026年2月5日(木)

ず、と鼻を啜る。
理由は、アレルギー性鼻炎だからだ。
鼻水を啜っているのではなく、鼻づまりを解消するために、鼻腔に空気を通そうとしているのだ。
「さいきん、はな、つまってるねー……」
「寒いしな」
「なざーる、つかう?」
「……いや、やめとくよ」
うにゅほが小首をかしげる。
「つかわないの?」
「ああ。ナザールに限らないけど、市販の点鼻薬って、使い過ぎると逆効果なんだよ」
「え!」
「薬剤性鼻炎って言うんだけど」
「だめじゃん……」
「それはそうなんだけど、どうしてもってときはあるから……」
「どうしたらいいの?」
「まあ、耳鼻科かな」
「じびかいこ」
「行かないとなあ……」
「いかないの?」
「冬道だるい」
「わかるけど……」
「ただでさえ病院病院なんだから、増やしたくないんだよな。詰まり気味、くらいだし」
「うーん」
「春になったら行くよ……」
「ほんと?」
「行く行く」
「……わかった」
しぶしぶと、うにゅほが頷く。
さっさと行ったほうがいいのはわかっているのだが、それはそれとして行きたくないのだ。
複雑な男心というやつである。
「びょうき、ほかにかくしてない?」
「隠してないよ……」
「ほんと?」
「意図的には」
「わかんないってこと……?」
「誰でもそうだろ」
「それはそう」
健康は大切である。
今年こそ健康診断を受けなければなるまい。







770 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/02/16(月) 18:53:15 ID:FyGf35Pc0

2026年2月6日(金)

「……バレンタインが近いな」
「うへー」
「今年は何か考えてるの?」
「うーん。あんましおもいつかないから、ふつうのにしようとおもって」
「トッポとか?」
「とっぽつくるの……?」
「あ、手作りか」
「まいとしそうでしょ」
「毎年楽しみです」
「よろしい」
膝の上のうにゅほが、こちらを振り返る。
「りくえすと、ある?」
「リクエストか……」
軽く思案し、答える。
「ナッツが入ってると嬉しい」
「◯◯、ナッツすきだもんね」
「基本、入ってないより入ってるほうがいい」
「じゃあ、ナッツいれるね」
「お願いします」
「まかだみあかなー」
「くるみとかも好きだぞ」
「いいね!」
「……あ、でもあれは好きじゃない」
うにゅほが目をまるくする。
「◯◯、きらいなナッツあるの?」
「ミックスナッツにたまに入ってる、ジャイアントコーン……」
「あー」
「そもそも、あれナッツなのか?」
「ちがうきーするけど、かくしょうはない」
調べてみた。
「違うじゃねえか!」
「かさましなのかな……」
「かさ増しじゃないかな、さすがに。言い訳の余地なく」
「さぎっぽいね」
「俺たちは、ジャイアントコーン入ってないミックスナッツを買おうな」
「うん」
べつに不味いわけではないのだが、無駄にヘイトを買うジャイアントコーンなのだった。






771 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/02/16(月) 18:53:33 ID:FyGf35Pc0

2026年2月7日(土)

「一週間が早い、早すぎる……」
「そんなに」
「筆が乗ってるからなあ」
「きょう、なんまんもじ?」
「何万文字も書けないから。一万文字くらいだから」
「そか……」
「頑張ってはいるけどな」
「でも、◯◯は、すごいね」
「執筆速度が?」
「ちがくて」
「違った」
「しょうせつかいてるのに、ちゃんと、わたしのことかまってくれる」
「……構いますよ、そりゃ」
たとえ構わずにいても、不機嫌になったりするわけではない。
うにゅほは、無言で悲しむのだ。
速度を犠牲にしてでも構い倒すに決まっている。
「がんばって、しょうせつ、よましてね」
「頑張ってます」
「わたし、◯◯のしょうせつ、すき」
「なら嬉しいけど……」
「でも、ながい。まえかいたの、まだよめてない。はんぶんくらい」
「××、読むの遅いからなあ」
「◯◯がかくよりおそい……」
「実際そうかもしれない」
筆が乗っているときの俺は、普通に一日一万文字以上を出力する。
うにゅほのように、活字に慣れていない人は、一日に一万文字を読むのはけっこう大変なのだろう。
「おわり、ちかい?」
「近いはず。いちおう流れは見えてる」
「それはそれで、なんかさみしい……」
「わかる」
でも、頑張って完結させるのだ。





772 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/02/16(月) 18:53:55 ID:FyGf35Pc0

2026年2月8日(日)

「油淋鶏って食ったことなくない?」
「ゆーりんちー」
「ない気がする」
「ゆーりんちーって、なに?」
「鳥の唐揚げ、みたいな」
「からあげはたべたことあるよ……」
「俺だってあるよ」
「からあげじゃないの?」
「なんか、甘酸っぱいタレをかけて食べるらしい」
「あー」
うにゅほが、うんうんと頷く。
「わかる」
「食べたことは?」
「ある、きーもするし、ない、きーもする」
「迷うんだ」
「なんか、とりのからあげで、あまいの、たべたことあるような……」
「……あるかも」
「ね?」
「でも、チキン南蛮の記憶と混ざってない?」
「あ」
「見た目は違うけど……」
「わたしのあじ、チキンなんばんのあじかも……!」
「あれ、甘酢も入ってるしな」
「じゃあ、チキンなんばんだ」
「油淋鶏は?」
「たぶん、たべたことない」
「だよな」
「からあげは、からあげだし」
「油淋鶏あるのって中華料理屋だろ。あんま中華行かないしな」
「きおくない」
「あと、中華料理屋入ったら、俺チャーハン頼んじゃう」
「あ、すーごいまえ、すーごいおいしいちゃーはんたべたきーする!」
「美味しいチャーハン……」
心当たりはあるのだが、うにゅほと行ったことあったっけ。
大学時代、よく食べに行った店なのだ。
日記を検索したところ、十三、四年前に、ギリギリ一緒に行ったことがあるようだった。
「あの店、たぶんもうないだろうな……」
「ないのかな」
「店畳んだって聞いたよ」
「そか……」
時間は、いつの間にか経っているものだ。
残された時を大切にしなければならない。






773 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/02/16(月) 18:54:15 ID:FyGf35Pc0

2026年2月9日(月)

「××。病院って、次はいつだったっけ」
「うーと」
うにゅほがiPhoneを開く。
「つぎね、じゅうににち」
「12日……?」
予想外だった。
てっきり、来月だと思っていたのだ。
「え、大学病院?」
「ちがうよ」
「なんの病院?」
「しーぱっぷ」
「あー!」
睡眠時無呼吸症候群で通っている病院だ。
「やっべ、忘れるとこだった」
「やばくないよ。わたし、おぼえてるから」
「ありがとう……」
「うへー」
うにゅほが膝から下り、ボールペンを手に取る。
「かれんだー、かいとくね」
「頼むわ」
「ちなみに、その次は?」
「うーと」
再びiPhoneで確認し、読み上げる。
「さんがつ、みっか」
「大学病院?」
「そううつのほう」
「大学病院は?」
「さんがつとおかだよ」
「なるほどな」
改めて考えると、かなり頻繁に通ってるな。
不健康極まれりである。
「××、すごいよな。通ってる病院ないんだから……」
「けんこうだよ」
「まあ、俺も××もダブルで不健康だと、わりとどうしようもないか」
「それはそう……」
「悪いけど、付き合ってくれ」
「いっしょうつきあうよ」
「──…………」
うるっときた。
「××っ!」
「わ」
ついついうにゅほを抱き締めてしまう俺だった。







774 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/02/16(月) 18:54:36 ID:FyGf35Pc0

2026年2月10日(火)

「ね、◯◯」
「んー?」
「はろーけいほうって、なに?」
「あー……」
「よくみるけど」
「わかる」
「わかる?」
「わからないことが、わかる」
「◯◯もわかんないんだ」
「警報が出たときに、毎回"ん?"とはなるんだよ。意味がわからないから」
「うん」
「でも、調べようと思ってても絶対忘れる。そうしてここまで生きてきてしまいました」
「しらべよ! きかいだよ」
「そうだな。この機を逃すと、波浪警報について一生知らないままかもしれない」
と言うわけで、調べてみた。
「波浪警報は、高波による遭難や沿岸施設の被害など、重大な災害が発生するおそれがあると予想したときに発表します……」
「うみなんだ」
「まあ、波だからそうか」
「なるほどー……」
「調べてみたら、まあ、うんって感じだな」
「そだね」
「……俺は、警報に何を求めていたんだろう」
「なんか、ぜんぜんしらない、なにかかなっておもってた」
「そう。予想もつかない何かであってほしかった」
「ぜいたくかな」
「他に面白そうな警報ってないかな」
読み上げていく。
「大雨、洪水、大雪、暴風、暴風雪、高潮──全部わかるわ」
「わかりやすい」
「むしろ、波浪がわかりにくすぎないか」
「そうだよね。おおなみけいほう、とかのが、わかりやすい。はろー、ぱっといみわかんないもん」
「昔の言葉なんだろうな」
「そだね……」
波浪警報。
一年後には、調べたことも、内容も、忘れていそうだ。
わかりやすさは大切である。






775 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/02/16(月) 18:54:55 ID:FyGf35Pc0

2026年2月11日(水)

今日もまた、目が覚めるとパソコンチェアに座っていた。
「あ、おきた」
「寝てた……」
「ねてたよ」
「顎いって」
「だいじょぶ?」
「変な姿勢で寝てたみたいだな」
立ち上がり、伸びをする。
「最近、また、チェアで寝るようになったなあ……」
「ねるまえ、おぼえてる?」
「寝る前……」
記憶を辿る。
「なんか、半分寝ながら小説を書いてた気がする」
「そだよ……」
なかば呆れた表情で、うにゅほが言う。
「おきてきて、ぱそこんむかって、うとうとしながらかいてた」
「マジか」
Wordを確認する。
たしかに、すこしだけ進んでいた。
「そこまでして書かなくていいのに……」
「それ、わたしのせりふ」
「それはそう」
本当にそう。
「寝ぼけて小説書き始めるまで極まってきたか……」
「◯◯、しゅうちゅうりょく、すごいときすごい」
「そうだな、すごいときはすごいよな。たいていはすごくないけど」
「そうでもないけど……」
「このモードに入るとすごいんだけど、入るまでにクッソ時間がかかるんだよな」
「でも、はいりすぎもよくないよ」
「──…………」
今朝のことを考える。
たしかに。
「もっと、ちょうどいいもーどないの?」
「ない」
「ないんだ……」
「そんな器用なことできてたら、もっと人生楽だったって」
「うーん」
自分のことが、いちばんままならない。
なんともはやなのだった。






776 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/02/16(月) 18:55:13 ID:FyGf35Pc0

2026年2月12日(木)

今日も病院へ行ってきた。
睡眠時無呼吸症候群でかかっている病院だ。
午後三時に到着し、午後三時十分には会計を済ませていた。
「ここ、早くてマジで助かるよな……」
「わかるー」
待ち時間もなく、診察も短く、あっと言う間に帰ることができる。
「他の病院も見習ってほしいわ」
「わかる!」
「中間はないのか中間はー」
「わかる……」
「コンビニ寄る?」
「いいね」
ローソンで、盛りすぎチャレンジのチョコシュークリームを購入し、二人で分けて食べた。
「ひとつでいいからいいな、これ」
「ずっとやったらいいのにね」
「さすがに儲けが少ないんじゃないか?」
「そかー」
帰途の最中、高速道路の下を通る際に、やたらと道が混んでいた。
進んでいくと理由がわかった。
一台の軽自動車が、道を塞ぐように停車していたのだ。
「うわ、邪魔くせー」
「なんでとまってるんだろ」
「エンジントラブルとかかな」
さらに近付く。
フロントバンパーがめこりと凹んでいた。
「事故だ」
「おっきなじこじゃなくて、よかったね」
「それは良かったけど、邪魔くさい」
「じゃまくさいは、じゃまくさい」
「まあ、冬道は滑るからな。ある程度は理解してあげよう」
「どのくらいすべるの?」
「口で説明するのか」
「うん」
「あー……」
しばし考え、
「……マリオの氷面くらい」
「それはすべる!」
思いのほか強い理解が返ってきた。
「たいへんなんだね……」
「大変なんだよ」
雪解けが待ち遠しいのだった。






777 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/02/16(月) 18:55:33 ID:FyGf35Pc0

2026年2月13日(金)

「──だァらっしゃァ!」
「わ」
「脱稿じゃおらァ!」
「だっこう?」
「小説書き終わりました!」
うにゅほが、ぱちぱちと拍手をしてくれる。
「わ、おめでと!」
「ありがとう、ありがとう」
「これで、かんけつ?」
「完結までは、あと一章ある……」
「でも、このちょうしなら、すぐだね。こんげつちゅう?」
「最終章だからな。たぶん、他の章の倍くらいまで膨れ上がると思う」
「ばい」
「倍」
「じゃあ、いっかげつかかるね……」
「たぶん」
「なんまんもじかいたの?」
「いつから?」
「もーど、はいってから」
「えーと……」
フォルダを漁る。
「今年の元日からモードに入って──そうだな。四十七万二千文字、くらいかな」
「いちにち、いちまんもじだねー……」
「それを一ヶ月半続けてるんだから、俺の集中力も大概だな」
「すごいとおもう」
「まあ、××を構うこと以外の娯楽を切り詰めてるしな……」
「わたしはかまってくれる」
「構わないと、病むし」
「やむよー」
「明るく言うもんでもないが……」
むしろ、うにゅほを構うことで、内的世界から抜け出していると言うこともできる。
俺は、ひとりでは、没入し過ぎるのだ。
「ありがとうな、××」
「?」
うにゅほが小首をかしげる。
伝わらないが、それでいいのだ。





778 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/02/16(月) 18:55:58 ID:FyGf35Pc0

2026年2月14日(土)

「はい! バレンタイン、おめでと!」
うにゅほが、リボンを巻いたクッキー缶をこちらに差し出す。
平身低頭それを受け取り、心の底から礼を言った。
「毎年、本当にありがとうございます……」
「いえいえ」
「学生時代の俺に言ったら、羨ましがるだろうな」
「そなの?」
「さしてモテなかったし」
リボンを解き、缶の蓋を開ける。
そこには、作り慣れて形も綺麗なトリュフチョコがずらりと並んでいた。
「美味そう」
「おいしいよ」
「食べていい?」
「たべすぎないようにね」
「はい」
チョコをつまみ、口をと運ぶ。
前歯で噛むと、固い感触がした。
ナッツだ。
「お、マカダミアだ」
「まかだみあ、いがいもあるよ」
「さすが!」
「うへー」
ふたつほど口へと運び、クッキー缶に蓋をする。
「続きはまた明日……」
「えらい」
「なるべく長持ちさせたい」
楽しみは長く続くほうがいい。
「◯◯、もてなかったの?」
「……前も話さなかったっけ?」
「きいたきーは、するけど」
「まったく何もなかったわけではない、くらい」
「なにあったの?」
「根掘り葉掘りくるじゃん……」
「きになるし……」
「まあ、高校の頃には──」
と、何故か少ない女性遍歴を語ることになってしまった。
うにゅほは、
「……ふーん?」
みたいなリアクションだった。
なんだよ。






779 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/02/16(月) 18:56:30 ID:FyGf35Pc0

2026年2月15日(日)

ブラウジングをしていて気が付いた。
「エッ! オリンピックやってたの?」
「えっ、しらなかったの?」
「知らなかった。知らなすぎた」
「しらなすぎたんだ……」
「考えてみれば、2026年だもんな……」
普段、オリンピックのことを考えることがまずないから、まったく気付かなかった。
「××は見たの?」
「なんか、あれだけみた。すのぼ」
「面白かった?」
「まあ」
まあまあ、ですらないのか。
オリンピック選手も浮かばれないな。
「俺、冬期オリンピックの競技でひとつ思うことがあってさ」
「なにー?」
「リュージュとかスケルトンってあるじゃん」
「なに?」
「氷のウォータースライダーみたいな競技。リュージュが足から、スケルトンが頭から行く」
「あ、みたことある」
「あの競技って、何があったら始めようって思うんだろうな……」
「あー」
うにゅほが、うんうんと頷く。
「まず、やれないもんね」
「そうなんだよ。近場にコースが存在するか否かがすべてだよな」
「せんしゅがすくないと、せんしゅそうがうすくなる」
「わかってるじゃん……」
「うへー」
「だから、ノルウェーがクソ強いんだろうな。今回、金メダル断トツみたいだし」
「のるうぇーって、きた?」
「北欧」
「なるほど……」
「冬が長ければ長いほど、練習期間が取れるわけで」
「たいへんだね……」
「大変だなあ」
頑張ってください。
我ながら、あまり心が篭もっていないのだった。





780 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/02/16(月) 18:57:25 ID:FyGf35Pc0

以上、十四年三ヶ月め 前半でした

引き続き、後半をお楽しみください
 



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