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- 1 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/07/01(金) 19:13:30 ID:1bfcR2jI0
- うにゅほと過ごす毎日を日記形式で綴っていきます
- ヤシロヤ──「うにゅほとの生活」保管庫
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- 765 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/02/16(月) 18:51:41 ID:FyGf35Pc0
- 2026年2月1日(日)
- 「はっ」
- と気付けば、パソコンチェアで寝落ちしていた。
- 痛む首をさする。
- 最近、また、寝落ちの頻度が上がっている気がした。
- 周囲を見渡すと、うにゅほがいない。
- 廊下から顔を出すと、すぐに居場所がわかった。
- 弟の部屋から、母親とうにゅほの声がしたのだ。
- 適当に覗きに行くと、なにやらアソビ大全を買ったらしく、いろいろ試しているようだ。
- 俺もヨットに参加したが、出目がまったく振るわず、一度も勝つことができなかった。
- 「あそびたいぜん、いいねー」
- 「わりといいな。アホみたいにゲーム詰まってるし」
- 「ごじゅういっこ?」
- 「多分……」
- 「たぶんなんだ」
- 「こういうのって、後か追加されたり、ある程度プレイしたら解放みたいのあるから」
- うにゅほが、うんうんと頷く。
- 「そういうの、ある」
- 「たとえば?」
- 「──…………」
- 特に思いつかなかったらしい。
- 「マリカとか?」
- 「まりかとか!」
- 即相乗りされた。
- まあ、いいか。
- うにゅほと遊べるゲームが増えるのはいいことだ。
- 何か面白そうなゲームを見繕っておこう。
- 766 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/02/16(月) 18:51:57 ID:FyGf35Pc0
- 2026年2月2日(月)
- 「明日、節分か……」
- 「えほうまき、たのしみだね」
- 「買うのかな」
- 「え、かわないの?」
- 「買うの俺じゃないし……」
- 「そだけど」
- 「まあ、買うだろ、たぶん」
- 「なんでいまふあんにしたの……」
- 「すまん」
- 何も考えずに口を動かしていたのだった。
- 「××、そんなに恵方巻き好きだったっけ?」
- 「すきだよ」
- 「節分過ぎても?」
- 「あー……」
- うにゅほが眉根を寄せる。
- 「ふつうかも」
- 「てことは、節分ってイベントありきってことか」
- 「たぶん……」
- 「そういうの、あるよな」
- 「あるある」
- 「たとえば?」
- 「──…………」
- 黙ってしまった。
- 「映画館だとポップコーン食うけど、普段は買わないとか……」
- 「それ!」
- 相乗りされた。
- 「あと、うみのいえのやきそばとか……」
- 「海の家の焼きそば食ったことないだろ」
- 「ない……」
- 「まあ、でも、よく言うよな」
- 「いうよね」
- 「××は可愛いな」
- 「……なんでいま?」
- 「なんか可愛かったから……」
- 「──…………」
- 照れてしまった。
- うにゅほは可愛い。
- 767 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/02/16(月) 18:52:17 ID:FyGf35Pc0
- 2026年2月3日(火)
- 月に一度の定期受診である。
- あくびをしながら朝八時に家を出て、家に帰り着いたのは午前十時前だった。
- 「早めに帰ってこれたな」
- うにゅほが胸を撫で下ろす。
- 「よかったー……」
- 「でも、怖くなかったか?」
- 「こわい?」
- 「会計のとき、死ぬほど人いたじゃん。もし八時半に家出てたら、あれに巻き込まれてたぞ」
- 「……たしかに!」
- 「こりゃ、今後も朝八時だな……」
- 「はやくいって、はやくかえれるなら、そのほういいもんね」
- 「よく考えたら大して早くない気もするけど」
- 「きにしない」
- 「はい」
- 今日は、節分でもある。
- うにゅほも大好き恵方巻きは、今年は切られて食卓に出てきた。
- 「かなしい」
- 「××、恵方向いて食べるの好きだもんな」
- 「せつぶんだし……」
- 「いちおう、南南東向く?」
- 「むく」
- 節分にしか使わないiPhoneのコンパス機能を使い、明後日のほうを向く。
- 「──…………」
- 「──……」
- 「すぐたべれる」
- 「喉詰まらなくていいじゃん」
- 「そだけど……」
- 案外、イベント事をちゃんとやりたがる子である。
- 「恵方巻き、美味しかったな」
- 「うん。きったら、いろんなあじたべれるね」
- 「切ったほうがいいじゃん」
- 「それはそれ」
- 「それはそれなんだ……」
- わからんではない。
- 来年の節分には、笑っていられるだろうか。
-
- 768 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/02/16(月) 18:52:38 ID:FyGf35Pc0
- 2026年2月4日(水)
- 「にしのひだねー」
- 「西?」
- カレンダーを見て納得する。
- たしかに西の日だ。
- 「西には何があるかな」
- 「にし……」
- うにゅほが思案する。
- 「にしって、どっち?」
- 「太陽が沈むほう」
- 「あ、そか」
- 「──…………」
- 「そんなめでみないで! いっしゅん、わかんなかっただけ!」
- 「ならいいけど……」
- 西を指差し、うにゅほが言った。
- 「あっち、カレーやさんあるね」
- 「ネパールカレーか」
- 「すーごいおいしい……」
- 「また行きたいな」
- 「いきたい!」
- 「雪が解けたらな」
- 「そだね……」
- 「また雪降るんだっけ?」
- 「たしか」
- 「このまま春が来なかったりして」
- 「こまる……」
- 「困るなあ」
- 「やめてね」
- 「俺が……?」
- 突っ込みどころの多い会話を交わす。
- まったく頭を使っていないのだが、これが楽しい。
- 「ねとふり、はいってたっけ」
- 「昔入ってたけど、もう解約したよ。見たいのあった?」
- 「ないけど」
- 「ないんかい」
- 「あまぷらは?」
- 「アマプラは入ってる。買い物するし」
- 「ふーるーは?」
- 「サイト開いたこともない」
- 「ほか、なんかあったっけ……」
- 「わからん」
- 「わからんかー」
- 適当な会話を適当にしても許される関係が、俺は好きだ。
- 769 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/02/16(月) 18:52:56 ID:FyGf35Pc0
- 2026年2月5日(木)
- ず、と鼻を啜る。
- 理由は、アレルギー性鼻炎だからだ。
- 鼻水を啜っているのではなく、鼻づまりを解消するために、鼻腔に空気を通そうとしているのだ。
- 「さいきん、はな、つまってるねー……」
- 「寒いしな」
- 「なざーる、つかう?」
- 「……いや、やめとくよ」
- うにゅほが小首をかしげる。
- 「つかわないの?」
- 「ああ。ナザールに限らないけど、市販の点鼻薬って、使い過ぎると逆効果なんだよ」
- 「え!」
- 「薬剤性鼻炎って言うんだけど」
- 「だめじゃん……」
- 「それはそうなんだけど、どうしてもってときはあるから……」
- 「どうしたらいいの?」
- 「まあ、耳鼻科かな」
- 「じびかいこ」
- 「行かないとなあ……」
- 「いかないの?」
- 「冬道だるい」
- 「わかるけど……」
- 「ただでさえ病院病院なんだから、増やしたくないんだよな。詰まり気味、くらいだし」
- 「うーん」
- 「春になったら行くよ……」
- 「ほんと?」
- 「行く行く」
- 「……わかった」
- しぶしぶと、うにゅほが頷く。
- さっさと行ったほうがいいのはわかっているのだが、それはそれとして行きたくないのだ。
- 複雑な男心というやつである。
- 「びょうき、ほかにかくしてない?」
- 「隠してないよ……」
- 「ほんと?」
- 「意図的には」
- 「わかんないってこと……?」
- 「誰でもそうだろ」
- 「それはそう」
- 健康は大切である。
- 今年こそ健康診断を受けなければなるまい。
- 770 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/02/16(月) 18:53:15 ID:FyGf35Pc0
- 2026年2月6日(金)
- 「……バレンタインが近いな」
- 「うへー」
- 「今年は何か考えてるの?」
- 「うーん。あんましおもいつかないから、ふつうのにしようとおもって」
- 「トッポとか?」
- 「とっぽつくるの……?」
- 「あ、手作りか」
- 「まいとしそうでしょ」
- 「毎年楽しみです」
- 「よろしい」
- 膝の上のうにゅほが、こちらを振り返る。
- 「りくえすと、ある?」
- 「リクエストか……」
- 軽く思案し、答える。
- 「ナッツが入ってると嬉しい」
- 「◯◯、ナッツすきだもんね」
- 「基本、入ってないより入ってるほうがいい」
- 「じゃあ、ナッツいれるね」
- 「お願いします」
- 「まかだみあかなー」
- 「くるみとかも好きだぞ」
- 「いいね!」
- 「……あ、でもあれは好きじゃない」
- うにゅほが目をまるくする。
- 「◯◯、きらいなナッツあるの?」
- 「ミックスナッツにたまに入ってる、ジャイアントコーン……」
- 「あー」
- 「そもそも、あれナッツなのか?」
- 「ちがうきーするけど、かくしょうはない」
- 調べてみた。
- 「違うじゃねえか!」
- 「かさましなのかな……」
- 「かさ増しじゃないかな、さすがに。言い訳の余地なく」
- 「さぎっぽいね」
- 「俺たちは、ジャイアントコーン入ってないミックスナッツを買おうな」
- 「うん」
- べつに不味いわけではないのだが、無駄にヘイトを買うジャイアントコーンなのだった。
- 771 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/02/16(月) 18:53:33 ID:FyGf35Pc0
- 2026年2月7日(土)
- 「一週間が早い、早すぎる……」
- 「そんなに」
- 「筆が乗ってるからなあ」
- 「きょう、なんまんもじ?」
- 「何万文字も書けないから。一万文字くらいだから」
- 「そか……」
- 「頑張ってはいるけどな」
- 「でも、◯◯は、すごいね」
- 「執筆速度が?」
- 「ちがくて」
- 「違った」
- 「しょうせつかいてるのに、ちゃんと、わたしのことかまってくれる」
- 「……構いますよ、そりゃ」
- たとえ構わずにいても、不機嫌になったりするわけではない。
- うにゅほは、無言で悲しむのだ。
- 速度を犠牲にしてでも構い倒すに決まっている。
- 「がんばって、しょうせつ、よましてね」
- 「頑張ってます」
- 「わたし、◯◯のしょうせつ、すき」
- 「なら嬉しいけど……」
- 「でも、ながい。まえかいたの、まだよめてない。はんぶんくらい」
- 「××、読むの遅いからなあ」
- 「◯◯がかくよりおそい……」
- 「実際そうかもしれない」
- 筆が乗っているときの俺は、普通に一日一万文字以上を出力する。
- うにゅほのように、活字に慣れていない人は、一日に一万文字を読むのはけっこう大変なのだろう。
- 「おわり、ちかい?」
- 「近いはず。いちおう流れは見えてる」
- 「それはそれで、なんかさみしい……」
- 「わかる」
- でも、頑張って完結させるのだ。
- 772 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/02/16(月) 18:53:55 ID:FyGf35Pc0
- 2026年2月8日(日)
- 「油淋鶏って食ったことなくない?」
- 「ゆーりんちー」
- 「ない気がする」
- 「ゆーりんちーって、なに?」
- 「鳥の唐揚げ、みたいな」
- 「からあげはたべたことあるよ……」
- 「俺だってあるよ」
- 「からあげじゃないの?」
- 「なんか、甘酸っぱいタレをかけて食べるらしい」
- 「あー」
- うにゅほが、うんうんと頷く。
- 「わかる」
- 「食べたことは?」
- 「ある、きーもするし、ない、きーもする」
- 「迷うんだ」
- 「なんか、とりのからあげで、あまいの、たべたことあるような……」
- 「……あるかも」
- 「ね?」
- 「でも、チキン南蛮の記憶と混ざってない?」
- 「あ」
- 「見た目は違うけど……」
- 「わたしのあじ、チキンなんばんのあじかも……!」
- 「あれ、甘酢も入ってるしな」
- 「じゃあ、チキンなんばんだ」
- 「油淋鶏は?」
- 「たぶん、たべたことない」
- 「だよな」
- 「からあげは、からあげだし」
- 「油淋鶏あるのって中華料理屋だろ。あんま中華行かないしな」
- 「きおくない」
- 「あと、中華料理屋入ったら、俺チャーハン頼んじゃう」
- 「あ、すーごいまえ、すーごいおいしいちゃーはんたべたきーする!」
- 「美味しいチャーハン……」
- 心当たりはあるのだが、うにゅほと行ったことあったっけ。
- 大学時代、よく食べに行った店なのだ。
- 日記を検索したところ、十三、四年前に、ギリギリ一緒に行ったことがあるようだった。
- 「あの店、たぶんもうないだろうな……」
- 「ないのかな」
- 「店畳んだって聞いたよ」
- 「そか……」
- 時間は、いつの間にか経っているものだ。
- 残された時を大切にしなければならない。
- 773 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/02/16(月) 18:54:15 ID:FyGf35Pc0
- 2026年2月9日(月)
- 「××。病院って、次はいつだったっけ」
- 「うーと」
- うにゅほがiPhoneを開く。
- 「つぎね、じゅうににち」
- 「12日……?」
- 予想外だった。
- てっきり、来月だと思っていたのだ。
- 「え、大学病院?」
- 「ちがうよ」
- 「なんの病院?」
- 「しーぱっぷ」
- 「あー!」
- 睡眠時無呼吸症候群で通っている病院だ。
- 「やっべ、忘れるとこだった」
- 「やばくないよ。わたし、おぼえてるから」
- 「ありがとう……」
- 「うへー」
- うにゅほが膝から下り、ボールペンを手に取る。
- 「かれんだー、かいとくね」
- 「頼むわ」
- 「ちなみに、その次は?」
- 「うーと」
- 再びiPhoneで確認し、読み上げる。
- 「さんがつ、みっか」
- 「大学病院?」
- 「そううつのほう」
- 「大学病院は?」
- 「さんがつとおかだよ」
- 「なるほどな」
- 改めて考えると、かなり頻繁に通ってるな。
- 不健康極まれりである。
- 「××、すごいよな。通ってる病院ないんだから……」
- 「けんこうだよ」
- 「まあ、俺も××もダブルで不健康だと、わりとどうしようもないか」
- 「それはそう……」
- 「悪いけど、付き合ってくれ」
- 「いっしょうつきあうよ」
- 「──…………」
- うるっときた。
- 「××っ!」
- 「わ」
- ついついうにゅほを抱き締めてしまう俺だった。
- 774 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/02/16(月) 18:54:36 ID:FyGf35Pc0
- 2026年2月10日(火)
- 「ね、◯◯」
- 「んー?」
- 「はろーけいほうって、なに?」
- 「あー……」
- 「よくみるけど」
- 「わかる」
- 「わかる?」
- 「わからないことが、わかる」
- 「◯◯もわかんないんだ」
- 「警報が出たときに、毎回"ん?"とはなるんだよ。意味がわからないから」
- 「うん」
- 「でも、調べようと思ってても絶対忘れる。そうしてここまで生きてきてしまいました」
- 「しらべよ! きかいだよ」
- 「そうだな。この機を逃すと、波浪警報について一生知らないままかもしれない」
- と言うわけで、調べてみた。
- 「波浪警報は、高波による遭難や沿岸施設の被害など、重大な災害が発生するおそれがあると予想したときに発表します……」
- 「うみなんだ」
- 「まあ、波だからそうか」
- 「なるほどー……」
- 「調べてみたら、まあ、うんって感じだな」
- 「そだね」
- 「……俺は、警報に何を求めていたんだろう」
- 「なんか、ぜんぜんしらない、なにかかなっておもってた」
- 「そう。予想もつかない何かであってほしかった」
- 「ぜいたくかな」
- 「他に面白そうな警報ってないかな」
- 読み上げていく。
- 「大雨、洪水、大雪、暴風、暴風雪、高潮──全部わかるわ」
- 「わかりやすい」
- 「むしろ、波浪がわかりにくすぎないか」
- 「そうだよね。おおなみけいほう、とかのが、わかりやすい。はろー、ぱっといみわかんないもん」
- 「昔の言葉なんだろうな」
- 「そだね……」
- 波浪警報。
- 一年後には、調べたことも、内容も、忘れていそうだ。
- わかりやすさは大切である。
- 775 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/02/16(月) 18:54:55 ID:FyGf35Pc0
- 2026年2月11日(水)
- 今日もまた、目が覚めるとパソコンチェアに座っていた。
- 「あ、おきた」
- 「寝てた……」
- 「ねてたよ」
- 「顎いって」
- 「だいじょぶ?」
- 「変な姿勢で寝てたみたいだな」
- 立ち上がり、伸びをする。
- 「最近、また、チェアで寝るようになったなあ……」
- 「ねるまえ、おぼえてる?」
- 「寝る前……」
- 記憶を辿る。
- 「なんか、半分寝ながら小説を書いてた気がする」
- 「そだよ……」
- なかば呆れた表情で、うにゅほが言う。
- 「おきてきて、ぱそこんむかって、うとうとしながらかいてた」
- 「マジか」
- Wordを確認する。
- たしかに、すこしだけ進んでいた。
- 「そこまでして書かなくていいのに……」
- 「それ、わたしのせりふ」
- 「それはそう」
- 本当にそう。
- 「寝ぼけて小説書き始めるまで極まってきたか……」
- 「◯◯、しゅうちゅうりょく、すごいときすごい」
- 「そうだな、すごいときはすごいよな。たいていはすごくないけど」
- 「そうでもないけど……」
- 「このモードに入るとすごいんだけど、入るまでにクッソ時間がかかるんだよな」
- 「でも、はいりすぎもよくないよ」
- 「──…………」
- 今朝のことを考える。
- たしかに。
- 「もっと、ちょうどいいもーどないの?」
- 「ない」
- 「ないんだ……」
- 「そんな器用なことできてたら、もっと人生楽だったって」
- 「うーん」
- 自分のことが、いちばんままならない。
- なんともはやなのだった。
- 776 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/02/16(月) 18:55:13 ID:FyGf35Pc0
- 2026年2月12日(木)
- 今日も病院へ行ってきた。
- 睡眠時無呼吸症候群でかかっている病院だ。
- 午後三時に到着し、午後三時十分には会計を済ませていた。
- 「ここ、早くてマジで助かるよな……」
- 「わかるー」
- 待ち時間もなく、診察も短く、あっと言う間に帰ることができる。
- 「他の病院も見習ってほしいわ」
- 「わかる!」
- 「中間はないのか中間はー」
- 「わかる……」
- 「コンビニ寄る?」
- 「いいね」
- ローソンで、盛りすぎチャレンジのチョコシュークリームを購入し、二人で分けて食べた。
- 「ひとつでいいからいいな、これ」
- 「ずっとやったらいいのにね」
- 「さすがに儲けが少ないんじゃないか?」
- 「そかー」
- 帰途の最中、高速道路の下を通る際に、やたらと道が混んでいた。
- 進んでいくと理由がわかった。
- 一台の軽自動車が、道を塞ぐように停車していたのだ。
- 「うわ、邪魔くせー」
- 「なんでとまってるんだろ」
- 「エンジントラブルとかかな」
- さらに近付く。
- フロントバンパーがめこりと凹んでいた。
- 「事故だ」
- 「おっきなじこじゃなくて、よかったね」
- 「それは良かったけど、邪魔くさい」
- 「じゃまくさいは、じゃまくさい」
- 「まあ、冬道は滑るからな。ある程度は理解してあげよう」
- 「どのくらいすべるの?」
- 「口で説明するのか」
- 「うん」
- 「あー……」
- しばし考え、
- 「……マリオの氷面くらい」
- 「それはすべる!」
- 思いのほか強い理解が返ってきた。
- 「たいへんなんだね……」
- 「大変なんだよ」
- 雪解けが待ち遠しいのだった。
- 777 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/02/16(月) 18:55:33 ID:FyGf35Pc0
- 2026年2月13日(金)
- 「──だァらっしゃァ!」
- 「わ」
- 「脱稿じゃおらァ!」
- 「だっこう?」
- 「小説書き終わりました!」
- うにゅほが、ぱちぱちと拍手をしてくれる。
- 「わ、おめでと!」
- 「ありがとう、ありがとう」
- 「これで、かんけつ?」
- 「完結までは、あと一章ある……」
- 「でも、このちょうしなら、すぐだね。こんげつちゅう?」
- 「最終章だからな。たぶん、他の章の倍くらいまで膨れ上がると思う」
- 「ばい」
- 「倍」
- 「じゃあ、いっかげつかかるね……」
- 「たぶん」
- 「なんまんもじかいたの?」
- 「いつから?」
- 「もーど、はいってから」
- 「えーと……」
- フォルダを漁る。
- 「今年の元日からモードに入って──そうだな。四十七万二千文字、くらいかな」
- 「いちにち、いちまんもじだねー……」
- 「それを一ヶ月半続けてるんだから、俺の集中力も大概だな」
- 「すごいとおもう」
- 「まあ、××を構うこと以外の娯楽を切り詰めてるしな……」
- 「わたしはかまってくれる」
- 「構わないと、病むし」
- 「やむよー」
- 「明るく言うもんでもないが……」
- むしろ、うにゅほを構うことで、内的世界から抜け出していると言うこともできる。
- 俺は、ひとりでは、没入し過ぎるのだ。
- 「ありがとうな、××」
- 「?」
- うにゅほが小首をかしげる。
- 伝わらないが、それでいいのだ。
- 778 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/02/16(月) 18:55:58 ID:FyGf35Pc0
- 2026年2月14日(土)
- 「はい! バレンタイン、おめでと!」
- うにゅほが、リボンを巻いたクッキー缶をこちらに差し出す。
- 平身低頭それを受け取り、心の底から礼を言った。
- 「毎年、本当にありがとうございます……」
- 「いえいえ」
- 「学生時代の俺に言ったら、羨ましがるだろうな」
- 「そなの?」
- 「さしてモテなかったし」
- リボンを解き、缶の蓋を開ける。
- そこには、作り慣れて形も綺麗なトリュフチョコがずらりと並んでいた。
- 「美味そう」
- 「おいしいよ」
- 「食べていい?」
- 「たべすぎないようにね」
- 「はい」
- チョコをつまみ、口をと運ぶ。
- 前歯で噛むと、固い感触がした。
- ナッツだ。
- 「お、マカダミアだ」
- 「まかだみあ、いがいもあるよ」
- 「さすが!」
- 「うへー」
- ふたつほど口へと運び、クッキー缶に蓋をする。
- 「続きはまた明日……」
- 「えらい」
- 「なるべく長持ちさせたい」
- 楽しみは長く続くほうがいい。
- 「◯◯、もてなかったの?」
- 「……前も話さなかったっけ?」
- 「きいたきーは、するけど」
- 「まったく何もなかったわけではない、くらい」
- 「なにあったの?」
- 「根掘り葉掘りくるじゃん……」
- 「きになるし……」
- 「まあ、高校の頃には──」
- と、何故か少ない女性遍歴を語ることになってしまった。
- うにゅほは、
- 「……ふーん?」
- みたいなリアクションだった。
- なんだよ。
- 779 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/02/16(月) 18:56:30 ID:FyGf35Pc0
- 2026年2月15日(日)
- ブラウジングをしていて気が付いた。
- 「エッ! オリンピックやってたの?」
- 「えっ、しらなかったの?」
- 「知らなかった。知らなすぎた」
- 「しらなすぎたんだ……」
- 「考えてみれば、2026年だもんな……」
- 普段、オリンピックのことを考えることがまずないから、まったく気付かなかった。
- 「××は見たの?」
- 「なんか、あれだけみた。すのぼ」
- 「面白かった?」
- 「まあ」
- まあまあ、ですらないのか。
- オリンピック選手も浮かばれないな。
- 「俺、冬期オリンピックの競技でひとつ思うことがあってさ」
- 「なにー?」
- 「リュージュとかスケルトンってあるじゃん」
- 「なに?」
- 「氷のウォータースライダーみたいな競技。リュージュが足から、スケルトンが頭から行く」
- 「あ、みたことある」
- 「あの競技って、何があったら始めようって思うんだろうな……」
- 「あー」
- うにゅほが、うんうんと頷く。
- 「まず、やれないもんね」
- 「そうなんだよ。近場にコースが存在するか否かがすべてだよな」
- 「せんしゅがすくないと、せんしゅそうがうすくなる」
- 「わかってるじゃん……」
- 「うへー」
- 「だから、ノルウェーがクソ強いんだろうな。今回、金メダル断トツみたいだし」
- 「のるうぇーって、きた?」
- 「北欧」
- 「なるほど……」
- 「冬が長ければ長いほど、練習期間が取れるわけで」
- 「たいへんだね……」
- 「大変だなあ」
- 頑張ってください。
- 我ながら、あまり心が篭もっていないのだった。
- 780 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/02/16(月) 18:57:25 ID:FyGf35Pc0
- 以上、十四年三ヶ月め 前半でした
- 引き続き、後半をお楽しみください
-
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- うにゅほとの生活を書き連ねた日記
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