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うにゅほとの生活を書き連ねた日記が十四年と二ヶ月分たまった(2026年1月後半)

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1 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2016/07/01(金) 19:13:30 ID:1bfcR2jI0

うにゅほと過ごす毎日を日記形式で綴っていきます 


ヤシロヤ──「うにゅほとの生活」保管庫
http://neargarden.web.fc2.com/



748 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/02/01(日) 01:45:59 ID:TtRrAlIE0

2026年1月16日(金)

ミント味のボトルガムを久し振りに購入した。
「なんか懐かしいな」
「ねー」
「昔はよく噛んでたっけ……」
「うん」
「××も食べる?」
「いい……」
「やっぱり」
うにゅほはミント味が好きではないのだ。
「◯◯、すきだね」
「好きってわけでもないんだけど……」
うにゅほが目をぱちくりさせる。
「そなの?」
「ああ。むしろ苦手なほう」
「……なんでたべるの?」
「口の中がスッキリするから……」
「あ、なるほど」
「つまり、食べ物としてより、うがいとか歯磨きみたいな感じで噛んでるんだよな」
「たべものじゃないんだ」
「歯磨き粉だって味はするし……」
「わたし、◯◯、みんとすきなのかとおもってた」
「誤解でした」
「まだしらないこと、あるんだね……」
「どんなに一緒にいたって、完璧はないさ」
ガムを二粒取り出し、口に放り込む。
そして、数回ほど噛んだとき、
「──ひィッ、ぷし!」
くしゃみが出た。
「◯◯、みんとあじたべると、くしゃみするね」
「なんでだろ……」
「わかんないけど、いつもしてる」
「自覚はある。××は出ないのか?」
「みんとあじたべないから……」
「食べてみよう」
「にがて……」
「そっか」
苦手なものを無理矢理勧めないのが、良好な関係を長く続けるコツである。
読者諸兄も気を付けよう。








749 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/02/01(日) 01:46:20 ID:TtRrAlIE0

2026年1月17日(土)

「──…………」
うにゅほが膝の上で船を漕いでいる。
どうやら、一緒に見ていた長めの動画が退屈だったらしい。
十秒ほどかけて、ゆっくりと首を傾けては、ハッと気付いて元の姿勢に戻る。
その繰り返しだ。
「……××?」
「ねへない!」
うにゅほが、ピンと背筋を伸ばした。
滑舌が寝ている。
「眠いなら、ちゃんと寝たほうが……」
「ねむくない……」
「嘘つけ」
「うー」
背後から、うにゅほのほっぺたをうにうにする。
「起きるなら起きる、寝るなら寝る」
「おきる」
「なら、別の動画にしようか」
「え」
「退屈なんだろうし……」
「みるよ」
「退屈なのでは」
「みる」
決意が固い。
「ねむいけど、みたいの」
「そうなんだ」
「◯◯も、ねむいとき、つまんないときだけじゃないはず……」
「あー」
たしかにそうだ。
理解する。
この動画は見たいけれど、単に眠いだけなのだ。
「じゃ、寝なさい。起きたら見よう」
「うー」
「眠いんだろ?」
「……はい」
「おやすみ」
「おやすみ……」
よたよたと、うにゅほがベッドへ歩いていく。
動画は止めて、タブを出しっぱなしにしておいた。
明日にでもまた続きを見よう。






750 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/02/01(日) 01:46:44 ID:TtRrAlIE0

2026年1月18日(日)

「──ぅあッづ!」
帰宅すると、自室が灼熱地獄だった。
「はちちち……」
「脱げ脱げ」
慌ててジャケットを脱いでいく。
温湿度計を確認すると、普通に30℃だった。
「暑いはずだよ……」
送風機を止め、扉を開く。
なんとか熱を逃がさなければ。
「さーきゅれーたー、すごいね……」
「外はクソ寒いのに、まあ」
よくもここまで部屋を暖められるものだ。
「まどあける?」
「……窓開けるか、ちょっとだけ。空気の入れ換えもしたいし」
「うん」
開けにくい窓をなんとか開けて、冷たく新鮮な風を自室へと招き入れる。
「さむう!」
「一分でいいや、一分で」
「さむさむ……」
うにゅほが、俺のズボンのポケットに手を突っ込む。
「うお!」
ギリギリである。
一分少々で窓を閉め、再び温湿度計を確認する。
27℃。
まあ、許容範囲だろう。
「あー、ようやくくつろげる……」
「あちかったねえ」
「夏の30℃と冬の30℃じゃ、だいぶ違うからな。外、メチャクチャ寒かったし」
「さむかったー……」
「送風機、つけっぱなしはよくないかもな」
「それはそうかも」
「次から気を付けましょう」
「そうしましょう」
灯油は使っていないから、そこまで危険ではないけれど、褒められたことでもないものな。
気を付けよう、気を付けよう。






751 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/02/01(日) 01:47:05 ID:TtRrAlIE0

2026年1月19日(月)

自室でくつろいでいると、PCにメールが届いた。
どうせ大した内容でもないが、いちおう確認する。
「Microsoftの不審なサインイン……?」
「え、なに? なに?」
うにゅほが軽く怯える。
「ああ、いや。こういうのって、たいてい誤報で──」
国/地域:ドイツ
「誤報じゃねえわ」
「え!」
慌てて詳細を確認する。
「バングラデシュとドイツからアクセスされてる……」
「だ、だいじょぶ?」
「わからん。急いでパスワード変える」
慌ててMicrosoftアカウントのパスワードを変更し、深々と息を吐く。
「──よし、これでまあ」
「へいき?」
「わからんけど、できることはした」
「なんで、ぱすわーどわかるんだろ……」
「何かで漏れたのか、解析されたのか」
「はっかー?」
「ハッカーって言うより、ウィルスとかマルウェアの可能性のが高そうだな」
「え、だって、たいさくそふと……」
「ノートンも無敵じゃないし」
「うーん」
「スキャンしとくか……」
「うん」
「まあ、ノートンはノートンで、上位のノートン買わせるために必死でウザいんだけどな」
「よくないの?」
「性能は悪くないはず。性格がよくない」
「せいかくが……」
「とにかく気を付けないとな。普段から気を付けてるつもりではあるんだけど」
「いんたーねっと、こわいね」
「怖いぞ」
「わたし、◯◯としか、しない……」
怯えてしまった。
俺のPCでブラウジングする程度なら、大丈夫なんだけどな。





752 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/02/01(日) 01:47:25 ID:TtRrAlIE0

2026年1月20日(火)

「──あ、そうだ。明後日病院だからな」
「しってるよー」
「カレンダーに書いてるもんな」
「かいたの、わたし」
「そりゃ覚えてるか……」
「うん」
22日は、退院後初めての病院である。
「退院っていつだったっけ」
「じゅうさんにちだよ」
「13日……?」
腹腔鏡手術は12月8日のはずだ。
術後、たったの五日で退院できるものだろうか。
日記で確認する。
「ほんとだ、13日に退院してる……」
「いったのに」
「信じなくて申し訳ない」
「しんじてほしい……」
「基本的には信じてるから」
「たとえば?」
「たとえば……?」
キラーパスが来た。
「──…………」
「たとえば、なにしんじてる?」
「愛を……」
「あい」
「××の愛を信じてるよ」
俺は何を言っているんだ。
「……うへー」
うにゅほには通じたらしい。
「納得した?」
「なっとくした!」
「よかった」
「わたしも、しんじてるよ」
「……ああ」
「ふへへ」
うーん。
うにゅほが可愛いから、なんでもいいか。





753 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/02/01(日) 01:47:46 ID:TtRrAlIE0

2026年1月21日(水)

うにゅほと一緒に食器を洗っていたとき、ふと思い出したことがあった。
「そう言えばさ」
「?」
「食器って、全部スポンジで洗ってから水で流すじゃん?」
「うん」
「前の前の職場で、水流しながら洗ってる人がいた」
「え、みずながしながら?」
「ああ」
「せんざい、うすくならない……?」
「なると思う」
「なんで?」
「いや、わからんけど……」
「へんなひと、いるんだね」
「めちゃくちゃ洗剤使ってたからな。もったいない」
「◯◯、いわなかったの?」
「言ったけど……」
「おこられた?」
「怒られはしなかったよ。へえー、頭いいですねって言われて、その人はそのままの洗い方を貫いてた」
「よくわかんないね……」
「まあ、こだわりがあったんだろ。知らんけど」
「もったいない」
「職場の洗剤だったし……」
「そうかもだけど」
そんな会話を交わしながら、食器を洗い終え、手を拭う。
「──あ、でも」
「うん?」
「ふらいぱんとかだったら、わたし、そうあらうかも」
「そうなのか」
「ほら、あぶらまみれのとき」
「あー……」
まず、洗剤と流水で油をこそぎ落とさなければ、どうしようもないときがある。
「まえのまえのしょくばのひと、ふらいぱんのときだった?」
「いや、茶碗だった」
「ちがった」
「まあ、人の好き好きだから……」
「そだね……」
誰しもが効率的なわけではない。
俺だって、うにゅほだって、非効率的なことをいくらでもしている。
だから、気にすることはないのだろう。





754 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/02/01(日) 01:48:05 ID:TtRrAlIE0

2026年1月22日(木)

今日は朝から大学病院だった。
助手席のうにゅほが、不安げに呟く。
「ゆき、すごいー……」
「今年ヤバいな……」
「みちこむね」
「ああ……」
採血の予約は九時半。
対して、家を出たのは八時過ぎ。
一時間半も余裕を見ているのだが、それでも間に合うかはわからない。
「夏場は二十分ありゃ行けるのにな……」
「よんばい?」
「四倍か。……四倍だな」
ウィンタースポーツをするわけでもないので、雪はただただ鬱陶しいだけだ。
結局、大学病院に着いたのは、予約時間ギリギリだった。
採血を行い、いったんアメニティホールへと向かう。
「はァ……」
「おつかれさま」
「××も疲れたろ」
「わたし、すわってただけ」
「それが疲れる」
「……うん、すこしつかれた」
時刻は九時五十分。
診察の予約は十時半だから、まだまだ時間がある。
だが、ふたりいれば雑談ができるから、随分とましだ。
十時半が近くなったのでアメニティホールを離れ、エスカレーターで二階へと向かう。
「まつかなー……」
「まあ、三十分は待つだろ。すぐ呼ばれるわけがない」
「そだね」
十一時、呼ばれない。
「──…………」
「──……」
十一時半、呼ばれない。
「……まだかな」
「眠い……」
十一時五十分、唐突に名前を呼ばれ、はっと意識を取り戻した。
眠っていたらしい。
「おきた」
「寝てた……」
「いこ」
「ああ……」
結局、帰宅できたのは、午後一時半のことだった。
冬場の大学病院は、疲れる。





755 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/02/01(日) 01:48:27 ID:TtRrAlIE0

2026年1月23日(金)

「──あれ」
左手首を覗き込む。
「?」
膝の上のうにゅほが、こちらを振り返った。
「まただ。なんか、ワークアウトが始まってる……」
「あっぷるうぉっち?」
「そう。何も操作してないし、運動もしてないのに」
「こわれた?」
「まだ壊れてないと思うけど……」
「わたし、なんない」
「だよな。普通はなんない」
「こわれた……」
「まだ壊れてない。はず」
壊れたら困る。
「たまに勝手にワークアウト画面になるだけだから、困らないと言えば困らないし……」
「ほかには?」
「他に──は、特にないな。電池の持ちは悪くなってるけど、それだけだ」
「よかった」
「アップルウォッチ、ないと困るからな。壊れたら困る」
「わたし、あんましこまんないけど、こわれたらこまる」
「困るんじゃん」
「だいじだし……」
「そうだな。お揃いだし」
「うん」
うにゅほにとっては、機能がうんぬんではない。
宝物だから、壊れたら困るのだ。
「◯◯、あれだよね。すいみんと、あらーむ」
「主にそのふたつだな。アラームはiPhoneだけでもいいけど、睡眠管理は無理だから」
「ほかには?」
「LINEが届いたときに震えるのは、便利っちゃ便利か」
あんましLINE使ってないけど。
「こわれたら、こまるね」
「困る。高いし買い替えたくない……」
「だいじにしないと」
「大事にしてるけどな」
「そだね……」
精密機器だから、大事にしていても壊れるときは壊れる。
ぶつけたりしないよう、改めて気を付けよう。






756 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/02/01(日) 01:48:47 ID:TtRrAlIE0

2026年1月24日(土)

「ふと思った」
「?」
「トラックとかで、文字が逆になってるのあるじゃん」
うにゅほが小首をかしげる。
「もじがぎゃくになってるの……?」
「えーと」
適当に検索し、画像を見せる。
「ほら、"酸化エチレン"が"ンレチエ化酸"になってる」
「あ、みたことある!」
「これ謎だよな……」
「なぞ……」
「調べてみるか」
「きになる」
調べてみた。
「走行中に認識しやすくするため……?」
「?」
うにゅほが大きく首をかしげる。
「いみが……」
「進行方向側から見たときに、先頭の文字が先に目に入ると、読み取りやすいって書いてる」
「いみが」
「わからんな」
「ぜったい、ふつうにかいたほうが、よめる」
「だよな……」
想像してみる。
「……酸化エチレンの"酸"が目に入る頃には、だいたい全文目に入ってないか?」
「はいってる」
「仮に読み取りやすかったとして、"ンレチエ化酸"を頭の中で引っ繰り返す手間がかかるし、パッとわからないよな」
「んれちえかさんってみても、わかんないよ……」
「なんだろうな、この風習」
「へんなの」
へんなの。
うにゅほの一言がすべてを表している。
調べても、いまいち納得がいかないのだった。






757 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/02/01(日) 01:49:03 ID:TtRrAlIE0

2026年1月25日(日)

今日もまた吹雪である。
「ことし、すーごいね……」
「本当だよな。寒いわ積もるわやりたい放題だ」
正直、勘弁してほしい。
「××は嬉しい?」
「うれしくない」
「雪好きじゃん」
「すきだけど、こういうんじゃない……」
「まあ、わかる」
窓の外を覗き込んでいたうにゅほが、俺の膝に腰を下ろす。
「ゆき、はやくとけないかな……」
「春が待ち遠しいか」
「さすがに」
「××が一月にそれ言うの、珍しいかもな」
「そんなきーする。ことし、ふゆ、もういい……」
「なるほど」
三食ケーキだったら、どんな甘党でも、もうケーキは食べたくないと言うだろう。
うにゅほも似たような状態なのだ。
「四季でいちばん好きなのは?」
「なつかなあ」
「二番目」
「はるかな……」
「三番目」
「あき」
「四番目」
「ふゆ……」
「たぶん、順位変わってるよな」
「かわってるきーする……」
うにゅほが嫌いになるくらい、今年の冬は過酷なのだ。
すごいことである。
「毎日40℃だったら、夏も嫌いになりそうだな」
「ちょうどいいのがいい」
「そりゃそうだ」
夏過ぎない夏、求む。





758 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/02/01(日) 01:49:22 ID:TtRrAlIE0

2026年1月26日(月)

「──さっむ」
送風機の温風を止めてしばらくすると、あっと言う間に部屋が冷えてしまう。
「去年、こんな寒かったか?」
「さむくないとおもう」
「だよな……」
大寒前後とは言え、今年は寒すぎる。
「あのね。いっしゅうかん、れんぞくまふゆびだって」
「……マジで?」
「てれびでいってた」
「マジだ」
膝の上のうにゅほのおなかに腕を回す。
「寒すぎるって……」
「でも、どうとう、すごいよ」
「どれくらい?」
「まいなす、にじゅうどとか」
「……相変わらず、人の住むべき土地じゃないな」
「すごいよね」
「救いは雪が少なめなことくらいか」
「すみたくないねー……」
「東京とか、住みたい?」
「うーん」
うにゅほが首をひねる。
「むしがなー」
「虫がでかいし、Gとかいうのが」
「ひえ」
「それさえなければな……」
「やっぱし、ほっかいどうかな」
「寒いのに?」
「くっつけばいいし……」
「俺が死んだら?」
軽い気持ちでそう言うと、
「わたしもしぬ」
重い言葉が返ってきた。
「そっか……」
「しなないでね」
「いや、いつかは死ぬから」
「おそくしんでね!」
「はいはい」
健康に気を遣わなくてはな。





759 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/02/01(日) 01:49:43 ID:TtRrAlIE0

2026年1月27日(火)

午前、仕事の関係で銀行へ向かった。
番号札を取り、待合席でしばし待つ。
「眠い……」
「よばれたら、おこすよ」
「さすがに寝ないって」
「ねないんだ……」
どうして残念そうなんだ。
「こんなとこで寝れるはずないだろ。背もたれもないし」
「ひざ──」
「膝枕はしない」
「えー」
「できるかい、そんなこと」
うにゅほはたまに無茶を言う。
銀行での用事を済ませ、セブンイレブンへと立ち寄った。
「あ、なんか、くっきーうってるよ」
「クッキー?」
「これ」
ホットスナックコーナーに、アメリカのでかいクッキーがあった。
「おお……」
「たべてみたいかも」
「買ってみるか」
「うん!」
ふたりで一枚購入し、食べる。
「あ、うーま」
「おいしいこれ」
「アメリカ過ぎる……」
「わかる」
「思うんだけどさ」
「うん?」
「コンビニ店員は絶対なりたくない」
「わかる!」
「覚えることが多すぎる……」
「しかも、ふえてく」
「クッキー焼かされてるわけだしな」
「くっきーくりっかー、ふえるくっきーこれかな」
「これだったらいいな」
「だねー」
セブンのクッキー美味いのだった。





760 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/02/01(日) 01:49:59 ID:TtRrAlIE0

2026年1月28日(水)

「××、××」
「?」
うにゅほが顔を上げる。
「俺のアップルウォッチ、壊れかけてるかもって言ったじゃん」
「わーくあうと、かってになるんだっけ」
「そうそう。あれ、理由わかった」
興味が湧いたのか、うにゅほが前のめりになる。
「りゆう、なに?」
「俺、最近また小説書いてるじゃん」
「うん」
「タイピングを誤検出してるらしい」
「あー……」
うにゅほが、うんうんと頷く。
「てー、うごいてるから、かんちがいしちゃうんだ」
「そういうこと」
「なるほどー」
「道理で最近になって症状が出始めたわけだよ」
「◯◯、すーごいかいてるもんね」
「筆が乗ってな」
「どのくらいかいてるの?」
「最近だと、平均で一日に一万文字以上かな」
うにゅほが小首をかしげる。
「すごいとおもうけど、どのくらいすごいの?」
「そうだな……」
わかりやすい例えを探す。
「四百字詰め原稿用紙ってわかる?」
「わかる」
「あれにギッチリ二十五枚が、一万文字」
「……ぎっちり?」
「ギッチリ」
「まいにち?」
「毎日」
「すごい……」
「すごいだろ」
「うん」
「今書いてる超長編、完結させちゃいたいんだよ」
「もじすう、どのくらいになる?」
「二百万文字くらい……?」
「げんこうようしで」
「五千枚」
「わあ」
うにゅほが目をまるくする。
完結させて、また新しい小説を書き始めないとな。





761 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/02/01(日) 01:50:14 ID:TtRrAlIE0

2026年1月29日(木)

「××、膝枕して」
「いいよー」
うにゅほが気軽に頷いてくれるから、こうして気軽に頼める。
ありがたいことだ。
座椅子に腰掛けたうにゅほのふとももに、頭を乗せる。
座椅子ぶん枕が高いが、それは仕方ない。
「……たかくない?」
「高い」
「まってね」
うにゅほがわざわざ座椅子から下りてくれる。
「はい、どうぞ」
「ありがたすぎる……」
「ひざまくら、めずらしいね。つかれたの?」
「疲れた」
「しょうせつ、がんばってるもんね……」
「頑張ってます……」
「よしよし」
なでなで。
「──…………」
既に死語だが、バブみが深い。
「ふふ。なんかたのしい」
「俺は嬉しいけど、楽しいのか?」
「うん。ひざまくら、ひさしぶりだし。おもいだした」
「何を?」
「ひざまくら、したなーって」
「最近は、俺が膝に乗せてばかりだったもんな」
「それもいいけど、してあげるのもすき」
「じゃあ、××に何かしてもらおうかな」
「なに?」
「まだ考えてないけど」
「かんがえて」
「あー……」
考える。
「マッサージとか」
「あ、まっさーじもしてない!」
「だろ」
「あとでしてあげるね」
「お願いします」
うにゅほのマッサージは、効かない。
だが、誘眠作用があるのだ。
眠れない昼におすすめである。






762 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/02/01(日) 01:50:41 ID:TtRrAlIE0

2026年1月30日(金)

「◯◯、◯◯」
「んー?」
「かたもむ?」
「どうした、急に」
「おうえんしようとおもって……」
「小説の?」
「うん」
「……今、めっちゃ漫画読んでたけど」
「だって、かいてるとき、じゃまになる」
「たしかに!」
なんて気遣いのできる子なんだ。
「じゃ、揉んでもらおうかな」
「はーい」
うにゅほに背中を向ける。
握力の足りない小さな手が、俺の肩をやわやわと揉んだ。
「きもちー?」
「ああ、気持ちいいよ」
「うへー」
按摩の気持ちよさとは違うが、嘘ではない。
しばらく肩を揉んでもらったあと、俺は言った。
「後ろ向いて」
「はい」
うにゅほが俺に背中を向ける。
「お返しな」
折れそうな細い肩に手を乗せて、優しく揉んでいく。
「おー……」
「気持ちいいか?」
「つよくてもいい」
「おっけー」
うにゅほの肩は、凝っていると言うほどでもないが、まったく凝りがないわけでもない。
「ここは?」
「ほー……」
「こっち」
「うおー……」
「ここはどうだ」
「んー?」
楽器として面白い。
「あれ、わたし、おうえんしてたのに」
「××だって家事頑張ってるんだから、応援だ」
「そか!」
そんな感じで、互いに肩を揉み合うのだった。





763 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/02/01(日) 02:18:32 ID:TtRrAlIE0

2026年1月31日(土)

ふと、カレンダーを見た。
「やっべ、一月終わる!」
「おわるよ」
「早いな……」
「そかな」
「××は早く感じなかったのか?」
「うん」
うにゅほが頷き、目を伏せる。
「……◯◯、あんまし、かまってくれなかったから」
「あ」
言われてみれば、そうかもしれない。
この一ヶ月、ただただ小説を書き続けていたため、うにゅほとのコミュニケーションが明らかに減っていたのだ。
「ごめん……」
「いいけど」
「本当は?」
「よくないけど」
ここらへん素直で助かる。
「──よっ、と」
「わ」
うにゅほをガシッと捕まえて、膝の上に座らせる。
「なんか見ようぜ」
「しょうせつは?」
「休憩、休憩。と言うか、キリのいいとこまで書いたから」
「そなんだ!」
「タブにだけは出してた長い動画見ようか。ほら、一週間メキシコ食事生活」
「みるー」
このシリーズ、後半になるにつれ苦しくなっていくのが面白いんだよな。
思えば、長いとは言え一時間半の動画を見る時間を捻出することができないくらい、集中していたんだな。
やる気が燃え尽きるまでは続けるが、うにゅほのケアは最優先にしておこう。
そう思った。





764 :名前が無い程度の能力を持つVIP幻想郷住民:2026/02/01(日) 02:19:06 ID:TtRrAlIE0

以上、十四年二ヶ月め 後半でした

引き続き、うにゅほとの生活をお楽しみください
 



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