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夢の島のなくころに やる夫とやらない夫 03 後編 カテゴリ:やる夫シリーズ
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/20(月) 17:06:19.87 ID:Gd1AzHB+0
___
く/',二二ヽ>
|l |ノノイハ))
|l |リ゚ ー゚ノl| では、再開させていただきます。
ノl ハ∨/^ヽ
ノ::[三ノ
あらすじ
移民法制定前後のお話
勝ち組階層のやる夫とやらない夫
すれ違い始める二人
2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/20(月) 17:08:48.68 ID:Gd1AzHB+0
夢の島のなくころに 第三回 後編
01、02とは似た世界での別の話となっています。
実際の団体、その他いろいろな現実とは無関係です。
夢の島のなくころに やる夫とやらない夫 前|
後
夢の島のなくころに やる夫とやらない夫 02 前編|
後編
夢の島のなくころに やる夫とやらない夫 03 前編
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/20(月) 17:13:30.85 ID:Gd1AzHB+0
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\|;;;;;;;;;「\ . . . . . . . . . .
\|[]![]i|\l __ ,__. ,‐レ /
\|[]![]i|\|\〃..:::日ヽ」 2 !ヽ |Hレ' /
\|[]![]i|\|\:\::::日 |ー ト、| |Hレ' /
\|[]![]i|\|\:\i..l;;ト、 |::┌ 、! : : : ::: :: :┌‐lHレ' : : :
\|[]![]i|\|\:\i..|;;ト、ヽ|ii|\ | : : ::: :: : : :||__|H| : : : :
\|[]![]i|\|\:\i..|;;ト、ヽ|ii|l\L__r;;;;;;;ュ r'il|:::|H| /
\|[]![]i|\|\:\i..|;;ト、ヽ|ii|l\|llllllllllllllllll| il「::|Hレ' /
\|[]![]i|\|\:\i..|;;ト、ヽ|ii|l\|llllllllllllllllll| il「::|Hレ゙ : : : :
\|[]![]i|\|\:\i..|;;ト、ヽ|ii|l\lllllllllllllllllll| il|、:|H| : : :
\|「l!「i| , ――┬、 ∠二Tヽ, r-‐‐‐-\;lH| : : : :
.| l|L。∠___。ィlLlレ、 ゚=゚゚O-O’{iiト_≡_イii} '\;レ゙レ’
 ̄ ̄@=呂=@-‐jHr‐」 /Lt‐┸‐j」 \
`‐' ̄`−'' `−’ /
世の中には二種類の人間がいる。
勝ち組と負け組と言う単純化された階層分けは歴然として存在していた。
そこに生きる人間の個人的心情は問題ではない。
金と権力を握り、それを維持し続ける事。
それが勝者だった。
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/20(月) 17:18:45.43 ID:Gd1AzHB+0
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/ \
/ ─ ─ \
/ (●) (●) \
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
勝ち組と負け組の境界線。
その狭間でやる夫は、闇の底を見下ろしていた。
”見下ろしている限り負け組にはいない”と言う事を確認する為に。
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/20(月) 17:24:45.37 ID:Gd1AzHB+0
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/ \
/ _ノ ヽ、_ \
/ o゚((○)) ((○))゚o \
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
だが、その場にいる為に感じてしまうプレッシャー。
それを忘れたくて、日々を気楽に生きている。
そんな仮初の現実逃避がいつしか当たり前の日常になった。
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/20(月) 17:31:41.40 ID:Gd1AzHB+0
___
/ \
/ノ \ u. \ !?
/ (●) (●) \
| (__人__) u. |
\ u.` ⌒´ /
ノ \
/´ ヽ
周囲は期待し、褒めてくれる。
だが、その目はやる夫の転落を望んでいる。
限られた勝者を決める争いは、既に始まっていた。
そして、勝ち組内での椅子争いは果てる事無く続いていく事を理解していた。
7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/20(月) 17:37:02.35 ID:Gd1AzHB+0
____
/ \!??
/ u ノ \
/ u (●) \
| (__人__)|
\ u .` ⌒/
ノ \
そう言った連中を振り切るためにも、この場所を守りきらなければならない。
このレールから外れれば、細々とした慎ましい生活しか待っていない。
持たざる者が奪われる事を恐れる様に、持つ者は失う事を恐れる。
この場所から落ちると言う事は、全てを失う事だった。
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/20(月) 17:42:55.37 ID:Gd1AzHB+0
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/_ノ ヽ\
/ ( ●) (●)、
/::::::::⌒(__人__)⌒\
| |r┬-| |
\ `ー'´ /
⊂⌒ヽ 〉 <´/⌒つ
\ ヽ / ヽ /
\_,,ノ |、_ノ
だから、弱みなんて存在しないかのごとく振舞う。
勝ち組の傲慢さは自信の表れであり、親の権力を利用する事の意思表示だ。
自分の感情も本心も決して表に出してはならない。
それをする事は、自分の弱点をさらけ出す事と同じだった。
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/20(月) 17:48:19.61 ID:Gd1AzHB+0
/ ̄ ̄\
/ ._ノ ヽ、\
| (●)(●) |
| (__人__) |
. | ` ⌒´ }
| }
ヽ / / ̄ ̄ ̄\
__ヽ ノ__ / ─ ─ \
/ .ヽ / (●) (●) \
|| || . | (__人__) |
|| || \ ` ⌒´ /
順風満帆な人生を送るために支払う代価は、決して安くはない。
やる夫も色々支払ってきたし、やらない夫もその点同じだろう。
過労で倒れたやらない夫の右足に、いまだに痺れが残っているのを知っている。
・・・そのやらない夫が、未来を捨てかねない言動をしている。
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/20(月) 17:54:55.57 ID:Gd1AzHB+0
/ ̄ ̄\
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/:::::::::::::: ヽ
|:::::::::::::: |
ヽ:::::::::: /
/:::::::::::: く
-―――――|:::::::::::::::: \ -―,―
|::::::::::::::: |ヽ ⌒)
単に同情と言うわけではないはずだ。
やらない夫も常々、努力しない奴を救う価値はないと言っていたのだから。
自分との約束事よりも大きな理由があるようには思えなかった。
あれほど一緒の時間を過ごした親友の背中が、今はとても遠く感じていた。
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/20(月) 17:57:43.86 ID:Gd1AzHB+0
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数日後・・・
|:: :{ 、 /: :/ j:::: : : :|: |: : :',
|: : ヽ - ― /: :/ /::::: : :i::|: l: : : ', ・・・・・・。
v: : : :\ ノ: :/ /::: : : :/::l: :i: i: : ',
リ、::l :{ lヽ _ ィ∠/: / /:: : : /: ::l:: |:: |: : ',
ヽヾ |::::l::::l:::l:| ノノ ./: : : : :/: ::/::: l:: l::: ',
`゛'l::::|::::|/l / : : : : /:: ノ:::::: |:: |::: : ',
落ち込んでいたやる夫の下に鬼姉から電話が掛かってきた。
普段なら軽く世間話で終わりなのだが、この時余程テンパっていた様だ。
話相手のいないやる夫は、あった事をつい相談してしまった。
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/20(月) 17:59:11.78 ID:Gd1AzHB+0
/ ̄ ̄ ̄\
/─ ─ \ 相変わらずキッツイ事いうお・・・
/(=) (=) \
| (__人__) u |
\ /
/ ̄  ̄ ̄)___
/ // /'/ / 〃 ⌒l
_____/⌒\./ /∧し'___|;;;;;;;;;;;;|
毎度の事ながら非常に抉るような事を言う。
電話を切った後、しばらく落ち込んだ。
その後で、色々と言われた内容を考え込んでいた。
自分の価値観に相手を当てはめ、それに見合わないと怒りを覚えると言う身勝手さ。
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/20(月) 18:00:00.06 ID:Gd1AzHB+0
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/ \
/ _ノ ヽ__\
/ U (─) (─) \
| (__人__) | ・・・
/ ∩ノ ⊃ /
( \ / _ノ | |
.\ “ /__| |
\ /___ /
やらない夫の悩みは、出先で見知った出来事が関連しているはずだ。
それを知らずに怒りを覚え、否定するような事を言った自分。
あの取り乱しようを思い出すだけで赤面する。
自分の幼稚さに吐き気がする。
14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/20(月) 18:06:17.17 ID:Gd1AzHB+0
/ ̄ ̄\
/ \
/:::::::::::::: ヽ
|:::::::::::::: | 詫びるべきかお・・・
ヽ:::::::::: /
/:::::::::::: く
-―――――|:::::::::::::::: \ -―,―
|::::::::::::::: |ヽ ⌒)
初めて自分から折れようと決心した。
もう一度よく話し合うべきだった。
必要なら協力するべきだし、自分も何か手伝える事はあるはずだ。
今までもそうしてきたし、これからもそうであるべきだ。
そう考えた時、不思議と気が楽になった。
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/20(月) 18:12:00.60 ID:Gd1AzHB+0
___
/\ ,_ \
/(ー )゛(ー ) \ …………
/:::⌒(__人__) \
| l^l^ln ⌒´ |
\ヽ L /
ゝ ノ
/ /
直ぐにでも電話しようかとも思ったが、時計を見て諦めた。
明日でも問題はない。
いつでも会う事は出来るのだから。
そう思って、日課のネット巡りをしていた。
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/20(月) 18:19:57.89 ID:Gd1AzHB+0
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/ \
/ ─ ─\ ・・・!?
/ (●) (●) \
| (__人__) | ________
\ ` ⌒´ ,/ .| | | <2ちゃんねる 電車男 ニュース ヘッドライン BBY (news)
ノ \ | | | <【民○党】日本列島はアジア多民族国家へ進むべき★999
/´ | | | <【事故】国道**で乗用車とトラックの交通事故
| l | | | <【いつもの】VOCALOIDは韓国起源である事が判明
ヽ -一ー_~、⌒)^),-、 | |_________| <【社会】米軍が厚木基地から撤収開始
ヽ ____,ノγ⌒ヽ)ニニ- ̄ | | |
その時、何か感じたのは偶然だ。
気になってクリックしたのも・・・偶然に過ぎない。
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/20(月) 18:27:33.75 ID:Gd1AzHB+0
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/::::::─三三─\
/:::::::: ( ○)三(○)\
|::::::::::::::::::::(__人__):::: | ________
\::::::::: |r┬-| ,/ .| | |【事故】国道**で乗用車とトラックの交通事故
ノ:::::::::::: `ー'´ \ .| | |<・・・のやらない夫さん(**歳)が・・・
言葉を失ったまま凍りつくやる夫。
それを見越したかの様に鳴り響く携帯電話の音。
とても遠く聞こえた・・・
20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/20(月) 18:35:05.02 ID:Gd1AzHB+0
/ ̄ ̄ ̄\
/ ─ ─ \
/ <○> <○> \. ……。
| (__人__) し |
\ ` ⌒´ /
/ し \
どれだけの時間が過ぎたのか判らない。
全ては幻想の中の出来事。
自分ではない誰かの夢の中にいる様な・・・
他人の言葉の数々は、無意味な音となってやる夫の体を通り過ぎていった。
そんな時間が淡々と過ぎ去っていった。
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/20(月) 18:43:46.62 ID:Gd1AzHB+0
____
/ノ ヽ、_\
/( ○)}liil{(○)\
/ (__人__) \
| ヽ |!!il|!|!l| / | どんなクズが・・・!
\ |ェェェェ| ./l!|
/ `ー' .\ |i
/ ヽ !l ヽi
( 丶- 、 しE |そ
`ー、_ノ ? l、E ノ <
レY^V^ヽl
そして訪れる怒り。
全てが真っ赤になるほどの怒りが、ようやく現実を認識したやる夫に降りかかった。
某省庁の幹部候補生と言う立場を利用して、警察に乗り込んだ。
それがどれ程自分にとって危険なのかこの時理解できなかった。
そんな思考すら存在しなかった。
22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/20(月) 18:52:29.10 ID:Gd1AzHB+0
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_ヽ:::::`´:::::::::::::`ヽ、
,>:::::`:::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
ァ::::::;ィ::i::::ハ:::i:::;ィ:::、::::::::::l
イ:::ノlハノjノニ}ハ{ l;ハ:::::::::::|
lイニ'_‐-i ┌_''ニ"-ヘ:::::::::|
F:f==。iー:f::=。=テ:元「ヽ:| まあ、待て・・・
ト::`ニ/ ̄ヾ::ニ´:ノ :||^リ:ト、 エリートさんに現実を見せてやれ・・・
l. r‐| _┐ー- 、 :lレ':::| \
/l l r`──‐┐ | ∧:::::| ヾ''‐- 、._
_,, -‐''7 l., , ̄二¨ ̄, , / ヽハ |‐- 、.._ ``'''‐ 、.._
. , -‐''"´_,, -‐''7. `ァr───‐'´ ./|:|. | ``'''‐ 、.._ ,>、
. /l ‐''"´ / |::|.\::::::::::: / |::| | / ヽ
警察署で対応した警官が困惑した表情を見せる。
民間人とは言え、将来的には自分達の上の立場になるかもしれない人間だ。
その時、通りかかった刑事が間に入って言った。
これから相手の家族に届け物をしに行くという。
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/20(月) 18:57:58.70 ID:Gd1AzHB+0
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/ \
/ ::\:::/:: \
/ <●>::::::<●> \
| (__人__) |. ・・・・・・・・・
\ ` ⌒´ /
/ \
刑事に従ったのは、その現実とやらを見せてもらおうと言う程度の気持ちだ。
どうせ責任逃れの事しか言わない様な、負け組の連中だろう。
そう思うだけで暗い炎が沸立つ。
絶対に路頭の迷わせてやりたいという炎がやる夫の頭を駆け巡った。
それを悪い事とは微塵も思わなかった。
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/20(月) 19:04:03.88 ID:Gd1AzHB+0
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○ /;:::':::;:::':::;:::':::;:::':::;:::':::;:::':::;:::':::;:::':::;:::':::/ \ \:::::,,,,,,,,;;;,,,;;;';;:::;;;,,,,,,,,:::::
;;ミゞ, || /;:::':::;:::':::;:::':::;:::':::;:::':::;:::':::;:::':::;:::':::;:::':::;/ \ \:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
;;;ヽミゞ;,;||;/;:::':::;:::':::;:::':ノヽ;:::'::ミゞ`;;:ノ;ミゞ;:::':::;::::;:::/ ロ \ \: : : : : : :: :: : : : :
";"ミゞ:; ||, ̄| ̄ ̄ ̄ 彡ヽミゞ:ノミゞ;ノ:;ミ;  ̄ ̄ ̄| | ̄
ノミミゞ:; ||, | |ニlニ彡ヽミゞ:ノミミゞ;彡 ミ lニl | lニlニl |
;;ノ彡ミi ,||ゞ, | |___l;彡;;i;ヽミゞ;ソミ;;彡::ノミゞゞ__|゙ | |___l___|゙ | ;":;;:
ノ;ヽミゞ゙||ミ;;ゝ ノミヽミゞ;ノミミノノ;;ii;;;ヽミゞ, | iニニニニiニニニニi ;::;;":;;';; ;":;;
彡|l!:ミゞ||. | |ニl'ノ彡ii;ミミヽミゞ;;彡|l::lニlニl | i :::┌─||;i:::: i | || / ̄ ̄ ̄ ̄
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その場所は粗末なアパートだった。
勢いまかせに怒鳴り込もうとしていたやる夫は、イメージと全く違うその場所に無言となった。
26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/20(月) 19:09:14.40 ID:Gd1AzHB+0
,. - ─── - 、
/ , `ヽ.
/〃//,. ,ィl/|l ト、 !、 、 ヽ
ー'´| | l |1 | !l. l| ! | l.|ヽ ! !、 ',
YレV!ヒエ「! |l.「_ト!Ll」| l l l
! lハイJ | ´|_jヽ. リ,! ! l. l |
|l |l.} ー , L _,ハl.lトl l. | l ・・・
|l ilト、 n '' ,1l|ィ| |l l |
_ 二,ニ^tュ--ェ_t1」l.|l !リ|_lノ
r7´ f r┐| 〔/ミヽ>,-、 ̄´
Y ー个‐'t ハ-、_'ゝ、
ヽ ._・ rく ̄ヽト-'丿 ヽ l
ボロアパートの一室にはろくな調度品はない。
部屋の真ん中には、寝たきりらしい母親が涙を浮かべていた。
その母親に縋るようにして幼い女の子が泣いている。
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/20(月) 19:15:09.39 ID:Gd1AzHB+0
_、―-、/└ ''Z__
_.ニ‐ `ゝ
フ ヽ
7 /|ハ/^)ノヽ八ト、 !
7イー ,,_ー---‐_,,. -ヽ |
」ニ::-_'l___l''__-=二.| r-、 |
.|::::::....,ゝー|:::::::::::::...||コ | |
`iー‐| _`ー―‐' | ト.| | ト、 ・・・・・・
| /L - ' ー-、 V,,ン | \_
/| ⊂ニニ⊃ | ∧ | \ `ー 、_
_ -‐/ | ≡ / ヽ.| | ̄`―、
.-‐/ └┼┴┴┴ ′ /l| |
/ /l|\ / |:| |
刑事はやる夫に見向きもせず、その二人に何か言って渡していた。
その後、固まったままのやる夫を外に出し、やる夫に情況を説明してくれた。
やる夫が聞く耳を持たなかった事件のあらましだ。
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/20(月) 19:22:31.47 ID:Gd1AzHB+0
____
/ \
/ _ノ ヽ、_.\
/ u (●) (●)\
| u (__人__) |
\ ` ⌒´ ,/
ノ \
/´ ヽ
寝たきりの母親の医療費を稼ぐ為に必死に働いていたトラック運転手。
それを違法と知りつつ止められなかった運送会社の社長。
運転手は跳ね上がる税金と医療費の為に殆ど不眠不休だったという。
社長もかなり支援した様だが、会社も苦しい。
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/20(月) 19:29:29.95 ID:Gd1AzHB+0
ヽ,, ヽ . ,、__) ノ! \底辺層なんかより、移民の保護こそ人道でしょ?
| ノ ヽ |
∧ ー‐=‐- ./
/\ヽ /
/ \ ヽ\ ヽ____,ノヽ
・・・行政は手を差し伸べてはくれなかった。
他に助ける”人間”がいたから。
32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/20(月) 19:35:06.03 ID:Gd1AzHB+0
____
/ \
/ _ノ ヽ、_.\
/ u (○) (○)\
| u (__人__) |
\ ` ⌒´ ,/
ノ \
/´ ヽ
金を貯めて母親に旅行をプレゼントするのが夢だったと言う。
そして、クリスマスには妹とプレゼント交換する予定だったらしい。
一度も祝った事のないクリスマスを楽しみにしていた妹。
妹が兄に贈ろうとしていた似顔絵が笑みを浮かべていた。
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/20(月) 19:43:50.10 ID:Gd1AzHB+0
_、―-、/└ ''Z__
_.ニ‐ `ゝ
フ ヽ
7 /|ハ/^)ノヽ八ト、 !
7イー ,,_ー---‐_,,. -ヽ | こんな家庭・・・
」ニ::-_'l___l''__-=二.| r-、 | 日本に掃いて捨てるほどある。
.|::::::....,ゝー|:::::::::::::...||コ | |
`iー‐| _`ー―‐' | ト.| | ト、 ・・・あんたが見たかったのは、こんな場所だ。
| /L - ' ー-、 V,,ン | \_
/| ⊂ニニ⊃ | ∧ | \ `ー 、_
_ -‐/ | ≡ / ヽ.| | ̄`―、
.-‐/ └┼┴┴┴ ′ /l| |
/ /l|\ / |:| |
・・・・・・満足か?
刑事は軽く言ったが、目は笑っていなかった。
こんな光景を何度も見て、何度も無力感を感じていたのだろう。
救うべき相手が多すぎ、そして救う手はあまりに少なかった。
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/20(月) 19:48:29.99 ID:Gd1AzHB+0
/ ̄ ̄ ̄\
/ ─ ─ \
/ (○) (○) \. ・・・・・・・・・・・・・・・・
| (__人__) し |
\ ` ⌒´ /
/ し \
先ほど程までの身を焦がすような怒りは行き場を失っていた。
運送会社の社長がムリをさせた事を泣いて後悔していると言う。
やる夫は自業自得だと切り捨てる事ができなかった。
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/20(月) 19:53:14.82 ID:Gd1AzHB+0
/ ̄ ̄ ̄\
/ ─ ─ \
/ (○) (○) \. ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
| (__人__) し | ・・・・・・・・・・・・・・・・・
\ ` ⌒´ /
/ し \
・・・トラック運転手は遺書を残して自殺。
妹はその死をまだ知らない。
心が折れる・・・・何となく判ってしまう。
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/20(月) 19:56:08.25 ID:Gd1AzHB+0
____
/ \
/ ─ ─ \
/ (○) (○) \
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
やる夫は凍り付いていた。
権利ばかり主張し、他人の善意を貪る住人ばかり蠢く世界。
そんな世界の住人など放置しておけば良いという今までの自分の考え。
それは否定しようのない正しい光景のはずだった。
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/20(月) 19:59:28.40 ID:Gd1AzHB+0
/ ̄ ̄ ̄\
/ ─ ─ \
/ <○> <○> \. ……。
| (__人__) し |
\ ` ⌒´ /
/ し \
だが、目の前にあるのはそんなありきたりの理屈ではなかった。
やる夫の考えていた競争の結果の世界ではなかった。
知らず知らずのうちに震えている。
自分の言葉が何度も蘇る。
やらない夫の言葉が何度も何度も・・・蘇る。
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/20(月) 20:02:14.56 ID:Gd1AzHB+0
. |;;;;; (__人__)
|;;; ` ⌒´ノ
. |;;;; } 見捨てらんないだろ・・・
. ヽ;;; }
ヽ;;;l ノ
/ く
| \
| |ヽ、二⌒)
どんな気持ちでその言葉を言ったのだろうか?
どんな想いが込められていたのだろうか?
それを偽善、綺麗事として切って捨てた自分。
・・・やらない夫は、やる夫の言葉を聞いてどう思ったのだろうか?
41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/20(月) 20:09:46.53 ID:Gd1AzHB+0
____
/ \
/ _ノ ヽ、_ \
/ o゚((○)) ((○))゚o \
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
怒りの矛先が存在しない。
なぜなら、彼らもまた見捨てられた人々だから。
親友の敵討ちも出来ない。
なぜなら、あの家族こそやらない夫が守りたかったモノだったから。
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/20(月) 20:15:57.93 ID:Gd1AzHB+0
/ ̄ ̄ ̄ \
/ :::::\:::/\
/ 。<一>:::::<ー>。
| .:::。゚~(__人__)~゚j
\、 ゜ ` ⌒´,;/゜
/ ⌒ヽ゚ '"'"´(;゚ 。
/ ,_ \ \/\ \
と___)_ヽ_つ_;_ヾ_つ.;.
もっと早く知っていたら・・・などと言う考えは無意味だった。
”知る気はなかった”のだから。
自分を危険に晒しかねない事柄からは目をそらす事に決めていたのだから。
こんな情況でもなければ、多分知らないままだ。
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/20(月) 20:24:15.11 ID:Gd1AzHB+0
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やらない夫の親友を自認しながら、その苦しみを何も判っていなかった。
日本を変えると言いながら、その現実を全く知らなかった。
・・・そして、自分の傲慢さをやらない夫に詫びる事すらできない。
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/20(月) 20:34:34.14 ID:Gd1AzHB+0
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あの家に残された静かな泣き声が、いつまでも耳に残っていた。
現実を見てしまったやる夫は、その声が永遠に消えない事を悟った。
だから思い知る。
夢の時間は終わったのだ・・・と
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/20(月) 20:40:04.79 ID:Gd1AzHB+0
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あの日、あの時。
/ ̄三\
/;;;; _ノ 三 \
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. |;;;; } 必ず這い上がってやるだろjk
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/ く
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天涯孤独になった時、やらない夫はそう決意した。
見捨てられた階層の人々がどんな目で見られているのか知っていたから。
いまや、周囲に貧困の臭いはなくなり、自分の出自を思い起こさせるモノとも手を切った。
だが、今度はその中で周囲の失敗を望み、足を引っ張り、自分のミスを減らし、隠し、もみ消すと言う神経戦に突入した。
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/20(月) 20:48:06.85 ID:Gd1AzHB+0
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やる夫と言う人物と会った時、他の連中と同様信用できない存在でしかなかった。
ただ這い上がって行くだけの自分にとっては、道の途中で出会っただけの存在。
しかし、見つめている闇が自分と同じだと知った時、いつの間にか親友となっていた。
今となっては共犯者の様な共感を抱えていた。
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/20(月) 20:48:22.23 ID:6F0iMEYw0
あああぁぁああああぁあもおおおぉぉぉおおおおぉおぉおおああああぁぁぁぁあああああ
51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/20(月) 20:54:11.41 ID:Gd1AzHB+0
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共に上に行って、この国を変えてやろうと誓った間柄。
やらない夫は、その為に日本各地の最前線を見て回っていた。
それは、現状の調査であり、卒論の為であり、そして将来の為のモノでしかなかった。
そこにはかつての自分の居場所を観察すると言う第三者の視線しかないはずだった。
52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/20(月) 20:56:17.06 ID:Gd1AzHB+0
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しかし・・・
ボロボロの家屋。
絶望の臭い。
夢も希望も失いかけた人々の姿。
伝手を頼って調べた世界には、そんな日本らしからぬ世界が広がっていた。
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/20(月) 20:58:50.06 ID:Gd1AzHB+0
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目の前に広がる現実。
そこに蠢くのは負け犬だけではない。
とばっちりで落ちた人間。
夢を求めて日本に来た外国人。
犯罪に遭って全てを失った人々。
誰もが自己責任とは言い切れない世界がそこにあった。
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/20(月) 21:02:19.04 ID:Gd1AzHB+0
>'ヌヽf ハ:.lヽ `゙´ _.. - i ! / i
Yl::|Yヽ、キi:l ''' l | イ:! |l/ / ノ
ノ|::| !N:.:.:.:.:>-_ ._ゝ-_ イl|::」 | |! レ/
`l:::´j:.|z<リ〈rー―tコ' ̄ 〉‐y´ `ヽ おかあさん?・・・いない・・・
'yVノ_゙ゞッ.ヽ, /Fiヽ、人l ’ ・ }
} `ヽキ Y゙イ |~i,_..ィ゙ ヽ、 x _ _.ノ
〉 ゝメーイ卅 } , '7` ー 'ェ ヽ
l _\ `゙ッ゙´ /./ |三〉
ノ⌒ー-ァyヽj ´  ̄ ヽ、_ , ュ/ . ! l
‐ ー F =\ ツ} 彡 ! j、
移民法の影響は既に出ていた。
限られた利益は新しい人々へ回っており、底辺層の人間は自業自得として切り捨てられていた。
そして、それを人々は知る事はないだろう。
本当に救うべき人間は、大声を張り上げる事もできずに消えていっている。
目に見えない部分で人々を絶望に落としていた。
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/20(月) 21:03:09.91 ID:6F0iMEYw0
……
つづく
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