今年もBlackHatに行って参りました。今回は、前職のeEye時代に住んでいたカリフォルニアのオレンジカウンティから車でラスベガスまで移動しました。オレンジカウンティに居た頃は友人と何度かラスベガスまで車に遊びに行きましたが、道中は相変わらずの風景でとても懐かしかったです。

BlackHatは年々規模が拡大傾向にあり、今年も去年に増して参加人数が増えていました。これ自体は大変喜ばしい事なのですが、反面、参加人数が増えたため交流がやや大変だという声もちらほら聞かれました。時代と共にカンファレンスのスタイルも変わってきますので、それに合わせて参加者の方も意識を変えていく必要があるのかもしれません。

今回もさまざまなトピックで研究成果が報告されていました。今回私からは一つだけ、「Exploiting Surveillance Cameras - Like a Hollywood Hacker」と題された発表を簡単にご紹介します。なお、FFRIではBlackHatのペーパーサーベイも行っていますので、いくつかその内容が近くWebで公開されるかもしれません。成果などはFacebookで随時アナウンス致しますので、もしよろしければ、FFRIのFacebookページも今後チェック頂ければと思います(https://www.facebook.com/FFRI.1440)

本発表では、複数のネットワーク対応セキュリティカメラを調査した結果が報告されています。脆弱性を悪用する事で、外部からカメラを自由自在に制御したり、あるいは、映像の不正閲覧や映像の差し替えなどが可能になるというものです。副題にもあるとおり、まさに"Like a Hollywood Hacker"です。

資料はこちらから入手できます。
https://media.blackhat.com/us-13/US-13-Heffner-Exploiting-Network-Surveillance-Cameras-Like-A-Hollywood-Hacker-Slides.pdf

基本的に、脆弱性は非常に古典的かつ簡単に攻略できるものばかりであり、また、Googleやshodan等で直接インターネットに接続しているものの一部は簡単に検索できてしまうようです。発表者は、製品ベンダーが公開しているアップデート用のファームウェアを解析して調査を行ったそうです。

攻略例では、カメラに実装されているWebサーバ上で動作するCGIのバッファオーバーフロー脆弱性や、あるいは、ハードコードされているバックドアアカウントを攻略する、といったものが紹介されています。また、それら脆弱性を攻略し、ストリーミング配信を実現しているデーモンを停止して「最後に映った映像」を流し続け、物理的な人の侵入を分からなくさせてしまうといった例も紹介されています。

今回発表された脆弱性は非常に古典的なものですので、簡単なトレーニングや簡単な検査で製品出荷前に対策できる可能性は十分にあると思います。IPAでも、製品出荷前に機械的に脆弱性をみつけるための手法としてファジングが紹介(http://www.ipa.go.jp/security/vuln/fuzzing.html)されていますので、組み込み機器などを開発されている方は是非一度確認頂ければと思います。