2011年のDEFCON CTFが終わりました。
会場では、サポートメンバーによっておにぎりと味噌汁が振る舞われました。
個人的には3度目のDEFCON CTF決勝、日本チームとしては初めての決勝でしたが、今までこんなに恵まれた環境はありませんでした。
一般的にCTFでは、予選はインターネット上で行われるのに対し、決勝は一つの会場に集まって行われます。
そのため、環境の問題、食事の問題、時差の問題、機材の問題など、様々な問題と向き合いながら競技を行うのがCTF決勝の特徴でもあり、アウェイの洗礼は日常茶飯事です。
今回はサポートしてくれたメンバーの尽力によって、そういった問題によるストレスを大きく軽減し競技に集中することができました。本当にありがとうございました。

defcon2011ctf

日本でもCTFへの注目が高まり、少しずつメディアにも取り上げるようになってきましたが、未だメディアには取り上げられない重要な点をご紹介します。

今回のCTFでは、CTF会場が停電したり、ネットワークやサーバトラブル、スコアリングシステムへの批判など、運営側も非常に大変です。毎年必ず運営側の不手際に対する批判を耳にします。特に今年は運営側の意図しない方法を使って全サーバのroot(管理者権限)が奪われるという事態もありました。

ではなぜ、大変な苦労をしてまで運営をするのでしょうか。
勉強になるからという単純な理由ではありません。

DEFCON CTFを運営するのは、アメリカ海軍学校の教授、生徒からなるチームです。ということは、競技中に飛び交った様々な攻撃コードは教材として使われると同時に、米軍に蓄積されていきます。

その背景には、アメリカが国家としてサイバー空間を重要視していることが挙げられます。陸、海、空、宇宙に続く第5の戦場としてサイバー空間が位置づけられているのです。さらに、サイバー空間への攻撃に対しては武力による報復も辞さないとの発表もありました。
結局のところ、DEFCON CTFはアメリカ、サイバー戦争の下地作りでもあるわけです。毎年、アメリカ、韓国は政府による強力なバックアップを後ろ盾にチームを送り込んできています。現在、積極的にCTFを開催しているのは、アメリカ、韓国、ロシア、マレーシアなどです。
日本では23年度版防衛白書で、サイバー攻撃対処のため最新技術の研究に取り組むという内容の文言が記載されました。具体的なことは何も書かれていませんが、今後の動向には要注目です。