コンピュータに感染するウイルスが初めて発見されたのは、1986年でした。

世界初のウイルスの名はBrain。

これは、5.25フロッピーディスクのブートセクタを感染させるMS-DOS向けに書かれたウイルスで、フロッピーディスクドライブの動作を遅くさせ、7KBほどのメモリーを使用できなくするという単純なものでした。

7KBなんて・・とおもいましたが、その当時の7KBはけっこう貴重なリソースだったそうです。

累計100,000個ものフロッピーディスクが感染したということです。

IMG_0203

Brainには、パキスタン在住の作成者の連絡先が含まれており、1986年から25年の歳月を経た2011年2月、エフセキュアのセキュリティ研究所で主席研究員 (CRO) を務めるミッコ・ヒッポネンが作成者に話を聞く為にパキスタンのラホールに赴きました。

IMG_0352

作成者は兄弟で、アムジャッド・ファルーク・アルヴィとバジット・ファルーク・アルヴィだということが判明、現在二人は、もう一人の兄弟である シャヒード・ファルーク・アルヴィと共にパキスタンで、Telecommunication Ltd というインターネット サービス プロバイダ事業で成功していました。

IMG_6562

エフセキュアは、ミッコの旅とアムジャッドとバジットの初のインタビューを収録した「Brain – Searching for the first PC Virus (Brain – 最古のウイルスを探して)」と題した10分間のルポタージュビデオを制作しました。彼らは、同ルポタージュの中で、フロッピーディスク を介して感染を広げた最古のウイルス、Brainについて初めてインタビューに応えており、Brainの目的は破壊ではなく、だからこそ自らの連絡先を入れたことを明かしています。

Welcome to the Dungeon
(c) 1986 Basit & Amjad (pvt) Ltd.
BRAIN COMPUTER SERVICES
730 NIZAB BLOCK ALLAMA IQBAL TOWN
LAHORE-PAKISTAN
PHONE :430791,443248,280530.
Beware of this VIRUS....
Contact us for vaccination............ $#@%$@!!


彼 らの動機は、当時新しいOSだったDOSに実装されたマルチタスク機能の動作性と、UnixなどのほかのOSと比べセキュリティ上の脆弱性があるかどうかを確認する為のものでした。その後間もなく、彼らは米国やオーストラリアなどの国々から問い合わせを受けたそうです。

IMG_6613

ミッコ・ヒッポネンは、今回の旅について素晴らしい体験をしたと振り返っています。というのもBrainのコードに含まれていた住所に実際に赴いてドアをノックしたら、 25年前に同ウイルスを作った兄弟がドアを開けたというのですから。

アムジャッドとバジットが1986 年にウイルスを作成した頃、つまり25年前のインターネットは、今とは全く異なる状況でした。彼らが悪意もなく書いたコードが世界初のコンピュータウイルスになってしまったというのは非常に興味深く、今回エフセキュアが制作したビデオには、コンピュータ史の中でも重要な部分が記録されていますので、ぜひお見逃しなく!

「Brain – Searching for the first PC Virus (Brain – 最古のウイルスを探して)」は、こちらからご覧いただけます。(英語)


また、先日のショーンの記事でもご案内していますが、「USA Today」のByron Acohidoによる記事で、ミッコ・ヒッポネンの「Brain」のドキュメンタリーを独占紹介していますので、ぜひこちらも。